風琴工房
採点【風琴工房】

実話を元に作られた作品とのことで、よく調べられ、見やすく、展開もわかりやすく良かったと思います。舞台では個人的になぜと思うところがあり、また、終始、舞台に引き込まれない自分がいました。事実に基づいて作られた作品だからこそ、難しいとは思うのですがもう少し誇張すべきところは誇張して落とすところは落とすの様な物語に強弱があって良かったのではないかと考えています。
舞台制作としては、奈落をうまく使いまとまりとしては良かったと考えます。

記憶しておきたいと思う場面がたくさんありました。
覚えておきたいと思う言葉もたくさんありました。
登場する人物全てが生き生きとし、それぞれの人間関係、キャラクターが混ざり合って時間が進み、考えが生まれ、生まれたての会社の中で、各責任をまっとうする情熱と責任感によって進んでいく時間が見ていてとても心地よく、勇気づけられ、ほろりとし、熱くなりました。
働いていて思うこと。結局は「情熱」「信念」をいかに貫けるか、小さいところを気にせず、いかに大きな先を見ることができるか。帰り道そんなことを感じました。

 大企業のキャリアウーマンだった30代の咲子(松岡洋子)は一念発起して退職し、化粧品会社を起業します。研究者と営業、総務など最低限の社員とともに、自分にとって最高の化粧品を作り、それを日本人女性に届けようと奮闘する波乱万丈の数年間。詩森さんが実在する無添加化粧品の会社や女性企業家の方々を取材し、その内容をまとめて創作されました(特定のモデルがあるわけではないですが、ほぼ全てが取材内容に基づいているそうです)。


 「本当に良いものを作りたい」「嘘をつかずに、お客様に届けたい」という純粋な気持ちが舞台に溢れているのを感じ、開幕から約30分ぐらいの間、涙が溢れて止まりませんでした。ねつ造や虚偽などの報道がほぼ毎日のように目に、耳に入ってくる今の日本で、人間の根源にある善意(と言っていいと思うのですが)を見せていただけたように思います。


 作品全体のクオリティーがものすごく高いとは言えないかもしれません。役者さんの中には明らかに演技がおぼつかない方や、ちょっとおおげさに動く方などもいらっしゃいました。脚本もまだ精度を上げられる気がします。でもそんなデコボコもさえも、あるベンチャー企業の黎明期を生き生きと体現しているように思えました。不器用だけれど本気で、何をやるにもひたむきな彼らに、私は一緒に生きていく勇気をもらいました。

「化粧」ということもあり、なにか最後の一歩、深い部分で、女性が観ると感じ方が増す部分、男にはわからない部分があるのかもしれませんが、モノヅクリへの思いが詰まった清々しい一本だと思いました。

起業という力強さ、勢いに溢れていましたが、「そっと紅を…」というような繊細さがもっと見えても良かったと思います。それだけ強さを感じ、元気をもらえる舞台だったということかもしれません。

現代社会の話を通じて女性の強さや優しさを分かりやすく伝えてもらえる作品でした。
ストーリー展開が単純で分かりやすく、ギャグも素直に笑える感じだったので非常に楽しめました。
観劇して、とても爽やかな気分になりました。

このページのQRコードです。

拡大