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帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)

帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/08/25 (木)

価格3,130円

25日18時半開演
どのように死んでゆくべきか?の『〇六〇〇猶二人生存ス』(49分)
前を向いて生き続けていきたい!の『その頬、熱線に焼かれ』(70分)
対照的な短編2篇を、い組の回で拝見(途中休憩10分込み上演時間130分)。

ネタバレBOX

前半の、人間魚雷・回天が題材の『〇六〇〇猶二人生存ス』。
海底に先端が突き刺さったまま、脱出不可能という極限下に置かれた二人の大尉が辿り着いた、帝国軍人としての崇高な精神の境地が、かえって後続の多くの若者の未来を奪う、残酷な結果につながった…彼らの人となりをよく知る回天の整備員に、終戦後、批判させることで、人々が抗うことの出来ない"空気"の怖さがよく描かれていた。

【配役】
黒木大尉…大知(だいち)さん 樋口大尉…二村仁弥(ふたむら・じんや)さん
後藤整備員…谷口継夏(たにぐち・けいた)さん


後半の、原爆投下によるケロイド治療の為、渡米した「広島ガールズ」が題材の『その頬、熱線に焼かれ』。
手術後の智子の死を知り、明日の手術に対して気弱になった敏子を励まし、あるいは叱咤しながらも、最後には、前を向いて生きていこう!と気持ちを新たにした「広島ガールズ」。
ただ、それまで成り行きにハラハラしながらも、明るく皆を見守っていたはずの智子が、改めて自身の死という現実に直面させられ、一気に泣き崩れる姿には、胸が痛んだ。
なお、個人的に気になったのが、濃淡はあるにせよ、結果的に登場人物7人のエピソードをひと通りなぞった話の運び。この分、ストーリーの焦点が若干ぼやけたようにも感じられた。

【配役】
敏子…椎木美月(しいぎ・みづき)さん、智子…蓑輪みきさん
弘子…本宮真緒(ほんみや・まお)さん、節子…谷川清夏(たにがわ・きよか)さん
昭代…中野亜美さん、信江…中神真智子さん、美代子…柳原実和さん
伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

声を大にして言います!大好きで大好きな作品です!前回も観劇しましたがやっぱり大好きだと再認識しました。沢山の散らばった宝石を一つ一つ集めていって、最後はその宝石達を一つ一つ思い返すような愛しくて堪らない気持ちになりました。今回は伯爵が女性ですが、それはそれで新しい視点が見えてとてもよかったです!一連の変化していく演技が素晴らしかったです。こんなに愛しいと思える作品にはそうそう出会えません。また観れて本当によかったですし、出会ってない方には全力で出会って欲しい舞台です。岡野さんが何の役なのかもポイントです。最高でした。泣けました…!是非この舞台も映像化していただきたいです!

ネタバレBOX

前回伯爵だった岡野さんが今回はまさかのブルボンさん!!!もうそこにいるのは岡野さんではなくてブルボンさんでした。伯爵とのお別れのシーンのそっと触れる演技とか声色とか。わーーー!!!!と草原を駆けたくなるくらい素敵で最高で大好きだなぁと思いました!
瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった

瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった

おぼんろ

Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/08/25 (木) 15:00

ピノキオやスティーヴン・キング、川端といった古今東西の名作へのオマージュ(風なところ)も含めながら、物語の渦の中に観客を引きこむ手法は見事。大ステージならではの演出もあって、劇団としてスケールもアップ。おぼんろ作品ではお馴染みのさひがしジュンペイには今のロバート・プラントみたいな風格がありました。

ときじく〜富士山麓鸚鵡鳴〜【大阪公演、8月4日公演中止】

ときじく〜富士山麓鸚鵡鳴〜【大阪公演、8月4日公演中止】

カムカムミニキーナ

座・高円寺1(東京都)

2022/08/04 (木) ~ 2022/08/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/08/14 (日) 13:00

