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ぶっかぶか

ぶっかぶか

ここ風

シアター711(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なんというか“人の心の澱を救い上げてくれるようなストーリー”でした。ちょっとあり得ないが、意外にありそうに思えたりして・・・。登場人物の大半が変わり者だけど、ちょっと温かい人の心が溢れてました!観ていて居心地の良い舞台でした。
(ちょいと気になったのは電話のコール音と受けた人の声のずれ、少々電話の方が低すぎたのでは?)

叔母との旅

叔母との旅

加藤健一事務所

京都府立府民ホールアルティ(京都府)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/12/03 (金) 13:00

今年3回目の加藤健一事務所の京都公演。ずっと京都で続けてくださるのがとても嬉しい。1時開演と6時開演の2公演のマチネを鑑賞。

基になっているのはイギリスを代表するストーリーテラーのグレアム・グリーン(Henry Graham Greene)が1969年に発表した小説。グリーンは1904年にロンドン郊外に生まれ、オクスフォード大学(University of Oxford)を卒業後、タイムズ(The Times)紙でジャーナリストとして活躍したのち、1929年の処女長編作「内なる私(The Man Within)」で小説家デビュー。その後、多くの作品を発表。

1949年発表の「第三の男(The Third Man)」はキャロル・リード(Carol Reed)監督による映画化を前提とした作品で、グリーンは脚本も担当し、1950年公開の映画は大ヒットした。1950年にはノーベル文学賞にノミネートされたが、結局最後まで受賞できなかった。1991年にスイスで亡くなった。享年86歳。

この作品を1989年に4人の男優だけで表現する戯曲にしたのが、イギリス人の劇作家であり俳優や演出家のジャイルズ・ハヴァガル(Giles Havergal)。初演の際には自身がその1人として参加した(今回の公演のカトケンさんと同じ役)。

彼は1938年スコットランドのエジンバラ(Edinburgh)生まれ。1969年から2003年までグラスゴー(Glasgow)の市民劇場(Citizens Theatre)のディレクターを務め、劇場運営に大きな革命を起こし、英国を代表する劇場のひとつとしての地位を築き上げた。

現在(2021年)83歳だが、スコットランド王立スコットランド音楽院(Royal Conservatoire of Scotland)やサンフランシスコ(San Francisco)のアメリカ音楽院(American Conservatory Theater)で教鞭を取っている。

翻訳は英文学者、翻訳家で現在は早稲田大学文化構想学部教授の小田島恒志。1962年生まれで早大大学院博士課程単位取得満期退学、ロンドン大学大学院修士課程修了。妻の小田島則子との共訳による翻訳が多い。

この作品の初演は1989年11月10日で、グラスゴーの市民劇場。その後、ロンドン(London)のウエストエンド劇場(West End theatres)、ニューヨーク(New York)のオフブロードウェイ、サンフランシスコでも上演された。1993年度にイギリス版のトニー賞とも云えるローレンス・オリヴィエ賞(Laurence Olivier Award)の最優秀エンタテイメント賞(Best Entertainment)を受賞している。

1972年にジョージ・キューカー(George Cukor)監督、マギー・スミス(Maggie Smith)主演で映画化されているが、これは戯曲化以前であり、小説を脚色したもの。この映画は第45回アカデミー賞(45th Academy Awards)の主演女優賞(Best Actress)など4部門にノミネートされ、衣裳デザイン賞(Best Costume Design)を受賞している。ちなみにこの年の作品賞(Best Picture)は「ゴッドファーザー(The Godfather)」で、主演女優賞は「キャバレー(Cabaret)」のライザ・ミネリ(Liza Minnelli)。

日本でも演劇ファンに人気の高い作品で、日本初演は1995年。演劇集団円で、橋爪功、有川博、勝部演之、吉見一豊のベテラン俳優が演じ、好評を博した。今回の加藤健一事務所公演は先月(2021年11月)に池袋のサンシャイン劇場で行われ、この日の京都公演の後は、翌週に所沢の市民文化センター ミューズのマーキーホールで行われる。

24人の老若男女の登場人物をたった4人の男優で演じ分ける、奇妙で幻想的で笑いの冒険、ロードムービー的躍動感の風刺劇。1人が単に何役も演じ分けるだけでなく、語り手でもあり、主人公でもあるヘンリー(Henry Pulling)すら複数の男優が演じる。それも会話の途中で人が変わる。最初は「これ、何?、何してるの?」って思ってしまった。

