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ピーター・パン

ピーター・パン

ホリプロ

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2023/07/25 (火) ~ 2023/08/02 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/07/30 (日)

東京国際フォーラムにてホリプロ『ピーター・パン』を観劇。
永遠に大人にならない少年ピーター・パンの物語。毎年夏休みの時期に上演されている印象があるうえ、ネバーランドやフック船長などが登場するファンタジーな世界観は、子供向けミュージカルの色が濃い作品だと想像していましたが、実際に観劇してみると、そのイメージは若干変化したような気がします。客層を見ると、もちろん子供たちも多くいるのですが、大人たちだけで観劇している方も多くいらっしゃる。また、客層だけではなく、作品そのものの演出や音楽も本格的で、思っていたよりも総合的なクオリティーが高い作品であると感じました。さすが今年で日本上演43年目を迎えた歴史あるミュージカル作品だと思います。これだけ長く愛されていることに納得です。
また、個人的には今回が初めての『ピーター・パン』観劇であったため、旧演出との違いは分かりませんでしたが、今年の演出家・長谷川寧さんのパンフレットコメントを読んだり、アフタートークを聴かせていただくと、非常に緻密に計算されているというか、細かな部分までこだわって作品を作られている様子が伝わってきて、単純に凄いなと感心しました。「子供向けミュージカルだから・・」といって侮ってはいけないです。プロフェッショナルな演出家、キャストさんたちが繰り広げるステージはとても見応えがあり、濃密な時間を過ごせた印象です。
11代目ピーター・パン役の山崎玲奈さんは、以前『アニー』で拝見した際も印象的な表情・表現がありましたが、今回は男の子役ということで、アニーとはまた違った役作りに徹しており、それはそれでお見事でした。アフタートークの際も、足を広げ?自然と男の子っぽい座り方になっていたように感じました。フライングシーンもカッコ良かったです。フック船長役の小野田龍之介さんは『マチルダ』の校長先生役に続き、悪役?を好演されていたように思います。存在感十分で、個人的には今回もなかなかのハマり役だと感じました。キャストたちが客席に降りて、会場全体で盛り上がる歌唱シーンや、子供たちの笑い声、叫び声などもあり、コロナ禍からの脱却も感じられて良かったです。

月の鏡にうつる聲

月の鏡にうつる聲

おぼんろ

Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)

2023/08/04 (金) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

9人の役者さんが現在と過去の人物を演じたりするので、時系列がこんがらがってしまいました。次回はもっと気をつけて見てみます。
今回の照明が今までと随分違うのはあのラストシーンのためなのでしょうか。
上演時間は2時間30分くらいです。

闇に咲く花

闇に咲く花

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2023/08/04 (金) ~ 2023/08/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/04 (金) 15:00

座席1階

井上ひさしの「昭和庶民伝三部作」の一つ。初演は1987年という、こまつ座のDNAとも言える作品だ。三部作の一つ、軽快な音楽に彩られた「きらめく星座」も泣けてくるが、この作品は派手な音楽はないけど泣けてくる。「忘れちゃ駄目だ、忘れたふりをしているのはなおいけない」という名せりふは、戦争の教訓を学ぼうともしない世界の為政者たちに向けた、庶民の叫びでもある。

舞台は靖国神社や神田明神に挟まれた東京・下町の小さな神社。山西惇演じる神主は、5人の未亡人の協力を得て、お面を作るなどして生計を立てている。だが、終戦直後の混乱で生き抜くには闇市で食料品などを調達するしかない。冒頭出てくるのは、5人が臨月の妊婦を装ってコメをおなかに仕込んで持ち込んでくる場面。警察の取締でバレたら没収、罰金という憂き目に遭う。
戦前、神主がこの神社に捨てられていた赤ちゃんを育てた。この男の子が、野球の名手に育つ。彼の投げる剛速球は並み居るスター選手をなで切りにする実力だ。戦争に取られて戦争中に戦死公報が舞い込むが、終戦後、ヒョッコリ戻ってくる。だが、この剛速球が彼の悲劇の幕を明けることになる。
今作は出演メンバーがユニークだ。剛速球投手の女房役に浅利陽介。こまつ座には初出演といい、山西とはテレ朝の「相棒」で共演し、おなじみの顔だ。5人の未亡人役もなかなかの存在感。枝元萌は言うに及ばす、青年座の尾身美詞もなかなかの奮闘ぶりだ。笑いを忘れずへこたれずに生きる市井のおばちゃんたちを見事に演じている。
音楽はない代わりに2幕3時間に及ぶ長時間、ギターを弾き続けた水村直也もすごい。

