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水彩画

水彩画

劇団普通

すみだパークギャラリーささや(東京都)

2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

茨城のオシャレなカフェ。用松亮氏と坂倉なつこさんの老夫婦、隣でその娘の安川まりさんと浅井浩介氏の夫婦がコーヒーを飲んでいる。
用松亮氏の会社時代の同僚、定年退職仲間のハナワ氏の油絵展覧会を見に行った帰り。
外にはオープンテラスが見え、店内の鉢には蓮とメダカのビオトープが置かれている。

もう一つのテーブルには結婚前の同棲中のカップル、伊島空(くう)氏と青柳美希さん。高校時代からの親友のカズ君が就職先の教師を辞めて黙って東京に出て行ってしまった。今では杉並区でNPO法人関係の仕事をしているそうだ。カズ君から来たメールの中にこの店のことがあり、コストコ帰りに寄ってみることにした。

浅井浩介氏は若い頃の前田吟っぽい。
伊島空氏は若い頃の原田大二郎っぽい。

高度に練り込まれたコメディ。聞く気もないのに流れてくる他人の会話、それがぼんやりと耳に入るカフェにいる。集まった観客は未知なるジャンルに興奮しているようだ。
『ドキュメンタル』のような空気感。笑ってはいけない状況で延々と繰り広げられる日常会話。カズ君の話をまた蒸し返すカップル。いやカズ君、そもそも俺知らねえから。もうその話はいいよ。
個人的にもの凄く憂鬱な出来事があったのだが今作の雰囲気がいい気分転換になった。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

トイレの鍵が引っ掛かり、出る時なかなか開かない。
土産物コーナーで高価な陶器のカップが売られている。坂倉なつこさんは旦那に買ってやりたいと思うが、用松亮氏は気に入らない。

安川まりさんが「自分が何が欲しいのかもう分からない」と突然涙ぐむシーンが印象的。勿論介護の話題も出るが自分のしなければならないことと自分のやりたいことについての物語に思えた。誰もが自分が何を考え、他人が何を考えているのかよく分からない。盲目の手探りでそのあやふやなものを確かめ合っているような会話劇。心と言葉の手でそのフォルムを何度も何度も撫で回す。会話って一体何なのだろう?

演劇的な仕掛けが一つだけある。卓上テーブルランプが店内に二箇所置かれている。それを安川まりさんと青柳美希さんがそれぞれ点けるのだが、その時だけ前夜のシーンだったり帰宅後のシーンだったり時空間が飛ぶ。

100分は長すぎる。敢えてやるなら逆に休憩入れて3時間半ぐらいこれをやった方がよかった。ランナーズハイに近い内因性カンナビノイド(脳内マリファナ類似物質)が生成される筈。
地の面

地の面

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コロナの間この劇団を見る機会がなかったが、その間に作者は随分上手くなった。
経済社会や政治社会を直接舞台にとってそこでドラマを作るのは、現代人を描くには良い着想だと思っていたが、経済構造や政治構造がドラマとしてリアルに描区のは難しい。つい、なじみのある人情話に落としてしまいがちだった。
今回は、不動産業界を舞台にした土地売買詐欺事件を素材に、不動産会社の人間模様である。
そういえば、アメリカの芝居で「グレン・ガレイ・グレン・ロス」という不動産業界舞台の犯罪がらみの芝居があった、と思いだした。舞台の米日の国情の差も面白い。あちらはセールスマン同士の個人の業績競争、こちらは不動産会社の中の出世競争のグループの話になっている。「グレン・ガレイ」はリアルな舞台展開だが、「地の面」は、かなり様式的で、ダンスも取り入れ、ステージングも抽象的で、詐欺事件の話をテンポよく織り込んでいる。会長社長以下の会社組織は従業員何千人という会社としては戯画的になっているし、詐欺師たちを、その場にいながら姿を見せない存在としているのも、事件の子供だましみたいなところと似合って成功している。荒技のところもあるが、面白く展開できたのは、作者が腕を上げたから、である。
出演者は中年の男ばかり9人。小劇場で知られた顔が多いが、今回は名古屋小劇場の重鎮が二人参加している。休憩なしの二時間。ほぼ満席、珍しく若い三十代以下の男性客が多く
こういう実社会エンタメの作品の路線はこの小屋の売り物になるかも知れない。男性客が多いと言うことをまず、買わなくては。



