最新の観てきた!クチコミ一覧

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たぐる

たぐる

ここ風

テアトルBONBON(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本日、観劇してきました。何度か拝見してるここ風さん。いつも通り、丁寧にかつ年密に創られていて、2時間弱があっという間に感じるほど物語に入り込みました。少しの不思議は余韻を残し、その中に心暖まるシーンが、盛り込まれてほんといい時間を過ごせました。また、いい時間を過ごしにいきたいと思います

ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

土曜日の11:00からの[白いゴンドラ]を鑑賞させて頂きました。
妙に理屈っぽい無職の兄と、要領が悪く天然でちょっと謎めいたヘルパーさん、普通の感覚をもつ兄思い妹の3人だけの舞台。正直観るまでは、出演者がたったの3人で、舞台も必要最小限の小道具でちょっと不安でしたが、3人の何とも不思議な会話のやりとりに、何度もくすっとさせられる、期待を大きく上回る舞台でした。脚本も素晴らしい(ことば選びが絶妙)上に、キャストの3人もぴったりのはまり役という感じで、その世界観に最後はどっぷりはまってしまいました。
ちょっと短めの80分という尺もちょうどいい感じで、いっきに最後まで心から楽しめた舞台でした。土日の11:00からという初回の公演開始時間も、その日の観劇後の午後の時間を有効に使えるという意味でGoodでした。意外なヘルパーさんとお兄さんとの関係には、自分だったら・・・と、ちょっと考えさせられました。この話しの続きはどうなるのでしょうか。気になります。
初めて見る団体でしたが、是非次回も見たいと思えた見るべき1本だと思います。できれば白だけでなく違う色も見てみたいです。

ナイゲン(2022年版)

ナイゲン(2022年版)

Aga-risk Entertainment

駅前劇場(東京都)

2022/06/21 (火) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/06/25 (土) 14:00

文化祭の内容に対して、熱い議論が目の前で展開されて、引き込まれた。
登場人物それぞれの性格が面白おかしく表現され、ストーリーと相まって面白かったです。

たぐる

たぐる

ここ風

テアトルBONBON(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

開演前の薄暗い舞台上のセットからもう引き込まれた。変にはしゃぐこともせず、淡々ともちょっと違う、とても緻密に綴られる数日の出来事。いい時間だった。

BELLA NOTTE

BELLA NOTTE

DANCETERIA-ANNEX

大倉山記念館(神奈川県)

2022/06/21 (火) ~ 2022/06/24 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/06/24 (金) 15:00

役者のレベルが格段に上がっていて、物語に入り込めました。
やっぱりダンテリの作品は素晴らしいです!

もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

お伽噺 桃太郎をベースにした寓話のようだが、話の展開は違うもの。何方かと言えば現代的な問題を前面に出し模索若しくは自省しているよう。しかし、まぁ理屈で考えるより観たまま素直に受け止め、楽しみたい作品。

「文句」という感情を切り口にして、発想の転換によって思考や物の見方が変わる、といった内容がストレートに伝わる。訴えたい内容は分かり易く、更に視覚的に面白可笑しく観せる演出の工夫、そして主人公もんくちゃん役の ゆでちぃ子。 さんの独特の雰囲気、それら全体をもって物語の世界観を醸成している。
さて、もんくちゃんが言うところの「世界を救う」とは…。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)6.26追記

ネタバレBOX

舞台セットは、奥を一段高くし、色違いの箱馬が置かれている。中央に花道、冒頭は桃の張物がある。上手 下手は敢えて非対称の張物絵柄。上手正面は雲、側面は高層ビル群、下手正面は太陽、側面は大木が描かれている。因みに箱馬の色は青と赤であり、格闘技のコーナーを表しているよう。

