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AI懲戒師・クシナダ

AI懲戒師・クシナダ

株式会社CREST

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/04 (土) 19:00

 笑いあり、ラブ???要素も多少あり、シリアスあり、殺陣あり、感動ありのSFクライムサスペンスで、息もつかせぬ展開で、先が読めず、ドキドキハラハラし、思わず食い入るように見てしまうほど、劇世界にのめり込み、気がつくと、感動していた。

 物語のそれぞれのキャラクターが個性的で印象に残りやすく、特に主人公の天才ハッカーの女の子櫛名田サホと物語の中心人物たちはアクが強く、それらを演じている俳優たちの迫真の演技と相まって、魅了された。

 また、主人公の女の子櫛名田サホの過去が劇中で段々と明かされてゆく展開、サホが自身の過去に向き合うこと、ICMAになることで大好きなAIを駆逐する側になることを思い悩み葛藤し、自問自答し、自分と向き合い、途中諦めそうにもなるが、挫けず、前へ進もうとする非常に泥臭い人間らしさにグッときて、共感し、感情移入した。そして、サホの過去とペンダントの秘密の関係性や、事件の黒幕とサホの意外な関係性、テロ事件に直接関係していた凶悪暴走AIなど、複数の話が複雑に絡み合い、サホの仲間をも巻き込み、物語は謎が謎を呼ぶ複雑で緊迫していて、サホの出自さえもわかってくる壮大なSFクライムサスペンスで、手に汗握る展開に、どんでん返しの連続に振り回され、その事件やその真犯人、街の仕組み自体の伏線の回収の周到さのあまりの鮮やかさに目を見張った。

スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!うーん、理屈ではわかる気はするのだけど、それで大丈夫なの??と思ったりもして(笑)。舞台下手のスクリーンには親切な解説が投影されるのですが、読んでいる暇はない。いや、読まなくても良かったのかなあ。

さいはての街の塵の王

さいはての街の塵の王

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

個性あふれる役者さん達の面白い、そして考えさせられる劇だったかと。

スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

予想外の青春学園ものだったが、オカルトなどの要素が入りかなりひねっていた
途中投影される様々なオタク的用語の解説が面白かった

スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2021年冬…高校部活(SF研)を通して心の成長を描いた青春騒動記(喜)劇。恋愛の噓と本当、その虚実の駆け引きに怪異を絡め、SFの雰囲気らしく纏めた佳作。
「本当にあんたは、面白いね」は、ヒロインが主人公に向かって言った言葉。この公演も台詞同様に面白かった!
(上演時間2時間5分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、斜めに設えた板上にドアや窓を思わせる枠組みを吊るしたシンプルな造作(SF研 部室の設定)。上演前や薄暗い照明時には、枠にある電飾(点灯)が美しくもあり、少し妖しげ。下手奥にスクリーンがあり、劇中でSFに係る専門用語が発せられると、スクリーンに解説が映し出される。その解説文も難しいが、何となく言いたいことは解る。

物語は、SF研に所属している高校1年生の善雄善雄さんが先輩(2年生)の太田ナツキさんに恋心を抱き、何とか付き合ってもらおうと奮闘するが…。部活がSF研ということから専門用語が多く飛び出すが、(恋愛)心理や行為に絡めた用い方で、説明にあった「『科学』では定義することができない『不可怪』を再定義する思弁、熱弁、詭弁の数々。」は、告白時に用いた手法や行動そのもの。心は科学で説明しきれず、青春期の熱に浮かされた恋愛物語、それを怪異という視覚に捉えられない事で表現しようとしている。

主人公の善雄善雄さんの テライ と ケレン に満ちた表現の可笑しさ、ヒロインである太田ナツキさんの嘘か本当か曖昧で、思わせぶりな姿に翻弄される。2人の心情を中心に同級生や先輩、さらにはSF研顧問や保健室の教師を登場させ過去・現在・未来という時の流れを形成する。あくまでSF領域を逸脱させない巧みさ。登場人物一人ひとりを丁寧に描き、それぞれが抱えた どうしようもない 思いを救い上げる。しかし深刻に描くのではなく、あくまで軽妙さは失わない。

