最新の観てきた!クチコミ一覧

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6人の悩める観客

6人の悩める観客

壱劇屋

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃめちゃ面白かった☆何が凄いって国家と演劇界をリンクさせる大熊さんのセンスよね!単なる「演劇あるある」に終わらせない物語の奥深さをプロットに盛り込んでるから最後まで作品にのめり込む事が出来るのよ♪モチロン壱劇屋らしいパフォーマンスも作品に色を添えてます☆そして行澤&大熊コンビは無敵の活躍です\(^o^)/

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この作品は初演がすこぶる好みであったので迷わず予約したが、やはり名作である。
カミサマ役木村望子さんは前回も良かったが今回はいよいよもって素晴らしい。
圧倒的な安定感があり、その醸し出す優しさが、まさにカミサマであり、この作品の出来はやはりカミサマ役にかかっていると感じた。
そして2回見たことで、畑澤氏の筆運びの細やかさも改めて知ることができた。
冷静になって考えれば都合の良い話でもあるのだが、人の感情を見事に的確に表現しておられるため、結末はわかっていながらもやはり涙腺が緩むのを止められなかった。
(Team 葉観劇)

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
人の優しさ温かさ、そして自然の厳しさ寒さ、そんな反対の情景が浮かび上がる。それらは目に見えない雰囲気であり、物語の”カミサマ”も同様である。その目に見えない 物語の根底にあるのは人を思い遣るといった気持、それを実に上手く描き出している。

勿論 脚本の力もあろう、しかし会話の絶妙な間<ま>や、落胆・激情・驚異といった感情表現の豊かさに驚かされる。誇張した演技ではなく、その場面の素直な気持を巧く表す、そんな自然体の情景が心地良い。

自然と言えば、舞台技術である音響 音楽は太鼓の音だけ、照明は ラストの春先を思わせる階調のみ。それでも舞台効果は十分に発揮しており見事。
上演時間2時間10分 途中休憩なし)
【Team 葉 チーム】

ネタバレBOX

舞台セットは 広間のような和室。その周りは板張りの廊下で、そのまま上手奥は玄関へ通じる。和室内の上手に応接セット、下手に棚<茶器等が並ぶ>、経机の上には祈りの際に使う太鼓。簡素な造りであるが、物語を紡ぐには十分な配置である。

春が感じられるようになってきた津軽。舞台は「竜神さま」なる神の声を聴いて、土地の人の悩み事に助言する"カミサマ"遠藤道子(木村望子サン)のもとへ嫁姑問題、引篭もりだった者の受験、孫の結婚相手探しなど身近な悩みごとを抱えた人びとが日々やってくる。悩み事を聞き、神様の言葉として助言し相談者の心をほぐしてゆく。多くは60歳以上の高齢者、そこに地域性を見るようだ。またTVへも出演したことから 東京からわざわざ訪ねてくる者もいる。
一方、道子のもとへ 何年も連絡がなかった息子・銀治郎(如月せいいちろーサン)、が突然帰ってくる。道子は未婚、結納までした婚約者がいたが、火事で事故死した。彼の生まれ変わりとして銀治郎を引き取り育てた。しかし放蕩息子で、道子の内弟子であった女性と結婚し子まで生まれたが…。その娘・しのぶ も34歳、東京で働いていたが訳あってと、こちらも問題がありそう。父娘の確執など、道子の家でも悩み事は尽きない。突飛な出来事ではなく、日常(身近)にある悩みや問題を点描することで共感を誘う。

恐山のイタコは死者の声を聴く「仏おろし」で知られるが、津軽では、それに似た”カミサマ”なる存在があるらしい。民間信仰で、迷信と思う人もいるだろうが、家族の災厄や悩みなどを聴き、神様におうかがいを立て助言をする役を担っている。いわば人知の及ばない”神の領域”を設け、その声をうまく利用して、ささくれだった人間関係の修復を図る。ウソかマコトか、あいまいな部分をあえて残して、心を和ませる生活の知恵といったところ。
物語は、日常の話題と”仏おろし”といった神事、そこに共感と〈土着〉信仰を描き、特異性を表現する。その特異性の中に、語ることが叶わなくなった亡(愛し)き人の思いを知らせる。生者・死者の変わらぬ思いが観客の魂を揺さぶる。観る者が思うであろう様々な受け止め方、それを〈思考〉狭窄・偏重にさせない幅広さ奥深さを感じる。

