最新の観てきた!クチコミ一覧

9661-9680件 / 185055件中
瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場人物達の置かれた状況がとんでもなく面白い!
生で観劇しているからこその緊迫感から一時たりとも目が離せない
のに加えて、そこからポロポロこぼれ落ちてくる人間性の妙味を思いっきり堪能できてしまう仕組みがもう天才的
こんなに人が困っているというのに笑ってしまって良いのだろうか…と思うくらい、ヤバい!人間というものがあまりにも面白過ぎる

“蟲使い”というキーワードは特に後半から生きてくるのだけれど、もうその頃には妙ちくりん能力もすっかり受け入れ態勢モードに
あぁそうなったか、そうか、そうなっちゃったかぁ…申し訳ないが、可笑しい(笑)
この公演自体が舞台空間の空気感を自在に操ることのできる”空気使い”だったのではないかと思えてくるほど鮮やかなシーンさばきの“瀬戸内の小さな蟲使い”ワールド

老若男女、全タイプの観客が固唾を飲んで楽しめる全方位型エンターテイメントでした、力強くお勧めします

舞台「Go Forward!」

舞台「Go Forward!」

舞台「Go Forward!」製作委員会

かめありリリオホール(東京都)

2023/06/16 (金) ~ 2023/06/22 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

HPくらいは読んでいくつもりがバタバタしてしまい、前知識ゼロで行ってしまいましたが単純熱血青春もので楽しめました。
ラグビーはサッカーやテニスと違ってそんなに球が遠くへ飛んだり早かったりしない(多分)ことが多いらしくて、本物のボールをパスしたり転がしたり。みんな新入部員ということでルールなども観客も一緒にレクチャーしてもらって分かり易かったです。7人制の試合のラグビーもあると知りました。機会があったら見に行きたいです。
舞台の高校生たちも個性的で応援したくなりました。
かめありリリオホールは通路から後ろの階段席の段差が大きいので、前の人が邪魔にならなくて良かったです。
最近は千秋楽が平日の公演が増えているのでしょうか。しかもマチネなので人の入りは少し寂しかったです。

恋するアンチヒーロー

恋するアンチヒーロー

イルカ団!

上野ストアハウス(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

笑い興奮の坩堝、熱狂的なファンが支えるコメディ作品。理屈っぽいことなし、肩の力を抜いて そう脱力して観👀よう。
🆎両チーム観劇したが、コメントはまとめて記す。

世界征服を企む悪の組織、その戦闘員がカフェの店員に恋をした。しかし 彼女は正義のヒーロー戦隊の大ファンという ありがちな物語。何故か悪の組織がヒーローをやっつけるという逆バージョンの痛快娯楽アクションが見どころ。弱いダークヒーローが圧倒的に強いヒーローの それもリーダーのガルレッドに立ち向かう。愛の力は本当に強くしてくれるのか、彼女の心を捉えることが出来るのか、ドキドキハラハラというよりは 面白可笑しい展開に思わず楽しい~と心が弾む。

弱いダークヒーロの強みはお互い〈仲間〉の思い遣り、その協力する姿に<力>が漲る。一方、独善的に(1人で)戦うガルレッド、圧倒的に強いが いつの間にか浮いた存在へ。やはりチームワークの大切さ、ガルレッドの いざとなったら一般人(自分が好きな女性=美樹)をも傷つけるという卑劣な行為。ゲーム感覚を取り入れた 分かり易い展開、本来の勧善懲悪的な設定を逆にして小笑・爆笑を誘う。
仕事帰りの疲れた神経を癒してくれる、あ~愉しい。是非とも💨
(本編1時間30分、カーテンコール兼舞台転換10分、アクション編<ファンサービス>15分)

ネタバレBOX

イルカ団!は、「Q.T!!!」で第34回池袋演劇祭「豊島区長賞」を受賞するほどの実力。この公演は笑いというサービスで楽しませることに徹しているが、作品ごとに その観せ方というかポリシーをしっかり示しており、幅広い創作に魅力を感じる。

さて 本公演、舞台美術はカフェ店内…壁にはポスターが貼られ、上手奥にカウンター、上手 下手にテーブルと椅子がいくつかあるだけのシンプルなもの。勿論アクションをするためテーブルと椅子だけで、壁際に寄せるだけで中央にスペース。

