最新の観てきた!クチコミ一覧

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オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

劇団四季

大阪四季劇場(大阪府)

2022/03/06 (日) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/04 (金)

8月に千秋楽になるということで、4回目の観劇。
いつもながら五感がしびれました。カーテンコールで小さな女の子が精一杯の拍手を送る姿が印象的でした。

ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪

ゴメラの逆襲・大阪万博危機一髪

笑の内閣

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/08/03 (木) 19:15

大阪万博、メディア、怪獣(ゴメラ)が様々につながる。大阪の弱さ強さ、関西メディアのいい加減さ、活動休止している髭だるマン(ウルトラマンを重ね)へのオマージュの思いが伝わる。
テーマをどれかひとつにウェートを重くしたほうが良かった気がする。笑の内閣はいつも楽しく観劇しています。

ネタバレBOX

怪獣ゴメラの活躍をもっと期待していましたが、早々と消えてしまったのは残念です。もっと大阪万博と闘かつて欲しかった。万博の意義等が明確になる気がした。


我ら宇宙の塵

我ら宇宙の塵

EPOCH MAN〈エポックマン〉

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/02 (水) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/03 (木) 19:00

座席1階

「パペットを使い、映像と融合する極上の演劇体験」とチラシにある言葉はその通り。テーマが宇宙だけに、映像表現が極めて有効で、しかも小劇場の舞台にフィットしている。あたかも、プラネタリウムの中で演劇を見ているような、すてきな体験ができる。

物語の主人公は少年の姿をしたパペットだ。今作の作・演出・美術を手がけた「EPOCH MAN」]主宰の小沢道成が主にパペットを操る。お母さん役は池谷のぶえ。ある日この少年が行方不明になってしまうというところから物語は始まる。宇宙や星などが大好きなお父さんが事故で亡くなり、宇宙などについての会話を重ねてきた少年が父親を探して出て行ってしまった、という筋書きだ。お母さんは必死になって、息子を探す。

舞台の床から出てくる役者たちの最初の登場シーンがまるで、宇宙船に乗り込んでくるような感じがする。お母さんはそれほど宇宙に興味はないのだが、父と息子が重ねてきた宇宙についての会話を、息子を探しながら追体験していくような筋立てはとてもユニーク。舞台の三方向の壁に満天の星を映写したり、星座を描き出してみたり。個性的な劇作家小沢が映像の専門家と共に、客席を宇宙空間にいざなう。

「ひとは死んだら星になるの?」。そんな子どもの素朴な疑問文に、舞台は真正面から切り込んでいく。登場人物に斎場で働く男性を入れたのは秀逸だ。人間の死の現実と、本当に宇宙の星になるのかというファンタジーがうまい具合に交錯する。

演技力ぴか一の池谷のぶえや、そのほか小沢を含む4人の俳優たちの切れ味のよい舞台づくりで客席の目をくぎ付けにする。カーテンコールはなかったが、カーテンコールを望むような盛大な拍手が、客席の満足度を表している。

友達

友達

劇団第一主義

布施PEベース(大阪府)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

不条理劇だけど、あり得るかもしれない不条理
話して少し譲って、すべてを取られてしまう。
怖さを感じた。
黒い喜劇

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

かなり以前に映像を使った妙なノリの芝居を観て以来の二度目。ご無沙汰の間に変化はあっておかしくないが、こういう戯曲を書く書き手とは思わなかった。現代風俗をがっつり織り込み、オーバー30の若者らを登場人物に紡ぐ。年寄りは若干置き去り感?だが「タクシードライバー」が古典と言える現代である。世俗と聖域の相剋は(ちょうど今読んでいる小説)「パンとサーカス」にも同じテーマを担う人物が居る。鬱屈した都市生活の中で、ある開眼に導かれ、「人のために生きる」を実践する中心人物と彼を取り巻く若者らの群像劇だが、特殊で、かつ凡庸な彼らの足跡が、凡庸故に輝く。
こいつ凄え、と思える人がクラスや、身近に居ても、いずれ彼らは世の片隅に場所を見つけて慎ましく生きて行く。形は平凡でも、彼を知る者は彼が放った光を覚えている。そんな輝かしく特殊で、しかも早晩埋もれて行く世の多くの平凡な物語の一つ。

桃太郎の大冒険

桃太郎の大冒険

劇団龍門

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです
ある場所に集められた面々、その目的等、謎めいたストーリーに、どんどん惹き込まれました。
意外な設定が見事で、笑いあり涙あり、考えさせられる事も多々ありました。
役者さん達の演技、動き、表情、すごく良かったし泣けてきました。
大満足の舞台でした!

