最新の観てきた!クチコミ一覧

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七曲り喫茶紫苑

七曲り喫茶紫苑

劇団芝居屋

劇場MOMO(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めての劇団さん。芝居屋のお芝居はとても暖かく自然な感じで
見ていて安心でした。日常に起きうる出来事ですね。最初から
引き込まれてしまいました。良い時間をありがとうございました。
次回作も楽しみにしています。

それなのに楽しいと言う

それなのに楽しいと言う

The Stone Age ヘンドリックス

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

テーマは中々重いものがあるんやけど、クセの強いキャスト陣と演出により喜劇のような可笑しさで終始笑ってたらラスト武田操美さんと西原希蓉美さんによる母娘のシーンで涙腺崩壊の号泣物語に着地する素晴らしい作品でした☆

THE PARK

THE PARK

シイナナ

布施PEベース(大阪府)

2023/09/01 (金) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

色々な事情があって、下水道で共同生活をする人々の話
共通するのは政治に対する不満
その中の一人が、安部事件を模倣して…
日本は他の国々と比べ比較的安定しているように見えるが、決して良い政治が行われてはいない
立法を担う政治が今のままでは…
現在では日本を皮肉った内容で共感した‼️

地上の骨

地上の骨

劇団アンパサンド

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2023/09/01 (金) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ
絶対に観た方が良い!

ネタバレBOX

劇団アンパサンド『地上の骨』を観劇。

三鷹市芸術文化センターの期待の若手劇団シリーズだ。

下記のチラシを見て誰もが「観たい!」と思うだろうか?
チラシを参考に、面白い劇団を探していた者としては残念な出来だ。
だが侮れないのは女優・島田桃依が出演しているのだ。
彼女は常に主役ではないが、出演する作品に「ハズレなし」と言うくらいに完成度が高く、歴史に残る作品に出演していて、気がつけばかなりの本数の芝居を観ている。
小劇場界の女王は『内田慈』と思っていたが、隠れ女王は『島田桃依』のようだ。

あらすじ:
小さな会社ながら、皆で互いに助け合いながら、仕事をこなしている。
男性社員の安河内は忙しさのあまり、仕事を掛け持ちをしてしまっているが、料理好きが高じて自分で作った佃煮を皆に振舞っている。
だがそれがきっかけでどんでもない事が起こってしまうのである…。

感想:
初見の劇団で、チラシには覇気が感じられず、全く期待値ゼロだったが、三鷹市の期待の若手劇団シリーズなので観に行ったのが観劇の理由だ。
始まってみると社員の会社への不満ばかりの不毛な会話のばかりで進んでいくが、内容にリアリティーがないせいか、妙に引き込まれてしまう。戯曲と俳優の達者な演技の相乗効果が現れている瞬間なのだろうか?面白くてしょうがないのである。
だがそんな喜びも束の間、誰がこんな展開を想像しただろうか?
あの覇気のないチラシから想像がつかないくらいの怒涛の展開になっていくのである。
戯曲、俳優、演出が三位一体で、完璧は出来と言うくらいに面白い展開になっていくのである。
決して誰も想像出来なかっただろう話の流れに大笑いしかないくらい面白いのである。
『野田秀樹』も『イキウメ』も『チョコレートケーキ』も面白かったけど、今作の面白さは誰かに伝えたくてムズムズしてくる。
今年一番のお勧めの劇団であり、これこそが小劇場の自由な発想の面白さである。

今後の追っかけ劇団に決定!
在りし日、学舎

在りし日、学舎

アユカプロジェクト

萬劇場(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

劇団昴

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

タイトルは知ってはいたが、観るのは今日が初めて…というより「いじめ」を題材にした作品と聞いて、嫌な話だったらどうしようとこれまで避けていたのかも。まあ、実際嫌な話ではあったのだけど、それを超えるぐらい凄い舞台で、終演後どっと疲れが。

それなのに楽しいと言う

それなのに楽しいと言う

The Stone Age ヘンドリックス

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

繋がりって大切やねぇ、聞いてもらえる相手がいるだけで助かる。理解していても心が追いつかない。口紅を塗ってあげる所から、ずっとウルウルしてました。
良いもの観ました。
ありがとう。

