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舞台版『舌切雀』

舞台版『舌切雀』

舞台「日本昔ばなし」製作実行委員会

ヒューリックホール東京(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

心優しい御爺さんには金品が与えられ
欲深く底意地の悪い御婆さんには罰が当たる
残酷な表現はあっても、最終的に溜飲が下がったからまぁいいのか…というのが昔話「舌切り雀」
幼少期ではそれがおおよその印象じゃないかと思うのだけれど、全く違った側面を見せてくれる舞台版「舌切雀」

男と女の色合いが濃い夫婦愛の中に入り込んでしまった雀
夫に見える雀は愛らしい少女で(ミュージカル俳優じゃないかと思うくらい)声が綺麗
俄然、純愛不倫という言葉が浮かんでくる
遂には切りつけられる雀も可哀想だけれど、これでは妻があまりに・・・観ているうちに妻が持ち帰るであろうつづらのくだりが凄く気になってきて・・・一体どんな結末が待っているのか

「誰よりもおじいさんがおばあさんを愛した証拠」かぁ、大人の女性達が暴動を起こしそう(ウソです)
理不尽だけれど、それ故感慨深さの残る物語
観る側の立場によってざわつき方が違いそう
繊細でユニークな映像技術が御伽草子の世界観に一役も二役も買っていました

ネタバレBOX

本作は太宰が物語を執筆しているというスタイルをとっており、加えて萬田久子さんと片岡鶴太郎さんの老夫婦の存在が物語を優しく包み込んでくれるのでみるみる理不尽さが和らいでいくのでした

かわりのない

かわりのない

TAAC

新宿シアタートップス(東京都)

2024/02/07 (水) ~ 2024/02/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

TAACらしくないようなところもありつつ、でもしっかりとTAACの作品だなと感じる作品でした。

人間くささというか、触れたくないところというかそういうところをしっかり抉ってくるんだけど、でも観たあとにちょっとした希望だったり、活力が湧いてくるんです。
今回もそんな要素がしっかりありつつ、違うところもあって楽しめたのでネタバレの方に書きます

ネタバレBOX

らしくないと言ってしまうのは語弊が出てしまうような気がしますが、今回の作品ではとても推理小説を読んでいるような心地で物語が進んでいくので、描かれてる人の感情ややってる事は重いんだけど、楽しく観ることができました。
人の気持ちは分かりきる事なんてできないけど、寄り添うことができる。事件の真相前後の刑事さんの奥様の印象はとても変わって見えていて面白かった。真相がわかった状態でもう一度刑事さんの機微が見てみたいなとも思ってるので配信買って見てみようと思います。
ユートピアたより

ユートピアたより

キノG-7

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

満足度★★★

うーん😔大学のゼミの海外移住に伴う送別会の余興練習の一幕
女性三人が余興で楽器を使って演奏を試みるのだけど…一向に噛み合わず、しまいには喧嘩が…😞
大学生と社会人の違い、結婚と未婚の違い、夢と現実の違いを垣間見せながらも、なんとか生きていこー的にみえたが、時代背景がかなり古く、観客もかなり年の人ばかり
どーなんだろ〰️🎵

桜の園

桜の園

桐朋学園芸術短期大学

俳優座劇場(東京都)

2024/02/14 (水) ~ 2024/02/15 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

[Cherry]
演劇ってやっぱり難しいのだなあとしみじみ考え込んでしまった。観る方でなく演じる方ね。これは指導教授が悪い。もっとストーリーに起伏があって分かりやすいものでないと大学二年生では無理だよ。

たてほこ

たてほこ

たすいち

シアター711(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【兜チーム】
面白かった!!
重いテーマを掲げた芝居もいいけど、こうした楽しい時間を作ってくれる芝居も素敵な気分にしてもらえる。
本当にありがとうございます。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/10 (土) 18:30

前夜に続いて2回目の観劇。今回は幕見席で後ろから2列目のセンター。

舞台装置は1週前に上演された「暁月〜あかつき〜」のものとほぼ同じながら、この作品ではあの28人に及ぶ登場人物と彼女らの着物の数…そんなに広い楽屋でもなさそうだし、大変だっただろうなあ。

この作品はシアターグリーン3劇場で実施されている演劇祭「グリーンフェスタ」の審査対象作品ではないが、もしかしたら「暁月〜あかつき〜」ではなく「葵姫〜あふひ〜」を審査対象として参加した方が良かったやもしれぬ。