「これからが、今までを決める。」という決め台詞。善雄善雄さんが書いていた日記が未来ではベストセラー、記載内容が現実になるのであれば、噓の記載は正さなければならない。漫画の「未来日記」(サバイバルは別にして)のイメージを持たせる場面ーそれが居る筈のない妹・藤本海咲さんの不思議な存在と行動。青春期にある傷つきや悲しみ、もしくは喜びといった物語は容易に作れるかもしれないが、そこには既視感が付きまとう。それを出発点(前提)にし、すでに描き尽くされた物語にせず、その先の(現在のSFが将来、科学的に解明するような)新たな作品作りを目指しているようだ。
次回公演も楽しみにしております。
太陽は飛び去って

太陽は飛び去って

Ammo

サンモールスタジオ(東京都)

2021/12/02 (木) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良い時間でした。女性が生きにくい時代背景で非常に考えさせられました。役者さんとても良いお芝居だったと思います。次回作楽しみです。

AI懲戒師・クシナダ

AI懲戒師・クシナダ

株式会社CREST

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

開場してから舞台上にて役者さんがUPし始めてー
いろいろと観客と会話したりとー開演前の温めはGoodです
ミカゲ会長役の星守さんのUP中のシューズは
底に猫の肉球マークがあるそうで・・・(^-^)
・・・・おっちゃんもソックスなら肉球マーク付き持ってましたわ・・・

ただ劇中にて作品の世界観説明などは無いに等しく
説明は よく読んでからの観劇を奨めます

ミニアフタートーク付で約2時間強の作品=休憩なしっす

う~ん なんかレトロな感じのSF設定は
好みのド真ん中であり充分に楽しめました~♪

ネタバレBOX

基本 白系の舞台作りで
映像投影しての雰囲気が縁取りと白・緑・赤と
何ともマトリックスな感じのワイヤーフレームとかで出てくるデス
レトロ感が何とも良いっす(^-^)

悪役のらしさに
主人公側の若さっぽさとか
ラブコメ要素とかも上手く織り込んでたかなー
ギウス役中本氏は長身と長髪の存在感が凄かった
=某漫画で柱役とかハマりそうですねー
(何柱かにするかは各人の御想像におまかせします)

演出さんの言うにはAIさんは
某漫画のスタンドっぽくとかーあったらしかったが
あまし主人公の傍には立ってなかったかなぁ

交通管理AIさんの役どころが
なんか旧作映画トロンの保険作成プログラムさんと被ったかねぇ
そういや映像表現もトロンみたいな感じに思えたかしら
新作というか続編はダメダメでした・・・
ゼーガペインに負けてるー

世界観的には日本人がイレブンとか呼ばれていそうな感じのなか
主人公が持つペンダントや出生の秘密に迫りつつ
自分の住む地区を独立自治区にして頑張ってく=続くかも
と思わせる展開でした

(仮面さんのゼロワン(=おもろうなかった)のAI話よりも分かりやすくてよかったわ)

舞台の奥の2階のトコとか
衣装とか見せ方も好きな部類デス

こう褒めてると
やぱしOPで先のシーンやらずに
作品世界の解説とか世界観は舞台上でして欲しかったかなぁ~と
レビア・マーベリックを思い出しつつ・・・
電脳コイルってのも・・・・(^-^;)


主演・天才プログラマーの少女クシナダサホ役に、元NMB48の女優・太田夢莉、 謎のハッキング集団・ SUSA のリーダー武藤ギウス役に、パフォーマンスユニット『円神』のメンバー・中本大賀を迎える。

『AI懲戒師・クシナダ』を創作するのは、 NHK土曜時代ドラマ『大富豪同心』シリーズ、 『明治開化 新十郎探偵 帖』など時代劇から、 3DVR『攻殻機動隊 VIRTUAL REALITY DIVER』の台本執筆まで幅広く脚本を手がけ、 近年は英国ウェールズなどでも演劇活動を広げる脚本・演出家の伊藤靖朗(舞台芸術集団 地下空港)。 寓意に満ちた近未来の物語を描く。そして音楽はアニメ『曇天に笑う』やドラマ『破獄』、『東野圭吾・手紙』など数多くの劇伴音楽を手がける作曲家・福廣秀一朗が担当する。

