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誰がために

誰がために

Lumeto

OFF OFFシアター(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ラストのシーンを冒頭に持ってくるのは良くある手法なのですが、その為人間関係が分かりにくくなってしまったような。
ストーリーはちょっと無理がありましたが、最後あかりちゃんと陽菜さんの会話にうるっときました。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

生演奏(SEも)とテンポの良い会話で進む華やかな江戸の舞台。
横にあるスピーカーの為か最初台詞の聞き取りにくさがあったのですが、途中で解消し楽しめました。
特に魚屋・新八さん、粋でいなせな兄さんで役にピッタリと合っていました。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

地獄生活もまんざらじゃあない?なんか楽しくなっちゃいました。生演奏によって一体感増し。キャスト多いなあと思ったけど、上手く工夫されていて、話に自然に入っていけて、粋な啖呵や台詞も気持ち良かった。私も会いたい人がいるので、頓服飲んでみたいです。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

徹底的に楽しませる エンターテイメント性を追求したかのような快作。
舞台は幻の江戸 八百八町。この世とあの世を行ったり来たり、手軽に往還できる日帰り旅行のようだ。何故か あの世は極楽ではなく地獄だけ。それでも、そこに恋しい人がいるのだから出掛ける。この話題を放っておくはずもない落語家の欲深さが交錯して…。その荒唐無稽に展開していく面白さ 楽しさ。あやめ十八番らしい聴かせる音楽が奏でられ、物語と相俟ってメタバースな世界観を堪能させてくれる。
(上演時間2時間40分 途中休憩10分含む)追記予定

青春の会 父と暮せば 【東京公演】

青春の会 父と暮せば 【東京公演】

ゴツプロ!

シアター711(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「助けて!」と泣き叫ぶ姉を残して逃げたことを苦にして、50年間誰にも被爆体験を語らなかった故・高倉光男さん。「原爆だけがいけないんじゃないと思います。原爆がいかんで大砲がいいなんてそんなアホなことありますかいな。戦争はいかん。」
現実にこういう思いを抱えた人達がうんといたのだろう。

当日パンフには美津江役・中薗菜々子さんの中学校の卒業文集『わたしの平和宣言』が載っている。彼女は広島出身。今作にとって重要な方言も本物。
竹造役・佐藤正和氏は今作の発起人でもある。二人芝居を自ら主演で背負うこと、思うだにゾッとする。
けれどこの二人の役者は実に魅力的だった。他の役も観たくなる。
館内は啜り泣きと漏れる嗚咽、井上ひさしの最高傑作、是非体感して欲しい。何度観ても新しい発見がある。

ネタバレBOX

「わしの分まで生きてちょんだいよォー」
「おとったんありがとありました。」

竹造は能天気で無神経、但し原爆の話になると人が変わったように憎悪に殺気立つ。
美津江は素直で嘘をつけないお人好し。観客もすぐそれに気付いて好感を持っていく。木下のことが好きで好きで堪らない、でもそんなハッピーな自分自身を許せない。あの地獄を一人だけ生き延びた卑怯な自分が、その上幸せになることは不公平だと思う。

普通に考えれば幽霊の竹造は存在していない。美津江の心の擬人化。どんどん恋が成就していく自身の無意識と理性の葛藤。

演出に多少違和感。リズムが違うのか、ハッピーな展開とそれを阻むトラウマの葛藤が上手く転がっていっていないような。木下正の存在が目に見えて来ない。
美津江は焼け焦げた地蔵の顔を見て、あの日の竹造を思い出す。そして一番の自分の心の重しは、誰よりも竹造の死であることを到頭語り出す。ここの部分が父娘の絶対的な絆を示し、どうしても口に出せなかったトラウマの吐露に繋がる。そこに至るまでの美津江の隠し続けた思いがこの作品の核、そこの部分が足りないような。
大豆生田家の庭に咲く花は薔薇かスミレか!

大豆生田家の庭に咲く花は薔薇かスミレか!

