沖縄戦と琉球泡盛
燐光群
吉祥寺シアター(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
久々の燐光群。日常の忙しさのなかでさばくように毎日をこなしていたけれど、たまに普段考えない泡盛の歴史に思いを馳せるとそこには風味豊かな世界が広がっていた。
泡盛の原料クースを戦争のなかでも守ろうとした、または戦争を生き抜いて発見した人々の魂を垣間見て、代々に受け継いでいく生業の深さを感じた。いつも同じようにやっているのに、温度やそのときの環境で微妙に違うものが生まれる。泡盛作りとはまるで芝居のようなものだなと思った。いつもまったく同じというわけではない。それが生き物であり、芝居であり、それだからこそ絶望もすれど希望も生まれる。ほんわかした気分で劇場を出られたのは、沖縄のほがらかさに自分も感化されたからか。
LifeとWork
ぺぺぺの会
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/02 (月)公演終了
実演鑑賞
「ぺぺぺの会」と「いいへんじ」という2団体による合同公演。1団体3名×2で、6名の俳優による一人芝居。ぺぺぺの会は普段から作・演出を担当する宮澤大和が3作を手掛け、いいへんじは3名それぞれが「作・演出・出演」を担う。結果、俳優それぞれの個性が反映されつつ、同時に団体の個性も反映された企画になったのでは(ただし6作全部観ていないため、想像も含みます)。6名の出演俳優のことを知る、俳優のことを好きになる契機になり得る公演だと感じました。
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
笑いあり涙あり、殺陣や格闘技も盛り込まれた、爽快で心に響く素晴らしい作品でした。
山口勝平さんのお芝居には終始引き込まれ、目が離せませんでした。物語が進むにつれて色々な伏線が繋がり、もう一度最初から観たい!と思うほど感動しました。
『晴耕雨読』
ウテン結構
六本木ストライプスペース(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
素敵な作品に出会えたことに心から感謝しています。今年の中で、私にとって一番印象に残った作品です。
次回作も楽しみにしています!
ムッシュー・フューグ
関西芸術座
ABCホール (大阪府)
2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★
関西屈指の老舗劇団
最初の有刺鉄線の囲い?を見て、これで観にくいな〰️と思っていたが、途中で吊り上げられ、かつ板がトラックに早変わりしたのには、驚き👀‼️
しかし内容は、素人目にはとても分かりにくく、後ろの男性の大きな独り言(全く解らん 帰りたい)でも分かるように、難解であった
ナチスのユダヤ人虐殺の一幕(ホロコーストみたいな)だと思うが、語り尽くされた感もあり、死に対する(至るまでの)狂喜を表現していたと思うけど… 海外戯曲は難解と思わせる一作
サド侯爵夫人
プロジェクト榮
銕仙会能楽研修所(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今回の公演では、役者各々の戯曲解釈がより深く身体化された表現に達していたように思う。この感想が自分自身の三島アレルギー弱体化によるのかそれとも自分が感じた通りなのか或いはその何れもが作用して相乗効果を発揮したのかは定かでないので、もう一度ゆっくり戯曲を読み直しつつ講評を追記したいと思っている。もう少しお時間を頂きたい。
正三角関係
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2024/07/11 (木) ~ 2024/08/25 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★
「カラマーゾフの兄弟」を下敷きに、父殺しの裁判劇(野田秀樹と竹中直人の一人二役の早変わりの繰り返しが面白い)の向こうから、何かが立ち上がってくる。
父と息子が奪い合った女性グルーシェンカ(=長澤まさみのアリヨシとの一人二役)と、長男富太郎(松本潤=熱演)の婚約者・生方莉奈(村岡希美)の二人の女性が出てくるが、生方に当たる人物はドストエフスキーの原作にいたかどうか覚えていない。
「大審問官」や少年コーリャの話はない。スメルジャコフもほんの端役になっているので、父殺しの犯人が誰だったのかは、原作を知らない人にはわかりにくいだろう。
今回は隠れた大テーマ以外にも、戦争中の竹やりでB29を落とす訓練のばかばかしさとか、科学者の軍事研究の倫理問題、軍需物資の横流しなど考えさせる素材がちりばめられている。アリヨシの同性愛の告白もある。
