長い長い恋の物語
玉造小劇店
ザ・スズナリ(東京都)
2023/02/14 (火) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ある在日コリアンの昭和12年からの60年以上に渡る物語。辛いシーンもあるが、そこにだけ拘ることをせず、笑いも交えつつ、重たい背景もちゃんと観客に想像させながら約2時間で描く。もう30年以上前に大阪で仕事をし始めた頃、先輩の社員からいろいろと注意というか、これだけは気を付けろといったようなことを言われ、最初はそれがどういう意味なのかよく分らなかったのだが、それを思い出させるような箇所もいくつか。そういえば、わかぎゑふの芝居を観るのも、大阪にいた頃に観たリリパットアーミー以来だった。
記憶
劇団The Timeless Letter
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2023/02/18 (土) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
神を信じない僕には、リアリティー感不足でしたが泣きました…何度も…
隣は泣き崩れてました
良い内容でした
別バージョンも観たいけど🎵
アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
更地IBUKI
大森カンパニー
シアター711(東京都)
2023/02/14 (火) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
笑の大学
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2023/02/08 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
名作をよみがえらせた傑作舞台である。戯曲は三谷幸喜の最高傑作。笑い、笑い、笑いのあとに、つらい涙のクライマックスがある。検閲官の内野聖陽と、喜劇作者の瀬戸康史も息のあった演技でよかった。とくに内野の緩急ある、コワモテとコミカルを兼ね備えた演技が素晴らしい。冒頭の「鳥を飼い始めた」「何の鳥?」「カラス」(笑い)のやり取りから、どっと観客をつかんだ。
長い長い恋の物語
玉造小劇店
ザ・スズナリ(東京都)
2023/02/14 (火) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
3代にわたる在日韓国・朝鮮人の人生を、ときに大阪の笑いをまぶしながら、つらすぎず軽すぎず、絶妙のバランスで描いた。主軸は戦争中に日本にわたってきたパク・ソジン=木村辰男(うえだひろし)と、社長のお嬢様の桜子(松井千尋)の、遠くから思いあっている恋。
朴は戦争中、監督と社長にはげしくいじめられる。初仕事につらい肥え汲みをやらされ、殴るける、果ては犬の格好までさせられる。監督(野田晋市)の意地悪さが本当に憎々しい。兄は戦死。戦争は終わった後で兄の息子は朝鮮戦争に志願して戦死と、不幸が続く。会社の先輩で実は在日の男(カン・ソンヒョ)は、帰還運動で「地上の楽園」を歌う北朝鮮へ。当時は革新勢力がこぞって帰還運動を後押ししたが、いま複雑な気持ちは抑えがたい。
東京五輪が迫るころ、ベテランのみやなおこ、美津乃あわが、それぞれ木村の子・洋子、桜子の子・珠希で、小学生のかっこうで、無駄にはしゃいで出てくるところから、笑いが醸し出されてくる。珠希は母の桜子に「ガードの向こう(朝鮮人部落の鶴橋)に行っちゃダメ」と厳しく言われていたが、ある日、エイヤっと、ガード向こうの洋子の家に遊びにいく。そこで、赤いスイカと、気のふれた伯母のある出来事に、珠希はショックを受ける。その事件をめぐり、学校に呼ばれて再会する木村と桜子。ここで野田晋市が女校長役で、用務員(笑福亭銀瓶)との掛け合いで笑わせる。悪役とへんな女形を演じて違和感のない野田が見事。
さらに時がたち、桜子の父の社長(コング桑田)が、自分の秘密を語り、後事を木村に託す。がたいのでかいコングの出番は戦前とこの時だけだが、この場面は迫力と重みで強烈な印象を残す。もう64歳の作者のわかぎゑふは、朴の兄嫁と洋子の息子役の二役をやる。とくに息子役は野球帽のつばを後ろにかぶって、アラレちゃん眼鏡をつけ、あまり男には見えないが、でもかわいい子役だった。成績優秀な木村の次男(カン・ソンヒョ)が留学前に、爪とぎでなぜが指の腹をこすっている。パスポートをとるので、ずっと拒否してきた指紋押捺をせざるを得ない。それで癪だから指紋を消すというのは、なるほどと感心した。