また、作品の舞台も、ロンドンからフランス、オリエント急行、そして南米のアルゼンチンからパラグアイと変わる波乱万丈のストーリー。でも、本を読んでいるかのような芝居なんだよね、これが。時代設定は特に明確にされないが、小説が書かれた1960年代後半と思われる。あまり、時代感はない。最後の舞台となるパラグアイの首都アスンシオンには何年か前に滞在したことがあるので懐かしかったな。

演じる4人はカトケンさんの他、天宮良さん、清水明彦さん、加藤義宗さん。天宮さんは1962年4月生まれ。東京都三鷹市出身。1984年に日テレ系のドラマ「昨日、悲別で」の主演で俳優デビュー。NHK大河にも3回出演している。現在も多くのドラマで脇役を務めている。

清水さんは天宮さんより少し早い1962年1月生まれで千葉県出身。文学座所属。舞台、映画、テレビドラマだけでなく吹替やアニメの声優も多く務めている。清水さんもNHK大河に2回出演している。

加藤義宗さんはカトケンさんの息子。1980年1月生まれ。1996年の加藤健一事務所の「私はラッパポートじゃないよ」が初舞台。自身のプロデュースユニット「義庵」も2020年に立ち上げている。

演出の鵜山仁さんは1953年3月奈良県大和高田市生まれで、奈良女子大学文学部附属高等学校、慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。文学座に所属し、劇団の内外で精力的に活動を続け、多くの賞を受賞している。2007年から2010年までは、新国立劇場の演劇部門の第4代芸術監督を務めた。現在は日本演出者協会理事。舞台芸術学院学長。

上演時間は前半が1時間15分で、15分休憩の後、後半1時間の合計2時間半。今回の芝居は、もちろんカトケンさんらしい笑いの要素も多いのではあるが、コメディーと云うよりもやはりドラマって感じ。正直話に付いて行けないようなところもあった。個人的にはあまり好みではない。カトケンさんらしいコメディーが好きだな、私は。

終演後10分ほど時間を空けて京都公演恒例のアフタートーク。今回もアルティ館長の雨宮章さんの司会で、カトケンさんと息子の義宗さんのお話を30分足らず聞かせて戴く。4時10分頃終了。

加藤さんの京都公演、次回は来年(2022年)5月初めに「サンシャイン・ボーイズ(The Sunshine Boys)」。2020年の5月に公演予定だったのがコロナ禍で中止となったもので、佐藤B作さんらと演じる。ニール・サイモン(Neil Simon)の作品と云うことでこれは笑いを期待できそう!

以上

時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』

時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観応え十分。
日本史的にも重要な意味合いを持つ「島原の乱」を時代絵巻AsHらしい、というか大胆で独創的な解釈によって紡ぐ壮大な物語。何を書いても すぐネタバレしてしまいそう。ただ、”戦うことは勝つことではなく、大切なものを守るため”という思いが強く伝わる内容だ。
緩急ある展開、抒情的な観せ方など、その丁寧な作劇は期待通り。そして過去公演以上に感情の揺さぶりが大きく、嗚咽する観客の多いこと。
もちろん創作劇だから史実と違うだろうが、一揆が起きた背景(概要)、用語集、人物相関図を掲載したパンフレット(他劇団であれば販売するような豪華版)が配付されるので、上演前に一読すれば一層理解が深まる。
(上演時間2時間30分 途中休憩15分含む)

ネタバレBOX

舞台美術は、時代絵巻AsHらしく正面に両開き襖、廊下や縁側・沓脱石がある典型的な日本家屋作り。下手に一段高くした別スペースを設え、外観は土塀や板塀など当時の雰囲気を漂わす。
物語の概要は、歴史の教科書のようであるが、登場人物の設定が大胆。冒頭は大阪城落城のおり、真田幸村が嫡男・大助に豊臣秀頼の子を託し落ち延ばす場面から始まる。この子が後の天草四郎として島原の乱の指導者になるという設定である。中心的な人物はこの四郎と幼馴染の子供たち、特に大助の息子・源次郎。公演は語り物を装うようだ。