学園探偵 薔薇戦士

学園探偵 薔薇戦士

株式会社フリーハンド

ザ・ポケット(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

倉田瑠夏さん出演。
倉科遼さん関連は「舞姫 〜ディーヴァ〜」に続いてなのですね。ありがたいことですね。

定番の中野ザ・ポケットですが、自分は1年半ぶりでした。この劇場はG列からが固定席ということを覚えておくと良いかと。床にプレートが貼ってあるので変化することは無いです。自分のメモを兼ねて書いておきます。

倉田さんのブロマイドがA〜Gまで7セットもあって。とびぬけて多いです。2番手がWキャストAチーム「男B」役の上原徹也さん4セットでした・・・ちょっと不思議ですが、それはさておき。

ちなみに男A、B、Cはそれぞれ「安田」「木本」「斉藤」らしいです。チラシにもパンフレットにも公式サイトにも書いてありませんが、SNSで知ることができました。

歴史ある舞台だと思いますが、自分はもともとの話の筋を知らなかったです。チラシ表紙でいちばん大きい佐藤弘樹さんが主演だと思って観劇に臨みましたが、倉田さんが明確な主演でしたね。

田上先生役の鈴木つかささん。会話にアドリブをたくさん入れて、面白かったです。アドリブを受ける側、折田さんも面白かったです。

ネタバレBOX

副題「痴漢退治はお任せあれ!」ですが、実は劇中で痴漢事件は1回も発生してないですよね。痴漢被害をかたる詐欺が事件です。つまり冤罪です。

これは作品を作る側の方も承知されているものと思いますが、この詐欺はとても恐ろしいことです。劇中でも「高村麻子」の父上が命を絶ってしまったことが示されてます。

中途半端なストレート演劇ではその重さに負けてしまうので、現実から離れた「ぶっ飛んだ」話であるべきと思いました。今後も再演や続編があるでしょう。もっとぶっ飛んでほしいです。
白き山

白き山

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/11 (火) 14:00

終戦直後、郷里の山形県に疎開していた斎藤茂吉と賄いの女性、訪れた息子らを描いたフィクション。
実在した人物を主人公にユーモラスな部分も多々ありつつ反戦も訴えるツクリに井上ひさしの評伝系戯曲を想起しながら堪能。
そして戦中の災難を描くよりも終戦後の平穏な日々の中に浮かんでくる人々の心に遺された傷を描いた方が沁みる気がする。それは「戦争詠みをしたことから歌が詠めなくなった」などの特別なものに限らず「戦争だからしかたがない」と自分を納得させるしかなかった一般人など辛いし哀しいし本当に嫌だ。
また、この前々日に観た悲喜交交「余炎」も戦争を美化したことを悔いる俳人を描いており、その偶然性に驚く。

純文学のススメ

純文学のススメ

シニア演劇ネットワーク

劇場MOMO(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

B

太宰治の『黄金風景』が大好きで、朗読劇ではなく上演するとのことで観に行った。だがちょっとこの作品を軽んじているようなブリッジ的扱い。いや『黄金風景』こそが太宰治文学の入口、全く小説なんか読まない層に扉を開く作品。もっと大事に扱って練り込めばいろんな可能性を刺激した筈。

基本は台本片手の朗読劇。バリアフリー字幕として台本がバックに全部投影される仕様。何人かのキャラだけが何も持たずに演じていた。特質すべきは選曲。クラシックの名曲が挿入されるのだが、驚く程センスが良い。大衆的でありつつ的を得ている。かなり詳しい人がやったのではないか。

