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ファンタジーのつくりかた

ファンタジーのつくりかた

RABBIT HEART PROJECT

AI・HALL(兵庫県)

2021/07/09 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

題名からは創造のつかない内容。笑い有り、涙😭有り、踊り有りとめっちゃ楽しめました。ミュージカルさも楽しめる構成でした。

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

On7

シアター711(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/08 (木) 19:00

On7の映像と演劇の短篇集。面白かった。
 今回は「ナナフェス」と称して、短篇映画と2本の短篇芝居を上演。2本の芝居を繋ぐ芝居もある。映画『うまれる』は内容も映像もシリアスな作品だが、基本的に映画を観ない私が、なぜ観に行かないかという理由を再認識させられる作品で、クウォリティは高いけど、私のテイストではない。5分ほど換気のためと言いつつ映像機器を撤去する時間を取り、連作短篇『祭の前後』のパート1後に、早船聡の作・演出で『夜会』。俳優(渋谷はるか)・付け人(小暮智美)・その姉(尾身美詞)の音楽劇。巧妙な伏線から、ありえない展開に進み、タイトルに収束する流れは見事だった。『祭の前後』パート2をはさんで、土田英生の作・演出で『座れ!オオガミ』。3人の銀行員(安藤瞳・保亜美・吉田久美)が応援に来たスポーツは…、という、これまたアリエナイ展開だが、微笑ましく笑いが起こる楽しい舞台だった。『祭の前後』パート3を経て大団円的終幕。

「アンネ・フランク」なぜあなたが死んで、私たちが生き残ったの?

「アンネ・フランク」なぜあなたが死んで、私たちが生き残ったの?

MyrtleArts

アトリエ第Q藝術(東京都)

2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かつての新宿梁山泊女優(現役含む)が集う同窓会公演、どんな趣向が...と想像を膨らませていたが予想を上回り、物語の深みに誘われる舞台であった。「アンネ・フランク」という、演劇界でも古典に属する作品を読んでも観てもいないが、そのためか新鮮に物語(実話であるが)を味わった。当時目にしていたはずの梶村女史は面影も覚えてもおらず、ただ太い声に舞台上の風格あり、数年前10年越しで目にした近藤女史も今作では往年の少年役を彷彿させる少女役、言わずと知れた三浦氏は見た目変わらぬ演技でもこの三人では息ピッタリで馴染んでいる。懐かしさと共に、紐帯の力を見た思いである。

ネタバレBOX

惜しむらくは選曲がやや定番過ぎ。終盤のメッセージは言葉に出さなくて良かったか、と(タイトルに絡むので難しい所だろうが..)。
密告した者の事情を戦後、周囲が慮る言葉が吐かれる事になるのだが、、過去の罪を背負う者の内的な事情はその者自身が向き合うべき「個」としての問題、それを「同じ立場なら皆そうしたかもしれない」とは、事実の次元。「だから問題はそこにはなくそのような歴史を辿らない事が大事」といった一般論と並べるのはそぐわなく思えた。恐らく舞台表現の問題として、そこは気になった。(梁山泊ならではの「物語」性の濃さと、相反する要求かも知れぬが..)


ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

Kawai Project

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。こういう出し物はありそうで無かった(というか観なかった)。演じる役者が沙翁と深い縁であるのも要素になっている。全編に流れる「生の終わり」の匂いと併せ、作者の演劇へのオマージュと受け止めた。「ゴドー」的な場面が確か三度訪れるが、何者かを待つともなしに待つ姿とは、究極「死」を待つ姿、言わば人間そのもののありようである、という解釈が窺え、全編においては僅かな挿入シーンに過ぎないが、これをベースに、シェイクスピアの「死」の場面と台詞などのコンテンツが披露される。何度もリフレインされる中心場面は、めしいとなったリア王が召使(実は息子)を案内役に自死を遂げるべく岸壁へ行き「一度死んだ」と思った王がもう一度生を手にする(と解釈する)場面。死地からの劇的な生還が本旨のはずだが、この舞台を通して見ると「人生の総仕上げ」、死の予行練習に思える。誰のか・・シェイクスピアか、リアか、俳優二名か、それとも作者か・・。
俳優両名とも「年輩」であるが、一方の「たかさん」はシェイクスピアカンパニーの元主要俳優で「老境にあって昔とった杵柄をやる」趣向が相応しい、死者役。もう一名の「はるさん」がたかさんを慕い、慮る(車いすを押す=リアと召使のように)関係。俳優自身と役がうまい塩梅で混在し、最後は高らかに演劇よ永遠なれを謳う。
数年前、死色の濃い「ゴドー」を演出した作者が自ら書いた舞台であるが、殆どが「引用」にも関わらず平板にならないのは、戯曲に知悉した作者ならではと諒解。「想像の世界」大なり「現実」、故に舞台の方が現実より大事、との明快な理屈は因数分解したシンプルな数式の如くで個人的にはこれが頂きである。

