最新の観てきた!クチコミ一覧

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未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。先駆者は尊敬できる。それを支える妻は本当に素敵です…アイヌの差別色々な側面で考えることが出来た

皇国のダンサー

皇国のダンサー

劇団黒テント

ザ・スズナリ(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演のダンサーが天才作曲家・服部良一氏の次男、服部吉次(よしつぐ)氏78歳!ジャニー喜多川から70年前に受けた性加害の告発で話題となった。「如何に沈黙することが恐ろしいことか。」は余りにも重い言葉。

前作『亡国のダンサー』から6年目、同テーマのリブートなのか、前作を観ていないので判断はつかない。
「大化の改新」と「システムとしての天皇制」がテーマのようにも。

スクリーンに投影される膨大な文章、映像、写真。地下鉄、コンクリート、灰色、雑踏。
「雨が降っていた」「ダンサーはどこへ」

謎の部屋で目を覚ます片岡哲也氏。ずっと倒れていたようだ。そこを管理する者達から極薄スマホのような端末を渡される。「自分の情報を登録するように」と。だが何度名前を入れてみても入力されない。閉ざされた部屋で何も出来ずじっとするのみ。
ある日、渡されたゴーグルを掛けると部屋の隅に女性(岡薫さん)が倒れている姿が見える。ずっとこの部屋にいたらしい。女性は更にもう一人の人物の気配を感じると言う。その老人こそ、服部吉次氏。フレッド・アステアのムードで軽やかに舞台を彩るステップ。
どうやらここは地下もある巨大なビルらしい。長い坂を登り切った先にある。窓から見える風景が妙に懐かしい。

別役実っぽく、押井守の『イノセンス』や大友克洋の『AKIRA』のようでもある。『アルファヴィル』や『未来世紀ブラジル』を連想させる近未来ディストピアの管理社会、無数に続く質問攻め。
問い掛けのされない答がそこらの床に雑然と転がっているが、誰もそんなものには見向きもしない。答ではなく、質問にしか人は興味を示さないからだ。

ネタバレBOX

序盤から眠りに落ちる客は多かった、まあテンポがのろいので面白くはない。ただ観客席はぎゅうぎゅう詰め。古くからのファンが詰め掛けているようだ。草薙素子とアムロ・レイの名前が唐突に出て来た時の異化効果が凄かった。(アムロ・レイは古すぎるが)。

現行プログラムを自ら書き換える為にサイバースペース内で「大化の改新(乙巳の変)」を行なう必要があった。それにはダンサーが必須。ダンサーを捜し続ける者達。

「乙巳の変(いっしのへん)」、645年に中大兄皇子と中臣鎌足等が蘇我入鹿を暗殺した政変。その後の改革を「大化の改新」と呼ぶ。このクーデターにより皇位を奪おうとまで画策していた最高権力者、蘇我家直系は絶えた。
その暗殺の際、用心深い入鹿を丸腰にしたのは俳優(わざひと)。俳優の滑稽な仕草に気を許し、つい剣を手渡してしまう。それが今作ではダンサーと呼ばれる存在。

滝本直子さんの亡き父(高校の教頭)、服部吉次氏。前妻の息子、片岡哲也氏。父の愛人、岡薫さん。サイバースペースのアバターとして侵入し、目的を遂行しなくてはならない。ダンサーは踊らねば。

※オウムのPSIヘッドギアが好き。
吉良屋敷

吉良屋敷

遊戯空間

シアターX(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 断固、観るべし! 華5つ☆。尺は約100分。初日を拝見。(追記1追記2アップ。追記はこれで終了)

