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6人の悩める観客

6人の悩める観客

壱劇屋

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

小劇場のあるあるというか「メタ」が沢山詰まっている舞台だった。

正直少し不快に感じたり見ていられないようなシーンも実際にあったのだが、身内ノリも、このご時世でやると不快に思う人が出そうな攻め方もコミコミで「小劇場演劇の(良くないところの)あるある」としてわざと描かれているのだと思った。

演出と構成の面白さで、それらも多少飲み込みやすく感じた。(少なくとも、見終わった後に「つまらなかった・不快だった」というような感想には個人的にはならなかった)

劇団壱 CE A WEEK

劇団壱 CE A WEEK

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この「劇団壱CE A WEEK」とは劇団壱劇屋東京支部による役者の為だけの、ではなく殺陣も芝居も一切した事がない人でも参加可能なワークショップであり、「ワークショップで習ったら習ったままにせず発表する機会を設けよう」という趣旨に基づいた公演でした。
劇団と名がついてはいますがあくまで習得の成果を発揮する「1日限りの」大人の盛大なお遊びです。

趣旨を理解した上での観劇はとても感動しました。
普通の人が普通に過ごす中で武器を用いた争いが当たり前に行われる近未来が舞台。
余命100日宣告を受けた主人公が、その100日をどう生きていくか。陰ながら思いを寄せる戦いに身を置く女性に対してどう関わっていくか・・・という内容でした。
週一回の稽古を9回行っただけで素人同然の人でもここまで素敵なお芝居ができるようになるというのはやはり主催の竹村さんの力量だと思っています。
計14名の身体の特性や個性を見抜き、それぞれが輝く殺陣やアクションを当て書きされており、とても見ごたえがありました。

大人になってから中々新しい事へチャレンジする、ましてや人前で発表するという機会はまず無いですし、それを皆堂々とそれぞれに与えられた役を演じきっているのを拝見し涙が止まりませんでした。
勿論稽古期間や時間、回数を増やせばもっと素晴らしいものが観れると思いますが、まずはこの短期間で30分あまりの作品を完成させ、無事上演し切った事に拍手を送りたいです。

MIREN

MIREN

劇団伽羅倶梨

KARAKURIスタジオ(大阪府)

2023/05/12 (金) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

しばらく会っていない人に、手紙を書いたら人生変わるかもね。
もし、このようなことが実現すれば、いいなあ。
お芝居観られてありがとう。

劇団壱 CE A WEEK

劇団壱 CE A WEEK

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

本業ではない素人同然の子達が9回の週に一度の稽古と自主練で仕上げてきたとは思えない完成度。前日に決まった部分もあったらしい。マジか。舞台上での表情や挨拶から分かる竹村晋太朗作品への熱量と愛の強さ。同じ竹村ファンとして私まで胸が熱くなった。分かる。分かるぞ!

今後も舞台に立ちたいという出演者に向けて辛口な評価もできるっちゃできるけど、無粋かな。今回の座組では多分そこまで求められていないように思う。発表会というのは青春!それでいいじゃないか!笑

(それはそれとして経験者やプロで構成された今作は見てみたい)

原色★歌謡曲図鑑

原色★歌謡曲図鑑

株式会社ビーウィズミュージック

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/05/11 (木) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

脚本も演出も芝居も良かったです。
脚本はそこそこ面白かったです。
演出は出演者を輝かせようとしている意図があって良かったです。
出演者の皆さんこれからも頑張って下さい。期待しています。

地獄のオルフェウス

地獄のオルフェウス

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2023/05/09 (火) ~ 2023/05/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最初、主役の二人は現れない。近所のおばさん2人(頼経明子、金沢映実)が延々、女主人公の不幸な過去と、彼女の夫との愛のない生活を噂する。他にもこの南部の田舎町の住民が次々現れ、誰が誰やらと思ううち、主人公レイディ(名越志保)が帰ってくる。流れ者の色男ヴァル(小谷俊輔)が店で働き始め、最初はヴァルに邪険にしていたレイディの隠された思いが明らかになってゆく……のが本筋。