悪の組織「シャムニャーン」の戦闘員 真中はカフェの店員 菜々に恋をしたが、彼女は正義の戦隊「ガルルンジャー」の大ファン。仕方なく 真中は休んでいるガルルンジャ-戦隊の1人である<ガルグリーン>だと嘘をつく。そこへガルルンジャーのメンバーが現れ混乱・隠蔽・誤魔化しなど、そのドタバタ滑稽さが笑いの渦を作る。

【A】チーム ★★★
ガルレッド(中村龍介サン)とシャムニャーンの怪人ヘルタイガー(大地翔護サン)を演じた役者の体躯のよさ。その存在感と圧倒する圧力が凄い。そしてマドンナ的なカフェ店員 菜々(板野成美サン)とは違うコメディエンヌ的な美樹(はぎの りなサン)、奇抜な化粧に嬉々とした振る舞いを 実に生き活きと演じている、というか楽しんでいるような。
【B】チーム ★★★
アクションのスピードとキレ、バク転・側転、ジャンプといったダイナミックさで観(魅)せる。それだけにドルオタ的な観客も多く、ケミカルライト、デコ団扇があちらこちらで…。その応援に応えるかのような熱き運動量が半端ない。特にガルレッド(渡辺隼斗サン)、ガルブルー(川合立統サン)の動きはシャープだ。

公演の魅力は、分かり易い笑いとアクションという両輪。それが上手く噛みあって心地良い癒しとちょっとした緊張感という場を作り出している。演出はアップテンポな音楽、アクションを支える効果音、情景の変化を印象付ける照明の諧調が巧い。案内をいただき観た回は無料、こんな楽しい公演が只(ロハ ⇐死語?)とは…。
次回公演も楽しみにしております。
ホテル・ミラクルThe Final

ホテル・ミラクルThe Final

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

シアターミラクルさん。長年のエンターテイメントをありがとうございました。
また、場所を変え継続されることをお祈りいたします。SF的な締めはいいね。

キューちゃんは僕を探さない

キューちゃんは僕を探さない

projecttiyo

元映画館(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

未見の団体、元映画館も初めて。
ダークファンタジー系にして心象劇のよう。なかなか手強い観せ方をする。かと言って見巧者向けという訳でもない。

説明にあるピアノを擬人化し、永い旅物語を抒情的に紡ぐ。少しネタバレするが、キューちゃんとは擬人化したピアノの名前というか愛称。そして僕との対話を通して生と死、自然摂理、食物連鎖といった漠然とした心の彷徨が始まる と思うのだが…。そこに第三者もしくはキューちゃん との因縁があるモノが絡み、今いる空間(部屋)と外の世界が歪に捻じれ狂気を孕んだ様相を見せる。

会場は元映画館、その構造を巧く利用した観せ方によって違った感覚(劇中劇)に陥りそう。いや そうかもしれない といった物語の結末がふわふわして つかめない。敢えて そう観せているのか、脚本(内容)が未消化なのか、または自分が解らないのか、その意味で手強い。
(上演時間1時間25分 途中休憩なし)
♪北 みれい さんver♪

ネタバレBOX

舞台美術、冒頭は黒いビニールシートに覆われた堆いもの。上手壁は映画館のスクリーン、下手はカウンターがあり黒電話が置かれている。スタンドライト等、いくつか形状の異なる照明器具が暖色を灯している。天井にはシーリングファン。

物語は3人の男女(ひろ、太郎、あい子)が或る部屋に忍び込んで、黒ビニールシートを叩き 中のモノを壊すところから始まる。壊したのはピアノ、それ以外に取り出したのは、ソファ・ローテーブル・椅子、それらをリビング風に並べる。同時に白い衣裳の少女が現れる。少女は ひろの祖母が大事にしていたピアノの生まれ変わりという。本当かウソか 信じられない話に戸惑う3人、そこへ塚井という人物が現れ不思議な話をし出す。ひろ(田山陽大サン)は 太郎(斎藤大學サン)とあい子(三木沙也香サン)が買い出しに行っている間に、ピアノの脚を1本焼いた。供養の意も込めて焼骨したという。

