最新の観てきた!クチコミ一覧

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パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

悲しい物語を予想して観ていましたが、前向きになれる舞台でした。ひとりひとりの物語が丁寧に自然にわかるようにえがかれていて、とても面白かったです。サックスの生演奏が素晴らしく、その上物語にもきちんと入れられているのでとても良かったです。
おすすめします。

パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良かったです。
人生には、絶対に辛い事が付きものですが、それにどう向きあっていくのか?と考えさせられました。そして、しっかり向きあおうと思いました。
重い内容でしたが、ちょっと笑える場面もあって観易く、役者さん達の自然な演技も良かったです。サックスもカッコ良かったです。
人生について、命について、深く考えさせらる良い舞台でした。

ふすまとぐち

ふすまとぐち

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/27 (金) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ホエイ独特のわちゃめちゃ芝居。「わちゃめちゃ」の印象は割と毎回だったりする(「珈琲法要」を除く..この作りは少し別種の感がある。「郷愁のロマントピア」はややこちら寄りだった)。
久々にお目見えの三上晴佳の嫁役、山田百次の姑役、嫁の旦那が中田麦平、その妹(出戻り)の成田沙織、その小学校の娘の井上みなみ、その年下の従弟が中田麦平いった具合。津軽弁を激しく繰り出す名手は山田氏と成田女史、ナチュラルに繰り出す三上女史。外部の人間としては姑を典型的な新興宗教に誘う二人連、また嫁をDV被害者の会的な会に招く二人連に森谷ふみ、赤削千久子のコンビ。秀逸な場面多数であるが、整理のされ方のためだろうか、「わちゃめちゃ」さが前面に出て、典型は姑だが激しい言動の起伏が「ギャグなのか」「演技なのか」と戸惑う。
オーソドックスに収束する家族の物語であるが対立する二人や嫁と旦那の過去についての言及(仄めかしでもよい)は少なく、約めて言えば観客の想像に投げている部分が大きい。
素材は光っているが扱い方が・・という印象が残る(割と毎回であるが)。

ネタバレBOX

山田氏が故郷青森で作ったユニットが劇団野の上で一度東京公演を(東京の俳優で)やったのは観た。野の上の旗揚げ公演がこの「ふすまとぐち」だとか。完全に地元人向けに書かれた戯曲という事になるが、今回はこれを書き換え無しに上演した訳である。
なお津軽弁の名手と書いた成田女史は野々上東京公演に出演したが野々上のメンバーに非ず(津軽から連れて来た女優かと勘違いした)。

先日観た水族館劇場で火噴き男をやって石油の匂いを漂わせていたが、この舞台でも同じ事(ライターの火に殺虫剤を吹き付ける)をやっていたが、押し入れの中でやられる側の三上女史が素早く裏から抜け出す音がしたから、中々な冒険を((劇場的にも)やっていたのではないか?
ただ、「扱い」の問題で、ドラスティックな場面としてグイッと立たない。(残酷さを極めるなら、ぶわっと一発やって反応を待ち、さらに続けてぶわわわわっとやる、というのが良い。)ただこのシーンは、場面変って嫁の顔に包帯の(何故か)ホッとする姿に着地する。ここまでの事をやる姑の正当化は難しいが、ゆえに過去をぼやかしているのかも。・・で、その事がある時、姑の脳溢血らしい大いびきを聴いて「寝てるだけでしょ」と放っている周囲に対して「救急車呼べ!」と嫁が叫ぶという、裏面の過去への想像を掻き立てられる場面に結実する。
のだが、その後が惜しい訳である。嫁が誘われたDV被害者の会的な会の集まりで「新入り」として証言を行なうのが、この劇では初めて嫁が「自身を語る」場面となる。ここで作者は最終的に、会が望まない証言(DV加害者を敵と見做すに足る、すなわち会の紐帯を深める証言)になって行き、彼女を誘った二人(司会)が動揺する中、嫁が出て行ってしまう場面をいわばクライマックスとしているのだが、証言の前段が劇中に起こった姑のいびりの言語化が長く続くところで、先の姑の急変時の態度はどうなったのか?と疑問が湧き、色褪せてしまう。劇を閉じるに相応しい三上女史の熱演が、「そんな姑なのになぜ私の目には涙があふれてくるのか・・判らない」という台詞と共に再び「知らざる過去」へと観客を引き戻すものの、証言の終盤に漸くである。ここは工夫が欲しく思った。
ヌシのハラ