為政者・軍人が理屈を付けて引き起こす戦争の犠牲者はいつも庶民。ウクライナでは特に庶民への被害が重大だとして国際的に禁止されたクラスター爆弾が「適切に」(米軍当局)使われているが、ロシア側からの投下も含め不発弾がきっと戦後の庶民を苦しめるだろう。今では報道量も減っていてよく分からなくなっているが、この舞台で表現されている庶民の辛苦は、ウクライナなどでは現在進行形だ。そんな思いで見ていると、「忘れちゃ駄目だ」のせりふが胸に響いてくる。

本日は初日。カーテンコール後も鳴り止まない拍手が、客席の満足の証である。

POINT OF VIEW

POINT OF VIEW

ファニーキャンクス

STAGE+PLUS(大阪府)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★

二人芝居が四本続く 一般的には四本が上手く最後で結びつくと思うけど、僕のつたない感受性が邪魔して結びつかない…
最後に説明書みたいなモノを頂き、読んだことで、結びつき満足感を得る
次回も楽しみです!

桃太郎の大冒険

桃太郎の大冒険

劇団龍門

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
㊗️第20回公演、劇団の代表作にして「2016年シアターシャイン最優秀作品賞受賞作品」…その再演は観応え十分。サスペンス ミステリーとして展開していくことから公演終了までネタバレ厳禁。

物語は、「桃太郎」という子供向けの お伽話ではなく、どちらかと言えば大人向けの啓発劇のよう。劇中、何回か繰り返す「今を生きることがサバイバル」という台詞が切実だ。どう生きるのか、その運命を握る者とは…その関係を鋭く捉え、考えさせる濃密な作品。その視点の奇知が物語の肝であり、面白さだろう。ぜひ劇場で!
(上演時間1時間45分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台セットは 中央に平台、その周りを柵のようなもので囲っただけのシンプルなもの。
物語は、動物界におけるヒエラルキー、それを人間とそれ以外の動物の観点から それぞれ捉えた問題作。人間の身勝手さ、しかしそれに抗うことができない動物たち。その生死さえもである。「人の命は地球より重い」 多くの人が、耳にした言葉だろう。しかし あくまでも<人の命>である。

物語は、擬人化した動物の背景を描くことによって、様々な人間のエゴを浮き彫りにする。そこには自然(動物界)の摂理ではなく、人間社会のルールによって生殺与奪が決まる。この悲痛な叫びを<人間の声>と<動物の声>を重ねた音響で印象付ける。

再演の可能性があるため、内容は伏せておくが、そう簡単には解決できない問題。表層的には制度の問題として描いているが、根底には人の考え方と行動に由る、と思う。
次回公演も楽しみにしております。
オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

劇団四季

大阪四季劇場(大阪府)

2022/03/06 (日) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/04 (金)

8月に千秋楽になるということで、4回目の観劇。
いつもながら五感がしびれました。カーテンコールで小さな女の子が精一杯の拍手を送る姿が印象的でした。

ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪

ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪

笑の内閣

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/08/03 (木) 19:15

大阪万博、メディア、怪獣(ゴメラ)が様々につながる。大阪の弱さ強さ、関西メディアのいい加減さ、活動休止している髭だるマン(ウルトラマンを重ね)へのオマージュの思いが伝わる。
テーマをどれかひとつにウェートを重くしたほうが良かった気がする。笑の内閣はいつも楽しく観劇しています。

ネタバレBOX

怪獣ゴメラの活躍をもっと期待していましたが、早々と消えてしまったのは残念です。もっと大阪万博と闘かつて欲しかった。万博の意義等が明確になる気がした。


我ら宇宙の塵

我ら宇宙の塵

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/02 (水) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/03 (木) 19:00

座席1階

「パペットを使い、映像と融合する極上の演劇体験」とチラシにある言葉はその通り。テーマが宇宙だけに、映像表現が極めて有効で、しかも小劇場の舞台にフィットしている。あたかも、プラネタリウムの中で演劇を見ているような、すてきな体験ができる。

物語の主人公は少年の姿をしたパペットだ。今作の作・演出・美術を手がけた「EPOCH MAN」]主宰の小沢道成が主にパペットを操る。お母さん役は池谷のぶえ。ある日この少年が行方不明になってしまうというところから物語は始まる。宇宙や星などが大好きなお父さんが事故で亡くなり、宇宙などについての会話を重ねてきた少年が父親を探して出て行ってしまった、という筋書きだ。お母さんは必死になって、息子を探す。