道子に弟子入りしている下条由紀(上之薗理奈サン)も訳有りのようであるが、全部を描き切らない。その余白は観客の想像する領域として残す、その余韻が巧い。
役者陣はそれぞれのキャラクターを立ち上げ、バランスも良い。その土地の言葉(方言)を喋ることで土着信仰の要素をしっかり伝える。
死という掴み様のないものに謙虚に向き合っている。その一方で生きている人の悩み事、それも身近な生活にあるところ。その様相を丁寧に映しとって紡ぎ出したこの公演、観応えがあった。
次回公演を楽しみにしております。
マギーの博物館

マギーの博物館

劇団俳小

サンモールスタジオ(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今も昔も変わらないことを実感する舞台です。

つばさ

つばさ

演劇企画 どうにもならない毎日に光を。

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2023/02/25 (土) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

東中野バニラスタジオは初めての箱でしたが、すごくよかったです。
地下の閉塞的な雰囲気があり、舞台もそこまで大きくはなく、舞台上での表現の工夫がひかる箱でした。

ミステリアスだけど話してみると意外と気さくで、
年齢の割に落ち着いているけど、笑顔がかわいい人って本当に惹かれますよね。
こういう人、好きだ~~!と年甲斐もなく思ってました...

全員が経験するわけではないけれど、きっと誰にでも出会う可能性があった未来。
どの登場人物も幸せだけな人はいないけれど、それぞれの境遇が私にとってはもう経験できないもので、羨ましくもありました。
演劇全体を取り巻く爽やかさがそう感じさせてくれたのだろうとも思います。

15 Minutes Made in本多劇場

15 Minutes Made in本多劇場

Mrs.fictions

本多劇場(東京都)

2023/02/22 (水) ~ 2023/02/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなり名の知れたイベントかと思いますが、お恥ずかしながら今回の公演で初めての観劇でした。
自分の好き嫌いに左右されているのか、各公演のスタイルがそうさせているのか、
15分が長く感じる公演もあれば、短く感じる公演もあり、公演だけでなく時間の流れ方もそれぞれで面白かったです。

Mrs.fictionsさんの「上手(かみて)も下手(しもて)もないけれど」も初観劇でしたが、
観劇後、これまで以上に時の流れが愛おしく感じ、私と共に生きてくれていた、今も生きてくれている、大切な人たちに会いたくなりました。

演劇っておもしろいですね。最後のカーテンコールでの各劇団が集まった景色がとても素敵でした。本公演を見てみたいなと思ったのは「オイスターズ」!次回も楽しみにしています。

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

〈Team 箱〉
素晴らしいシナリオ。 2011年に畑澤聖悟氏が劇団民藝の奈良岡朋子さんの為に書き下ろした作品。青森県津軽地方の民間信仰「カミサマ」(「ゴミソ」)とは、神霊を体に憑依させ託宣を授ける霊感を持った巫者(ふしゃ)のこと。神託を受ける『神降し』と死者の魂を呼ぶ『仏降し』がある。

主演の「カミサマ」役、長崎りえさんが素晴らしい。乙羽信子を思わせる上品でリアルな存在感、目が離せない。本当にこんな人がいるならば一度会ってみたいと思わせる。
その若き内弟子役の石森咲妃さんは眞子さまを思わせる柔和な表情と柳原可奈子のようなチャーミングなコミカルさ。細かい動きの一つ一つが創意工夫に満ちている。お茶を入れる仕草にも注目。
「一心、一心、一心!」
神様に拝む口上も耳に残る。

「カミサマ」に相談に来るのは地元の馴染みの御近所さん。嫁姑問題、孫の縁談、作物の収穫時期・・・。
どうも街角の手相占いのようなカウンセリング。一応、神様に聞いてみます的な段取りはあれど、良かれと思われるアドバイスにとどまる。けれども相手によっては「お前は何も悪くない!」と慰めてくれる。天からのその言葉の嬉しいことよ。誰にも理解して貰えなかった悔しさを、全てを見通す存在がじっと見ていてくれて全身で抱き留めてくれる。

姑(田中結さん)と嫁(蒼井染さん)の確執がリアル。各人の世代や職業によって「カミサマ」に対する態度が異なる点が面白い。

中右遥日さんのファッションが70年代の為、その時代の設定なのか?とも思っていたがレトロファッションでオシャレなだけだった。霊能力番組の人捜しコーナーで観て、はるばる東京から訪ねてくる人妻役。

