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宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#中村中 #尾身美詞
#浅野千鶴 #月海舞由
#鈴木結里 #稲葉佳那子
#佐藤正和 #速水映人
#青木友哉 #川合耀祐
#本間剛(敬称略)
枯れ枝に産みつけられた蝉の卵は越冬し、暖かくなるとカラダを形成し始める。湿度を察知すると準備して、雨が降ると孵化して1時間以内に土の中に潜る。そこから7年ほど木の根から栄養を吸って成長し、夏に羽化して僅かな成虫期を過ごし産卵して一生を終える。我々がセミと呼んでいる姿で生きるのは100ヶ月の一生のうちの最後の2ヶ月くらい。人間の生涯を80年としたら最後の1年半の姿。想いを巡らせると胸が締め付けられる。セミは哀愁の塊。哀愁そのものだな。
遭難したり、航空トラブルや船舶……タイタニックもそう。生きながら死が迫る状況に直面するとどうなるのか。どうするのか。
人はいつでもどこでも恋するイキモノなんだな。
ざわわだな。
中村中さんは、やはり目を引く俳優さんだ。発する声や言葉と表情がちゃんと繋がってる。
大好きな尾身美詞さんと浅野千鶴さんが姉妹というキャスティングに身悶える。
加えて、文学座研究生の時から拝見している鈴木結里さんと川合耀祐さんの活躍も嬉しかった。
チュー💋したくなった。

宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白さは保証付き。演劇好きなら一度は観ておきたい演目。役者の厚みが凄い。只々感心。

未来、地球は食糧難に喘ぎ、宇宙ステーションで栽培した野菜を宇宙船で運搬している。日本の民間企業が運営しているその船内が舞台。もうすぐ地球に到着する頃合い、微妙なトラブルが頻発する。
船長(佐藤正和氏)は調理師(稲葉佳那子さん)にキツく当たる。味の濃さ、メニューのマンネリ、野菜の量・・・、延々と因縁をつけては便所掃除の罰。不条理なハラスメントに船内クルーも呆れる始末。
クルーの数名にアトピーや水虫が発生。チャラい医師(速水映人氏)は「大丈夫大丈夫、気の持ちよう。」と意に介さない。納得がいかない潔癖症の女医(鈴木結里さん)。
野菜生産技術者の三人姉妹(尾身美詞〈みのり〉さん、浅野千鶴さん、月海舞由〈つきみまゆ〉さん)とその弟(川合耀祐〈ようすけ〉氏)。父親に愛されたかった心の空洞を抱えるアダルト・チルドレン、弟への過剰な干渉に繋がるようだ。弟は野菜以外にも隠れて花を育てている。
ナルシシストの操縦士(青木友哉氏)は美形の会計・庶務職員(中村中さん)をひたすら口説き続けている。
エンジニア(本間剛〈つよし〉氏)は神父の資格を持っており、個人的にミサを行ない、心の平安を説こうと努める。

日本人版『インターステラー』の趣き。萩尾望都なのか竹宮惠子なのか少女漫画家目線からの本格SFのよう。何故、蝉はあんなに激しく鳴くのか?木の枝に産み付けられた卵は1年掛けて脱皮し幼虫となり地中に潜る。5年程地中に籠もり、木の根の汁を吸ってじっと生き延びる。夏のある日、樹に上りゆっくりと羽化する。成虫、蝉として数週間飛び回り繁殖行動を遂行。激しく鳴いて死んでいく。本能の赴くままに、DNAのプログラミング通りに。

凄くふざけたコメディで有りつつ、人間という種の本質を語らんともする。どうにも上手く言語化出来ない、否が応にも死を突き付けられないと直視出来ない“生”がある。もしかしたら皆早く死にたかったのかも知れない。

佐藤正和氏は『父と暮せば』の印象が強かったが今回もまた素晴らしい。妙に赤ら顔なのは演出なのか?
稲葉佳那子さんは中村玉緒の若い頃と高橋尚子を足したような和風美人。今作のキャラでは藤田紀子っぽさも思わせる。全く内面が読み取れない。
月海舞由さんは『カムカムバイバイ』のイメージが強烈だった。ラストに泣かせる。

