仮面音楽祭 公演情報 藤原たまえプロデュース「仮面音楽祭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    「仮面音楽祭」らしく、受付やプロデューサーの藤原たまえさんが、仮面を頭に付けてお出迎えしてくれる。まずは、祝祭の雰囲気作りをするといった配慮が愉しい。
    可笑しくて 大いに笑った。この面白さを 自分の拙文で表現しようとしても無理だぁ。
    常態と狂態が混じり合った混沌とした世界、そこに足を踏み入れた男女が巻き起こす抱腹絶倒の物語。快と楽の迷路の果てに見えた光景は…。

    劇団ポツドールの「愛の渦」のような見知らぬ男女による一夜の狂乱だが、「愛の渦」のような性欲ではなく、何方かと言えば性抑であり生欲という 前向きな人生を思わせるラストだ。結局名前も分からず別れていく、そこに大都会 東京の哀愁を観るようだ。
    (上演時間1時間45分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台は、相席酒場「ミラクル」という合コン専門店。中央にソファとテーブル、その上にはカラオケのリモコン、上手奥に別場所を表すクッション、下手に部屋ドアがある。シンプルであるが、物語を描くには十分なセットである。面識のない男女が出会いを求めて夜な夜な集まってくる。

    男女各4人の客と店員2人の計10人の歌とダンスで綴る人生の悲哀であり応援歌のような公演。ラストはしみじみと余韻を残す秀作。面白いのは人物造形で、(心に仮面を付けたような)お互いの素性を知らない 個性豊かな人々が、いつの間にか自分の悩みや苦労を語り出す。知らない者同士(役名はなく 男女とも1~4、店員も1~2である)、遠慮しつつ様子見の会話(常態)であったが、店員が勧める 銘酒「飲んだら危険」というアルコールを飲んだら、一転 泥酔した狂(嬌)態になる。

    序盤、同棲しているカップルが、それぞれ相手に内緒でこの合コンに参加し鉢合わせをするという波乱の幕開け。この修羅場が圧巻で見どころの一つ。お互いが顔に水をかけたり頭から流したりと、体を張った演技をする。気まずい雰囲気から、それぞれの人間性ー本性へ、その化けの皮が剝がれていく。裏表がないのは、山田瑞紀サンが演じる流しのタンバリニストぐらいか。彼の短パン衣装や風貌・タトゥーが強烈で、一瞬にして空気(感)が変わる。

    人生は傷つくことの繰り返し、それを何度も乗り越える。別れ話に准えて、人生は何度でもやり直せるは、リストラされた男や非モテ男への励ましか。江上剛の小説「人生に七味あり」〈うらみ・つらみ・ねたみ・そねみ・いやみ・ひがみ・やっかみ〉の人生七味唐辛子を思い出す。それが人生に深い味をつけ、人間味を増していく。それこそが、人間の祝祭〈生存〉を意味しているよう。
    勿論、歌はその場景に合った選曲をし、情感たっぷりに歌い上げる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/11/07 07:20

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