崎山新大氏や篠田美沙子さん、堺谷展之氏などお馴染みのメンバーが現れると何か嬉しい。

物語は身を持ち崩して家を去って行った息子(加藤大騎氏)が、数十年振りにぶらりと帰宅するところから動き出す。

設定の妙と着眼点が流石。
幾重にも重ねられた複雑な人の心を絶妙に表現。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

弟子の東京での後ろ暗い過去(多分風俗)など設定が秀逸。

所々、津軽弁が聞き取れず、意味をハッキリと受け止められない場面もあった。仕方がないこととはいえ勿体無い。

死んだ者への愛着に取り憑かれた者達。早逝した愛する夫(婚約者)、散々酷い目に遭わせた妻、死産で産まれた赤子。魂は再びこの世に生まれ変わるという輪廻転生を精神的支柱として生きていこうとする。赤子を養子として育て、見知らぬ男女が架空の記憶を共有して共に暮らす。それはファンタジーだが、そもそも宗教とはそういうものではなかったか。「正しい」ものではなく、「そう考えると楽になる」もの。

今作を映画化するならば都会から来て、この霊媒師を胡散臭く見ているキャラを主人公に置きたい。「こんな田舎芝居に皆騙されやがって。」的な視点から、徐々に「あれ、これ本当なのかな?」と戸惑っていく。そして最終的に「これが嘘だろうと本当だろうと構わない、この人達(受け手も含めて)は素晴らしい。」と思わせたい。

死んだ夫(婚約者)が降りてきて息子の口を借り「カミサマ」に語り掛けるラスト。死者の魂との交流はあくまでもグレーゾーンに留めておくべきであろう。息子が「物心つく前からずっと聴かされて来たんだぜ。全部頭に入っているよ。」と言ってから(二度目)、太鼓を叩いて神様に拝み始める。そこは取り様によっては「母さんのやっていることは全て判っているんだ。」とも聴こえる。
その息子の気持ちに涙したようにも見えるダブルミーニングなラストを作者は構想したのでは。(オカルトに振り切らない為に)。

過去公演での雲間犬彦氏の2012年8月のクチコミが自分の抱いた感想とほぼ同じだったことに驚いた。
DADA

DADA

幻灯劇場

AI・HALL(兵庫県)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

完成度130%の幻灯劇場!音楽に、演技に、酔いしれてください。

ネタバレBOX

複雑なようで伏線を追えば理解しやすい死者の物語。
コインロッカーに捨てられた二人の赤ん坊の人生ってなんだよ。亡霊を成仏させるロッカーってなんだよ。奇想天外幻想劇場はラジョを捨てた母の人生を語るのか?
一度見れば分かる、そこが知れる芝居じゃないのは確か。
わからない人も、幻灯劇場の世界に酔いしれてください。
マギーの博物館

マギーの博物館

劇団俳小

サンモールスタジオ(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

強い生命力が漲っているだけに壮絶な爪痕を残してくれる公演
海岸に位置する炭鉱の町
貧困から逃れるため移り住んだとはいえ、この土地には生きていく術の選択肢があまりに少なすぎる
これではどうやっても豊かになれそうもない
そんなジレンマが常に付きまとって、それでも必死に足掻いて生きている姿から片時も目が離せませんでした

男にモテないけれど明るく気丈なマギー(どうにか幸せになって欲しいと思わせる魅力に溢れている)
マギーと一緒に暮らすのは
旦那と長男を炭鉱で失い生きる気力を失っている母(元々が根明な女性だったらしく、その片鱗に救われます)
強い労働組合を目指す弟(真面目でそれ以上に不器用な男を好演)
長年の探鉱作業で塵肺を患うじっちゃん(寝たきりなので常に部屋の一角に鎮座しているシンボル的存在)
そんな生活の中、マギーと恋に落ちる心優しいニール(体格良く頼もしいのだけれど不安を予見させる一面もあり)
やがて二人は海が見渡せる小高い丘に新たに家を建てる事を誓い合う・・・
あらすじに書かれた登場人物がそのまま具現化されていて、演劇の生々しさがダイレクトに伝わってくる、それ故に強烈に響いてくる公演でありました

The Reed

The Reed

犬猫会

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/08 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/03 (金) 19:00