韓国・朝鮮語のセリフも時折出て、在日であることをしっかり描いている。最後には感動のエピソードもある。在日の歩んだ長い道を印象的なエピソードで描き、日本と韓国の関係、時代と人間の変化、さらには部落問題までも絡めて見ごたえある芝居であった。パンフを見ると、ここに書いたことをふくめ、劇中のすべてのエピソードが、作者自身、あるいは友人の体験だという。
生者に梔子
牡丹茶房
高田馬場ラビネスト(東京都)
2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/17 (金) 14:00
何でこんなこと考えるんだろう、…、な芝居。スゴイ。(2分押し)136分。
山形の寺で1週間の断食体験をするために来た6人+紛れ込んだ2人+寺のスタッフ4人。豪雪やら何やらで断絶された空間となり飢餓が進むが…、の物語。終盤で出て来る1つのフィクションを除けば、実話だと言われればそう思うかもしれないストーリーだが、役者陣の熱演もあり、最後は宗教的な彩りをも示すあたりは、予想外の展開だった。冒頭から不穏な空気を醸す赤猫座も見事だが、セリフなしで演技する二つ森も見事。
草迷宮~ここはどこの細道じゃ~
演劇実験室◎万有引力
座・高円寺1(東京都)
2023/02/03 (金) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
やはり万有引力はこれが醍醐味。同じ座・高円寺で以前観た「身毒丸」の規模で、高さと横幅を使った大舞台である(同じ劇場で「レミング」をやった時は装置が簡素でやや淋しかった・・その少し前に松本雄吉演出がやはりタッパを使った大装置の「レミング」をやったので趣向を変えたのかも知れぬ)。
生演奏にはドラム&パーカッションのJ・A・シーザーのほか筝+三味線、琵琶+唄、ヴァイオリンがそれぞれ上手上段、上下段、下手下段、上段と四角に位置取り、舞台を操るよう。
迫力満点だが、「やれて当り前」、欠けて初めて気づいた所では、役者の台詞・声は十二分に鍛えられて欲しいと思う箇所があった。声量、言葉の抑揚・・。その点、冒頭芝居に誘う口上を言う高田恵篤氏の喋りは抑揚と声量のコントロールが完璧。この戯曲はナレーション風の散文の台詞で占められるため、やはり「朗読」ではないが日本語の意味を伝える抑揚と声が欲しいのである。
ダイナミックな場面転換、寺山特有の「懐かしさ」を喚起する情景は印象的であった。
まっくらやみ・女の筑豊(やま)
椿組
新宿シアタートップス(東京都)
2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。嶽本女史の文体が炸裂。ただし未分化な言葉が散見され、エネルギッシュに「書き散らした」印象である。現実の時間が流れる場面での台詞に、詩的言語が混じる。ハマっている所とイメージの飛躍が大きくしかも速い部分では役者はそのニュアンスの変化まで全てこなしているとは言えず、特に出だしから暫く、役者の演技が下手に見えた(一体どうした椿組・・??という感覚)。言葉を追跡するタイプの観劇者なら気にならない程度だったかも知れないが、、。
題材と視点、エピソードの広がりに「面白い」と言わせるものあり。
おやすみ、お母さん
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2023/01/18 (水) ~ 2023/02/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
風姿花伝プロデュースを今回も観る事ができた。楽日前日の舞台を拝見。
母娘の二人芝居(役も然り)という話題性は、(それで不足を埋め合わせる事はないだろうにしても)自分には不要な要素であるのでスルーし、観劇に臨んだ。
那須凛演じる娘の行動線は、一般には理解しづらい役処という事もあり、暫くは(演技からは)人物理解の手掛りが零れ落ちて行く(一瞬の寝落ちが幾度かあった・・例によって体調のせいでもあるが)。だが母のリアクションが娘の存在の輪郭を明確にしていく。終盤は釘付けになった。相手を深く理解していながら、相手のその決定を受け入れる事ができない。生と死のテーマから死刑制度にまで考えが及ぶ。あるいは尊厳死。芝居は正解を示したように見える(その事はこの舞台の成果と言える)。だが終わった訳ではなく、果てしなく続いて行く予感がする。