塚井曰く、ピアノは もとは羊(ヒツジ)で、その昔 雌狼のために一本の足を与え、狼は飢えをしのぎ越冬して子を産んだ。羊は三本脚のピアノに産まれ変わり、今また二本足の人間に生まれ変わった。姿かたちは変われども魂は生き続ける。そして塚井は助けられた狼だという。輪廻転生といった印象、人間の3人はキューちゃんに言葉を教えるが、その中で食事の時に「いただきます」…尊い<命>を頂くのだと…。
*羊(4本足)⇨ピアノ(3本足)⇨人(2本足)

キューちゃん(羊)、塚井(狼)とも異なる行為、そのため自然界から見放され孤独な世界へ…彼女らに関わった人々も異常な世界(狂気)へ。神の仕業か精霊の悪戯か?正常な場所は この部屋だけ、ここから出られない。主体的に選択判断できないボク(ひろ)は、どうするのか?ひろ とキューちゃんがソファに並んで座った時にスクリーンに生命・自然界をイメージさせる映像が映る。映画館で映画を見ている二人 その劇中劇と思ったが、さらに物語は続く。ひろは祖母が嫌い、いや正確にはピアノが嫌いだったよう。まさかピアノに<魂>があろうとは想像だにしなかった。人(キューちゃん)は壊(殺)せないが、動物やモノは簡単に…寓話か。

キューちゃんは白衣裳、塚井は黒衣裳で前世イメージ、薄暗い室内に暖色の照明が柔らかく灯る。音響は外世界の狂気と乱舞のような騒音。そんな中で塚井(春日紗矢子サン)の美しい歌(声楽)が聴き所。因みに観た回は、楽器(ピアノ)の音量と彼女の声量がアンバランスで、せっかくの歌声が聞きにくかったのが残念。演出は幻想的であり、その雰囲気作りは巧い。演技は手堅くキャラクターをしっかり立ち上げている。特にキューちゃんを演じた 北さんは純真な赤ん坊の演技が愛らしかった。
全体的に好印象なだけに、結末が今一つなのが惜しい。
次回公演も楽しみにしております。
点滅する女

点滅する女

ピンク・リバティ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

不思議な空気のある新人の舞台である。初見の劇団。
ホームドラマに幽霊を出すという手はもうノエル・カワード以来、出尽くした手だし、ホームの事情もよくある話、蛍を最後のクライマックスに持ってくるのも、もう何度も見た芝居の設定なのだが、いつのまにか2時間、持ってしまう。
たぶん、これは舞台の独特のテンポにあるのだと思う。ほとんど従来の序破急の劇的構造による進行に頼ることをしないで、ひとつひとつ確認するように事件が進んでいく。そのテンポに乗ってみているうちに不思議なリアリティが舞台に生まれてくる、この他愛もない世界が、実は「現代の社会の中で失われた家庭」であることが解ってくる。作者はこのことについて劇中で、なくもがなの短い家族論の演説を試みるがそんなモノはなくてもいい。
長い歴史のある演劇の世界では、「はじめて」と言うことは、貴重である。ことにこの作品は、戯曲、とか台詞、役者、美術など具体的、固定的なモノでなく「独特の芝居の空気」
だから、霧散するのも早い。次回を見るのが怖いような公演だった。


ネタバレBOX

野田秀樹も岩松了も前川知大も自分だけの独自の空気を舞台から失わないために、大きなエネルギー、と知恵を使っている。それを見る観客がいるから、彼らは続けられるのだ。作者頑張れ!
キューちゃんは僕を探さない

キューちゃんは僕を探さない

projecttiyo

元映画館(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。この劇場も初めて(迷いました)。ちょっとキュートだけど、ダークなファンタジー。割と入り込みやすい世界観でしたが、ラストは分かりにくいなー。劇中歌よかったです。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。あらすじ程度しか知らずに観に行ったのですが、こんな話だったとは。それなりに楽しめましたが、ちょっとビックリですね。ゲームの知識がもっとあればよかったのかな。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/06/22 (木) 19:30