ところでこの公演が華ノ壱となっているからには、今後も女性だけの舞台も続けていくということか…

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/09 (金) 18:30

大名席(2列目)のセンターブロック下手側通路脇で鑑賞。
3日に観た同団体の「暁月〜あかつき〜」と対をなす作品。「暁月〜あかつき〜」は幕末の日本で人斬り以蔵と恐れられた岡田以蔵を中心とした、従来のAsH作品同様に男だけが躍動する物語(時代劇で女性を登場させない作劇はかなりの困難がつきまとうと思われるのだが)。
そしてこの「葵姫〜あふひ〜」はAsHとしては初めての、女優だけで描かれる幕末の大奥の物語ゆえに期待が大きかった。
因みにAsHには男女混合作が2つだけある。それ以外に源平合戦の屋島の戦いの場で小舟に日輪の扇を立てて源氏に射てみよと誘う玉虫役で灰衣堂自身が後ろ姿のみで出たことはあるが…。

【以下ネタバレBOXにて】

ネタバレBOX

奥向の万事を差配する大奥随一の権力者で、表向の老中に匹敵する役職であった将軍付御年寄の瀧山を軸に、薩摩藩から将軍家に嫁いだ篤姫、皇女でありながら十四代将軍・家茂に降嫁した和宮、十五代将軍慶喜の妻・一条美賀子らが公武合体、大政奉還、江戸城無血開城といった歴史の中でどのように動いていたのかが、濃密な空気感の中で華やかさを伴なって描かれていく。

AsHの看板役者・黒崎翔晴が頭中将役で客演した芸術集団れんこんきすたの源氏物語「雲隠れシンフォニエッタ」(19年3月)に出ていた女優が多く登場するのも、れんこんきすたが解散した今となっては懐かしくも楽しい。

殊に瀧山役の生粋万鈴が圧巻だ。将軍家と大奥のしきたりを絶やすまいとの強い意志をもって動く前半と、江戸城無血開城の後にその目標と頼るべきものを喪失して一人の女となり、叔母と共に死を選ぼうとする終盤の哀れさの表現が素晴らしい。また篤姫と和宮に代わって大奥の皆に向かい江戸城から退出せねばならぬことを告げる場面での説得せんとする必死さも秀逸だ。
その瀧山に仕える仲野役の泉川萌生も舞台は久しぶりながら、存在感を発揮する。殊に終盤で瀧山たちに向かって「ドーンと任せなさい!」と腕を突き上げる場面では、前述の「雲隠れシンフォニエッタ」でいきなり鰹を取り出す場面が思い出され、一人密かにニンマリとしたのだった。

吉水雪乃は描かれる時代と座組の年齢構成からみておそらく和宮役だろうと察してはいたものの、まさかその母親・観行院を実の母親である吉水恭子が演じるとは思いもしなかったのだが、この吉水母娘の共演は所属する風雷紡でも最近はみられなくなり、なんと18年8月の「ロンギヌスの槍」以来のことだ。和宮役の吉水雪乃は前半の婚約者を想っての夢見がちな少女と、帝と民のために降嫁する道を選んでからの強さをうまく演じ分けていたし、吉水恭子も実の母親だけに和宮への思いがより強く迫ってきたのだった。
インヘリタンス-継承- THE INHERITANCE

インヘリタンス-継承- THE INHERITANCE

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2024/02/11 (日) ~ 2024/02/24 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