ネタバレBOX

 いつも感心させられるのが舞台美術の抽象的な美なのだが、今回もそれは裏切られなかった。日本の建築物の美について、またその独特な構造上の美しさや機能面に於ける論理的構造の正確性のみならず、必ずどこかに一筋縄ではゆかぬ美への哲学すら感じさせる捻りが埋め込まれていることは驚嘆すべきものである。そういった伝統を踏まえながら作られている今回の舞台美術も観劇に必要最低限の要素のみを見事という他ない構造と配置で示し余計なものが一切ない。当に演劇の醍醐味を生きた人間が創造する点に集約している為とみて良い。作中、台詞としても語られる吉良邸の構造を過不足なく再現構築しているうえに余計なものが一切無いのは、今作で描かれる華の場面(茶会)で利休の侘び寂びの精神をこそ、重んじ楽しんだであろう吉良上野介の、領地民から慕われたという伝聞からも察することのできる超一流の風流人、現代風に言えばディレッタントとしての側面をも表しているかの如し、なのである。
 物語は、赤穂浪士が吉良邸を襲撃に及んだ、当にその当日、日中から翌朝に掛けての20時間程である。この僅かな時間内に吉良と浅野、その家臣団赤穂浪人との経緯総てを集約し、然もこの「忠臣蔵」は、吉良側の視座から描かれている。上演台本、演出、美術が遊戯空間主宰の篠本賢一氏。今迄何度も書いてきたように能の故観世榮夫氏に20年程学んだこともあり日本の古典芸能にも造詣が深いからこそ実現し得た舞台である。音響も尺八、横笛、琴、呼子などは総て生演奏、拍子木が随所に入り音響部門でも舞台を締める。無論必要な場面では劇場の音響も入るがメインは生演奏という贅を尽くしたものであり、照明もいつも通りシアターXの見事な技量を示している。
 少し用語や分かり難いかも知れない箇所の説明もしておいた方が良いかも知れぬ。高家としての吉良家というのは、足利氏の支流に当たる吉良家が皇族との関係が深く朝廷での官位も高かった為に用いられている言葉で吉良家はその筆頭格であったが、実際に幕府と朝廷の連絡や儀式の運営・指導に当たっていた家柄を指す。然も吉良家は旗本でもあったから実勢は大したものであったと思われる。その上、吉良上野介は長男を失い次男を得たが、当主が急逝した上杉家の出身である妻の関係から次男は上杉家の養子となり城主となった為上杉家からも支援を受ける身となっていたのである。将軍は綱吉であったが朝廷に対して破格の礼を採ったことでも知られる。浅野内匠頭即日切腹という厳しい判断は、綱吉が儒教を重んじ可成り学問に造形の深い将軍であったことから朝廷を重んじていたこと、その大切なもてなしの礼に朝廷側使節が挨拶に来たその日に刃傷沙汰を起した浅野内匠頭に激高したことも関係していよう。
 元禄期に於ける庶民の鬱憤については元禄金貨、銀貨改鋳によって質の落ちた元禄金銀貨に悪影響を受けた町民の実生活と改鋳前の高品質の金銀貨が富裕層に集中されることで富む者は益々豊かになるという構造が見て取れる。当に現代日本の経済的混乱に似た状況に拍車を掛けたことも手伝って不評であった。更に生類憐みの令を出したことで、ヒト以外の生き物の方が人間より大事にされるといった人々の見方が反感を煽った側面もあろう。今作で、吉良が江戸庶民の噂に対する見解を述べる台詞にある「江戸幕府が成立して百年、(将軍は犬公方と呼ばれた綱吉の時代)ヒトの命は異様に軽く、物価高に庶民は喘ぎ鬱憤は溜まりに溜まって爆発寸前、また太平の世が続き武士は本分を忘れ世の中の箍は緩んだままだ。そんな庶民の鬱憤を晴らすには最早絶滅仕掛けた忠義や義憤に駆られ、本質的には幕藩体制そのものに弓を引く赤穂浪士達の仇討ちは鬱憤晴らしの特効薬としての効果がある」という意味のことを言っていた。吉良の頭の良さ、本質を見抜く眼力を観ておくべきだろう。吉良がそこまで冷静に世の中を観ていたとすると、事実は吉良と浅野の意趣返しという話ではなく余りにも複雑化した料理。饗応の作法や手順、饗応に必要な食材や食べ合わせ、包丁に対する知識や産地に関する知識、調理人に対する対応等々枚挙に暇がないこともあったのかもしれぬ。実際刃傷沙汰を起すに至る前、本来共同で当たるべき準備期間中の25日間に亘り吉良は朝廷方の用で浅野と共に準備に関わることができなかった事実もある。今作終盤で語られる如く、実際に何があったのかは不明であるが。ところで吉良邸絵図が浪士の手に渡った経緯で犯人が分かった時の上野介の高笑いからの、若者たちに対する対応も今作の肝の一つ。心に留めておきたい。
 さて、そろそろ今作を拝見した感想を述べておこう。拝見したのは初日、11月1日19時の回である。
 知り合いが何人も殺されるかも知れない、という不安に苛まれ自分は長らく封印してきた修羅を再活性化する寸前であった。殺される可能性のある知人は大人だけではない。子供もだ。シオニストが喧伝に用いるホロコーストに匹敵する事態に直面してのことだ。
 だが、今作を観終わった時、感じたのは何とも言えぬ哀しさ、寂しさであった。浪士たちが吉良邸を襲った有様が、攻め手受け手双方の模様と共に具体的な戦い方、負った手傷の詳細、氏名と共に篠本氏、観世さんの語りで紡がれてゆく。そのリアリティーが心の内側から立ち上って来た為だ。これだけの深さを味あわせてくれ、更なる思考の深化を促してくれたのは、出演した役者陣の鍛錬の賜物、練りに練られた上演台本の素晴らしさと理性的で格調高い語り、生演奏の素晴らしさ、裏方さんの対応の良さ等今作に関わった総ての人々のお陰である。心から良い作品・対応に対する礼を述べたい。
『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』