 あらすじを読んだだけでは、何のことやら正直さっぱり分かんなかった。何がやりたいのかとか、大体どういうジャンルでどういう内容で、どんなメッセージを伝えたいのかとか、全く予想がつかず、想像も出来なかった。
 さらにチラシのイラストも劇を観始めてから分かったことだが、劇の内容と直接あまり関係がないことが分かってきて、良い意味で二重三重にしっぺ返しを喰らったような気持ちになった。
 さらに、劇を観終わった後にイラストが載ったクリアファイルのなかに入っていたネタバレ注意の紙の内容を読んで、劇が始まる直前に主要な役を演じるはずの5人の役者が降板になったので、代役の5人に出てもらうことや、機材トラブルといったことで、開演時間が予定より3分遅れて本編が始まったことの奇想天外な理由や状況を飲み込むことができた。

 劇が始まると、同棲と言えば聞こえは良いが仕事もせず家でブラブラしているニートで減らず愚痴だけは一人前の駄目人間半間真人と、恋人で仕事も家事もこなす人吉ひと美との噛み合わない価値観や倫理観、こだわりの違い、趣味の話などでの絶妙にズレていく会話や、時々挟まる独白と言うにしてはラジオがかなり大きめの音量でかかったような心の愚痴を代弁する独白と、とにかくコミカルでテンポ良く、自然と笑えた。
 メインは家族の話なはずなのに、劇の最初のほうでゲームのRPGの話があったからか、世界の終わりが来たらどうするといった話があったからなのかは分からないが、腹違い?の妹入来一恵を除いて、ひと美の父がドラキュラ伯爵であるのにその場に居合わせた全員その異常さに気付かないどころか、普通に話していたり、ニートの半間真人の浮気相手間島茉優花が明らかに蛇女なのに誰も気付かなかったり、ひと美の元恋人が人食い鮫ジョーズ人間だったり、半間の元働いていたバイト先の店長マイルスのマスターがRPGのファンタジー又はアドベンチャーゲームによく出てくるゴブリンであったり、謎の男·松島は植物人間(本当にそのままの意味)、そして劇の最後のほうに出てくる最後の客人·丸山は腰の低いUber Eats店員だがどう見てもダンジョンに出てきたら確実にラスボスな不気味な王髑髏人間と、個性豊かどころか、異物が居座っているのに、驚いたり、恐怖に慄くどころか、それらをも日常の一環として生活に埋没させ、平静に対応している感じの奇妙な間や、あまりの同時無さに呆れ、また大いに笑えた。
 また、最後のほうでは、それらの怪物どもに弱みや嫉妬に付け込まれて襲われ、この世から半間真人や入来一恵が消えるが、人吉ひと美が半間真人との一緒にアニメ映画を梯子したことや一緒に夢中になったRPGゲームなどの良い思い出話をする度、怪物が一人、また一人とさり気なく撃退されていくという、良かった思い出話によって怪物を倒すというやり方が新鮮で、斬新で良かった。
 劇全体としても不条理やブラックユーモアが光っていて、家族の話や金銭トラブル、浮気問題に元恋人との関係性など、盛り込んでいるテーマを普通に演ると真面目で救いようがない苦虫を噛み潰したような悲劇になるところが、怪物を日常の延長線上に入り込ませることで、ユーモアが生まれ、どうしようもないほどくだらなく、それでいて憎めない仕上がりになっていて大いに楽しめた。

 間島茉優花役のアイドルラフ×ラフというグループの現役リーダー齋藤有紗さんは、間島に扮しているときはアイドル感が抜けきれていないものの(まぁ、天真爛漫で純粋無垢、ハイテンションな感じのキャラなのであっていると言えばあっているが)、蛇女の本性が現れてくる劇の後半では、豹変しつつ、可愛らしい名残も残しつつという感じで、その独特な感じはお見事だった。現役アイドルでもここまで出来るのかと、その役者としての素質に感動してしまった。
 半間真人を演じたラブレターズというお笑い芸人の塚本直毅さんは、こういうひねくれていて、屁理屈だけは一人前、かなり面倒臭い無職のニートをその辺にいそうだなと観ていて思わさせられた。芸人だけれども役にあまりにもその駄目人間っぷりがハマっていて、上手いと感じた。

 ただ、時々『シベリア少女鉄道』という劇団のファンによる内輪受け的な雰囲気が見受けられたのが、かなり気になった。

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この2作品をカップリングしたのはなるほどと思わされる。テーマも共通しているように思えるし、いずれも独特の魅力を持った美しい作品。あらためて別役実はすばらしい作家なんだなと思い知らされた。

青春の会 第四回公演「熱海殺人事件」

青春の会 第四回公演「熱海殺人事件」

ゴツプロ!