厳しい年貢の取り立てに反発した蜂起であったが、島原藩、唐津藩(大名)は、幕府から統治能力を疑われることから、キリシタン弾圧と絡め農民一揆を宗教的な反乱へすり替えようとする思惑。クルスへの唾棄、踏絵といった試金石場面が痛ましい。同時に戦国浪人の不平不満を取り込んだ、別次元の思惑も絡ませるという大胆な発想。幕閣・農民という両観点を通して、不安定な世情という社会状況をそれとなく窺わせる。

元々はキリシタン大名の領地であった事情、両藩において先代が石高を水増して幕府に届け出ており、本来の年貢では納め切れない事情。物語は、その背景や悪政を点描し、一方 その地で暮らす農民の純朴な人柄を対比させることで、勧善懲悪といった分り易い構図を描く。歴史的にも色々な解釈がされている内容=島原の乱を演劇として面白く観せるところが見事!もっと言えば、幕藩体制が完全ではない3代将軍・家光やその側近を、あえて軽佻浮薄に描くことで武家社会の無責任を糾弾している。が、同じ幕臣でも老中・松平信綱を謹厳実直に描き、幕府内での人物像を固定化させない上手さ。立ち位置の異なる個々人の心情描写をきめ細やかに描く。

物語の雰囲気作りは、いつもながら見事。上演前は笛・太鼓といった和楽器。物語の場面に応じて、お囃子、ピアノ旋律といった和洋の音響の使い分けで緩急ある効果を演出。照明は明暗の諧調はもちろん、葉影やクルスに模った余韻。公演全体の調和が実に上手く、そして美しいといった印象だ。
次回公演も楽しみにしております。
天国

天国

タクフェス

サンシャイン劇場(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ちょっと早口でセリフが聞き取りにくい役者さんがいたりしましたが、この物語を今届けてくれた宅間さんに星五つです。
地方巡業の大スターと言う設定のゲストが嬉しい。さらにジャンケン大会のシークレット景品がそのスターのサインで、当たりたかったです(笑)

ネタバレBOX

龍太郎が山田劇場で働くことになったいきさつが最後に語られますが、胸がいっぱいになりました。
彼女を笑う人がいても

彼女を笑う人がいても

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2021/12/04 (土) ~ 2021/12/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/08 (水) 14:00

価格6,500円

60年安保闘争が主題と重い印象でしたが、人の生き方や価値観を振り返させる人情劇でした。政治思想や放射能問題にあえて深入りせずに、実際にいない、見えないものとして想像させる技法にはハマりました。これで自分ごとに転嫁できた。
さらに、主人公の職業観は熱くリアルで、この不器用さも味のある演出でした。上司との白熱のやり取りは特に納得。現実を直視して生きるか、理想を追い続けるのか、考えさせられる、帰りの電車の後味は決して悪くない秀作だと思います。

ジャングルジャングル6

ジャングルジャングル6

アイビス・プラネット

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

配信で観てた「異界の魚」を生で観ることができて、幸せでした。すごかった!としか言葉がでてこない。前回と同じもの?というほど違う印象でした。生ってすごい。迫力が違う。初めて生で観た一人芝居が異界の魚でよかった!尋問もあわせてとてもとても楽しい時間でした。尋問はゲストが毎回違うので、違う回を観るのが楽しみです。
配信もあるのでいかれない日は配信で楽しみます。

クラッシュ・ワルツ

クラッシュ・ワルツ

演劇集団池田塾

オメガ東京(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めはかなりグダグダだったが、別れた旦那が出て来てから急展開に・・・最後は涙が出ていました♪