舞台の床から出てくる役者たちの最初の登場シーンがまるで、宇宙船に乗り込んでくるような感じがする。お母さんはそれほど宇宙に興味はないのだが、父と息子が重ねてきた宇宙についての会話を、息子を探しながら追体験していくような筋立てはとてもユニーク。舞台の三方向の壁に満天の星を映写したり、星座を描き出してみたり。個性的な劇作家小沢が映像の専門家と共に、客席を宇宙空間にいざなう。

「ひとは死んだら星になるの?」。そんな子どもの素朴な疑問文に、舞台は真正面から切り込んでいく。登場人物に斎場で働く男性を入れたのは秀逸だ。人間の死の現実と、本当に宇宙の星になるのかというファンタジーがうまい具合に交錯する。

演技力ぴか一の池谷のぶえや、そのほか小沢を含む4人の俳優たちの切れ味のよい舞台づくりで客席の目をくぎ付けにする。カーテンコールはなかったが、カーテンコールを望むような盛大な拍手が、客席の満足度を表している。

友達

友達

劇団第一主義

布施PEベース(大阪府)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

不条理劇だけど、あり得るかもしれない不条理
話して少し譲って、すべてを取られてしまう。
怖さを感じた。
黒い喜劇

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かなり以前に映像を使った妙なノリの芝居を観て以来の二度目。ご無沙汰の間に変化はあっておかしくないが、こういう戯曲を書く書き手とは思わなかった。現代風俗をがっつり織り込み、オーバー30の若者らを登場人物に紡ぐ。年寄りは若干置き去り感?だが「タクシードライバー」が古典と言える現代である。世俗と聖域の相剋は(ちょうど今読んでいる小説)「パンとサーカス」にも同じテーマを担う人物が居る。鬱屈した都市生活の中で、ある開眼に導かれ、「人のために生きる」を実践する中心人物と彼を取り巻く若者らの群像劇だが、特殊で、かつ凡庸な彼らの足跡が、凡庸故に輝く。
こいつ凄え、と思える人がクラスや、身近に居ても、いずれ彼らは世の片隅に場所を見つけて慎ましく生きて行く。形は平凡でも、彼を知る者は彼が放った光を覚えている。そんな輝かしく特殊で、しかも早晩埋もれて行く世の多くの平凡な物語の一つ。

桃太郎の大冒険

桃太郎の大冒険

劇団龍門

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです
ある場所に集められた面々、その目的等、謎めいたストーリーに、どんどん惹き込まれました。
意外な設定が見事で、笑いあり涙あり、考えさせられる事も多々ありました。
役者さん達の演技、動き、表情、すごく良かったし泣けてきました。
大満足の舞台でした!

オイ!

オイ!

小松台東

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#竹原千恵 #吉田久美
#尾方宣久 #小椋毅
#松本哲也 #小園茉奈
#今村裕次郎 #瓜生和成
(敬称略)初日
生きる
生きた
生きて
生きるので
生きれば
生きよう
生きるから
生きなさい
生きよう
生きると
生きてこそ
生きなきゃ
生きていれば
生きろ

人生は静かな激動の連続
或いは大騒ぎの微風

愛しき我が人生

コココーラ

コココーラ

コココーララボ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/07/29 (土) 12:00

初見のユニット(ってゆーか、ユニットなのだろうか)。ベテランの味。
 初老の男女が公演で話をしているが、男の妻の話題が軸。面白い、と言うか、ベテランならではの味はある。

禁猟区

禁猟区

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2022/12/22 (木) ~ 2022/12/30 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

柿喰う客の舞台を初めて生で観劇ましたが、熱量と勢いに圧倒されました。
見えない"何か"に怯えながら立ち向かうスリリングで疾走感のある脚本で面白かったです

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2023/06/29 (木) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語を作る人々の情熱、葛藤、エゴ、矜持、不安、真摯さが詰め込まれた、非常に良い舞台でした。

ネタバレBOX

心血を注いで完成させたエピソードが、対立していたテレビ関係者にも響いていたので、報われて本当に良かった。
また、元になったウ●トラマンのエピソードも、現実世界で子供たちやファンの間で印象に残り語り継がれていることを考えると、
特撮という子供向け作品で差別というテーマを扱った意味はあったと思う。
イーハトーボの風のうた

イーハトーボの風のうた

ミルキーウェイ

ティアラこうとう 小ホール(東京都)

