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住所まちがい

住所まちがい

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2022/09/26 (月) ~ 2022/10/08 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

一言でいうと「不条理コメディー」の範ちゅうに入る作品なのかなと思う。
笑っちゃう部分もあるんだけど、議論の内容が錯綜しつつ、途中で結構難解になったりも
するので、単調で眠気を感じるパートがあることは否めないかなと。

塩野七生と宇野千代の箇所には笑った。小ネタがイチイチウケる(笑)

ネタバレBOX

登場人物は以下。本人の性格を反映しているのかは不明。

ナカムラ(仲村トオル):小さな会社を経営している人物。作品舞台をゲストルームとし
フミカなる女性と密会するために来たとする。非常に気が短く、かつ「神は信じてこなかった」と
言いつつ、かなり迷信を信じる部分もある。

ワタナベ(渡辺いっけい):元警部で現在は警察絡みのシークレットサービスに勤める男。作品舞台を
練り歯磨きを取引する会社だとし、その担当者と待ち合わせしていると主張する。冗談と悪ノリが
大好きで「失敬、失敬」が口ぐせ。

タナカ(田中哲司):文学系の教授。作品舞台を最近引っ越したばかりの出版社だとし、自身の本のゲラを
取りに来たのだと語る。不合理かつ超常的なことを信じておらず、何事にも合理的な説明を求めようとする。

長椅子、雑多に物が置かれた机、小さな冷蔵庫がおかれた建物の7階にある1室を、それぞれが「ゲストルーム」
「メーカーオフィス」「出版社」だと言い張り、全く違う住所を口にする。それだけでなく、冷蔵庫からは
取り出す人に応じて、「コーラ」「オレンジジュース」「暖かいコーヒー」果てにはなぜか「洗剤」まで出てくる。

いったいこの部屋は何なのか、どうしてそれぞれ違う住所を求めて来たのに同じ部屋に着いてしまったのかを喧々
諤々で脱線込みの議論する中、この場所が「この世」と「あの世」の間にある、いわば「最後の審判のための
待合室」なのではないかという話に発展し、ナカムラがいきなり部屋の四隅に塩を盛って柏手を打ち始める(笑)

ここまでで分かるように、3人のそれぞれ環境が異なる中年男性がひょんなことからよく分からない1室で一夜を
明かす羽目になる……という設定こそ単純なのですが、3人の意味があるのかないのか、議論なのか雑談なのかも
あいまいなやり取りでほぼ2時間を消費するので、見ている側としてはさすがにしんどいかな。

かなり工夫されて笑いどころも役者陣の演技込みで用意されてるんだけど、「神」とか「生死」という形而上学的な
(かつ欧米の舞台ではしばしばみられる)ディスカッションを大々的にフィーチャーした演劇はやっぱ文化の違いを
感じる。

あと、部屋の不思議を延々時間を尽くして議論するわりには、いきなり部屋の床から出現退場する謎の女(朝海ひかる)に
誰も疑問を抱かず、「彼女は我々を裁きに来た神なのか、否か」を話し合い始めるところには笑った。いや、そこじゃない(笑)。
たぶんここはそのズレにツッコミ笑いするパートなんだろな。

2時間弱ひたすら言葉を交わし続けて、翌朝を迎えたところでいわく「ムダな話」を辞めて3人家路に帰っていく……という
結局何かを得るとかそういうことはない物語なんだけど、3人とも「家の扉に鍵がかかっていて入れない」ということで
またワンルームに引き寄せられるように戻ってきてしまったのは、あれは何かの象徴?
ガラスの動物園

ガラスの動物園

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戯曲に目を通して臨む、と決めていたが、自宅にあった文庫本が散逸。図書館各所も全貸出中、最後は新刊書店大手に二か所寄ったが置かれておらず、この公演のせい? 等と妙な推測をしてしまった。
代わりにネットに出ている「あらすじ」を読んだり、以前この作品の戯曲の性質について書かれた文章を思い出しても、いまいちどんな作品なのかピンと来ず、演劇界で著名すぎるこの作品が、とりあえず演劇史的には「現代の精神状況を表現した」(ゆえに同時代性を感じた多く人から支持を得たと思しい)ことが推察されるのみであった。
結果的にはこの演目の舞台を初めて目にして、合点した事は多々あった。