アルテリオは、時々、抽象的で高度で難解な作品が上演される会場なのですが、久しぶりに手強い作品を見ました。人はどこから来るのか、その存在意義は何?というテーマのステージを見ながら、さて、私は?と考えさせられました。葦原を表しているセットとそこを燃やすシーンの照明が効果的でした。

幽霊塔と私と乱歩の話

幽霊塔と私と乱歩の話

木村美月の企画

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

タイトルだけ見ると、なんとも昭和っぽい。ところが見てみると、平成令和の女の子のストレートな甘酸っぱい青春もの。乱歩も、なんだかこそばゆそうな舞台だった。
乱歩邸が立教大学のすぐ裏にあることは知られているが、このあたりは昭和になって開発された新興住宅地。杉並なら高円寺、世田谷なら駒沢、といった新興サラリーマン層の町だった。中にはちょっとした町工場もあって、そこの煙突などは乱歩好みの場所になっている。そこへ、現在の女の子(椎名彗都)が迷い込んだメルヘンである。友達(木村美月)と大学構内に入り込んで、用務員と仲良く酒宴を開いたり、乱歩の知り合いだった人の子供(いい大人である。小泉将臣、演出も引き受けさすがに好演)と仲良くなったり。なるほど、今の女の子の甘酸っぱい青春回顧はこんなものか、と知ることができた。
演劇でも、三十年ほど前に、この手の自分探しが流行って、大人の観客は辟易したものだが、その時の騒々しさはなくてファンタジック。主役の椎名が野暮ったくて、なかなか良い。この役を木村美月がやっていたら嫌みになってしまう。気取ってはいるが通俗的なのだ。乱歩もこういうところにかり出されて戸惑っていそうだ。しかし少し硬派に行くなら何かというと乱歩ではなくて、一時はやった小栗虫太郎、夢野久作、新しくは中井英夫、忘れられている角田喜久雄、などを下敷きにしてみたらどうだろう。もうすこし世界は広がると思うけど。

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

DADA

DADA

幻灯劇場

AI・HALL(兵庫県)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

ダンス 歌唱 演技がとてもバランスよく描かれている中に、ストーリーも幻想的出はないもの、そうあって欲しいと共感できる内容
4つもしくは5つのシチュエーションを上手くシンクロさせながら、物語は進む
最後はとても綺麗に終わっていく
疲れた身体に染み渡る感じでした

聖なる炎

聖なる炎

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2023/02/26 (日) ~ 2023/03/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新劇団縦断でキャストされた俳優座プロデュース作品。
この劇場シリーズ、このところ、昔々のフーダニット・ミステリをよく上演する。これもサマセット・モームのほぼ、百年前!!(1928年)の戯曲で、ちょうどのフーダニットが流行し始めた頃の影響か、フーダニット(犯人捜し)である。
一部屋のセットに登場人物7/8人というのは二十世紀中盤までの西欧現代劇の設定の標準で、このシリーズがよくフーダニットを上演するのは地方公演の効率を考えてのことだろう。第一幕は登場人物の紹介で、二幕冒頭で事件が起き、登場人物が集まったところで関係者第三者にみえる看護婦(あんどうさくら)の、これは殺人事件だ、という告発。第三幕では、名探偵は出てこないし、さしたるどんでん返しもないがが、登場人物の隠れた秘密が少しずつ明らかになるサスペンスの中で、犯人は絞られていき犯人と同期が犯人と動機が明らかになる。フォーマットとしてはフーダニットミステリなのだ。
俳優座劇場は一世代前の現代劇上演を想定して作られていて、このごく普通の邸宅の一杯飾りのセットがよく似合うし、プロセニアムの舞台も落ち着く(美術)土岐研一)。百年前、第一次世界大戦後、、飛行機事故で半身不随人飛行機事故で半身不随となってしまった一家の長男モーリス(田中孝宗)。献身的な妻(大井川皐月)や、母(小野洋子)独身の弟(鹿野宗健)近隣にすむのインド在留当時からの古くからの友人(吉見一豊)に囲まれ看護婦(あんどうさくら)付きで、て平穏に暮らしている。
その一幕が開けて、暗転で二幕、冒頭、昨晩何事もなく部屋に引き取った長男が急死したことが判明する。
ここからはフーダニットで、物語は、一家には部外者の雇われ看護婦と昔からの近隣の友人の目から一家の秘密が解かれていく。 看護婦が、昨晩のうちに致死量の睡眠紛失紛失していた事実を公職の責務として公にすると宣言する。もう一つ、ここに、公とこの事情という貸せも現れる。
紛糾したところで幕が下りて休憩。第三幕は、謎解きだが、フーダニット劇の捜しよりも捜しよりも人間関係の謎が追求されるが、結局明らかになる真犯人は意外にも・・・。