ヌシのハラ

劇団マカリスター

駅前劇場(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新体制劇団マカリスターの新作。期待にたがわずマカリスターらしさは失わずに新体制ならではの新しい面が見えたような気がします。
これまでにない人間の暗黒面にざっくり斬り込んでかつ奇妙な味わいを与えてくれる良作。
ただし、これまでのシュールさ期待しているとそれがちょっぴり違った方向性に向いている、のかなぁ

パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

サックスの演奏をこんな近くで観られる機会など滅多にない。
めっちゃカッコよかった。

舞台を三方向で囲んだ一体感型のステージ。
まるで同じ空間(病室)を共有して彼等の言動を間近に見聞きしている感覚。
リアル、でも演劇というフィルターを通しているからこそ素直にそのリアルを見つめる事ができる。

余命僅か らしからぬ患者さんの図太さに苦笑したり、おい大丈夫か?と覗きこんだり、基本的には重苦しさなんかよりも勝る猥雑な日々
それでもやっぱり観終わった直後は・・・ちょっと言葉が出てこない。
直球だからこそ響く思いの丈(たけ)、特に若い方々に、より強く響きますように。

パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初見の団体さんでししたが、とても良くできた内容でとても面白かったです。2時間弱でしたが、あっという間で、元気がもらえました。少し悲しい内容ではありましたが、しっかり希望があり、伝わる気持ちもあって、役者の皆さんの演技も素晴らしかったです。終演後のあいさつで生で公演出来たことのお話もとても伝わりました。またよいお芝居を期待しています

GIRLS TALK TO THE END-vol.3-

GIRLS TALK TO THE END-vol.3-

藤原たまえプロデュース

シアター711(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

元女子たちの会話が笑えましたが、18年後、34歳と言うのはまだまだ過去にならないようで・・・。この部活顧問に会ってみたいものです。ダンスシーンも楽しかったです。気になったところがあるので、余裕があったらもう一回行きたいです。(追記予定)

ふすまとぐち

ふすまとぐち

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/05/27 (金) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

滅多に東京では見られない地方方言に(津軽弁)による現代風俗劇。料理の塩味が濃すぎると嫁姑の争いの種になったり、新宗教まがいの商法が地縁血縁関係の濃い農村のガス抜きになっていて盛んだとか、現在の地方らしさはあるのだが、ドラマとしての嫁姑、家族親戚の子どもたちまで巻き込んでの人間関係は格別目新しいところはない。それは、この「見てきた」(深沢さんのネタバレ)ですでに指摘されてしいるとおりである。方言が分かりにくいから、細かいニュアンスがなくてもわかる筋立てにしたとしたら本末転倒のような気がする。しかしこの舞台が、他の追従を許さないということでは、ほとんど観客にはわからない津軽弁で押し通したところである。それなのに、ドラマのつくりが安易になっていたり、方言がコメディリリーフのようになっていたりして、基本的なリアリズムから離れてしまったのはいかがなものだろう。方言と言う土着的な言葉に対しては戦後(昭和20年代)、木下順二や秋元松代が日本の劇の基本構造を作るものとしてかなり苦労して実績も挙げているし実例もある。今一度、現代の眼で言葉を見直すことは良い着眼点とは思うが平田オリザ的便宜主義ではあまり奥がないようにも思う。

GIRLS TALK TO THE END-vol.3-

GIRLS TALK TO THE END-vol.3-

藤原たまえプロデュース

シアター711(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。

雨と夢のあとに

雨と夢のあとに

Yプロジェクト

渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)

2022/05/25 (水) ~ 2022/05/29 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

リバーシブルリバー

リバーシブルリバー

24/7lavo

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/05/26 (木) ~ 2022/05/31 (火)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