米国を中心とする「西側」諸国の爛熟、全世界的にも科学技術文化メディア等が急勾配で発展した。「戦後」という時代はやはり不可逆な、特殊なものだと言える。その起点で蠢動のような変化があり、国を問わず、芸術家はその変化を察知して作品を成した。「ガラス・・」が描く欠損家族、それを捨てた息子の罪(父がそうであった、とあるのでこれは原罪に近い)。この風景は、戦前ではなくやはり戦後という時代に発見された風景である気がする。何がそう思わせるのかはうまく言えないが(外面的な状況よりも内面に焦点化しているからでは、と取り敢えず考えてみる)、母も姉も、病的であるからこそ、美しく、いじましく、懐かしく、切ない・・。この感覚は、「回想」が可能ならしめるものである、と思う。

この作品の演劇史的な貢献は、回想という手法で(演劇に限らずだが)ドラマ構築の一つの定型を示したこと、ではないか。
回想する主体であるトムが、観客に語りかけるナレーターで、物語を描写する。横内謙介の秀作「ホテル・カリフォルニア」をわざわざ挙げるまでもなく、ストーリーテリングの主要なフォーマットであるが、「ガラス・・」がその原点と言えるのはその完成度ゆえ、なのかも。(今思い出したが戦前の作であるワイルダーの「わが町」もナレーションで回顧する語り口で、「発見」と言うのは大袈裟に違いないが、ただ語られる内容という点では、やはり大きな違いがありそうである。)
この作品で語られているもの(トムが敢えて語ろうとしたもの)は、そもそも何なのか。
刑罰に問われない「内面の罪」は、甘味さを伴う事があるがそれは回想という中においてである。己の加害性にシクシク胸が痛もうとも、(隣国の民族の「恨」のように)ある意味で生きる「原点」となり、いきいきと生きる「実感の源」になる。己を厳粛な思いに立ち返らせるもの、それが己がふと犯した罪の記憶であり、それは真の意味での「生きる価値」をそのままの形で自分に保証する。即ち「悔い改めて進む」道・・キリスト教の影がそこに落とされていると仮説する。
だが、身を貫いた「生きる」実感に応えて、その後の人生を生き直すケースは稀で、多くがそれまでの習い性、怠惰に流れるのが常。だがその事は埃に塗れた自分の中に再び輝きを見出そうとする時に、再び現われ、「怠惰であった己」の罪が、逆説的だが己を照らし、再び「別の道」が示される・・。

もっとも、今回上演された「ガラス・・」は、(戯曲の原形を推測しながら観劇したところでは)原作にあったノスタルジーの色彩を殺ぎ、ドライな後味にした、と見えた。イザベル・ユペール演じる母は「病気」の要素よりも、逞しさ(ラストに見せた落胆は、その喚き散らす様子が「絶望を断ち切る生命力」に見える)があり、トムの姉は原作ではいじいじと傷つきやすい引っ込み思案な所、現代の引き籠りのように救済回路を見出していて、それなりに自宅での生活を送れている・・。ガラス細工の動物への執着はさほど病的に見えない。ジムへの恋に破れた後、彼女は自分の世界で生き続けるのではないか。
この演出は、何となくの印象ではあるが、この作品の「感動」の形である所のノスタルジーを補強する典型的な(同情を誘う)弱者像を避け、境界を跨いで存在する「個性」が一つ屋根の下で同居する様、を示したかったのかも。これもうまく言えてないが、いじましい家族たちは、過去という墓に葬られず、今も生きているという臨場感を示したかったのかな・・という。
想像が飛躍し過ぎかも知れないが。