この作品は確か劇団民芸の初演だったと思うが、(1975年宇野重吉・演出、その後は78年、俳優座プロデュース、末木利文・演出)で。それからだって五十年。古めかしさは否めないが、人間関係でみると、今なお通じる男女の物語でもある。
俳優は各劇団から出ていて、あまり知らない方も多い。妻役の大井川皐月はもっと派手な出の方が生きると思うし、母親役は(小野洋子)は二幕までにどこかで毅然としたところを見せていないとなじめない。一幕しか出ない殺される寝たきりの主人公は、ベッドが横向きで顔が見えないのは一工夫あるべきところだろう。各劇団寄せ集めのキャスティングだから仕方が無いとは思うが、皆真面目にやっている割にはドラマが盛り上がらない。全体にフーだニットよりも現代劇として見せようとしていて、そこが今とずれて、合わなくなっている。15分の休憩を挟んで2時間25分。


ネタバレBOX

結論がここがフーダニットのような追求の結果というのではなくて、事態の収拾を図った真犯人が現実を生きるものが八方丸く収まるという現実的な選択がベストで、そういう判断の下ですべての人間は暮らしているのだ、というアイロニカルな結論で幕が下りる。
聖なる炎

聖なる炎

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2023/02/26 (日) ~ 2023/03/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

(^^♪オレがむかしサマセットだったころ父さんはモーニングセットで母さんはゲームセットだった。
などと昭和のギャグの真似を作ってしまった。
というのはまるで自分がサマセット・モームの生まれ変わりではないかと思うくらい先が読めたからである。もちろん転生したはずはなくこういう古典は部分部分がいろいろなドラマなどで借用されてお馴染みになっているからである。そういう事情を差し引いても満足度は普通だなあ。

幽霊塔と私と乱歩の話

幽霊塔と私と乱歩の話

木村美月の企画

小劇場 楽園(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

全体的には、或る有名な映画を連想させつつ、乱歩小説の世界観へ誘う、そんなイメージの物語であった。面白いのは、現在と過去(10年前)を交錯し、ミステリアスで時にサスペンスのような場面を取り入れ関心を惹くところ。不思議な出来事とドキッとさせる感覚、それを簡易な舞台美術で観せようとする工夫。今の暮らしに立ち止まり 昔の(不思議な)出来事を回想する、そんな単なるノスタルジックドラマとして描いていないところが魅力的だ。この公演の主人公は主宰の木村美月さんの姿に重なり、その思いが強いといった印象。因みに主人公は別のキャストが演じており、もしかしたら客観的に眺めたいといった思いがあったのかもしれない。

登場人物は5人。語り手となるのは、ひょんなことで知り合った主人公・権正さとみ(椎名慧都サン)と同じ大学に通う男子大学生・宮知一郎(宮地洸成サン)。主人公は不自由なく育った普通の女子大生で、現実は普遍的な設定だが、乱歩小説に登場する建物や出来事を絡めることで奇妙な世界、その虚実をテンポよく描いていく。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は幾つかの木枠箱が置かれており、始めは門柱と低壁のような配置である。門柱と思えた両側に薄っすら「幽霊塔」と「乱歩の話」と書かれており、後ろからライトを照らし文字を映し出す。その真ん中に主人公が立ち、タイトルを表し本編が始まる。後々、壁全体に網と蔦が絡まり、立教大学のシンボルでもあるモリス館〈蔦と時計塔が有名〉を連想させる。

