9人の迷える沖縄人~after'72~
劇艶おとな団
ロームシアター京都ノースホール(京都府)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
すごく良かった‼️
学生の時にテストの為に歴史の上っ面だけ勉強したことを反省します…
KAIKAで行われる勉強会にも参加して、理解を深めようと思います
「4…」
四分乃参企画
JOY JOY THEATRE(東京都)
2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
土曜日4時半の回を拝見。この作品はいろいろな劇団で拝見していますが、このバージョンは初めてでした。まさに熱演。演者の皆さんの体当り感が、直で伝わってきて良かったですね。
デイドリー無
南京豆NAMENAME
RAFT(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
平日夜拝見しました。客席と舞台がとっても近い一体感のある会場でよかったです。1話のお話が好きでしたね。もう少し長くどうなるのかまで見たかった気がしました。他のも良くできていたと思います。今後も楽しみにしていますね。
Wの非劇
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
タイムリーな時事<闇か病>ネタを笑い飛ばすような描き方、しかし その核心は鋭く突き かつ多面的だ。タイトル「Wの非劇」は1980年代にヒットした映画「Wの悲劇」を連想させ、一見 劇構成は準えている様に思えたが、本作ではインターネットやチャットGPT等 現代的な要素を盛り込み、その功罪までを問う幅広さ。勿論タイトルに込めた思いは劇中で明かされるが、演劇という虚構性を逆手にとって今 現実を痛烈に皮肉る内容に驚かされる。
本「Wの非劇」は説明にある性の被害者が別の意味で加害者になり、事がうやむやになろうとする。それは芸能(事務所)界だけではなく、市民が時々の風潮に乗じて誹謗中傷することで更に真実が分からなくなる。性の被害は女性だけではなく男性も、それを現実のJ事務所を連想させるジョニーエンターテイメントの新人合宿所の場面で暴く。
映画「Wの悲劇」は、映画の中で上演されている舞台劇の原作という設定であるが、本作のラストは別の映画を思わせるといった凝りようだ。どのように収束させるのか と思っていたが、お~そう来たかと思わず笑ってしまった。いや それまでも笑っていたが 、やはりラストは秀逸であった。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)
「4…」
四分乃参企画
JOY JOY THEATRE(東京都)
2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
タイトル「4…」は、2024年12月に解散することが決まった「社会人劇団threeQuarter」のカウントダウンの意。解散までに過去の作品を蘇らせ「生」で観せるため、配信は行わず劇場公演にこだわりたいと…。
観たのは、「劇団四分ノ三」の「熱海殺人事件~モンテカルロ・イリュージョン~」で、つかこうへい作品らしいマシンガンのような早口台詞と熱量ある動作、その激情に満ち溢れたところが見所であろう。勿論、内容は、つかこうへい らしい、<差別>問題が根底にあることは言うまでもない。ちなみに 当日パンフには、threeQuarterプロデューサーの清水みき枝女史が、解散まで「愛と情熱」をもって劇場<観客>を震わせたいと記している。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)
インバル・ピント『リビングルーム』
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
かつてロザムンド・パイク主演の『エンテベ空港の7日間』という映画を観て、イスラエルのコンテンポラリー・ダンスに興味が湧いた。映画では椅子を使ったオハッド・ナハリン氏振付の作品が挿入される。これが妙に記憶に残るもので、映画の内容は忘れてもそのシーンのインパクトだけは未だに残る。十数人の男女がパイプ椅子に腰掛けては立ち上がり繰り返しては踊り続ける。何の意味があるのかないのか、随分面白い世界があることを知った。
イスラエルのインバル・ピントさんの新作公演。サイレント映画の古典的な喜劇を思わせるクラウン・パントマイムからのスタート。過剰な動作の繰り返しからその意図、意味を投げ掛け、観客は個々に妄想して読み解いていく。物凄く単純な動作を使って観客のイマジネーションを刺激してはいざない、いつのまにかに気が付いてみれば随分遠くの見知らぬ地平まで連れて行ってみせる手腕。
主演のモラン・ミュラーさんは人間と人形のハイブリッドのよう。ヨガの行者みたいに鍛え抜かれ研ぎ澄まされた肉体。腕を背中に回す動作はホイラー・グレイシーを思わせる。これ以上削げない程砥いだパーツはブルース・リー。『人間凶器』が真樹日佐夫なら、彼女は『人体表現機械』。本来、人体のパーツはそもそも何の為に備わっているのかを考えさせられる。