ネタバレBOX

余談だが・・当日になってチケット予約無効と気づき、劇場に連絡したところ、残席3つ有り、当日予約。その際、電話で席選択をしたが、中央最後方はやめ、やや後方下手端寄り2つの内、中央寄りを選んだ。だが、毎度の事定刻にどうにか滑り込み、席を探した所、数字で当たりを付けた近辺で一つ空いているのが最も端の席、番号が15とあり、私の席番は18。何かの間違いが生じたと踏んでそこに座ったが、少し前列の少し内側に小さく空いたエリアが見え、気になり始めた頃に「手品」が始まった。・・正しくは3列前の数席内側が私の席だったのだが、実は数字は端15とし、内側に1ずつ増えて行く配置であった。紛らわしい数字の振り方である。もう少しクリアに見えたかも知れないのに・・とも思ったが、体力的には固定した姿勢がきつかったので端席は有難かった、と思う事にした。
実際、俳優の表情はよく見えない距離であったが、身体の動きと舞台処理により舞台全体としては雄弁に物語が語られ、受け止める事はできた。
字幕を読みながらの観劇だが、この点では前方席より条件は良かったかも知れない。ただフランス語の抑揚というのは独特で発語に込められた微妙な感情は読みにくい。その点ではやはり表情を見たいというのはある。痛し痒し。
「カレル・チャペック〜水の足音〜」

「カレル・チャペック〜水の足音〜」

劇団印象-indian elephant-

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 タイゼツベシミル!! 拝見して居て本質的に現在、我々が体験していることと同じではないか! との感覚に何度も襲われ慄然とした。華5つ☆ 本日10日、13時楽。残席あり、必見!

ネタバレBOX

亡くなった石垣 りんさんから何度も戦前の心象風景に似て来たと御懸念を伺ってきており、自分自身も戦争に行き、復員できた伯父等から様々な話を聴き特攻の生き残り(出陣直前に敗戦)の叔父、特高の大尉であった伯父からも話等を聴いていたから、りんさんの御懸念にも同調できたのだったが、チャペックの非凡で本質的な想像力と、人間として在ろうと決意して揺るぎなくそれを通した人ならではの妥協の無い慧眼が見定めた本質に慄然とさせられたのである。鈴木アツト氏は、このチャペックの本質を見る目を継承したのであろうか。実に見事な脚本に仕上げ、役者陣の演技、アツト氏の演出、舞台美術、照明、音響効果も良い。観客に対して欲を言えば20世紀初頭から第2次大戦に至るヨーロッパの歴史を予め知っておけば尚良いが、知らずともこの劇を注視していれば自ずと理解る。 
アリの街のマリアとゼノさん

アリの街のマリアとゼノさん

エンターテイメントユニット自由の翼

浅草九劇(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

1950年代、まだ戦争の傷跡が生々しい東京の下町 台東区・隅田川言問橋のたもとに実在したバタヤ(廃品回収業)部落、アリの街が舞台。物語は、そこで社会奉仕活動を続けた北原怜子(さとこ)さんとポーランド出身のゼノ修道士を中心とした実話を舞台化したもの。今の世に当時の時代背景を描いて、どこまでリアルに伝えることが出来るか。そして描かれているような尊い教えと活動を強く訴えると、宗教への過度な依存といった印象、偏執した啓蒙劇といった捉え方をされる危惧がある。その微妙な感情というか感覚を回避するための観せ方、それが演劇×生演奏×ダンス×歌といったエンターテイメント作品にした理由のように思える。彼女の足跡を忠実に描いた評伝劇、その時代背景は、今の日本におけるコロナ禍、世界に目を向ければ侵攻といった状況に重なる。特に国内では自主自立と共助を強く意識させる内容だ。

公演は約3年の時を経ての再演になるようだが、今 上演する意味は何か。当日パンフに主催挨拶として岩浦さち さん(アリの街実行委員会/自由の翼)が、「再び『戦争がもたらすもの』を考えたり、『現代を生きる私たちの精神的な糧になる何か』を追い求めたりするときに、お客様の『道しるべになるヒント』が落ちているかもしれない」と記している。慈愛に満ちた内容が、どれほど今の社会に伝わるか。28歳で夭折した社会活動家がいたこと、その活動を知ることが出来たこと、その人生について大いに学んだ。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは三角屋根、中央に少し高い台。上手に「蟻の會」と書かれたリヤカーがある。シンプルな作りにし、踊るスペースを確保する。三角屋根の上に生演奏をする来夢来人(ライムライト)のメンバー。楽器はベース、クラリネット、サックス、パーカッション、ギターである。

