これが戦争だ
劇団俳小
ザ・ポケット(東京都)
2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
血気盛んな兵士3名と影のある雰囲気をまとった軍医1名
兵士の中に若い女性が1名いるものだから愛情と愛欲の入り混じった人間関係が生じてしまうのは当然と言えば当然の流れか
この部分だけを切り取ったなら かなり興味深い大人の物語として観てしまうところ、そういう訳にはいかない
そこは戦争の最前線なのだから
主に語り描かれるのはネックとなる二日間の出来事
それぞれの証言に嘘が無い証拠に、起こった事実こそ皆一致しているのだけれど、それぞれの目線から立った証言が積み重なっていくごとに現場で起こった事がより立体的に見えてくる
あまりにも惨い戦略の数々に居た堪れない気持ちになってしまうが、これが「戦争」なのだと真っ直ぐに考えるため必要な痛みだと思って大切に受け止めたい
真に迫る演技で鮮明な人物像が立ちあがっており、それ故に痛みがダイレクトに突き刺さってくる舞台でした
バナナの花は食べられる
範宙遊泳
KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)
2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/07/28 (金) 18:30
180分。休憩5分を含む。
開演時間によって休憩時間の変動がある模様。
犬と独裁者
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
スペーストラベロイド
collaboLab
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アンドロイドといくスペーストラベルと言うことで、どんなアンドロイドが見られるのだろうと楽しみにしていたのでしたが、思わず「うっそー!!」の展開でした。
いろんな嘘やら勘違いやらが重なって、それを誤魔化すための苦肉の言い訳・・・
面白かったのですが、その動きがそう見えるか?と言う突っ込みどころもあり、そこを素直に笑ってしまえるかどうかで面白がり加減が違ってくるかな。
犬と独裁者
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
本当にこの作家は天才だと思う。このレベルの新作を毎回書き下ろしていたら本来はもっと評価されないとおかしい。こういう作品こそ新国立劇場で掛けるべきだろう。
劇団名は「印象」と書いて「印度の象」の意味だったりする。
ロシア帝国キエフ(現ウクライナのキーウ)出身の作家ミハイル・ブルガーコフは1891年に生まれる。1917年3月、ロシア革命(二月革命)によりロシア帝国は崩壊。臨時政府と労働者・兵士の代表機関「ソビエト(評議会)」の二重政権状態に。1917年11月、「ソビエト」内の派閥「ボリシェヴィキ(多数派)」を率いたウラジーミル・レーニンが武装蜂起。臨時政府を打倒し新政府「ソビエト」を樹立(十月革命)。1918年からロシア内戦が本格化。ソビエト軍(赤軍)とそれに反旗を翻した白軍(はくぐん)=白衛軍。(反革命軍と呼ばれたが、彼等が反対したのはレーニンが権力奪取した十月革命に対して)。1922年に赤軍が勝利。1924年レーニンが病死。その後を継いだヨシフ・スターリンは自身の権力を絶対的なものにする為、人類史上最大級の虐殺を行なった。スターリン政権時代の犠牲者は約30年間で死者2000万人とも4000万人とも言われる。(虐殺者数トップは中国の毛沢東、ヒトラーは3位)。遠藤ミチロウは自身のバンドに世界で最も憎まれた男の名前を冠した。
この激動の時代をスターリンと同時期に生きたミハイル・ブルガーコフ。医師から作家へと転身、劇作家としても多くの戯曲を残した。白軍に従軍した経験をもとに書いた処女長編『白衛軍』など。作風は社会風刺、体制批判、ソビエト連邦への痛烈な皮肉。かつての下層階級の屑が支配階級になって慌てふためくドタバタを笑った。勿論、発禁と上演禁止で追い詰められ、どんどん生計を立てられなくなっていく。
物語は追い詰められたブルガーコフにスターリンの評伝劇の依頼が。かつてスターリンはブルガーコフのファンであり、『トゥルビン家の日々』や『ゾーイカのアパート』を15回観たとも言われる。特別に上演禁止から守ったとさえも。
憎むべき独裁者を讃美する作品の依頼に葛藤するブルガーコフと、その周辺の芸術家達。