ライオン・パーマ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今年観た作品中、ベスト。華5つ星! タイゼツベシミル!! いつも通り、間を脱臼させる擽りの見事さに、泥んこと贅沢やセレブの暮らしを対比させつつ、ある大劇作家の某作品のワンシーンをさりげなく紛れ込ませることによって作品の厚みを数百年の時の厚みに重ねる上手さ。脚本の素晴らしさ、役者陣の上手さ、演出の妙、舞台美術の様々な工夫と照明、音響の効果的な用い方、何れも素晴らしい。(追記9.3)

ネタバレBOX

 板上はホリゾントを底辺の無い凸型の建具で区切り、その凸部手前センターに踊り場のある階段が迫り出すような形で設えてある。踊り場奥は中央に絵画の描かれた開き戸になっている造作(開き戸を開けると真ん中の空洞を囲うように木の枝が見える)この絵画の上手にドア。階段左右にはカーテン状に開く上品な幕の掛かった個室が在る。出捌けは上手・下手それぞれの袖と階段上のドアの3カ所。更に面白い仕掛けが、階段上手の階段と個室の間に設けられた壁に仕込んであり、この壁の一部を開けるとラブホの受付である。
 さて、大豆生田家の縁起と参ろう。一家の者は皆、登場時アーガイルと称される文様の衣服を身に纏っているが、是はこの家の隆成を齎したご先祖・ひい爺さんの父(高祖父)の逸話に端を発する。往時、大豆生田家は古い因習の残る地方に暮らしていた。その折、高祖父は、あらぬ罪を着せられた。彼は無実を主張したが、因習の強い地方の慣習では有力者の主張が通り易く無実を主張する高祖父は捉えられ拷問に掛けられた。然し彼は昂然と大豆生田の家名に掛けて無実を主張し拷問に耐え、放免された。この一件を以て大豆生田家は平民でありはしたものの、一目も二目も置かれる存在となったのである。そしてその折、拷問によって高祖父の肌に刻まれた痛々しい傷跡が、アーガイルの文様と似ていた為、一家の者は家の特別の行事の際にはこの文様の衣類を着るのである。無論、現在では大豆生田家も世界各地に支社を持つ企業のオーナーだからセレブ。だがこの家の隆成を面白く思わない一族が居た。神々隠家である。神々隠の家名から想像がつくように特別な家柄であることを誇りにしている。
 物語は、大豆生田家現当主・幸之助の妻・玲子の誕生日当日と翌日を中心に展開する。因みに玲子と神々隠家の現当主夫人・麗子は友人であり、麗子の誕生日は玲子の誕生日翌日である。麗子は玲子を見下そうと何かに付けて対抗意識を燃やすが、今朝、玲子の誕生日祝いに麗子の態々持参した物は、菫の花束であった。無論、麗子は自分を薔薇だと思っている。言う迄もあるまいが、神々隠家も名門。名門私立学校や一流ホテル経営等の他多くの企業のオーナーとして名の通ったセレブである。
 ところで、両家共に今は一流のセレブ。劇中、家訓という形で明示される訳では無いが、一流たる者が当然持つべき資質を磨くことに掛けては両家共に家族内でも厳しいモノがある。それは家族内での競争原理が如実に働いていることである。大豆生田家のそれは、日常総てに関わる的確な想像力と対処能力であり、神々隠家のそれは旧家の歴史と体面に則り時代の荒波の中で最低限、先祖から受け継いだ社会的地位と名誉を維持することである。大豆生田家の厳しさは、先ずその自由な家風である。言っておくが真の自由は、ノンベンダラリと自堕落に状況に流されることでも無ければ、ズブズブと親の豊かさの齎した恩恵に嵌り込んで惰性でぬくぬくと過ごすことでも無い。何ら支えを持たぬまま虚空に独り裸で宙吊りになることだ。このような状況こそ、我ら、知ある存在の原点である。誤魔化さない人間なら誰しもがこのような過程を十三・四歳で経て大人への階段を登ってきた。そしてそのような人間なら皆、大豆生田家のアーガイルが意味する所を知る。現当主・幸之助の度量の広さと優しさ、的確な洞察や他者への鷹揚な態度もこのような自由を核として培われたものであろう。妻・玲子の天然は言ってみれば率直さ、これは才能の原点である。大豆生田家の特色である自由と多様性こそ、独創性の揺り籠であり、地球上に生命が誕生して以来進化することができた最大要因の一つである。これに対して神々隠家は、旧家としての歴史と面子に縛られ不自由に縛られているのでやることは因循姑息、このままでは未来が無い。然し、子供は一男一女、長男・麗之介は、親の力に頼らず、自力で新たなジャンルにチャレンジしようと事業を立ち上げた。(結果的に大反対していた麗子も夫・忠彦と共に麗之介の店を訪れる)
 上記に、外の知らない世界を訪ねてみたい玲子に執事・中山がエスコート役でついてあちこち訪れるのだが、この外出中に件のラブホが絡んでくる。(どうなるかは観てのお楽しみだ)そして無論、サブストーリーはこれのみではない。両家の核家族内部での競争が生み出す展開も様々に絡み合い縺れ合って、一瞬、勝負あったかに見えた麗子の落胆を覆すことになるかも知れないラストに繋がっている。続編ができれば是非、ぜひ拝見したい!
あの夏の暗い夜、虹の袂のエデン。