物語は、北原怜子(升野紗綾香サン)がアリの街に通い出した頃から始まる。彼女は浅草にある姉の家に転居した際に、“ゼノ神父”ことゼノ・ゼブロフスキー修道士(松本義一サン)と知り合い、通称「蟻の街」のことを知る。「蟻の街」は小沢求(柳橋龍サン)、松居桃楼(中込博樹サン)がまとめ役となって結成された廃品回収業者の居住地である。リサイクルが推奨される現代とは違い、廃品回収業は「バタヤ(屋)」と呼ばれ、他人から蔑まれた仕事だった。他人から物を恵んでもらうのではなく、蟻のように力を合わせ、自分たちで生きていく自主自立した暮らしである。その例を復員兵夫婦の困窮を通して時代背景を描く。

個人的な見どころとして、偽善だと指摘されたところ、二代目マリアが現れ自分の存在に迷う、この2シーンが印象的だった。
第一…怜子の慈善活動を、街の世話人で文筆家・松居桃楼は偽善だと指弾した。松井は怜子に、自分たちは家で美味しいものを食べ、たまに子供たちに美味しいごちそうを振る舞う。そんなものは自己満足に過ぎない。子供たちはまた貧しい日常に帰っていく。「助けてやる」という気持は、助ける人が上で、助けられる人が下なのだ。真の同情は上も下も関係なしに、肩を並べて、一緒に悩み、一緒に苦しむこと。現代に通じる社会福祉…介護や看護、医療にも同じことが言える。
厳しい指摘は、彼女の行動が傲慢としか見えなかった。そして示された聖書の一節に心を打たれた。「主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、あなたがたが、キリストの貧しさによって富む者となるため」。
怜子は自らバタヤとなり、蟻の街の人たちと共に廃品回収業に勤しむ。怜子は傲慢から解き放たれ回心したのである。また彼女の行動によって、子供達の教育環境は段々と整えられていく。

第二…病気療養のため、一時「蟻の街」を離れるが、その間に 二代目蟻の街マリアが現れる。自分の居場所を失ったかのような怜子に ゼノ修道士は、自分はあくまで道であり、人が通った後は何も残らない。人は当たり前に通り過ぎ、道の存在など気にしない。無償の奉仕とはそういうものと教える。怜子の行動は世界に発信され賞賛の声が多く届くが、その名声に甘んじることはなかった。やがて療養のため「蟻の街」を離れるが、死期を悟ると「蟻の街」に再び移住し、その地で夭折(28歳没)した。彼女の半生を忠実に描いているようだ。

物語が重くならないよう、歌い踊る(バレエダンスのような)シーンを挿入し観(魅)せる工夫をしている。また生演奏が雰囲気を盛り上げ、心地良い印象を残す。
次回公演も楽しみにしております。
桜か雪の散るか降る

桜か雪の散るか降る

劇団身体ゲンゴロウ

王子小劇場(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/10/02 (日) 14:00

小道具と大道具の中間ぐらいのアイテムと役者の体を使っての動きが、この劇団ならでは。非常にユニーク。見る価値大有り。最後の締めくくりでもう1度見たいと思いましたが、悲しいエンディングだと難しいですね。物語も、単なる昔の合戦物を超越した普遍性があって、全般的に見応えがありました。

アリの街のマリアとゼノさん

アリの街のマリアとゼノさん

エンターテイメントユニット自由の翼

浅草九劇(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/09 (日)

価格3,500円

9日17時開演の千穐楽を拝見(90分)。

2018年6月に同じ浅草九劇で『アリの街のマリアとゼノさん』
2019年7月に北(ほく)とぴあのドームホールで『風の使者ゼノ』
と過去2回も観ているので、アリの街の人々に献身的にその身を捧げ、病に倒れて早逝された”アリの街のマリア”北原怜子(きたはら・さとこ)氏をめぐる一連のストーリーは十分承知しているはずであった。
にもかかわらず、脚本が整理された?のか、今回、改めて…いや、過去2回以上に、自身の不甲斐なさを恥じるとともに、心洗われる思いがした。

その原因の一つと思われるのが、二度目の北原怜子役となる升野紗綾香さん。
久しぶりに拝見する升野さんの表情・声・所作…とりわけ療養先からアリの街に半年ぶりに戻ってみて、自身の役割が他の人間に”奪われていた”ことを知ったあたりのシーンでの、ある意味、聖女ではない・人間らしい葛藤のさまを表現した、魂の演技には強い感銘を受けた。

90分ほどの舞台だったが、ホンマに良いものを”魅”せて頂いた。感謝!