磁界
オフィスコットーネ
小劇場B1(東京都)
2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
劇場に入ったとたんに「ああ、気が重くなりそうな話なのだ」としか思えない美術に圧倒されます。面白かったです。胸くそ悪くなりますが。
入管収容所
TRASHMASTERS
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
日本で暮らす限り緊急医療体制に関しては信頼度が高く、それは日本で暮らす外国人にも同等であると今まで思っていたのだけれど
普段馴染みの無い「入管収容所」
個人的には 不法滞在者=悪い人 という先行イメージから改めなくてはいけないと思いました
実際の被害者家族の方々(アフタートークにて)がそれでも日本人の事は好きですといった旨を話されていたのにはちょっと救われる思いがしました
公演時間は2時間40分
相当なる調査と考察から成り立った公演である事は想像に難くない
こういう事件が閉鎖された空間で起こっているのだと、そして何が問題として残っているのかと
どんな伝達手段よりダイレクトに伝えてくれるニュアンスや息づかい
それが生舞台の凄いところでありながら反面、観劇した人にしか直に伝わらないというのが何ともはがゆい
せめて一席たりとも空きが無いよう、一人でも多くの人が目撃できるよう願うばかりです
あの人だけの名前
演劇企画 heart more need
無観客配信(東京都)
2023/02/17 (金) ~ 2023/02/17 (金)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
演出から動かない指示が出ていたということですが、確かにそもそも演劇の舞台では照明の変化で場所や時間の変化を表現できるわけだし一人芝居で配信オンリーで複数台のカメラがある環境であれば基本役者が動く必要はないと感じられた。またそのせいもあり逆に大きく動くシーンの印象はより強くなるとも感じた。意図したものなのかカメラ目線になるシーンは(たぶん)なく、「独白」感が強まっていたのも良いと感じた。アフタートークのmcが秀逸
アプロプリエイト―ラファイエット家の父の残像―
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「Appropriate」はBranden Jacobs-Jenkins(1984-)の2014年の作品で「An Octoroon」と合わせてObie賞のBest New American Play部門賞に輝いた(参考:Wikipedia英語版)。ワンツーワークスは以前に彼の代表作のひとつ「グロリア」を上演したことがあるが、私には良さがさっぱり分からなかった。しかし本作は非常に分かりやすく60分+10分休憩+90分の長丁場を退屈することなく楽しむことができた。最後は疲れたけど。
物語は田舎に暮らしていた父が亡くなって、後始末に集まった姉・兄・弟の3人と彼らの家族の怒涛の罵り合いである。相手の技をしっかり受けてからこちらの技を繰り出すという言わば口喧嘩のプロレスである。関谷美香子さん演じる姉トニーが小山萌子さん演じる兄嫁レイチェルのマシンガントークを受け止めてからの余裕の反撃には痺れた。多勢に無勢で負けが込んで行くのもご愛敬。
亡くなった父の恥ずべき過去が人種差別主義者だった(らしい)ことが全編を通しての柱となっているのは2023年の今にはあまりピンと来ない。ニュースでKKKの話を聞くことは無くなったのであの装束が出てきたときは懐かしさを覚えたほどだ。
いつもは暗転の代わりに行われるmove(stop&go のダンスパフォーマンス)が無いのかと思っていたら一番ピッタリなときに爆発した。やっぱりこれがなくっちゃ。
対話
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2023/02/10 (金) ~ 2023/02/24 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
表現がきつく、不快・嫌悪感を強く感じる向きも居るだろうから観る人を選ぶ一面も。開始早々、被害者遺族が凄愴な心持ちを吐露する場面では、隣席の方が肩を震わせているのが分かる。重い題材を扱い、130分間8人の演者が出ずっぱりで主張し合うのだが、決して暗いだけに止まらず、演劇ならではのLIVE感と緊張感、醍醐味がたっぷり詰まったとても見ごたえのある舞台。