『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』

研技術研究所

サブテレニアン(東京都)

2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/11/01 (水) 19:00

初見のユニット。百花亜季出演というので観に行ったが、アットホームな印象のすがすがしい舞台だった。70分(=前説3分+34分+場面転換3分+30分)。
 岸田國士の短編戯曲を2本。
 まず『ある親子の問答』で、3バージョンあるそうだが、主宰で演出の大原研二が母親の立場での戯曲を読む一人芝居。時折、観客にセリフを読むよう促す等の演出も巧く、物語がスーッと入ってくるように思った。
 続いての『屋上庭園』だが、いろいろな所で何回も上演されている戯曲で、どこかで観た気がするのだが思い出せない。登場人物は4人だが、ほとんどの時間を夫役の2人が会話する。本作を観て、面白いのは、妻役の2人が退場する場面と登場する場面だと思ったりもした。本作もスッキリと物語が入って来る上演だった。
 終演後に「アフターフィードバック」というものを30分ほど。役者陣が集まって、上演に関して気づいたことを話すそうだが、普段の稽古もそのような形でやってるそうで、アットホームな印象を強く持った。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

αチーム観劇。鴻上尚史氏演出の大きな劇場で何回か観た作品であるが、今回のヴァージョンも素晴らしい。コンパクトな舞台に合わせて、テンポよくメリハリが効いている。最前列に座ったので、役者さんの表情がハッキリと見えたのも良かった。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場人物の機敏さ話の転回 最後に納得させられました

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前観た演出と少し異なり、小劇場らしい演出の仕方で楽しめました。もう少し声の音量を抑えても良いかも…。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

野田さんの演出で紀伊国屋で観た作品
小劇場での公演ということでどうなるのか期待でいっぱいだったが、とても良かった!いいものを観たに尽きる。
テンポのいい転換と小劇場ならではの各演者の距離感を活かして、濃密な感情の動きが渦巻く空間に仕上がっていた!
野田のところどころ気をてらった演出のアクセントのところが、よりモデラートで角ばっていないイメージ
より登場人物同士の心の動きの濃密さが、小気味よいテンポの転換で紡がれていく。
野田演出を観たひとも、この公演観てより満足を得られるだろう より濃密になった人間ドラマをご覧になっていただきたい

ガレキの城のこどもたち

ガレキの城のこどもたち

JOEcompany

新宿シアタートップス(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場する子どもたちが皆、二つの人格を持っていてひょんなことから一堂に会する。このあらすじからは想像できないくらいかなり緻密な物語展開、そして創意工夫を感じる場面転換、なによりもシリアスな内容でありながらコメディ要素が盛りたされているという見応え抜群の舞台でした。
舞台観劇自体、数える程度の人間でしたがさながら本当にその風景が眼前に広がっているかのような演出や出演者皆様方の演技に感動いたしました。
複雑な登場人物関係でありながら、すぐに物語に惹き込まれるので理解するまでそこまで時間は要しません。緻密なストーリーでありながら、観ている側への配慮も感じられる構成で素晴らしいです。
これから観劇される方はぜひ次の展開を想像しながら、そして笑って泣いていただきたい作品です。繰り返し観ることで見えてくる部分もあると思うので、次回以降が非常に楽しみになっています!