マツバラQ

マツバラQ

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

松原忠司の事は全く知らなかったが、朧げながらも分かった様な気がした(笑)♪

帝国月光写真館

帝国月光写真館

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初・高取英作品。氏が主宰する月蝕歌劇団にまではついに触手が伸びなかったが、2018年没した高取氏の追悼公演という事で「珍し物見たさ」も手伝って足を運んだ。
寺山修司と所縁のある人であり源流のある劇団、という印象であったが、チラシ絵が同じ丸尾末広“系”?でつい混同してしまうA.P.B.tokyoというユニットや青蛾館、また後に知ったが池の下が寺山戯曲を上演するのに対し、こちらは高取作品の上演が主であったようだ。「月蝕歌劇団」とは若き高取氏が初めて寺山氏に提供した戯曲。劇団旗揚げは1986年に遡るがそれに至るまでの数年「演劇団」名義で高取作・流山児祥演出による舞台を数本やっており、今回の作品はその最後にスズナリで上演した作品である由。当時からスズナリは演劇人にとってのステータスで成程流山児氏にとっては記念碑的な作品な訳である。(以上観劇翌日にweb調べ。)
さて舞台。音楽・歌の使いようは演出面で天井桟敷に寄っており(私は万有引力を通して知るのみだが)、廻天百眼などの音楽系アングラの源流に触れる新鮮さがあった。戯曲版「ドグラマグラ」等の著作がある高取氏の本作は、ストーリー的には唐十郎に近い言葉を媒介した話運びもありつつ、内容は猟奇探偵物のエッセンスで染められている。
軍靴の響きが高まる昭和初期、紙芝居に登場する赤マントが帝都に出没し、暗躍しているという・・冒頭2人の少年が一方の父の月光写真館なるものを探して冒険の旅に出るが、やがて闇の世界は現前し、憲兵隊、宗教団、赤マントらを操る男や、極秘研究に打ち込む科学者がけん制し合いながら何かを巡って動いている様相。何やら剣呑な原子(幻視?)再生機の完成が一つのエポックとなるが、果たして・・。
伏線回収の精度は正直低いが、目指している世界観は判りやすく、この路線の開拓者の一人と認識した。

ホテルカリフォルニア

ホテルカリフォルニア

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/12/07 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/08 (水) 18:30

名曲「ホテルカリフォルニア」の名に魅かれて劇場へ。結論から言うと、この名曲と今回の戯曲に直接の関係はない。しかし、この曲だけでなく当時の日本ポップスなども舞台ではふんだんに使われ、1970年代に「青春」(今は死語かも?)を過ごした元若者たちのツボを打ち抜く楽しい舞台だった。自分的にはチューリップの名曲に泣きそうになった。

作・演出の横内謙介など劇団オリジナルメンバーがつむぐ、劇団創設前の実話をベースにした青春グラフィティー。当地の進学校である県立厚木高校の演劇部(扉座のメンバーも所属)が全国大会で活躍したことも触れられているが、舞台で繰り広げられるのは文化祭の後夜祭でいかに盛り上がることができるか、青春の思い出を作りたい、という若い情熱が物語の中心である。

まったく同時期に高校生だった自分にとってはずばりストレートの直球という舞台だ。あの頃はやった「マジソンスクエアガーデン」のバッグ、受験勉強の定番である「赤本」。神奈川県では「出る単」と言っていたのか(自分の出身の愛知県では「しけ単」と呼んだ)「試験に出る英単語」という受験生のバイブル本。地元各地区の中学の優等生だった子が集まった進学校で、上には上がいると打ちのめされたあの頃。東大を頂点とする受験レースが象徴する学歴社会への疑問。生きるとは何かと沈思した時間。そして、校内で男子生徒が回したエロ本(舞台では「プレイボーイ」だったので、エロ本とは言えないかも)。こうした小道具、多彩なエピソードが40年も前の自分を鮮明に浮かび上がらせた。

受験勉強が第一と指導され、それを受け入れざるを得ない生徒たちには、文化祭で盛り上がるということですら「勉強しなきゃなのに」と罪悪感を覚える。そんな中で愚直にも、当時のディスコダンスで爆発しようぜ、としらけ世代を鼓舞する生徒会メンバーたちがなんだかとてもいとおしい。
田舎者の自分にとっては、歌舞伎町のディスコなど話に「そうだげな」という与太話でしか知ることができなかったが、神奈川は田舎とキャストは言うが、小田急線一本で新宿まで行けたというのはやはり、そこでの高校生の文化が変わってくる。実際にディスコに行っていた生徒はさすがに優等生学校だけあって珍しかったようだが、舞台上で繰り広げられる「サタデーナイトフィーバー」「ジンギスカン」には、「神奈川の高校は大人への扉が近かったんだ」と感じてしまった。愛知県から新宿は新幹線で行かないと無理なのだから(笑)

この舞台は90年代後半からの再再演という。小劇場志向の劇団が40年も続くのは慶賀の至りであって、まさにこの舞台、還暦近いおっさんたちが高校生役をやるという、横内氏も言っているように「もう最後の機会」なのだろう。それだけに力が入っていて、熱量も高い。扉座研究生たちの若手も力を発揮した。

オリジナルメンバーの六角精児が開幕前からDJを務めるのも楽しい。これだけの完成度の舞台なのに、空席が目立ったのはもったいない。還暦前後の善男善女、この舞台を見ないと一気に老化が進むぞ!

