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レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演の松田佳央理さんがやたら美人。丸川珠代の横山めぐみ風味。開演前から舞台上では豪雨と稲光、轟く雷鳴。毛布を被って恐れ慄く姿は中世の修道僧。独特な指の握り方。不安を掻き立てる。

嵐の中、突然の停電、けたたましく鳴る電話のベル。何かに怯えている人々。人里離れた田舎の山奥の家、十年前から因縁のあるストーカーの影がちらつく。娘を守る父親の必死の戦い。

父親の松本光生氏は竹原慎二っぽい。
医師の井手麻渡(あさと)氏は長井秀和的。
沖縄から出て来た新垣(あらかき)亘平氏は石井智宏のようなふてぶてしさ。
酪農家でアダルトグッズ屋も兼業している高田賢一氏、パロディTシャツに悠然たる髭を貯えた巨漢。ジョン・テンタを思わせる。
画家の田辺日太氏は小松政夫の味わい。

ウイスキー、煙草、砂糖の入れすぎたコーヒー、ナイフ、ラジカセ、カセットテープ、精巧なレプリカ人形。

誰もが肚の底で松田佳央理さんの美しい肉体を我が物とせんと静かに欲望をたぎらせているようだ。
『10 クローバーフィールド・レーン』みたいな雰囲気。アメリカのサイコ・スリラーを思わせる。誰の言うことを信じ誰の言うことを信じてはいけないのか。誰が誰を騙し誰が誰に騙されているのか。
張り詰めた狂気、二転三転する緊迫の舞台。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

今作の初演が2000年だがそれにしてもカセットテープというのは古い。もっと前の時代設定なのかも知れない。

クライマックス、新垣亘平氏が新聞記事の縮刷コピーを部屋中にばら撒く。それが本当に大量で充分な効果を上げている。誰が本当に狂っているのか?それとも誰もが狂っていたのか?

ラストが余り好きじゃない。それまでのヘラヘラしながらもふてぶてしいキャラクターに似合わない行動。やることがしょぼい。
人間ども集まれ!

人間ども集まれ!

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

浅草九劇(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

えっ?新人!??
今後のイッツフォーリーズがとても楽しみになりました。
「無性人間」対「人間」
そんなSF。
人間は恐ろしいわ。

デラシネ

デラシネ

鵺的(ぬえてき)

新宿シアタートップス(東京都)

2023/03/06 (月) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/10 (金)

うひゃっ!!うす笑いを浮かべながら観てしまった。
そして最後スカッとしたと言うかなんと言うか
どうなったのでしょう 笑
「女」怖い!でも好き!!ともなった。
ここ数年でそんな怪物たちも居なくなりつつある。
いないで欲しいと願う。

Dramatic Jam 5

Dramatic Jam 5

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/03/10 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本年6月で閉館となる新宿歌舞伎町のシアターミラクルのコント企画を観劇

9つのショートコントの詰め合わせ
岸田國士のパロディもあり、9作の小品1時間は、あっという間であった。

シアターミラクルは、上演作品どれをとってもほぼ素舞台、音照、美術に頼らない脚本・構成・演出と役者の表現力で、作品を提供してくれる、かなり出演者側には手強く、観客側に見応えのある、そして低廉なチケット代で、演劇の世界を魅せてくれる素晴らしい劇場である

この劇場で腕前を遺憾無く振るい、今も中劇場・小劇場で活躍する脚本家さん・演出家さんそして俳優さん達は綺羅星の如くいる

6月の閉館にむかって、小劇場・学生演劇界では知らないものがいない「ナイゲン」(富坂さんもこの劇場で新作にチャレンジしていたのを思い出すが)を2バージョンで、そして劇場主の池田さんの代表作「ホテルミラクル」が上演される

お見逃しのないようにお気をつけ召されたい
閉館を惜しむ声が湧いているが、推しは推せる時に推せ!は鉄則
決まったあとでは何の力にもならない
もし惜しむ声が本物であれば、上記2作(いや、3作かな)に足を運んで、劇場主池田さんの創作にかける情熱が消えてしまわぬよう、火を灯し続けられるように、しっかり見守ってもらいたい