母と暮せば

母と暮せば

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

念願叶ったり。それでも途中寝てしまった。
畑澤聖悟の台詞、松下洸平の溢れ出るかの演技、富田靖子の佇まいは殆ど完璧と言える世界観で、寝落ちした部分を差し引いても満点を献上。

春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

ENGISYA THEATER COMPANY

シアター風姿花伝(東京都)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

若い役者さん達が、老女達の人生を綺麗に描いた作品という印象でした。死について考えさせられる事が多く、同意できる部分あり、同意できない部分もあり・・ちょっとモヤモヤした気持ちが残りました。
役者さん達は、それぞれのキャラクターを素敵に演じていて魅力的でした。
観応えのある舞台でした。

誰か決めて

誰か決めて

吉祥寺GORILLA

王子小劇場(東京都)

2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/07 (水)

#吉祥寺GORILLA
#誰か決めて
#黒沢佳奈 さんが、これまで観た中でサイコーの好演。娘の姿がクッキリと浮かび上がった。そして、幾つかの障害のある恋の予感と切なさを、線香花火のようにヒリヒリと弾けさせた。そして……綺麗で愛しい女性が立ち上がった。
人は一人では生きられない。それでいて、一人で生きていける力を身につけようとしなければならない。相反するように見える二つのことが、人生の両輪だったりする。
登場する女性が……いや、女性キャストが皆さん魅力的で、何だか羨ましかった。同時に我が人生を寂しく思った。母親役の #石澤希代子 さんの笑顔の奥に潜ませた悲しみや寂しさに胸が痛んだ。
いったい何を見せられているのだろう……というような感覚で、ふわりと軸を掴めないままにいながら、不思議と作品の中に飲み込まれていくような気持ちがして、今までに味わったことの無い感覚だった。
人はみな何かに依存しながら生きている。それに溺れる姿は恐ろしかったけれど、ラストの光景は優しさや温かさも感じて……美しかった。

春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

ENGISYA THEATER COMPANY

シアター風姿花伝(東京都)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

(五感で感じる全部のものは、全部借り物です。大切に、大事に慈しんで...)
この言葉を、今回のお芝居の最大のおみやげとして持ち帰りました。
大切に、あと残りの人生を精一杯生きよう、と強く思った。
咲役の役者さん、暗いテーマのなか、明るく盛り上げてくれました。

何度も可笑しくて、笑いました。貴重な存在ですね。
思いがけないところで、ミュージカルが入り、とてもよかった。
暗いだけにならないように、マンネリ化しないよう工夫がされている。
内容的にいろいろ考えさせられるお芝居だ。尊厳死など、非常に内容が濃い素晴らしい作品だ。

ひとつだけここは、と思ったのは、もう三十分は短いほうがいいかな、と。
作品により違うと思うが、間延びするようになることもあるし、あまり長いと、観ているほうの集中力が落ちる。
ラストは、涙がこぼれた。まだ先のことだが、自分も最期、生ききった、と満足して逝けるのだろうか?
ひとごとではないのですね。なかなか、他の劇団では取りあげることがないテーマを扱っていて、本当に貴重だ。
主演の那須凛さんよかった。
本当に素晴らしい良い作品を観て、満足です。

誰か決めて

誰か決めて

吉祥寺GORILLA

王子小劇場(東京都)

2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/07 (水) 18:50

初見のユニットだが、なかなか面白い作品だった。
 特殊清掃でバイトする高倉は、特殊清掃ならぬ遺品整理を依頼された現場で日記を発見するが、それに書かれていたのはある男の『人間失格』的な生活だった…、という物語。同じ役者が現在と日記の中の物語の人物の両方を演じる部分があり、その違いも分かりやすく、物語的にもそれなりの伏線の張り方で起伏はある展開だった。ただし、無駄と思うエピソードもあって、130分の長さに冗長感があるとは思う。力量ある役者が演じているし、美術や照明も含め、演劇的には充実していたと思う。

