イーハトーボの風のうた 公演情報 ミルキーウェイ「イーハトーボの風のうた」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    宮澤賢治の「風野又三郎」は読んだことがなかったが、この音楽劇では人間と自然界、特に<風>との交流を描いているよう。<風>と人間の交流…ありえないようなコトを抒情豊かに描いており、その意味では空想劇といったところ。人間の先生(達二)と又三郎という色々な風との出会いと別れ、その気ままな<風任せ>な光景を楽しく愉快に観せる。

    当日パンフで脚本・吉野則子女史が「風野又三郎」は<風の精>として こどもの前に現れる。そして風のいたずらや自然の驚異…とある。いくつもの小話・寓話を繋ぎ自然界と人間の関わりを興味深く語る。勿論、音楽劇と謳っているから生演奏や独唱・斉唱などで聴かせる。
    公演の魅力は、衣裳や被り物で親しみのある観せ方をしており、幅広い世代に好まれるであろう劇作。特に風の恰好は白地で浮遊感ある衣裳で上手く雰囲気を出している。一方、淡々とした印象で 盛り上がりに欠けるようで物足りない。
    気になったのは、勘違いかもしれないが ピンマイクのせいか、一部 雑音や声音に悪影響があったのが憾み。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    正確ではないが、円形の三分の一(120度)程度の扇型舞台。奥にピアノ、それ以外には絵柄のある箱馬がいくつか置かれているだけ。基本は素舞台。

    物語は先生(達二)が風の「又三郎」と出会い、自然界の営みや生態を垣間見る。それは 種山が原の生物たち(おきなぐさ、蟻、キリギリス)や夢の生物たち(猿、ひわ、カッパ?)そしてアルペン農である。どの挿話も淡々と表現し深堀することはしない。あくまで風という自然現象と人間との関わりが中心であり、先の挿話は人も含めた動植物全体に風が何らかの影響を与えていることを描く。又三郎にはグランママ・おじさん・マダム・GIRL・BOYといった家族を表す名があり、そこには色々な風(例えば暴風・微風等)を表現している。物語の芯は人間、特に農家との関わりを描いており、宮澤賢治らしい寓話が込められている。

    音響・音楽はピアノの生演奏だけではなく、風の吹く音。照明は 風が流れる様子を後壁に映す。先にも記したが、風の衣裳は 白っぽく浮遊感あるものを着ており、全体的に軽やかな雰囲気を漂わす。舞台技術にも工夫を凝らし、壮大な自然界を表現しようとする。淡々とした描き…それは自然界 そして人間の日常、その変わらぬ光景の表現であろうか。そこに刺激ある出来事を持ち込んで観(魅)せて欲しかった。

    音楽劇、それもミルキーウェイ独自と謳っていることから、最大の特徴点であろう。歌(当日パンフによれば全15曲)は物語全体、そして挿話毎に独唱や斉唱で聴かせる。例えばプロローグでは♪「どっどどどどうど」、Scene1の又三郎BOY♪「星めぐりのうた」など馴染みのある歌、そして気になったのが、Scene2の又三郎GIRL♪「元気な風のいたずら」を歌った吉野則子さんの歌声にノイズのような雑音が混じり、また所々で音量が不安定になったような。それ以降~エピローグ、フィナーレまでの音楽は安定していた。以前、合唱団に入っていた時期もあり、どうしても<音>は気になる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/08/02 20:02

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