ところが、最後はまたも街の人々によって、とんでもない結末になる。全く救いのない芝居。愛も夢も希望も、南部の因習的な差別と非情な暴力の前についえ去っていく。そのやりきれなさを描いた。冒頭と最後が主人公たちでも副主人公でさえなく、わき役たちによって(幕開きは女の、幕引きは男の、という違いはある)占められているのは、この芝居の芯の主人公が、誰なのかを雄弁に語っている。

レイディの期待と怖れ、たくましさと弱さ、臆病と行動という複雑な姿を名越志保が堂々と演じていた。本当の思いを普段は見せないのが切ない。秘めるほどにそれだけ思いのリアリティーが高まる。押し殺すような低い声と澄んだ高い声とを使い分けるセリフ術がよかった。小谷俊輔も、地に足のつかない青二才のヴァル(30歳と繰り返し言うが、本当だろうか)を好演した。

3幕もの(3時間=休憩2回各10分含む)

神様お願い

神様お願い

タクラボ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/05/09 (火) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/09 (火)

赤坂RED/THEATERにてタクラボ『神様お願い』を観劇。
“ラボ”という名に相応しく、業界初採用となるNFTチケットでの入場や、本来であれば終演後に開催されるようなアフタートークを前座に組み込むなど、まさに実験的な取り組みが多く盛り込まれ、終始ワクワクが止まらない観劇となりました。また、主宰の宅間孝行さんのお芝居をキャパ200弱程度の小劇場で観ることが出来たのも久し振りのような気がします。開演前の客席とのコミュニケーション、カーテンコールでの今日の一言、宅間さんの挨拶などを含め、前身の東京セレソンDXの頃に新宿シアターサンモールなどに足を運んでいた当時の懐かしい感覚も蘇り、何となく嬉しく感じました。今回の”原点回帰”の試みは非常に好感が持てました。
そして、相変わらず作品の内容が素晴らしいのです。今回の作品は新興宗教、カルトに関するお話でしたが、テーマ自体が斬新であるうえ、その切り口というか、表現方法など全てが面白かったです。公演パンフレットの宅間さんのコメントに「昨年起きたあの歴史に残る大事件が発端です」とあるように、あの衝撃的な事件から着想を得た作品なのだと思いますが、だからなのか、妙に現実とリンクする部分があったり、一方で、コメディータッチで描かれている部分もあったりと、なかなか奥が深い構成であったように感じました。リアルとバーチャルという表現が適切なのかは分かりませんが、そのバランス感が絶妙であると感じました。”宗教”と聞くと、「自分には関係ない」「聞きたくない」などと拒否反応を示す人々も多くいると思いますが、作品にも描かれているように、人々が神様に何かを願掛けしたりするようなシーンは割と多くありますし、案外身近な問題だと気付かされます。"洗脳"と"マインドコントロール"のくだりを含め、何か面白いなと思いました。また、随所にあったアドリブのシーンも過剰に狙い過ぎず、自然な笑いを生み出しており、とても心地好かったです。
東京セレソンDXのお芝居を拝見していた頃からの印象になりますが、宅間孝行さんの演出・脚本・企画などはどれも常に期待の上を行っており、個人的には人間国宝に相応しい方と思っています(人間国宝の定義を全く理解していませんが…!)。既にタクラボの第2弾やタクフェスの第11弾公演が決まっているようで、今後も楽しみです。
宅間さんはもちろん、ハマカーンの浜谷健司さん、阿部力さんも存在感がありましたし、初見の井上新渚さん、守屋慎之介さんらも印象に残りました。蓮役の矢野ななかさんも初見の役者さんでしたが、代役とは思えない圧巻の演技力で驚きました。短期間であれだけの表現が出来るのは素晴らしいの一言です。

花魁珍道中

花魁珍道中

激嬢ユニットバス

OFF OFFシアター(東京都)

2023/05/03 (水) ~ 2023/05/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

今更こんなことを書くのは申し訳ないのですが、旭日小綬章(きょくじつしょうじゅしょう)が読めないのは世の中に興味なさすぎじゃないでしょうか。当のもりおさんが観に来ていたというのに。
そい言う私も40過ぎまで選挙に行っていませんでした。