あの夏の暗い夜、虹の袂のエデン。

Oi-SCALE

新宿シアタートップス(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

No.1日帰りキャンプから帰る息子を待っていました。洗面所にいたので、洗面台にしがみついて、家のあちこちの落下物の音を聞いていました。 No.2息子が生まれた日。
暗い夜に架かる虹の橋は見えたのでしょうか。
林さんの独特な世界はどんどん深くなっている気がしました。
明かりや音楽の演出が興味深かったです。
当日パンフも読み応えがありましたが、文字が小さいので家に帰って明るい光の下で読めました。横尾さんのまだ小さい人の話が良かったです。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

休憩10分を挟んで160分という長尺だが、充分に楽しませてもらった。皆さん熱演だけど、舞台全体に何とも言えない軽みがあるのがいい。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/09/01 (木) 13:30

165分。休憩なし。

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あやめ十八番は4年ぶりだったけど、相変わらず時空を超えた独特の世界で2時間40分も長くは感じなかった
生と死を自由に行き来できたら・・・楽しいより苦しいかも
良く出来たプロットでセットも上手く使われていた
生演奏も良かったけど、ファゴット入ってたのは不思議
キャストは新八はじめみな熱演だった
死神のスパイスはなかなか面白った
閻魔大王が止め名の噺家というのも
しかし、閻魔大王も選挙で選ばれて、そのために熾烈な選挙運動あるわけね(笑)

評決 The Verdict

評決 The Verdict

劇団昴

俳優座劇場(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

手に汗握る2時間半でまったく集中力途切れず
さすがにベテラン勢、表情が素晴らしい
セットも重厚感あふれる
畳み掛けるように緊迫感が増していく
ラストシーンはホンも照明も音楽もお洒落だった

空蝉

空蝉

あやめ十八番

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/01 (木)

価格1,000円

9月1日18時半開演回を拝見。

前半73分、途中休憩10分挟んでの後半73分、上演時間160分弱の舞台。
最近は「江戸系 宵蛍」「音楽劇 百夜車」とシリアスな題材の作品が続いた「あやめ十八番」だが、今回は、ソフィスティケイテッドされた落語テイストの、現代版・浅草軽演劇の趣き。
終始、くつろいだ気分で、各々の役者のセリフや一挙手一投足を楽しませてもらった。

なお、登場人物では、魚屋・新八(演・林明寛さん)と緒方卵白(丸川敬之さん)の活き活きとした描写がとりわけ気に入った!