①芥川龍之介『少年』1924年
関東大震災後の復興中の東京、満員バスに揺られる男、堀川保吉(やすきち)。所謂「保吉もの」と呼ばれる芥川龍之介の自叙伝的色合いの濃い私小説シリーズの一篇。
クリスマスの日、フランス人の宣教師(高田幸子さん)と少女(石田さよこさん)のあどけない遣り取りをバスで見た主人公(栗山寿恵子さん)。銀座のカフェ(現在のバー)で二十年以上前の子供時代(tommyさん)の追想に耽る。六篇のオムニバス。
女中のつうや(石田さよこさん)から受けた教訓。
風呂を出る父親(柴田恵子さん)の後ろ姿から感じた死のイメージ。
初めて見た海の色。
幻灯機に映し出されたヴェネチアの街並、窓から顔を出した少女の幻影。
両国の「本所回向院」での戦争ごっこ。「やあい、“お母さん”って泣いてやがる!」

大森海岸で初めて見た海の色が代赭色(たいしゃいろ)=やや明るい茶色=煉瓦のような色。

②太宰治『黄金風景』1939年
太宰治(深沢誠氏)が幼少期(秋津今日子さん)に女中のお慶(柴田恵子さん)を虐めていた回想。落ちぶれて窮迫した今、彼女達一家が訪ねて来るのだが。

③太宰治『貨幣』1946年
百円紙幣(片岡つぼみさん)が戦前戦中幾多の人々の財布を行き来し流転した回顧録を自叙伝風に綴る。傲慢な陸軍大尉(深沢誠氏)の相手をする身を持ち崩した酌婦(栗山寿恵子さん)のエピソードがメイン。酌婦は乳飲み子を育てている。この世にほとほとうんざりしていた百円紙幣が幸福を実感する夜明け。

ネタバレBOX

①今作は受け止め方が難しい。これとがっぷり組み合うだけで相当な作品になる。ちょっと味気無い仕上がり。

②いやこれメインでやってくれ。昔幼少期に虐めた女中への恥ずかしさ。名家を追い出され一応小説家という肩書はあれど、全く惨めで落ちぶれた暮らしの男。偶然近くに越してきたことを知り、かつての女中が訪ねて来る悪夢。復讐か?笑い嘲るのか?どんな言葉を投げ掛けられても返す言葉もない。怯えた男は用事もないのに家を飛び出て原っぱで寝転んで時間を潰す。何て惨めなんだ?後悔に次ぐ後悔。酷く傲慢な恥知らずのガキであった自分自身の過去。どれだけ彼女を傷付けた?そこに土手を歩いてくるかつての女中一家の声がする。夫婦と小さい子供。「折角お会い出来ると思っていたのにお留守なんて残念だわ。お忙しい方だから。」「立派な小説家になられて。私、ずっと思っていたのよ。この子はきっと偉くなるって。ちょっと他の子とはモノが違うって。」
それを聞いて、太宰治は声を殺して泣く。負けた、俺は負けたのだ。彼女達一家の人生に負けたのだ。だがこれは幸福な負けだ。こうでなくてはならぬ。この負けは俺の人生にとって確かな標となる、幸福な負けだ。(かなり意訳)。