任侠サーカス ~キズナたちの挽歌~

任侠サーカス ~キズナたちの挽歌~

熱海五郎一座

新橋演舞場(東京都)

2022/05/29 (日) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/06/01 (水) 13:30

座席1階

高齢化が進むヤクザの「任俠熱海組」と、その抗争相手の「沼津一家」。これに静岡県警のヤクザ担当刑事たちが絡んで繰り広げられる「義理と人情のアクション劇」。スーパーエキセントリックシアターの舞台から見るとかなり落ち着いたイメージの舞台だが、休憩をはさんで3時間余りのステージはコロナ禍の中で久々に大笑いができる仕上がりだ。

新橋演舞場は今回から、花道の使用を許可したという。ここが使えると使えないとではかなり大きな違いがあるだろう。ゲストのA・B・C-Zの塚田僚一がバク宙で登場するシーンなど、おもしろさが増している。
設定が「高齢化に苦しむ暴力団」なので、三宅裕司やラサール石井、小倉久寛ら座組の主力たちはその老化ぶりを競って表現することになるが、本人たちも結構高齢化といっていい実年齢だけに、その演技もあいまって何だか哀れを誘う。客席もかなり高齢者の人が多かった。もちろん、年に1度のこの舞台を楽しみに来ているつえを突いたおじいちゃん、おばあちゃんにとって、新橋演舞場のこの時間は、替え難いものなのだが。

浅野ゆう子はさすがに貫禄があった。その妖艶さは際立っていた。W浅野という懐かしい言葉も聞けて満足。休憩時間のバックミュージックは幅広く昭和の歌が流れていて、自分を含めたおじさん・おばさんたちも大満足だ。
ただ、刑事役で登場する春風亭昇太はどうなのだろうか。この人、落語家だけにカーテンコールの時の小話は強烈に面白かったが、役者には向いていない。台本もそれを見越してせりふをかむというのをギャグにしていたのだが、ちょっとかわいそうで見ていられない感じだった。

自分としては、スーパーエキセントリックシアターの舞台の方がギャグに切れがあって「あー、おもしろかった」と劇場をあとにできる。切れが今ひとつだったのは、役者さんが年を取ったためとは思いたくないなあ。

パスキュア

パスキュア

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い…お薦め。
10年振りに再開した2人の追想を通して描かれる人生の応援讃歌。その「再生と希望の物語」は、今を生きる人々へ勇気をあたえるかのよう。

説明にあった、リーマンショックの経済的混乱や東日本大震災といった喪失感を背景にしているようだが、敢えて劇中では その状況を色濃く描くことはしない。それによって時代に関係なく普遍的な課題・問題として捉えることが出来る。そして、むしろ 今のコロナ禍を意識したように思える。
底流にあるのは、いつの時代にも付きまとう様々な困難や苦悩に対する激励と労わり。「モラトリアムに陥ってしまったすべての『心』を優しく包む」という謳い文句は肯ける。

物語は分かり易い設定で、テンポ良く展開していく。しかも方言で紡ぐため、何となく温かみと親しみをおぼえる庶民感覚。そして、中村有里さんのSaxoPhoneの演奏は勿論、劇中の演出(役割)としても見事な効果を発揮していた。
さて、説明にある とある墓地、そこには登場しない人の墓が…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)22.6.2追記

ネタバレBOX

客席はコの字の囲みで、中央のスペースが舞台になる。客席がない所に舞台転換によって搬入させる小道具が置かれている。冒頭は塩屋家之墓(仏花)と坂本家之墓(墓前に小石) その向かいに小さい鈴木家之墓とベンチ。ただ、塩屋という人物は登場しないが、この人物こそ物語の登場人物の集合体というか凝縮した人物を表しているようだ。当日パンフに「本公演を、亡き塩屋俊監督に捧げます」とあり、その経歴こそが登場人物に背負わせた内容であろう。

