九州戦風カミカゼバイト
劇団ジグザグバイト
王子小劇場(東京都)
2024/09/20 (金) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
感想遅くなりました。土曜日夜の部拝見しました。九州からの団体さんで初めて拝見しましたが、とにかくパワフルで元気で、楽しいお芝居でした。一人何役もこなして、ほんと大変そうでしたけど、役者の皆さん楽しそうに演じてましたよね。伝わりました。
内容と言えば懐かしい戦隊もののそれ、九州のネタを入れながらこれはこれでわかるところわからないところ取り混ぜて面白かったです。変身シーンもよかったですね。また機会があれば東京で公演お待ちしています。また違う作品を拝見したいと思いました。
別役実・原作 「カンガルー」を経て
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
不条理劇とは…始めと終わりにその説明のようなものがあり、例えば 現実における「大東亜戦争」「学生運動」、TV番組の「ゲバゲバ90分」「8時だョ!全員集合」という言葉を並べる。その行為そのものは虚しいものであり、TVに至っては娯楽番組を示しているようだ。
公演は 初演当時の台本で上演とあるが、当初を知らないため その違いは分からない。しかし描かれている内容は、まさしく不条理劇ー別役の世界ーだ。
(2時間25分 休憩なし 転換後 演奏会約30分)
カンキの歌
演劇企画アクタージュ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/09/19 (木) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アクタージュを初覗き。こういう舞台を観た記憶があったか・・と言えば無い訳ではないのだろうが、言ってしまえばエゴチックな(ゆえに散漫に見える)舞台の観劇気分(はっきり言えばもう何も起きないと諦め気分)からの終盤の巻き返しの振り幅はちょっと記憶にない体験。
最終的に19名を数える人物たちは押し並べてフザケており、その表層的な側面を絶えず見せられ、一定の理解に着地しない断ち切られる台詞。客席を意識したいい気なおフザケやアピールが混じる・・。この自分的にアウトな空気に(体調とばかりでなく)睡魔が前半襲って来ていたが(ディテイルのリアルを問題視しない感性には平気の平左かもだが)舞台が可視的に動き始めるポイントが中盤にあり、少しずつ目に耳に入って来た。そして散らかり尽した伏線を片付け終えて終了。この回収時点で初めて伏線での意味も分かり、フザケていた(ように見えた)芝居上の理由も分かるという案配。
中盤までのリアルに見えないやり取りを含むこういう脚本を、何に注意しながらどう書くのか、と興味はもたげる。
舞台上で役者が喋り、人間感情を表現し、それ以上にキャラ・アピールしたりするチャンスを準備することを使命として書いているのだろうか・・。断ち切られる台詞は喰い気味の反応で連鎖、入れ替わり立ち替わりの人物の忙しない出ハケは短距離走かつ持久走だが、大団円は訪れる。観客は笑顔になる。変な気分である。
俳優の立ち姿、顔はよーく見える。デフォルメ演技を厭わず繰り出す度量の方を評価すべきか?という思いは、自分の中では背徳的なのだが、終演後に俳優らの半数以上がズラッと並んでのトークでは、役とほぼ変わらない風情の者、真逆の風情の者、初舞台の(とは思えなかった)者、実は音楽畑の者など居て、興味深し。
かげきなデイリープレイス
演劇集団イヌッコロ
ザ・ポケット(東京都)
2024/09/18 (水) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初めから面白くどんどん引き込まれていきました。
初見の劇団ですが残念ながら活動休止とのこと。
来年今回の舞台の続きをやるそうなので楽しみにしています。
別役実・原作 「カンガルー」を経て
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話
イキウメ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/08/09 (金) ~ 2024/09/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
おもしろかった。かつての「散歩する侵略者」のようなSF的異世界とは違う、日本の怪談的不思議世界をたっぷり味わえた。現世の話と思っていると、いつのまにか怪談の向こうの世界に入り込んでいく話の運びは絶品である。
イキウメおなじみの浜田信也(小説家)の異世界的存在感と、安井順平(警官)の現世的存在感の対比を軸に、短期で荒っぽい盛隆二(景観の同僚)と、会談の中のヒロイン役(「破られた約束」の新妻、「お貞の話」の恋人・生まれ変わり、「宿世の恋」のお露)を一手に引き受けた平井珠生がよかった。できればモダンスイマーズの生越千晴にもヒロイン役を割り当ててほしかったが。
ワタシタチはモノガタリ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2024/09/08 (日) ~ 2024/09/30 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
よかったと思う。基本は横山拓らしいアットホームな会話劇である。多くの場面が1対1の会話でできている。それが主人公の小説がネットでバズり映画化へ!? というサクセスストーリーの上に乗っけられ、面白い「物語」になる。さらに現実のさえない男女が、日記=小説の中の美男美女に置き換えられ、最後には互いにツッコミを入れ合いながら現実と夢がないまぜになって議論をする。