沙也可~海峡を越えた愛~
吉本興業
ABCホール (大阪府)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
過去にこんな経緯があったことは、とても勉強になりました‼️
故郷は生まれ育ったところだけでなく、今からでもつくれる
だから生き抜け ま、こんなことを言いたかったのだと思う
生きていれば、何か良いことあるさみたいな僕みたいな軽い思いではなく、必死に生きて来たんだな〰️
ほぼ満席でWコール
内容は文句なし 客層はNMB目当てで少しキモかったけど😅
長い夢
シタチノ
王子小劇場(東京都)
2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
Bisous Bouquet
代々木アニメーション学院 エンタメスタッフ学部二期生
YOANI Live Station(東京都)
2023/02/16 (木) ~ 2023/02/16 (木)公演終了
超訳 ヴェニスの商人
名前はない劇団
王子小劇場(東京都)
2023/02/15 (水) ~ 2023/02/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/02/16 (木) 19:30
良くも悪くも若い芝居だった。(5分押し)76分。
有名な『ヴェニスの商人』を75分で上演、という企画だが、シェイクスピアならではのセリフも活かし、極めて真当な上演。開演前に役者2人が出てきて背景や人物名を説明するというアイデアは良いが、開演時間になってから5分も他の芝居のCM映像を流すのはいかがなものか。黒と赤の紙を使った演出も意図が今一つつかめない。役者の力量に差があり、安心して観てられない所もあったが、全体として丁寧な上演だった。配役表がないのが残念だが、ポーシャ訳の采乃がいい。若い観客が多いが、終演後の会話を聞いてて、結末を知らない観客が結構いることに驚いた。
対話
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2023/02/10 (金) ~ 2023/02/24 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
近年評価の高まるオーストラリアの戯曲。
粗筋と感想を目にして、これこそ自分が観るべき作品だと足を運んだ。
入場時に「必ず開演前にお読み下さい。」と配られる紙。
「一部、性暴力についての強い表現がございます。」との警告。「途中で会場を出ることは自身を守る行為です。」と不快なら我慢せず途中退場することを劇団側から促している。一体これから何を観せられるのか?異様なムードの会場。
観客が体験するのは地獄の光景。2回レイプ事件を犯した性的サディズム障害の青年スコット。刑務所で臨床心理士にOKを出されて仮釈放、弟の働くスーパーに勤務。そこで美人で良家の出である女子大生の客に目を付ける。ずっと我慢しようと様々な方法を試みるもどうにもならない。彼女のマンションに侵入し、帰宅と同時に室内に滑り込む。両手を後ろ手に縛り上げ口を塞ぐ。お気に入りのSM雑誌のグラビアを見せて、想像の限りを尽くして凌辱。罵倒殴打内出血虐待暴力性行拷問屈辱苦痛懇願、詰め込まれたコーラの瓶。彼女は絶望の果てに死ぬが、スコットは「殺意はなかった」と語る。
医療刑務所にて終身刑で服役中のスコット(声のみ山田貢央氏)。
今日一室に集められた8人。
被害者の父デレク(斎藤淳氏)、母バーバラ(安藤みどりさん)は今も地獄の日々を送っている。
加害者の母コーラル(山本順子さん)、姉ゲイル(天明屋〈てんみょうや〉渚さん)、弟ミック(辻井亮人氏)、叔父ボブ(河内浩氏)。
スコットを担当した臨床心理士ローリン(佐藤あかりさん)。
「修復的司法」の調停人・ジャック・マニング(八柳豪〈やつやなぎたけし〉氏)。
「修復的司法」とは罪に対して国家が罰を与える「応報的司法(刑事司法)」では、本当の意味での解決にはなり得ないとの考え方から生まれた。直接的な「被害者加害者対話」を通じて、被害者の回復と加害者の更生について当事者及び周囲のコミュニティの者が話し合うこと。性善説のようなぬるいイメージが付きまとうが、この試みに一体どんな意味があるのか?それとも何もないのか?は見てみないことには分からない。
この場にいないのは加害者と被害者だけ。
誰に一番感情移入して観ることになるのか?
被害者の母親役の安藤みどりさんがヤバかった。