オイ!

オイ!

小松台東

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/03 (木) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#竹原千恵 #吉田久美
#尾方宣久 #小椋毅
#松本哲也 #小園茉奈
#今村裕次郎 #瓜生和成
(敬称略)初日
生きる
生きた
生きて
生きるので
生きれば
生きよう
生きるから
生きなさい
生きよう
生きると
生きてこそ
生きなきゃ
生きていれば
生きろ

人生は静かな激動の連続
或いは大騒ぎの微風

愛しき我が人生

コココーラ

コココーラ

コココーララボ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/07/21 (金) ~ 2023/07/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/07/29 (土) 12:00

初見のユニット(ってゆーか、ユニットなのだろうか)。ベテランの味。
 初老の男女が公演で話をしているが、男の妻の話題が軸。面白い、と言うか、ベテランならではの味はある。

禁猟区

禁猟区

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2022/12/22 (木) ~ 2022/12/30 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

柿喰う客の舞台を初めて生で観劇ましたが、熱量と勢いに圧倒されました。
見えない"何か"に怯えながら立ち向かうスリリングで疾走感のある脚本で面白かったです

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)

劇団チョコレートケーキ

シアタートラム(東京都)

2023/06/29 (木) ~ 2023/07/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語を作る人々の情熱、葛藤、エゴ、矜持、不安、真摯さが詰め込まれた、非常に良い舞台でした。

ネタバレBOX

心血を注いで完成させたエピソードが、対立していたテレビ関係者にも響いていたので、報われて本当に良かった。
また、元になったウ●トラマンのエピソードも、現実世界で子供たちやファンの間で印象に残り語り継がれていることを考えると、
特撮という子供向け作品で差別というテーマを扱った意味はあったと思う。
イーハトーボの風のうた

イーハトーボの風のうた

ミルキーウェイ

ティアラこうとう 小ホール(東京都)

2023/08/01 (火) ~ 2023/08/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前知識ゼロの初の劇団。素朴でバランスの良いチラシ、芯がありそうな(微かな)気配、宮沢賢治・・ティアラこうとうなる施設も住吉駅も初めてで少なからず期待を高めて何とか開演前に辿り着いた。野外スポーツ施設や道路向かいの蟹江恩寵公園などの木々のエリアから、銀白の建造物が現われた時はホッとした。
小ホールには建物に向かって左側を下りて行く、ガラス戸を中に入ると正面に大会議室とあり、人がちらほらと吸い込まれていたが、そこではなく、左奥に受付が見えた。小ぢんまりしたホールだ。ステージが、狭い! それを60度位に円弧で囲む形の客席も、数十席といった所。新しい建築と思っていたがステージの板はこすれて古味を醸している。奥にグランドピアノ、その前には2メートルもない演技エリア、左右ともにはけ口がある。ピアノの脇にボンゴ等のちょっとした楽器と、イラストの付いたサイコロ型の箱(踏み台になりそうな)が2個だけ置かれたある。チラシを見ると、わずか9名の役者で、中には中々の高齢らしい顔も。
色々と予想を裏切られる中、物腰柔らかな男性が90分の上演時間を告げ、5分押しで開幕した。
懐かしい感覚が呼び起される。小学校時代に観たかも知れない、簡素な舞台、客席に語りかける表情豊かな役者顔、ピアノの伴奏・・。舞台の出自として演劇とは別の、「音楽劇」の発展の系譜がありそうだと少し前に確か書いたが、結論的には「どこでやってた人たちだろう」という興味をかきたてられる、中々まとまった完成度の高いステージだった。

最前列に座ったせいもあるが、ステージとの距離も近い。照明も明るくしており、そのため冒頭合唱に並んだ5人の年代(凡そではあるが)が視覚情報として飛び込んでくる。(この年齢の印象も終演後には些か変っていたが。)
だが、次第に芝居の世界が立ち上がり、耳に心地よい歌、音楽、簡潔でリズミカルな展開、やがて幻想の世界に入り込み、最終段では宮沢賢治の文字化された世界観が台詞で語られもした。
子どもを主たる対象に作られた演目のようであったが、最後にようやく顔を出す人間世界の矛盾のようなもの、風(自然)と人間との対立と共存といったテーマは、具体的なイシューに言及する必要はないにしても、現実のネガティブな事象にもう一歩踏み込んでも良かったのではないか・・と感じた。負の要素を乗り越えてこそ大団円は訪れる。