アメリカの怒れる父

アメリカの怒れる父

ワンツーワークス

駅前劇場(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

実話ベースの韓国人脚本家の作品
奥村さんの熱演が見事
赤ちゃんはどーなってしまうのか
重い話
お薦め

未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。役者さん1人1人の実力を感じました。
時間は長い方だと思いますが時間を忘れました。砂アートも素晴らしい

未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/11/01 (水) 19:00

脚本が素晴らしく、是非、観て欲しい舞台です!

GIRLS TALK TO THE END vol.4

GIRLS TALK TO THE END vol.4

藤原たまえプロデュース

OFF OFFシアター(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

vol.3を観て凡その展開は分かっているはずなのに、今日もあちこちでドキッとさせられた。充実の80分。

GIRLS TALK TO THE END vol.4

GIRLS TALK TO THE END vol.4

藤原たまえプロデュース

OFF OFFシアター(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

お世辞抜きで最高でした。ほんと素晴らしかったです。これは必見ですね。都内在住の人はみんな見るべきかと。演者のみなさん、ほんとうに格好よかったです。最高の時間をありがとうございました。

フートボールの時間

フートボールの時間

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/01 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/11/01 (水) 14:00

いい舞台だった。女性に良妻賢母という役割が求められていた時代、校長の示唆もあってフートボール(サッカー)を始めた女子学生たちと先生の物語。香川県の丸亀高等女学校が舞台となっている。

役者たちはいずれも、いい演技だった。特に、フートボールをめぐって後任の校長と対立し、ボールに穴を開けて処分するよう命じられる体操の教師を演じた堺小春、冒頭から登場する女学校を顧客に持つ写真館の娘を演じた井上向日葵の熱演が光った。恐らく台本にも相当関与したと思われる瀬戸山美咲の力量が後押ししていると思われる。
特に、ラストシーンは感動的であると共に示唆的だ。今でも女性の社会進出という点ではガラスの天井があるのが現実だが、それでも当時と比較してこのようなラストシーンを設定したのは素直に客席の胸を打った。理屈ではない感動。これはやはり舞台の力だと思う。これを味わうだけでもこの舞台は見る価値がある。

振り袖姿の女子生徒たちがボールを蹴るシーンが後段などにある。ダンスなども交えてうまく演出してあったとは思うが、本音を言えばやはり、本当にボールを蹴ってほしい。台本通りにボールが転がらなくてもいい。ボールを蹴ることは彼女たちにとって、自由へのキックなのだから。

未開の議場 2023

未開の議場 2023

萩島商店街青年部

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「ロックオンドアテンドサイド(?)」

チャップリンの名作『独裁者』に登場する架空の国トメニア。王子駅近くにある居酒屋「和奏酒 集っこ」ではそのトメニアの名物料理、タリッパを期間限定で食べることが出来る。ボルシチ系の長時間煮込んだ鍋料理、ローズマリーとレモンの風味。ポトフのように野菜の香りがムンとする。開演前からハマカワフミエさんが実際に作っていて、本当に匂いから美味そう。討論よりそっちにばかり気を取られる。

視覚障碍者の観客への試みとして、上演前に出演者による舞台の配置、服装や髪型の説明が入る。ラジオ・ドラマとして聴いても楽しめる作品のようだ。感想を聞いてみたい。
演出家の降板により、途中から演出協力として参加したのが須貝英氏。

架空の地方都市にある萩島町で、商店街青年部が主催する「萩島フェスタ」。トメニア人労働者が多数暮らすこの町で友好親善を深める為のイベントにしようと目論む面々。町役場の商工観光課は町おこしとして成功させたい。だがトメニア人のボランティアをスタッフに入れるかどうかで会議は揉め出し、雲行きは怪しくなる。更にメンバーの誰かがTwitter(X)に会議の悪口を書き込んでいるらしい。

トメニア人の設定には埼玉県川口市に2000人以上居住しているクルド人を想起。外国人との共生という近い将来日本に立ちはだかる大きなテーマ。もう他人ごとではなく、実際に日本人の意識改革が問われることになるのだろう。

NPO法人代表の原啓太氏はトメニア人に肩入れするばかりに感情的に喚き散らす男をリアルに肉付け。発達障害っぽい。自分だけが正しいと信じるが故、違う意見をヒステリックに否定して回る。全く会話が進まない。
地元のケーブルテレビ局から情報を発信するディレクター、コロブチカさん。森達也っぽい雰囲気で女子プロレスラーのようなガタイ。冷徹な目線。
MVPはカフェを経営しているハマカワフミエさん。今作で観るのは4作目だが、どの役にも同一性がなく、未だにどういう女優なのか全く掴めない。今作では辻希美みたいにひたすら可愛らしかった。