ネタバレBOX

客席の大半が若い世代だったのは希望を感じる。おじさんたちとは笑うポイントが違うのも愛嬌だ。
ホテルカリフォルニア

ホテルカリフォルニア

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/12/07 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久々の扉座観劇は、思い出深い演目ゆえ。もう20年も前のこと、知人の紹介でその知人が関わる西東京あたりの地域劇団がこの戯曲を上演するのを見て、笑った。あの芝居がこれだと判ったのは、題名に「厚木高校・・」と副題が付いているのを見てもしやと色々調べたからで、この演目は誠に横内氏の「私戯曲」であることが今回改めて観て非常によく判った。
劇団40周年に寄せ、祝祭的出し物を売れっ子俳優も総動員で実現させたようである。
扉座はしばしば踊りを多用する劇団だが、今回も踊りはキーになっており、取って付けた感なく芝居にがっつり噛んで堪能できた。「ホテル・カリフォルニア」を皮切りに70~80年代洋楽も全開で、音楽とダンスの高揚を織り込んで高校生活の断面を描いた弾けた劇世界を、おっさんおばさんが衒いなくやっている。
はっきり言えば私が20年前観た芝居の方が芝居として愛せたし、この戯曲自体若者らに書かれたと言って良い、むしろ若者らに是非やってほしい作品だなと感じ入った次第であるが、此度は扉座のアニバーサリーな趣向に乗り、大いに拍手をさせてもらった。

ネタバレBOX

この日は実はNODA MAP「THE BEE」三度目の当日券抽選に外れ、その足で新宿紀伊國屋ホールの初日に駆け付けたのであった。ちょうど割安の回だったが後方は空席もあり、カーテンコールでは宣伝を、と呼びかけていた。チラシ情報が主の私にはあまり宣伝に力を入れていないのかな(余裕なのかな)、と見えていたがやはり演劇稼業は大変なのだな。。
この芝居の序盤で主人公が演劇部の先輩に連れられて観たつかこうへい「熱海」の衝撃を伝える場面、演劇部で取調室の再現をするシーンを見るにつけ、横内氏の受けた衝撃がストレートに伝わってきてひどく納得した。が、扉座の芝居は少し違うんだよな、とも思う。だが高校演劇で劇作の才を開花させたのは本当らしく、やはり自伝的作品なのだが、私にとっては20年前に観た学園物の秀作がベースで、記憶の中の作品をなぞりながら観たような事であった。

その上でこの芝居の持つメッセージ性にも(作者は嫌うかもだが)触れてみる。(投稿してから日が経ったが。)
芝居におけるナレーションの効果をしばしば思うが、想起するのはこの芝居だ。
白け世代の高校の日常風景がナレーションで的確に説明される。
飛ぶ太陽

飛ぶ太陽

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/11/26 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

毎回何がしか新味のある桟敷童子だが今回はまた異色作。戦後史に埋もれたある事件の紹介、描写に徹したと言って良い作品となっている。登場人物は恐らく創作だろうが、亡くなった住民百数十人中には居たであろう想像に収まる人物たちが登場する。敗戦後の一歩を健気に踏み出た時(1945年秋)に起きた筑豊炭鉱の町の爆発事故が題材である。東憲司氏がこだわる土地と歴史に絡めた作品は多いが、「昭和20年11月12日午後5時19分」の唱和をこれでもかと挿入し観客の耳に刻みつける。(現に覚えてしまった。)ただ事実を題材にしようとドラマを書いてきた桟敷童子が今作では事実であることにこだわり、着地させた。これに至る経緯または意図について例によってあれこれ想像をめぐらしてしまうが、またいずれ。

ダウト 〜疑いについての寓話

ダウト 〜疑いについての寓話

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2回目。
観客の期待と熱気、口コミでどんどん盛り上がっていく正しい演劇ムーブメント。感謝。