物語は、ストーリーテラー(絵本の読み手のよう)が話を分かり易く案内してくれる。おじいさんと きくちゃん(おばあさん)が、仲良く暮らしていたが、長年一緒にいれば喧嘩することもある。つい強い口調で詰ることもあるだろう。おじいさんは「文句」を別の言い換えが出来ないか考える。そこで知り合った もんくちゃんに「文句」集めを依頼する。斯くして もんくちゃんはピンクの上着を着て街に出かける。街には相手の意見に逆らえない人(犬井)、自分の考えがなく、言いなりになる人(猿渡)、誰とも関われない孤独な人(雉谷)がおり、その3人が抱えている心の問題が見えてくる。一方、鬼と称される人達は、高圧的に命じる(青鬼)、情実に訴え言いなりにさせる(赤鬼)、そして無視を決め込む両鬼として対峙(退治)させる。この構図は、社会問題にもなっているハラスメントを表している。それぞれの立場を鮮明にした戦い(ディベートみたい)が始まる。この時の観せ方が面白可笑しく秀逸だ(カーテンコールで表現に注意してとあり)。

ハラスメントを受ける人たちの特徴、文句を言われ傷つきたくない、優しいだけで自分の意見が言えない、自己表現せず自分の殻に閉じ籠ってしまう。「文句」=「意見」に置き換えることで違った印象を相手に持たれる。発想の転換によってネガティブがポジティブへ、といった表現が…。しかし行き過ぎた正論もまた怖い描き方をしている。鬼退治=仕返しが出来たことによって、今度は逆に苛めの側に立つ。負の感情の連鎖は止まることを知らない、人の弱さを露呈する。単純に「文句」を「意見」に置き換えただけでは世界は救えない。しかし意見を言わなければ、世界が(何事も)変わらないのも事実だ。「世界の終わり」を「世界を救う」へ導くことは並大抵のことではない。その問題を観客に投げかけているようだ。

演出は全体的にポップで、時に漫画調になる。描かれている内容は重く厳しいものであるが、そこは上手い演出とキャスト陣の演技で楽しんで観ることが出来る。公演は絵本と異なり、ストーリーテラーがもんくちゃんの代わりとして、物語に入り込む。困ったら他人に押し付けてしまう、そんなもんくちゃんの弱さを描くことも忘れない。
先の演出と相まって童謡 唱歌「桃太郎」が実に効果的な音楽として流れる(ピアノ)。
次回公演も楽しみにしております。
もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

文句でなくて意見を言えばいいんだけど・・・これがなかなか難しい
桃太郎のストーリーに引っ掛けた寓話となっていたがなかなか面白かった
もんくちゃんが天真爛漫でコケティッシュでかわいい
もんくちゃんとストーリーテラーの表情が良かった
ライティングが印象に残った

ネタバレBOX

なんか学芸会風のセットだなと思ったら、それがホワイトボード化して文句を書き連ねられるとは!
JACROW#28『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』

JACROW#28『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』

JACROW

座・高円寺1(東京都)

2022/06/23 (木) ~ 2022/06/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/06/24 (金) 19:00

JACROW得意の企業モノ。面白い。124分。
 とあるアパレルメーカーのプロジェクトチームが開発したものを上司に否定され、さてどうしようと悩む主任(川田希)(ここまでで30分)。大企業に残ってプロジェクトを形にしようとするのか、独立して自分の思うものをそのまま形にしようとするのか、という2つの選択の、それぞれの展開をその後で2通りに展開する、まさに牛後か鶏口かの行く末を描く。会社の仲間という公的な側面と、家族と一緒の私的な側面が巧くミックスされ、それぞれの道もそれなりの説得力がある。川田が悩みつつ前に進む主人公を好演。ベテランの谷中恵輔は企業モノでは嫌な上司を本当に巧く演じる。すごいなぁ(^_^;)。

ゴンドラ

ゴンドラ

マチルダアパルトマン

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

[黄色いゴンドラ]を鑑賞。
学力や知能は高いけど社会性が低く理屈っぽい無職の兄と社交性があり天然だけど頭と要領が悪く物事に疎いヘルパーさん、言葉は強いけどバランス感覚があり優しさを内に秘める妹の3人の物語。

それぞれの人物造形が巧みで物語に破綻がなく引き込まれる。特に小悪魔的に兄の心を揺らす小久音さんが当て書きのようにマッチしていた。約80分という上演時間も過不足なく丁度良かったと思う。

ネタバレBOX

ジャンポケ斉藤氏が最近「いじめられている側は一生忘れない。僕は一生恨んでいます」と告白していたことを思い出した。私自身も中学生時代にいじめにあったことがあるので、兄の「いじめは過去の出来事ではない。現在進行形で自分の中にある」というセリフにとても共感した。