Laghu prarthana

Laghu prarthana

中央大学第二演劇研究会

ザムザ阿佐谷(東京都)

2023/03/09 (木) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/09 (木) 18:00

 中国西部のとある国。そこでは国を挙げて1つの宗教が信仰されており、教えでは教祖は寿命を終えるごとに輪廻転生を繰り返し人々を理想郷(シャンバラ)へと導くとされていた。しかしある日、その国で新たな転生者は現れなかった......ことと、現代の日本にて新人刑事の結城は署内で煙たがられている先輩刑事見取と共に事件を調べていき、出どころが分からない銃が使用されたことで難航する捜査の中、見取は15年前のとある事件の資料を結城に渡す。とある宗教団体が起こしたというその事件は今回捜査している事件と類似点が多いこと、更に虐待を受け、不良仲間とつるんで学校をサボっている郷田ツカサがこの物語全体において最重要人物であり、その幼馴染の比丘レンなども絡み、ただの宗教2世の悩みや新興宗教による犯罪を取り扱った刑事サスペンス劇かと思いきや、思った以上の2重3重に物語が展開して、賛否両論を呼びかねないラストを観るに至って、一気に引き込まれた。

 警察の刑事を束ねるパワハラを通り越した恐怖で周りを威圧し、叩き上げの女班長常田、はみ出し刑事見取と新人女性刑事結城を中心とした刑事サスペンス、郷田ツカサ、その親でやたらとツカサに暴力的な郷田清、ツカサの幼馴染の比丘レン、ツカサの不良仲間達を取り巻く他愛もない、だがいつ崩れるかもわからない青春群像、新興宗教団体の儀式や絆の物語、第二次世界大戦中の中国における国を挙げてのトゥルク王を中心とした1つの宗教を日本政府の命を受けて中国共産党の役人による大規模な弾圧の物語、これらの物語、あんまり噛み合わないようでいて、そこに郷田ツカサという人物が全ての話において深く関わりがあり、人々を誠に救済できるのはツカサだということがわかってくるという、徐々に物語を回収しつつ、劇の後半では生死の間でツカサが殺されたお母さんに会い、過去に遡ったりと一気に激的な急展開に持っていくあり方が、作品の構成として、とても学生劇団のレベルを遥かに飛び越えており、これからの可能性を感じ、見事だった。

 郷田ツカサに対して、親父である郷田清が酒浸りで、ツカサに対して暴力的に振舞う行為は傍から見立ても、ツカサからみても虐待だが、そういう行為をするようになった経緯は、ツカサを守るために仕方なくやっていたことが後になってわかるが、息子であるツカサは信用しきれないところもあり、その事実に複雑な心境になりつつも、急に親父を抱きしめるという親子の絆の場面で、色々と感慨深くなり、感動して、思わず、涙が出た。

 全体的には、緊張感、臨場感ある劇だったが、ところどころ笑える場面もあって、程よく肩の力を抜くところは抜くというふうに加減して観ることができたので、思ったよりかは疲れなかった。

 個性的だったり、アクの強い登場人物、それにコミットした役者が多くて、可能性を感じた。
 特に、女班長常田役の夏炉冬扇
がボーイッシュな上、過剰にパワハラ的で、鬼の如くに高圧的な態度と喋り方が普段からそうなんじゃないかと錯覚させるほど、出てきたときから雰囲気が感じられて良かった。