グルーシェンカは火薬につけた名前なのだという弁護士(野田秀樹)のツッコミがあり、男女関係・父と子の対立が、火薬・軍需物資をめぐる争奪とかぶらされているのも、今回の目立つ趣向である。生方と富太郎が婚約するのも火薬がらみのやり取りが関係しており、火薬の調達は、表面の父殺しの裏の重要なサブストーリーになっている。(結像が少し弱いが、でも最後の父殺しの真相で、生きてくる)
「一粒の麦、もししなずば…。一粒の麦がもし地に落ちて死ねば多くの実りをなす」のアリヨシのセリフが序盤、中盤、終盤で繰り返され、大きな意味を持つ。が、戦争の大量殺戮を語るこの作でどういう意味なのか、考えなければいけない。
12月2日夜に配信で鑑賞
サド侯爵夫人
プロジェクト榮
銕仙会能楽研修所(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
ぜひ全員能楽師が演じるバージョンを見てみたいなあと。
能楽堂って豊かな残響がしますね。深くリバーブをかけたような響きでした。
平坂村事件
十七戦地
新宿眼科画廊(東京都)
2024/11/22 (金) ~ 2024/11/26 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/26 (火) 14:00
昭和38年秋、福岡県の農村で起きた投資詐欺(未遂)の顛末。
石炭から石油への「エネルギー革命」が進行中で佐藤栄作や湯川秀樹が「時の人」であった時代を背景に描かれる騙す者と騙される者たちの「攻防」、どちらかと言えば騙す側に感情移入しつつ思いがけないどんでん返しで終わる運びに感服。
また、詐欺師、(その片棒を担がされる)科学者を筆頭にキャラクター設定と配役も的確で説得力があった。
久遠の影
劇団在りが欲し
大阪大学21世紀懐徳堂スタジオ(大阪府)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
公演最終日に観に行きました。
演者の皆さんの演技は繊細かつ迫力がありました。
展開が進むにつれて強くなっていく役の息遣いや感情を間近で感じられて、劇場へ足を運んで本当に良かったと満足しています。
登場人物たちの魅力が台詞や身振りに散りばめられていて時々くすりとさせられ、観ていてとても楽しかったです。
内容と展開が精神的にずっしりと来ますが、これらの理由で約2時間があっという間でした。
とても素敵な作品と時間をありがとうございました。
沖縄戦と琉球泡盛
燐光群
吉祥寺シアター(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/02 (月) 14:00
座席1階
上野俊彦氏の著書「沖縄戦と琉球泡盛――百年古酒の誓い」をベースに組み立てられた戯曲。100年、200年と寝かせることもある古酒を守るには、平和でなければならない、というお話だ。鉄の暴風とも呼ばれた沖縄戦で、100年を超えて守り抜かれてきた古酒は破壊されてしまったからだ。
物語では、戦後焼け跡に残ったわずかなこうじ菌を元に泡盛を再建していくというエピソードも語られるほか、与那国島など沖縄の離島で泡盛を扱う男性の話など、前向きで希望が持てる話がつなぎ合わされている。戦争に「絶望」という文字が似合うとすれば、平和には「希望」がぴったりである。
燐光群のいつものスタイルが貫かれている舞台だ。タイトルにある「沖縄戦」というかつてのできごとよりも、自衛隊の南西展開、日米の軍事協力・一体化という近年の出来事やトレンドに真正面から意義や不安を申し立てるせりふが続く。少し手を広げすぎではないかというくらい、客席に対してのレクチャーが行われる。
冒頭から舞台にしつらえらている、3本の色違いの筒が何を意味するかが劇の後段で明かされる。それ以外にも、泡盛の造り方や、泡盛の元になる長粒米はすべて輸入で、どの酒蔵も分配を受けて同じものを使っているなどというトリビアもあっておもしろい。
長期間寝かせて味わうお酒がテーマなので、酒造りの土台として平和は欠かせないという劇の骨格は最初から明白であり、サプライズという楽しみはない。それも愚直な燐光群らしいと言えるのかもしれない。
ウエストサイドのオペラ座の殺人
カスタムプロジェクト
調布市せんがわ劇場(東京都)
2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白かったです。
一生懸命考えましたが全く解けず・・正解したのは凶器のみ。
無理矢理感があると思いつつ(それが面白い)説得力もあるし、しっかり伏線が張ってあるのが見事だなぁと思いました。
ミュージカルをテーマにしているので、ストーリーは勿論ですが、衣裳等も楽しめました。
とても楽しい時間を過ごせました!