居間の壁紙に描かれた樹々のスケッチ、クロッキー画。ミュラーさんの服にも同様の樹々が描かれている。ミュラーさんは爪先と踵を交差する動作だけで壁沿いにスライドしムーヴしてみせる。部屋への違和感、服を脱ぎこの空間に慣れようとするも自分の意思ではどうにも自分の肉体を動かせない。まるで誰かの操り人形のような不具合。ポルターガイストのように椅子は動き出し壁の上部に備え付けられた照明はぐるぐる回転、蚊が飛び回り、ポットは壁に吸い付いて踊り出す。ロマン・ポランスキーの『反撥』のような離人症と強迫神経症のダンス。ワードローブを開くと流れる様々なミュージック。まるで精神は音楽に支配されているよう。
もう一人のダンサーはイタマール・セルッシ氏。コンパクトなワードローブからランプの魔神の如く這い出てくる。その軟体動物のような動きは『ロシアン・ラスト・エンペラー』、エメリヤーエンコ・ヒョードルを思わせる。サンボや獣の回転体の運動、受け身を繰り返す。スキンヘッドに鬚を生やした顔の下半分の印象でストーン・コールド・スティーブ・オースチンっぽくもある。酔った魔神がぐるぐる回転し続けながら重力に馴染もうとしている。舞踏というよりも格闘技だ。
使用される音楽のセンスが良い。マヤ・ベルシツマン氏や阿部海太郎氏。ポスト・トークに登場した阿部海太郎氏は今回初めて知ったが本物っぽい。
ザ・ニュースペーパーLIVE 2023
社会風刺コント集団 ザ・ニュースペーパー
なかのZERO(東京都)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
しょっぱなの岸田総理、よーく見るとそんなに似てない(笑)のだけれど凄く特徴を捉えておられる、出てきた時の所作なんかもうソックリ!笑ったー
政治、経済、外交 日本のみならずワールドワイドな面々、今だから言いそうな(?)言葉の数々が逐一面白くて大爆笑と拍手の連続
地上波では微妙なラインを攻めているのが良い
どんなにおちょくった様な描写であっても、その人達がそう悪くない印象として残るのはやっぱり根底に愛があるからでしょう
政治家大集結の「朝まで生テレビ」コーナー、最高
願わくば高〇早苗さんにも登場して欲しかった
母【5月11日~14日公演中止】
劇団文化座
俳優座劇場(東京都)
2023/05/05 (金) ~ 2023/05/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
千秋楽までの数公演が中止に。ほぼ初日あたりに観ていてラッキー、とは自己中心な発言だが芝居好きの本音。(昨年「中止」を悔やんだのはマキノノゾミ「モンローによろしく」・・これは一日こっきりで中止に・・、流山児「夢・桃中軒牛右衛門の」を未練がましく覚えている。)
「母」とは小林多喜二の母であった。演じた劇団座長で、最も歴史ある新劇団の創立者二世でもある佐々木愛をフィーチャーした企画で、企画性が見えすぎる演目であったりもするが、肉親の目が見た多喜二の人物と人生を描きつつも、劇の焦点はこの母と、多喜二が温情を掛けて苦界から引き出したある女性との交流(いくつかの接点でしかないが)である。その点で多喜二はある意味若気の情熱の副産物とも言えるこの女性を、母に残したとも言え、母はこの女性を通して息子を「想う」にとどまらず、多喜二が見据えた社会を、その「具体」に他ならない女性を通して触れ、知ったとも言える。母の世界観が間接的に多喜二を語り、社会とそこに生きる人を語る舞台である、とも言える。
コンマ0.2秒の間は芝居のリアリティに影響する。ひやっとさせる母の長台詞の綱渡りをクリアさせるのが、長い俳優業で培っただろう「乗り切る」技術、「合わせに行く」直感と瞬発力。正直その様子が見えるようであったのだが(僅かな間ではあるのだが)、むしろ子を思う母イメージが、ありきたりに堕ちそうな所を踏み留まったのが大きい。多喜二とは今で言う所のどういう存在か(他の人物たちも)、その想像の余地を残す素朴さが、本舞台及びテキストの密かな魅力であった。
『たいない』
じおらま
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★
■約100分■
散漫。現代的なテーマがいくつもちりばめられていながらどれ一つとして深掘りできておらず、食い足りない。断片を貼り合わせたようなああいう作り方じゃあ、そうなるのはむべなるかな。ポストドラマ演劇のわかりやすい失敗例。
アフタートークを毎回やるらしいけど、ゲストは感想言いづらそ…
Wの非劇
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大学の女子寮仲間で舞台俳優の、吉牟田眞奈"よしむたまな"が出演する最新舞台を観てきました。
今話題のアイドルの件も含め芸能界の性暴力被害を超タイムリーに取り上げていて、演劇ならではの自由な表現で風刺しています。最高に面白かった。演劇を通じたジャーナリズムの形に感動し、2度目の鑑賞チケットを予約してきました。
2回観に行くのは、映画ではたまにあるけど、劇では人生初!