ファインディング・ネバーランド

ファインディング・ネバーランド

ホリプロ

新国立劇場 中劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/06/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ジェームズ・バリの生い立ちと、公私にわたるゆきづまりが根っこにある(最初に明かされるわけではない)。そこに光をもたらしたシルヴィア夫人とその4人の子供たち(史実は最初3人で、のちに生まれた子もいて5人)との出会い。外見を繕い堅苦しい大人の世界を嫌い、子どもたちの無垢と空想の世界へのあこがれが刺激される。世間の冷たい目をはねのけて、ピーター・パンの舞台に結実する。そういう盛りだくさんの内容を2時間30分(休憩20分別)のミュージカルに入れ込んでいる。そして、思いがけない不幸。当然舌足らずなところは出るし、日本初演の(しかも初日を観劇)まだこなれないぎこちなさもある。でも、シルヴィアたちに見せる「ピーター・パン」の初日は素直に感動した。そして、子どもたちがリードする最後のフィナーレもすばらしかった。

感動したのはアンサンブルが活躍するコーラス場面。俗なディナーを頭の中でぶち壊す「頭の中のサーカス」も、次々と変わる場面で同じメロディーを繰り返した手法が効果的面白かった。山崎育三郎(ジェームズ・バリ)のソロやデュエット曲は見事な美声で聞かせたが、美しすぎてどこかドラマとかみ合わない気がした。うますぎて、バリの未熟さ、不器用さが消えてしまうというか。当たっていないかもしれないが、あえて一言すれば「歌うのでなく語る」ことが必要かもしれない。

ネタバレBOX

死にそうなティンカー・ベルを救うために、ピーター・パンが「もし妖精を信じているなら、どうか拍手して」と4人の子供たちに願う場面。子供たちより先に、わからずやの祖母(杜けあき、好演)が憑かれたように手をたたき、客席からも割れんばかりの拍手が起きる。実際の、「ピーター・パン」の初演のエピソードを再現したものだが、沸き起こる拍手に思わず目頭が熱くなった。いい場面だった。
金閣炎上

金閣炎上

劇団青年座

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/05/12 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/16 (火) 14:00

座席1階

青年座と縁の深い水上勉の作品だ。初演は41年前といい、なぜ今この作品を再演したかに思いをはせる。「金ぴか」をこの世から消し去ろうとした鹿苑寺の小僧。幾重にも横たわる世の中の差別構造は終戦直後から今も変わっていない。自分は今回の舞台から、水上が描こうとしたこの変えがたき世の中の暗闇を感じさせられた。

若狭湾に面する寒村の末寺に生まれた息子は重い吃音があった。父は結核患者。貧乏な寺の息子が生き残っていくためには、立派な寺の僧侶になるほかはないと両親は金閣寺に弟子入りさせるが、そこでも吃音に対する差別があり、貧困に対する差別があり、寺の住職をトップとするヒエラルヒーが厳然と横たわっていた。出世するにはトップである住職に気に入られるしかない。清貧を尊ぶ宗派なのに、寺は金ぴかで観光地としての拝観料で潤っている。
住職は金の亡者というわけでなく、小僧に人の道を説く宗教人であった。とはいえ、やはり僧侶の末端に過ぎない小僧にとっては支配者なのである。母の願いはこの歴史ある寺で栄達を果たすことだが、小僧にとってはこうした差別構造の頂点に立とうということ自体が唾棄すべき人生であった。そしてついに、彼は金ぴかの城を灰じんと帰すことを決意する。
決行の直前、彼は京都の茶屋で女郎を買う。やはり寒村出身である彼女と寝ることもなく、「近いうちに自分が新聞に載るから」と犯行をほのめかす。ここにも抜け出しがたい差別の構造がある。
小僧は金閣寺を燃やした後、山中で大量の薬をのんで刃物で自殺を図るが、追っ手に捉えられる。事件を報じる新聞は「狂人の仕業」と書いた。彼は精神的に追い詰められていたかもしれないが、狂人がやったことと簡単に片付けてしまったことが、結局複雑な差別構造をそのまま後世に残していく道筋となったのではないか。
小僧は父から受け継いだ肺病が悪化し、「狂人」のまま命を落とす。今、自分たちが安くない拝観料を払って足利義満の金満趣味を見学する。青空に映える金閣は美しい。そして、紅蓮の炎に包まれた金閣が砂上の楼閣だということをこの舞台は教えてくれる。