No.0001
劇団108
こった創作空間(東京都)
2024/11/30 (土) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
面白かったです。
笑いと優しさと愛のストーリーで、切ない展開に哀しくもなりました。
観客の想像に委ねるというラストも良いと感じました。
役者さん達の楽しそうに演じる姿や表情も良かったです。
若さ溢れる、素敵な舞台でした。
ゴーギャンおやじ2
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
いかりや長介の声がする。「次、行ってみよ〜!!」
東福生駅、横田基地の街。そこで生まれ育った主人公(山口勝平氏)の一代記。破天荒な親父(西村太佑氏)、安保闘争で丸太ん棒をぶん回して機動隊と戦ったWILDなお袋(上高涼楓〈かみたかすずか〉さん)。貧乏だったが米軍ハウスで暮らした少年時代。(主人公の少年時代役は天野ユウ氏)。あの頃は誰もが『あしたのジョー』に憧れた。父が始めたボクシング・ジムでボクサーへと前のめりで走り出す。
PBB(パーフェクト・ビッグ・ボクシング)にPPP(パーフェクト・プリティ・プロレス)というネーミングセンス。挿入される新興女子プロレス団体のエピソードはつかこうへい風味。園山ひかりさんが凄く良かった。
「この街は軍用機の音でいつも話が遮られる。」
山口勝平氏がやたら格好良すぎる。サム・ペキンパーの苦味。人生って奴は栄光や夢へと駆け登る甘い子供向けのは第一部、序章に過ぎず、本篇は第二部からなんだ。転落して何もかも失って惨めに生き長らえる。誰もが去っていく。もう体面も糞もない。生活していかなくちゃ。払うものを払わなきゃ。
一番好きなシーンは郷里に戻り、かつて住んでいた米軍ハウスに寄ると今ではコーヒーショップになっている。店を経営し画家でもある青井はれる(松浦裕美子さん)との邂逅。ここのシークエンスがまさに映画。作家の込めたものが凝縮してある。
魚建氏の丹下段平も最高。
遠藤純一氏は佐村河内守に見えた。
日替わりゲストのインフルエンサー役、桜咲千依(おうさきちよ)さんも狂っていた。凄くリアル。
ガッチリした脚本、第二部は文学だ。次回は来年5月に朗読劇!勿論これも観たくなる。
ムッシュー・フューグ
関西芸術座
ABCホール (大阪府)
2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2024/12/01 (日)
評価が分かれるお芝居では?トラック上の会話と行動は死に向かう出演者たちの悲哀を観客にちゃんと伝えられていたのだろうか?この脚本は、日本人の文化・宗教・価値観に受け入れられる内容だったのだろうか?これらの疑問が観劇後、頭の中で渦巻いた。
婚約者はミニマリストはじめさん!
劇団BBF
RAFT(東京都)
2024/11/29 (金) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったです。
引っ越してきた彼女の荷物が運ばれて来た時、箱に「いろいろ」と書かれていて「私の荷物と一緒じゃん」と笑えてしまいました。
ミニマリストのお話ではありませんと当パンにありましたが、彼と彼女、そして彼女の友達同士での会話でミニマリストについて語られていて、いちいち頷いてしまいました。
彼の職業とか消費動向についてよく分からなかった(聞き逃していたらごめんなさい)ので、もしかしたら大劇場で観劇したりグルメで美味しくて高いものを食べに行ったりしているのかもしれませんが、みんながみんなミニマリストになったら経済が回らないのでは?と思ってしまいました。
レットイットビーム
コメディアス
OFF OFFシアター(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
Goodbye my work!~退職の流儀~
丸福ボンバーズ
APOCシアター(東京都)
2024/11/27 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
完成度高い群像劇。
退職代行という近年新たに現れた業務をネタにしつつ、上手くまとめられている。
たくさんの人に観てもらいたいと思いました。
青春にはまだはやい
プテラノドン
「劇」小劇場(東京都)
2024/11/26 (火) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/01 (日) 13:00
ユニットとしては初見だが、見慣れた役者陣も多い座組。作・演出の笠浦は頭おかしいんじゃないか(誉めています)、と思わせる傑作。笑わせてくれるが、考えさせてくれる部分もある。とにかく面白い。(3分押し)107分。
とある事情で独りぼっちになったワカナの前に、高校生が次々に現われるが…、の物語。いろいろな年代の役者を集めたことに意味があり、時代背景をしっかりと捉え、その時代ならではの話題を扱い、それらの関わりをも確実に描く、笠浦の筆力が、まず素晴らしい。また、ある意味難しい役割を演じる役者陣も凄くて、豪華で笑って考えて、だった。
今年、笠浦の書いた『フィクショナル香港IBM』『ベラスケスとルーベンス』本作、と観たが、どれも「頭おかしい(誉めています)」としか言いようのない凄い作品群。大当たりだったなぁ、と思う。
Illya and Roy
アユカプロジェクト
シアターシャイン(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/01 (日)公演終了