眠らない街と愛していたが訳ありだった僕ら

眠らない街と愛していたが訳ありだった僕ら

運命論者

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2023/09/01 (金) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

旗揚げ公演にして、第35回池袋演劇祭参加作品(★評価は演劇祭授賞式後)。
大学生公演らしく瑞々しく、そして年齢が近い等身大の人物を立ち上げる。物語は新宿の歌舞伎町の中心にあるTOHOシネマズ新宿広場前を溜まり場とした若者の生態を描いた堕思春期劇。

新宿、それも通称トー横界隈を描き出すため映像を用い、その雰囲気を演出しようとする工夫。そして中心になる少女2人の衣裳に住む世界・環境の違いを表す。表現し難い心情をどのように表出できるかが課題であろう。それを少女2人の境遇を微妙に変化させ描く。しかし どうしてもダークな面を取り入れないと ドラマとしては盛り上がらない。トー横界隈=倦怠/堕落した若者=犯罪の温床=闇社会といった画一的な筋書きのように思える。そして、その理由/原因が家庭や学校という捉え方に狭さを感じる。救いは闇社会にいる者と一線を画そうとする少女の態度と その後の行動。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、中央奥に白幕でスクリーン代わり、左右で段差が異なる台。上手に置き台のようなものがあり 床にはコミが散らかっている。多分 縁石と広場の汚さを表しているのだろう。

瑞々しさの表裏と言えるか、演技が少し粗いような気がした。例えば缶ビールを飲むシーンでは、泥酔していないのに 缶を傾けたまま口元から離し、焼き肉を食べるシーンでは口元へ運んでいない。細かい仕草も丁寧な演技をすることによってリアリティがうまれる。せっかく新宿街の雰囲気を出し、心情という表現が難しい…いやトー横キッズという注目度・社会問題という目新しい観点に挑戦しているだけに惜しい。

主人公 舞(松沢佳奈サン)が興味本位であろうか トー横界隈に行って知り会ったルミ(ハナスエトミ サン)、新(246番街サン)と過ごした一時期、それを現代世相に絡めて描く。家庭や学校に居場所がない空虚さ、親しい友達もいない寂しさ、そんな思春期の不安定さが観てとれるが、決定的な詭道さが観えない。たしかに闇の仕事(未成年売春等)も出てくるが、舞が優等生すぎて闇世界と一線を画している。トー横界隈の危うさにどっぷり浸るのではなく、客観的に観ているようで緊張感が伝わらない。敢えて 優しく無難に仕上げた、そぅ救いをもたせるといった印象だが…自分は肯定的に捉えた。

衣裳は、舞が制服、ルミが秋葉原等で見かける可愛いいフリルもの、新はカジュアルで、そこに三者の立ち位置が見えるようだ。舞はこの先 大学まで進学し、ルミは闇に沈みといった展開のようだが、深追いはしない。あくまでトー横界隈で過ごした一時期を紡ぐことで等身大の若者像を描く。改めて テーマが現代的で話題性もあるだけに惜しい。
次回公演を楽しみにしております。
在りし日、学舎

在りし日、学舎

アユカプロジェクト

萬劇場(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

討論会の途中に戦争のシーンに場面が移るという、よくあるパターンを想像していた。
しかし、想像とは違い、斬新なかたちをとっている。
設定も、今進行中のウクライナの戦争を思い浮かべてしまう。
内容もただ、討論をしているだけだでなく、登場人物の設定も興味深い。
ギョっとするような部分もあり、飽きさせない。
討論の内容もおもしろくて、夢中で聴いてしまった。
休憩をはさんで、全く違う2 パターンがあり、私はnot to beを観た。
これはどうしても、もうひとつのパターンが観たくなる。
頭が少し疲れところで休憩もあり、今戦争が起こったらということを真剣に考えさせられた。

ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チラシのランドセルを背負っている女の子はだれなのか、ずっと気になっていた。
実際、可愛いランドセルの似合う小柄な役者さんが出ていて、この役者さんの演技がとても良かった。
声も可愛いくて...
この女の子は?
観ている間、ずっと謎でしたが、最後に明かされる。
他の人もコメントに書いていたが...
明かされるとスッキリし、良い芝居を観たと感じ満足感に満たされ帰途に着く...