衣装(担当は石川俊一氏)の制服が秀逸。水兵の襟にネクタイの付いたジャージ。黒のスキニーパンツで女性陣の美脚を強調。脚で選んだのか?と思う程皆細かった。スニーカーは韓国のfashionのハイカット、白黒ツートーン。

ネタバレBOX

黒澤明のデビュー作、『姿三四郎』。柔道家・矢野正五郎の弟子になり、最強の名を売る為に町で喧嘩を重ねる姿三四郎。その高慢さに我慢がならなくなった師匠は破門を言い渡す。師匠の名を高める為にしたことなのに、ショックを受けた三四郎は庭の池に飛び込んで意地でも出て行かない。満月が輝く真夜中の池に浸かりガタガタ震える三四郎。ゆっくりと長い夜が明けていく。それと共に泥の池から蓮の花が咲く様を目の当たりに。その余りにも筆舌に尽くし難い美しさに涙する三四郎。強さには美しさが求められ、己にはそれが欠けていたこと。この理屈ではない、本能的にインプットされている美しさとは一体何なんだ?

『インターステラー』は滅びんとする人類をどうにか救おうとする話。その根幹にあるのは人が人に想う愛情。その気持ちは時空を超えて目に見えぬ力となって働き、必ず相手に伝わっていく。理屈を超えた、それこそが人類の最大の力だと語る映画。

稲葉佳那子さんが船長の歪んだ愛情表現に気付き、それを受け止める為に航路の軌道を変え、通信機を破壊。地球に帰還したら、この愛が終わってしまうから。全くの狂気。
船長は故意か過失か、燃料を全て宇宙に捨ててしまう。愛を成立させる為の心中なのか?

この辺の描写が自然ではなく、違和感を感じる観客も多いことだろう。テロ的に道連れにされる他のクルーが怒り狂わないのもおかしい。皆、すんなりと死を受け入れる。まるで初めから死にたかったように。
いろいろと文句はあるが、それでも魅力的な作品。一人だけ死にたくなくて泣き叫ぶ奴が欲しかった。
ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

格好良かったです。

Wの非劇

Wの非劇

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

配信も含めれば観る頻度が上がったチャリT企画。同じ「ふざけた社会派」でも、自分にフィットするかは毎回違っている気がする。中々捕えどころがない劇団、と感じる理由は、「社会派」「ふざけた」という真反対の要素の分量比で雰囲気が変わるからか・・。軽妙さと皮肉とは比例せず、軸がどちらかで空気が(場合によっては物語も?)変わる道理であるので、どちらかと言えば前者を大事にすると見えるチャリTの「皮肉」の効き具合は作品によって起伏がある訳である。・・と色々とそれらしい事を考えてみてもこの書き手の感覚はよく掴めないのである。
いずれにしても今作は両者(軽妙と皮肉のことね)がうまく出会い、問題への踏み込みがコメディ度を高め、賑やかかつ目まぐるしい展開が本質を逸らさず逆に穿つといった具合で。要は出来が良かった。
俳優陣が存分に役を演じ切れていた事もテキストの良さを証明していそうである。題材のタイムリーさ(ビッグウェンズデーに乗ったかのような)もそうだが、演技とシチュエーションの<美味しさ>は密度が濃かった。
もっとも序盤に必ず訪れる「リアル」との葛藤は健在?だが。(今回ので言えば深刻なレイプ疑惑の告白を聴く友人の態度、また話す側の態度、二つを足した時の奇妙なリアリティの無さ・・だがここでの課題は「出来事の提示」。自分も段々とそういう見方が出来るようになってきた。)

