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スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

サルメカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/20 (土) 18:00

題名から、ナチ占領下のチェコでアメリカからやってきたジャズに酔い痴れる若者たちの群像劇だろう程度の(不完全な)印象で劇場に足を運んだのだったが、久々にスゴイ舞台を観た。今年はこれで96本目の観劇となるが、現時点で今年のBEST1だ。

チケットにはEX列と記されていたので、通常の客席外に増設された席で見切れもあるかと思っていたのだが、2列目(A列とB列の間。B列から階段席)のセンターだった。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

舞台最先端に、きちんと折りたたまれた衣服が一人分ずつ横に並んでいる。開演すると客席上手側前方の扉から白いランニングシャツにブリーフだけ身につけた7人の若い男たちが入場してくる。軍隊の制服姿の男から舞台上に並べられたそれらの衣服が全てチェコスロヴァキア製のものだと説明されて着用し、チェコスロヴァキア製の小物(タバコなど)や偽造身分証などを手にする場面を観て、これはチャーチル拉致という特殊任務を受けたナチス・ドイツ落下傘部隊を描いた映画「鷲は舞いおりた」のようにチェコにスパイとして潜入するナチスの物語か、それでチェコ国内でジャズに熱狂する若者たちと交わることで変化していくという展開か、と勝手に想像したのだったが、実は彼らはチェコ人で、英国とチェコスロバキア駐英亡命政府の指令を受けて、ヒトラー・ヒムラーに次ぐナチスナンバー3で、ベーメン・メーレン保護領(ドイツに編入されたチェコ領土)の実質的な総督でもあったラインハルト・ハイドリヒ暗殺のためにチェコに潜入するパルチザンだったのだ。
「鷲は舞いおりた」とは真逆の設定だが、チェコでは類人猿作戦(エンスラポイド作戦)として有名な史実らしい。

7人の内の2人は落下傘降下(この場面の表現が上手い!)の最中にドイツ軍の機銃掃射により死亡。ストーリーは先に降下した2名(ヨゼフとヤン)を軸に展開していく。二人はチェコ国内の抵抗運動グループのハイスキーとラジスコフの助けを借りて、暗殺作戦を練り上げるが、その過程でヨゼフはローナと、ヤンはアンナという女性と知り合い、好意を抱くようになる。
やがて落下傘降下で生き残った3人も合流し、暗殺作戦は実行に移されるが、ヨゼフの短機関銃が不発で、やっとのことでその場から逃亡する…。

ここまでが第一幕(95分)。10分の休憩(この時間にジャズの生演奏あり)を置いて第2幕が60分と、合計するとかなりの長尺だが、まさに息つく暇も与えずという言葉通りの展開が続いていく。舞台上の張り詰めた空気は瞬時も緩むことなく、通常だとこれだけ緊迫した演技が続くと観ている方も疲れるものだが、この作品ではそれを全く感じることがない。

ハイドリヒは襲撃された時に負った傷から感染症を発症し8日後に死亡するのだが、ナチス・ドイツは報復としてひとつの村を虐殺で消し去り、襲撃犯が見つからなければさらに3万人のチェコ人を処刑すると声明を出す。落下傘降下班で、襲撃に加わらなかったチュルダの裏切りにより、パルチザンは次第に追いつめられ、最終的に全員が玉砕する。ヨゼフは死の瞬間にダンスホールで仲間たちがジャズを楽しんでいる幻想を見る…。

類人猿作戦について帰宅後調べたところ、一連の経過は劇中で描かれていた通りだった。その点ではドキュメンタリー劇ということになるのだろうが、昨年1月に観たtroupe▲antLion「革命前夜」(1980年代、共産党政権が崩壊するビロード革命勃発直前のプラハでの演劇人の苦悩を描いた奥村千里の作品)をも思い起こして、チェコスロヴァキアという国の激動の歴史に思いを馳せたのだった。

残念だったのがジャズに夢中になる若者たちの姿が前半のほんの1シーン(ダンスホールで興じている時にナチ親衛隊によって制圧される)だけで、それもあってラストの幻想に自由への憧れが反映されないことだ。純真なアンナ(西村優子)と妖艶さも漂わせるローナ(松田佳央理)という対比はうまく活きていたが…。
松田は3月のハツビロコウ「レプリカ」に続いて存在感を示した。男優ではハイスキー役の今里真がいい味を出していた。
舞台「呪術廻戦」【8月4日~8月5日公演中止】