徐福伝説と姥捨の風習、さまざまな日本昔話が結びつく裏系の歴史超大作。見応えあり。

ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~

ざんねんないきもの事典 ~いきものたちの逆襲~

エイベックス・エンタテインメント

あうるすぽっと(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/08/25 (木) 11:00

大傑作! 生き物に対する好奇心と愛情にあふれたステージ。トリビア系知識も満載。楽しく勉強にもなるステキな作品だと思います。ビジュアルもカワイイ&かっこいい。

大阪演劇見本市2022

大阪演劇見本市2022

関西演劇振興会議

ABCホール (大阪府)

2022/08/25 (木) ~ 2022/08/25 (木)公演終了

満足度★★★★

朗読劇と演劇プラス抽選会。正に見本市と言った感じで、ちょっとしたお祭り気分。老舗演劇好きにはたまらない感じです。

追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)

追憶のアリラン(8/18~8/26)、無畏(8/24~8/27)

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/27 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

自劇団の戦争を素材にした舞台6本をこの夏に一挙上演する企画の一本である。チョコレートケーキがこうした作品に取り組む意図は明確だ。残った子孫たちへ、と言うが、筆者のような先行する世代にとっても、良い企画だと思う。ことに中にすでに見た「帰還不能点」や「その頬、熱線に焼かれ」が入っていて、ことに前者は演劇的にもよく工夫されていて、単に、戦争を指導した者たちだけでなく、それを支えた社会も的確に描出していた。
「無畏」は昨年初演されたが、時期が悪く知った時にはすでに終演していて見逃した。A級戦犯となって処刑された南京大虐殺事件の陸軍司令官の松井岩根(林竜三)の戦争犯罪をテーマにしている。
戦争犯罪はどのように裁かれるべきかと言うテーマが難しい上に、事件そのものが複雑な事情の上に成り立っている。史実はかなり明確になってきているが、それにその時々の国際的な政治判断がついて回る。事件を客観できないところへ、松井の「誰かが責任と言うなら、私だろう」という結論を急ぐ判断があって、それが戦勝国による法廷で裁かれる、と言うところが悩ましい。いつもは、問題の中心から、距離を置く時間や場所をを発見するのがうまい古川健だが、今回はその余裕がなく、史実のデータををできるだけ詰め込もうとする。ほとんど弁明の余地のない上海派遣軍(原口雄太郎)と増援軍(今里眞)の司令官たちとその幕僚(近藤フク)たちが単純化されて敵役になってしまう。作者には、たとえ、部分的なドラマになったとしても、全体をイメージさせるだけの力量はあるはずなのに、今回はそこまで出来て居ない。
これは原爆乙女の米国による治療を描いた「その頬、熱線に焼かれ」の時も感じたことだが、現在まで尾を引いている現実を、観客が芝居の一幕として理解するには複雑すぎるのだ。しかし、そこが生で演じられる演劇のいいところで、今回の敗戦の八月公演は壮挙と言っていいだろう。
今のコロナ騒ぎの政府対応にも、この国の合理的なシステム作りが出来ない病弊は露呈しているのだから。(これでは芝居の「見てきた」にはならないが)

伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

サンジェルマン伯爵といえば『サイボーグ009』の単行本の書き下ろし短編、石森章太郎が彼の正体を推理する作品で知った。不老不死の男、時空旅行者、未来人、宇宙人etc... 、色々な考察がある。
だが今作ではその辺は余り関係ない。18世紀の終わり頃のフランス、ずっと橋の下で暮らしていた浮浪者。奴隷商人の仲介でブルボン公爵夫人に買われる。設定やキャラが『花柄八景』と地続きなのはご愛嬌。
展開は4コマ漫画の連作集を思わせ、業田良家『自虐の詩』を想起。パラパラと捲っている内にいつしか長大な時間の流れを感じさせるテクニック。話は壮大でスピルバーグの狂った映画、『A.I.』や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』、『火の鳥 未来編』の哲学性も帯びる。