ネタバレBOX

プロデューサー・ジョニーが集めた新人の下の名前「太郎」「レオ(玲央?)」に着目し、ウルトラマンブラザーズ結成を企画。他にも居ないかと探させ、見つけたのが「ゾフィー」(笑う所)30歳。三人が「合宿所」に呼ばれるその前、「噂」を心配するノッポの青年、小柄なクール顔、そして熱いキャラの30男の会話が面白い。小柄男はそういうのは慣れている、商売でやってた事もある、と告白。「引いた?」「でもいざとなったら俺が盾になってやるから」と心強い。熱い30男はあくまでやる気満々の風。で、いざ合宿所へ。夜。ジョニーがやって来る。ノッポの布団に入って来るが、小柄男はなんと熟睡。万事休す、とそこへ熱い30男はこの時のために潜入した旨を明かし、ウルトラゾフィーに変身(このあたりでトーンが変わる)。悪者は退治され若いジュニアは事なきを得る。カーット!の声で映画はクランクアップ。

この芝居でシリアスを担うのは「被害者」(実は酒飲んで記憶が飛び、自分が新進映画監督の腕を引っ張ってラブホに入り勝手に服を脱いで朝を迎えただけの女性のタレントの卵)のあつかいを巡って周囲が右往左往している中、「知られざる過去」に焦点が当たる、その部分。
冒頭からの本筋からは脇へ逸れるが、無理なくこのエピソードに入り、過去あったいじめ自殺、その真相は・・と謎へ分け入る。ここで「性被害」(女性の)に触れられる。胸が苦しくなる。

さて現実の日本では、ジュリー藤島の会見映像を境に潮目が変わり、被害者を「被害者」として遇する報道が支配的となった。利害で繋がった領域には報道も筋を曲げる。(その直前までとは打って変わったのはネット世論も同様。)
その一方で、安倍晋三隆盛の時代に起訴を取り下げられたジャーナリスト山口某(安倍礼賛本を書いた)が強姦した相手による告発には、セカンドレイプが起きた。安倍王国に傷をつける邪魔者だったからだろう。そうした構図は今も変わらない。
ジャニーズの件では、その事まで問題を遡求し、問題を「見える化」してほしいと真面目に思う。統一協会とのズブズブも国民は許したようである。
月影花之丞大逆転

月影花之丞大逆転

自由劇場

シアターD300(神戸大学国際文化学部大講義室)(兵庫県)

2023/04/19 (水) ~ 2023/04/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽観劇。
凄い凄い凄い、凄いしか言えない!
愉しすぎて終演後もずっと笑ってる!
全ての役者さんがピカピカの主役級の演技、歌のハモリやダンス、殺陣のスピード感、どこをとって観ても、新感線さんにも負けないような絶品超エンタメで、最高でした。
往年のピカ一だったジゲキさんが帰ってきた感じです。
その当時を思い出し、嬉しすぎて最後涙でた。
良かった。

『ひっくり返る』

『ひっくり返る』

春風

イズムスタジオ(大阪府)

2023/04/21 (金) ~ 2023/04/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【ない言うたらないver】楽日観劇。
雨宮を病院へ連れていった一行の後、残り作業を、社長の娘·琴と彼、姉·久美と夫、琴の友達·大本と、想い寄せる用伝が引き継ぐが…

其々の恋心とランドへの想いが駆け巡る春風アトリエ公演の大団円!
雨降って地固まる感じ愉しかった!

『ひっくり返る』

『ひっくり返る』

春風

イズムスタジオ(大阪府)

2023/04/21 (金) ~ 2023/04/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【あり寄りのありver】楽日観劇。
舞台前に築かれた段ボール箱の城壁を前に始まる、春風2023!
経営難の天空ランド、倉庫の引越作業…
雨宮に想い寄せる加賀は?
副社長の探し物は?
エイはひっくりかえるのか?
とっても愉しいドタバタコメディ!
春風アトリエ公演、面白かった!

VALE TUDO

VALE TUDO

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2023/04/21 (金) ~ 2023/04/22 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

断骨パート千秋楽観劇。
VALETUDO(何でもあり)の悪党3人組が憎めないキャラがとても良かった。
そして敵将の首取れば無罪放免のハチャメチャオリジナルストーリー!
まだまだ伸び代(殺陣や展開にスピード感や説得力が増せば更に素晴らしくなると思う)あるが、上出来&及第点の昨年度新人さんの新人公演、愉しかった。
今年度もたくさんの新人さんが入部されること祈念してます。
肉斬パートも観たかった!