欧米では時に、こういう大長編劇が出てくる。英米で著名な賞も受賞した大作の翻訳上演である。日本でも、田中角栄伝・四部作なんて作もあるが英米の場合は、この作品も、前の例では、エンジェルス・イン・アメリカでも、長編大河ドラマを一つの架空の劇的世界に設定し切ってしまう構想力がすごい。この大作の素材はアメリカ・ゲイ社会の三年間(前編だけ)である。コロナ直前の2015年から17年まで。新しい作品である。
前世紀末に同性愛者の間にエイズの猖獗があって、欧米では病気という以上に、性関係をもとに築かれる家庭を基盤とした社会を揺るがす衝撃があった。アメリカ社会は同性愛についてかなり神経質になった。それはヨーロッパも同じだが、日本はその圏外にあった。理由はすでに様々な社会学者によって分析されているが、日本は欧米ほど深刻ではなかったことは事実だろう。この芝居を見ているとそういう日・欧米差が良くわかる。(念を押すと、そのことの良い、悪いを言っているのではない)。まだ若い日本の演出者(熊林弘高・2010年デビュー)に気合が入っていて、大劇場の舞台の3時間余を見せ切った、ここが第一点。
舞台は、ニューヨークの高級アパートメントに長年暮らすゲイカップル、エリック(福士誠治、徒食の人?)とトビー(田中俊介・孤児出身・作家)を軸に、エイズを生き抜いた不動産の資産家ヘンリー(山路和弘)と、作品助言者のウオルター(笹井英介・大学の先生?)の高中年の二人、若い世代で、田舎から出てきた美少年アダム(新原泰佑)。この五人を軸に集まったゲイたちの三世代のドラマを描いている。長年のゲイカップルが結婚式を挙げるかどうか思案するところとか、家を持つかどうするか、とか前の時代の家族が一族の柱とした家庭の事情に、今も悩まされるところなどリアリティがある。人間なかなか変わろうとしても変われない。いかにもニューヨークのゲイ同士のこじゃれたパーティシーンから始まり、アブナ絵的なゲイカップル・シーンもある。演出のテンポもシーンのつくりもいいので、つい見てしまうが、物語はやはり日本とはかけ離れた世界なので、今少し登場人物が何をして食っているか、ちょっとした説明があってもいいのではないかと思う。ウオルターなど、せっかく斧語りの説明役的な役回りになっているのに、この人物そのものが良くわからない。アダムを演じた新原の二役のように単純な役割なら、これで成功と言えるだろうが、ドラマの中でもこのゲイ社会はもっと複雑に入り組んでいる。
ドラマは2015年おぱーてーから始まって、16年、17年と同じような場面がメインて、
なかにはトビーの小説あたって、ブロードウエイで上演されるというアメリカンドリームの話も組み込まれ、一つの軸になっている。
この前編の最期はヘンリーが死後に残す家をウオルターとともに訪れるところで終わっている。最後に出てくる家が、いかにもアメリカン・ドリームの家でこういうところにタイトルの人間の継承の面白さを見せたのか、とまぁ、納得はする。しかし、アメリカ社会の現実はもっと荒々しく荒れているのではないか。もう二十年近くあの地に足を踏み入れていないのでよくわからないが、この作品のヒントになったというフォスターの「ハワーズ・エンド」も結局家(家屋)の争いになったことを考えてしまう。この典型的なアメリカのi家庭の家を、いったどう超えようとしているのか、は後編待ちということなのか?


桜の園

桜の園

桐朋学園芸術短期大学

俳優座劇場(東京都)

2024/02/14 (水) ~ 2024/02/15 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

[Cherry]

面白かった。チェーホフはこういうのでいいんじゃないか。44歳にして結核で亡くなる為、遺作となってしまった今作。前説を演るのがまさかのチェーホフ本人(加藤ひか里さん)、観客は襟を正した。

MVPはロバーヒン役の宇崎花怜(かれん)さん。素晴らしい台詞回しで混沌の世界の一条の光となった。
そして主人公である女主人ラネーフスカヤ役のバトアムガラン・エンフトゥールさん。イントネーションから韓国人と勝手に思っていたのだが、モンゴル人の女優。凄え才能。世間知らずの浮世離れした貴婦人ということでこの口調もありにしよう。
万年大学生トロフィーモフ役の菊地芽衣さんも巧かった。
養女ワーリャ役の関口愛維クリスティーンさんも記憶に残る。

唯一の男性はピーシチク役の田中雄大氏。
美術なんか凝っているし、桜吹雪も悪くない。

チェーホフは面白いんだかつまらないんだか未だに分からない。(笑えない喜劇みたいな)。でも学生が「そのよく分からないもの」を懸命にやることで発生する磁場はある。日本ではそういう位置付けでいいんじゃないか。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

