おやすみ、お母さん 公演情報 風姿花伝プロデュース「おやすみ、お母さん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    風姿花伝プロデュースを今回も観る事ができた。楽日前日の舞台を拝見。
    母娘の二人芝居(役も然り)という話題性は、(それで不足を埋め合わせる事はないだろうにしても)自分には不要な要素であるのでスルーし、観劇に臨んだ。
    那須凛演じる娘の行動線は、一般には理解しづらい役処という事もあり、暫くは(演技からは)人物理解の手掛りが零れ落ちて行く(一瞬の寝落ちが幾度かあった・・例によって体調のせいでもあるが)。だが母のリアクションが娘の存在の輪郭を明確にしていく。終盤は釘付けになった。相手を深く理解していながら、相手のその決定を受け入れる事ができない。生と死のテーマから死刑制度にまで考えが及ぶ。あるいは尊厳死。芝居は正解を示したように見える(その事はこの舞台の成果と言える)。だが終わった訳ではなく、果てしなく続いて行く予感がする。

    ネタバレBOX

    前回の「ダウト」に続き、那須佐代子の役への没入が深く刻まれた。母を悲しみに投げ入れたのは「娘」の気まぐれではなく、そうさせた状況であり経過(もっと言えば持病)。娘は唯一自分がちゃんと生きる証としてその答えを見つけた。己の尊厳を確保し、よりよく生きた証を残すために(そしてその事により自分も他者も祝福されるために)、死を選ぶ。彼女が至って冷静なことが、余計に母を疑念へ追いやる。「母に最大の復讐をしようとでも言うのではないか」と。だが、実際のところ、娘は己の心の奥深く深くに潜んだ、自分の「人間性溢れる」決断の裏側にあるこの世(母を含む)への復讐心に、従っているのかも知れぬ・・母は最も優れた察知力によってそれを察知し、娘に哀願し続けていた・・そんな仮説がもたげもする。それも合わせ含めて、答えの無い芝居。

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    2023/02/18 08:58

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