中盤から前のめりに見始めたが、チラシ、パンフと出演者を照合し、最後には全て把握できた(写真と現物の印象が違うので時間がかかる)。まず演出の男性(最高齢?)が冒頭から登場して「先生」そして「達二」(子ども)を演じる主人公。その後ろに黒衣裳でピアノを叩く演奏者は作曲者本人。その彼女が後半登場して演じたキャラが秀逸。透明な歌声が印象的な女性が、よく見れば脚本担当であった(グループ主宰とも最後に紹介)。演出の齢に近いと思しい女性は、低音の歌声に説得力がある、声を張らないちょっとした三部合唱が何気に聞かせる。多様な場面にそれぞれ合ったキャッチーな曲。終盤近い長尺のそれは間口10メートル奥行5メートルも無い小さな舞台の向こうに、広い世界を垣間見せた。
宮沢賢治作品を取り上げた作品を作り続けているという。
「欲を言えば・・」の話は先述したが、革新と発展が演劇(芸術?)が持つ本性だとすれば、この集団にとってどのあたりにその契機があるだろうか、と考えた。生み出された彫刻のような作品を磨き、深みのある艶を出して行く・・クラフトワークがそぐわしい世界もあるのかも知れない。が、、「演劇であってほしい」と願う私はこうした世界との折り合いをつける言葉を見つけられておらぬ。

バナナの花は食べられる

バナナの花は食べられる

範宙遊泳

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#埜本幸良 #福原冠
#井神沙恵 #入手杏奈
#植田崇幸 #細谷貴宏
(敬称略)
岸田國士戯曲賞受賞作がcovid-19を経て帰ってきた。ただ再演しているのではなく、世界が病んでいた時間をしっかりと作品が飲み込んで、ある意味で栄養にしたのだと思う。
語られる物語の以前に起きていたであろう退廃した生活やバイオレンスが何だったのかは観客の想像力に委ねられている。
人が存在すること生きることの意義や本質は何なのか。関わることと関われないこと、関わることのできる人間と関わることのない人間、そうした人間たちの狭間で生きている。騙し騙され、虚構を纏いながら関わり生きている自分と彼と彼女の実像とは何なのか。そもそも実像などというものはあるのか。ファンタジーを噛み締める。
作品の中の人物と俳優の相互のキャラクターが化学反応を起こし、畝るように絡み合う。
佇まいも台詞も美しかった。
大好きな井神沙恵さんが踊るように、時には泳ぐように滑らかに絡み近づき突き放し、美しく生きてみせた。目が離せなかった。彼女の叫びが我が心臓を貫いて血を吹き出させている。
入手杏奈さんの柔らかな存在感は愛しさを増していた。その愛らしさが悲しみを増幅させる。
男性陣の伸びやかさとウィットが今作品の肝であるけれど、ファンタジーでくるんだ人間愛がズドンと揺るぎなく貫かれているように思える。
豊かであっという間の200分だった。

愛について語るときは静かにしてくれ

愛について語るときは静かにしてくれ

コンプソンズ

OFF OFFシアター(東京都)

2023/08/02 (水) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/08/02 (水) 19:00

120分。休憩なし。

これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

熱のこもった演技に臨場感がありました。

ネタバレBOX

深く戦争について多くのこと考えました。兵士の目線で、兵士の言葉で戦争をとらえているところが衝撃でした。アフガニスタンで起こったことについて強い関心を、持たずにはいられません。
イーハトーボの風のうた

イーハトーボの風のうた

ミルキーウェイ

ティアラこうとう 小ホール(東京都)

2023/08/01 (火) ~ 2023/08/03 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

宮澤賢治の「風野又三郎」は読んだことがなかったが、この音楽劇では人間と自然界、特に<風>との交流を描いているよう。<風>と人間の交流…ありえないようなコトを抒情豊かに描いており、その意味では空想劇といったところ。人間の先生(達二)と又三郎という色々な風との出会いと別れ、その気ままな<風任せ>な光景を楽しく愉快に観せる。