③何となく覚えている話だが、もう少し演劇的に練ってもいいのでは。大尉と酌婦のクライマックスはもっと見せるべき。
白き山

白き山

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

昨年の「ブラウン管」でおや?と思った劇チョコがフェアウェイに戻ってきた
やはり彼らの永遠のテーマは観る者に戦争(に向かわせる「体制」)という不条理を再認識(あるいは若者にとっては認識か)させることだと思う
今回は歌人斎藤茂吉もその軛から逃れられなかった状況を描きながら、戦後間もない混乱の中で国民がいかに多大な苦労を背負わされていたか、どんなに大きな傷跡(心の)が残っていたかを浮き彫りにしていた
村井國夫が体調不良により降板し、緒方晋に交代したが、そんなことはみじんも感じさせない演技だった
彼が演じる斎藤茂吉は当時今の自分と同世代
戦時中に「戦争詠み)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることになり、歌が詠めなくなっている
そのジレンマや、息子たちへぶつける怒りを味のある演技で描いていた
いつも客演女優が素晴らしい演技を見せてくれるが、今回の柿丸美智恵は流暢な山形弁(途中突然標準語に切り替え爆笑)を操り痛、秘めた悲しみを明るさでかき消したくましく生きる農婦を飄々とした演技で見事に表現していた
劇団員3人は安定の演技
特に心に残る場面2つ
〇 西尾が父である緒方(茂吉も医師)に、軍医として行った仙台の病院で、赤ん坊を背負った傷だらけのお母さんに背中の子が死んでいると告げてしまい、気が付いたら母も絶命していたことを告白するシーン
〇 柿丸が自分の息子たちを「万歳、万歳」と叫びながら戦地に送り出してしまったのだと悔恨の表情で語るシーン
駅前劇場という狭い空間の中で、蔵王連峰を描いたパネルの美術が秀逸だった
それをうまく生かすライティングのおかげで、朝昼夕夜を見事に表現できていた(劇団公式Ⅹ舞台写真参照)
アフター・アクトは今回は浅井伸治だけがシリアス
ある意味双方から見捨てられた「ウェーク島の戦い」での戦友の死は会場がシーンとなっていた
西尾友樹はなんとお料理教室(笑)
劇中話とシンクロしているのだが、味噌汁を作りながらの軽妙な語りは笑いの渦だった

LOVE TOURNAMENT

LOVE TOURNAMENT

壱劇屋

AI・HALL(兵庫県)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テーマパークかなと思うぐらい、いや、それ以上楽しかった。お芝居の枠をどんどんと壊して欲しい!感じたよ。
ありがとう🎵

かもめ

かもめ

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

無意識によく知った「かもめ」の台詞をなぞりながら見始めて、そのノリの違いに戸惑った。ニーナは初めからちっともコースチャのことなんて眼中にないし、無軌道で良くも悪くもわがまま。コースチャもよくいう中2感という以前に、その文学的教養や素養を疑いたくなるほど、落ち着きがない。

だがやがてそれが、チェーホフの書いた登場人物の特質を現代社会に落とし込んだものだとわかってくると俄然面白くなってくる。それにしても、俳優が上手いせいなのか、ここに出てくる人物はみな、ショボすぎやしないか。いや、人間それぞれにしょぼく、エゴイスティックなものなんだろう。それが、この上演の核となり、ドラマを動かしている。

やや物足りないのは、この劇の背景にある文化や社会がさほど立ち上がってはこないこと。現代版であるなら、「あるある」以上の今日性に触れたいし、そうではないのだとしてもこのドラマが生み出された背景としての時代、社会とのつながりを見たい。

六月の短編集 青水無月vol.2

六月の短編集 青水無月vol.2

表現集団蘭舞

at THEATRE(東京都)

2024/06/15 (土) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

Aチームを観劇しました。
オムニバス3編の朗読劇、どれも心に鬱積したモヤモヤが、少し解放されるようなお話でした。
3編で1時間の作品で、ちょっと物足りなさを感じました。
イベントがメインな印象でした。

白き山

白き山

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

随分ご無沙汰してしまった当劇団であるが、観に来て正解。斎藤茂吉という題材を、うっすらと(終盤では濃く)戦争に絡めて描いていた。急遽主役の変更との事だったが、緒方晋の出演も楽しみで観劇した。この人にしか出せない味がある(そういえば一応は関西弁は封印していたな)。村井國夫氏では全く違っただろうと、とりわけ主人公の特徴「雷を落とす」場面で、想像もしながら観た。茂吉の息子二人を浅井と西尾、弟子を岡本、三人のコンビネーションを茂吉に対置させ、第三者の存在として近所の農婦を柿丸氏に振って五人芝居、シンプルな構図も憎かった。