2023/08/01 (火) ~ 2023/08/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前知識ゼロの初の劇団。素朴でバランスの良いチラシ、芯がありそうな(微かな)気配、宮沢賢治・・ティアラこうとうなる施設も住吉駅も初めてで少なからず期待を高めて何とか開演前に辿り着いた。野外スポーツ施設や道路向かいの蟹江恩寵公園などの木々のエリアから、銀白の建造物が現われた時はホッとした。
小ホールには建物に向かって左側を下りて行く、ガラス戸を中に入ると正面に大会議室とあり、人がちらほらと吸い込まれていたが、そこではなく、左奥に受付が見えた。小ぢんまりしたホールだ。ステージが、狭い! それを60度位に円弧で囲む形の客席も、数十席といった所。新しい建築と思っていたがステージの板はこすれて古味を醸している。奥にグランドピアノ、その前には2メートルもない演技エリア、左右ともにはけ口がある。ピアノの脇にボンゴ等のちょっとした楽器と、イラストの付いたサイコロ型の箱(踏み台になりそうな)が2個だけ置かれたある。チラシを見ると、わずか9名の役者で、中には中々の高齢らしい顔も。
色々と予想を裏切られる中、物腰柔らかな男性が90分の上演時間を告げ、5分押しで開幕した。
懐かしい感覚が呼び起される。小学校時代に観たかも知れない、簡素な舞台、客席に語りかける表情豊かな役者顔、ピアノの伴奏・・。舞台の出自として演劇とは別の、「音楽劇」の発展の系譜がありそうだと少し前に確か書いたが、結論的には「どこでやってた人たちだろう」という興味をかきたてられる、中々まとまった完成度の高いステージだった。

最前列に座ったせいもあるが、ステージとの距離も近い。照明も明るくしており、そのため冒頭合唱に並んだ5人の年代(凡そではあるが)が視覚情報として飛び込んでくる。(この年齢の印象も終演後には些か変っていたが。)
だが、次第に芝居の世界が立ち上がり、耳に心地よい歌、音楽、簡潔でリズミカルな展開、やがて幻想の世界に入り込み、最終段では宮沢賢治の文字化された世界観が台詞で語られもした。
子どもを主たる対象に作られた演目のようであったが、最後にようやく顔を出す人間世界の矛盾のようなもの、風(自然)と人間との対立と共存といったテーマは、具体的なイシューに言及する必要はないにしても、現実のネガティブな事象にもう一歩踏み込んでも良かったのではないか・・と感じた。負の要素を乗り越えてこそ大団円は訪れる。

中盤から前のめりに見始めたが、チラシ、パンフと出演者を照合し、最後には全て把握できた(写真と現物の印象が違うので時間がかかる)。まず演出の男性(最高齢?)が冒頭から登場して「先生」そして「達二」(子ども)を演じる主人公。その後ろに黒衣裳でピアノを叩く演奏者は作曲者本人。その彼女が後半登場して演じたキャラが秀逸。透明な歌声が印象的な女性が、よく見れば脚本担当であった(グループ主宰とも最後に紹介)。演出の齢に近いと思しい女性は、低音の歌声に説得力がある、声を張らないちょっとした三部合唱が何気に聞かせる。多様な場面にそれぞれ合ったキャッチーな曲。終盤近い長尺のそれは間口10メートル奥行5メートルも無い小さな舞台の向こうに、広い世界を垣間見せた。
宮沢賢治作品を取り上げた作品を作り続けているという。
「欲を言えば・・」の話は先述したが、革新と発展が演劇(芸術?)が持つ本性だとすれば、この集団にとってどのあたりにその契機があるだろうか、と考えた。生み出された彫刻のような作品を磨き、深みのある艶を出して行く・・クラフトワークがそぐわしい世界もあるのかも知れない。が、、「演劇であってほしい」と願う私はこうした世界との折り合いをつける言葉を見つけられておらぬ。

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#埜本幸良 #福原冠
#井神沙恵 #入手杏奈
#植田崇幸 #細谷貴宏
(敬称略)
岸田國士戯曲賞受賞作がcovid-19を経て帰ってきた。ただ再演しているのではなく、世界が病んでいた時間をしっかりと作品が飲み込んで、ある意味で栄養にしたのだと思う。
語られる物語の以前に起きていたであろう退廃した生活やバイオレンスが何だったのかは観客の想像力に委ねられている。
人が存在すること生きることの意義や本質は何なのか。関わることと関われないこと、関わることのできる人間と関わることのない人間、そうした人間たちの狭間で生きている。騙し騙され、虚構を纏いながら関わり生きている自分と彼と彼女の実像とは何なのか。そもそも実像などというものはあるのか。ファンタジーを噛み締める。
作品の中の人物と俳優の相互のキャラクターが化学反応を起こし、畝るように絡み合う。
佇まいも台詞も美しかった。
大好きな井神沙恵さんが踊るように、時には泳ぐように滑らかに絡み近づき突き放し、美しく生きてみせた。目が離せなかった。彼女の叫びが我が心臓を貫いて血を吹き出させている。
入手杏奈さんの柔らかな存在感は愛しさを増していた。その愛らしさが悲しみを増幅させる。
男性陣の伸びやかさとウィットが今作品の肝であるけれど、ファンタジーでくるんだ人間愛がズドンと揺るぎなく貫かれているように思える。
豊かであっという間の200分だった。