26/26

26/26

!ll nut up fam

萬劇場(東京都)

2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

#トゥーロック 配信が開始されたので改めて観劇。劇場では最前列配信では主にヒキの映像なため違った見えかたできて良かった 映像自体も綺麗でカメラの切り替えも編集をしているのか非常に見やすかったが、ことが起こるまでの前半部の台詞は若干聞きづらかったのは惜しい点

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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

Antikame? 『こえを見ている』

配信ではあるが、Antikame?を観るのは、『なんども手をふる』『じくりじくりと蝕まれていく』についで3回目。
ストイックで内省的、静かで台詞(あるいは台詞と台詞)の行間を考えさせるスタイルが一貫している。
そいういテイストがとても好きなカンパニーだが、(個人的には)観るときに体調というか気持ちというか、そんな心構えが必要ではある。

以下「ネタバレBOX」へ。

ネタバレBOX

最初の20分ぐらいは真っ暗なので面食らった。
しかも5分ぐらいは無音。
配信の問題なのかと疑ったほど。

その暗闇の中の「ない」「聞こえない」などの否定の語句がやけに耳に響く。
「心にないことを言うけど」。
暗闇でならば、なんとか言える「ことば」があるのか、あるいは「ことば」の背景が暗闇の中なのか。

暗闇での「こえ(ことば)」は相手に向かって発せられているものなのか。
「相手」とは誰? 他人? 自分?
「見ている」のは「他人」なのか「自分」なのか。

相手ならば「会話」であるが「自分」ならば心の内の自身との会話である。
自身との会話であれば、いつも暗闇の中を手探りで歩いているのだ。

誰しもわかっているようでも、何もわかっていない。

そうした疑問がいくつも浮かぶ中で、どうやら「こえ」の先には「ワタシ」がいるのではないかと思い始めてから、舞台は徐々に明るさを増し、「こえ」の主たちが現れてくる。

暗闇には宇宙(的)孤独がある。

暗闇は「今」自分の周りにある「世界(社会)」の姿であり、「こえ」(ことば)はその先を見る(知る・知覚する)ための道しるべである。
しかし、外に広がる宇宙だけではなく、自身の中の「宇宙(暗闇)」がある。
それに意識を向ける。

大気圏再突入が不可能なスプートニク2号は間違いなく、地球の軌道上にあった。
あるはずなのだが、どこにいるのかは判然としない。
「こえ」がないから。

舞台が明るくなったのに、こえの主たちの周囲には依然として「暗闇」がある。
こえのするほうを、すがるように「見て」も手からするりと抜け落ちてしまう感覚。
自分のこえさえ自分に届いているのかも危うい。

自分の手の先さえも、すでに暗闇の中にあるのではないのかという、存在感の不安。

ウーバーの配達員は、存在するのに「いない」とされてしまっている。
「配達」という行為があるだけで「員」という人はいないのだ。

スプートニク2号のライカ犬も「初めて宇宙に行った動物」という事実があるだけで、生き物としての存在はあらかじめ失われている。

私たちは、そんな場所にいるのだ。
暗闇の中を「あっちからこっちに流れていくだけ」の存在。
それでも「こえ」があり、「見る」ことはできるのではないか。
それが唯一の私たちの「存在」を示しているのだ。

カメラワークの選択は、MUとはまったく違う。
演目ごとに変えているのはとても良い。
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視点

座・高円寺1(東京都)

2023/03/15 (水) ~ 2023/03/21 (火)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