 私も含め、チケットの配券ミスがいくつかあったこともあって、ダダ漏れ的に5分押しというのは、ややいただけない。

音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」

音楽劇「GREAT PRETENDER グレートプリテンダー」

フジテレビジョン/サンライズプロモーション東京

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2021/07/04 (日) ~ 2021/07/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原作のアニメは、たまたまTVをつけたらやっていて、2回目からだったが、面白いからそれ以降も録画して見ていた。今回は、その第1回を見逃がした「CASE1 ロサンゼルス・コネクション」(TVの全23回のうち、1〜5回のエピソード)の音楽劇スタイルでの舞台化。休憩20分含めて約140分。生バンドの音圧が嬉しい。

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

Kawai Project

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/07/06 (火) 18:30

面白いけど、思っていたものとは違った。
 2018年に初演された作品を、国際演劇祭に招待されたことで「~インターナショナル・バージョン」として改変して上演したものだが、初演を観てないので改変の内容は分からない。シェイクスピア学者の河合祥一郎が企画し、脚本・演出を担当し「シェイクスピア全40作品から名ゼリフを集めて1本の芝居に仕立て上げた」と言っているが、シェイクスピアでない部分も多い。原型は『ゴドー…』のようだし、メタ演劇的な要素もある。田代隆秀・髙山春夫という演者はベテランだし見応えある舞台を作ってはいたが、2月に観た『テンダーシング』のようなものを予想していたので、ちょっと肩透かし感がある。

半月カフェの出来事

半月カフェの出来事

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2021/06/09 (水) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

映像鑑賞

前作から繋がっている物語。本の暖かみを感じ、舞台美術の荘厳さがある。昨年は多くの劇団が直面した公演延期。こちらも該当しており、人に優しい在り方というか、今の世の中でよりしんみりするものがありました。

ネタバレBOX

オンラインでの視聴でしたが、女性の声が甲高くてちょっと辛い時があった。ただこれは今までいくつか見てきた別の作品でも似たような状況でもあるような。アーカイブ視聴もあるが生放送とも言える状況での音問題、映画とはまた違うジャンルを劇場でない場所で見る環境など。「配信」という現時点の演劇の壁にも思えてきました。コロナ禍で2時間座っている労力はあれど、やはり舞台は劇場で見るのが良いと思えます。
夜会行

夜会行

鵺的(ぬえてき)

サンモールスタジオ(東京都)

2021/07/01 (木) ~ 2021/07/07 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

面倒くさい人々の面倒くさい会話劇。
すぐに傷付くし怒り出す。あまり関わりたくない方々だ。まあ、お互い様(笑)
私にそういう嫌悪感を抱かせたというのは女優さん達の演技が的確であったことの証だろう

目頭を押さえた

目頭を押さえた

パルコ・プロデュース

サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/07 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めっちゃよかったです。全部の役者さんがすばらしかった。びっくりの7~8割男性、年代はバラバラでした。ガッツリ観て汗をかいて、最後は場内が男くさくなってました。演出で別の匂いも漂ってきたのですが。観てよかった、観れてありがとうと思える作品でした。

誰か決めて

誰か決めて

吉祥寺GORILLA

王子小劇場(東京都)

2021/07/07 (水) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/07 (水)

価格3,200円

7日18時50分開演回(130分→実際は開始が遅れて125分か?)を拝見。

旗揚げ公演の「くるっていきたい」、第二弾の「グロサリー」に続く第三弾の本作、前2作から更なる"深化"を遂げた重厚な脚本を、実力派揃いの役者陣が力演!
ビターテイストのハートウォーミングストーリーは、限りなく我が身にしみて痛かった。

ネタバレBOX

今回の役者陣、どなたの演技にも胸に響くものがあり、甲乙つけがたいのだが、敢えて名前を上げれば
見えない我が子と"共演"し、ラストではアッと言わせた
黒沢佳奈さん
良くも悪くも限りなく、"昭和の親父"を体現された
神野剛志さん
のお二人がとりわけ印象に残った。