※チケット代は障害者割引を適用。

ネタバレBOX

【配役】
魚屋・新八(「反魂丹」で地獄を行き来した最初の男)…林明寛(はやし・あきひろ)さん
新八の女房・お梶(半年前に死去。後に地獄で新八と再会)…大森茉利子さん
お朱鷺(お梶の妹)…永田紗茅さん(よく通る声。存在感あり)
定吉(赤子のまま早逝したお梶等の弟)…豊田陸人さん
緒方卵白(新八の友人。藪医者。だが、実は…)…丸川敬之(まるかわ・たかゆき)さん
お鶴(卵白の診療所に勤める看護師)…木原実優さん
大酩酊写楽(地獄の統治者・閻魔大王。現世に女房や子供がいたことは秘密w)…秋葉陽司さん
夜死乃太夫(写楽の地獄での女房。故・三浦屋吉野太夫)…福圓美里(ふくえん・みさと)さん
小野官兵衛(写楽の相談役。元・おもちゃの弁天堂社長)…島田大翼(しまだ・だいすけ)さん
死神(写楽の右腕。後に卵白の妻・お玉となることから…)…金子侑加さん
お初(地獄の入口の受付嬢)…中野亜美さん
お紺(現世での写楽の女房)…井上啓子さん
いの(お紺の娘。写楽の隠し子)…庄司ゆらのさん(声の響きが素晴らしい!…調べたら、やっぱりミュージカル畑の方だった!)
権助(いのの異父兄。スリ)…山本周平さん(新宿公社の役者さん)
大酩酊白菊…堀越涼さん
大酩酊悪太郎(白菊の弟子。実は●●の弟)…池田海人(いけだ・かいと)さん
大酩酊※太郎(こめたろう)(白菊の弟子)…熊野善啓(くまの・よしひろ)さん
お銀(※太郎の女房だが悪太郎と不倫中)…淺場万矢(あさば・まや)さん
大酩酊黄桜(白菊の弟子)…吉田能(よしだ・たかし)さん
大酩酊八海山(白菊の弟子)…吉田悠(よしだ・はるか)さん
大酩酊花華(白菊の弟子)…高岡由季(たかおか・ゆき)さん
三浦屋の番頭、他…高村颯志(たかむら・そうし)さん
男、他…武市佳久(たけいち・よしひさ)さん
獄卒、他…黒澤風太さん
受付、他…内田敦美(うちだ・あつみ)さん
こども、他…幡美優(はん・みゅう)さん
町人、他…松井愛民(まつい・あみん)さん
母親、他…三廻部結衣(みつるべ・ゆい)さん
誰がために

誰がために

Lumeto

OFF OFFシアター(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

会社を立て直す為に保険金目当てで自殺をすることを妻に話す夫が理解できない。で、その後、その話をいろんな人に話す妻がもっと理解できない。ラスト前のシーンからスタートする構成も、ただただ先の展開が読めるだけで、なんか効果あったのかしら?

SHINE SHOW!

SHINE SHOW!

Aga-risk Entertainment

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ちょっと桁違いなコメディー作品。
ビジネスマンそれぞれの思いの丈が交錯する会社対抗のど自慢大会。
これに関わる出場者、司会者やマスコミそして影の主役であるスタッフ陣等々。
晴れの場に、みんなが持ち込んでくる様々な悩み・トラブル、ここから滲み出る人間味がめっちゃ可笑しく、時には哀愁も。

何が凄いかって、これだけの(笑いのもとでもある)悩み・トラブルがひとつひとつ、きちんと味付されていて単独でも美味しいし、別の味と絡み合ってもこれまた美味しい。
それにこれだけボリューミーだと、途中から何の味か分からなくなったり、盛り上がるだけ盛り上がって収集がつかなくなったり、といろいろ危惧しそうなところ、しっかり旨味を味わいつくしながらのショウ・マスト・ゴー・オン
常に新鮮な感動と笑いでもってラストへと駆けのぼっていくのでした。
実にうまいこと考え抜かれ、そして演じられています。
歌のところではひとつ、またひとつと思いが昇華していくようで、この構造もまた巧い。

あの夏の暗い夜、虹の袂のエデン。

あの夏の暗い夜、虹の袂のエデン。

Oi-SCALE

新宿シアタートップス(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観(魅)せる”力”のある物語。
テーマは「生きる」といった根源的なところを描いている。一見 ダークサイドを思わせるが、それは見栄やプライドなどを捨て どんな辛苦にも耐え生き抜くという、人の奥底にある生への執着とも言える。全編 薄暗がりで紡がれる。それは 2011年東日本大震災以降、福島第一原発事故等の影響による節電で街灯の灯が間引きされたこと、夜の闇に紛れて仕事をする人々の暮らしを現わしている。