ネタバレBOX

【配役】
北原怜子(さとこ)…升野紗綾香さん
北原肇子(ちょうこ。妹)…佐藤天衣さん
松井桃楼(とおる。アリの街に住む劇作家。仏教徒)…中込博樹さん
小沢求(アリの街の会長)…柳橋龍さん
丸岡明宏(アリの街の住人。通称”ジョン”)…斉藤可南子さん
夏川樹(元・消防司令部?勤務。今はアリの街の住人)…石原嵩志さん
夏川利恵(アリの街の住人。樹の妻)…岩浦さちさん
シスター・カルラ(修道女。カトリックの”偽善”の象徴)…mizukiさん
塚本恵子(二代目”アリの街のマリア”)…mizukiさん
前田明子(アリの街の住人)…mizukiさん
東京都職員…石原、岩浦、斉藤、佐藤、mizuki、柳橋
ゼノ修道士…松本義一さん
今度は愛妻家

今度は愛妻家

サンライズプロモーション東京

よみうり大手町ホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/09 (日) 13:00

いろんな劇団が上演している名作のようですが、私は初めて見ました。ずっと笑って最後はホロリ。

スカーレット・プリンセス

スカーレット・プリンセス

東京芸術祭

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇が、生まれた土地を離れて、抽象的な存在として生きて行くのは難しいものだ、とつくづく思う。
ルーマニアの演劇人ブルカレーテが、南北の「桜姫」をモチーフに作った「スカーレット・プリンセス」。まずは、桜姫と言う芝居自体が男女の情念の交錯というテーマはわかるが、そのありよう(解釈)をめぐっては、人それぞれに多くの受け止め方があるだろう。歌舞伎として、一般的には孝玉のコロナ禍でも大歌舞伎で上演された名舞台でよく知られているが、現代では全く存在しえない人間関係をもとにした複雑な筋を一口で言える人は多くはないはずだ。その今の時世では糾弾されかねない、エログロとも、サドマゾ趣味とも、幼児虐待、ジェンダー問題、宗教問題、差別山積のストーリーの中から、人間の真実の心情が妖しい美しさと恐ろしさとともに溢れ出す。その背後には狭い島国の中で紡いできた日本人の生活や文化が凝縮されている。この国に生きていると、筋の倫理的善悪を超えて、俳優の様式的な演技にもとろけるような演劇的な感興・共感があるのだ。大歌舞伎だけでなく、木下歌舞伎でも来年上演を予告している(演出は岡田利規。今から待ち遠しいと思う作品だ)ところを見ると、若い人たちにも共感できるところが多いからだろう。
ブルカレーテをはじめてみたのは「ルル」で、これはよかった。今まで見たことのない官能的で自立したなルルだった。そのあとに野田秀樹脚本の「夏の夜の夢」。イタリアンレストランの厨房の話になっていて、不思議な新しい世界だった。最初はドイツ、次はイギリス、今回の「桜姫」は、はるか日本の作品である。ルーマニアが遠くなるにつれて、やはり、抽象的な世界になっていく。
一つの場で、その時しか表現できない演劇の宿命みたいなものかもしれない。演劇学者ならどこかで研究成果を出している課題かもしれないが、寡聞、不勉強で知らない。その生活感との距離が、見物としてはやはり隔靴掻痒になってしまう。フルショットで舞台を観ているときれいでよく整理されていて、原作や歌舞伎様式のの料理の仕方もわかるのだが、ワンショットでこれが桜姫、といわれると、清玄も桜姫も、個人の人格としてはするりと逃げていくような感じなのである。
 オデオン座公演と同じく一文字の上に字幕が出るが、今回は全然とっかかりのない言葉で読まざるを得ない。大きなプロセニアムだから、演技と字幕の眼の往復につかれる。今回は字幕の輝度も低めに抑えられていて読みにくかった(抑えた理由も理解できるが)。経費もかかることはわかっているがやはり同時通訳で聞けるイヤホーン方式も採用してほしい。

NIGHT CLUB

NIGHT CLUB

品川親不知

西新宿ハーモニックホール(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/09 (日) 17:00

お笑いと演劇の両方を頑張っているユニットのようです。友人の葬式の話は、膨らませれば優れた青春群像劇になるんじゃないかしら。

嘘ぎらい

嘘ぎらい

『OYUUGIKAI』製作委員会

本所松坂亭(東京都)