ネタバレBOX

亀田佳明氏がどんどん魅力的に見えてくる。背を丸めて手帳に字をクチャクチャと書き込む姿。伊勢佳世さんとの夕暮れの中庭、ベンチでのシーンは美しい。『シスの復讐』のアナキン・スカイウォーカーのようだ。オレンジ色に世界は染まりカラスはカアカアと鳴き続けている。

津田真澄さんの語る世界観人生観、そこから得た哲学が凄まじい。圧倒される。「貴方はお知りにならないでしょうが、それが世界なんです。」「卒業したらここであったいい事だけを持って行き、嫌な事は全てここに置いていくんです。息子にはそう教えました。」

伊勢佳世さんのリアクションが少々オーバー気味か。余りに技巧派すぎて何をしても計算尽くに見えてしまう。ちょっと頭の悪そうな、抜けている天然女性のぼんやりとした目線が、二人の対決を見守る観客の目線とリンクしなければならない。映画版でこの役を演ったエイミー・アダムスはメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンという化物に挟まれて「ずっと吐きそうだった」と語った。那須佐代子さんと亀田佳明氏の人生を賭けた対決も、彼女からすれば余り興味の持てないどうでもいいことだったりする。そこがいいのだ。

亀田佳明氏の目線から今作を紐解くと、当時はタブー視された同性愛者の物語とも取れる。同性愛者である事を肯定し、聖職者として隠しながら、同じ苦しみを抱えた少年にシンパシーを感じている。今となっては病気でも異常でもない、尊重されるべき一つの生き方だが、当時は時代が悪すぎて、忌むべき犯罪者のように扱われてしまった。そう読み取るとこの物語は更に混迷を深める。「言えないこともあるんです!全てを口に出せるとは思わないで欲しい!」

ラストの那須佐代子さんの表情。

原作者ジョン・パトリック・シャンリィ(映画版の監督も務めた)はこの作品を書く切っ掛けとなったのは「911後のアメリカを包んだ異常な空気だ」と語った。意図したものは勧善懲悪のスッキリとした物語ではない。登場人物も観客も誰一人スッキリはさせず、もやもやを抱えたまま帰途につかせる作品。ジョン・ゲーガン神父の児童性的虐待事件はモチーフに過ぎないのでは。
時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』

時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

歴史の教科書に載ってはいても謎多き「天草四郎」
どの様な解釈、背景でもって描かれるのか
『草乱~そうらん~』の世界、興味深く拝見させて頂きました。

時代絵巻AsHさんの舞台世界、時代絵巻は誠実さに満ちて、何なら笑わせ方も誠実。
切々とシーンを重ねていくごとに清濁入り交ざった人間模様を浮彫りにしていきます。
2時間30分(休憩込)途中うっかり気を抜いてしまっても物語に置いて行かれる心配こそなさそうですが、すべての物事に登場人物達の人となりが映し出されているので、観ているこちらも全集中態勢。
少年たちの島原の乱。最終的に負け戦と分かっていても、若き者たちの姿に、ヤバい!涙が・・・
こういう時、マスクっていいかも・・・と思っていたら鼻水まで
事前にマスクを頂いてホント助かりました。

これからの伸びしろも期待しますが、ここまで泣かされてしまったらもう降参★5つでお願いします。

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』

ムシラセ

オメガ東京(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/08 (水)

価格3,830円

フライヤーの出演者横並びの写真に惹かれて、8日19時半開演の初日舞台(110分)を拝見。

初日なので詳細は伏すが、前半の『つやつやのやつ』・後半の『ファンファンファンファーレ!』の2本共、笑ったり・しんみりさせたり・ほっこりさせたり…と観客の感情を間断なく揺り動かす、粒よりの作品だった。
間違いなく、今年の私的ベスト10に入る充実した観劇時間を過ごせた。

それから、脚本が良かったのも勿論だが、その脚本を活かし切った熱演・好演の演技陣のうち
前半の『つやつや…』は
『ノスタルギヤ』(2018)以来の山崎丸光さん(第一声でハッとしてキャスト表に目をやったら…!)
後半の『ファンファン…』は
ここんとこ立て続けに出演舞台を観ている永田紗茅さんと
過去2回、舞台を拝見している柴奏花さんとが
とりわけ印象に残った。