MU『変な穴(2023)』配信

配信を見て。
長文になったので、久しぶりに「こりっち」に書いてみました。

以下「ネタバレBOX」へ。

ネタバレBOX

2011年の初演を観ていた。
2011年には「男」「女」のそれぞれのバージョンがあった!
(完全に忘れてたけれど)
「こりっち」にそのときの感想を、ネタバレBOXを含めて長々と書いてる。
https://stage.corich.jp/watch/98548/stage_comments

さて、2023年版は2011年版とは基本的な設定は同じだが、まったく別物と言っていい。

2011年には「お金配りおじさん」という人が現実に現れるとは思ってもみなかったし、「(露悪的であれ)バズることがエンタメとして消費できる社会」があることを知らなかった。
しかし2023年にはそれらが存在していて、2011年に「薄ら寒い設定」と感じていた「お金と引き替えに」の設定も「それ、あるなあ」に変わってしまっている。

2011年に私がこの舞台に感じた「虚無(感)」すらも「お手軽に動画サイト」で「薄ら笑いで消費できるエンタメ」となってしまっている。
と言うよりは、虚無(感)は社会の至る所に「すでに(常に)存在している」状態なので、それが当たり前になっているのかもしれない。

したがって、2011年版と同じ設定なのだが、受け取る側の感覚自体がまったく違ってしまうことによって、「穴」が空いている場所や意味さえも違っているのだ。
「変な」の意味さえも異なっている。
もちろん、「今」をすくい取るような調整は、作・演のハセガワさんは、彼流の切り取り方・見せ方で上手く盛り込んでいる。
特に応募者たちの設定(造作)にそれが現れていてとても面白い。

とは言え、この作品の中では露悪的なこと自体を欲しているのはエンタメとしてではなく、やはり自分の「穴」のためであることがラストにわかってくる。

オノ(アガツマ)も応募者たちもお金配りおじさんたちも、ありもしない穴を埋めてくれるものを本当に欲している。

お金では埋められないことは、観劇者の我々には最初からわかっているし、たぶん舞台の上の彼らも(本当は)わかっているのかもしれない。
ただし、再度参加したバンドマンのように、それでも「お金でなんとかなる」と言うよりは「お金でなんとかできるのではないか」と思うこと(思いたい)という無間地獄にいるのが哀しい。

さらに、役者としてかかわっていたつもりのオノも、お金配りおじさんたちも、「神の視線」にいるのではなく、応募者たちと同じ立ち位置にいることには気づいていないのかもしれないが。

彼らの「穴」を巡る無間地獄は彼らが「輪廻転生」するまで、いつまでも続くのだろう。
オノ(アガツマ)も加わってしまったし、お金配りおじさんたちもカネが続く限り回っていく(因果応報だ、とうそぶきながら)。

バンドマンのところで気づくのだが、理容師の妻は「そこにいない」。
妻が見えていて会話しているのは、アル中の理容師だけ。
これに気づいたときは衝撃的だった。

この不在感はかなり切実で、彼の立ち位置は、他の応募者たちと大きく異なっている。

つまりそれは「妻」の存在で、彼は自分自身を、自問自答(=妻との会話)しながら俯瞰しているのだ。

したがって、ラストにおいては、彼だけこの無間地獄から抜け出すことができたのではないかと思うのだ。それが「輪廻転生」だったのかもしれない。

MUは衣装のチョイスがバツグンだ。
衿が出ている理容師の着こなしもいい。

配信は、カメラのアングル・編集や音声の良さで快適だった。
配信をする劇団(公演)は、このレベルでやってほしいものだ。

見終わってふと思ったのが、「配信の映像」こそ、お金配りおじさんやオノが欲していたものではないか、ということだ。
「露悪的なやり取りを消費」していたのは、我々の観客であり、それをニヤニヤ見ているところまでを含め、座・高円寺自体が「変な穴」だったということは、たぶんハセガワさん的には当然考えていたことではないだろうか。

私たちも、やはり「そっち側」(同じ立ち位置)にいるのだということを、ずっと見せられていたということだ。

「観劇で己の穴は埋められるか?」というのはまた別のこととしても。
透き間

透き間

サファリ・P

メニコン シアターAoi(愛知県)

2023/05/14 (日) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

見に行って良かった!関西弁の使い方が好きです どのキャラを誰が兼ね役するかのチョイスも好き 山と町が違う世界であるように全員違う人間だけども、同じ属性で響き合う部分もある 広い舞台をさらに広げて大きく動いて、声がよく響いて素敵な空間でした

糸地獄

糸地獄

劇団うつり座

上野ストアハウス(東京都)

2023/05/11 (木) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

迫力、臨場感、申し分ない。
役者の台詞が明確で強い上にシニアの役者の人生観さえも想像させる。
最近の小劇場では稀有な価値ある舞台!