主演の前田悠雅さん、この人は何なんだろう。特徴的なくぐもった鼻声。シーンによって森川由加里だったり水川あさみだったりに見えるが結局誰にも似ていない。凄いカリスマ性があり、作品創作のファム・ファタール的存在。この人を使えば特別な作品が出来上がると作家に思わせる力。ファンの崇拝を集める巫女。なんかカスパー・ハウザーっぽい。
相変わらずの岡野康弘氏の天才振り。この人の声色はどうなっているのか。化物だ。
岡田帆乃佳さんは何でも出来る使い勝手の良さ。どの役もきちんと演じ分けている。
森由姫さんはまさに清純派アイドル、病弱キャラがいい。
仲美海さんもかなり弾けた記憶に残るキャラ。

永遠に死ねない伯爵の素敵な人々との出逢いと別れ。
小泉今日子の『丘を越えて』が宇宙の始まりから終わりまでずっと流れ続けているようなノスタルジー。
観客の誰もが帰り道、ずっと昔にこんな映画を観たことがあるような不思議な気持ちになる。

伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素敵でした。死なない事は死ねないっていうことで、切なく愛しく涙が出ました。暗転が多いなと思いましたが、効果的だったように思います。是非観て欲しいです。おすすめです。

伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 切ないね、死ねないということは!

ネタバレBOX

 板上には、極めて手の込んだ舞台美術。全体としてフランスの建築物に特徴的なシンメトリックな構造であるが、ホリゾントの壁中央には中央のやや低い位置に丸窓、その左右に方形の窓が穿たれこの真下辺りは、サロンと寝室(第一場ではブルボン伯爵夫人の屋敷だが、場転に応じてベッド上の掛物、サロンの小道具類は適宜変わる)驚くべきことにこの部分は回り舞台になっており、実に効果的に用いられる。この回り舞台の下手・上手はシンメトリーになっているが、こちらの造作も大しもので、下手側だけ説明しておこう。(シンメトリーだから上手側は簡単に想像できよう)2F部分(フランスの伝統的表現では1階に当たる)は回り舞台の側から見て隣に小さな踊り場を囲む木製の柵、その背後にホリゾントとの間を若干開けて、方形と半楕円形の穴を穿った壁、半楕円形のアーチを持った壁は斜め手前に延び、1F(地上)へ続く階段に繋がっている。この階段も途中で右斜めに曲がるという構造でセンスの良さを見せる。無論、木製の品の良い手摺も付随している。
 この屋敷には、伯爵夫人と右足、左足の履物担当の各男性奴隷、小間使いの女性奴隷1人が住んでいるが、既存の奴隷たちはずる賢かったり、様々なことを教えてもインセンティブが低い為、婦人は無垢な魂を持った奴隷を求めていた。夫人にとって最も大切なもの・こととは、社会的地位や富、名誉ではなく純で気高い魂であったからである。掛かるが故に彼女は既存奴隷達に教育を施したのであったが、前述の如く、一向に効果が無かった。連れて来られたのは橋の下に既に30年程も暮らしているという噂の橋の主と仇名される若者であった。無口でピュアだとのことであった。夫人は、この若者の面倒をみることにしたが中々言葉を発することがなかった。彼女は童話を使って読み書きを教え、ある時若者は口を利いた。若者は伯爵夫人に篤い好意を抱き、彼女を好きになったが、彼女には普段離れていても夫があり、近年は体を壊して妻の城に戻りこちらに住むことになったので、それまでの使用人は総て所払いとなった。またこの時代フランス革命後の粛清により、王族・貴族はギロチンの憂き目に遭う者も多かった。結局、夫はギロチンの露と消えたが、婦人に拾われた若者には、それ迄の記憶は無く、唯、伯爵家に引き取られ、貴族の衣装を与えられて生活し、而も中々品のある顔立ちであったこともあり、奴隷仲間とパリに出てからは彼らの目論見に従って荒稼ぎをした時期もあった。が、彼が不老不死であることを知った伯爵夫人が死ねないことの不幸を哀れんだように、彼は現在は膨張過程に在る我らの宇宙が収縮過程に入り遂にはビッグバン以前のエネルギー集合体になる迄収縮する時点迄生きた。この間流れた時は約56億年、愛した相手は体の弱かったそして、心の底から彼を愛してくれ、彼も心底彼女に惚れたが、逢えない3年の後、病に連れ去られ、迎えに行ってやることもできなかったひよこへの慚愧の念を抱えながら、何時しか長い時を経て、傷が和らいで少しはヒトらしく生き、恋をしたのであった。彼女との約束「他の人を好きにならないで」との願いを守って次に愛した者から「男だったらいいってことではないんじゃない」と指摘された件を含めて内心忸怩たる念を抱えながら結局5人を愛し、宇宙人とも恋を交わして独り彼のみが永生を享受する身であった為、その幸福は短く、悔恨と苦悩ばかりが永い生涯を終える直前、人類のみならず、地球に生まれ嘗て存在した生き物総てと共に、共に暮らした宇宙人達が集まり、互いに出会って行うさよならパーティーの司会者としてこの宴を仕切る大役を担う。無論、彼の愛した総ての人々もこの時蘇り、再会を祝して乾杯! 花火が弾ける中。間もなく宇宙が終わる。
VAMP SHOW【8月8日~15日公演中止】