 ただ、強いて言うなら、途中10分ほどの休憩を入れたのは間違いだったと思う。なぜなら、この手の刑事サスペンスで途中休憩を挟むと集中力が一旦途切れるから。案の定、後半戦が始まってすぐは客席がざわついていたきらいがある。
 あと、あまりにも声が枯れ、言葉に詰まったり、噛んだりするところを気を付ければプロになれると感じた。
 最後に、この劇のラストには賛否両論あると思うが、個人的にはラストで、郷田ツカサとトゥルク王が過去を彷徨い続けながら、だからといって過去が変えられるかは皆目見当がつかないが、人々を救済する至高の実態のない神のような存在となっていく終わり方は、上手い逃げ方をしたなと感じ、多少の不快感さえ感じた。
 本当の意味で、戦争や争い、弾圧を止めさせ、抑圧され、自由を奪われた人々を救済し、全ての人が平穏な日々を遅れるようにするためには、過去は変えられる可能性なんて薄いのだから、今、この生きている瞬間を大事にしつつ、今私たちにできることを、小さなことからでも良いから実践していく。そうするといずれ平和に結び付いていくというような終わり方のほうが私的には、トゥルク王と郷田ツカサを自己犠牲にすることによって全てが救われる在り方よりかは、よっぽど共感出来るんじゃないかと感じた。

マリー・キュリー

マリー・キュリー

アミューズ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2023/03/13 (月) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

キューリー夫人の一代記を韓国製ミュージカルにした。二十分の休憩含み2時間45分
夫人は超有名科学者だからその人生はよく知られている。その一生は、現代にも通じるテーマ満載で、主だったところでは、ポーランド出身者への民族差別、女性科学者へのアカデミズムの差別。科学とその実用化のモラル、科学の人体での実験モラル、日本人にとっては放射能科学の先駆者が自身も放射能被曝のために死去したこと、わかりやすい世界的名声などだが、このあたりを、本は古いタイプのミュージカル本の型どおりのパターンで作っている。その人生そのものが波瀾万丈だから見ていて飽きないが、現在の世界の課題と関わると偉人伝だけではすまなくなる。そのつめは結構甘く、難しいところは詰めずに八方うまくまとめた韓国製で物足りない。
スターとして確立している俳優は出ていないが、皆一生懸命にやっていて動きも歌も無難だが、突き抜ける天才の話としてはおとなしすぎる。主役の四人だけ(キューリー夫人:愛華れいか(タカラヅカ娘役出身))、夫:上山竜治、起業家:屋良朝幸、娘:清水くるみ)が持ち役で、そのほかは九人の男女のカンパニーダンサーが、さまざまな役をこなしていく。ほとんどノーセットの舞台をこの手のミュージカルはお得意の演出鈴木裕美が手堅くまとめている。キャストを考えれば、よく出来ているのだが、本がとにかく安全なところでまとめてしまい、曲も今の英米ミュージカルを見ていると曲想も古くオセンチな曲が多い。アミューズの中堅おさらい会である。

蜘蛛巣城

蜘蛛巣城

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2023/02/25 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

観る動機はもちろん黒澤監督の同名映画で、「どん底」もそうだが海外戯曲を日本に置き換えた傑作の躍動を味わいたく観に行った。演出が赤堀氏とははっきり認識しておらず全ては観劇当日に、という構えで臨んだのだが、よく見れば演出をはじめキャスティングも、変わった取り合わせ。企画が固まった経緯が気になる。その印象を裏付ける舞台でもあった。詳細後ほど。(余力があれば)

レプリカ

レプリカ

ハツビロコウ

シアター711(東京都)

2023/03/14 (火) ~ 2023/03/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

少なめの照明の暗い舞台、狂気と心の闇を覗き見るようなストーリー、ハツビロコウらしい暗くスリラー的な面白さがある。

三月大歌舞伎

三月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

午前の部「花の御所始末」を拝見。一幕ではまず足利義嗣(坂東亀蔵)の母の愛を得られない悲しみを語る場面が切ない。場面変わっての、母・兼子(高麗蔵)の、反抗的な息子を愛せない罪悪感の告白と対を成して、この母子関係に、親子の難しさを感じた。

二幕からは、父・義満と兄・義嗣を次次殺していく足利義教(松本幸四郎)の悪人ぶりがはじける。セリフ回しがうまい。休憩を挟んでの第三幕では、臣下の畠山満家(中村芝翫)が義教の黒幕的存在から、一気に失脚し、身も世もなく将軍に縋り付く姿が哀れ。義教が「良心とは何か。(略)それは弱い心だ。そんなものは持っていない」と、満家を無残に切り殺す。非情ぶりが極まれる。