原色★歌謡曲図鑑

原色★歌謡曲図鑑

株式会社ビーウィズミュージック

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2023/05/11 (木) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイムスリップが起こる時が解りやすく、当時のショー的な要素含み楽しめた。衣装もロボットもとても良かった。

劇団壱 CE A WEEK

劇団壱 CE A WEEK

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2023/05/15 (月)

「壱ce a week」は「ワンス・ア・ウイーク」と読ませるらしい。
劇団壱劇屋東京支部にて作演出を務める竹村晋太朗によるワークショップで、稽古は週に一度だけの9回の稽古を経た14名が、竹村晋太朗完全書き下ろしの短編殺陣芝居を演じるのだという。

あの壱劇屋のワークショップだからと多少期待はしていたのだが、あまりのレベルの低さに唖然とした。説明には14名(全員が女性)を劇団員と書かれているが、これで劇団とは烏滸がましい。無料カンパ制だったので金銭的な損失は劇場までの交通費だけとはいえど、はっきり言って時間の無駄だった。

素舞台の中央奥に平台が13枚積み上げられているのみ。
上演時間は本編35分。

壱劇屋の男優による説明の他は一切台詞なし。35分のほとんどが、ただただ殺陣である。なぜ戦っているのか、これらの登場人物にどういう背景があるのか、一切わからない。
なのに、その要である殺陣がまるでなっていない。一部の者にはアクションシーンでもその表情に真剣さがうかがえない。次の動作がどうだったか、それしか考えていないようにもみえる。だから、殺陣にスピードや迫力が全く感じられず、相手とのタイミングがズレているのも散見される。

殺陣といっても、刀を大振りに振り回しているだけだが、基本がなっておらず、腰が入っている者は皆無で、あれでは人を斬ったりはできない。
抜身の刀を鞘に入っていると見立てているのだが、その刀を抜く身振りでまず鯉口を切っている者もいない。日本刀はまず鯉口を切らなければ容易に抜けはしないのだ。
それに真剣は竹刀や木刀と違って重いのだ。ああも大振りを続けていてはすぐに疲れてしまうし、第一、あんなに派手に打ち合っていては、余程の名刀ででもない限り、すぐに刃毀れして斬れなくなるか、折れてしまう。映画「七人の侍」での野武士との雨中での乱闘シーンで、何本もの刀を土に突き刺しておいて取っ換え引ッ換えしているのはそういう理由からだ。

一番小さい女性は斬りかかってくる相手の刀を両前腕部で受けることを何度もやっていたが、手首から肘までは素肌で何の防具も付けていなかった。だったら刀を受け止めるどころか切断されてしまうだろう。

それから両手を振って歩く者が何人もいたが、武士というのは両手を振って歩いたりしない。なぜなら振った右腕が後ろにある時にいきなり斬りかかられたら刀を抜くのが遅れてしまう。だから武士は平時でも普段から手を振って歩かないように心がけていたのだ。竹村晋太朗は殺陣のみならずそういう基礎的なことも教えられないのか。であれば時代劇のワークショップなど止めるべきだろう。いかに参加者がズブの素人だろうと、「壱劇屋がやって(教えて)いるのだから、これでいいのだろう」などと演者(参加者)や客が思うようになったら、きちんとした時代劇の伝承にとって疎外要因でしかない。時代劇を上演するというのは、そういう責任も負っているのだ。時代絵巻 AsHなどの上演姿勢を学ぶべきだろう。