2022/10/05 (水) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/10/07 (金) 19:00

 『嘘ぎらい』という劇のあらすじは、私はここであなたを見てる。俺は君を忘れてる。
という嘘のお話。というとても抽象的だったので、実際の舞台はどんなものかと思って、観に行ったら、考えていた以上に独特な作品世界に没入した。

 主人公の末廣理の少年時代の自分、青年時代の自分、中年で現在の自分がそれぞれ登場して、その時々の彼女と会話したり、独白したかと思うと、それぞれの時代の自分が、同時に話し始め、斬新で詩的な音楽が掛かり、それぞれの時代の彼女や妹が言葉に覆い被せるように話し始めたりするところが、現代パフォーマンス的でもあって衝撃を受け、引き込まれた。

 アフタートークでのテーマが面白く、いろいろ深堀できていて、興味深く聞けた。

仮名手本吉原恋心中

仮名手本吉原恋心中

ネコダマシ

ブディストホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

洗練され完成度の高い舞台芸術。見応えがあり、圧倒的で感動的な舞台でした。

”ラクエンノミチ”

”ラクエンノミチ”

演劇サークルact

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

軽い導入、意外な展開、衝撃の結末、お見事でしたね。

A・NUMBER

A・NUMBER

サンライズプロモーション東京

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

不条理劇ではないが、全体として意味を取りにくく、少々難解と感じられる。観客に集中力と注意力を要求する芝居といえるのではないか。配信もあるので、もう一度よく観てみたい。
どこか自分勝手で上っ面だけで他者への共感を欠く父親役を益岡徹氏が上手く演じていると思う。

天の敵

天の敵

イキウメ

サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

初イキウメ 初サンブリ
劇場はセカンドの方が良い。
内容は価格を上回るモノで、ファンになりそう‼️飲血については、スッホンの血を飲むこともあれば、中国では鴨の血を普通に飲むが…。発想が素晴らしい。
次回も期待しています‼️

FIVECRANEGAME 5周年記念公演

FIVECRANEGAME 5周年記念公演

即興・インプロライブ『FIVE CRANEGAME』

イカロスの森(兵庫県)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

インプロ二度目。一度目はよくルールが分からなかったけど、今回は楽しめた。
のじぎくの旗揚げが仕事で見れなかったけど、今回一部拝見できたのも嬉しかった。次回は必ず観たいですね。
満足しました‼️

アリの街のマリアとゼノさん

アリの街のマリアとゼノさん

エンターテイメントユニット自由の翼

浅草九劇(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

NIGHT CLUB

NIGHT CLUB

品川親不知

西新宿ハーモニックホール(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

稲川怪談

稲川怪談

江古田のガールズ

Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)

2022/09/27 (火) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/28 (水) 14:00

単に原作である「稲川怪談」所収のエピソードを演劇化した短編アンソロジーではなく、一つの(オリジナル?)ストーリーを軸にそれらをいろいろな形で配した構成が巧み。その意味で短編アンソロジーの舞台化のお手本……と言っては褒め過ぎか?
また、ゲストを迎えた回もアフタートークではなく(一応)劇中に取り込んだ形で怪談を披露してもらうのも巧い。
もちろん江古田のガールズだけに程よく笑いも配して、カーテンコールの趣向も含めて上手いよなぁ。
ところで、カーテンコールで装置の二階部分の上手端に見え隠れしていた髪の長い女性は誰?

NIGHT CLUB

NIGHT CLUB

品川親不知

西新宿ハーモニックホール(東京都)

2022/10/08 (土) ~ 2022/10/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ラストにすべての話の伏線回収があり楽しめました。初めての劇場でしたがとても綺麗で座りやすい椅子で良かったです。

仮名手本吉原恋心中

仮名手本吉原恋心中

ネコダマシ

ブディストホール(東京都)

2022/10/07 (金) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

着物や簪等の小物が綺麗でかなり凝っているのが素敵だった。最近は着物?と思える衣装で時代劇をやるのを観ていたので久々にキチンとした衣装を見れて嬉しかったです。また客席の通路を演者さんが通るのがまるで現代と江戸がつながっているようで不思議な感覚を味わえました。

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