当日パンフで脚本・吉野則子女史が「風野又三郎」は<風の精>として こどもの前に現れる。そして風のいたずらや自然の驚異…とある。いくつもの小話・寓話を繋ぎ自然界と人間の関わりを興味深く語る。勿論、音楽劇と謳っているから生演奏や独唱・斉唱などで聴かせる。
公演の魅力は、衣裳や被り物で親しみのある観せ方をしており、幅広い世代に好まれるであろう劇作。特に風の恰好は白地で浮遊感ある衣裳で上手く雰囲気を出している。一方、淡々とした印象で 盛り上がりに欠けるようで物足りない。
気になったのは、勘違いかもしれないが ピンマイクのせいか、一部 雑音や声音に悪影響があったのが憾み。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

正確ではないが、円形の三分の一(120度)程度の扇型舞台。奥にピアノ、それ以外には絵柄のある箱馬がいくつか置かれているだけ。基本は素舞台。

物語は先生(達二)が風の「又三郎」と出会い、自然界の営みや生態を垣間見る。それは 種山が原の生物たち(おきなぐさ、蟻、キリギリス)や夢の生物たち(猿、ひわ、カッパ?)そしてアルペン農である。どの挿話も淡々と表現し深堀することはしない。あくまで風という自然現象と人間との関わりが中心であり、先の挿話は人も含めた動植物全体に風が何らかの影響を与えていることを描く。又三郎にはグランママ・おじさん・マダム・GIRL・BOYといった家族を表す名があり、そこには色々な風(例えば暴風・微風等)を表現している。物語の芯は人間、特に農家との関わりを描いており、宮澤賢治らしい寓話が込められている。

音響・音楽はピアノの生演奏だけではなく、風の吹く音。照明は 風が流れる様子を後壁に映す。先にも記したが、風の衣裳は 白っぽく浮遊感あるものを着ており、全体的に軽やかな雰囲気を漂わす。舞台技術にも工夫を凝らし、壮大な自然界を表現しようとする。淡々とした描き…それは自然界 そして人間の日常、その変わらぬ光景の表現であろうか。そこに刺激ある出来事を持ち込んで観(魅)せて欲しかった。

音楽劇、それもミルキーウェイ独自と謳っていることから、最大の特徴点であろう。歌(当日パンフによれば全15曲)は物語全体、そして挿話毎に独唱や斉唱で聴かせる。例えばプロローグでは♪「どっどどどどうど」、Scene1の又三郎BOY♪「星めぐりのうた」など馴染みのある歌、そして気になったのが、Scene2の又三郎GIRL♪「元気な風のいたずら」を歌った吉野則子さんの歌声にノイズのような雑音が混じり、また所々で音量が不安定になったような。それ以降~エピローグ、フィナーレまでの音楽は安定していた。以前、合唱団に入っていた時期もあり、どうしても<音>は気になる。
次回公演も楽しみにしております。
SUN ON THE CEILING@ありがとうございました!

SUN ON THE CEILING@ありがとうございました!

劇団マリーシア兄弟

シアター711(東京都)

2023/07/29 (土) ~ 2023/08/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。お薦め。
創立80年の総合病院における院長後継問題、そこで働く医者等の諸々の事情を絡めて面白可笑しく描く。しかも個々人が抱える事情に医師という職業ならではの深みと味わいを持たせている。病院の一室、次期院長を選ぶ会議迄の数時間という限られた場所と時間のワンシチュエーション、その設定が妙。話している内容は医療に関わる専門的なことから家庭事情まで幅広く、そして含みを持たせた会話に興味を惹かせる巧さ。勿論 その散りばめられた話題は丁寧に回収していくが、そこに医師という職業の厳しさと家庭人としての優しい顔が見える。

物語は夫々の人間性を巧みに描きつつ、説明にある院長の死、大物官僚の手術失敗、救急搬送された死刑囚の脱獄といった特別な出来事を絡める。これらの出来事は本筋とは別に、物語を紡ぐ上での人間模様ー親子の情を思わせる。本筋は病院=医療現場で命と向き合う医師の姿を登場する人数や考え方の違いを通して多角的に観せる。劇中で医師だけが患者のことを思っている訳ではない。医療に携わる全ての人が…そんな熱い思いを語らせる。

救急医療担当の医師は、かつて紛争地域での医療に携わっていた。人(医師や看護師等)も物資も足りない中で目の前の患者を助けたい、その強い思いで医療にあたっていたが…。紛争地域の野外テントの中であろうが、設備の整った大病院であろうが、命に向きあっていることに変わりはない。病院の後継者争いの滑稽さ、それを命の重さをもって皮肉る。さらに、点描してきた医師の家庭事情が大物官僚と研修医の関係に結びつく。この公演の魅力は、説明にある出来事が全体を包む伏線になっており、その懐の深い優しさ温かみが観客の心を揺さぶる。観応え十分。
因みに、この公演(物語)の続きを観てみたいが…。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし) 【晴天】