舞台「呪術廻戦」【8月4日~8月5日公演中止】

舞台「呪術廻戦」製作委員会

天王洲 銀河劇場(東京都)

2022/07/15 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

映像の迫力が半端ない!しかしながら、肝心のストーリーから外れる笑いネタらしきものがストーリーの流れとキャラクターのイメージ(あくまで主観だが)を、原作から離れさせていくような気がしてならない。楽しい舞台ではあったが、アニメとのギャップが大きい気がした(一部そのまんま!というキャラがいないわけではないが)。

『HUNTER×HUNTER』THE STAGE

『HUNTER×HUNTER』THE STAGE

ネルケプランニング

天王洲 銀河劇場(東京都)

2023/05/12 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

丘山さんのヒソカ観たさに観劇。想像よりかなり完成度のヒソカ堪能!!上田くんのイルミもなかなか魅せる。もちろんゴンにキルア、クラピカ、レオリオのメインキャストも次第にそれと見えてくる。2011年放送のアニメだったが、色あせない。無茶苦茶楽しかった!アニメならかなりの長さのストーリーを短時間にまとめ、それでも話がぶち切れることもなく、登場人物の魅力も損なうことなく仕上げた辺りは流石の一言!演出もガンガン迫ってくる感じで迫力があった。満足!

風を打つ

風を打つ

トム・プロジェクト

シアターX(東京都)

2023/05/18 (木) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/19 (金)

母ちゃんの気持ちがいすごくすごく心に刺さりました。
父ちゃんもすごく素敵。
ごく普通の家族なんだけど、「水俣病」が原因で差別を受けそれに対し果敢に生きていく姿に涙しました。

金閣炎上

金閣炎上

劇団青年座

紀伊國屋ホール(東京都)

2023/05/12 (金) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/05/17 (水)

良かったです。物語は薄々知っていたものの、観劇は初めてかも。
特にコロスが良かったです。
仏たちにしか見えない!!金閣寺のシーンではキラキラと目映い舞台美術が素敵でした。
なるほど、あーいう家族環境で育つと…とも考えて見たり。

アクターズハイ

アクターズハイ

LUCKUP

劇場MOMO(東京都)

2023/05/10 (水) ~ 2023/05/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

感想遅くなりました。
暫くぶりの小劇場、小劇場ならではのパワーと熱気、たっぷり感じられました。ストーリーの造りも面白い。でも、ちょっとすっきりしない部分も。力の入った長台詞がやや"唄ってる"感があるのが、少々気になりました。


"

綿子はもつれる

綿子はもつれる

劇団た組

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

若者世代切っての才人・加藤拓也の現代艶笑譚。
三十歳から四十歳にかけての今を盛りの世代と、これからその世界へ入っていく十代後半のセックスの話を面白く見せる。
開幕の、ベッドの上で中年男女がぼそぼそと早口でなにやら話している。台詞の細部はよく聞こえないが、二人が事が終わって、帰り支度の最中と言うことは解ってくる。服装だとか、小道具とかでことの次第を説明することなく、そのことを解らせる手際はとても三十歳を過ぎたばかりの作者のわざとは思えない。家に帰った女は連れ子のあった再婚相手と暮らしているが、帰ってきてからのそのうんざり具合も、ろくに説明しないのによくわかる。以後、物語は浮気相手が帰途交通事故死したことで(その葬儀などと言うダサいことは一切・きれいに省くところがこの才人のすごいところだ)隠されていたいとはほつれていき、お決まりの艶笑譚になっては行くのだが、その表現が画期的に新しい。終始大人同士が小声で演じ、子供たちが分かりやすい現代日常語でセックスを話題にする。ろくに解らなくても客に通じるのが万人共有のセックス事情である。客席はシーンと見入っている。満席。
そこは、加藤拓也を褒めるしかない。が。
スケベは、人間性を表す面白い本能ではあるが、結局は、そこに止まってしまってしまったのは残念だった。俳優では、したい盛りの年齢をしれっと演じきった安達祐実快演。いるよなぁ、こんなの。

宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

んんんんーーーー

「なんもできない」「チキン南蛮の夜」

「なんもできない」「チキン南蛮の夜」

くによし組

OFF OFFシアター(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/21 (日) 17:00

2度目の『#チキン南蛮の夜』。64分。
 初演も観てて、今回も初日に観たが、なんで笑ってばかりだったのか、と後悔するばかりだった(;/_;)。可奈子の抱える切なさが爆発してて、笑えるけれど、笑いながら泣く、みたいな作品。不安定な可奈子を小野寺ずるが演じ、落差の大きさをしっかり演じた。結果的に初日と楽日に観たのだけれど、初日はちょっとおっかなびっくりと演じていたように思う小野寺が、楽日には神がかりとも言える域に達し、見事な作品だった。

Wの非劇

Wの非劇

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/21 (日) 15:00

ふざけた社会派の真骨頂。面白い。(3分押し)94分。
 笑いの要素が大きく入っているので観ていられるが、実は結構厳しいセクハラ・パワハラシーンが続く。ちょうど今話題になっている(事前に意図したわけではなかろうが)ジャニーズの性被害を軸に、芸能界のさまざまな「ありそうな」ハラスメント案件をふんだんに盛り込んで、ちょっと深刻になったりした後で、笑わせて終わる。笑わせられるが笑えない話だと思った。

「なんもできない」「チキン南蛮の夜」

「なんもできない」「チキン南蛮の夜」

くによし組

OFF OFFシアター(東京都)

2023/05/16 (火) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/21 (日) 13:00

2度目の『#なんもできない』。(7分遅れて入場)84分。
 とにかく生きづらさを抱えたモノに対する國吉の優しさに、ちょっと泣けてしまった。私が観た中で唯一の男優だけのくによし組だが、フライヤーに書いてあるストーリーとはちょっと違った展開で、徐々に物語の意味が分かるあたりは國吉らしい物語である。終盤の展開には泣けてきてしまうのだが、役者陣も丁寧に役割を演じて、心が締めつけられるような作品だった。

宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/23 (火) 14:00

座席1階

道学先生が中島淳彦の戯曲でないものを上演するとのことで、なぜこの戯曲を選んだのかが、開幕前の興味。文化庁演劇大賞を取ったから? いや、賞は関係ない。この本は絶対おもしろい。それを秀逸な出演者たちが支えている。先入観なしで見たほうがいいと思われる。感動的におもしろい。

食糧不足の地球を救うために地球へと航行を続けている宇宙船が舞台。あと数十日で地球へ到達するという時に地球上の母国で異変が起きる。一方の宇宙船でも想定外の緊急事態が発生。この宇宙船は地球を救うことができるのか。
宇宙船のメンバーは選りすぐりのエリートたちという設定だ。女性の方がやや多いが男女比はほぼ半々。中島作品でもそうなのだが、登場人物は普通の人のようで結構個性的だ。そうした人たちの微妙な人間関係を描くのが中島作品だから、青山勝がなぜこの戯曲を選んだかがこれを見れば分かるような気がする。
というわけで、中島作品を堪能するように、今作も楽しめる。しかも長期間の閉鎖空間のコミュニティーである。恋愛はご法度なのに、水面下で結構風紀が乱れているのはいかにもそうなんだろうなという感じがするし、潔癖性の女医さんが恋愛未経験で、キスの経験もなく死にたくないと騒ぎ出すなど、舞台は次から次へと波乱が起きて飽きることはない。極限状態に置かれたエリートたちの個性的な振る舞いがこの舞台の最大の見どころで、笑えるし少し泣けたりもする。
個人的には、やはり演劇ユニットOn7(オンナナ)を率いる青年座の尾身美詞が出色の出来だと感じた。四人きょうだいの長女役。きょうだいの中でも、宇宙船のメンバーの中でも確固たる存在感があり、思わず引き込まれる。

シンプルな演出だけに、役者たちの個性を十分に引き出している。秀作だと思う。残すは千秋楽。見ないと損するかも。

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

目の前で繰り広げられる生演奏、生歌、そしてフラメンコ!迫力ありました。みなさんエネルギッシュで好きなものを続けるって素晴らしいなと思いました。最前列に連れて行ってくれた劇友さんにも感謝です。

ソリチュードタウンの死神

ソリチュードタウンの死神

空想嬉劇団イナヅマコネコ

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/05/20 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

#ソリ神2023 作品を見てから欲しくなってパンフレットを買ってしまった。記憶の世界ではあるが初演を見ているが今回の方がより演技という面でよかった(今見たのだから当たり前か?)中でも斎藤未来さんの振れ幅の大きな役の演技(度胸?)に正直驚いたし痺れた。久しぶりに役者情報を探してみてみたいと思える公演で行けて良かった。

