最新の観てきた!クチコミ一覧

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許し

許し

avenir'e

新宿眼科画廊(東京都)

2024/09/14 (土) ~ 2024/09/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

イタリア人の劇作家であり、avenir'eのメンバーでもあるダニエーレ・レオーニさんによる新作海外戯曲。
いくつかの出来事から一家離散したある家族がミラノの町の片隅で再会、から繰り広げられる75分のノンストップバトル劇でした。
(以下ネタバレBOXへ)

ネタバレBOX

どうしようもない父親VS捨てられた息子のバトルに始まり、かつて妹に手をあげた兄VSそれによって家を出た妹に繋がり、「そういえばあれも」「これも!」と対戦相手がどんどん錯綜してクロスバトルに転じていく。家族関係の歪みや軋轢がガシガシ、みしみしと、シリアスに迫りくる部分もありつつも、フリースタイルダンジョン顔負けの「許す/許すまじ」バトルシーンでは瞬発的に露呈する人間の情けなさや滑稽さに、こちらも瞬発的に笑ってしまう部分もあって我ながらひやっとしてしまったり。会話の積み上げによってバトルにアクセルがかかっていくのも、かと思ったら、ぽつりと長年言えなかった本音が一言溢されたことで急ブレーキがかかったりと、俳優が巧みな分だけそのドライブに相乗りせざるえない感触もあり、まさに振り落とされぬようしがみつくのみ、という感じだった。「そんな簡単には許せない」と「これさえあれば許せたのに」は表裏一体でその瀬戸際を見せられることで、観る者の感情もあちらこちらへと揺すぶられていく。どうしようもない父親を可哀想に思ってしまう一瞬も、そんな父を見限って再生しつつある兄妹の仲を清々しく思う瞬間もあって、自分の中にもたしかにある激しい感情の在処を見破られているような気がして動揺も。
そんな観客に寄り添うかの様にバトルに慌てふためく他者の存在が一人あったことも劇のうねりにおいて重要だった気がする。
文学座公演ではなかなか観られない柴田美波さんの目つきが見られたこともよかった...文字通り人が変わったようだった...!
リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

残念ながらリングはありませんでしたが、場外乱闘をちょっぴり擬似体験。
面白かったです。
追記予定

されどハシクレ!

されどハシクレ!

劇団 バター猫のパラドックス

王子小劇場(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分の知らないゲームの世界を覗き見る・・・くらいの気分でしたが、諸々ありまして追記予定です。

à deux

à deux

うにくらげ

宗清寺(東京都)

2024/09/27 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

27日観劇

るつぼ

るつぼ

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

アーサーミラーの作品の【るつぼ】が気になり観劇した
【るつぼ】は前から知っている作品だったのですごく楽しみにしていました‼︎

元々、人数がそこそこ多い内容なのだが
1人の役者が何役も演じていて興味深かった
特に序盤に出て来た少女の1人が男性が演じていて驚いた
最初は後ろ姿しか見えておらず
普通に女性だと思っていたが
声と顔を見て男性だとわかった