ネタバレBOX

舞台美術は、総合病院のある一室。横長のテーブルが会議用に並ぶ。そのテーブルと椅子だけの空間だが、仮眠用のベットにしたり 野外テントをイメージさせる。

長く糖尿病を患っていた院長が転落死した。それは事故か他殺か、司法解剖の結果待ちである。そんな状況下で、次期院長になるために各科の医師ー救急科、外科、心療内科、内科、麻酔科、そして研修医まで集めて自分を支持するよう裏工作をする息子。院長/父のことを知っているようで何も知らない息子、大物官僚と研修医が実は親子関係にあること。そして実の母が認知症になり、息子のことをパパと呼ぶようになる。色々な意味での親子関係が紡がれる。

どの患者にも「(人生)この景色が最期ではない」といった声掛けをする医師、その背景には戦場で多くの患者と向き合い、一人でも多くの命を救いたいとの思いが、その言葉<希望>になっている。戦場での習慣であろうか、長テーブルをベット代わりに寝ている時に現れた同僚ーそのカメオ出演が劇中夢に陰影を刻み込む。物語は大学 医学部の後輩で元医者だったジャーナリストが、客観的な立場で物事を見る。同時に尊敬していた先輩医師の死…その真相が一層<命>の尊さを強調する。脚本の面白さと 軽妙さと重厚さが入り混じった演出の妙、この調和が 劇団マリーシア兄弟の特長だろう。

院長は糖尿病にも関わらず 酒も煙草も嗜んでおり、その事実を息子は知らなかった。転落後の院長が漏らした言葉は、息子に跡目は継がせない。院長の机にも同様のことが書かれた「遺書」があるという。後継者争いの相手と思っている叔父に その気はなく、息子の一人相撲である。
それを知って、息子の態度が変わるのか否か、その後の展開…夕方から始まる院長指名会議が気になる。この公演の続きが観たいのだが…。
次回公演も楽しみにしております。
モモ

モモ

かわさき演劇まつり実行委員会

川崎市多摩市民館(神奈川県)

2023/07/29 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 市民が演じるのが基本の演劇祭でここまで凄い仕上がりになるとは! お見事、今後も川崎演劇まつりには注目したい。

ネタバレBOX

 いわずと知れたミヒャエル・エンデの作品。大人も子供も楽しめる作品なので観客も親子連れも多く908名収容の大ホールもほぼ満席。キャストは市民からの応募も多くWキャストとなっているキャラもある。楽日の15時半開演・トケイ組を拝見。第1場と第2場の間に15分の休憩を挟み18時10分終演の2時間40分の大作。シンメトリックな舞台美術は中央に天地逆U字型の穴が開き上手、下手に階段の付いた円形劇場、ローマは支配する各地にこのような競技場兼劇場や水道橋を創り2000年以上を経た現在も尚多くの建造物がローマの支配したヨーロッパ、中東、アフリカ各地に残る。今作に登場する建造物もその1つ。物語は主人公モモの暮らすこの場所と、人々の奪われた時間を取り戻す為、亀のカシオペイアに導かれたモモが出掛けてゆくマイスター・ホラの支配する時空、そして人々の暮らす街で展開するが、ホラの支配する時空内では大きな時計が下手階段辺りに設えられて臨場感を増すし、街の様子はレストランを経営するニノの店を中心に展開する場面が多い。敵役となる灰色の男たちは、時間泥棒とも称され人間がその本性の一部から生み出してしまったかともとれるほど本質的な人間の弱さか生んだ虚体ではあるものの、一旦生み出されてしまった虚体は却って人間を支配する強力な力となり人間から自由な時間を奪い収奪することで、本来人間の持っていた人間らしさや永続的可能性を収奪する機構として機能する。ハイデガーが「存在と時間」で人間の本質を解き明かそうとしたように人間存在の根底に横たわる大問題に対するシュタイナー学院出身のエンデの挑戦である。
 セットの使い方や照明の用い方が実に的確でうまい。出演者60名以上という大所帯をヒロイン・モモや主要脇を中心に演出家が実に手際良く上手く差配し、何より4か月の稽古中本番を意識した見稽古で出演者各々が、自分が出ていないシーンでも気を抜かず一体感を醸し出すことに成功した点でも素晴らしい。(この指示を稽古初日に出している脚本演出家・(東京ハンバーグの)大西 弘記氏の慧眼を称賛したい。ファーストシーン、ベッポが掃除したシーンの直後に街の人々がモモを発見するシーンでは、ベッポ直後のシーンに対照的な照明を用いてオープニングで観客を驚かし、演劇に引き込む見事な手法を見せてくれる。オープニング直後で、素人らしい若干間(ま)の乱れるシーンがあったものの、その後はグングン調子が上がって群集劇としての素晴らしさも多く見られた。また、原作でエンデが最も訴えたかった内容をキチンと掴んだうえでベッポ、ジジ、マイスター・ホラ、亀のカシオペイアら主要キャラやニノ、ニコラ、フージー、リリアーノ、ビビボーイら脇、街の人々や子供ら群像をきめ細かい配慮で統合制御し分かり易く大人も子供も楽しくみることのできる極めて哲学的本質的でありながら一見何気ないファンタジーに仕上げた手腕が素晴らしい。出演した皆さんの集中力、一体感も素晴らしかった。無論、裏方を担った方々の対応もグー。是非、また川崎演劇まつりを拝見したい。
みんなのえほん