ネタバレBOX

平日昼とは言えこの内容であの少人数の客席は合点がいかない。日常?パートの芝居にはちょっとだるいなーという印象は受けたものの2時間を超える芝居の割にはそれほどではない内容。そもそも難しいところではあると思うし。歳をとった、成長した表現は基本メイク等ではなく芝居で表現しているがこれがしっかりしている、特に娘役の成長は外見状変わっていないのにしっかり伝わる仕組み。それができるのが舞台であるのだが作品の設定的にもこれに失敗すると致命的に興醒めなので初見の方の印象も聞いてみたいもの。台本的には複雑ながら初めから答えは提示されていて観客が気づかないだけという親切設計。地味にハッピーエンドなのも個人的にかなり好み。作演さんが色々ちょっと一本気すぎるのがちょっと心配ではあります。
物販について以前写真が全体的に加工味が強く解像度が低く感じられブロマイドは背景処理も謎仕様でしたが多少良くなったようには思うが依然加工味は強い。いっそのことチェキ撮って売れば良くね?と思うほど。

ただの愚痴
しかし、面会時間があってやっとここまで来たのねーと思った反面、何でスマートウォッチ電源入れてしたままなんかね。2列目のどセンターで光っちゃたら目立つじゃない。目立ちたいかね。袖で隠してもあなたみてるんだから光ってますやん...とかいう人やら。
2列目どセンターで(別人)ほぼ爆睡してたのに面会で作品について熱く語っちゃうような剛の者も久しぶりに見たわ。面会行ったらだれのファンなのか周りに丸わかりだから...やめたほうがいいと思うけどやめないんだろうねーそういう人は。役者さんはその場でどうもできないのも最悪
Spring Grieving

Spring Grieving

PLAY/GROUND Creation

サンモールスタジオ(東京都)

2023/05/19 (金) ~ 2023/05/31 (水)公演終了

実演鑑賞

 上演時間は、
side-A 約1時間50分、
side-B 約1時間35分。
2作品観る場合、どちらからでもよいが、関連性はあるので、
時系列的には、B→Aが自然。また、それぞれ完結しているので、
単独で観ることもできる。

 家族を真正面から扱った作品で、全体的にはやや抑えめで
静かなタッチだが、だからこそ、本音がぶつかり合うとき
その激しさが際立つ。

 作品の底流にある家族の喪失と再生というテーマが総合タイトルに
表されており、また、下手から上手に向かって伸びる桜も印象的。

『フランダースの負け犬』

『フランダースの負け犬』

劇団月光斜

立命館大学衣笠キャンパス学生会館小ホール(京都府)

2023/04/16 (日) ~ 2023/04/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

柿喰う客さんの演目らしい、シュールで無情な感じを、劇団月光斜さんが上手く魅せてくれていて、好きです。
劇団月光斜さんと柿喰う客さんの演目は相性良いかも、と思いました。
面白かった。

宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#中村中 #尾身美詞
#浅野千鶴 #月海舞由
#鈴木結里 #稲葉佳那子
#佐藤正和 #速水映人
#青木友哉 #川合耀祐
#本間剛(敬称略)
枯れ枝に産みつけられた蝉の卵は越冬し、暖かくなるとカラダを形成し始める。湿度を察知すると準備して、雨が降ると孵化して1時間以内に土の中に潜る。そこから7年ほど木の根から栄養を吸って成長し、夏に羽化して僅かな成虫期を過ごし産卵して一生を終える。我々がセミと呼んでいる姿で生きるのは100ヶ月の一生のうちの最後の2ヶ月くらい。人間の生涯を80年としたら最後の1年半の姿。想いを巡らせると胸が締め付けられる。セミは哀愁の塊。哀愁そのものだな。
遭難したり、航空トラブルや船舶……タイタニックもそう。生きながら死が迫る状況に直面するとどうなるのか。どうするのか。
人はいつでもどこでも恋するイキモノなんだな。
ざわわだな。
中村中さんは、やはり目を引く俳優さんだ。発する声や言葉と表情がちゃんと繋がってる。
大好きな尾身美詞さんと浅野千鶴さんが姉妹というキャスティングに身悶える。
加えて、文学座研究生の時から拝見している鈴木結里さんと川合耀祐さんの活躍も嬉しかった。
チュー💋したくなった。