歌舞伎は見ても、なかなかよさがわからないことが多い(現代劇と違い)。この芝居は昭和に書かれた新作で、セリフもわかりやすいし(もちろん歌舞伎調だが)、登場人物の心理も(義嗣・兼子の母子のように)現代に近い。野望の実現から転落まで、端的なセリフにしぼり、正味2時間でスピーディーに見せる。大変楽しめた。

ネタバレBOX

「リチャード三世」の翻案なのだが、片腕ともいうべきバッキンガム公にあたるのが満家。これを、義教の実の父(つまり義教は不義の子)としたところが凝っている。50年近く前の初演の時、義教と満家を松本幸四郎(現白鸚)と初代白鸚の父子が演じたところから発想したのだろう。

最後に、行秀(片岡愛之助)が土一揆の指導者として復讐に現れ、義教を死に追い込む。「(義教のせいで)片目を失い、かえって人間としての両目が開いた!」「この一瞬のためにオレの一生をかけたのだ」という啖呵が見事。松本幸四郎が最後に見せる立ち腹切りなど初めて見た。愛之助も刀を動かせない迫力で最後の幕切れもよかった。
Light on TennesseeWilliams

Light on TennesseeWilliams

一般社団法人 壁なき演劇センター

シアターX(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/03/13 (月) 19:00

会場の使い方が非常に特殊で、芝居の内容は難解。

だったんだけど、終演後のトークを聞いてるうちに狙いが少しずつわかってきたか。
(うまい具合に、順番を逆にできないかなあ)
知識や経験、見識が試される、私のようなシロートには怖い作品。

音楽/BGMがカッコよかった。

満足度星3つは自分に対するものです。

The Writer

The Writer

ゼロコ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この所殆ど例外なく眠い身体での観劇、序盤に厳しい時間があったが(笑いはよく起きていて客席の声で目覚める事数回、だが笑った原因は分からず)、ほぼ通して興味深く見れた。
「二人目」が登場した時は「手品じゃん」「どうなってんの」と純粋に驚いたり、先を予測する余裕がないのがよかったようで、作家の脳ミソの中(もしくはうなされて見る幻)を覗き見る無言芝居を楽しんだ。

掃除機

掃除機

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/03/04 (土) ~ 2023/03/22 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

家の中の各エリアが歪つに曲がり(端に向かってせり上がる)、上手奥にDJ然と立って音(掃除機等)を出したりする環ROYのブースがあり、その他は舞台手前の上手下手や奥に向かって開けている。
言葉を聴くと岡田利規の文体なのだが、居心地の悪さが残る。大した事もない事を大したように言っている、と聞こえてしまう時の、アレだ。そこで改めて資料を見ると、演出は岡田氏ではない。そうか・・と思う。
どうにか台詞の座りの悪さを乗り越え、パターンを掴む。「父」役をモロ師岡(メイン)、他に二人が同じ衣裳を着て同じ「父」を演じる。(SPAC「授業」(演出:西悟志)がやっていた最高にシュールな方法。延々と喋ってる役でないのでSPAC程に弾けないが。) 栗原類の役が掃除機だと判るのには時間がかかった(冒頭の喋りで「掃除機の目線」という台詞があり、自分=掃除機と自覚して言っている、とは聞こえなかったのだ)。
「姉」の引きこもりの精神性が、痛々しくかつ逞しく伝わって来るのが本作の肝だ。姉がしばしば舞台上から姿を消すが、「ずっと居る」という演出には出来なかったのか・・何かこの芝居の核になるものが欲しかった気がする。