宮が10年前(2023年⇨2014年)を回想しているような…その時代へ権正が登場する。始まりは大学の側にある旧江戸川乱歩邸を訪れ、その夜 自転車を取りに大学構内へ忍び込んだ日に遡る。そこで出会った宮、清掃員・大月春吉(本多新也サン)、駒込いちこ(木村美月サン)、清掃員室での取り留めのない日々…ここまでが前半の青春記。或る日、さとみが窓から塔…古い時計塔が見えたと思ったが…。
そして現在、さとみは某企業で働いており、客の江戸豊(小泉将臣サン)の部屋へ…。それを契機に久しぶりに会ったメンバー、それから江戸川乱歩に纏わる話ーー「幽霊塔」が次々と絡んでくる…後半の虚構の世界。彼の作品世界と旧邸という虚実、そして乱歩と親交のあった人物との書簡、性癖等、興味を惹くコトを点描する。そこに木村女史の個人的な思いを込めて、そんな劇作に思える。

演出は、木枠箱を並べ替え、清掃員室内、路地・塀上、時計塔等 色々な光景を描き出す。箱上を昇り降りしながら歩く、それによって時間と場所の変化を表す。同時に躍動感と心地よいテンポが感じられる。音響(部屋の鍵音)や照明(夜への諧調)といった舞台技術もさり気なく効果的に取り入れている。

年齢的には少し違うが、映画「スタンド・バイ・ミー」を彷彿させる回想記。大学時代に知り合い、不思議な出来事を共有した”仲間”との甘酸っぱい思い出。映画の郷愁・線路場面は大学<旧江戸川乱歩邸>、事件は<幽霊塔の不思議さ>に重なる。公演…脚本・演出、勿論 演技も良かったが、この映画イメージが重なり過ぎて 斬新さを欠いた、と思えたのが残念(ラストの音楽も含め)。

そしてエピローグのような…10年の年月を経て、社会人になっても掛け替えのない友人<清掃員、ウエイトレス、大学同窓といった必ずしも同じ環境下にいた訳ではない>に変わりはなかった。そして将来も変わらないだろうと…。友情の証として物語化<小説>する は、まさに本公演そのもの。
次回公演も楽しみにしております。
Don't freak out

Don't freak out

ナイロン100℃

ザ・スズナリ(東京都)

2023/02/24 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観てきた☆ 凄かった☆
役者さんはもちろん、照明、音響がもの凄い! さすがです!
安澤千草さんが印象的でした☆

MEAN GIRLS

MEAN GIRLS

アミューズ

キャナルシティ劇場(福岡県)

2023/02/17 (金) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/02/18 (土) 12:30

*

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

相変わらず間違いのないことのはbox
いつも通り温かな気持ちに包まれて帰宅した
この劇場の幅を目いっぱい使ったある意味シンメトリーな舞台は津軽の民家だろうが、自分世代には(横浜だったが)懐かしい日本間である
それほど凝ったとも思えないが、必要にして十分、またタンスや茶道具も良くできていてこれまた懐かしい昭和の世界である
箱チームを観たが、やはり長崎りえと加藤大騎の演技が際立っていた
石森咲妃も見ていて微笑ましくなった
篠田美沙子がお父さんに対して怒りを爆発させるシーンは迫力あった
田中結と䑓月子は役になりきってベテランらしいいい味出していた
演出は奇をてらったものではなく淡々と進めて、じわじわとこちらの感情を高めていくものだったが、途中玲子の変化などちょっと端折ったかなというところがあったのが残念

カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 再演である。箱チームを拝見。常日頃から丹念に紡がれた言の葉を、見事に台詞化した脚本を上演することのはboxの面目躍如たる傑作。
 タイゼツ、べし観る! 脚本の良さは無論のこと、演出、演技も素晴らしい。長尺だが、一切それを感じさせない、華5つ☆(追記後送)

ネタバレBOX

 このような作品の深い味わいが分かるような次元に漸く自分も達した。
 物語は津軽の某巫(かんなぎ)つまりシャーマンの神との会所で展開する。舞台美術はシンメトリックなつくりで四角い餅を二段重ねたような造り。この構造を更に囲うように板全体が設えられている。上段の畳敷の部屋が会所。会所の両側面と手前が渡り廊下というのが基本構造だ。会所の下手奥に水屋が置かれ、茶を出す為のポットや湯呑などが置かれている。その上手に祈祷所、祈祷に用いる太鼓と撥、巫用の座布団が在る。また、水屋の手前、客席側には白いカバーの来客用座布団が重ねられ、上手客席側のコーナーにはソファ、テーブル、椅子の応接セット。劇場両側壁に障子が入っており、その丁度真ん中辺りに出捌けを設けてある。ホリゾントへ伸びる通路の奥も出捌けだから、出捌けは都合四か所。

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