宇宙の旅、セミが鳴いて

宇宙の旅、セミが鳴いて

劇団道学先生

新宿シアタートップス(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白さは保証付き。演劇好きなら一度は観ておきたい演目。役者の厚みが凄い。只々感心。

未来、地球は食糧難に喘ぎ、宇宙ステーションで栽培した野菜を宇宙船で運搬している。日本の民間企業が運営しているその船内が舞台。もうすぐ地球に到着する頃合い、微妙なトラブルが頻発する。
船長(佐藤正和氏)は調理師(稲葉佳那子さん)にキツく当たる。味の濃さ、メニューのマンネリ、野菜の量・・・、延々と因縁をつけては便所掃除の罰。不条理なハラスメントに船内クルーも呆れる始末。
クルーの数名にアトピーや水虫が発生。チャラい医師(速水映人氏)は「大丈夫大丈夫、気の持ちよう。」と意に介さない。納得がいかない潔癖症の女医(鈴木結里さん)。
野菜生産技術者の三人姉妹(尾身美詞〈みのり〉さん、浅野千鶴さん、月海舞由〈つきみまゆ〉さん)とその弟(川合耀祐〈ようすけ〉氏)。父親に愛されたかった心の空洞を抱えるアダルト・チルドレン、弟への過剰な干渉に繋がるようだ。弟は野菜以外にも隠れて花を育てている。
ナルシシストの操縦士(青木友哉氏)は美形の会計・庶務職員(中村中さん)をひたすら口説き続けている。
エンジニア(本間剛〈つよし〉氏)は神父の資格を持っており、個人的にミサを行ない、心の平安を説こうと努める。

日本人版『インターステラー』の趣き。萩尾望都なのか竹宮惠子なのか少女漫画家目線からの本格SFのよう。何故、蝉はあんなに激しく鳴くのか?木の枝に産み付けられた卵は1年掛けて脱皮し幼虫となり地中に潜る。5年程地中に籠もり、木の根の汁を吸ってじっと生き延びる。夏のある日、樹に上りゆっくりと羽化する。成虫、蝉として数週間飛び回り繁殖行動を遂行。激しく鳴いて死んでいく。本能の赴くままに、DNAのプログラミング通りに。

凄くふざけたコメディで有りつつ、人間という種の本質を語らんともする。どうにも上手く言語化出来ない、否が応にも死を突き付けられないと直視出来ない“生”がある。もしかしたら皆早く死にたかったのかも知れない。

佐藤正和氏は『父と暮せば』の印象が強かったが今回もまた素晴らしい。妙に赤ら顔なのは演出なのか?
稲葉佳那子さんは中村玉緒の若い頃と高橋尚子を足したような和風美人。今作のキャラでは藤田紀子っぽさも思わせる。全く内面が読み取れない。
月海舞由さんは『カムカムバイバイ』のイメージが強烈だった。ラストに泣かせる。

衣装(担当は石川俊一氏)の制服が秀逸。水兵の襟にネクタイの付いたジャージ。黒のスキニーパンツで女性陣の美脚を強調。脚で選んだのか?と思う程皆細かった。スニーカーは韓国のfashionのハイカット、白黒ツートーン。

ネタバレBOX

黒澤明のデビュー作、『姿三四郎』。柔道家・矢野正五郎の弟子になり、最強の名を売る為に町で喧嘩を重ねる姿三四郎。その高慢さに我慢がならなくなった師匠は破門を言い渡す。師匠の名を高める為にしたことなのに、ショックを受けた三四郎は庭の池に飛び込んで意地でも出て行かない。満月が輝く真夜中の池に浸かりガタガタ震える三四郎。ゆっくりと長い夜が明けていく。それと共に泥の池から蓮の花が咲く様を目の当たりに。その余りにも筆舌に尽くし難い美しさに涙する三四郎。強さには美しさが求められ、己にはそれが欠けていたこと。この理屈ではない、本能的にインプットされている美しさとは一体何なんだ?

『インターステラー』は滅びんとする人類をどうにか救おうとする話。その根幹にあるのは人が人に想う愛情。その気持ちは時空を超えて目に見えぬ力となって働き、必ず相手に伝わっていく。理屈を超えた、それこそが人類の最大の力だと語る映画。

稲葉佳那子さんが船長の歪んだ愛情表現に気付き、それを受け止める為に航路の軌道を変え、通信機を破壊。地球に帰還したら、この愛が終わってしまうから。全くの狂気。
船長は故意か過失か、燃料を全て宇宙に捨ててしまう。愛を成立させる為の心中なのか?