こう聞くと敷居が高く難解そうな芸術作品だと身構えるだろう。だが全くのエンターテインメント。何でこんな話をメチャクチャ面白く味あわせられるのか?そこが才能、何か手塚治虫っぽさを感じる。登場人物一人ひとりのキャラが立っていて、それぞれの立ち位置と目的を観客に手早く理解させてくれる。スターリンだのソ連だの全く興味無くても存分に楽しめるように作られている。(勿論、知っていたら更に楽しめる)。才能とはここのセンスの違いなんだろう。本当に凄い。
この作品では三つの物語が奏でられる。第一は前妻と妻がブルガーコフという天才に愛されることを願う話。彼の作品に関われることへの無上の喜び。第二はブルガーコフが自分が本当は何を描きたいのか自身の無意識の中にダイヴしてそれを探す話。第三はグルジア(現ジョージア)の田舎者、ソソの話。彼はロシア語が苦手でロシア人から犬のように扱われる貧しい青年。
こういう作品を新作として味わえる幸福。
是非観に行って頂きたい。
フィクション・モテギモテオ 2023
ライオン・パーマ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
バーチャルとリアルの空間を彷徨う浮遊感?とでも表現したくなる、なんとも不思議な作品。前回(コロナ禍前)、 下北沢で同じタイトルの作品を観たので今回は再演といっていいだろう。もちろんまんまコピーではない。当然台本はブラッシュアップされている。しかし、ライオンパーマは数年前から少しずつだが、明らかに変化している。脳科学者の茂木健一郎氏がTVで披露する「アハ❗️体験」と同じことだ。どこが変化しているのか、すぐにはわからないが少しずつの変化で時間が経過し、最後の最後に「なるほど‼️」となって脳内でピントがバシッと合うのである。いや〜、実によく出来た作品だ。これからも進化、いや深化するであろうライオンパーマから目を離してはいけない。
犬と独裁者
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
戯曲としては、歴史もよく調べてあるし物語としても面白いし、最後の独白もとても熱くてよかった。心のきれいな少年が差別を受けた経験から(ほかにも理由はあるけど)独裁者になるというのは悲しくも人間的で、それに共鳴しつつ断固として愛さない・粛清を恐れない(書きたい)作家の姿勢も史実としてより人間として面白かったです。戯曲として、事実を並べるのではなく想像力で人間足らしめているのが素晴らしいと感じました。
だからこそ、演技や演出が気になってしまいました。俳優の立ったり座ったりが、それが演劇的であるということに終始して選択されているように見えてしまったり、歴史上の人物としてデフォルメして演技してしまっているのでは?と感じたり。作品から飛び出していないのかな。まるで授業を聞いているよう。もう少し不真面目でもいいのかも?前作のカレルチャペックが、そういうところが端々に見えつつそそられたのは二條正士さんによるところが大きいのかもしれない。彼は今作でも生きているように見えました。武田知久さんの身体能力の高さ・柔さには驚かされました。自由でとても面白い。ご本人も面白がっていらっしゃるのでは。後半までその自由さと狂気さとをあわさっていけたら。
舞台美術はシンプルながら目の形をはけ口等としてうまく取り入れているのが美しい。難しいですが花がたくさん出てくるところでもうすこし造花じゃなさ・土っぽさがあるといいなあと思いましたその他の衣装や道具が具象で重厚が故。リュボフィの赤に対してエレーナの緑もよかったし、全体的に深い色や茶色でまとめられているのも好きでした。リンゴや傘やお札が「赤」なのも象徴的でした。星空の照明や最後の照明が美しかったです。指定席はうれしいけど、イスが硬くておしりが痛かったです笑。仕方ない面もありつつ、100分くらいになったらもっと好きです。
憶えてるのは言葉じゃなくて
チャミチャム
カフェムリウイ「屋上劇場」(東京都)
2023/07/27 (木) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/27 (木) 20:00
「ちゃむ」こと波多野伶奈の一人芝居。面白い。(3分押し)前説3分、59分。
元彼との別れとか回想を、一人で演じて感触を残す。作・演出に「いいへんじ」の中島梓織を置いたのにも興味を持って観に行ったのだが、いい感触の作品だった。終盤の手紙のシーンは冗長感が否めないのだが悪くはないぞ。
みんなのえほん
9-States
小劇場B1(東京都)
2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ベシミル! 華5つ☆