【配役】
高倉和樹(市役所福祉課→便利屋)/菅原葉介
…平井泰成さん
村上直哉(便利屋の先輩)…魔都さん
森貴史(お調子者の便利屋新人)…榎本悟さん
中川葵(複雑な家庭環境で育った、便利屋リーダー。当人は覚えていないが、市役所時代の和樹を知っている)/菅原紀子(葉介の姉)
…日下麻彩さん
谷崎悠斗(便利屋社長)/菅原英治(葉介の父)
…神野剛志さん
菅原有紀(葉介の母、後に…)
…石澤希代子さん(後半の…までの演技の丁寧な積み重ねに感銘)
竹田杏(葉介の中学時代の同級生。葉介の”演技”を見抜く)
…山下真帆さん(ピンチヒッターとは思えない程、役に馴染んでおられた)
岡本莉奈(葉介の大学時代の先輩)/菅原梓(葉介は知らなかったが、実は血のつながりはない)
…星秀美さん(”岡本さん”も姉の梓も、どちらも観る者の琴線に触れる演技)
福井香織/福井仁美…黒沢佳奈さん
野崎萌(声優志望のコンビニ店員)/菅原翠(葉介の姉)
…森崎真帆さん
菊池翔平(大学での葉介の親友。これだけ想ってくれる友がいながら…)
…宮部大駿さん
永井健司(葉介のルーズショルダーな旧友。後に出版社で再会)/寺嶋拓也(大学の先輩)
…岡野優介さん
母と暮せば

母と暮せば

こまつ座

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/07/07 (水) 14:00

座席1階

 ついこの間の「父と暮せば」に続き、今度は「母と暮せば」の再演。それぞれ広島と長崎と場所は違うが、原爆で命を奪われた最愛の家族が登場し、生き残った家族とかわす会話劇である。「父と暮せば」は亡き父が娘に、そして「母と暮せば」は亡き息子が母と会話をする。死者が生きる者と会話に入る冒頭も、会話から抜け出ていくラストも極めて自然で、それぞれ客席に強いメッセージを届けるという舞台だ。連続しての上演は、井上ひさしの魂というか、こまつ座の平和への執念を体現している。
 医学部の授業に出ていて被爆した息子(松下洸平)。助産師だった母(富田靖子)が陰膳を供える場面から始まる。会話の中では、息子とその婚約者との微笑ましいヒトこまや、息子が被爆した瞬間の様子など、隠されたお話が次々に明らかになる。母がなぜ、助産師をやめていたのか。医学を志していた息子が母に助産師を続けるように説得する場面など、死者と現世に残された者との迫真の会話劇が続く。
 そこには、原爆投下による死亡からは免れたものの放射線の後遺症で次々に死んでいく人たちや、放射線を浴びた者へのいわれなき差別・偏見の場面もつづられる。客席はその会話を聞いて、あまりの理不尽さに怒り、涙する。
 再演ということもあるかもしれないが、役者としての迫力が前回より増しているためなのだろう。松下洸平も富田靖子も明らかに前作より強烈な熱波を発して客席を震わせた。また、二人芝居ゆえの長せりふを難なくこなしていく様子は、感動ものだ。
 終演後のスタンディングオベーションもむべなるかな、である。思い起こすことが今、必要な多くのことを舞台から受け取った。迫力のある、いい芝居だった。こうなると、やはり数年度の再演も期待したいところだ。

ネタバレBOX

緊急事態宣言下ではないので、本日の紀伊国屋ホールは満員御礼だった。マチネの舞台が理由ではないかもしれないが、客席の年齢層は高い。絶対に若者に見てほしい舞台なのだが。
春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

春の終わり〈青年座・那須凜主演!シアター風姿花伝 劇作家支援公演〉

ENGISYA THEATER COMPANY

シアター風姿花伝(東京都)

2021/07/06 (火) ~ 2021/07/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

舞台には、 美しく佇んでいる婦人たちが描かれ、そこに抒情的な説明文が添えられている。そんな絵(人物)画を鑑賞してきた気分である。つまり描かれた婦人たちは立ち上がり動いてこない=長い人生が見えてこないのである。自分の感性が渇いてしまったのかもしれないが、期待したほどではなかった。