ヘルパーさんがカバンから手帳を取り出す度にレシートやら何やらがバラバラと床に落ちるシーン、これだけで彼女がどういう人物なのかが分かって小さいけど見事な演出だと思った(そして私も「ちゃんとしまえよ!」と内心イライラした)。
小刻みに戸惑う神様

小刻みに戸惑う神様

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

実演鑑賞

前回の「たましずめ」の時にも感じたことだが、なんだかふわふわしていて捉えどころがない作品だなという印象。何故だろうという疑問がぬぐえなかったので両作の作家、はせひろいち氏について検索してみた。すると今作のジャブジャブサーキットの公演時のはせさんのインタビュー記事が目に留まった。《最近、起承転結とか、観客を伏線とかで引っ張り込んでおいて、ここでこう見せよう、みたいなのが嫌で嫌で。》と語っておられた。そうか、それで合点が行った。私は起承転結があって伏線が張られて、回収されて...という「物語」に慣れ過ぎてしまっていたために違和感を覚えたようだ。長いこと観劇してきたつもりだが、今回、新鮮な驚きがあったと同時にこの作品の滋味を感じられなかった自分が情けない。

たぐる

たぐる

ここ風

テアトルBONBON(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

愛すべきキャラクターが揃っていて、観ていてこういう芝居が一番楽しい。それに笑いのタイミングとセンスが絶妙で飽きさせない。(ふいに挟んでくる小ネタも外れなし)多数の人物が登場するシーンではにぎやかでスピーディーに展開、二人のシーンでは静かにスローで、と緩急も巧い。単なるコメディかと思いきや、終盤ほっこりしたり、しんみりしたり。お薦めです!

ネタバレBOX

亡き父が可愛がっていたイルカの化身の登場や、彼(久右エ門)が一花に(亡き父のコレクションである)貝殻の入った瓶を手渡す辺りはファンタジーの様相を呈しているが物語上の違和感を感じさせない。それはこの物語がすべてを許容し優しく包み込む力を内包しているからに違いない。
たぐる

たぐる

ここ風

テアトルBONBON(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

しんみりときました。

ネタバレBOX

ほんとうに、自分が、その庭にいるかと錯覚してしまうような、いい雰囲気で話が展開していきました。やや難しくも感じられた全体の個々の人のつながりが、少しずつ明らかになり、つながっていくのは、興味深いのです。人のこころの温かさがしみじみとしみてくる感じでした。まだ、物語が続きそうな雰囲気の中で、これからどうなるの・・・と思わずにいられない中で、終わるのは、なんともいえません。燃焼しきれていないように感じる部分はあるものの、味わい深い感が出てきていいですね。
たぐる

たぐる

ここ風

テアトルBONBON(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

約2週間前に体調不良で降板が発表された三谷建秀氏。代わりに脚本・演出の霧島ロック氏が浜辺のバーのマスター役を兼ねた。これが流石に何の違和感もないもので、三谷氏バージョンだったらどういう構想だったのか気になるところ。

東京から田舎の海辺の家に独り越してきた元女医・市橋一花(もなみのりこさん)。寺島しのぶを思わせる凛とした独身女性。元同僚(天野弘愛さん)とその息子(岡野屋丈氏)、元患者(はぎこさん)が遊びに来る。更にリョウと云う男に会いに訪れるフリーライター(岸本武亨〈たけゆき〉氏)や勝手に家に入ってくるイケメン久右ェ門(花井祥平氏)。彼女に密かに恋する地元の床屋(?)の斉藤太一氏。記憶喪失のインド人ジョニー役の香月健志氏は最高だった。

何の変哲もない数日間で綴られるのはまさに文学で、作家の創作意図の深さに驚く。誰もが誰かに赦されたがっていて、一体何をすればいいのか判りはしない。けれども何かをせずにはいられない。この物語の全体像が見えた時、観客はこらえきれぬ涙を零す。是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

はぎこさんは男性役かと思った程ずけずけとした関西弁、痛快なキャラ。ウクレレも巧い。(弾く真似か?)
久右ェ門の由来は『オバケのQ太郎』と『ドラえもん』であろう。リョウが拘る娘に嫉妬し、貝の瓶を隠し沖に出たイルカ。そのせいで海難事故に遭ったリョウを救けられなかった悔い。