混然一体・迷走の現代日本をよくぞ、ここまで本質的な劇に仕上げた。脚本・演出の見事に驚嘆! 主演・いろは役の松本 わかはさんの熱演も素晴らしいが、夫役・瀬沼 敦さんの大人として距離を置いた演技は若い人には分かり難かろうが自分のような年寄りからみると良い演技であった。無論、他の役者陣の演技も素晴らしいが詳細は追記で。
初見で舞台美術の特殊性にも気付かざるを得ないが、この美術も実に要を得て本質的であり、然も初見で違和感を感じさせる見事なもの、良い舞台には矢張り、良い舞台美術家が付くものだと改めて関心させられた。(追記後送)
これが戦争だ
劇団俳小
ザ・ポケット(東京都)
2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/27 (木) 19:00
価格4,500円
劇団俳小。前回のマギーの博物館に続く2度目の観劇でした。
マギーもそうでしたが、芝居のテンポ感や俳優の持つポテンシャルを十分に引き出している印象がありますね。「これが戦争だ」アフガン戦争から帰国した4名のカナダ軍兵士たちのインタビューから、各々配役の視点で物語が解釈されていく本作品では、戦争の惨さはもちろん…どんな極限状態であっても人間の持つ欲望や想いは、同じくらい強く「生きる」という意味を再確認させられるものと感じた。
逃亡
CEDAR
OFF OFFシアター(東京都)
2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
作家や作品の前知識なしで観たが、良い台本とは思えなかった。おそらく不条理劇ではないのに会話の展開に支離滅裂感があり、思わせぶりなそれらしいセリフがただ並べられ空疎に流れていくだけで心に刺さらない。特に終盤の男だの女だのの話はここでは必要なかったのではないか。
韓国新人劇作家シリーズ第7弾
韓国新人劇作家シリーズ実行委員会
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2023/07/13 (木) ~ 2023/07/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/16 (日) 15:00
私は今回、韓国新人劇作家シリーズという、韓国の新人劇作家の作品を日本人の俳優と韓国人の俳優を使って上演するという試みで、それを観るのは初めてだった。
しかし私が観た回は、全員日本人の俳優で韓国の新人劇作家作品を演じたので、正直そんなに期待はしていなかったが、結果的には非常に楽しむことができた。
Aの『罠』(韓国日報 新春文芸戯曲賞受賞)では、閉店時間の近づいたデジタルカメラ販売店を舞台に、消費者及び善良な市民としての権利を強引に主張し、まるで正論を言っているようでいて、時々屁理屈を捏ね、なんかしら理由を付けては店を出ようとしない、かなり厄介な客、その酷いわがままに手を焼く販売員の女性、そして店長、さらには地元の警察官までをも巻き込み、段々事が大きくなり、よくある日常の風景の延長線上から、もはやお客の側の主張、店側の主張、どちらが正しいかとかはどうでも良くなってきて、物事がどんどんエスカレートしていき、不条理な展開になるにつけ、そのブラックで過激で、スラップスティックでもあるコメディに大いに笑った。
しかし、最後にお客が不敵に笑って劇が終わるに至って、どこか他人事ではないような気になってき、また、お客の心の底が読めない終わりかたに、背筋が凍りつき、冷や汗が出た。
Dの『名誉かもしれない、退職』(慶尚日報新春文芸戯曲部門受賞)では、カフェが舞台で、同じ会社だが、年齢も立場も違う3人が互いに相手に探りを入れつつ、時々一人を味方につけつつ、退職を押し付け合う、エゴイズムが表面化し、醜く露骨な、感情が激しくぶつかり合う、修羅場と化していく光景に、人間味を感じ、そんなに他人事とも言えないと感じ、大いに笑いつつ、観劇後は、すーと寒くなった。
コココーラ
コココーララボ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/29 (土)公演終了
ダンパチ20『成人』/女子公演シリーズ『男ZERO0〜オトコ・ゼロ』/新人公演「あなたはだあれ?」
ショーGEKI
「劇」小劇場(東京都)
2023/07/12 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了
これが戦争だ
劇団俳小
ザ・ポケット(東京都)
2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