東日本大震災から10年も経たないうちに、今度はコロナ禍で人々の生活様式に変化をもたらす。一時は夜の街の灯りも消え、生活の心配・不安といった焦りにも似た気持が…。しかし、その状況(コロナ禍)はまだ続いている。公演は、そんな状況下においての上演、そこには演劇を通して 明日への夢や希望を抱き続けさせる”力”が漲っていた。
(上演時間2時間 途中休憩なし 脚本演出の林灰二 氏のプロローグ・エピローグ的な会話を含む)

ネタバレBOX

上演前には風と海鳴りのような音響、そして「♪あの子は~♪」の印象付けの音楽。
舞台美術…奥は黒壁か暗幕、その前に鎖のようなものがカーテン状に吊るされている。冒頭、舞台上 スタンド型の裸電球が縦1列に並んでおり、その延長として客席上部には吊るしてある。上手や下手にカゴ台車があり、物語の展開によって可動させ情景を作り出す。劇団の特長である光とサウンドに拘ったアート性の高い空間演出は、この公演でも特筆すべきところ。

物語は、東日本大震災で被災し、ボランティア アルバイトという響きの良い言葉に騙されて東京(吉原)のソープランドのリネン回収業者で出稼ぎ労働をすることになった男達の話が中心。しかし東日本大震災の悲惨さを殊更に強調するわけではなく、今の状況を淡々と喋り描くことで10年という歳月が人々に与えた影響を炙り出す。人と生きるより 街と生きることを選んだ者たちは、人並みの暮らしを求めるのではなく街に生かされているといった感じだ。故郷の東北にも帰る場所もなく、何となくこの街にいて食っている刹那的な情景にも思える。暗い夜を抜け出して楽園を目指した物語。ソープランドという場所から女性の悲哀も垣間見せ、男女問わずの物語を描き出す。同時に直接的に描かれない「生(性)の営み」が明日の活力を連想させる。それがラストシーンへ…。

街と生きるを思わせるのがドライブシーン。夜の街道、運転しながら高田(村田充サン)が淡々と喋るシーンは、どこかに感情を置き忘れたような。その虚無感を思わせる表現に心の深淵を見る。そしてリネン回収会社の社長・松原(田中智也サン)の強面の存在感は、暴力と収奪の臭いがプンプンする。この二人の生き方とバイトの西原(中川パラダイス サン)の刹那的な生き方を対比させることで、どん底の生活にも関わらず、そこにも不条理な世の中が見えてくる。

物語に出てくる街は、当日パンフに記載がある。例えば葛飾区ヒガシカネ町にあるクリーニング工場。土手沿い。東京と埼玉と千葉の境目にある、などリアルな光景が浮かぶ。
タイトルに呼応した「虹の袂で待ち合わせしよう、虹の向こうの楽園に行くために。」は、劇中に出てくる「虹の橋」では少し残念 怖い。それよりは高田が以前居たフィリピンでみた「月虹」のほうがロマンがあり、夢と希望を持てるのだが…。
次回公演も楽しみにしております。
YUKUE-鼓動-

YUKUE-鼓動-

せんすtheatre

兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/02 (金)公演終了

満足度★★★★★

演劇的なファクターもある、どちらかというとミュージカル的な演出。人との繋がりと、一番表現したい言葉を端的に繰り返すことで、どの年齢層にも分かりやすく構成されている。(けっこう子供も多かった)平日にも関わらず、満席で期待感はかなりあると思われた。実際期待以上でした❗

帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)

帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/08/17 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/08/30 (火) 14:00

【ガマ】
沖縄には多数あり戦時中は避難壕や病院壕として使われた「ガマ」で遭遇した民間人・軍人6人。
断片的というか漠然とというか部分的にしか知らなかった(第二次大戦における)「沖縄の特殊性」を改めてきちんと認識できた感覚。そして登場人物それぞれの戦争体験とそこからの身の処し方に関する葛藤が生々しい。