江口のり子のずーッと低体温調子の変わらないボケ的人物。自分がモデルとなった小説が広まって、慌てふためき、少しときめく松尾諭のコミカルぶり。松岡茉優のみごとな美人コメディアンヌぶり。横山作品の常連の橋爪未萠里も、いくつかの訳を楽しそうに演じて、いいわき役だったし、富山えり子の丸い存在が松尾の妻や、ウンピョウのプロデューサーなど、「山の神」的安定感と包み込む雰囲気をよく出していた。
ハートを少したおしたようなL字型の額縁を模した舞台装置、演技スペースを限定するめりはりある照明、俳優の立ち位置の変化などで、広い舞台に空白をつくらない演出がうまかった。
石を洗う
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2024/09/07 (土) ~ 2024/09/19 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ト書きもセリフとして口に出すのが特徴的。いくつかの話がちりばめられたオムニバス的群像劇。白いビニールがっぱを着た黒子たちが、エキストラ的無名の存在として場面をサポートし、それを脱ぐと、その場の登場人物に早変わりする。突然異界が口を開けるような、非現実的出来事が、当たり前のように起きるところが見どころ。突然訪ねてきた若い女が、死んだ妻の生まれ変わりだったとか、時々見かける犬が突然口をきき、あちこちにある丸い石の大事な意味を語るなど。「祈り」がキーワードになるが、見終わってなんとはなしに浄化された気がした。
旅芸人の記録【9/8(日)13時・9/9(月)14時・9/11(水)・12(木)公演中止】
ヒトハダ
ザ・スズナリ(東京都)
2024/09/05 (木) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
本当にこんな大衆演劇の一家が目の前にいるかのよう。各俳優の演技が素晴らしく、細かいところの演出も良い。ストリンドベリの引用が深みを与える。登場人物設定に見事に嵌まっているように見えるが、あれが本当の怪我とは、絶句。よく上演を続けてくれたものだ。
失敗の研究―ノモンハン1939
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
何のてらいもなく、真面目に愚直にノモンハン事件の愚かさを、関係者の証言であぶり出していく。辻正信の怪物ぶりがなかなか印象的だ。そういう誇大妄想的好戦家を陸軍が愛したというところに、当時の日本のゆがみが最も表れている。
終演後、青年劇場のFさんが「ど直球ですいません」というので、私は「初心を思い起こさせられました」と答えた。
ベラスケスとルーベンス
やみ・あがりシアター
Paperback Studio(東京都)
2024/09/21 (土) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
凄く面白い。
素舞台で二人の女優が会話するだけ。それなのにここまでの作品になるとは。考え尽くされた脚本と魅力溢れる役者さえいれば他にはもう何もいらないのだろう。
この脚本にも感心するが、これを現実世界に受肉してみせた二人こそ讃えられるべきだろう。どんなに良い曲を作っても誰かが歌ってくれないことには存在し得ない。
開演前に主催の笠浦静花さんが劇中で台本を朗読してくれる者を募集する。総勢13人。一台詞ごとに100円を貼り付けた紙を渡す。皆、腕に覚えのある人々が集まったのか参加者がスムーズに決まり見事本編に納まった。開幕と閉幕に観客全員で朗読する箇所もあり、ただぼんやりと眺めている訳にはいかせないような仕掛け。参加させる演劇。いろいろと仕掛けていくアイディア。
1628年9月、スペインの首都マドリード。スペイン・ハプスブルク家の支配からネーデルラント(現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルク)が独立戦争を仕掛けた八十年戦争の休戦期。イングランド(イギリス)はネーデルラントを支援する大元。七ヵ国語を操る画家ピーテル・パウル・ルーベンス(木下祐子さん)は外交官としても重宝され、スペインとイングランドにおいて戦争の終結の為に働いていた。スペイン国王フェリペ4世から寵愛を受けた若き宮廷画家ディエゴ・ベラスケス(加藤睦望さん)。自作の「フェリペ4世の騎馬肖像」が離宮から外されルーベンスのものが飾られた事にショックを受ける。
木下祐子さんは何でも出来るいい女。森ようこさんみたいな量り切れない容量を感じた。
加藤睦望さんはオリジナル。もう誰も代わりが出来ない。
色々と考えさせられた。
リア王の悲劇
KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2024/09/16 (月) ~ 2024/10/03 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
芝居づくりは大体前半が難しい。本作も同様で、大仰なセリフがなかなか胸に響いてこない。リア王(木場勝己)の人を見る目のなさが、あまりにも愚かで類型的で、感情移入できないのが大きな理由だ。荒野の嵐の場では、天井からふる本水を使って、見せ場を作るが、感情移入できないのでセリフが空疎に響くのが難点。エドガー(きちがいトム)との小屋での出会いのところなど、長すぎるのではないか。
河合祥一郎の新訳は、原文の韻文の味を日本語に移そうとしている。七五調を土台にしたせりふは格調ある。エドガー(土居ケイト)が女性(姉)になること、道化(原田真絢=コーディリアと二役)が教訓話を歌うことが新しい。
と、ここで配役を書いていて、道化とコーディリアを同じ女優が演じていたことに初めて気づいた。これは前例があるのだろうか。この戯曲、コーディリアが王に寄り添う大事な役なのに、あまりにも出番が少ないことに難を感じていた。たしかに、ちょうど出番が道化と交代する構成になっている(グロスターが目をえぐられた後は、道化はいなくなってしまう)(沙翁時代も二役やったのかもしれない)。