この人は少女役だけなのかと思っていたが
途中からエゼキエル・チーヴァー役のユウキ氏だとわかった

前に見た時はチーヴァーは印象に残らなかったが
今回のチーヴァーは序盤に少女役もやっていたところから
かなり印象に残る役だった

中盤は法廷側で悪役っぽさが強い役だったがハマり役でとてもよかった

後半の少し心が動き始めたところにもウルっと来てしまった

主役を演じていたお二人の演技も素晴らしかった
ジョンの葛藤やエリザベスの葛藤
お二人の演技に賞賛を与えると共に
舞台で泣かせてくれた事に感謝したいと思う

他の役者も演技経験が少ないんだろうなと思う方は
たくさんいたが
皆さんの愛を感じました‼︎

力を合わせて素敵な舞台を作り上げた事に賞賛を与えたい‼︎

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)
大正4年、北海道で実際に起きた事件をモチーフにされたとの事ですが、よくぞここまで見応えある作品に創り上げたものだと感動!
動物パニック映画に通じる恐ろしさは舞台で体感すると、生で感じる防衛本能なのか注意力(集中力)がグングン上がってのめり込んでいくこと必至
登場人物に対しての感情移入にも熱が入って一分一秒に息を呑む展開
野生の脅威、それがどんなに血生臭く残酷な物語であっても、やっぱりラビット番長さんが描き演じられる人間ドラマは秀逸
ただ「怖かった~」の枠に決しておさまっていない
恐怖しながらも人間ドラマとしての完成度の高さに感動したのでした
やはり語り継がれている名作で間違いなかった
これで自分も語り継ぐ事ができる一人になれたのはとても光栄だと思いました

上海バンスキング

上海バンスキング

近畿大学舞台芸術専攻33期生 演劇

八尾市文化会館プリズムホール 小ホール(大阪府)

2024/09/27 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★

コスパ タイパを考えれば右にでるものはない ミュージカル好きには+@で、三時間とロングタームですが楽しめました‼️

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ラビット番長は将棋ものばかり観てきたが、こういう世界もあるんだと驚く
大正4年に北海道で起こった日本最大の獣害事件である三毛別熊事件を下敷きにしている
巨大な熊に次々と襲われる村の人々の恐怖
惨劇の有様はなかなか生々しくおどろおどろしかった
下手なホラーよりはるかに背筋が寒くなる
途中失神した観客がいてしばし中断
この恐るべき自然の驚異に「差別」「侵略」といった社会派的要素が加わる
キャストは皆好演だったが、子役二人が可愛い
今回も松沢英明がいい味を出していた
元キーチェーンの北澤友梨枝の「死に方」も凄かった
障子が実にうまく使われていて、その開け閉めで場面の切り替えもスムーズに行われていた

Letter2024

Letter2024

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/10/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Letter2023も観劇しているが、劇場(渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール)や演出が違うと 同じ脚本でも違ってみえ 印象も異なる。勿論、Letterの意味するところを伝え続けることは大切。同時に舞台としての面白さを味合わせてくれる、そんな意味ある公演だ。

物語は、現代と太平洋戦争時(1945年8月)を往還し、<命とは> を戦時中と現在の若者の考え方や意識を比較しながら紡いでいく。命は自分のものであり、大切な人を守るためのものでもある。今から当時を客観的に見れば、戦争(特に特攻)など馬鹿げたことに思える。しかし、後の時代から正論ぶったことは 言えても、当時の意識はその時にしか解らない。それを どのように描き現代に繋げるかが肝。特攻前夜、隊員と大切な人との別れの場面(手紙の朗読)は、心魂が揺さぶられる。現実は<おかしい>が、それをまともに言えない、その思想教育が怖い。
(上演時間2時間 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、段差を設え中央に平台。上手下手に箱馬が置かれている。上演前は平台の上に被せモノがある。舞台全体は大きなスペースを確保し、アクション等をダイナミックに観(魅)せる。場面によっては 居間に卓袱台等、時に戦闘機の操縦席を設置する。
照明は、平時と戦闘場面で色彩を変え 、平穏(暖色)と緊迫(朱色=血、白銀=閃光)を表す。音響・音楽は戦闘における機銃音が緊迫感を生む。ラストのテーマ曲「大切な君へ」が余韻を残す。

物語は地域の祭りの夜、明日は結婚式というカップルの他愛ない会話から始まる。その夜、夫になる青年が凶刃に倒れ、2024年から1945年8月にタイムスリップする。そして1945年から2024年へ届いた一通の手紙、そこには ある人に宛てた切ない恋心が書かれていた。 現代から太平洋戦争終戦間近にタイムスリップした青年の戸惑い、その時代を懸命に生きようとした同年代の特攻隊員の姿を描いた群像劇。