笑いを取ろうという意図が全く感じられないが、普通に話しているだけだが、笑いにあふれている。
数えきれないくらい、たくさん笑った。
おもしろいです。
夫婦役の旦那さん、ホッペをたたかれてばかりでかわいそうでした。
憎めないかわいい感じのおじさんで、私は好きになりました。
千秋楽まで、たたかれまくりで痛くて大変ですが、頑張って下さい。
応援してます。


にゃんこやソバにいておくれ

にゃんこやソバにいておくれ

息切れカメレオン

アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/02 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 おもろい。にゃ~~~~~~!

ネタバレBOX

 板上は直交する白幕を壁に見立て各々の壁に出捌けを設ける。また、それぞれの壁には窓も幾つか見える。壁の手前に猫たちの居場所が高低差を伴った平台等で構成されており一見シンプルだが合理的な舞台美術。開園前、開園後にはギターを抱えたMCがちょっとしたアドリブを入れてくれる。
 物語はあくまでにゃこたちが中心だが、野良出身の者も居て、その場合かなり複雑な背景を持っているという設定が、今作を極めてスリリングなものとしており、二転、三転する展開や、この猫たちの抱える背景のせいで優しい飼い主までもが危険に晒されているかもしれぬという緊張感を孕み、スピーディーで役所をキチンと生きている演者たちの切れのある演技や、各々の個性を出した演技もあって独特のテンポを生み出しており更に若い人達特有の嫋やかな感性が生み出す軽みすら感じさせてグー。60分と尺は長くは無いが期待を遥かに上回る作品であった。
七曲り喫茶紫苑

七曲り喫茶紫苑

劇団芝居屋

劇場MOMO(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

実際に喫茶店のお客になったように、楽しみました。
片隅に腰掛けいて、仲間に入れてもらいたくなりそうな、そんな感じでした。
コンセプトが(覗きみるような感じで) とありました。
大きな事件は起きませんが、懐かしいような温かい雰囲気が癒やされました。
ゲイバーのマスター役の役者さんが、とても良かった。
人懐っこい感じがいいです。
(私の75 年が...) と泣き崩れる女性の役者さんの演技が素晴らしくて、胸が締め付けられました。
このシーンがまだ残っています。


TOTEM 真空と高み

TOTEM 真空と高み

山海塾

世田谷パブリックシアター(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

開演時刻になると、現時点で空席のままである指定席の無効が宣言される。劇場スタッフが最前列より順に、空席に座りたい者を募り誘導していく。ちょっとしたカルチャーショック。今後こうなっていくのか。

開演前はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第二楽章「家路」が延々と掛かる。小学校の下校の時間を知らせる、例のアレだ。軽い鬱な気分。舞台美術は粉の撒かれたステージが四分割、中心には謎の立方体の塔、モノリスのような謎めいたクリスタル。(中西夏之氏の作品「カルテット 着陸と着水X」)。バックに二つの巨大な金属の円の枠。左右端からゆっくりと中央に動いていき、交差しては互いを入れ替わるように元の位置へ。
テーマは陰陽だろうか。対称的な二つの事物が世界を構築している様。
音楽が凄く良かった。冨田勲っぽいシンセサイザーによるミニマル・ミュージック。加古隆氏と吉川洋一郎氏。伊藤詳による『ブッダ』のイメージアルバムを思い出した。

現れる四人の修行僧、左耳にだけ大きな耳飾り。次に現れるニ人には右耳にだけ耳飾り。白い繭のような耳飾りを下げた者も登場。ソロで踊る蝉丸氏の場面の曲が良い。舞台下から(?)青いライトが灯ると、発光した四面のステージは水面に見えてくる。舞踏による禅、瞑想。

これだけ実験的な空間に関わらず、居眠り客は見当たらなかった。見巧者の集結。

カーテン・コールは『アメイジング・グレイス』。熱狂的な外人客が喝采を叫び、劇団四季並みに繰り返された。これは外人の方がダイレクトに興奮する分野。

ネタバレBOX

自分は死んだ筈が、気が付くと月の裏側のような荒涼とした場所に立っている。死後の世界か、はたまた地獄か?ゴータマ・シッダッタの見付けた四諦八正道を駆使して、“自分”という執着からの解放を望む。修行に次ぐ修行の日々。遥か彼方に見える懐かしき地球。「十牛図」のように全てから解放されたのちには、その全てが新鮮で愛おしく思える。
そんなふうに妄想して観ていた。観劇という瞑想体験。