みんなのえほん

9-States

小劇場B1(東京都)

2023/07/26 (水) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/07/29 (土) 19:00

価格4,300円

小劇場B1です。いつも舞台側からどっちへ座ろうか考えます笑
なるべく手前側に座っても、見たいときに役者の表情が反対側へ行ってしまったりして。
この劇場の面白いところでもあるのですが。

今回の「みんなの絵本」
絵本作家としての幸せが「グリム賞を取る」という表向きの動機に振り回され、
余命宣告中なのに、彼女は絵本を描く。絵本を描かなければ、存在価値がない。
担当者は自らの私欲の為、共に世界一の優しい絵本を目指そうと続ける。

これはもう洗脳だよね。そもそも世界で一番優しい絵本って何でしょう?
ピエロの猿が出てきて本当に感動するのでしょうか。カオスな作品。

ネタバレBOX

チケットがステッカーになっているところ。作品の挿絵が素敵です。掴みはバッチリ!

ヒューマンドラマとしての内容ですが、もう少しリアリティが欲しい。
いろはの病名は過労?ツッキーと同じく白血病なのか、どうして余命半年なのか。
絵本をダメ出しする黒崎の意図も、イチ観客としてはもっと共感したかったかな。
結局は絵の雰囲気なのか。何をもって優しいのか・良作なのか。なんか切り口が浅いんです。
いろはの素晴らしさを台詞として伝えるだけでは、受け取る側からすると優しくはない…弱いです。
ダンスを後半に組み込むなら、絵本の魅せ方と共にキャスト全員で途中にパフォーマンスしても良かったかなと。

最後のシーンでは、新しい患者さんとして新人作家になった正岡さんが登場するのですが、
こんなブラック企業で良いのかよってくらい、絵本業界やばいってなりました笑
畑は違えど同じくコンクールを受けたりする身としては、ちょっと無理くり感の否めない作品に私は感じます。
『A LITTLE FALL OF RAIN』

『A LITTLE FALL OF RAIN』

音楽集団「フェルマータ」

広島市東区民文化センター・ホール(広島県)

2022/10/10 (月) ~ 2022/10/10 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

レミゼラブル大好き

痙攣!瘡蓋定食

痙攣!瘡蓋定食

ゴキブリコンビナート

川口市某所(詳細はお問い合わせください)(埼玉県)

2023/07/28 (金) ~ 2023/07/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

ゴキコンさん、これで6回目の参戦。
こちらの会場は初めてなので緊張しました。。。
ストーリーは毎度のこと置いておいて
今回も足場のパイプが芸術的な組まれ方をされていて関心しました。

ただ会場が炎天下のムシムシでして、もう少し何とか出来るのではないかと思った。
誘導スタッフが、レインコート着てた客が暑さで昨日倒れたと
なるべく着ない方がいいのと水分補給を促してましたが
近くのレインコートの男性倒れましたよ。。。
コンプラを無視とかいう話しじゃなくて、2階から1階に落下した場合どうなんだろう?と恐ろしくなりました。
一切の責任取らないのを承諾と言っても
万が一の場合は、そんなこと言ってられなくなると思う。
汚れる程度と思って参加出来ないなと感じた。
お客の反応も開始30分程度で、みんな暑すぎて無反応になってましたが気付いてるかな?

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