ネタバレBOX

殊に女子学生の語る知人たちの凄絶な死に方には胸が痛むし、それゆえ死を選ぼうとする彼女を男たちが「生きろ!」と説く流れがイイ。
また、ラストの構図にドラクロワの「民衆を導く自由の女神」を想起したが、女子学生が死のうとする男たちを生に導いたのではないからその意味では真逆か、とも思った。
評決 The Verdict

評決 The Verdict

劇団昴

俳優座劇場(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/09/01 (木) 14:00

座席1階

米国のベストセラー小説。映画化もされた名作だ。今回、劇団昴がなぜこの作品に取り組んだのかはパンフレットにも書いてなく不明だが、2幕物の長編でも飽きることなく舞台を楽しめる。

特に、演出がよかった。主役の弁護士ギャルビンの事務所、彼が通うバー、裁判が起こされることになった原因である医療事故の場面(病院)、そして法廷。これらの場面転換が舞台の各所で切れることなくつながっていくのはテンポがよくて舞台が引き締まった。
ただ、法廷には陪審員の姿はなく、最後の評決はどういう形で描かれるのだろうと思っていたら…。これはネタバレになるので書かないが、ちょっと意外なスタイルだった。

大病院、実績のある著名な医師たち、病院お抱えの敏腕弁護士。医療事故裁判は日本でも多いが、患者・家族がこうしたヒエラルヒーの権化に立ち向かうのは容易ではない。証拠になる医療情報はこれまで、ほとんどが患者側に開示されなかった。現在は法整備も進んではきたものの、患者側が「いったい何が起きたのか。どうして最愛の家族は死ななければならなかったのか」という真実を知りたいという思いに応えられるシステムは整っていないし、ましてや裁判になれば病院側は都合の悪い事実や証拠は隠してしまうのが通例だ。

主人公のギャルビンは、簡単に示談金を引っ張ってそのご相伴にあずかることができる事件を選んで糊口をしのいでいるようなダメダメ弁護士だった。だが、彼が一転して患者のために真実を追求する姿勢に変わり、圧倒的に不利な状況を跳ね返していく物語はある意味で勧善懲悪でもあり、分かりやすいと言える。

面白かったのは、裁判長の訴訟指揮が訴えられた病院側べったりだということだ。日本ではここまであからさまな訴訟指揮はないだろうと思っていたら、最近でも訴訟指揮が国側とべったりだとして裁判官忌避を申し立てられた国賠訴訟もあった。被告が国だと、国側と裁判所が同一視されるような裁判は、安保法制や辺野古の訴訟など考えてみれば多い。権威にすり寄る司法というのは、どこの国でも同じだというのはこの舞台が示した教訓だと思う。

SHINE SHOW!

SHINE SHOW!

Aga-risk Entertainment

シアター・アルファ東京(東京都)

2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

泣いて笑って忙しかった。久々に長い上演時間(途中休憩有)の芝居だったけど、長いなー、と感じるヒマもなく、達者な演者さんと素敵な脚本に押し流されました。
あー、楽しい時間でした。心地よい疲れ。
普段コメント書かないけど、興奮したので書きました。

ネタバレBOX

出場者もスタッフ陣も1人づつが本当に丁寧に描かれていて、それぞれが愛しくて仕方がなかった。肩入れしちゃい過ぎてヘトヘトになりました。上演時間は長かったけど回収キチンとしてくれて嬉しかった。もっと見たい位。

当日パンフ(のど自慢大会の演目進行表)も良かったし、兎に角、脚本(演出)が上手い。物語と笑いと歌のバランス、くどくならない匙加減が絶妙でした。
役者さん達が、また、皆さんサービス精神のカタマリで、しかも達者で、楽しくて可愛くて勉強になりました。純粋に凄い。ケチじゃない。ドンドンくれる。後ろにいる時や、オフ芝居もズーーっと役で色々やってる。メイン(台詞を喋ってる人達)を邪魔せずにあれだけ色々やれるのは特殊技能。しかも面白いし。凄く得した感じ。