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前から3列目で観劇。ライブ感溢れるパフォーマンスを堪能できました。

独り芝居『月夜のファウスト』/前芝居『阿呆劇・注文の多い地下室』

独り芝居『月夜のファウスト』/前芝居『阿呆劇・注文の多い地下室』

フライングシアター自由劇場

音楽実験室 新世界(東京都)

2023/05/13 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

『独り芝居・月夜のファウスト』を観劇。

貴方は知っているだろうか?
1970年代に六本木の地下劇場から、あの歴史的傑作劇『上海バンスキング』生まれた事を?
20代の頃、アンダーグランド・シアター自由劇場の名前は知ってはいたが訪れた事はなかった。
だが未だに存在していて、串田和美の独り芝居が行われたのだ。
既に数年前に観劇して、感想は述べているのでここでは省くが、
前芝居として『阿保劇・注文の多い地下室』も観ることが出来るが、
それを観た瞬間に観客の全員はあっと驚くのだ。
『串田和美は郷愁を求めてこの劇場に戻ってきたのではないのだと!』
見事なまでの阿保劇であったのだ。
綿子はもつれる

綿子はもつれる

劇団た組

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

劇団た組『綿子はもつれる』を観劇。

あらすじ:
再婚の綿子と悟の夫婦関係はぎくしゃくしていて、ちょっとした会話すら成り立たないくらいだ。悟の連れ子は高校生で母親に懐いてはいるが、興味あることは好きな女子のことばかりだ。
冷え切った夫婦関係はどうなっていくのだろう?

感想:
どのようにしたら妻・綿子と出会った頃の様な淡い関係に戻れるのだろうか?と悟は綿子と話し合うが、出口が見える可能性はゼロだ。
男と女が根本的に混じり合えない箇所が会話から少しづつ抉り出され、違和感を感じ、失笑してしまうが、これこそが妻もしくは女性と話している会話の中身ではないか?と捉えられていく。並行して女性を知らない悟の連れ子が、恋愛感情の芽生えから発展していく展開にうっとりと甘い感情を抱きつつも、直ぐに綿子と悟の現実の嫌な部分に戻されてしまう。もし観客自身が同じ様な悩みを抱えていたら、かなりの振り幅を感じられる作劇になっている。
『綿子はもつれる』というタイトルが示すように、もつれる先には初めと終わりがあり、もつれ初めは悟の連れ子と女子の関係、もつれている最中は綿子と悟。
そしてそのもつれた先には何があるのだろうか?
「それは各々の夫婦関係の終わりにあるものですよ!」と劇作家は言っているのであろう。

傑作である。
舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド

舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド

Bunkamura

THEATER MILANO-Za(東京都)

2023/05/06 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

数年前の「PLUTO」が中々であったので今回も「エヴァ」原作を知らない身であるが期待して訪れた。冒頭を逃したのは残念。入場すると紗幕前での舞踊パフォーマンス。その後教室の日常シーン、だったか。恐らく冒頭では原作主人公に当たる少年(芝居では叶トーマ)と、使途との格闘シーンで(指令に当たるのは若手の女性司令官か父親に当たるメンシュの創立者叶か)、苦悩の呻き声を上げてどうにか戦闘を終える・・という感じだっただろうか。
実は何年か前、アニメ版を見始めようとした事があり第一回、二回まで視たか・・だが続かずそれきりになった。主人公はエヴァンゲリオンに乗り込み(実際には操作室に入り一体化する)、戦うのだが終始拒絶感を覚えて叫び続ける。恐怖と闘う。この作品は時代に合ったのか大ブレイクし、従来の勧善懲悪な正義のヒーロー像とは一線を画した作品と聴いていたが、それらひっくるめて目で確かめてみたかった。
原作を踏まえたオリジナルストーリーだという。その評価がポイントのようである。
私的には舞台処理等の技術は「PLUTO」を思い出させたが、演出家の本業でもある舞踊の比重が高い。紗幕を使ってその前で踊りを見せ、その間に裏で大転換をやる方法が多く取られていた。これは普通の暗転に近いテンポで、ややダイナミックさに欠いた。
そしてストーリーの方であるが、どの程度オリジナル(と言ってもアニメ版、映画版3作品と見ると多様であるらしい)を反映したのか不明だが、無理やりに織り込んだように思われる部分が終盤に、ほころびを露呈したようで些か寂しかった。