新宿シアタートップス(東京都)

2023/06/20 (火) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

熱気がありました。

ネタバレBOX

とても熱かったです。エネルギーが漲っていました。4人の個性と個性のぶつかり合い、熱のこもった会話の応酬に魅せられました。話の本筋、軸がぶれていくのですが、そこがなんとも、おもしろいです。中盤の少し落ち着いたやや静の場面、大山金太郎と恋人扮する婦人警官のやりとりは、冗長に感じて染みました。しかし、後半の熱量の高まる展開に単なる一つの殺人事件にとどまらない奥深さを強く感じました。
ダ・ポンテ

ダ・ポンテ

東宝

THEATRE1010(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

素晴らしくて大絶賛ということはないが、地味に良い舞台だった。音響が良くて歌もセリフも明瞭に聞こえる。小編成オーケストラの生演奏も素敵だった。ダ・ポンテ役の海宝直人さんの歌声は朗々と響き、後半の一曲でこの舞台全体の満足度を一段上げてくれる。モーツアルト役の平間壮一さんはセリフは良いが歌声は力が入りすぎて潤いに欠けていたかも。

演出では歌の終わりの拍手の求め方が下手だ。これは音楽劇の基本だと思うのだが他の舞台でも設定をしっかり考えていないなと思うことが多い。この舞台では拍手を求めない曲では間髪を入れずセリフが発せられるのはうまくできていたが、この曲で拍手はないでしょうというのもあった。あの沈黙が辛い。俳優さんには地獄だろう。

ロレンツォ・ダ・ポンテ(1749-1838)は、イタリアの詩人で台本作家。モーツァルト(1756-1791)の3つのオペラの台本を書いたことで知られている。『フィガロの結婚』1786、『ドン・ジョヴァンニ』1787、『コジ・ファン・トゥッテ』1790。(ウィキペディアから抜粋)

このダ・ポンテ氏、なぜか日本で人気で昨年には
音楽劇『逃げろ!』〜モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ〜
が上演されている。ダ・ポンテは天才ではなかったという設定で音楽もロックだったが本日の舞台では彼は天才であり音楽もクラシックである。

この公演はこの後は名古屋に移り再び東京に戻ってから大阪でフィナーレとなる。
カーテンコールの写真撮影がOKだった。「追記」これはプレビュー公演だけの特典で続く本公演では撮影禁止となった。

池袋Brilliaホールの本公演も行ったが完成度がずっと上がっていた。上で苦言を呈した平間壮一さんも全く問題のない仕上がりだった。また何度かBrilliaホールは音響が悪いと書いたが今回はコーラスの一人一人が聞き分けられるのにしっかり融合していて文句のつけようがない。オーケストラの音が明瞭なのも素晴らしい。どうやらホールのせいではなく音響技術者の問題のようだ。この池袋公演の満足度は星5つ。納得のスタンディングオベーション。

カーテンコールでの観客の動きが面白かった。2ndで立つ人が中段席でチラホラ、しかし前方席は微動だにせず(まあここは私も早いと思った)そして3rdで全員起立。リピーターなんでしょうね。NYの本屋の場面で奥さんが歌った後で食い気味に拍手を入れていたのも彼女らなのだろう。普通は短すぎる歌なので戸惑ってしまう。全体に拍手をするかどうかに困るのは相変わらず。16日の東京千秋楽は2ndで全員起立となると予想。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

演劇というよりも長尺のコントって感じ?

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

箱チーム観劇
アリスを現代にアレンジした感じで、面白かったです!