作品は第三次世界大戦後の近未来を舞台に、天才プログラマー少女・クシナダサホが、AIを巡る人類の危機に対して学園の仲間達と共に立ち上がる冒険SF活劇。演出ではプロジェクションマッピングを活用しながら、ポップでクールな世界観を創り上げる。

BY スパイス さんの宣伝からですが・・・
↑こっちの方が世界観わかりやすいぞ!
あたま山心中 散ル散ル、満チル

あたま山心中 散ル散ル、満チル

狂夏の市場

狂夏の市場劇場(兵庫県)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

Cチームを観劇★兄と呼ばれる男は兄なのか?妹と呼ばれる女は妹なのか?病気なのは妹のみか?もしや兄も?物語が進むに連れ解明されて行くどころか益々謎が深まっていく蟻地獄的魅力を感じるお芝居でした☆一筋縄で理解出来ない分様々な解釈が出来るんで感想を言い合いたい作品ですネ♪武田操美さんと川本三吉さんの表現が凄まじく感情の起伏がハンパなく難しい会話劇をお二人の技量でグイグイ引っ張って行く姿はもはや感動的ですらありました☆

シャンソマニアII~葵~

シャンソマニアII~葵~

花組芝居

あうるすぽっと(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

日本の古典を素材に舞台を作ってきた花組芝居の新作は、シャンソンの名曲に乗せて、源氏物語を舞台に乗せるという趣向である。十数年前に桐壷の部分をやったことがあるという。
今回はタイトルにあるように主に葵上が出てくる源氏物語の初めの名場面が次々に、歌に乗せて舞台で演じられる。花組芝居独特のステージで、ノーセットの舞台の奥には三人のコンボの楽団。その前で、羽織袴で統一された衣装の十五名ほどの俳優による踊りと歌が繰り広げられる。歌はいずれも、昭和のころには流行った懐かしいシャンソンの名曲ばかりで、歌詞は物語に合わせて加納幸和が書いたものだろう。単独唱もあれば、掛け合いになっているものもある。
花組芝居はこういうアレンジはうまいもので、以前「義経千本櫻」名場面をほぼ3時間ほどにまとめて見せてくれたことがある。なかなかの名脚色でこの手でかなり取っ散らかっている源氏物語の名場面集も出来そうだが、歌舞伎や舞踊の名作と違って、今回は同じ古典でも散文である。ずいぶん古典の和歌や本文を取り入れているが、すんなりと観客の腑に落ちない。そこを補うのがシャンソンの情緒性、物語性で、という企画意図はわかるのだが、それなら、歌が今少しうまくなくては。(劇場が大きすぎるのか?)
踊りは一斉に動かす振付の方針が決まっていて、バックダンサーの役割を果たすが、個々の役の俳優が個人で歌うシャンソンになると、かなり苦しい。ことに若い俳優陣はもともとシャンソン経験が乏しいからシャンソンの味をどうして出すか解らない有様で、前半六条御息所が出てくるあたりまで舞台が落ち着かず、バタつく。後半になるとベテラン俳優が軸になってそれなりに纏まってくるが、そこへ行くまでに歌で見物う掴まなくては企画が活きない。1時間50分。
かつて「ショーガール」というアメリカのポピュラー曲で話をまとめる二人芝居のショーが大ヒットしたから、シャンソンでも出来ない筈はない。筋も歌も借り物で異文化の混合だが、そのいかがわしさが何か新しい現代的な興行モノになるかもしれない。しかし、まずは歌だ。


太陽は飛び去って

太陽は飛び去って

Ammo

サンモールスタジオ(東京都)

2021/12/02 (木) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/04 (土) 14:00

劇場に入り、席に座るとともに音楽と舞台美術の感じで昭和初期に誘われた。
登場人物の各々がとても際立っていて面白かったです。

ネタバレBOX

中山環の芯のしっかりした聡明な女性像が素敵でした。
The Merchant of ZIPANG

The Merchant of ZIPANG

劇団五期会

ABCホール (大阪府)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

関西の名劇団。劇団員数も多く、いつも力作を届けてくれる。そして今回は、、。

シェイクスピアのあの有名な「ベニスの商人」の日本版。といっても、そこは五期会、かなりアレンジしたコメディ劇にしつらえた。何といっても、中世の時代に物部氏と蘇我氏の葛藤が設定されているのでユニーク。脚本も超長場だが最後まで丁寧な進み方で飽きない。本当に面白かった!