物語は現在(70歳)と約50年前(20歳代)を往還し、外見的な老若の違いを見せる。確かに若い女優が素のままの姿で溌溂と老女を演じ、外見的には円背姿勢、ゆっくり、ハッキリ話す口調など、高齢者の特徴を表していた。また若い時代を挿入することで演技の違いを際立たせる。いや逆に、実年齢に近いこともあり、若い時代の方が生き生きと本来の演技を観せてしまう。良し悪しは別にして”演技の力”は観ることが出来た。しかし演じている彼女(老女)たちの人生は置き去りにされ、表面的な物語だけ。これは演技の問題だけではなく、脚本・演出が「女の一生」の過程と終末期を描き切れていないことが原因だろう。

ENGISYA THEATER COMPANYは、「何もない空間に 命の風景を創る」をテーマに役者育成に取り組み公演を重ねているという。演技で言えば、外見的なことだけではなく、「女の一生」その死生観の内面を演じ切らなければ、真の「春の終わりに」ならないのではないか?素のままでも、この先を想像し(それも膨らませ)て老女にならなければ、と思うのだが…。
(上演時間2時間25分 休憩10分含む)【Aチーム】

ネタバレBOX

舞台美術は、中央にブランコ、それとベンチが2つ。前半のみ箱馬がある。色はすべて白であり、どんな人生にも染め(照らし)上げられるようだ。ベンチは、それを動かすことによって時々の状況や情景を描き出す。舞台技術ー照明は単(淡)色をスポットに照射、音響はキャストが自ら歌(「星の流れに」「木綿のハンカチーフ」等の昭和歌謡)い、物語に人生を吹き込むような演出だ。演技は老人時と若い時では立ち居振る舞い、そのテンポの軽快さで観(魅)せる。もちろん衣装も着替える。小道具等は無しでパントマイムで補う。

梗概…小説家しのぶ(那須凜サン)、その友人たちが住む「老女たちのシェアハウス」の物語。しのぶ の独白「死、というものがとうとう私の身に迫ってきている。物書きとしても、一人の人間としても当然そのことについて考えざるを得ない。・・・命の春の終わりをどう締めくくればよいのだろう?もうあまり時間は残されてはいない。」と。人生は自分だけのもの、最期 どう自分の死を見つめ後始末をつけるか、その小説を書きたい。

基本的には現在から過去を回想し、物語は現在・過去を往還するように人生を表現する。併せて自分の孫娘や同居している友人の娘、孫娘との関りを、ある問題・心配事を絡めて描くことで起伏を入れる。

シェアハウスの6人(少なくとも、しのぶ・優子・藤子の3人だけ)の性格や人生の歩みをもう少し具体的に描き、人生の哀歓が見えると良かった。優子は早い段階で病死(以降は霊のような存在で俯瞰)しており、子供を現さず孫が登場する。時間の経過は見え感じることは出来ず、逆に20代と現在(70歳)の間に時間の分断が生じている。

物語が動いて見えないのは、次のようなことではないかと思う。
第1に、シェアハウスに居る6人の老女(優子<古藤ロレナ サン>は早い段階で鬼籍)の20代から70歳に至る過程がほとんど省略されていることから、人生の歩みを描写しきれていない。かろうじて藤子(岩永ゆいサン)が独身を貫き舞台女優として生きてきたこと。唯一の男優・周 役(松田周サン)との恋愛事情を絡ませたことぐらいしか印象にない。後の3人(静佳〈諸藤優里サン〉が愛人、咲〈大竹華サン〉が元国連職員、春子<大地葵サン>が看護師)は、ほとんど台詞で説明。
第2に現在は、孫(例外は春子と娘・玲奈のみ親子)との関りを主にしているため、直接子供の存在を飛び越え、時の経過とともにあるべき家族関係が描けていない。人との関り、その中で生きてきた証ーー喜怒哀楽といった情感を削ぎ落したよう。それゆえ「生きる」もしくは「生きてきた」が希薄で、逞しさのような生活臭がない(第1と同趣旨かも)。美しく纏った人生、抒情的そして感傷的な印象が前面に出ていた公演。
次回公演を楽しみにしております。
夜会行

夜会行

鵺的(ぬえてき)

サンモールスタジオ(東京都)