愛について語るときは静かにしてくれ

愛について語るときは静かにしてくれ

コンプソンズ

OFF OFFシアター(東京都)

2023/08/02 (水) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/02 (水) 19:00

120分。休憩なし。

これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

熱のこもった演技に臨場感がありました。

ネタバレBOX

深く戦争について多くのこと考えました。兵士の目線で、兵士の言葉で戦争をとらえているところが衝撃でした。アフガニスタンで起こったことについて強い関心を、持たずにはいられません。
イーハトーボの風のうた

イーハトーボの風のうた

ミルキーウェイ

ティアラこうとう 小ホール(東京都)

2023/08/01 (火) ~ 2023/08/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

宮澤賢治の「風野又三郎」は読んだことがなかったが、この音楽劇では人間と自然界、特に<風>との交流を描いているよう。<風>と人間の交流…ありえないようなコトを抒情豊かに描いており、その意味では空想劇といったところ。人間の先生(達二)と又三郎という色々な風との出会いと別れ、その気ままな<風任せ>な光景を楽しく愉快に観せる。

当日パンフで脚本・吉野則子女史が「風野又三郎」は<風の精>として こどもの前に現れる。そして風のいたずらや自然の驚異…とある。いくつもの小話・寓話を繋ぎ自然界と人間の関わりを興味深く語る。勿論、音楽劇と謳っているから生演奏や独唱・斉唱などで聴かせる。
公演の魅力は、衣裳や被り物で親しみのある観せ方をしており、幅広い世代に好まれるであろう劇作。特に風の恰好は白地で浮遊感ある衣裳で上手く雰囲気を出している。一方、淡々とした印象で 盛り上がりに欠けるようで物足りない。
気になったのは、勘違いかもしれないが ピンマイクのせいか、一部 雑音や声音に悪影響があったのが憾み。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

正確ではないが、円形の三分の一(120度)程度の扇型舞台。奥にピアノ、それ以外には絵柄のある箱馬がいくつか置かれているだけ。基本は素舞台。

物語は先生(達二)が風の「又三郎」と出会い、自然界の営みや生態を垣間見る。それは 種山が原の生物たち(おきなぐさ、蟻、キリギリス)や夢の生物たち(猿、ひわ、カッパ?)そしてアルペン農である。どの挿話も淡々と表現し深堀することはしない。あくまで風という自然現象と人間との関わりが中心であり、先の挿話は人も含めた動植物全体に風が何らかの影響を与えていることを描く。又三郎にはグランママ・おじさん・マダム・GIRL・BOYといった家族を表す名があり、そこには色々な風(例えば暴風・微風等)を表現している。物語の芯は人間、特に農家との関わりを描いており、宮澤賢治らしい寓話が込められている。

音響・音楽はピアノの生演奏だけではなく、風の吹く音。照明は 風が流れる様子を後壁に映す。先にも記したが、風の衣裳は 白っぽく浮遊感あるものを着ており、全体的に軽やかな雰囲気を漂わす。舞台技術にも工夫を凝らし、壮大な自然界を表現しようとする。淡々とした描き…それは自然界 そして人間の日常、その変わらぬ光景の表現であろうか。そこに刺激ある出来事を持ち込んで観(魅)せて欲しかった。

音楽劇、それもミルキーウェイ独自と謳っていることから、最大の特徴点であろう。歌(当日パンフによれば全15曲)は物語全体、そして挿話毎に独唱や斉唱で聴かせる。例えばプロローグでは♪「どっどどどどうど」、Scene1の又三郎BOY♪「星めぐりのうた」など馴染みのある歌、そして気になったのが、Scene2の又三郎GIRL♪「元気な風のいたずら」を歌った吉野則子さんの歌声にノイズのような雑音が混じり、また所々で音量が不安定になったような。それ以降~エピローグ、フィナーレまでの音楽は安定していた。以前、合唱団に入っていた時期もあり、どうしても<音>は気になる。
次回公演も楽しみにしております。

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