ネタバレBOX

メッセージが環境問題であってもいい。だが回収しきれないものが残る。
自分的に決定的だったのは、「攻撃をしない」事で使途の攻撃が封印された体験を踏まえ、(これは大実験なはずなのだが)最後に表れた四人の使途に(トーマを失った同級生らがある種の結束に至り)立ち向かおうとする。その時の事だ。
もう一人の主人公である「過去の少年」が、長い不在を経て新任教員として戻って来るのだが、かつて思いを伝えられず去ったその相手=女性司令官との再会の中で、エヴァを開発したこのメンシュの活動自体に対する疑問を伝える。「子どもしかエヴァを操縦できない」設定(これはオリジナル?)が面白いが、使途と呼ばれる怪物が現われ始めた10年前の「隕石落下」によるクレーターは、実はある地上での実験によるものだった・・という疑惑、そして使途という存在への認識の変化がある。子どもたちを犠牲にする「戦闘」のあり方への疑問にもつながる。
話を戻せば、新任教員は、三人の生徒にも「今まで信じていたものを疑う」という観点での影響を与えていたと見えた。そこから新たなストーリーが展開するかと期待した。だが彼の「過去」は、互いに想っていた相手である現在の女性司令官の両親を、彼が行なった戦闘で死なせてしまっていた。その事を告白しないではいられず、彼はその過去を語るのだが、彼女は今までの自分を支えていた「使途への恨み」が瓦解し、混乱する。それを見た彼は、過去との清算をしようとエヴァに乗り込むのである(子どもでない彼がエヴァと一体化する事はほぼ死を意味するらしい)。
だがこれでは、今まさに「攻撃をしない」アプローチを試みようとしていた三人を差し置いて、一体何やってんの? となる訳である。
また、メンシュは人工身体(的な何かである)「マユ」の培養に成功しようとしており、これは科学の進歩が「子どもの犠牲」を強いない段階を迎える意味で歓迎すべき事態、とも見える。ただし人工身体の過去作が実はエヴァ操縦技術を鍛えている生徒の一人であり、ただ彼の場合は人間と同じく成長する、マユは成長しないので永遠に戦闘し続ける事ができる、という説明が為される。このマユが水槽の中に漂う様(舞踊)は妖しく、人倫に反している印象は与えるが、議論は省かれている。
新任教員と使途との対決の場面はなく、観客の想像に委ね、その終盤の舞台上には緑なす地球のとある場所が映し出されて、戦いの無い世界、環境を破壊しない(戦闘によっても街を破壊するらしい..マジか)世界を予見する終幕となる。

メンシュという存在を疑い始める段では、盲目化された人間が目を見開かされるという、現代に示唆的な要素が見えたが、メンシュの長である叶をいささか「悪く」描くことで個人への批判が勝ってしまい、彼一人を葬ってしまえば良い、という所に落ち着いてしまったのが私的には残念。もちろん彼は大きな何かを象徴してはいるが、彼は「騙しおおせた」から生き延びたのか、彼を歓迎する社会の要請もあったのではないか・・そしてそうであってこそ人間の決断の困難と貴さが浮かび上がるのではないか。
最後まで見せる舞台パフォーマンスはさすがであったが、ストーリー上の精度がもう一段二段欲しかった。
カッコウの雛に陽は当たる

カッコウの雛に陽は当たる

Tie Works.