ネタバレBOX

終盤「これで終劇だな」、と思った暗転が二回。三度目で漸く「これ以上は無いだろう」と思え、拍手の準備をした。
地の面

地の面

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久々に生観劇のJACROW、今回の舞台は不動産屋。
作劇と俳優と演出と、快楽に満ちたステージ。名古屋演劇界から参加した両名が実によい。気づけば、男だけの芝居であった。面白い。

阿呆ノ記

阿呆ノ記

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/06/04 (火) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「夏至の侍」(2022)にて筑豊地方の斜陽産業の金魚問屋の女将を演じた音無美紀子が再び客演。桟敷童子は東憲司の言うように毎度似たような話(凡そ三つのパターンを焼き直している)だがオリジナルを生み出しており、売りは完成されたテンポ感と高揚感、舞台装置と屋体崩し的クライマックス、という事になる。この桟敷童子の芝居に音無美紀子が加わり、ナチュラルに真情こぼるる姿がハマる。墨汁が広がるように芝居の隅々まで「リアル」の魔法が掛かるのである。私にはそれが圧巻であったが、今回も全く同じ事が起きていた。
桟敷童子の物語は神的存在や天災や魔物の伝説が民間伝承で伝わっている村落が舞台となり、やがて近代化の波に浸食されて行くといったものが多いが、今回「敵」としての近代は、狩猟を生業とする村に対する鉄道事業(工事で使う発破で獣らがいなくなる)、戦争協力の要請(銃の供出、徴兵)である。近代化は根本的な誤りを抱え、人間を虐げる。そうした被虐の人間が己らの復権を目指す時、伝承が蘇るのである。
今作の伝承は「阿呆の子」と言い、村が飢餓などの危機に瀕した時、生け贄に捧げられるべく育てられた「捨て子」たちがいて、劇中では三人の子という事になっていて時に舞台上に姿を現わす。実際に彼らを目で見たのは幼い頃のおばあ(音無)のみで、まだ子供だった彼らと山の中で話した記憶が劇の終盤に蘇り、そして今「婆」となった彼らと、再び相まみえる。猟で食べて行けず鉄道工事の人夫となった男たちにも(徴兵は免除されると言われたのに)赤紙が届き、不幸な事故も続いて村は荒廃し、強風が吹きすさぶ山の天候をして阿呆の子らが怒りの声を上げている、とする。
もう一人の主人公は、鉄砲問屋をモーゼル銃付きで追われた一人娘。おばあが呼び寄せた娘を、昔妻を亡くした自分の息子の後添えにと考えたが息子はまだ妻を忘れられぬと拒否するも、宿を与えて村に棲み着く事になる。この娘(大手)のキャラが秀逸。後に悲劇のヒロインとなり行く。悪役をやらせれば何と言っても原口。
我らが板垣女史は・・阿呆の子に扮していた。顔をさらすのは終盤の「出会い」の回想場面。一瞬とは言え変幻自在振りに嘆息(先般のこまつ座での客演に続き役の振り幅があって最初気づかず)。
主役の露出が突出した分他の俳優が控えめであったが相変わらず見事なアンサンブルである。

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

劇団四季

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2024/04/23 (火) ~ 2024/08/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/14 (金) 13:30

165分。休憩20分含む。

ながい坂

ながい坂

平石耕一事務所

シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度

寺田さんでしょうか?音響に助けられた酷い芝居でした。
演出?なにを考えて作ってるのか?
もう少し日本語と文法を学んでください。
貴方の授業料を払いにきたわけでないです。
演出を名乗るなら演出の仕事をしてください。