冒頭シーンは、10年前 病院で出会った男女2人の思い出話から始まる。場面は転換し可動式のベットや吸入器を搬入し病室内を作りだす。4人部屋で既に3人がベットを使用している。この場面転換時に、中村さんがSaxoPhoneを演奏し、観客の気を逸らせない。薄暗い中での場転換作業、その最中 舞台真ん中でスポットライトを浴び演奏する姿は凛々しくカッコいい。しかも転換後、病室内の患者から「うるさい!外で吹け」といった罵声を浴びせられ劇中に取り込む巧さ。そそくさと退場する姿がまた愛らしく、演奏時とのギャップに驚かされる。

3人…肝臓を患っている、石材店を営む社長の坂本(梶原涼晴サン)、腫瘍で余命数か月の平野(山本龍平サン)、全身火傷の鈴木(北見翔サン)で、それぞれ事情を抱えて入院している。そこに右腕を骨折した大学(医学部)受験生・小出(林佑太郎サン)が入院してくる。命に係わる患者と複雑骨折だが命に別状ない患者が同室になる違和感、実はこの4人で少しづつ塩屋氏の人物像を描いているよう。笑いと涙で感情を揺さぶり、熱い思いで痺れさす。

坂本は、事業に失敗し従業員の行く末と当面の暮らしを心配し、各所に電話をかけまくる。そして自分の死を早め、生命保険金で補おうと目論む。平野は、余命数か月のうちにアルプス山脈に属するマッターホルンに登頂したい。亡き母の思いも重ね、夢・希望を追う。この2人、表面的には言い争っているが、実はお互いを心配している。鈴木は消防士、自分の父を火事で亡くし、その想いが他人の子供の命を助けるために火中へ飛び込む。小出は、右(利き)腕が使えないため数日後に迫った大学受験を諦める、そんな自暴自棄な態度に周りの患者が励ます。また別室の女性患者・山田(岩崎紗也加サン)は、乳がんに侵され手術することを逡巡しているが、平野との愛を確かめて決心する。冒頭の2人の男女は、10年後の小出と山田が今も元気に生きている。が、その小出が、また今の仕事や生き様に…。

塩屋氏は、50歳代で急逝した映画人・演劇人。1本だけ彼の映画を観たことがある。当日パンフに「環境なんてどうだっていい。芝居さえ良ければ。」とは彼が俳優に遺してくれた言葉だとある。全編、彼の郷里である大分弁、親しみのある言葉(台詞)は胸にグッとくる。彼の個人事務所は破産、東北公演の最中の突然死、しかし後進の育成に力を注ぐ夢と希望を抱き続ける、は登場人物達そのもの。ちなみに彼は、文学部教育学科卒である。

キャストの演技バランスはよく、看護師(伊織サン)は初舞台だが手堅く演じ、研修生(甲斐直人サン)はそそっかしい仕草から成長していく様が見える。すべてのキャストに、手遅れにならない人々どころか、真摯で熱量ある見事な演技が観えた。
次回公演も楽しみにしております。
ひび割れの鼓動-hidden world code-

ひび割れの鼓動-hidden world code-

OrganWorks

シアタートラム(東京都)

2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

 真っ黒な空間に、大きな白い布に覆われた大きなステージがあります。よじ登るのに少し苦労するぐらいの高さがあり、パフォーマンスは主にその上で行われます。ステージの周囲にはまばらに、細長い白い棒が数本、刺さっています。棒高跳びの棒のような長さで、白樺の木々のよう。卒塔婆に見えなくもないです。

 白いコートを羽織る俳優2人(薬丸翔と佐藤真弓)は言葉を使います。その他のダンサーたちの衣装は体にややフィットするデザインで、色合いは淡い灰色のグラデーションです。彼らは無言でした。言葉を操る人と体を操る人という2つのグループに分かれているように見えました。

 当日パンフレットに、振付・構成・演出・出演の平原慎太郎さん、テキスト・ドラマターグの前川知大さん(イキウメ)の文章が掲載されており、今作のテーマである「コロス」の解説もありました。顔写真入り、プロフィールありの出演者紹介ページもありがたかったです。

※劇場ロビーで制作さんが私の足に気づいて(びっこを引いていた)、移動しやすい席に変更してくださいました。もう…涙出そうだった…。ご親切に感謝いたします。本当にありがとうございました!シアタートラムがもっと好きになりました。