俳優陣もみんなカッコよく、舞台で見栄えする。今回は特に衣装が素晴らしく、見ているだけで楽しい。

こういう演劇の基本を土台に、常に演劇を追及している劇団は大阪でも稀有な存在である。次回も期待する。

咎灯の環

咎灯の環

劇団ZTON

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/04 (土)

伝説と言うか呪いと言うか、繋ぐがキーワードで悲しい物語でした。
キャラの無念さが、悲しいのだけど、なぜか、かっこよく感じました。
最後のシーンは、怖く感じました。
お芝居観られてありがとう。

さいはての街の塵の王

さいはての街の塵の王

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 この小屋の板はちょっと変わっていて正面と正面下手側に客席方向に突き出すような小さな板が延びているが、今回用いられるのは正面の板部分のみである。下手側側面、上手側側面はシンメトリーになっており壁面には鉄格子の嵌められた窓。ホリゾントのほぼ中央に大きな窓枠があり窓枠の奥にスペースが設けられている。その上手に出吐け、側壁と正面壁との間にも出吐けが一カ所ずつ設けられている。総ての壁の表面の凡そ下半分程は厚くパテが塗られたような様相を呈するが、これは塵が堆く積み上がった吹き溜まりのような印象を与える。即ち劇空間そのものが、この精神病棟が様々な人々の嘆きや念の集合によって形成された時空を場として形成していることを示唆していると考えられる。三つの壁以外はフラットなスペースだが、必要に応じて多くの箱馬が様々に必要な物に化す。(追記終了)

ネタバレBOX


 役者の衣装は、塵の王が黒、他は総て白系である。この色の区別から塵の王とはサタンの仲間との印象も与えるがそうではない。寧ろ人々が希い果たされなかった無念の念の集積が存在と化したものである。
 物語が展開するのは、先に挙げたようにある精神病棟である。その病院の経営姿勢を本音と建て前、時に揶揄によってエンタメ化しつつ分かる者にはその内実が手に取るように分かる形で表現して見せる。展開の組み立て方が頗る上手く、役者陣の演技も力演である。
 患者への虐待や薬漬け、措置入院時の拉致同然の暴虐といった非人道的な扱いをする収容施設の存在する日本の実態は時々ニュースでも報じられるから知識を持つ方も居るだろう。無論、日本にも解放病棟や患者に芸術的表現をさせることによって病の軽減を図る病院も存在するが、今作では未だ先験的な試みではあるもののヨーロッパで実践され始めている徹底的に民主的に話し合い病を軽減するオープンダイアローグ形式の治療法やミコのように己の存在感覚そのものを喪失しているようなケースでは存在し生きている己を五感等の感覚を通して刺激(具体的には掌に氷を載せる、料理の臭いを嗅がせ食欲を刺激する等)蘇生し活発化させることによって精神疾患を克服しようとする方法を対置して見せる。(ミコは実際には発狂していた訳ではなく措置入院で強制的に収容されていたが、幼い子供と引き裂かれていた、そのことが彼女の自殺指向を発症させたのである。そして塵の王を形成する念の一部が彼女の息子のものであった為、彼女は朧気に塵の王を認識できた。劇中母子の出会うシーンは圧巻である。)またヨーロッパの一部の地域では、患者を地域に帰し、医師・看護士が患者の居る家に出掛けて診療する件についても言及される。これらは総て患者を人間的に扱う姿勢であることを対置している訳だ。
 商業演劇でもあるから、エンタメ要素を盛り込み擽りを入れてある。{(医師・サリィが医院オーナーの女であり、バイトでSMクラブの女王をしていること、そのオーナーも精神科医であるが、カルテ自体はハチャメチャだ。そのハチャメチャぶりは観劇して確認すべし)看護士が多重人格(煩悩の数と同じ108重人格、所謂ホームレスの年老いた女性が元ミュージカル俳優で歌踊を披露するなど)
 日欧の差が上に挙げたように対比されているのは、日本の総ての施政方針に現れている体質に対するアンチテーゼと観ることが出来る。同じように収容される場所としての監獄、入管の収容施設等々での虐待、殺人も本質的な人権無視で一般である。この本質的相違を我々日本人個々が深く考える必要があろう。演劇のみならず総てのアートはこのように問題提起をすることもできるし、それが使命の一つでさえあるのだ。