ネタバレBOX

お金の無駄でした。
演出の自己満足の舞台です。
砂漠の動物園

砂漠の動物園

演劇実験室◎万有引力

ザ・スズナリ(東京都)

2024/06/07 (金) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

この劇団がアングラの見たい最後かもという期待で2回目の観劇
1回目より評価を下げた理由は数えきれない

唯一良い点
・俳優陣の身体能力と芝居

沢山ある悪い点
・SNSで俳優小林の37.5度あるけど楽日まで頑張る発信
・最前列、砂がかかりますというレベルじゃない。電球割れるとか流石にケガしそうで怖い
・席の誘導なんていう回路は全くなく、狭い最前列の前の通路を一体何人が通る?スタッフが通るのも全然当然みたいな顔
・芝居的には客を巻き込むあたりから要らんね
・1時間40分ってアナウンスだが終われば2時間

ゴキブリコンビナートのが客を何気に誘導してると感じた
そういう覚悟で見てるのと見てないのは大きく違うし
期待が大きかっただけにすごくがっかりしたってのが正直な感想
もう少し客サイドへの配慮あってもいいかな?
そう言うの全くないのが昭和って思ってるなら勘違いしないで欲しいかも
言葉で言うとガッカリってだけになるけれど
これ見た人達って本当に満足して帰ったのであろうか?
自分だけがおかしいのか??

かえりみちの木

かえりみちの木

空の驛舎

ウイングフィールド(大阪府)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かえりみちの木拝見しました。
それぞれの日常にはそれぞれの悩みや思いがあり、心に突き刺さるセリフには涙しました。
とっても良かったです。
どうもありがとうございました。

十年希望~ぼくらのSentimental Journey2024~

十年希望~ぼくらのSentimental Journey2024~

株式会社ZANY

上野ストアハウス(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/13 (木) 14:00

映画サークルの仲間たちの卒業後10年を描いた群像劇。群像劇だから誰か1人がメインというより、みんなにスポットが当たっていてとても良かったです。10年もあると人は変わっていくもので。それぞれが様々な想いを抱えながら生きていて、夢を叶えたり挫折したりしていく姿を見ているとすごく刺さるものがあって、登場人物それぞれに感情移入してました。とても良い作品でした!!

有頂天

有頂天

中央大学第二演劇研究会

シアターブラッツ(東京都)

2024/06/13 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

理解に苦しむような内容のため、コメントが難しい。天才写真家と大学時代の写真部同期で、CM等の商業写真を撮るカメラマンとの確執、そして自殺願望をもつ女優を絡め、まだ何者にもなっていない若者の葛藤劇といったところ。

説明の「死を望むからこそ”今”を全力で生きる彼女の姿勢」と「泰然、いや漫然と生きる人々は…」、その描かれている内容は理屈先行で上から目線、もっと言えば傲慢のように思えるのだが。そしてラストも釈然としない。辛口コメントはネタバレで。

なお、舞台美術はスタイリッシュで分かり易く、舞台技術は観(魅)せる工夫をしており好ましい。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、階段状になっており 真ん中に緋毛氈が敷かれている。中央奥がBar店内ー上手にカウンター、腰高スツールと酒棚、下段の上手にソファ、下手にテーブル・椅子が置かれている。それぞれ別場所(夫々の写真家 事務所)を表わしている。物語は客席の一部も使用し、第三者的な存在も登場させる。
舞台技術、特に照明はカメラの連続フラッシュを連想させる強い明滅、情景に応じた諧調がスタイリッシュな舞台美術を映えさせる。また夜を徹した朝、ブラインドを開け夜と朝の明暗効果も良かった。