ネタバレBOX

 6つのチャプター(章)から成る作品で、チャプターごとに題名がついており、字幕表示されます。俳優2人は会話をしているようですが、どこで、何のために、誰に向かって言葉を発しているかが不明瞭なことが多かったです。どこかの曖昧な対象に向かって投げかけられて、そのまま消え入ってしまいそうな言葉が浮かんでいました。相手に向かって話しているように見せかけた独り言のよう。彼らの所在なさげな姿もその印象を強くしていたかもしれません。空間は閉じていないのに、逃げ場のない窮屈さを感じました。

 ダンサーの振付は見た目の美しさを目指すのではなく、互いの存在を確かめ合うために手探りをする過程を、そのまま見せるような印象がありました。俳優とダンサーの存在の仕方が私にはまるで違うように見えており、触れ合ったり、アイコンタクトを取ったりしていても、それぞれが別の世界の住人のままで、この演出の意図しているものが何なのかを探りながら観続けることになりました。

 「chapter 4」のステージの下で踊るデュオ(東海林靖志&高橋真帆)がとても刺激的でした!誘い合っているような、戦っているような…敵か味方か判別のつかない関係性がスリリングでかっこよかったです。高橋真帆さんは視線に力があり表情も豊かで、目が奪われました。

 終盤に入り、俳優に応える形でダンサーがセリフを発した途端、ダンサーたち全員がいわゆる「コロス」に見え始めました。サスペンス・ドラマの謎が解けた瞬間のような高揚感があり、束の間の祝祭ムードも感じました。
 ステージが布に覆われていく様子は何かを葬っているようで、積み重なっていく地層を想像しました。
オロイカソング

オロイカソング

理性的な変人たち

アトリエ第Q藝術(東京都)

2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了

実演鑑賞

 上演時間は約1時間50分。終演後に「CoRich舞台芸術まつり!2022春」最終選考対象作品であることの紹介と、「こりっちにクチコミしてください」というアナウンスあり。ありがとうございます!

 小さなカフェのような空間での、5人の女性俳優によるお芝居。フル稼働状態の俳優のアンサンブルを、ほぼかぶりつきで観られるのは小劇場の醍醐味です。しかも皆、演技が達者ときた!幸せ!
 
 20代後半の女性・結子(滝沢花野)は10年前から音信不通になっている双子のかたわれ・倫子(西岡未央)を探して、ライター・カメラマンの女性ルーシー(万里紗)を訪ねます。双子と、その母・弥生(佐藤千夏)と、双子と弥生を育てた祖母・オト(梅村綾子)の生活を回想し、倫子が抱える秘密がやがて明らかになります。
 
 双子を演じた滝沢花野さん、西岡未央さんは1人の女性の幼少期から思春期、そして成人後を演じ分けます。役の成長による変化のグラデーションがきめ細やかで、それぞれの時代の双子の気持ちを信じられました。
 心の傷は怒りをともなって、倫子を突き動かしていきます。西岡さんは秘めたマグマを想像させる冷静さにリアリティーがあり、やがて暴発にいたる経緯に切実な痛みを感じさせてくれました。

 お芝居全体については少々雑然とした印象があり、進行に危なっかしさを感じたところもあったので、欲を言えば、いつか同じメンバーで上演を重ねてもらえたらいいなと思いました。
 終演後のロビーでは作中人物(倫子)が製作したとされる作品(動画)を販売していました(通常1000円のところロビーでは500円)。希望者へのコンドームの配布もありました。

ネタバレBOX

 舞台奥に組み立て式の簡易家具が並べられており、テーブルや椅子を移動して場面転換します。俳優はほぼ出ずっぱりで、さまざまな役を演じ分けていきます。出番ではない時は舞台面側の上下(かみしも)にスタンバイ。衣装はデザイン違いの白色で統一し、たまに着替えます。日常生活を自然に再現したり、敢えて大げさな演技で戯画化したり、回想場面を眺める人物がいたり、観客に話しかける場面があったり。演技の種類はさまざまで、演じ分けも含め、切り替えが早いです。