この辺の描写が自然ではなく、違和感を感じる観客も多いことだろう。テロ的に道連れにされる他のクルーが怒り狂わないのもおかしい。皆、すんなりと死を受け入れる。まるで初めから死にたかったように。
いろいろと文句はあるが、それでも魅力的な作品。一人だけ死にたくなくて泣き叫ぶ奴が欲しかった。
ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.27

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2023/05/21 (日) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

格好良かったです。

Wの非劇

Wの非劇

劇団チャリT企画

駅前劇場(東京都)

2023/05/17 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

配信も含めれば観る頻度が上がったチャリT企画。同じ「ふざけた社会派」でも、自分にフィットするかは毎回違っている気がする。中々捕えどころがない劇団、と感じる理由は、「社会派」「ふざけた」という真反対の要素の分量比で雰囲気が変わるからか・・。軽妙さと皮肉とは比例せず、軸がどちらかで空気が(場合によっては物語も?)変わる道理であるので、どちらかと言えば前者を大事にすると見えるチャリTの「皮肉」の効き具合は作品によって起伏がある訳である。・・と色々とそれらしい事を考えてみてもこの書き手の感覚はよく掴めないのである。
いずれにしても今作は両者(軽妙と皮肉のことね)がうまく出会い、問題への踏み込みがコメディ度を高め、賑やかかつ目まぐるしい展開が本質を逸らさず逆に穿つといった具合で。要は出来が良かった。
俳優陣が存分に役を演じ切れていた事もテキストの良さを証明していそうである。題材のタイムリーさ(ビッグウェンズデーに乗ったかのような)もそうだが、演技とシチュエーションの<美味しさ>は密度が濃かった。
もっとも序盤に必ず訪れる「リアル」との葛藤は健在?だが。(今回ので言えば深刻なレイプ疑惑の告白を聴く友人の態度、また話す側の態度、二つを足した時の奇妙なリアリティの無さ・・だがここでの課題は「出来事の提示」。自分も段々とそういう見方が出来るようになってきた。)

ネタバレBOX

プロデューサー・ジョニーが集めた新人の下の名前「太郎」「レオ(玲央?)」に着目し、ウルトラマンブラザーズ結成を企画。他にも居ないかと探させ、見つけたのが「ゾフィー」(笑う所)30歳。三人が「合宿所」に呼ばれるその前、「噂」を心配するノッポの青年、小柄なクール顔、そして熱いキャラの30男の会話が面白い。小柄男はそういうのは慣れている、商売でやってた事もある、と告白。「引いた?」「でもいざとなったら俺が盾になってやるから」と心強い。熱い30男はあくまでやる気満々の風。で、いざ合宿所へ。夜。ジョニーがやって来る。ノッポの布団に入って来るが、小柄男はなんと熟睡。万事休す、とそこへ熱い30男はこの時のために潜入した旨を明かし、ウルトラゾフィーに変身(このあたりでトーンが変わる)。悪者は退治され若いジュニアは事なきを得る。カーット!の声で映画はクランクアップ。

この芝居でシリアスを担うのは「被害者」(実は酒飲んで記憶が飛び、自分が新進映画監督の腕を引っ張ってラブホに入り勝手に服を脱いで朝を迎えただけの女性のタレントの卵)のあつかいを巡って周囲が右往左往している中、「知られざる過去」に焦点が当たる、その部分。
冒頭からの本筋からは脇へ逸れるが、無理なくこのエピソードに入り、過去あったいじめ自殺、その真相は・・と謎へ分け入る。ここで「性被害」(女性の)に触れられる。胸が苦しくなる。

さて現実の日本では、ジュリー藤島の会見映像を境に潮目が変わり、被害者を「被害者」として遇する報道が支配的となった。利害で繋がった領域には報道も筋を曲げる。(その直前までとは打って変わったのはネット世論も同様。)
その一方で、安倍晋三隆盛の時代に起訴を取り下げられたジャーナリスト山口某(安倍礼賛本を書いた)が強姦した相手による告発には、セカンドレイプが起きた。安倍王国に傷をつける邪魔者だったからだろう。そうした構図は今も変わらない。
ジャニーズの件では、その事まで問題を遡求し、問題を「見える化」してほしいと真面目に思う。統一協会とのズブズブも国民は許したようである。

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