2021/07/01 (木) ~ 2021/07/07 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ティザービジュアルなど事前情報を見た時に感じた「鵺的っぽさが全然なさそうだなぁ」といった期待値を、180度ナナメ上で裏切ってきた作品。
良い意味でちゃんと鵺的だった。

・「このあとどうなるんだ」というワクワク
・「今すぐ止めてくれ。ここから出してくれ」という、心を引き裂かれるような揺さぶり
・「わかるわかる」という登場人物への感情移入
・「言及されていること、抽象度の高い普遍的なテーマだなぁ」という思考回路へのアクセル

自分の中での「面白いなぁと思う要素」がてんこ盛りになっていた作品。

言語化出来ない感覚的なものだが、世界観というか雰囲気にどんどん引き込まれてしまい、気がついたら「どっぷり浸かれた」演劇体験が出来て、足を運んで本当に良かった。

「対人関係のあり方」を掘り下げる物語と自分には映った会話劇。

劇中で取り上げられた問題の多くが「性的マイノリティに限らない」普遍性のあるもので、「異性愛・ストレート・男性」の自分でも感情移入出来る場面が何度もあった。

登場人物それぞれ、様々なタイプの「他者への間合いのとり方・関わり方のぎこちなさ」を擬人化したようなキャラクターで、「ああ、自分にもそういうとこある」と引き込まれてしまった。

そんな「ぎこちない」人たちが(利己的ではないものの)「よかれと思って」投げ掛けた言動が交錯し、糸がもつれるように進んでいく展開。

「こうしたほうがいい」と他者に行動の変容を迫るのも「よかれと思って」。
「他者を巻き込まず、自分だけで穏便に済ませたい」も「よかれと思って」。

「ありがた迷惑な言動は取りたくない」「人様に迷惑はかけたくない」という姿勢を是する自分(そんな人間関係観を他者にも望んでいる)には、感情が揺さぶられる要素が多かった作品。配信が始まったら何度も視聴したい。

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

七祭〜ナナフェス〜この夏、胸アツ!演劇2本に映画だ、わっしょい!

On7

シアター711(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/06 (火) 14:00

座席1階

チョコレートケーキの古川さんによる「その頬、熱線に焼かれ」以来のオンナナ舞台。「七フェス」と銘打っているから底抜けに明るいお祭り騒ぎかと思いきや、映画は「その頬」にも負けるとも劣らずシビアな内容に少したじろぐ。ただ、舞台の方は、別役実かと思う場面もある不条理劇ふうの作品で、最後は歌やダンスもあって明るい舞台に仕上がっていた。

短編映画「うまれる」と二本の演劇で構成される約2時間の舞台だ。

まず、短編映画。下北沢の小劇場で映画を見るとは思わなかったが、この映画は強烈だ。いかにもありそうなシチュエーションとともに、「うまれる」というタイトルによる、「女」をテーマにしたかなり厳しい内容である。生まれる子ども、いじめで奪われた子どもの命。女には月に一度の出血があり、それは子どもを産むための生理であり、苦しみの末に生まれた子どもが血を流して亡くなる、そして女である母親はー。
この一本だけでもかなり見ごたえのある中身である。

5分間の換気休憩を挟んで舞台となるが、何の脈絡もなく映画から舞台へと移行したかのように見えるが、そこにはやはり、「女」としての血が流れている。青年座の尾身美詞の甲高い声がとても印象的だ。7人がそれぞれ、うまく持ち味を発揮している。

終演後「面白かった」の声が客席のあちこちに出た。「七祭(ナナフェス)」というタイトルの意味はやっぱり少し不明瞭だが、新劇の老舗劇団出身メンバーで作っているだけに、演技の迫力が違う。それは短編映画でも舞台でも違った角度から楽しむことができる。

銀の骨

銀の骨

やみ・あがりシアター

王子スタジオ1(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/07/04 (日) 14:00

ある意味オシャレな芝居に仕上がっていた。
 やみ・あがりシアターの番外公演シリーズの第2弾。多分初めて観る演者の久保磨介の原案を、笠浦が脚本にして演出する。シルバーアクセサリーの店員と技術者を久保が演じ、さまざまな客との対話で紡ぐ70分。対話の相手の性格が浮かび上がる脚本と演出と演者の技術で、物語がしっかりと立ち上がる。オチもなかなかのもので、とても「オシャレ」な芝居だと思った。

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