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

『消えなさいローラ』『招待されなかった客』2本立て

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/22 (木) 14:00

毎回とても楽しみにしているPカンパニーの「ベツヤクづくし」第3弾。去年の「いかけしごむ」「トイレはこちら」はいかにも別役実というイメージ(私の勝手な思い込み。裸電球の電柱がその象徴)だったのだが、今作の2作品は少し趣が違う。両作とも登場人物は2人。この2人のかみあわない会話劇、真剣に聞けば聞くほど睡魔に襲われるというとっても危険な不条理劇だ。

10分間の休憩を挟んで演じられる両作は薄汚れた壁に囲まれたほこりだらけの部屋に鎮座するテーブルという共通した舞台セットだ。最初の「招待されなかった客」は、魔女の家に招待状を持ってやってくる神父との会話劇。テーブルの上には汚れたままの食器類、ミニチュアでしつらえた街が置いてある。魔女と神父はこの街でつながっていて、神父は魔女狩りで何人も火あぶりにしたが教会の方針が変わって追放されたという男だ。
一方の「消えなさいローラ」も朽ち果てた部屋にあるテーブルと汚れた食器は共通していて、ローラと母が住んでいる。そこに訪ねてくる葬儀社の男。実はローラの母はもう死んでいるのではないかと疑っている探偵社の男だったりして、突き止めようとする男を絶妙な会話ではぐらかしていくところがおもしろい。ローラと母がクロスオーバーしていて、どっちが死んでいてどっちが生きているのか、そして、砂時計のように落とされる砂に埋もれていく動物のミニチュアに生と死を投影させる。「何だこれは」という、この不条理極まりない展開も、別役ならではの筋書きなのだろう。ここが見どころだ。

自分はこれまでこの二つの別役作品を見ていなかったので、何だか別役の違う顔を見たような気がした。冒頭に書いた私の思い込みが少し、薄れたような感覚が残った。

仮名手本忠臣蔵

仮名手本忠臣蔵

花組芝居

小劇場B1(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★



「仮名手本忠臣蔵全十一段」を一気に見せる、花組芝居ならではの総集編だ。
敵討ちの進行と、それに関わった人々のドラマを90分二本の前後編にまとめて見せる。
すべての段から有名場面はもとより、見栄えの良いところは全部とっている。大歌舞伎でもあまり見ない段まである。それでいて、無理矢理現代ぶっているところや楽屋落ちがない。様式的な統一もあって、きちんとした古典の一つの現代上演になっているところが素晴らしい。花組もまた、木ノ下歌舞伎とは明確に異なるコンセプトで歌舞伎古典に挑み、三十年、これだけの成果を出したことは誇って良いと思う。花組を入り口に古典に親しむようになった、という観客は少なくない。古典の底辺はこうも広がる、ということを、原点を損なわずに現代につなげた功績は大きい。今回もよく出来ている。








テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

シアターRAKU

駅前劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

無料招待券があれば鑑賞するかもしれない。知り合い・昔からの馴染客以外にはエンターティメント性が極めて乏しく、大変厳しい演劇だったと言わざるを得ないものでした。
 役者・演出家が頑張っていればいい、というのであれば、手術が下手な合併症だらけの「がんばっている」外科医も非難せず拍手を送らなければならないだろう。
 とっても残念です。寺山修司を見たくて行きましたが、、、。印象批評はするつもりはありませんので、ネタバレに以下記載させていただきます。

ネタバレBOX

出だしでヴァイオリンを引く女性が現れる。本物のバイオリンを持ちながら、弾くかと思いきや音響でカバー。弾いているフリ(このフリも酷いものでした)。観客に一瞬期待をもたせる、のが演出の目的であれば成功したかもしれませんが、笑いは一切起きませんでした。緊張と緩和を目的とした演出であれば、失敗でした。変な期待を持たせないのであればおもちゃのバイオリンを持たせても良いのにと思いました。なぜなら、この演出だけで『もう見たくない演出』かもしれないという胸騒ぎを感じたからです。それは、当たっていました。

 平均年齢が69歳の方ががんばっている。それは素晴らしいことだと思います。ただ、それにお金を取る行為はいかがなものでしょうか。ラインダンスも揃っていませんし、コロス的な歌うたいも酷いものでした。がんばっているから、という応援として観るべきなのであれば、もう何も言いません。お金は返してほしいという思いを、演劇で初めて感じました。