知っておくと楽な前知識。

〈パリから帰郷〉

女主人ラネーフスカヤ 夫を亡くした後、息子が川で溺死したショックで屋敷を出、5年前からパリで愛人と暮らしていた。現実と向き合えない放蕩家。

若き召使いヤーシャ ラネーフスカヤに仕えてパリで生活。高慢。

〈パリから母を連れ戻す〉

娘アーニャ 新しい生き方に憧れる。

アーニャの家庭教師シャルロッタ 戸籍もなく、大道芸の旅一座で放浪していた身の上。手品が得意。

〈屋敷(もしくは近辺)で暮らしている〉

養女ワーリャ 屋敷を守っていたキツイ女。修道女に憧れている。

兄ガーエフ 脳内はビリヤードだらけの無能。

メイドのドゥニャーシャ 若き召使いヤーシャに夢中。

管理人のエピホードフ メイドのドゥニャーシャに求婚。運が悪くいつでも失敗ばかり。

老召使フィールス もう呆け老人。

〈地元の人間〉

実業家ロパーヒン 貧農から身を立てた時代の申し子の実業家、金を稼ぐ才覚は群を抜いている。1861年農奴解放令により自由に。

万年大学生、亡き息子の家庭教師だったトロフィーモフ 夢見る理想主義者。

地主ピーシチク 借金まみれのダメ男。すぐ寝る。
たてほこ

たてほこ

たすいち

シアター711(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/10 (土) 13:00

【弓チーム】
コメディ要素は1編目にほぼ集約し、以降はハートウォーミング系の二人芝居3編という前日に観た鎧チームと趣を異にする構成がまたアッパレ。そういえば目崎作品ってこういう側面もあったよなぁ、と改めて気付く。
いやホントこの企画、構成も巧いや♪

たてほこ

たてほこ

たすいち

シアター711(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

剣チームを観劇しました。
4編の短編でしたが、どれも面白かったです。
役者さん達の台詞の間やリアクションも絶妙でした。
個人的には「しのびよるせかい」と「幸不幸ミスマッチ」の2編が可笑しくて、ずっと口元が緩んでいました。
笑いの中にも、何だか深いなと感じる所もある舞台でした。
楽しい時間を過ごせ、満足でした!

COLOR CROW -黄靱之翼-

COLOR CROW -黄靱之翼-

COLOR CROW製作委員会

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

知人に誘われて拝見。アクションシーンで凄い動きをする演者が1人いて目を見張った。

ネタバレBOX

140分近かったと思うが、序盤というか話が動き始めるまでがやけに長く、途中挟み込まれる「笑い」も、演者に何の思い入れもない者としては正直なところ不要に思えるレベル。これらを省けば100分ぐらいのスピード感あふれる舞台になりそうなのに。
兵卒タナカ

兵卒タナカ

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2024/02/03 (土) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

三幕構成、たぶん昭和の初期の頃の日本の農村の実情、日本人の思想を目線の違うところから描かれていて興味深かったです!

う蝕

う蝕

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

年始の地震を踏まえて構成が変更されたらしいけど、近くには監獄島である「カノ島」しかない
交通の便もさほど良くなさそうな漁業と観光業で生計を立てている人が主と思われる島で起こった
“う蝕”とされる自然災害によって、数多くの人が一瞬のうちに溶解した地中に飲み込まれた……と
いう設定、かなりの影響を受けている、というかまんまだなと。

”不条理劇”と銘打たれているけど、見る人によっては鎮魂の一作にもなるし、別の側面から見れば
軽くサスペンスにもなるし、単純に俳優目当てであればいい演技とともにハートフルで少しクスッと
できる作品を観ることができた、ってお得な気分になれる。

とっつきにくそうなタイトルとポスタービジュアル、あらすじに反して実は結構間口が広いと思う。

ネタバレBOX

坂東龍汰や綱啓永など若手人気俳優を起用しているので、どうなるんだろうとかなり興味関心
あったんだけど、みんな何気に叩き上げの人たちばかりなので、尋常じゃなくお芝居が上手い。

特に新人医師として「コノ島」にやって来た木頭役を演じた板東が、嫌味にならないレベルの
ツッコミやジョーク、まっすぐしつつもどこか軽いキャラクターで、ぐいぐい作品を引っ張って
いっていたのが印象的。島に移住している医師・根田役の新納慎也とのタッグがカッチリと
ハマっててついつい笑っちゃう。

というか、この劇ウケどころが多いんですよね。めちゃくちゃ引っ張るササキザキさんネタとか(笑

舞台美術もスゴかった。ひび割れた巨大な漆喰壁みたいなのにキラキラとした薄ピンクのきらめく
光が照らされる中、右端に1本だけちょっとした丸太が立てかけてあるという意味深なセットが
組んであるだけで「これどうなるの?」と思った人ほとんどだと思うんですよ。