VAMP SHOW【8月8日~15日公演中止】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/08/08 (月) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ずーっと前から(これは絶対に劇場で観ないといけない)と思い待ちに待った今回。菅原さん、戸塚さん、平埜さん目当てで、もちろん余裕の期待越えでした。特に戸塚さんタンゲのしぶとさ暑苦しさったら… 吸血鬼5人組の立ち位置もいい感じ、謎の彼女の不思議感も良かった。河原さんのこだわりの演出(そこでそんなドッキリ!みたいな)好きです。

憫笑姫 -Binshouki-

憫笑姫 -Binshouki-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/08/17 (水) ~ 2022/08/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全編に渡ってハードな殺陣・アクションが組み込まれ劇中に台詞は一切無し!
言葉は黙して殺陣で紡ぐ、超攻撃型アクションステージ!
この紹介文に偽りなし。本当に見事な殺陣芝居でした。敵・味方を身に着ける布一枚で表現していました。

ネタバレBOX

しかし、私は「なんで?なんで?」と思ってしまいました。魅力的な姉に王が一目惚れ?と思って見ていたのが、実は敵と戦わせるためだった・・・はまだいいとして(いや、ひどい裏切りだが)いきなり剣を渡されて戦えるものでしょうか。しかも強い。そんな素養があるという話はどこにもなかったと思うので(私が気付けなかったのならごめんなさい)、どうしても「なんで?なんで?」が拭えませんでした。コロナじゃなかったら終演後に竹村さんに聞けたのに・・・
伯爵のおるすばん

伯爵のおるすばん

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時空を超えた壮大で卑近なお話、グッときましたね。親しい人がいなくなっても、生き続ける哀しさ、涙が出ます。通奏低音のようなシニカルなギャグもイイ。

スカラムーシュ・ジョーンズ あるいは or ​七つの白い仮面

スカラムーシュ・ジョーンズ あるいは or ​七つの白い仮面

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

1899年の大みそかにカリブ海の島でジプシーの売春婦から生まれた「透き通るように白い肌」の男の100年の生涯を、一人芝居で語る。一人芝居というのは単調になりやすいが、さすが加藤健一、緩急自在に様々な登場人物を演じ分け、1時間40分を飽きさせない。舞台美術と照明、映像も効果的に使い、アフリカ、ベニス、ナチス時代、ロンドンなどの時代と背景を示す。舞台上の円形の台がパカっと割れて、ナチスのカギ十字とムッソリーニのイタリアの国旗がずらーーっと並ぶ趣向は工夫である。

ベニスでジプシーの一団の仲間になって、憲兵に捕まった娘を奪いに行く役を義侠心から引き受ける。憲兵隊で袋叩きに合いながら、目的を達するシーンはまず、第一のヤマ。床に這いつくばりながらの熱演。
そして、なんといっても最大のヤマは、クロアチアのナチスの強制収容所での、ユダヤ人犠牲者たちの墓穴掘りの道化。戦犯容疑を晴らす裁判での判事役とスカラムーシュのパントマイムは、この舞台の白眉だった。