人形の家

人形の家

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2023/02/11 (土) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久々の静岡芸術劇場で初めての「人形の家」観劇。作品は戯曲のみ読んでいたが細部はごっそり抜けていて、ラストの決断の直前まで、ノラは「人形」らしく妻らしく振る舞う時間を生きていた。
舞台を日本に置き換え、能舞台風に設えた室内、着物姿が目に心地よいが、役名等は原作のままだ。それで成立しているのは宮城總らしい様式の妙による。その他気の利いた趣向・演出がちりばめられ、心中ニヤッとする事も多い。この戯曲はイプセンの社会劇の連作の端緒であり「演劇史を変えた」と言って過言でない記念碑的作品と言われるが、その評に違わず「生まれたばかり」のような初々しさがあり、この作品の魅力となっている。
ノラの旅立ちにも重ねられる長い現代演劇の旅が、ここから始まったというような。。
ノラのたきいみき、彼女がその視線を向ける「像」としての夫(ベイブル)、ノラと対照的な旧友(葉山陽代)が好演。

『色々の季節2022-2023』

『色々の季節2022-2023』

早稲田大学劇団木霊

劇団木霊アトリエ(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/03/13 (月) 18:00

早稲田大学講堂の裏アトリエにて…
こういう秘密基地みたいな専用スペースがあるのは素晴らしい。練習室にぴったり。
今回は就活生が抱える闇、演劇サークルの活動や人間関係、等身大の自分たちを台本にしたような作品。
キャスト陣の中にはギターで伴奏したり、バレエの様な柔軟性を活かしたり、輪唱したりと個性を感じたものの
やはりお芝居の内容は、全体的にう~ん…作品名通りって感じです。

舞台は3場面で展開しているものの、暗転が多い印象を受けました。
舞台道具も劇団としてはちょっと寂しい。突貫工事で色々と詰め込んだ感じがした。

橋の上で

橋の上で

タテヨコ企画

小劇場B1(東京都)

2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

実際に起きてしまった痛ましい児童殺害事件を下敷きにしており、観客の注目度も高い一作だと思います。該当事件に関する知識の有無で作品の評価が変わる上演ではなく、全ての観客へ丁寧に情報を伝えようとする意思を感じました。その意味で、いま舞台上で起きている事柄を、観客が受け取りやすい状況と言えるでしょう。ただ、僕個人は、今作で過去の実在事件を取り上げた創作上の意図を明確に感じ取れず、少しモヤモヤした気持ちになりました。実際の事件を取り上げることで「これは他人事ではない」という凄みを増幅させる効果はありました。そこから更に、一歩、二歩、三歩、踏み込むことで、物語は劇的に広がりを見せると思います。(←勿論高いハードルであることは承知していますが、期待を込めて)。

なるべく派手な服を着る

なるべく派手な服を着る

MONO

吉祥寺シアター(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

めっちゃ濃いキャラばかりの家族の物語。
クスクスと笑える小ネタがたくさんで楽しく観れた。
ラストの五男のシーンはうまいなぁ。ウルっときた。

マギーの博物館

マギーの博物館

劇団俳小

サンモールスタジオ(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

重厚な素晴らしい舞台でした。

ネタバレBOX

休憩15分を挟み、前後半とも1時間余の2時間超の長さを感じさせない、力強い舞台。登場人物各々の個性が際立ち、最初から最後まで、ストーリーの中に引き込まれました。
マギーの博物館

マギーの博物館

劇団俳小

サンモールスタジオ(東京都)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/03/11 (土) 19:00

炭鉱労働者の苦難を描いたラブストーリー。
低賃金で働かされながらも生活の為に身を投じるもの。
生きる望みを失わず、愛するものの為に責務を果たそうとするもの。
いずれも彼ら・彼女たちの自尊心【プライド】が、個性的なキャスト陣を色濃く象徴した作品。
舞台演出、美術、演技面では学術的な原理や応用をきちんと汲み上げて創られている様に感じた。

私はこのマギーの世界観とても好き。細かな小道具や古木のフローリング。特徴的なドア。
良い舞台なのですが、強いて言えばどの役者にしても、あの会場であの発声は適切だったかどうか。
歌う。叫ぶ。怒る。笑う。咽び泣く。どれもバンと強い声で、バグパイプのように張り上げている様に聞こえる。
今回の小屋では、もっと繊細な声の色・ニュアンス、間が伝わると豊かな声の意味合いも変わって来るのではないか。
そんな風に観ていて感じました。