トメニアのことわざ、「ロックオンドアテンドサイド(?)」。「なるようになるさ」。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

Twitterの犯人探し、町屋商店(いや、スーパーマチヤ)の安藤理樹氏がホワイトボードで謎を解いてみせる。犯人のアカウント名をアナグラムと見抜き、数字の94をダンテ『神曲』の第九圏、第四の円のジュデッカ、すなわちイスカリオテのユダであると!Q.E.D.(証明終了)!
コンビニ・ララマートの店長、湯田さん(石井舞さん)が慌てて否定。「適当に並べただけで、そんな厨二病みたいなことしないわよ!」
このシーンが一番好き。その後、無言を貫く安藤理樹氏は三四郎の小宮みたいでカッコイイ。

討論の行方は、トメニア人を嫌う石井舞さんを排除せず、嫌いな立場のまま参加させる。嫌いな人間も存在する、この世界の受容。その現実を現実として受け入れようと。

だが、ハマカワフミエさんには納得出来ない。「そんな催し物に価値はない。嫌いなままで無理して実行する行為に意味がない。内容の伴わない馴れ合いだ。皆でカタチだけ友好フェスティバルを演じてみせて何になる?それならばやらない方がいい。」
ここからやっと自分的には面白くなる議題なのだが、そこで終了。ここからは個々人で持ち帰るテーマ。

イスラエルとパレスチナの問題とだぶり、誰にも正解は選べない。俳優座が2月に演った『対話』がどれだけ素晴らしかったかを再確認。殺したくなる程憎んでいる人間との共存。だが現実は現実、何も選べないという選択を選ばされる。

元々は群馬県大泉町がモデルのよう。人口の二割が外国人。
未開の議場 2023

未開の議場 2023

萩島商店街青年部

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/10/31 (火) 19:00

2014年に初演された作品が、いろいろな所での上演を経て上演。優れた会話劇で会議劇。(1分押し)126分(前説13分含む、プレビュー公演)。
 トメニア人が多く住む萩島、という架空の町で、商店街の若手がフェスタをやろうとして、準備のため会議をするのだが…、の物語。笑いの部分もあるものの真剣にやりあう場面も多く、会議メンバー13人の描き分けも巧く役者陣もしっかりしていて、見応えある舞台になっていた。さまざまなどんでん返しがいっぱいあるが、エンディングは特に印象に残る。2014年の初演も観てるが、印象に残るのはコロナ禍の2020年に行なわれたオンライン版で、オンライン会議でのやり取り、というアイデアが見事だった。今回は行こうかどうしようか悩んでいたが、10年以上も観ている女優4人が出るので急遽観に行った。行ってよかった(^_^)v。

HOUNDS!  ~#002 少女誘拐犯の顔を探せ!~

HOUNDS! ~#002 少女誘拐犯の顔を探せ!~

ステージタイガー

SPACE9(大阪府)

2023/10/28 (土) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回、激富の和泉有真さんが出られるとの事で観劇!
前日譚になる1話の台本や映像を見て楽しみに行って来ました!
ステタイにしては小さな箱やけど、役者は全員実力派なので熱量凄いわけですよ!
HOUNDS!は、アキラちゃんと白木がいいコンビな話やけど、途中、白木が怪我したり入院したりで別々やけど、やっぱり2人でおもしろコンビ改めHOUNDSや!ってなるのがめっちゃいいわけですよ!
アキラちゃんの回替わりネタコーナーが、え⁈笑ってカンジでめっちゃおもしろかった!笑
新人くんも2話目なので周りと馴染みながらもしっかりしてるところしっかりしてたし、なんといっても伊月ユウマくんがとてもいいヤツだった!笑

道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』

道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』

モダンスイマーズ

OFF OFFシアター(東京都)

2023/10/24 (火) ~ 2023/10/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

笑えて笑えて ちょっとほろ苦い大人のコミュニティです ツムラが 一方的に突っ走る危ない男 を演じ 、犬飼がそれに振り回される 大人しい男を演じる。 大学で犬飼が落とした君 消しゴムを キリスト教の家に生まれた津村が拾って親しくなるところから始まり、津村の思い込みで非公認の応援団を作る。最初はドン引きだった犬飼も破れかぶれでコールする。それが注目集めて、学内の有名人になったのに、津村は公認されないなら意味ないと退学…
一方的にやめてしまった津村がいつのまにか実演販売家に。つまらない仕事でくすぶっていた犬飼が、「応援団の演技をしたら」と言った一言を、実行したら大ブレイク!
と、笑わせながらの人生かいこ。マネージャー