 寺山修司が好きで、彼の言葉だけでもと思い最後まで観劇しました。言葉自体は素晴らしいものでしたが、演出への共感的羞恥が強く、何度も鳥肌が立ってしまいました。

最後の舞台挨拶で、演出家はがんばっていた役者については一言も触れず、自分の本を延々と紹介し続けるところに、この劇団の行く末が容易に想像できました。もし「シニアでも驚くような演劇を」というものを作ろうとしているのならば、最後の舞台挨拶では彼らが主役として褒める時間をなぜ設けなかったのでしょうか。自分の書いた本をそんなに紹介したかったのでしょうか。とっても残念でした。

プロジェクトマッピングの演出は良かったと思います。時間の流れや舞台などを効果的に視覚で演出しており、場面展開が理解しやすいものとなっていました。
 ただ音響の入りがかなり唐突な部分があり、観客の驚きを意図しているのなら成功していますが、不快でした。
 寺山修司の演劇に対する印象を根底から悪い意味で覆したこの演劇を、早く忘れたいです。
キムユス氏

キムユス氏

フカイジュンコのプロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/21 (水) 19:30

フカイジュンコ名義での初プロデュースは、キムユスの一人芝居。深井の前説を含んで58分。
 キムユスの自分史、と思わせる展開で進む物語で興味深く観た。マネキンを小道具的に使うのも巧いが、仲間内の話みたいな感触はやや居心地が良くない。開演前の深井の盛り上げ方は流石。

兎、波を走る

兎、波を走る

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/20 (火) 19:00

野田秀樹の新作だが本作も刺激的だった。(3分押し)126分。
 アリスに加えピーター・パンやチェーホフにブレヒトも出てくる仕掛けは壮大。前半はエンターテインメントを意識し、後半で社会性のある話題に繋ぐ手法は、ここしばらくの野田のパターン。本作ではアナグラムも出てきて『ゼンダ城の虜』を思い出してしまった。シャッターのような仕掛けや鏡を使う美術も見事だが、八百屋舞台は大変だろうなぁ、とか思った。

白眉濛濛

白眉濛濛

海ねこ症候群

王子小劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

絵を描くことが大好きな主人公・坪田実澪(みれい) さん。売れることや評価されることは余り気にしていない。ある日、街なかで画商の河合陽花(はるか)さんに声を掛けられる。彼女の主催する絵画のオークションを見学することに。そこでは物凄い額で絵が取引されていた。発奮した主人公、画商の所有するシェアハウスに住み込んで絵の制作に打ち込むことに。

画商の河合陽花さんを『坊っちゃん嬢ちゃん』のマタハルさんだと誤解していた。どちらもイケメン女子。
主人公の坪田実澪さんはマリアのイーちゃんが物真似する小雪風味の愛嬌でチャーミング。

オークションのシーンがダンスでテンポよく面白い。シェアハウスの世話係・新里乃愛さんがまだ二十歳!「忙しい忙しい」とそこら中をはたきながら、雀を何羽も乗せる。かなり巧い役者だった。オレンジの家政婦・神尾りひとさんがキュート。劇団の主催であり、司会者役の作井茉紘さんも目立つ。
熊本や石川から大きな花束を持って駆け付けるファン達にRespect。

ネタバレBOX

物語のテイストが『 U-33project』っぽい。だが作品に哲学が足りない。高額で絵画が取引される様は価値観の本質の風刺だと思うのだが、もう一歩突き詰めたい。

好きなことを好きでいられる才能というものがあると思う。やっぱり人間、飽きてくる。昔、夢中だったものをふっと思い出した時に、ずっと好きのままだった奴等にRespect。人間の嗜好性なんて変わっていって当然。それでも螺旋のようにまた巡り逢うことも事実。

シリアスなシーンが退屈。観せ方が下手。画商と主人公の出会いも適当。シェアハウスのくだりも意味がない。悪人を描けないのだろう。エピソードはぬるい友人関係ばかり。あやふやな言葉とあやふやな感情、全てすり抜けてしまうだろう。

画商の本当の目的は才能がないのにやめられない人間を見付けて諦めさせること。オークションで全く相手にされなかった主人公は踏ん切りが付いてやめる。だがしばらくするとまた描き出す。何故か?人は意味や理由があって生きている訳ではないからだ。ただ生きる。ただ描く。

※3日目に扁桃炎で信國ひろみさんが降板、作井茉紘さんがその日の二公演の急遽代役に。
4日目に他の出演者のコロナ陽性が判明し、以降公演中止。

このページのQRコードです。

拡大