本当最高のタイミングで傑作作品に出会ったなと、共感しかない。
怒りを笑いに昇華して、でも本質をぶらさずしっかり訴求する、このバランスが見事です。明日も楽しみ!
Wの非劇
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/05/19 (金) 15:00
大学時代によく拝見していた劇団で、その頃の懐かしさもあり、今回、駅前劇場に足を運びました。性被害という、とても重たい話題を扱いながらも、ウイットに富んだ笑いで包みながら物語を展開していく手腕は20年以上を経ても変わらずに見事です。この手の話は当然に重たい展開となりがちで、観客も目を背けたくなり、結果的に観客へと同時代を生きていることへの当事者性を押し付けてしまいがち(特に演劇の場合にはその空間と時間に立ち会うことになるので)かと思うのですが、きちんと問題の核心にコミットしながらも、人間の滑稽さをうまく観客と共有しています。
「4…」
四分乃参企画
JOY JOY THEATRE(東京都)
2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
走れメロス
東京演劇アンサンブル
新座市民会館(埼玉県)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/20 (土)公演終了
『クロノス・ビギンズ』『あしたあなたあいたい』
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/05/20 (土) 13:00
「クロノス・ビギンズ」を観劇。
初めて観る人もシリーズを観劇したことがある人も楽しめる構成になっていて面白いです。
笑わせながらも心温まるシーンがあり良かったです。
透き間
サファリ・P
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2023/05/20 (土) ~ 2023/05/22 (月)公演終了
満足度★★★★
身体表現 演技 そして内容がとてもバランス良く出来上がっていた
海外の国をモチーフに制作されたみたいだが、日本にもつうずる内容
楽しめました‼️
金閣炎上
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2023/05/12 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
1950年の金閣寺放火事件の小説化は三島由紀夫の「金閣寺」が世に有名だが、水上勉の小説「金閣炎上」もなかなかの労作である。この舞台は、小説をもとに水上自身が戯曲を書いた。三島作品は犯人・養賢の「美への嫉妬」という言葉から発想した、美をめぐる観念小説である。
一方、水上は養賢の「あんなものは禅寺に不要だ。ない方が長老も小僧も苦しまなくてすむ」という言葉から発想した。前半彼の生い立ち、父母との関係をたどったうえで、後半、金閣寺における小僧生活でつもりつもった恨みつらみ、極端に吝嗇な長老の仕打ちと金満寺という実態のギャップへの憎悪をこれdもかと積み重ねていく。実録に近いと言われるほどの小説の舞台化なので、事実に即しているのであろう。養賢が次第に不満と恨みをふくらませていく過程は、長老によるたびたびの叱責に対する歯ぎしりする思いにくわえ、学生の友人の証言や、女郎買い(実際にあった)の場面などで、いわば主観と客観の双方から積み上げられていく。
養賢が金閣寺職員の収入や拝観料収入を尋ねるなど、いつもカネを気にしている性分が、その後の行動の土台として描かれていた。さらに戦後の金閣寺が、戦中の中国の傀儡政権の首席陳公博をかくまったとき、陳たちが池の鯉をとって食べ、麻雀三昧で遊び暮らしたことを、養賢は「殺生を禁じる禅寺でなにごとか」と憤慨する。この「殺生禁止」こそ、少年時代に狩猟したとき、僧侶だった父に激しく叱られ叩き込まれた教えだった。
三島「金閣寺」を読んだときは、美の妄執にとらわれた青年の衝動的行為を理解しがたくおもったが、「金閣炎上」では、考えた末に放火した犯人の心情には理屈が通っている。理解できると思った。実際の養賢はどちらだったかは、別問題のようであるが。
養賢役の君澤徹は新人だが迫力ある熱演だった。減量したのか、こけた頬とくぼんだ眼で、孤独で狷介で、近寄りがたい養賢の雰囲気をよく出していた。長老に叱られるたび、ぶるぶると唇を震わせて恨みをためていく演技も怖いほどだった。
Wの非劇
劇団チャリT企画
駅前劇場(東京都)
2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
性加害の問題を明るい笑いに変えて批判する。とにかく面白い。冒頭から超スピーディな場面転換で、若手大物監督(みずき)による新人女優(小関千尋)に対する性加害の問題と、それをめぐって泣き寝入りか告発するか、女優の事務所関係者の利害も絡んで右往左往する。人権と正義より利害と打算で動く人間の姿に、笑いながら身につまされる。