コロナ禍が続くが、後半の初日の夜の客席は、8割5分の入り。大した人気である。芝居と言えば女性客が多いものだが、加藤健一の芝居は男性客も多い。

ネタバレBOX

判事は言う「お前はお前のやり方で人類に貢献した。戦犯として収監したのは間違いだった」。

ロンドンでは、トリニダード・トバゴ出身の黒人の傷痍兵の乞食と出会い、「イギリスの捨て子たち」である乞食仲間と橋の下で安酒を飲む。そこで思い切り泣き笑いした涙が、これまでの放浪で顔に張り付けてきた6つの「罪」の仮面をとかす。途中で「スノーフェイス」と呼ばれた、その元となった聖書の言葉「たとい、あなたがたの罪が緋のように赤くても、雪のように白くなる。イザヤ書1:18」を踏まえた場面だ。浄化の時を迎えて、スカラムーシュは生まれ変わる(あるいは、本来の自分を取り戻す?)。

ロンドンの舞台で道化を演じながら「二度と言葉は語らなかった」というのは、冒頭から語り通しの姿と矛盾するが、言葉を使わずに笑わせる道化に徹したという意味だろう
頭痛肩こり樋口一葉

頭痛肩こり樋口一葉

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/08/05 (金) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

樋口一葉を主人公にしているが、登場人物は母親と妹以外は創作であり幽霊まで出て来る。作者の頭に浮かんだ彼女の同時代の女性を描いた『明治女性図鑑』であり、それは別の井上作品「貧乏物語」と同様である。樋口一葉と聞くと「たけくらべ」「にごりえ」と反射的に答える受験知識しかない私でも十分に楽しめた。上手すぎる6人の女優さんによる素晴らしいエンターテインメントである。
ただし、明治時代の話なので前半40分くらいは話に入れずに困ってしまった。

パレードを待ちながら

パレードを待ちながら

劇団キンダースペース

劇団キンダースペース アトリエ(埼玉県)

2017/10/31 (火) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

私も香港亭行きたかったなあ。

ナイゲン(R04年新宿版)

ナイゲン(R04年新宿版)

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今年もみるべき夏の風物詩に出会えて感激です。個々の熱量が徐々に調和しながら、指揮していく自分がいるみたいで楽しめました。ありがとう。

ミッツァロのカラス【8月25日〜27日公演中止】

ミッツァロのカラス【8月25日〜27日公演中止】

Grass919

小劇場B1(東京都)

2022/08/23 (火) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ピランデッロという作家の作品を初めて観た。元が小説なのか戯曲なのかわかならいが、連ねられた6つの短編はいずれも印象的で興味深い作品と感じた。何となくガルシア・マルケスの短編の雰囲気を連想させた。

トロイ戦争は起こらない

トロイ戦争は起こらない

人間劇場

シアター風姿花伝(東京都)

2022/08/24 (水) ~ 2022/08/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2時間45分に及んだが、いろいろな要素が盛りだくさんで飽きることはない
役者もそれなりのベテラン勢がポイントを締めている
しかし何と言っても特徴は驚異的な台詞の多さ、その多くが長ゼリフ
さながら弁論合戦の連続であった
戦争とは何か、だれが戦争へ導くのかという問いかけは十分に伝わってきた

ネタバレBOX

入ると金属の棒だけで構築された無機的な舞台美術が目を引く
上手のタワーのみモーターで回転している
開始早々声明のような合唱
古代ギリシア風の衣装と言えるが、透明傘を切って作った衣装飾りなどは奇抜
原作に加えられた音楽はそれなりの効果を上げていたように思う
特にパーカッションやうめきのような合唱は
一部ダンスもあった
最後は「やっぱりね」
武将が手を結びかけた平和を壊したのは文民だった

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