本編が終わってすぐに参加者個々人の感想や感謝の言葉が述べられ、修了(卒団)証書の授与があるのだが、これが本編とほぼ同じ時間かかるのに、本編だけ観て退出はできないようにされていた。本編だけでウンザリしていた身としては全く関心が持てず苦痛でしかない。通常の公演なら本編とアフターイベントの間には興味ない人間が退出できるように時間が設けられているのに、WS参加者の家族や友人でもないのに、そういったものに無理やり付き合わされてはかなわない。

昨年、劇団チョコレートケーキ初のワークショップは無料で半年間実施され、その参加者のみによる上演を含めた公演が読売演劇大賞の大賞と最優秀作品賞を受賞したし、仲代達矢は主宰する無名塾に一旦採用したとしても3ケ月経っても見込みのない者は辞めさせたという。それが本人にとっても演劇界にとってもいいのだという信念なのだそうだ。
WSでも見込みのない者は板の上に立たせない、そういう厳しさも必要だろう。壱劇屋のWS公演からはそういった「演劇人を育てよう」という気持ちなど微塵も感じ取れなかった。むしろズブの素人相手にきちんとした時代劇を指導できなかったという点では一層罪は重い。「型破り」というのはまず「型」を学んでそれを身につけた者がやることだ。

花巻ファミリー

花巻ファミリー

関西金髪

ブディストホール(東京都)

2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千穐楽に行きました。2回目を見ると「あ、あれはあそこで仕込んでいたのか」とか「あそこに伏線があったのね」と言うのがよく分かってさらに面白かったです。
推しさんのツイートで明かされた秘密(と言うわけでもないですが・笑)も確認して、自分の発見も友人と確認できて楽しい舞台でした。
三軒茶屋ミワさんの歌謡ショーもパワーアップ。ありがとうございました!
先日行った時は売り切れていたどら一も無事買えて良かったです。

ネタバレBOX

チラシで「シリアスで、非常に悲劇的な物語」と謳っていましたが、全然そんなことはありませんでした。あえて言えばマフィアみたいなのに連れ去られた2人は気になりますが。
前編ハラハラドキドキ、え、どうするの、どうなるの、なんでそうなるかなーと笑って見られる舞台でした。このご時世で悲劇が見たいと言う人は少ないのではないでしょうか。
楽しい舞台ですよーと言ったらもっと見てくれる人が増えたのではないかと思います。
劇団壱 CE A WEEK

劇団壱 CE A WEEK

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

35分なので退屈することはなかったが、殺陣、アクションともにもの足りず、やはり御本家は素晴らしいんだなというのを再認識することに。演者さんたちの身内でも友人でもない、ふらっと来場した一観客としては、終演後のトーク~卒業式の時間は少々居心地が悪かったです。「壱CE A WEEK」はワンス・ア・ウィークと読むのね。

劇団壱 CE A WEEK

劇団壱 CE A WEEK

壱劇屋

萬劇場(東京都)

2023/05/15 (月) ~ 2023/05/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#劇団壱ceaWEEK 全く無関係なのにワークショップ公演を観に行った。週一回の稽古を9回、10回目はぶっつけの本番と聞いていますが見終わった今全く信じられません。もっさり感を感じなかった。表情がいい。打ちかかる時などの掛け声にか細さとかもなくかっこよかった。14名のキャストの中にはほぼ素人スタートの方もいるとかいないとか。勿論殺陣で相手が切り掛かるのを明らかに待っていたり笑い声がチョットアレだったり(難しいでしょ笑うのって)ありますしどうしても普通に有料公演をして満席にできる布陣とまではいえませんがSNK方面なビジュアルで充分目を引くビジュアルだったように思いました。

ネタバレBOX

一番リーチの短い役者に得物を持たせずにオール格闘で行かせてたのは天才だと思いました(無手というのか)
逆に超がつくアンバランスな布陣が面白かった
主役の笑顔が良かった
30分程度の短編とは感じない。充実感は90分体感時間は10分という感じ
講師役?の方が狂言回しとして舞台上にいたのでキッカケなどの多くを担っていたりとはしていましたがあくまでなクロコ的存在。こういうのたまには見るべきだと思った。

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