実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/14 (金) 19:00
座席1階
漫画家の内田春菊による書き下ろし。若い女性が男尊女卑激しき落語界に飛び込んでいく物語。内田春菊だけでなく、主宰のペーター・ゲスナーも落語家役で登場する。
ペーターが開演前に劇団員の小さな男の子を抱っこして客席へ案内してくれた。すっかりくつろいでいるので演出家はバックヤードかなと思ったら、しっかりと出演していた。
中心となるのは、高校卒業後「落語女子大学」に入学する「蜜子」役の後藤まなみだ。セーラー服姿で高校生として登場したかと思えば、最後はいっぱしの落語家として高座に上がる。切れのある動き、よく通る声。この力演が舞台を支えている。
落語界だけではないのは、近年の有名歌舞伎役者の狼藉ぶりが示しているが、師匠に弟子入りするという徒弟制度はやはり、セクハラ・パワハラの温床らしい。本来であれば「落語女子大学」の講義で取り上げるべきだと思うが、舞台では学生同士の話の中で語られる。「芸のためなら女房も泣かす」というのはもはや通用しない。こうしたところをビシッと突いているのが内田春菊の台本の切れ味のいいところだろう。
ラストシーンまでどんでん返しなく進んでいく。もうひとひねりあってもよかったような気がする。