ネタバレBOX

になった犬飼がテレビの仕事に津村を押し上げ、津村はアッパー○○の芸名でブレイク。ここで主導権が入れ替わり、津村が引きずられてぼやきはじめる。この逆転の機微がみそ。酒が増えた津村が暴力事件をお越し、そこからもうヒトは乱
検察側の証人

検察側の証人

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2023/10/22 (日) ~ 2023/10/28 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観た後にこれが映画「情婦」の原作に当たる作品であり(アガサ・クリスティが最初に書いた短編を戯曲に書き改めたもので、映画はそれを元にしたものという)、あのマレーネ・ディートリヒが法廷で悪役ぶりを演じた後、愛に敗れた(って感じのストーリーの)やつ、と気づいた。
芝居を観ながら、既視感は全く覚えなかった。雰囲気が違った。法廷物の常道といった感じで、主役の青年(采澤)が殺人を「やったのか、やってないのか」で言えば最後に「やった」となるんだろうな、とは予想していたが、ミステリーの仕掛けにまんまと乗せられ舞台を凝視していた。
タネが分かってしまうとミステリーはつらいな、という大方の意見に対し、アフタートークで翻訳の小田島氏が、「結末が分かった上でディテイルがどう作られているかを見るのは一つの楽しみだ。マクベスもハムレットも結末が分かってるのに皆観に行く」と成る程な発言。
リアルで緻密で見せ場のあるドラマなら、「謎」だけに引っ張られて最後まで観る(これミステリーというジャンルに限らず演劇にそ「引っ張り」の手法は普通に使われている)タイプの演劇は後に残るものがあまり無い、という事は確かにある。

さて今作、終盤のどんでん返し一つ目は見事に騙され、それが痛快であった。だが最終的などんでん返しは非道な男という造形が、単に彼のそういう「素質」から来ている、という風にしか解釈の行き場がなく、きつい所がある。(どんでん返しの面白さは十分にもう味わっているのでその時点では文句はないが。)というのは、やはり芝居は時代を映すものでありたい願望がある。
男の造形の中に何か社会背景を思わせるものが書き込まれていれば、女性の悲劇が際立つだろうし、この出来事をより立体的に、彫刻のように眺めさせる事もできるのでは・・と。
スパイ云々の話は作り話で一旦チャラになった後、男の非道さだけが残る。外国人である妻(永宝)はこの国で男との一対一の濃い関係を育み、それゆえ物理的な意味では依存関係(男の側に圧倒的な強み)があったと言える。ドラマとしては、ナチスとの関係を疑われた彼女の逃亡を助け、利用して捨てた男がいた、という話である。
女の態度から、一計を案じて彼を殺人容疑から救ったのは彼女だと見える、という意味では男の「心変わり」は偶発的であった可能性もある(その線の方がドラマティックである)。
客観的には弁護士の心証として彼は無罪であったので、一計を案じなくとも推定無罪を勝ち取った可能性が大きい。そこにちょっとした隙間風がある。そこで際立たせなければならないのは女性の「愛」となる。
だが男の本質はサイコパス並に「人をだませる」特異な才能を持つ、という特別な設定に頼っている面もある。その本質は、妻でさえも見抜けなかった。問題が残るのはつまり男の存在だ、という事に(私の感覚では)なる。
従ってやはり最後に「本当の制裁」として妻が男を殺す、という結末は事を収めるためにも必要だった。法廷内とは言え閉廷した後は「普段の時間」、そこで女は男を殺した。とは言っても男が殊更に元妻を怒りに駆り立てる行為を取らなければ、また廷吏に取り押さえられていれば・・と、殺しが成就しなかった可能性が「現実」として広がる。もしそうであった場合でも、物語は成立するのか・・。物語は完結せず不当さへの恨みは燻り、その収めどころを探すしかない。復讐か。あるいは女のこれ以上の墜落をもってカタストロフを作るか・・。と考えると、やはりミステリーはリアリズムでないミステリーのルールに則っているので、「それを踏まえて楽しむ」のがミステリーを味わう弁え、という事になるだろうか。

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