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2023/01/18 (水) ~ 2023/01/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初、フライヤーのタイトルを見た時に、なんとなく暗いイメージを描いてしまったが、当日の舞台を観て「先入観で決めてはいけないなぁ」と反省‼️

なかなかよくできた作品だった。プロットもいいし、なんといってもキャスティングの妙が活きていた。とくに違和感のなかったのが、女主人役の役者さん。あとで出演者を調べたら隅田美保さんという人。たしかお笑い芸人の人だったと思うけど、どおりで台詞回しが上手いし、なんといっても発声がいいからわかりやすかった。

虹む街の果て

虹む街の果て

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/05/13 (土) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「虹む街」から2年とは時の速さよ。まだ鬱々とした、一年遅れの東京五輪を控えて揺れていた時期に、横浜黄金町の昔の風景はこうだったか、というようなコインランドリーや自販機のある朽ちた鉄骨建屋とその周辺の多国籍な店、その界隈を「完全に模した」かのようにぶち立てていた。美術(稲田美智子)ともども界隈に人が行き交う風景には、歌はあっても台詞は殆どなく、観客はそこで生起するものを「観察」するのみ。「今日が最後の営業日」・・コインランドリーの管理人(オーナー?)の安藤玉恵が見せる背中が・・。多くの店がつぶれていった世相を映し、同時に(神奈川県在住の多種多様な人種民族の)人間たちの飄々と生きる力強さを対地させていた。

そして今作は、メインの出演者が応募から選ばれた(オーディション等をやったかは不明)神奈川県人。二人だけはオファーで出演した人おにょうだが、彼らも皆と並列で、有象無象の一人として出る。一般人はと言えば、やはり多種多様な民族をルーツに持つ人らである。
前にも増してストーリーはなく、「虹む街」からどの位経ったか知れない未来の、同じ(よりくすんだにせよ)コインランドリーのある建屋と周囲の店の風景がインパクト大。彼らが明確にメインとなった事で、観る側としては見やすくなった。前回も出ていたアリソン・オパオンの唄とギターがしっかりヒューチャーされ、他の持てるキャラ、才能を開陳しながらも、逆にそれらを飲み込んで息づく「街」が主役となっている。
街には私たちもフリーアクセスできるが、そこに暮らす人々を知る事はない。

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい音響環境の中、響き渡るギターとボーカル
華やかな衣装をまとって次々と繰り広げられる一夜限りの舞踏
発表会としては最高級の内容だったと思います
大きいホールで自由席という自由度も嬉しい

生のフラメンコを肌で感じているとサスペンスドラマの劇中に入り込んだ様な感覚になってくる…面白い体験でした

「4…」

「4…」

四分乃参企画

JOY JOY THEATRE(東京都)

2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

モンテカルロ初体験!B、Cチーム、四分ノ三を観劇
つか作品はいいなぁとつくづく思う。
力一杯の演技が舞台に映える。
ポリティカルコレクトネスやルッキズムを無視した中で愛ある作品でした。

Wの非劇

Wの非劇

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

現在の話題になっている話題を次から次へと出てきてあっという間に終わってしまった。
ラストに棒事務所の面々を歌で連呼するのはこちらが心配になってしまうほどだが、
大いに笑わせてもらいました!

ネタバレBOX

本当に親友を思っての告発なのか、有名な監督と知り合った妬みなのか。
牡牛座の群島

牡牛座の群島

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

役者一人一人にアテ書きしたような自然さがあり、最後まで納得して楽しむことができた。

透き間

透き間

サファリ・P

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/05/20 (土) ~ 2023/05/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★


変えられるものは、変えて行く、そして、本来の自分自身の気持ちに気付く。巡りめぐって
最後は美しい。
お芝居観られてありがとう。

「4…」

「4…」

四分乃参企画

JOY JOY THEATRE(東京都)

2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団四分ノ三の「熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン」を観劇しました。
役者さん達の、最初から最後までパワー溢れた熱演に感動でした。
シリアスな内容の中に、笑いを交えた演出も良かったです。
この劇団ならではの「熱海殺人事件」を観劇出来て良かったです!

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