 舞台は妊娠、出産、子育て、家事を女性が担うのが当たり前という認識がはびこっている日本。昭和から令和にかけて、双子の女児(結子と倫子)とその保護者(母と祖母)という三世代の日本人女性の半生をたどり、日本に暮らす女性が受けてきた差別、強いられた無償労働の実態を、現代とつながる形であぶり出していきます。

 シングルマザーの弥生は貧困ゆえ労働時間が長く、祖母・オトの力を借りてしか、双子を育てられませんでした。上司に誘われた飲み会を断れない、働きづめの弥生は男性会社員とも重なりますが、彼女は女性だから昇進できません。もともと、弥生はオトの姉が産んだ子で、姉が死んだためオトが引き取って一人で育てました。母子家庭が二世代続いたんですね。

 倫子は幼少期に中年男性から性的虐待を受けて、人生を狂わされてしまいました。彼女の成長を追っていくことで、性暴力サバイバーの筆舌に尽くしがたい苦悩が伝わります。性暴力への無理解、被害者への二次加害等に立ち向かっていくノウハウを、「プリキュア」の戦闘場面にしつらえて紹介するのが面白いです。重いテーマをなるべく軽快に伝える工夫が効果的でした。

 成人女性が「プリキュア」のコスプレ(衣裳は手作り感あり)をしてシャカリキに頑張る場面は、笑いを狙ったものだと思いますが、心の傷から噴き出し続けている血を、道化を演じることで隠しているようにも見えて、涙が出ました。「戦隊もの(紅一点の女性はピンク色の衣装で、男性の補佐的な役割)」を見て育った私と、女の子ばかりの集団が活躍する「プリキュア」を見て育った若い世代とでは、見えている世界が違いますね。
 ※「戦隊もの」と「プリキュア」の間に「セーラームーン」世代もあり、また違うらしいです。

 結子は植物が好きで、種を育てる仕事をしています。彼女は、女ばかりの4人家族は花瓶に閉じ込められているようだったと回想していました。花瓶に活けられた花に自由はありませんよね。舞台面側に、造花を挿した花瓶(たぶん5つ?)が横一列に並べられていました。最後の場面では、俳優たちが花瓶から花を1輪ずつ取り出し、思い思いの持ち方をしていました。花瓶から飛び出し、地面に足をつけて根を張って、それぞれが自立して生きていく姿を見せたのだと思います。

※長い目のあらすじはこちら↓に書きました。
https://shinobutakano.com/2022/05/31/20049/
 “Na”

“Na”

PANCETTA

「劇」小劇場(東京都)

2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

 2020年3月に上演予定だった作品の延期公演です。購入した台本によると、半分ぐらい差し替えることになったそうです。2年の歳月を経てブラッシュアップされたんですね。

 「名前」をテーマに、だじゃれを駆使してエピソードを積み上げていく短編集。お揃いのつなぎのユニフォームを着た出演者、演奏者たちが、マイムや歌などで楽しませるコント集と言ってもいいかもしれません。4つの灰色の箱が小道具、大道具を兼ねます(個数はうろ覚え)。

 抽象美術・小道具で衣装も匿名性が高く、作品全体のクオリティーは生身の俳優の演技次第と言っていい舞台です。役作りの手がかりが少なく、衣裳の助けもほぼ得られず、道具なしの場面もありますから、観客に見せたいものをきめ細やかに実現させるには、つま先から頭のてっぺんまで意識を行き届かせる演技が求められます。

 「名(名前)」がテーマということで、チケットは名刺型の小さなカードでした。残念ながら老眼が進んでしまった私には、文字が読めなかった…。カードに記載されたQRコードから当日パンフレットがわりのウェブサイトへ。顔写真を見ればわかるとはいえ、出演者が何役を演じたかのテキスト情報は欲しかったですね。稽古場インタビュー動画を見ればいいってことかしら。

 ロビーの物販では脚本、Tシャツ、サコッシュなどが充実していました。規制退場あり。小劇場で出来得る限りのコロナ対策をしてくださったように思います。ありがとうございました!