若手大物監督の所属する芸能プロが「ジョニー」で、社長はジョニー北澤(市原一平)。ジャニーズJrならぬジョニーブラザーズがステージの練習に流れるのが、性被害を実名で告発したカウアン・オカモトの曲。モデルは明らかで、ちくりとした風刺に客席からもたびたび笑いが起きる。ジョニー北澤が姉の会長(山本陽子)と、監督の性加害疑惑のもみ消しを図りつつ、若いブラザーたちを「合宿所」に呼び出す…。ここらへんから今日ただ今の問題の核心にせまっていく。
ネットの投降者たちも2回ほど出てきて、彼らの心ない言葉が登場人物を苦しめる。現代がネット社会であることもきちんと表現している。
濃い内容を、なりふり構わぬスピード重視でコンパクトな舞台に。95分休憩なし。
走れメロス
東京演劇アンサンブル
新座市民会館(埼玉県)
2023/05/19 (金) ~ 2023/05/20 (土)公演終了
リゴレット<新制作>
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2023/05/18 (木) ~ 2023/06/03 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
主役三人の歌手が素晴らしかった。醜い道化師・リゴレット役のロベルト・フロンターリのバリトンの凄みある絶唱、裏切られてもなお愛に献身するジルダ役の可憐な若手ソプラノ、ハスミック・トロシャン(アルメニア人)の伸びやかな澄んだ高音、多くの女に手を付ける遊び人だけど、それぞれの愛にうそはないマントヴァ侯爵役のテノール、イヴァン・アヨン・リヴァス(南米ペルー出身)の明るい声。
オケも快調なテンポでメリハリがあり、歌を邪魔しない抑制もある。演出・美術・衣装もシンプルだけど、情景を作るところはしっかりと描きこんでいた。要所要所の四重唱もばらんすよい。そうしたしっかりした土台の上に歌手の素晴らしさがきわだった。オペラ通の先輩も「近来にないいい公演だった」と言っていた。
1,2年前にMETのライブビューイングをWOWOWで見たが、現代的な演出が目立って、肝心の作品の方は影か薄くなってしまい、あまり内容を覚えていない。今回見て、どういう話かがよく分かった。
スウィングしなけりゃ意味がない
サルメカンパニー
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
成功した音楽劇は舞台の上も、観客も芝居ならではの幸福感に包まれる。
しかし、音楽を演劇の中で昇華するのは難しい。そこへ挑戦しているカンパニーというので、内容も確かめずに観にいった。
劇団の意図は十分に評価する。しかしこれでは、心意気だけである。
基本的なことが行き届いていない。
一つ。音楽と演劇と言いながら、「音楽」ないしは「音楽監督」のクレジットが見当たらない、曲名はタイトルにあるがその由来もつまびらかでない。演出者がまとめたというのならそう表記してその責を担わなければ。既成曲も使っているが選曲の意味がわからない。歌っているのは英語歌詞によるものがあるが、この事件が政治的には英露の綱引きにも関連しているので、ここは明確でないと作品の意図が伝わらない。
二つ。企画。今テロのドラマをやる意味はなくはない。しかし何で、チェコスロバキアのナチ高官の暗殺事件なのだろう。この事件は私はたまたま80年代にプラハで仕事をする機会があり、そこで詳しく知ることになったが、一般の人にとっては知らない事件だろう。
(ほんのちょっと触れられているがこの事件の背景には複雑な英露関係がある)本は、壁の崩壊後、映画にもなった事件経過を忠実に追っているが、登場人物たちの葛藤は「正義の人々」以来この種のテロもので扱われた以上のものがない。なぜ、身近な日本の素材でやらないのか。歴史をひもとけば同様な素材はいくらでもある。
三つ。脚本と演出。ステージングは要領を得ていてこれはこれで出来ているが、同じようなシーンが続いて、同じスポット照明の暗い場面が続いて疲れる。俳優たちの個々のキャラをたて観客を楽しませる工夫がない。台詞も言い始める前に気分を決めておいて一気に言っておしまい、という台詞術しかないので単調になってシーンの中の感情が盛り上がらない。せっかく大劇団の中堅俳優を客演に呼んでいるのだから、この際徹底的に台詞を学び直さなければシーンが膨らまない。事実以上に舞台が感情を持たない。
半世紀ほど前にオンシアター自由劇場が、この道を探って「上海バンスキング」という傑作を生んだ。フォーリーズにも「洪水の前」という傑作がある。前者には越部信義、後者にはいずみたくという現場に合わせて音楽を作れる優れた作曲家がいた。その後ダンスが現代演劇に取り入れられるようになって今の音楽劇はここも強化しなければならない。音楽劇は、一層さまざまな才能を発揮させる総合演出が重要になっている。
このジャンルが難しいことは承知の上で、劇団の奮闘を期待したい。いまはもうがっきをあつかえるはいゆうはいくらでも居る。