国(大切な人)のため 夫々が思う心情を丁寧に紡ぐ。例えば 特攻隊員や予備員たちは、妻や許嫁への情愛を語り、ハーフの特攻隊員は社会から差別され蔑まれながらも、日本国民として 妹を愛おしく思う気持など。タイムスリップしてきた青年は、当初奇異に思われていたが、段々と特攻隊員たちと打ち解け 友情を育んでいく。
特攻を志願した隊員が覚悟を決める場面は、表面上は家族や恋人、仲間を心配させまいと平静を装ったり、冗談を言って場を和ませている。しかし、心中は不安や恐怖がつきまとっていたと思う。一番人間らしい感情であり、それをどのように表現し伝えるかが難しい。それでも隊員たちの心の内(声)をもう少し掬い上げても好かった。

ラスト、結局 青年は特攻隊員たちを助けることが出来ない、それどころか自分も戦闘機に同乗し敵艦に突っ込む。それがおじいちゃんになる人を救う方法でもあると。タイムスリップした当初、特攻隊員に向かって 命を粗末にするなと言っていたことと矛盾。また 脱走を図り殺された隊員から、信念は曲げるなと激励されていたにも関わらず変節してしまう。現代にも通じる同調圧力のような抗いきれない描き方であるが、やはり特攻という行為には納得も共感も出来ない。

卑小なことだが、戦時下における衣裳にしては、華やかな色彩の着物や派手なもんぺ姿に違和感を覚えた。
次回公演も楽しみにしております。
リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/27 (金) 15:00

帰国後10数年ぶりにお笑い系舞台を拝見。始まりは大声上げてのドタバタ喜劇と思いきや、ストーリー性のあるお笑いで楽しめました。途中話の急展開に唐突なところもあり、筋書つくりに苦労した跡もうかがい知ることができました。役者さんの個性が生かされていましたが、あともう少し笑いの大きな波が欲しかったというのが本音です。

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

滅茶苦茶面白い。
タイトルだけでずっと観たかったのは今作と鵺的の『悪魔を汚せ』。全く情報を入れずに観たのが正解。ラビット番長は再演を度々行なってくれるのが本当に有難い。
ホラーなのかと思っていたらガッチリした人間ドラマ。改めてチラシを見るとよく出来たイラストだ。まさにこれ。場面転換に使うのは土間と板の間を遮る障子戸、左に3枚右に3枚。

北海道の北西部苫前(とままえ)郡を旅行していた2組の大学生カップル(宇田川佳寿記氏&鈴木彩愛さん、金田央〈ひろと〉氏&青山真梨さん)。渋滞を避けようと脇道に入ったところホワイトアウトに遭い車の中で暖を取る。ガソリンも底を尽き救助を呼ぼうと外に出、一軒の建物の灯りに辿り着く。廃墟のような小屋には老人(松沢英明氏)が独り、一晩泊めて貰うことに。「何でこんな廃村に一人でいるのか?」皆が不思議に思う。「それを伝えるには長い昔話が必要だ」と老人はゆっくりと話し始める。時は1915年(大正4年)、日清日露戦争に日本が勝利し第一次世界大戦に参戦した時代の物語。

ラビット番長オールスターズ、皆適材適所に適役でハマっている。
鈴木彩愛さん、江崎香澄さん、流石の見せ場。
子役の酒井碧葉君、大崎嬉(うれい)ちゃん、プロの仕事。
MVPは傲岸不遜の陸軍隊長・宮沢天氏。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

一人、女性が途中退席したが駄目な人には本当に駄目な話なんだろう。かなりグロテスクなスプラッター・シーン。小道具の完成度には感心。見せ方も練りに練っている。サウンド面もガッチリ。スピーディーな障子の張替えも見事。この劇団の最大の武器が映画のようなカット割り。パッパッパッと絶妙に切り替わる。

物語は三毛別羆(さんけべつひぐま)事件。口先から後ろ脚の踵までの長さが2.7メートル(立てば3.5メートル以上)、体重340kgのエゾヒグマが開拓村を襲い、2日間で死者7名重症者3名を出した。日本史上最悪の熊害(ゆうがい)と呼ばれている。吉村昭が書いた小説『羆嵐(くまあらし)』が有名。木村盛武が調べて著した「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」が基になっている。味を覚えた人間の女性の肉だけを執拗に狙い喰らう化物。