ネタバレBOX

 前述しました通り、出演者への負荷が高いので、細かいところが目についてしまうんですよね…。小劇場で舞台と客席が近いのもあって、演技もダンスもよく見えて、おぼつかないところが気になりました。ネタが少し冗長に感じることもありました。

 生演奏(歌、ピアノ:加藤亜祐美、歌、チェロ:志賀千恵子)が楽しかったです。「いいなハケられて」「私たちもハケたいのに」と歌い、出ずっぱりの辛さを訴えます(笑)。「私たちはツナギを着てる。でもこの曲はツナギじゃない」というだじゃれも微笑ましかったですね。「この曲には名がない」と明かし、その場で観客に名前を付けてもらう趣向も、柔らかいムード作りに成功していました。

 青いツナギを着たアオヤギ(はぎわら水雨子)は動物の山羊ですが、呼び名を耳にして漢字の「青柳」が思い浮かんだのが面白かったです。はぎわら水雨子さんは、とぼけた味わいを醸しながら、悲しみ、切実さを真っすぐに届ける演技が好印象でした。

 代筆された手紙を恋人に届けるのは『シラノ・ド・ベルジュラック』からかしら。
 王様は、番号で呼んでいた召使に名前をつけます。名をつける行為によって、召使がかけがえのない1人の人間に変わる瞬間がありました。

Set list
1.Become a King(王様ゲーム)
2.Ko So A Do(暗闇で遭難)
3.Called “Sensei”(先生:医師、弁護士、議員…)
4.Blue Goat(羊のなかに一匹の青いヤギ:アオヤギさんたら読まずに食べた)
5.Number(王様の召使の名前は番号)
6.No Name(生演奏:観客に曲名をつけてもらう)
7.Named(アオヤギが王様からナナコ宛ての恋文を届ける)
透き間

透き間

サファリ・P

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

 コロナゆえの自粛生活中の、久しぶりの観劇でした。私はこの公演を仕事の一環として拝見しています。
 ロビーも広いし客席も余裕があって…シアターイーストっていい劇場!1人ひとりの観客に丁寧に、でも邪魔にならないように接する会場案内の方々の気遣いが尊い(涙)。場内案内係の方々のアナウンスがマイク付きで、よく聞こえました。マスクの上からフェイスガードも被られてますものね。ダンス関係者っぽいお客様が多かった印象あり。そういえば東京芸術劇場の「芸劇dance」という枠組みの公演でした。ダンス好きな人たちっておしゃれな人が多いですよね~♪

 先にご覧になった方が「観る前に当日パンフレットを読んだ方がいい」とツイートされていたので、隅から隅までしっかり読んでから鑑賞。それが功を奏しました。読んでいなかったら最初から最後までチンプンカンプンだった可能性大!終演後に上演台本(500円)を購入しました。

 パンフ掲載の「カヌンとアルバニアの文化」(ブレンディ・バロリ+アルバナ・バロリ)に、アルバニア北部に500年以上前からある独自の掟「カヌン」の解説がありました。「血の確執と復讐の支配」は衝撃的ですが、それは「カヌン」の核心ではないそうです。まず「個人の名誉が大原則」で、その次が「人の平等」。「与えられた言葉(誓い)」、「約束の神聖さ」、「客と友人への敬意(おもてなし)」も原則に含まれています。多くのアルバニア人のメンタリティーでは「法律とその執行は義務ではなく交渉できるもの」とされていることに驚きました。私が親しんできた価値観とはかけ離れたものが現存、機能していることを知って、かなり心を動かされました。

 開場時間はそんな充実したパンフを読みながら自省する時間になりました。場内には密度の高い空気が満ちていて、出演者もスタッフも準備万端なのだなと思いました。そして開演するなり未知の世界に没入させてもらえました。パフォーマンスに迷いがないんですよね。静かに集中している周囲の観客のおかげでもあったと思います。終演時の拍手も観客の気持ちが伝わる、それぞれの音が響きました。