The ピーズ『月面の主』

懐かしそうに立って地球を見ている
こんな筈ではないとガラクタ集めさ
消えた色に消える匂い
付いて行けばよかった
あん時本当にいい匂いがした
ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かった。テーマは難しいのに、なんと言うか暗くなく、恥ずかしくなく、でも真面目にしっかり向き合っていて、実にうまく作られたお芝居だったと思います。役者の皆さんのお芝居も本当によかったです。2時間を超える内容にも関わらず長さも感じさせず楽しかったです。気になる団体さんのひとつになりました。

現象グラデーション

現象グラデーション

Oi-SCALE

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2023/08/28 (月) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

感想遅くなりました。2日目の夜拝見しました。初めての団体さん。そこで実験的短編とのことで大丈夫かなと思っていましたが面白かったです。「WA」のメッセージがちょっとついていけてませんでしたけどね。今度はまた違うお芝居を見たいと思いました

新・ワーグナー家の女

新・ワーグナー家の女

Brave Step 

アトリエ第Q藝術(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
濃密で緊迫した母娘の会話劇。
物語は1946年、廃墟と化したドイツのバイロイトで開かれた委員会に参考人として召喚された女性、そして もう一人の若い女性の対峙を通して戦時中のナチスドイツ(ヒトラー)の関係を明らかにする。初演は2004年、このような芳醇な香りを思わせる公演は初めてである。

1946年という設定であるが、会話から現代に通じる問題が次々に浮かび上がる。第三帝国という破滅への背景には、当時の不景気、不寛容、防衛のため…どこかで聞いたような言葉が述べられる。現実に世界のどこかで戦争や紛争が続いている。それは対岸の火事(戦火)ではなく、グローバル化した現代においては何らかの影響を受け、与えることになる。そんな怖さを感じさせる。

ピアノの生演奏(「タンホイザー序曲」を始め有名クラシック音楽)という贅沢さ、2人の女性は勿論、委員会委員(コロス)、そして場内に飾られた肖像画等への照明が物語を印象的・効果的に観(魅)せている。また コロスは(有名)指揮者であり、ナチス兵・委員という複数の役を兼ね時の流れを表す。

立場の違う母と娘…チラシでいうところの敗戦国ドイツ、戦勝国アメリカ、どちらにしても「バイロイト音楽祭」はワーグナー家が仕切ることが出来た。そして 戦中・戦後の一時期を除き、「バイロイト音楽祭」は 別名リヒャルト・ワーグナー音楽祭といわれるように、彼のオペラ・楽劇を演目としており、現在も続いている。その意味では<音楽祭>を守り継続させるための 母娘の深謀のような気もするが…。だからこそ「新・ワーグナー家の女」なのだろうか。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は中央に大きめの椅子、周りに不規則に置かれた机と椅子。中央奥の壁にはヒトラーの肖像画が見える。また有名な指揮者の絵画か写真も飾られている。しかし何となく 廃墟然とした雰囲気が漂い、薄暗い中で母が淡々と語る。そして娘が登場し母と対峙してからは緊張感ある激論が始まる。

物語は、委員会に召喚された母ヴィニフレッド・ワーグナー(観世葉子サン)とその娘フリーデリント・ワーグナー(新澤 泉サン)が、戦時中のナチスドイツ(ヒトラー)との関り、特に「バイロイト音楽祭」を巡り激論する。そこで明らかになるのは、ナチス時代にワーグナーがどう受け入れられていたか、そしてナチスとはなんだったのか。物語のほとんどは、この2人の息詰まる台詞の攻防に終始するといっても過言ではない。そして母の不遜 尊大な態度、娘の鋭い理論的な追及といった立場の違いを、観世葉子さんと新澤 泉さんが見事に演じていた。