まさか開幕とともに真ん中から花開くがごとく、上下左右がバッと開いて視界にがれきの山の
新しいセットが奥まって広がるなんて誰も思わないんじゃないですか……? 爆音で響いた
冷たいダークアンビエントや、大きく開いていく漆喰壁セットの向こうに一瞬だけ見えた、
火災を思わせるメラメラとした赤い光とか、不安と期待を煽るの上手すぎだなって。

作品前半の方は、最近の世情を思わせるようなネタをチラチラ挟みつつ、でもそこに作者としての
メッセージを込めないことで、逆にエモくなりすぎるのを避けていた気がする。私たちが今いる
客席と舞台上をリンクさせつつ、完全に感情移入まではさせないようにするというか。

最後の方で木頭と加茂がすでに「第2のう蝕」で亡くなっていることが明言され、物語は一気に
鎮魂的な方向に向かうわけで、加茂の亡くなった後に墓標を立てる静かな終わり方もそれを
踏まえているんだろうけど。

この物語、主要人物以外の第3者の目が入ってこない(「第2のう蝕」以降、ほとんどの住民が本土へ
避難しているという設定)ので、実は死んでいるのは6人全員なんじゃないか?って思ってた。

ササキザキさん最後らへんで消えてたのも「あ、もしかしたら……」って感じたし、根田も災害後に
自分がどう感じ考えればいいか分からなくなったことにひどく苦悩してたけど、未曽有の災害で
心の傷を負ったという見方のほかに、もうすでに死んでいて感情や感覚を失っちゃっているのでは、と
感じた。

地中深く沈んだはずの木頭の遺体だけ見つけられた、というのも不思議なんだよな。死んでいることにすら
気付かないまま、沈丁花手にして慰霊と遺体発見に打ち込んでるんじゃないか……って。こういう読みも
できるので一見の価値はあると思う。ただ前半特に世界観と密接した長尺のセリフが続くので、ウトウト
してしまう危険性はありますが……。

「考えるのが無理だったら祈り続ければいい」というササキザキさん(笑)の言葉すっごく刺さったな。
小栗判官と照手姫

小栗判官と照手姫

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

美女揃いの艶やかな舞台。受付から綺麗所ばかり。
思い出すのは2018年2月、metroで演った月船さららさん主演『衣衣 KINUGINU』。泉鏡花の短篇と古浄瑠璃の『一心二河白道(いっしんにがびゃくどう)』をアレンジした傑作。余りに素晴らしくて2回観に行った。自分は仏教説話が好きなんだな、とつくづく思い知った。

今作も説経節『小栗判官』を底本に因業渦巻く伝奇浪漫。
津軽三味線をエレキギターのように搔き鳴らす駒田早代(さよ)さんの登場から最高だ。見事な説経節を唸り語り唄うのは河西茉祐(まゆ)さん。この二人こそが今作の主人公に思えた。
更に百鬼ゆめひなさんは等身大の照手姫人形を一人出遣いで舞わしてみせる。
幕が開けば打って変わって絢爛豪華できらびやかな女優達が舞うオープニングに。片岡自動車工業の『お局ちゃん御用心!!!』にも似たエンタメ振り。

下手の黒い壁に歌詞や口上が字幕で投映されることが素晴らしい。これはこの手の作品には絶対あったほうが良い。作品への没入度が変わってくる。これが無かったらぼんやり観ていた気がする。

ヒロインの森岡朋奈さんは宝生舞系の美人。美声で歌が映える。
手塚日菜子さんはハマカワフミエさんっぽかった。
月岡ゆめさんはちゅりっぽい。
浜田えり子さんは松原千明似の美人。
山田のぞみさんと本間美彩(みさ)さん兄弟が印象に残る。

妖怪人間ベロの正体に似た餓鬼阿弥の造形が最高。演じる者は一体誰なんだ?
『ロード・オブ・ザ・リング』のハワード・ショアっぽい劇伴。
想像以上に面白かった。

ネタバレBOX

第二幕にていよいよ登場ののぐち和美さんは劇団☆新感線なんかの大御所悪役の存在感。『ジェダイの帰還』のガモーリアンを思わせる兇悪な風貌とやたら通る美声がヴィランとしてキャラ立ち。往年の角川伝奇映画の魅力、素晴らしい。やっぱり悪党が映える。
小谷佳加(よしか)さんは毎回コロッケのような芸達者な役で観客席を温めてくれる。
寺田結美さんは宝塚調の美男子振り。