当時、村長の息子だった大川春義(6歳)は幼いながらにヒグマに対し激しい復讐心を抱く。「殺された村民一人につき10頭のヒグマを殺す」と犠牲者の霊前で誓った。マタギになり、1977年(昭和52年)、102頭目のヒグマを殺したところで引退。8年後、事件の70回忌法要の記念講演の壇上で突然死。

思い出すのは千葉真一の初監督作品、『リメインズ 美しき勇者(つわもの)たち』。人食い熊に復讐を誓ったマタギの物語。JAC創立20周年記念作品でメチャクチャ気合が入ったアクション、濃密な脚本、大傑作になる筈だったが・・・。肝心の熊のシーンがモロ着ぐるみでどうしようもなかった。いや、これ何とかならなかったのか・・・。
トモダチガーデン

トモダチガーデン

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2024/09/27 (金) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西の小演劇でもこれほどスタイリッシュでセンスがよくカッコいい劇団を僕は知らない。最近見に行けなく久々だったので待ち遠しかったり、また以前と変わっていないかなど不安感もあった。

ところが見てみると、やはりいつもの大熊演出。プリズム多様といい、今回はウエハウスのグリーン版で、ものすごいことを舞台上でしてしまう。もう息をのむ展開。みんなようやるわあ。あれは若くないとできないなあ、ものすごいものを見せつける。

劇は、メルヘン調の童話風で、女の子ガーデンでの出来事、、。これが大熊だから、少々ホラーにもなる。どいうやって練習するのかな。セリフは覚えられるけれど、あのパフォーマンスは練習するしかない。運動神経の悪い人はどうするんだろうとか、ファンだからか、心配までしてしまう。

いつもなかなか取れないチケットが今回簡単にいい席で獲得できうれしかった。しかし会場に入ると、なんと半分も入っていない、平日午後3時、だからか?  こんなに面白いのにもったいない!

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

しっかりのめり込んで観た2015年の作品、ストーリー知っているはずなのに今回は前回より、怖さというか血生臭いと言うか"妙に恐怖映画的な雰囲気"が漂い、障子越しに血の匂いがドクドクと溢れ出しているような感覚がした。ほんの少し覗く断末魔の見せ方も上手過ぎた。加えて、あの熊の咀嚼音!あまりの生々しさにちょっとウっとなってしまった。しかし、恐怖だけでなく切なる人の想いを感じさせる辺りは井保三兎ならでは!また、小劇場あるあるになるが、役に対してキャストの年齢がかけ離れていて"これは無理があるなぁ"と思わされることが度々ある。この舞台ではそういう違和感は感じられなかった。長年同じ舞台を踏んでいるキャストたちのチームワークは半端なく流れも良かったと満足させてもらった。やっぱりラビット番長は外せない!

いつかのもの語り。

いつかのもの語り。

BB stage

萬劇場(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演出なかなかよかったです。ただ、ちょっと話がフォローしにくかったかな…というのがありました。自殺の動機もイマイチということもありちょっと「うーん…」というのがありました。あと、どうでもいいことですが、毎度思うことですが、萬劇場はほんと音響がいいですね。ほとんどライヴハウスですね。出版編集者役の女優さんの地声が大きいこともありますが、彼女の声が大きすぎて「もしかして1人だけマイク使ってる?」と思ったほどですw 

白魔来るーハクマキタルー

白魔来るーハクマキタルー

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

ノワール系じゃなくてホラー?