そしてコーディリアも道化も王に「耳に痛い」真実を語る役だ。案外、コーディリアはフランスに嫁いだふりをして道化に身をやつしていたという解釈もあり得るかもしれない。
だが、後半になるとがぜん面白くなる。グロスター伯爵(伊原剛志)が両目をえぐりとられる場面から後は、舞台上の悲劇と嘆きが身につまされ、引き込まれる。(ここで、若い家臣が命懸けで制止に入るのも真実味がある)。リア王が前半の怒りと狂気を脱し、狂気も正気も超越したかのような悟りに達した感じが、木場勝己のひょうひょうとした味によくあっていた。3時間10分(休憩20分)
『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』
Bunkamura
世田谷パブリックシアター(東京都)
2024/09/10 (火) ~ 2024/09/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/21 (土) 18:00
キャリル・チャーチルの後期の短編2話を上演。不思議な面白さ。23分(20分休み)66分。
『What If If Only-もしも もしせめて』は小品。男(大東駿介)が亡き恋人の不在を嘆くと、突如謎の人物(浅野和之)が現われ、…、の物語。男(大東)は困惑するが、その困惑を更に進めるかのように別の謎の人物(浅野・2役)と少年が現われる。起こりえないだろう数多くの未来の一つが現在になる、ということなのだろうか。
『A Number-数』は短編。息子のクローンを多数作られた父(堤真一)がその何人か(瀬戸康史・何役か)と出会うが…、の物語。同じ遺伝子でも違った人間に育つ、ということをベースにした展開。
どちらも舞台美術やプロジェクション・マッピングを使った効果が見事だが、『数』でのマッピングの効果が特に凄い。
『ミネムラさん』
劇壇ガルバ
新宿シアタートップス(東京都)
2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~
東宝
大阪新歌舞伎座(大阪府)
2024/05/17 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
ラスト・オーダー!
劇団イーゼルノップ
G/Pit(愛知県)
2024/09/21 (土) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
別役実・原作 「カンガルー」を経て
有機事務所 / 劇団有機座
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2024/09/20 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
トリロジー「不思議」
アートプロジェクト集団「鞦韆舘」
扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)
2024/09/21 (土) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/21 (土)
短時間にギュッと詰め込まれた作品です
どの作品も特色があり リズム良く楽しめました
九州戦風カミカゼバイト
劇団ジグザグバイト
王子小劇場(東京都)
2024/09/20 (金) ~ 2024/09/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観てきました。
土曜日ソワレ、玉置さんのアフタートーク回なり。
それもあってか、目の前の生の会話からいろいろ紡げて聞けて、よっしゃよくようわかったな、と膝打つことがいっぱいありました。それが演劇と言うもんダス。世間の人たちはよくわからんだろうけどなけどな…汗。
よくよく聞けばいまの若い人たちにはよう分からんかもだけど、まぁそれはともかくそんなんいやいや、歴史の教科書のなかに出てきそうな大昔、神武より昔のいまから2〜30年前とは違い、いまは配信で東京の演劇もふつうに全国、ファミレスとかどこでもリアタイでみんな観られる時代、ひょっとしたら福岡からすると東京よりマイアミのほうが近いかもしれない。とか思う今日このごろ。…そうだな、10年前と比べると情報格差はうんと小さい。地方の演劇人は、大きな声じゃ言えね!!が、東京で情報収集をサボったオッサンたち(自分含む汗)より情報の鮮度はもっと高いっ。それもあってか、東京以外の劇団も東京に来るにもそこまで不安はないのかもなのな。そうすると、東京での本番勝負は技巧ではないッ。熱量勝負の感情演技に力が入る。それも時代か。東京で野田秀樹(実は出身高校の遠い先輩であったりするから高校演劇の伝説を父兄からよく聞いたりもした)の時代から小劇場を知っていると言うような…斜め斜めな上から上からの目線での批評をしようとしたい気持ちを抑えきれない諸先輩がたの昔の演劇心を思い出させる燃える瞳に魂が宿る(前置き長くてすみません)。聞けば一年前から決められたキャスト、みんな熱くて誰も落とせないからお金はないが、クラファンの力で全員連れてくるのに成功。一年溜めた熱量だから、目にも役にも力が入る。
続くすまん…
ベラスケスとルーベンス
やみ・あがりシアター
Paperback Studio(東京都)
2024/09/21 (土) ~ 2024/09/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/21 (土) 15:00
実験公演と言う名の2人芝居。笠浦・頭オカシイ(誉めています)説が発生するくらいの出来。65分。
17世紀の若きスペイン宮廷画家ベラスケスが大物ルーベンスと過ごした1年弱の出来事を再現…、したかのような展開。いくつもの美術作品を解説(?)したセリフを観客に割り振って読ませるというアイデアは秀逸。木下祐子・加藤睦望の役者陣も作者の意図を良く理解してシッカリ演技し、「遊び」も充分ある芝居。