自分が興醒めしたのは第二幕の音楽の使い方。久石譲や坂本龍一っぽい感動的な曲が押し付けがましい。「はい、ここ感動するところ」的な雑なやり方が好きじゃない。
寺田結実さんと水嶋カンナさんが歌う歌謡ロックも好みじゃない。
ラスト、河西茉祐さんが歌うボカロ曲みたいなのも駄目だった。ここは好みなのでしょうがないが、ひたすら暗い曲で攻めた方がリアル。

餓鬼阿弥が小栗判官に早変わりするシーンは驚いた。
「私は自分の罪をずっと考えていたのだが・・・、人は誰も罪なぞない!阿弥陀如来様が全ての衆生をお救いになられたのだ。さあ先へ進むぞ!」
百鬼ゆめひなさんが照手姫人形の着物をはだけると、赤い糸で結ばれた無数の小さな人形がゆらゆらぶら下がっている。人の中にこそ無限の宇宙が広がっているのか。

ラストは自分ならBUCK-TICKの『見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ』(ALBUM VERSION)を掛けたいな、と思って観ていた。すると水嶋カンナさんが来年は『新雪之丞変化』の再演を演ると言う。作品中にはB−Tの曲がガンガン掛かるらしい。櫻井敦司氏の追悼も込めるとのこと。ちょっと驚いた。

室町時代前期、現在の茨城県筑西(ちくせい)市に城を構えていた小栗氏。その地を治めていたのは、室町幕府の出先機関・鎌倉府の長官、足利持氏(もちうじ)だった。1415年、関東で上杉禅秀が謀反を起こすも幕府軍の反撃に遭い敗れる。この時小栗満重も禅秀に与した為、所領の一部を没収される。それを恨み1422年大規模な反乱を起こすも(「小栗満重の乱」)、翌年幕府軍に鎮圧され自害した。
だが実は小栗満重は死なず、現在の神奈川県の横山大膳を頼って落ち延びた、というのが「小栗判官伝説」。
この時、横山大膳の娘の照手姫と恋仲になる。だが横山大膳は小栗満重の首を幕府に差し出して褒賞を得ようと、宴の席で家臣諸共毒殺する。
地獄に堕ちた小栗満重だったが家臣達の嘆願により閻魔大王は温情を与え、餓鬼阿弥の姿で現世に戻される。夢の御告げを受けた遊行寺の大空上人は土車に餓鬼阿弥を乗せ、「この者を一引きひけば千僧供養、二引きひいたは万僧供養」と札にしたため、熊野の湯の峰を目指させる。通り掛かった信心深き者達が「えいさらえい!」と土車に括られた縄を引いてくれるのをひたすら待つ他力本願。
現在の和歌山県田辺市にある湯の峰温泉。約1800年前に発見されたという日本最古の温泉。平安時代後期、浄土教の阿弥陀信仰の広がりとともに熊野の地は浄土と重ねられた。

「鎌倉大草紙」「説経節」「浄瑠璃義太夫節」「歌舞伎」と全部バリエーションが違う。満重の息子、小栗助重が主人公だったりもする。
神奈川県藤沢市や相模原市、和歌山県など各地に残る伝説。
兵卒タナカ

兵卒タナカ

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2024/02/03 (土) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

それは実在の国か、幻か。いや、虚構とか現実をハナから規定しないのだ。
主人公タナカの純粋な故の、その傾けが反転したとき、裁かれるべき者は誰という「タブー」が表出する。

Musical  Collection 1 陽だまりに青

Musical Collection 1 陽だまりに青

Muse:Am

シアターシャイン(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コンパクトでシンプルなミュージカルでしたが、大いに楽しめました。結構シリアスな話なのに、楽曲のせいなのか、爽やかな雰囲気。主演の渡辺七海さん、印象的でした。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

幕末の大奥を舞台にした群像劇、見事ですね。結構長尺でしたが、時間は気になりませんでした。女性キャストのみで、これだけの多くの出演者が集うと、実に壮観。

はなすすき

はなすすき

相州雅屋

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/02/13 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

人情時代劇、大いに楽しめました。ちょっと無理めの展開かもしれませんが、大岡裁きは実にいい。風祭ゆきさん、懐かしい。

夕暮れの旅人たち

夕暮れの旅人たち

表現集団蘭舞

シアター2+1(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

恋愛群像劇、ちょっとベタな展開ですが、なかなかに楽しめました。登場人物が多くて、詰め込み過ぎな感がありましたが、当日パンフを事前に読んでいたので、ついていけました。

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