ネタバレBOX

と思いきやノワール。
おだやかに始まり、進む。
おばけ屋敷的演出へ。
熊撃ち名人のバックグラウンドが明らかになるあたりから急激に演劇的な面白さが上がる。
最後は思いっきりノワール。

普段のラビット番長のほうが好きですが、これはこれで面白いし、好きです。
The Human Condition

The Human Condition

人間の条件

アートスタジオアイムヒア(神奈川県)

2024/12/07 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了

実演鑑賞

「いらない」と、思われたことはありますか。
「いらない」と、思ったことはありますか。
本作のキャッチコピーである。

人間の条件『The Human Condition』は相模原障害者施設殺傷事件が題材ということで観る前からきちんと受け取れるか、耐え切れるかの不安もあり、かなりの覚悟で観劇を決めた。この事件を扱う限り問題作にしかならない、ならざる/せざるをえないという気持ちがあったし、そういう意味ではやはり問題作だった。

ただ、思うところやきついことも沢山あったけど、「一人の男の思想と罪を糾弾し、許さないとすることだけではこの事件は終わらない、終わらせてはならないのではないか」、「その思想や罪と果たして自分は無関係だろうか、社会は無関係だろうか」という視点から考えて、考えて、そして応答することなしではこの先の劇作に向かえないという思いの片鱗を端々にみた。上演にあたって膨大なステイトメントが発表されていたことも影響していると思う。いつもの観劇だと、そのことは上演ではなくその周辺情報の力でともすれば劇の強度の評価は損なわれたりするのだけど、この題材を扱う本作においては全てが必要で連動しているものとして私は捉えた。

カンパニー名とタイトルが同一であることが示す通り、本作以前と以降で劇団や劇作家としての在り方も変わるのだとも感じました。

作品が与えるショックを鑑みて上演前には入退室自由のアナウンスがあり、植松死刑囚の思想や言動をなぞるシーンでは私も心身への負担から一時退室も考えたけれど、全編観た今は、少なくとも今は必要なシーンであったように思う。直接的な描写を避けた「配慮」ともとれる演出もあって、そのことを被害を受けた人や遺族に対する姿勢として受け取りつつ、それが同時に観客へ配慮でもあることから色んなことを考えさせられたりもした。

カンパニー側からのアナウンスは丁寧にされているのですが、劇場の客席のつくり上、なかなか途中・一時退室する勇気が出しにくいかもしれない。だけど、そこは本当に誰しもに無理せずに観てほしいし、そういうことがどんどんされていくこともまたこの作品を通じて目指す社会の在り方なのではないかとも感じた。

あと、私は人間の条件の持ち味とも言えるドラスティックな劇中音楽の持ち込み方が本来はとても好きで、今回も際立っていたし、必要な箇所もあったのだけど、激しい音楽がドラマの盛り立てを手伝わざるをえない部分もあり、題材が題材だけにそのあたりのバランスはかなり悩ましいところだなという気づきもありました。
まだ全然頭も心も整理がついていないけど、観たということを残しておくべきだと感じたので、まとまらないままですが書きました。

※"ネタバレ"や"満足度"というものを本作に持ち込むことに抵抗があるため、ネタバレBOXの使用や満足度の設定は控えます。

リング・アウト

リング・アウト

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
物語は、人の心情を繊細 かつ大胆に描き、笑い 泣き 笑いと観ている人の感情を揺さぶり続け 飽きさせない。男がアクシデントで失神し、目覚めると何と20年前の景色が広がっていた。そこで何を見聞きし、伝えたかったのか。客席は、爆笑したかと思えば啜り泣きがあちらこちらで聞こえる。

「A.R.Pがお届けする異次元タイムパラドックスの新世界!」という謳い文句、その面白い発想に感心する。単なるタイムパラドックスものなら、他公演でも観ているが、本作では 更に異次元という捻りを加え興味を惹く。巧いのは大胆な描き方、場面の繋がりを描くのではなく、語りで場面間の橋渡しをする。それによって アップテンポだが丁寧な紡ぎになっている。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 

ネタバレBOX

素舞台、周りはARPの英文字が並んだキープアウトのようなイエローテープで囲まれている。場面に応じてホワイトボード等が搬入される。また客席の一部を特別リングサイドに見立てている。