ナチスが、19世紀まで続いた伝統的な社会価値や秩序に対し、ある種の変革を打ち出し民衆の支持を得ていたらしい。 第2次世界大戦中も「バイロイト音楽祭」はナチスの支援下を受けており、母が時代を乗り切るため 生きるが故に矛盾や絶望に苛まれていた訳でもない。一方 娘はアメリカへ渡り反ナチ活動をしており、両者とも実情に基づいている。それ故 言葉(台詞)に誤魔化しがなく重みがあり、時代と人間のドラマを感じさせる。ヴィニフレッド・ワーグナーは、ナチス ドイツの傷を自らに刻みつつ、それからも運命に翻弄されながら逞しく生き抜いたようだ。

公演は、リヒャルト・ワーグナー「バイロイト音楽祭」を題材にしていることから、彼の曲をピアノの生演奏で聴かせる。演奏は高橋瞳輝子さんであるが、彼女の衣裳は黒一色で黒子に徹したかのよう。この公演を影?からしっかり支えていた。
次回公演も楽しみにしております。
七曲り喫茶紫苑

七曲り喫茶紫苑

劇団芝居屋

劇場MOMO(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
<人間と地域>を<愛情と愛着>をもって描いた好公演。劇団芝居屋らしい安定感、それは演じている役者の演技そのもの。今回は地方都市の寂びれた設定から、東京郊外にある私鉄沿線の街が舞台になっている。そしてコロナ禍の影響で タイトルにある通称「七曲り」という路地裏横丁が移転を強いられる。現実にありそうな内容を厚い人情噺として紡ぐ。昭和という佇まい 雰囲気に、令和の時代の出来事、その苦境を逆に題材として描く強かさ。

いつもの人情噺、しかし 少しネタバレするが、親が戦後間もない頃に開店し、そこで生まれ育った女将・影山典子の慟哭が痛ましい。親から受け継いだ おでん屋「万年青」が取り壊され、愛着ある風景が一変する。75年の歴史ある店が一瞬にして無くなる無常。雑多な路地裏、それが何も無く見渡せてしまう光景、その変貌した様子が想像できる破砕音。同時に典子の取り乱した姿…彼女の人生と店舗が重なり哀愁をみるようだ。単に移転ではなく、人生の歩み(思い出)が消えるような不安、それでも人は力強く生きていく を思わせる。そこに劇団芝居屋の真骨頂を観る。

物語は、立ち退きを中心に、そこで生きてきた人々の背景と今後の行く末を温かく見守る。同時に今 日本が抱える問題も点描する幅広い描き。少子・高齢化を思わせる後継者問題、マイノリティに繋がるゲイBAR「夜と朝」、そのマスターの生き様と今後の行く末が気になる。説明にある、かろうじて残った五店舗の立ち退きを、喫茶紫苑を中心に紡ぐ「現代の世話物」、そう まさに<現代>の人情芝居。ぜひ劇場で覗いてみては…。
(上演時間1時間55分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は喫茶紫苑の店内…上手にカウンターと腰高スツール、中央奥・客席よりにテーブルとイス、下手にソファ席がある。壁(一部がレンガになっており時代を感じさせる)には絵画や三角ペナントがあり、その雰囲気作りの上手さは いつもの芝居屋。ラスト このテーブルやイス、小物類が…。

昭和の匂いを残す路地裏横丁が、以前からあった再開発による区画整理、そしてコロナ禍の悪影響(経営不振)が重なり 移転が決定した以降を描く。老舗のおでん屋「万年青」、喫茶紫苑はこの地で長い間 営業を行っており、現在は夫々 先代から受け継いだ二代目。思い入れある横丁とそこで触れ合う人々の優しさ温かさに、古き良き時代の郷愁を感じる。いつもの人情芝居だが、今作は「万年青」の取壊し移転に伴って75歳の女将 典子(永井利枝サン)の心情を掘り下げる。今更 新しい店で仕事が出来るかといった不安、そして跡継ぎがいないことから閉店を考えている といった事情を盛り込む。またゲイBAR「夜と朝」のマスターはLGBTの仲間と新たに高齢者施設を、といった夫々の事情を通して少子・高齢化社会を考えさせる。