物語は、「あらゆる物事は終わる瞬間にこそ輝く」を信条に撮影を行う芸術肌の天才写真家 折尾マサミチ(アキ サン)と、大学時代の同期で商業写真を撮り、経営者としても敏腕をふるう商業カメラマン 館山タツヤ(冨士原脩斗サン)、この2人の写真に対する捉え方考え方の違い。そして館山がCM撮影で起用している女優 桂木ユキ(種倉あかりサン)が、自分の女優もしくはアイドルとしての存在、その(芸能)人生を賭けた問いをする。半年後に自死をする迄を写真に収めてほしい。それを折尾に依頼する。

女優として大成するか否か、24歳で見極めるのは、芸能人(女優)という職業のためなのか(傲慢印象)。彼女と行動を共にして 最期まで写真を撮る折尾の信条と心情はどうなのか。つまり「終わる瞬間にこそ輝く」という最高傑作は、彼女の死の瞬間 その時をもって達成されてしまうのではないか。それ以降 彼はその傑作を超える写真を撮ることが出来るのか。そもそも自殺しようとする人間を写真の被写体として冷静に撮ることが出来るのか(理屈だけか?)。内容としては、二人のカメラマンの写真に係る確執を膨らませるならば、共感出来るような所があったかも知れない。

また 大学時代の写真部同期で部長、今ではBarを開店した男バニー(山内浩敬サン)が、どうして女装変貌したのかその理由は?何か原因・理由があったような思わせ振りであったが、単に性癖で片付けられたような。

因みに、余命宣告された人が その期間 生きた証し(写真だったか映像)を遺(残)したいといったドキュメンタリー映画だったかTVがあったが…生への執着、生き様を感じさせるものがあった。

終盤、折尾が〈今が楽しいことを知ってしまった〉からは、自分の写真に対する姿勢が常に死と隣り合わせ、その緊張感との鬩ぎあいが解けてしまったのか。ユキは自分の思いを確認するために周りの人々を巻き込んで…。最後は女優らしい台詞 「年齢を重ね性格女優でも目指そうかしら」といった強かさ。物語の結末は劇場で…。
次回公演も楽しみにしております。
ハロウィンの夜に咲いた桜の樹の下で

ハロウィンの夜に咲いた桜の樹の下で

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めての扉座でした。
とても好きなタイプのいい作品でした。
ハロウィンに桜が咲いたら、きっとどこかで心温まる物語が始まるのでしょうね。
ゴロワーズを一度吸ってみたかったというのが、観劇直後の気持ちでした。

阿呆ノ記

阿呆ノ記

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/06/04 (火) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/04 (火) 19:00

今公演は4ステージ予約していたが、まずは初日を鑑賞。

やはり桟敷童子の公演はどんなに期待して行ってもそれを軽々と超えてしまう! 
今回の作品は、前説の若手がハケた瞬間にのけぞらんばかりのホラー感で心を掴まれ、あとは終演までグイグイと引きずり込まれる一方だ。

客演の音無美紀子の圧倒的な存在感、劇団員では三村晃弘が従来とは全く違う役どころを熱演して舞台の厚みを増し、全ての出演者が主宰・東憲司 が描き出す舞台世界と一体化している。
それにしても大手忍は美しくなったなぁ。最初に登場した時には思わずハッとしてしまった。

「大地揺れ!紅燃ゆる!」というチラシのキャッチコピーは決して大げさな表現ではない。こんなスゴイ舞台が小劇場演劇の料金も高くなっている現在においても4,000円(平日の夜公演。それ以外でも4,500円)で観れるというは驚愕の一言。

今年はまだ80本強の観劇しかできていないが、まぎれもなく現時点での今年最高の作品だ。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

ところで、客席に入ってまずは舞台際の天井を確認して「お、今回は紙吹雪があるなぁ」と思い、舞台が多少高く作られているのを見て、2016年末の「モグラ…月夜跡隠し伝…」を観ている私は、ラストはもしや…と思っていたのだがやはりそうだったものの、舞台が分割されていて、よりダイナミックなものとなっていた。

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