物語は、主人公 鮫島が2024年9月23日から2004年9月23日へ異次元タイムパラドックスして起こるドタバタ。そして20年前に落雷で亡くなった妻と不思議な邂逅をする。生前に伝えたかった事、第1に 色々ゴメン、第2に 娘を産んでくれてありがとう、そして一緒(結婚)になってくれてありがとう。本当なら 生きているうちに言いたかったがことが素直に言えた。この件が物語の見せ場<肝>であろう。
プロレス団体WPWの看板レスラーの鮫島は、男手ひとつで娘を育ててきた。その娘が鮫島の後輩レスラーと結婚しようとしている。勿論 父 鮫島には内緒である。どのタイミングで彼を紹介しようか、その画策が面白可笑しく描かれている。

亡き妻の20回忌法要、そして所属団体の経営危機、色々なことが重なり、そのドサクサに彼を紹介しようと…。しかし或るハプニングで鮫島は失神し意識は20年前に飛んでしまう。そして何故か妻の意識が自分の体に入り込む。同じ頃、WPW創立20周年で一大イベント(10月6日)を催そうと、しかも 倒産寸前でもある。単にタイムスリップしただけではなく、体と意識が入れ替わるという異次元ハプニング。心療内科でも対処出来ず、超次元研究所なる研究施設まで出てくる。色々な場面が次から次に現れるが、それを語り部によって簡潔に説明し場面を繋いでいく。そのため話と話の繋に混乱は生じない。

娘は彼氏を紹介して結婚出来るのか、鮫島の体と心は元通りになるのか、無事にイベント試合が出来るのか、WPW団体は存続できるのか等、関心と興味を惹く出来事をちりばめる。それを面白可笑しく、そして涙を誘う観せ方で紡いでいく。一部の客席を 劇中観戦用の座席に見立て、対戦相手をそこへ投げ飛ばす豪快さ。まさに色んな意味を込めてリングアウトを使用した公演。
次回公演も楽しみにしております。
るつぼ

るつぼ

演劇ユニット King's Men (キングスメン)

座・高円寺2(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったと思います。

されどハシクレ!

されどハシクレ!

劇団 バター猫のパラドックス

王子小劇場(東京都)

2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 「誰も知らない」という映画は御存じだろうか? 切り口は全く違うものの今作を拝見しながらこの映画のことを思い出していた。(追記後送)

ネタバレBOX

 板上は奥に2F 部分を設け下手階段は板地部分から下手に延びた階段を上がり踊り場で右上に延びた階段。上手階段はそのまま2Fへ上がれる。2Fを支えるようにホリゾント側及びその手前に壁を設けこの壁と壁の間が通路になっている。
 オープニングで登場するのは明天前は結界でも張るような仕草を見せる男、素早く部屋の出入口、窓等を封印するかのようにテーピングすると直ぐ去る。物語り自体はゲームに登場するキャラクター・主役級、背景の名もなきキャラを構成し台詞ぽ無いキャラ・モブ等。後者の内ハシクレと呼ばれる者だけが主役級と対話可能であるが、他の者には彼ら2人の対話はテュゥルルルルという具合にしか聞こえないので一般モブは2人との対話も不可能なら対話内容を理解することも不可能である。
ところでどうやらこの物語の舞台はゲームとしてずっと機能していないらしい。ゲーム内の物語と外界と通じるゲーム機との間に出来した齟齬や様々なバグが絡まり合う中でゲームと現実が時に一体化してしまう世界での、とある状況を映し出している。根本的に不安定なので決して安息という状態を基礎とはし得ない。そんな社会に追い込まれた者(最弱者)の余りに痛ましい生涯を描いた物語なのだ。というのも主役級が待つヒーローは永遠に登場しない為、物語が始まることは在り得なかったのだ。この状態に閉じ込められたキャラ達は総て一応給料や社会保障等は出ているものの為すべきことが何一つ無いまま無為に過ごしているのである。永遠と見紛う退屈の中で。
夜はやさし

夜はやさし

DANCETERIA-ANNEX

大倉山記念館(神奈川県)

2024/09/23 (月) ~ 2024/09/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/24 (火) 19:30

よかった!4人で繰り広げられる会話によって1人1人の想いが前向きに変わっていくドラマ、脚本の素晴らしさに感動。選曲も良し。
どこか懐かしく、あったかい日々を思い出しました。

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