戦争と言うと私がイメージするのは戦場となった地域の悲惨さや銃撃でした。
しかし、この作品を観て戦場に赴く側の心情を知ることが出来ました。
死と隣り合わせである恐怖、プレッシャー、そして人を殺してしまうという罪悪感、それは攻撃する側される側両方に共通としてある心情だと思います。
今起きている戦争にそれが楽しいと思える兵士はいるのでしょうか。
そう考えると戦争で奪われていくのは人命や建造物だけではなく、人の心も奪われていくのではないかと。
結局戦争の芝居は後味が悪く、誰も幸せにならない。
そこに行き着くプロセスが今までのとは違う視点からでしたので、勉強になりました。
そして何より想像するしか他ないこの戦地に赴いた兵士を演じ切った役者4人を心より尊敬致します。
これが戦争だ
劇団俳小
ザ・ポケット(東京都)
2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
登場人物4人とも素晴らしく、見応えのある凄い舞台。にも関わらずこの☆になっているのは、見終わったばかりの今、自分の中では舞台の出来よりも戦争への嫌悪感の方が単純に大きいからなんだろう(と思う)。時間が経てばまた印象は変わるのかもしれないが。
みんなのえほん
9-States
小劇場B1(東京都)
2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
イントロ
ワヲン
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2023/07/21 (金) ~ 2023/07/24 (月)公演終了
こんにちは、母さん
義庵
調布市文化会館たづくり・くすのきホール(東京都)
2023/07/26 (水) ~ 2023/07/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/07/27 (木) 13:00
座席1階
吉永小百合と大泉洋の出演映画で注目されている劇作家永井愛の作品。映画は見ていないが、舞台ならではの魅力満載の秀作だと思う。休憩を挟んで3時間。長さを感じさせないすてきな物語だ。
加藤健一の息子義宗の演劇ユニットによる上演。今更のように気付いたのだが、やはり親子だ。目をつぶると、まるで加藤健一がせりふをしゃべっているように思われるからおもしろい。しかし、本作で彼がみせた舞台上での立ち居振る舞いは加藤健一とはまったく違う魅力があって印象的だ。「加藤義宗」という俳優名を刻む舞台になったと思う。
加藤義宗が演じるのは、有名企業のリストラ対策部長として働く男性。一緒にやってきた仲間の退職勧告をして心身共に疲れ果て、助けを求めるように実家に帰ってくれば、一人暮らしであるはずの母の様子が少しおかしい。見知らぬ中国人女性が帰ってきた実の息子を泥棒扱いするし、亡き父に付き従うばかりだった母は今、なんと留学生支援のボランティアをしているらしい。就職後はほとんど実家に寄り付かない息子は世間にたくさんいる。彼らがいつもと変わらぬはずの実家の母の変貌ぶりに戸惑うという、いかにも「あるある」という場面から舞台はスタートする。
この物語の最大の魅力は、隅田川の花火が見られる東京の下町を舞台にした近所のおばさんたちとの付き合いを縦糸にして、息子と同世代の登場人物による夫婦の物語を横糸にして織りなす会話劇である。
こうした物語から紡ぎ出されるものを、加藤義宗は「人間の再発見」と述べている。母は息子を再発見し、息子は母を再発見する。それは母と息子の絆というものをはるかに超えた、人間と人間とが織りなす心の交流というのだろうか。「ああ、そうだよな」と思う場面が何度もあって、「観てよかったよ」と劇場を後にすることができる。
加藤義宗が自ら声を掛けて集めたという出演者たち、道学先生のかんのひとみなど実力のある俳優たちがいい仕事をしている。(今日は客席に道学先生の青山勝さんもいらっしゃっていた)
上下2階建ての舞台セットもなかなか効果的。会話劇、人情物語が大好きなファンならもう一度見たくなる作品に仕上がっている。見ないと損する、と断言したい。
ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで
劇団鹿殺し
本多劇場(東京都)
2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
⿅版 銀河鉄道の夜ʼ23 観劇
衣装は最初だけ気になりましたが、普通に観てられました。
ミュージカルのような構成も良かったです!