上手く表現出来ないけれど、地方の旅館でテーブルに乗り切らない量と品数の夕食を出された時みたいな気持ちになりました。しかも一皿入魂の手のかかった名産品ばかり。いやはや贅沢でした。
加担者

加担者

オフィスコットーネ

駅前劇場(東京都)

2022/08/26 (金) ~ 2022/09/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昨年の「物理学者たち」で知った20世紀の劇作家ディレンマットの名を目にする機会が、今年6月新国立「貴婦人の来訪」、そして今作と(なぜか?)続く。
挑発的な、濃い戯曲で、科学者の倫理を問う今作と「物理学者たち」は共に寓意性が高いが、今作がよりグロテスクである。というのは、既に死んだ者が平然と’(時系列を無視して?)登場したりする事以外は「リアル」の範疇で、描き出されるのは(「物理学者たち」が不条理劇に近いのに対し)人間同士が日常の延長で関わる風景であったりする。
舞台となる「地下」の用途目的、状況(死体溶解装置が置かれている)自体が異常であり、(装置を作った)元科学者が日常を送る場であるという設定は、異常を意識する時間と、無意識化される時間とを作り出す。
現代の「異常さに慣れ切った」側面が凝縮されたとも言える場に高給と住処を宛がわれた彼は、最も観る者が感情移入する登場人物ではあるが、それが観る者の正常感覚を揺さぶる。
ドイツ語圏スイスのこの作家は上記「物理学者たち」で名声を手にし、本作の「大失敗」(Wikiより)で戯曲に手を出さなくなったとか。元々小説家、エッセイ作家でもある彼の戯曲は数は少ないがどれも20世紀的問題臭を強烈に放つ。ただ今作「加担者」は世紀を跨いで跋扈する「神から最も遠い」呪われた何かの影を突き出してくる。
話の展開は神経を石臼で挽くようだがどこか甘味で、人間(自分)への深い疑いと絶望を抱いたときに却って人間(自分)を愛おしくなるあの瞬間の記憶が掠める。

ネタバレBOX

メメントCの前回公演「わたしの心にそっとふれて」は認知症医療の実践家であった医師が自らの認知症に直面して苦悩し、家族との繋がりの中に辛うじて居場所を見出す物語であった。この中心人物を圧倒的な存在感で演じた外山誠二(後で思い出した)が、本舞台で「悪」の元締め役を演じたのだが・・。
自分が観た回では台詞が心許なく、そのせいかどうか、このボス役本来のありようとの距離を感じながら見ていた。
本作は、科学と倫理の根幹があやふやで正邪との境界すら霞んだ現代の、本来なら不安に満ちた状況とは裏腹に、物質的充足で日常の「生」が成立してしまう有りようを残酷な皮肉で抉り出す。
主人公である元研究者に死体溶解の仕事をオファーするボスは、倫理不在の象徴的存在であるが、この人物にもっと肉薄した「見え方」があったとすれば・・と考える。悪に染まる者の精神構造の「見えなさ」に当て嵌まるキャラクターを思い浮かべるのには、映画が手っ取り早く、「タクシードライバー」の主人公や「ゴッドファーザー」の人物たち(無論中心はマーロンブランド演ずるドン)、「ノーカントリー」の殺人鬼あたりに考察の手掛りも。。当人は優れて論理に従って「正しく」生きている、矛盾なく成立している姿。だから怖い。芝居の中で主人公はそれこそ平然と死体を処理し続ける身分となっているが、収入によって地位が決まるアメリカ社会で「教授」職でなくとも自分の科学的知見の活用により「金」を生んでいる状況に彼は満足する(しようとして成功している・・何しろ評価の証である収入が保障されている)。だが最後にその無防備さゆえにしっぺ返しを食う。
再度映画に戻れば、コーエン兄弟の「ミラーズ・クロッシング」では主人公のボス(アイルランド系)の対抗勢力であるイタリア人マフィアのボスが、自らの行動を律する論理(哲学)を折節に口にするのだが、この描写は中々実態に迫っているのではないか。悪は正当化し続けなければならない。舞台の方のボスもやたらと喋る。己の思考を全て辿り切らなければ済まないかのように。

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