言語の壁を越えにくい印象を持たれがちな演劇において世界のどの地域においてもエンターテイメントとして成立する作品をつくるため、各言語の音韻体系に基づきながらもd’UOMO ex machina風である共通点を残す独自の翻訳技術を各言語毎に開拓している。またその発話の仕方や空間の意味づけ方についての身体技法を独自のメソッドとして様式化を進めている。これらを結実させたい。 また、世界中の同時代の演出家・演劇人たちと連繋し世界演劇の祭典を開くような場所は大都会の中心にこそあるべきであり、公共劇場の制度的な伝統を持たない日本においてはそれは実際に作品をつくる演劇人みづからの民間としての活動からはじめねばならない。その基盤としての拠点を都内、中目黒・渋谷地域につくろうと思う。
現在「人は一人じゃ夢みれず、人は一人じゃ狂えもしない」と題したWork in progressを継続中。二人でそこにいる、ということについての舞台作品をつくりあげる探求です。初公開の2011年3月19日では震災直後の情勢を鑑み謡曲「楊貴妃」を照明・音響に電源を使わない演出で上演しました。その後、古今東西のさまざまな戯曲・文学作品を用いた上演をおこない、徐々に方向を定めてきてました。それはトルコの野外劇場での上演から震災復興チャリティでの10分の小品などかなりいろいろな上演形式でした。応募公演で、このシリーズでは初めてとなる複数ステージの上演日程を組み、この後また1ステージだけの単発の実験もしますが、年内にさらに大規模な複数ステージの公演を準備しています。すでにある程度は研究・翻訳の進んでいるチェーホフの「櫻の園」と既存訳で呼ばれてきた作品を新翻訳・新演出で取り上げる予定。