前半は設定が雑でキャラもイマイチ跳ねない。ワンシチュエーションに拘ると手詰まりになるのか。なかなか話が核心部に行き着かない閉塞感。それが後半、フリーライターの「自分は蜘蛛を殺したことがないんです。」から、一花が「カンダタ?」となって芥川龍之介の『蜘蛛の糸』に話題が飛ぶ。ああ成程タイトルの『たぐる』とはここから来ているのか!どうしようもなく駄目な屑が地獄の底から這い上がる唯一の希望、お釈迦様のお遊びの蜘蛛の糸。誰かの為に自分を犠牲にすることで少しでも己を浄化出来ないかと夢想。無論今更何をしたところで何一つ取り返せはしない。それでも心は痛み苦しみ何かをせずにはいられない。自分の罪が赦される道筋が何処かにないかと。足掻いて足掻いてのたうち回って死んでいく。パーゴラの下で皆が愉しげに一花とリョウの誕生日を祝う酒宴、それを見ていたのかいないのか、『真夜中のカーボーイ』のように死んでいくフリーライター。彼はリョウに自分自身を仮託して、蜘蛛の糸を手繰る方法論を探っていたのだ。

登場しない亡父リョウが舞台上に確かに浮かび上がる。
筋肉少女帯の『戦え!何を!?人生を!』が流れるよう。
もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/06/24 (金) 19:00

105分。休憩なし。

もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本団体さんは何度か拝見させていただいていますが、少し不思議ででもなんだか心に残る。そんな感じで結構好きです。今回も、不思議な展開のなかで、でも分かりやすいお話が進んでいき、面白かったです。

何待ってんの?

何待ってんの?

ほっぺ向上委員会

新宿眼科画廊(東京都)

2022/06/24 (金) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。とても。

「星灯り〜2022ver.〜」

「星灯り〜2022ver.〜」

TEAM 6g

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この劇団さん,何回か観ているんだけど,いつも思いに溢れて素敵な芝居を見せてくれます。最初から物語に引き込まれ,最後まで途切れることはありません。2時間超ですが,これはすごいです。いくつもの思いが押し寄せるこの観劇は,やはり実演鑑賞じゃないと味わえないんだろうなぁ。とにかくおススメの舞台です。

ネタバレBOX

ラストで客席天井にまで広がる星明りは感動さえおぼえます。
もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

もんくちゃん世界を救う

もんくちゃん世界を救う

U-33project

王子小劇場(東京都)

2022/06/22 (水) ~ 2022/06/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 お伽噺「桃太郎」をベースにした作品だが、この噺をどう解釈するかが最初の関門であるのは自明だ。現代の思考傾向に照らせば鬼ヶ島の鬼たちとは、即ちかつて現為政者に連なるような勢力或はイデオロギーに敗れた勢力であり、負けたが故に被差別者として機能させられてきた人々の集団であると捉えられる。鬼即ち邪悪・凶悪であり、勧善懲悪説の悪者である。従って退治されるのは当然である。何故ならその者達は悪に過ぎないからである、と斯様な意識の下どんなに酷い仕打ちを「正義」から受けようが「正義」が批判の対象となることは無い。
 上述のような立場から今作を観る者にとって今作は極めて哲学的な作品であると言わねばならない。その哲学が結果的に至り着いている地点は、少なくともサルトルが至り着いた主要な地平の内、最も大切な地平のレベルの1つである。(追記6.27 )華5つ☆