一軒一軒 取壊しが始まるが、それを不安・不穏を煽るような音楽と破砕音で想像させる。音と言えば、万年青の女将と従業員 福田登和(細川量代サン)が情感込めて「昭和枯れすゝき」を歌うシーンは、昭和の雰囲気そのもの。
勿論「万年青」や「紫苑」だけではなく、焼き鳥「鳥功」、立ち飲み屋「海路」や「権藤ボクシングジム」が抱える問題、それが現代の地域社会を反映するような描き。一方、先行き不透明な事情の中に、若いボクサーや若手女性弁護士といった人々を登場させ 新たな未来をも感じさせる。この個性と事情ある人物をベテラン、若手が生き活きと演じ物語を紡ぐ。

場面転換するごとに衣裳を着替え、時間の流れや状況の変化を表す丁寧な観せ方である。しかし それだけ暗転が多いと感じられた。ラスト、紫苑の店内にある物が運び出され、二代目ママ 中村良子(増田恵美サン)が佇む中、黄昏を思わせる照明が印象的だ。余韻ある演出(地主 栗山金蔵 役<増田再起サン>)が心に沁みる。いつか薄れていくかもしれない コロナ禍の怯えと記憶の記憶を 真摯に繋ぎ止めてくれるような公演だ。
次回公演も楽しみにしております。
ブルースターナックル!

ブルースターナックル!

ステージタイガー

高槻城公園芸術文化劇場 南館・大スタジオ(大阪府)

2023/09/01 (金) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/01 (金) 19:30

価格3,000円

前回も観ていましたが演出が違う箇所もあったりで楽しめました。
驚くべきは前回さほど印象に残っていなかった同配役の若手さん数名のビックリする位の成長ぶり。
もう途中から目が追っかけてなんて可愛いんだ!&カッコいいんだ!とすっかりハマってしまった。
またそれが後々フリが活きてしっかり落ちるので観ていて小気味いいこと。
こんな良い役者いたのか!と既に次回が楽しみで仕方ありません。
内容が難しくなく、内輪ネタもない。ラストはしっかり爽快感があるので観たことない人にもオススメ。これで料金3000円代…お得過ぎる。

ネタバレBOX

個人的には前回ラストシーンにあった晴彦の芝居を止めるな!的な台詞が大好きだったので、今回なくて少し切なかった。
が、代わりに蒼佑とのアイコンタクトや蒼佑の表情で、この2人だからこそ言葉は必要ないんだな、信頼して通じ合ってるんだなという印象になった。
どことなく蒼佑が大学時代を思い出して、大好きだった信頼する先輩との即興劇を心底楽しんでいるように見えて、自分の解釈でいくらでもエモく出来るなぁとニヤニヤしました。
ベテラン勢は圧巻の安定と信頼力、若手勢は弾けるパワーと怒涛の感情の爆発が見事にマッチングされた、凄くバランスの良い素晴らしい作品でした。
今後の楽しみが増えました。
群青に散りゆく

群青に散りゆく

文化芸術教育支援センター

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

本日配信にて19時回を見せていただきました。

配信でとなると全編で舞台全景を映し続けるのが
一般的なのですが、「群青に散りゆく」に関しては
一味も二味も違う素晴らしい配信でした。

全景で映しつつ場面場面での演出意図により
変わっていく最適な画角で演者さんの
細かい表情を観ることも出来、かつ更に特筆すべきは
音も素晴らしく、セリフも音響もまるで舞台で見ている
かの様な臨場感を感じることが出来ました。
このおかげでしょうか良いお芝居がもつ張り詰めた
緊張感が感じられて舞台を観劇された方が
見返ししても新しい発見が出来るのではと思う程の
クオリィティを持った価値ある配信でした。

配信でここまで出来るのかと新たな可能性を
感じさせる素敵な配信でした。

残念な点があるとしたら、既に配信チケットが
買えない点でしょうか。w

スタッフさんのご苦労はいかほどのものかと
考えると想像すら出来ませんがその努力に
感謝いたします。

ラフタリ―の丘で

ラフタリ―の丘で

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2023/08/29 (火) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

芝居を観た後に読む用の付録が非常に参考になって良い。この戯曲中に散りばめられた仄めかしや暗喩について書かれていて、このおぞましい物語で描かれた深層心理の表現に気づかされ感嘆させられる。俳優たちの演技は一部にぎこちなさが感じられたが総じて安定して高水準。

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