Laghu prarthana

Laghu prarthana

中央大学第二演劇研究会

ザムザ阿佐谷(東京都)

2023/03/09 (木) ~ 2023/03/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

2022年度卒業公演ということもあり、多くのキャストが登場する。勿論 出番の多い少ないといった違いはあるが、それでも物語の舞台が中国と日本、宗教団体と警察組織、そして現在と過去を交差させ、さらに夢現のような情景まで現れると筋が分かり難く、頭の中で人物相関の整理が忙しかった。何しろ場所と時間を縦横無尽に動かすのだから。

公演の魅力は、スピード感ある展開とキャストの熱量でグイグイと引っ張っていく、そのテンポの良さ。多少の分かり難さ、辻褄が合っているのか疑問があっても、何となく分かった気にさせる。逆にスピードと熱量ゆえか、滑舌の甘さと早口のため台詞が聞き取れない場面がいくつかあった。

舞台美術は手作り感いっぱいで、何となく仄々とし温かさを感じる。構造的には中央に階段を設え その上り下りによって躍動感が生まれ、エネルギッシュな演技を観せる。オフホワイトの明るい舞台であるから、全体の隅々まで観ることが出来る。自分が観た回は、舞台<舞台袖 下手>の一部が剥離するというアクシデントがあったが、何とか途中休憩まで持ちこたえた。
(上演時間2時間30分 途中休憩15分)

ネタバレBOX

舞台美術は架空の神殿のような。中央に幅広の階段、上手 下手の上部は非対称だが、夫々 別空間<場所>を設える。上手下部は回転壁、下手は箱型発泡スチロールで石垣を表しているよう。そして休憩直前にこの場所が突き破られ、アッと驚くような仕掛けが…。神殿両脇に隠し階段があり、そこからの登場が場所と時間の変化を表す。

中国西部のとある国。そこでは国を挙げて1つの宗教が信仰されていた。教祖は寿命を終えるごとに輪廻転生を繰り返し 人々を理想郷(シャンバラ)へと導くとされていたが、新たな転生者は現れなかった。教団は、その内<世界>から外の世界へ行くことが許されていない。信者の1人が病に罹り、その家族(娘)が外の治療を受けさせたいと思うが…。一方、現代の日本…出所不明の銃が使用された事件の捜査が難航。女新人刑事は署内で煙たがられている先輩刑事と事件を調べていくことになる。先輩刑事は15年前の ある事件の資料を女刑事に渡す。ある宗教団体が起こしたという事件は今回捜査している事件と類似点が多いようだ。

捜査は囮・潜入捜査、さらに捜査打ち切り、再捜査など 離合集散を繰り返すような展開で目まぐるしい。それによって人物が入れ代わり立ち代わり登場する。主要な人物だけを追えば、何となく粗筋は解るが、折角の脚本が勿体ない。
この宗教団体は、何となくオウム真理教を連想し一連の事件を思い出す。単に虚実綯交ぜの劇作にするのではなく、輪廻転生や彼岸・此岸の狭間、現在・過去の往還など複雑だが、面白く展開させようとする志向や工夫が好ましい。それを上手く整理し、場面ごとのメリハリがもう少し出来れば…。

物語に直接関係しているのか分からないが、ライヴショーとして歌う場面がある。歌やアクションなど色々と観(魅)せるシーンを挿入する。その意味ではエンターテイメント性も盛り込んでいるのか。
舞台技術ーー揺れ流れるような照明、そこに妖しげな雰囲気が漂う。また音響は水滴が落ちる音、それをピアノの単音で表現<孤独と淋しさ>するなど工夫が感じられる。
次回公演も楽しみにしております
Light on TennesseeWilliams

Light on TennesseeWilliams

一般社団法人 壁なき演劇センター

シアターX(東京都)

