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カテゴリ:オーディション告知 返信(2) 閲覧(3956) 2017/02/05 20:43
【現時点で公開可能な物語の断片】
----intro
「三十を過ぎて、恋の告白をするなんて思っても見なかった。
ヨレたスーツに就活生みたいなリュックを背負ったみすぼらしい男の、話し声の虜になった。
朝にはアトムみたいだった寝グセが、夜になる頃にはいつの間にか直ってるんだ。いつも。
いつもわたしは惜しいなぁと思う。そしてさびしくなる。
昭和の女学生でもないのに、夜にはバイバイしなきゃいけなかった。
別れ際に見送る、男のどうしようもない笑顔を見て、恋の実感を知った。
こんなに人を好きになったのは、もしかしたら初めてかもしれない。
恋の実感は、鉈のように私の気道を断つ。
彼が独りでわたしを想う頃、私は夫に抱かれている。」
貧困の問題は元号が変わっても悪化の一途を辿り、日本の治安は過去最悪となった。
僕を含め、何かしらの犯罪に手を染めていない男などいない。
ATMがもの珍しい存在となり、自動販売機が街から姿を消した。新聞は戦争の可能性について論じた。
ほどなくして僕は、スマートフォンを持てなくなった。働くのに、生きがいを求める時代は終わった。
そんな時に、彼女と出会った。
海岸沿いを歩いた。長い橋の先には小さな島があり、僕たちはその島を【くろがね】と呼んだ。
乱れた治安と、それに伴う異様な立法が生んだのは部分的な治外法権。
【くろがね】において起きる恋愛の情事においては、一切の不問に付された。
【くろがね】は言わば、「不倫特区」として国民のガス抜きとして機能していた。
「最後の恋だと思っていました。
くろがねのお蕎麦屋さんで食べたおまんじゅうの味を忘れません。
弁財天で投げた賽銭の軌道を忘れません。雨と熱と春を、わたしは忘れません。
忘れませんから、どうか、もう二度と、わたしを思い出さないでください。」
それから3年が経った。
僕は内臓を損傷し、使い物にならなくなった。
そうしてまた、この街に戻ってきた。
友達にお土産を買ってきた。友達の家の玄関を開けた。
ああ、そうか。
あれは僕にとっても最後の恋だったんだ。
恋の実感は癌のように全身に転移する。
空の群青も
春の痛みも
夢の残滓も
君の笑顔も
どうか
ぜんぶ嘘だと言ってくれ
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今回のキコ/qui-co.は初の「恋愛もの」です。
これまでも愛や恋やというものを描いてはきましたが、これを主題においたことはありませんでした。
キコ/qui-co.のメンバーも三人揃っていい年なので、そろそろ大人の恋愛をしっかりやっておこうというのが企画の発端です。
どうしようもない大人が、どうしようもない恋愛に、何かしらの救済を見出すような物語。
救済と言うと大袈裟ですが、イノセントや純愛ではない所に、希望を見出すことができたらと考えています。
そんな子守唄(=Lullaby)のような救済がしたくてこのタイトルです。
リアリティの確保と実験をしながら、表現するのはそこにいる不完全な生き物の穢れた罪。
しかし美しい赦しを。もちろん不倫なんてしてはいけません。しかし、
「不倫したくなる恋愛活劇」
を目標とします。
【演出はこんな感じ】
会話劇を重視します。
ぶっ飛んでいます。
音楽的な要素(生演奏とか)があるかもしれません。
映像を使います。
とにかくかっこいいことがやりたいと思っています。
【求める役者像】
私の台本はよく「難しい」と言われて来ました。これからもそうでしょう。
私は役者のうまいへたがよくわかりません。でもへただと言われるような役者が一番輝いていることが往々にしてあります。
うまいへたは出てくるでしょうけど、
「素直に信じて一生懸命とにかく、やる」
ことが大事だと考えています。
これだけ言うとバカみたいですが、オーディション来てもらって、私と話してもらえば大体わかると思います。
【キコ/qui-co.とは】
演劇グループ。
メンバーは小栗剛、佐藤健士、東澤有香の3名。
ロックンロールさながらの熱さと緻密な仕掛けで観劇者の「鳥肌」を約束します。
キレキレに尖って、ブッ飛んでいる。けど名も無い花を愛でる心を持っている。そんな、人の良い暴走族のようなユニットです。一緒につるもうぜ。
http://www.qui-co.net/
【主宰はこんな人】
小栗剛。茨城県出身。中卒。
脚本家、演出家、俳優、詩人。
2010年、自身のプロデュースユニットとして「キコ/qui-co.」を設立。
サスペンス、サイコ、SF、ホラー、ラブストーリー、神話、コメディ、
ほぼすべてのジャンルを網羅できる緻密な構成力と、それに相反する詩情迸る台詞で、鬼のような脚本を書く。鬼才。
代表作:
「ウラの目と銀杏の村」佐藤佐吉演劇祭2010ゴールデンフォックス賞
「ストレンジ・フルーツ」東京グローブ座プレゼンツ。(増田貴久、南沢奈央出演)
2016年の作品:
「ラット13」@ザムザ阿佐ヶ谷
「Water」(キコ版銀河鉄道)@石巻irori
「平日の天使、その他の短編」@代々木上原ITO.M.STUDIO
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