クラッシュ・ワルツ

クラッシュ・ワルツ

演劇集団池田塾

オメガ東京(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第19回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品 (刈馬カオス氏<刈馬演劇設計社>)。
物語は3年前の交通事故をめぐって関係者、一見関係ないと思われる夫婦も加わって、それぞれが抱える秘密と悲しみ、やる瀬無さを感情の赴くままに激突させた会話劇。脚本の面白さはもちろんだが、物語を支えているのは5人の役者達の迫力と緊張感ある演技であろう。
(上演時間1時間15分)

ネタバレBOX

舞台はイガラシ家の和室(座敷)。上手に押入襖、下手が出入りする襖、中央に大きな座卓、壁側にミニ書棚、TVや座布団等が置かれ、物語を紡ぐには過不足なく作り上げている。

冒頭、この家の主婦・イガラシ タエ(飯田 問サン)が強引にクドウ リツコ(のりほサン)を家(和室)に連れ込む。何が何だか解らない彼女に向かって、今日は(交差点に)花を供えないでほしいと頼むところから物語が始まる。彼女は3年前に交通事故を起こし5歳の男の子(ケンタロウ-登場しない)を事故死させ、以降 毎日白い花を供えている。タエはこの女性を被害者・男の子の母親と勘違いした。この家(窓)から事故現場である交差点が見通せるという設定である。冒頭こそ、ドタバタとコミカル風に描いているが、そこに少年の母親・タケイ チハル(梶原生吹サン)そして離婚した元亭主(父親)・ミタ リョウスケ(田辺学サン)が登場し、直接の加害者・被害者が相対する構図へ。同時にこの家のイガラシ マサオ(もろいくやサン)が、この家を売却するにあたって事故に関わる悪評で、業者から買値を値切られている。それぞれが自分の事情や思惑を押し通そうとするが、もっともと思われる議論が綱引きのように…。1つの事故を巡り、交わるはずのなかった人間関係が生まれる。ぐるぐると回る濃密な会話劇は、それこそ奇妙なワルツそのもの。

人物描写…タエは、事故のあった交差点は人や車の往来が激しいわりに信号機もなく、危ないと思っていた。その危険を知らせる活動をしなかった(不作為の)後悔、自責の念。夫マリオは、何とか高値で売却するため、悪評の元である花を供えるのを止めてほしい。一見自己中心的と思える言動であるが、それはタエ(妻)のためという秘密を抱えている。リツコ(加害者)は花を供えることで贖罪しているかのようだが、チハル(母親)が一度も花を供えないことへの抗議のような気持。一方 チハルはリツコの行動を監視しており、事故以来、彼女の様子が激変したことに危惧を抱いている。リョウスケ(父親)は、リツコを絶対許さない、イガラシ家の売却減は彼女に補てんさせると主張。それぞれの正論らしき主張、しかし それが容易に収まらないという感情の衝突が見所。時に座卓を叩き激高する姿、また座敷に頭をこすり付ける謝罪姿といった、感情と行為の振幅が激しい演出は観応えがあった。それを役者陣は、キャラを立ち上げ、立場を鮮明にした見事なまでの表現、その演技に引き込まれた。

舞台技術として、隣家の子供が弾いているピアノ練習曲ー花のワルツーが、たどたどしいが、騒音とも 少しずつ上達しているとも思える。人の心の持ちようによって受け止め方が違う。そして音が聞こえないと心配という人の心の変化が登場人物の心情と重なるようで巧い。ラストは夫婦で踊るたどたどしいワルツがホッと心を和ませ余韻を残す。
次回公演も楽しみにしております。
スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/03 (金) 19:00