ネタバレBOX

 板上の舞台美術は奥に高い段そのセンターから迫り出す突堤のような低い段。高い段の奥の中央に出捌け用のスペースをとって書き割が立てられている。下手の書き割には樹木や太陽が。またホリゾント、側壁にも樹木が描かれ自然を象徴している。上手の書き割にはビルディングに雲が。下手とシンメトリックにホリゾント及び側壁に人工を象徴するビルディング。書き割の手前には大き目の箱馬が1つずつ置かれ色はそれぞれ青と赤。オープニング場面では巨大な桃が突堤の根元真ん中辺りにデンと置かれている。
ちょっと変わっているのがストーリーテラーとして1人女優が登場することであるがこの演出はお伽噺の新解釈を提示する仕掛けとして作家が問題提起する姿勢を示しているようでもある。
 さて今作では桃太郎に登場するキャラを3つの属性で示したが、誤解や誤認を避ける為各々の属性に従ってグループ分けしておこう。桃太郎≑もんくちゃん=A、鬼(自己主張できない者達を差別し隷属化して得意になっている者達)≑赤鬼・青鬼=B、犬・猿・雉≑犬井・猿渡・雉谷(優しさや引っ込み思案、自身喪失によって自己主張できない者達)=Cとする。
 登場はしないが筆者が想定する為政者(地域内)=D,地域外=E。まず物語の具体的問題提起の主体となる鬼・Bの属性とされる凶暴性や力を背景にCはBに支配され鬱憤を募らせている。おじいさんは、リクルートしたもんくちゃんを旗印として負のエネルギーを集め変容を目指している模様である。文句を言うという一歩踏み込んだ行為を異見・意見を謂うという発想に切り替えた時、C達の反逆は成果を見せた。然し乍ら自らの主体を賭けて真に為すべきことを自分の頭で考えた訳でもなければ、自らその思考の奥の奥迄探索し究極の答えに辿り着いてそのような変革に携わった訳ではないCグループは、必然的に己の位置をも、また社会という人間存在の根底的基底にも触れることなく一種の暴発をしたに過ぎなかった。結果的にその批判は行き過ぎ、瓦解する。当然、Bらはフェイクや情報操作という手法を用い新たな攻撃を仕掛けてこよう。そしてC達己自身では思考というレベル迄到達することが出来なかった者たちは再び元のもんくのカオスに逆戻りするであろう。この経緯を観察していたAは、己の頭を用いて考えることを悉り遂にC達自身をも救い得る唯一の道を見付けることに成功した。その道とは、各々が自ら負った条件の下、その苦境の中で自らの行動、思考、状況や諸関係の検証を為し、その内面に還って自らの自由や生死の問題にも直面。この試行錯誤を経て遂に自由の本質と己の根源的欲求に気付き、自ら自身の選択によってしか成否は決定できないということの意味する所を悉る。このことによってしか、責任を負うことも恥じぬ行いとして自らを生きることも出来ないという人間存在の原義を実践し得る。それがタイトルに込められた世界を救うことの意味だ。
 些末的なことを謂えば、Bたちも所詮雇われている弱者であるに過ぎず、恰も自分達の意志や知力でC達に憂き目を見せていると勘違いしているB達を差配しているD達が存在するのが現実であり、そのDを従えている力Eが存在している。丁度我らの味わっている日々の状況そのもののように。だが、今作の提起したAの結論はDにもEにも対抗し得る力なのである。
 もんくちゃん役のゆでちぃ子さんが何とも言えないキュートな魅力を発揮しているのは、こういった真の強さを秘めているキャラからであるように思う。
絶対に怒ってはいけない!?

絶対に怒ってはいけない!?

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

チャリT企画特有の「テーマ追求型演劇」の匂いがしない公演だった。今作のテーマが「パワハラ」であった事と関係がありそう。「乱暴な態度・言動」なんてものはどこにでもあり、普遍的だ。映画界、また演劇界のパワハラ・セクハラが話題になっているが、時代の過渡期にあって、パワハラを単純な善悪論で解決しようとするのでは、本質的な解決と限りなくズレて行く気がしてならない。
正しさが蔑ろにされた不透明極まりない政界、霞が関をお上に頂きながら、そこだけスッキリと「善悪」が見え、ある者が批判の的になる状況は甚だ怪しい。
この芝居では、やはり劇団を率いるリーダーの態度が、最悪の結果を招く顛末である。だが断罪型の結論をうまくかわしていて、後味は悪くない。

ネタバレBOX

劇団が今度やろうとしている平和のためのリーディング企画の台本について、やり取りする場面が中盤にある。この中で「戦争」をウクライナ戦争にとどめず、米国による侵略以外の何ものでもなかったイラク戦争にも言及した元台本に対し、知名度の高い客演女優が注文を付ける場面だ。このイラク戦争が、「大量破壊兵器は見つからず、あの戦争は誤りだった。日本はこの戦争を支持した(実際自衛隊を派遣した、が誤りだったとは総括していない)」代物である事をしっかり台詞に入れ込むなどはやはりチャリT、抜かりない。

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