2023/03/11 (土) ~ 2023/03/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

『靴』をモチーフにしたと思われる公演、面白い。
当日パンフによれば、プロローグ、オープニングから、最後はエピローグまで12の話で構成されている。
公演の特徴というのか、客席が2種類用意されており、主観的な席と客観的な席となっている。どちらの席で観るかは観客が選択する。自分が観た回は、ほとんどの人が主観席に着座していた。勿論 自分もその一人である。その主観席はShoes Barという設定で、店内では靴を脱ぎ用意されたスリッパに履き替える。このような客席の選択は初めてで新鮮であった。この席(場内入口は1か所のみ)への誘導もスムーズで、制作サイドの対応が丁寧だ。

公演の説明では、Tennessee Williamsの戯曲や回想録、友人や家族が書き残した伝記を手掛かりとして、彼自身を描き出す…というものであったが、その人物像は明確ではなく陽炎のように揺らめきながら立ち上がる。輪郭がはっきりしない、敢えて曖昧な観せ方にすることで、人物評価を固定もしくは誘導しない巧さ。かと言って暈けたままの人物像ではなく、彼の家庭環境や作品(戯曲)を通して 核となる内面を鋭く抉る。彼を語る上でShoes Barという舞台(客席)にも意味があり、その構造を利用した舞台技術<音響・音楽、照明>が秀逸だ。

因みに主観席は、至近距離で観るためキャストとの阿吽もあるようだ<毎回あるかは不明>。自分もキャストから同意を求められたり、<紙巻>花束を預けられるという弄りがあった。少しネタバレするが、アメリカの話でありながら、時に日本の方言や麦焼酎が登場するなど遊び心もある内容になっている。そこに異国の有名戯曲家という距離感を抱かせない演出<脚本も EMMA(豊永純子サン)>の上手さをみる。
(上演時間1時間10分)

ネタバレBOX

主観席と客観席の間は紗幕で仕切り、上演が始まっても変わらない。主観席は舞台に近く、半囲いするような配置、客観席は教室<通常>席のよう。舞台まで距離があり、紗幕越しということから、広角的に俯瞰し シルエットとして観(映)るのではないか。

舞台美術は 段差を設けた上、そこに靴を預ける横長カウンターを設え、中央に音響ブースがある。その後ろに横三段のシューズ棚があり、ブーツ、ハイヒール、スポーツシューズ等、色々な形の靴が並ぶ。ウィリアムズ(松田崇サン)は戯曲家になる前は靴職人であったこと、しかし仕事になじめず鬱積していた。この靴、その用途や形状、勿論大きさ等も違う。それは人にも体型や性格の違いがあり といった比喩のよう。履く靴も自分の足に馴染んでくる、または足に合わせた工夫をする。例えばウィリアムズの姉ローズ(安田早希サン)が、片方の靴に中敷きを入れて歩きやすくしていると。ウィリアムズは裸足を好む、そこには型にはまりたくない、自由でいたいという願いがある。靴の存在…後ろのシューズ棚へ原色照明を照射することで色々な形のシルエットが浮かび上がる。その光景が実に幻想的である。

ウィリアムズと母(蔡へみサン)の確執、それは詩などに現を抜かさず、靴職人として地道に働いてほしいと願う親心。同時にローズの存在、内気な彼女の将来を心配し 結婚相手の紹介を頼む。紹介したのは同僚で、ハイスクールの先輩・通称 大統領(森山光治良サン)である。この場面は代表作「ガラスの動物園」を用いて描いている。
蔡へみ さんは、ときどき方言(博多弁?)で話し、森山光治良さんは個人的なことを話し出す。それぞれ可笑しみと場転換をスムーズに行うための演出だが、不思議と物語の一部を成しているよう。

全編に流れる音響・音楽が素晴らしい。舞台中央で山中透さんが担当するが、音楽は勿論、効果音である靴音<乾き>・水滴が落ちる音<潤い>、鹿威し<風情>あるものまでバラエティ豊かに聴かせる。公演全体を通して言えるのは、シルエットに表されるように観客の想像力に委ねる幅の広さ、奥の深さだと思う。
次回公演も楽しみにしております。

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