ネタバレBOX

【配役】
『つやつやのやつ』
吉光(売れない漫才師。プライドは高いが先輩には媚びを売る)…山崎丸光さん
津田(吉光の相方。愛想の悪い天才肌故、時代が彼の才能に追いついていない?!)…辻響平さん
安楽亭おすし(大御所芸人だが物忘れがひどい)…山森信太郎さん
カブキ姐さん(ベテラン芸人)
…菊池美里さん(『バクで、あらんことを』B班・大人モリコ役以来)
ちあき(吉光の元カノ。次は安楽亭おすし狙い?!)
…瀬戸ゆりかさん(『ツヤマジケン』(2018)前上ヒロコ役以来)
ウィスパー髙木(今の事務所では吉光の後輩芸人だが、実は芸歴は先輩)…つかてつおさん

『ファンファンファンファーレ』
チカ(亡くなった推しをひたすら追慕する)
…永田紗茅さん(『私、めんどくさい』『音楽劇 百夜車』と立て続けに拝見)
ゆかり(チカの親友)
…柴奏花(しばかなか)さん(『DGURA MAGRA-ドグラ・マグラ-』『疫病流行記』で拝見)
山口(元・漫才師。今はお笑い事務所の社員)
…鈴木研さん(先月『どうしよう 孤独だ 困ったな』で拝見したばかり)
朝海(きぬの唯一の親友)
…中野亜美さん(『音楽劇 百夜車』でも感じたが、背筋がスッと伸びた立ち姿が美しい)
きぬ(お笑い大好きな出待ち。いつまでも朝海と一緒にいたい!)
…谷川清夏さん(メガネ顔で気づかなかったが、『IN HER TWENTIES 2020』20歳役の役者さんだぁ!)
サツキ(きぬ・ゆかりとつるんでいる出待ち)
…土橋銘菓さん(今回は声の出演。『暴走ちゃんの暴走』以来)
ぶっかぶか

ぶっかぶか

ここ風

シアター711(東京都)

2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時間がないので詳しくは書けませんが、面白かったです。いろんな人がいて、いろんなことがあって・・・良かったです。できたら追記します。
ひとつ覚えているうちに。舞台セットがとても良かったのですが、古民家を改装したペンションということで、洋風の作りになっているのに敷居の跡が残っているのが、細かいなあと感心しました。

天国

天国

タクフェス

サンシャイン劇場(東京都)

2021/12/01 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ドタバタなコメディの要素が強いけど、宅間孝行氏の人情劇はやはり泣けるな。

ダウト 〜疑いについての寓話

ダウト 〜疑いについての寓話

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい役者さんによる素晴らしい会話劇。絶対のおすすめ。
「CoRich舞台芸術アワード!2021」の一位はこれで決まり!
ヴォンフルーさんのあおりに乗せられて良かった。ヴォンフルーさんに感謝。

ネタバレBOX

この劇は2004年に上演されました。その2年前の2002年に何があったかを「2002年 カトリック教会」で検索すると印象がかなり変わるかと思います。事態は校長が危惧したようにどんどん広がって行ったのです。
『欧州代表的カトリック教国の「汚点」』:長谷川良 2021/10/7 という記事を検索して読めば最近の調査結果が分かります。
誤解している人がいるようですがこれは神父による少年のレイプ事件であって、LGBTとは関係がありません。
ホテルカリフォルニア

ホテルカリフォルニア

劇団扉座

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/12/07 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

扉座の40周年記念公演。開場時から六角精児による生ラジオで、舞台に合せた70年代後半の楽曲が流れる。劇中の高校生活は、自分とは数年のずれがあるのだが、この年齢になればもう誤差範囲。この青臭さが切なくて愛おしいし、楽曲のベタさ加減も、むしろリアルに感じる。休憩10分を挟んで本編は約2時間30分。休憩5分を過ぎるとお楽しみタイムもあるので、予めそのつもりで準備しておいた方がいいかも。

ダウト 〜疑いについての寓話

ダウト 〜疑いについての寓話

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

実演鑑賞

めちゃくちゃ面白かったー!約1時間45分集中して考えて笑ってあっという間!!俳優上手いし戯曲巧みだし小空間贅沢だし終演後サービスのコーヒー美味しいしマジ至福。

ネタバレBOX

私が観た回の神父の印象は「真っ黒」でした。追い詰められて慌てる姿が滑稽で笑ってしまった。彼(ら)が必死で守ろうとする気持ちも少しは想像できるようになったかも。

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