130分。休憩なし。

スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

『本当のSF』なる公演が具体的にはどんな内容となるのか、未知数だらけの観劇でしたが蓋を開ければ予想外にも「学園ラブコメ」!?
これで一気に敷居が低くなるも、当然普通のラブコメであるはずもなくSF研の部員が織りなすSFこじらせ系とでも言えばいいのか。
マメSF論が随所に織り込められて、こんな切り口のラブコメは今まで観たこと無い!
二人を取り巻く登場人物達もパンチが効いて、各々の立ち位置と台詞回しの妙味で着実に笑いをさらっていくのだからもうたまりません。

このまま難儀な恋のスクランブルを見守って、と思いきや何やらオカルトチックな雲行き・・・ちゃっかりSF作品にも仕上がっていたのには驚きました。
ラブコメ&SFのゴールデンコンビ。
SFマニアともなれば、改めてひとつひとつのプロットを検証したくなりそうですが、かなり綿密に練り上げられた構造になっていた事はマニアではない私にもしっかり感じ取れたのでした、お見事!

BABEL

BABEL

演劇企画 heart more need

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この大震災から100年も経つと言うのに偏見や差別から逃れられない自分たちに暗澹たる気持ちになりました。それでも、いや、だからこそ今の世に必要な舞台なのだとも思えました。

「登ってた、高い高い塔が崩れかけたとして、そのとき、あんた、飛び降りるかい?それとも、しがみつくかい?」と言う言葉が出てきますが、どう言う比喩なのか私にはわかりませんでした。

The Merchant of ZIPANG

The Merchant of ZIPANG

劇団五期会

ABCホール (大阪府)

2021/12/03 (金) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ベニスの商人の中に、
長い時間たまった怨念、男が男への恋心 嫉妬を、盛り込んでいた。
聡明でも、見えない事
足元に無い穴が見える
目が見えない夜鷹に見える。
とても面白かった。

スペキュレイティブ・フィクション!

スペキュレイティブ・フィクション!

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

今回二度目と思っていた劇団だが、こりっちで過去作を見ると近作2つを観ていた。一作目を思い出させる二作目でなかった(作風が違った)故だと思うが、三度目の今回も同様ながら、辛うじて見えた「らしさ」とは、タイムリープやメタシアターを多用した基本荒唐無稽で変キャラ、ジョーク混じりの台詞、アップテンポな作劇の部類であるが、骨格はしっかりした印象、かつ哲学的問いを掘り下げている点である。
最初のはロリコンという性癖を通じて愛の成立について、二つ目はよくは覚えていないが利他主義の成立について、劇を通して思考していた印象。今回はテーマをSFに据え、高校の部活であるSF研究会のSF通の台詞を、非・SF通向けに親切な字幕の注釈を入れながら、これらオカルトや科学的真理といった概念と近接する「知」が、高校の青春ドラマの帰趨に絶妙に絡ませていた。
穿った台詞も一つ二つでなく、荒唐無稽のままで終わらない舞台。

ネタバレBOX

観客がそれを通して見る目である主人公の高校男子が、劇の冒頭恋した相手(部活の先輩女子)は「謎」を抱えている。この謎は最終段階で解かれ、この時主人公が苦悶の中から捻り出した答えを相手に捧げるのだが、隣人についてのテーマがそこには流れている。主人公及び我々はその問いを絶えず問われていた事に、最後に気づく。作者の根っこにあるテーマなのかも知れぬ。
何にせよ楽しく観た。
さいはての街の塵の王

さいはての街の塵の王

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

もっと「声」を食わせろ。
男に憑りついたその「存在」が食べたがっている「声」はどうやら何でもいいわけではないらしく・・・
そんなふうに匂わせながら物語は流れ流れて全く予想外な場所へと。
何故にこの場所に!?一瞬迷子になった気がしましたが、やがてその理由は紐解かれていくので、戸惑わずにその流れに身を委ねて鑑賞するのが正しかった模様。

ストーリーだけをなぞらえると何とも切なく、孤独に満ちた内容になりそうなところ、個性ぶつかり合う笑いを織り交ぜての軽快な演出、主人公の関西弁(ボケとツッコミで言えばツッコミ!)も加わってライトな空気感。
閉鎖的な苦しみを独自な世界観で調理した珍味な美味しさが後味に広がりました。

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