 私は客席に居て、我を忘れていいんだよと劇場に許してもらえて、存分に思考を開放しました。とても刺激的で、幸福な体験でした。安心・安全な環境だからできることです。劇場で、あの日、同じ時間を共有していた方々に感謝します。

ネタバレBOX

 場内はブラックボックスで、客席の配置は通常通りのプロセニアムです。舞台には腰ぐらいの高さの黒い四角い台が、横方向に4列、奥方向に4列、合計16台並んでいます。ちょっと不気味です。出演者は主に台の上と、台と台の間の通路でパフォーマンスをし、通路を飛び越えて台を移動したりもします。

 台の上に小さな手が次々に生えてきて、生命の誕生を表しているかのよう。手が木々となり、やがて人体、いや死体になっていきます。死体をかき分けて生きる男(歩く人役:達矢)と、ある女(妻役:佐々木ヤス子)が一目惚れ。この瞬間がとても鮮烈でした!

 出演者5人は作業着、戦闘服のような衣装で、女性は佐々木ヤス子さん1人だけです。夫婦役の2人の髪には明るい色のメッシュが入っていて、他の登場人物と区別しやすかったです。夫役の大柴拓磨さんのダンスが上手い!

 二人一組で馬になるのが面白いです。馬に見えちゃうのが凄い。男たちは粗野で心の奥に荒野が広がっているよう。彼らのむき出しの暴力表現が残酷で、戦争になると男は兵士というモノにされるのだなと思いました。女が男たち全員を背負う場面は、男たちがいなくなった世界に残された女が、全てを背負わされることを表しているように思いました。

 佐々木ヤス子さんが素晴らしかったです。視線を含む目の演技も、表情もはっきりしていて、今、妻役に何が起こっているのかが伝わりました。年を取って老婆になったのもわかりました。馬がセクシー!自分の意図に反して体が動くことに抗う振付では、気持ちと体が分断されている様に見入りました。

 上手奥の天井からぶらさがっている、いくつもの白い風船を包んだ袋は、何なのか全くわかりませんでしたが、ふと、パルコ・プロデュース『ゲルニカ』で描写されていた、木にぶら下げられた死体を思い出しました。男たちの遺体なのか、昇天していく魂の群れなのか…この世とあの世の間に浮かぶ何かを可視化したのではないかと考えました。見たくない、または見てはいけない、でも確かに存在するものとして。

 私は「カヌン」を全面的に支持するわけではありませんが(復讐も男尊女卑も怖い)、人間が交渉すれば法の執行を免れる可能性を残しているのは、尊厳ある人間同士に起こることに敬意を払い、ルールよりも人間を信じているからだと受け取りました。この舞台では人間が、厳しい掟や未知の世界に挑戦しようとしていて、出演者は人間ではないものに何度も変化し、形のないものを形にしていました。演技とダンス、そして演出に、手の届かないものに手を伸ばす高い志を感じました。

 このような受け止め方や解釈ができたのは、開場時間に当日パンフレットを熟読できたおかげです。読んでいなかったらと想像すると…ちょっと怖いですね。開演前のロビーや場内で、観客向けの作品解説の時間があればよかったのではないでしょうか。SPAC-静岡県舞台芸術センターがよく実施しています。東京公演初日の夜の回は終演後にトークがあったので、それを聞いていればまた違った感想になったかもしれません。
ハッピーママ、現る。

ハッピーママ、現る。

きまぐれポニーテール

YouTube(北海道)

2020/09/20 (日) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

2020年秋から昨年1月まで配信されていた、きまぐれポニーテールの無観客公演「ハッピーママ、現る。」。観逃していたのが、先月期間限定で再公開されていたので拝見。2017年の艶∞ポリス版も観たけど、こちらも楽しい舞台。

関数ドミノ

関数ドミノ

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/05/17 (火) ~ 2022/06/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前列の方が開演30分で寝始め、頭を左右にこっくり振りはじめ
少し邪魔でしたが、イキウメの舞台なので仕方がないと割り切って観劇。

今回の関数ドミノは、比較的わかりやすかったので理解でき観やすかった。
再演で内容が変わっているらしく何どう変わったのかやはり気になりました。

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