ハロウィンの夜に咲いた桜の樹の下で
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/11 (火) 14:00
座席1階
「桜の樹の下で」というのがキーワードだ。「ああ、今日はいい夜だ」というせりふがあるが、小春日和(夜だけど)の中で、季節外れで咲いてしまった桜が舞い散る。ごちゃごちゃに絡んでしまった複雑な人間関係の糸が、ぱあっとほどけていくような爽快感。そんな思いに共感できるいい舞台だった。
冒頭は結構衝撃的だ。大酒飲んで家に帰ってきて居間で眠り込んでしまった中年男性。目が覚めるとなぜか、全身パンダの着ぐるみでパンダメークまでしていて「なんだこれは」と絶叫する。それもそのはず、前夜の深酒がたたり、たまたま立ち寄ったスナックでハロウィンのコスプレをしたことを全く覚えていなかったからだ。さらに、居間の片隅で見知らぬおじさんが寝ていた。何とこの人、深酒した自分をマンションの部屋まで連れてきてくれたのだという。
そればかりではない。舞台が進行するにつれ、次々に見知らぬ人が訪ねてくる。その人は誰なのか、何で訪ねてくるのか。どうも前夜のことと関係があるようなのだが、はっきり思い出せない。それは恐怖であるに違いない。
しかし、舞台の進行と共に、実はそんなに悪くない出会いであると解き明かされていく。最終的には前向きな気持ちで次のステップを踏んでいけるというところが扉座らしい。もっとも、こうした物語の展開は横内謙介の妄想の産物なのだが、誰もが経験があるような妄想を劇作にしてしまう才能、やっぱり劇作家の思考回路だ。
テーマソングは「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。かまやつひろしのこの曲を座高円寺で聴けるとは思わなかった。この曲が流れていたとき、自分もまだ、この曲のいい味を分かる年齢ではなかったのだが、若き扉座ファンにとってはムッシュと言われてもピンとこないであろう。
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「あかあかと一本の道とほりたり たまきはる我が命なりけり」
アララギ派(正岡子規の信奉者)の師である伊藤佐千夫が脳溢血で早逝。「師匠の照らした遠く続くこの一本道を魂の極わるまで歩き続けなくてはならない。」との覚悟の歌。
正岡子規の掲げた写実(写生)主義とは、絵画の方法論と同じく現実をありのままに写すこと。
更に斎藤茂吉はそれを深め、『実相観入』という造語を生み出した。自然と自分とを同一化し、対象に観察者である自己の存在をぶつけて生命そのものを写すこと。
1945年9月、敗戦してまだ一ヶ月、混乱の世相。郷里の山形県金瓶(かなかめ)村で妹の嫁ぎ先の離れに疎開していた斎藤茂吉(緒方晋氏)、63歳。精神科医で歌人。戦時中に「戦争詠み(時局詠)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることに。近所の農婦(柿丸美智恵さん)が賄い婦として食事の世話をしてくれている。様子を見に東京から立ち寄った次男(西尾友樹氏)は手紙で兄である長男(浅井伸治氏)と斎藤茂吉の弟子である山口茂吉(岡本篤氏)を呼び寄せることに。
MVPは柿丸美智恵さん。実質、彼女が主人公なんだろう。凄腕。
西尾友樹氏は非常にコミカルな役を怪演。異常にどったんばったん地面に転がり、全身を使って笑いを取る。肘上に痣が見えた。かなり身体を酷使した役作り。煙草やマッチが散らばり、土塊が散乱。
緒方晋氏は大御所役者の風格。体調不良で降板した村井國夫氏の代役なのだがそれを全く感じさせない。彼以外考えられない。
戦後の松竹映画の雰囲気。淡々とした描写を重ねて内面を風景で補完させる。
観れるのであれば必ず観ておくべき作品。
是非観に行って頂きたい。
まるは食堂2024
Nana Produce
座・高円寺1(東京都)
2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了
実演鑑賞
何度目かこのタイトルをチラシで見て(「続」が付いたのも同じデザインらしく)、「では一度観てみるか」と足を運んだ(正に宣伝効果)。
実話に基づく芝居であり、知多半島で夫婦で漁師をしていたおかみが夫の若死にから紆余曲折を経て食堂そして旅館を経営するようになった一代記なのだが、脚本・演出は佃典彦、恐らく中京文化圏における「郷土史の宝発掘」の趣きである。従って「いい話」という大前提がある。何しろ女将は近年まで実在したのである。
これは演劇が一つの「歴史」を描く際にどういうスタンスがあり得るかを考えさせる。
私はこの舞台に物足りなさを感じたのだが、その大部分は竹下景子の演技であった。女将という既に大きく認知された存在、その評価の量的大きさに、竹下景子というタレントのタレント性の量的大きさを当てている、その企図だけが私の目に入って来る。特に鼻に付く演技をしているわけでも目立ち過ぎといった事でもない。一見普通にお芝居をしているのだが、その演技の根底に、「俎上に乗る」覚悟がない。女将という存在は大きく、その大きさを体現できるわけではない自分を、彼女はどう処しようとしたのだろうか。シリアスな場面も無くはないが、基本コメディタッチである。これは演出の意図に違いないが、そこに乗っかる主役として、何らかの人物像(決して本人にはなり得ないが俳優なりに作り出した)を果して提示しようとしたのか・・そこに大きな疑問が残る。その作業を「敢えてしなかった」のかも知れず、演出のリードではその余地を見出す契機を捕えられなかったのかもしれないが、私には「さぼった」としか思えない。つまりそこがボッカリ穴になって見えた。
感情を露わにする真剣な演技が出る場面もある。だが、他の場面になると「戻って」しまう(そのように見える)。
一つの人生を描いてはいる。だがこの女将でなくても良かった。全く架空の人を描いた事にしても良かった。何だかそう思えてしまった。酷評であるが、私がこだわる部分に「抵触」してしまったようである。
(株)デスゲーム工務店
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/02 (日) 14:00
とある会社が企画・進行・開場設営を請け負ったデスゲームで発生した「不測の事態」の顛末。
基本的にはコメディで前半は笑いの渦だが次第にサスペンス要素が強まりその事態が偶発的なものではなく実は仕組まれたものだったと明かしてさらに二転三転させるわ復讐の是非やその原因となる問題に言及するわと社会派的な部分も持ち合わせているのが巧み。4年ぶりに観たがさすがだなぁ……。
きなこつみ物語(再演)
劇団きらら
M★うぃんぐ(JR三股駅内多目的ホール)(宮崎県)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
レモネードのつくりかた
劇団108
山王FOREST 大森theater スタジオ&小劇場(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
パステルと星空キャンバス
しめじ
ABCホール (大阪府)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
優しい人から先に辛い目に遭うのは、現実を見回すと痛い程わかる。
この作品中の数々の残酷な物語の先にあった救いの星空が、現実世界の人々にも見ることができることを祈ります。
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初めてみましたが、素晴らしかったです✨
笑いあり涙ありで、歌もダンスも楽しませて頂きました✨
キャスト陣の演技力に驚かされました🥺
みなさんお疲れ様でした!
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
短編作品集『3℃の飯より君が好き』
劇団印象-indian elephant-
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
Aチームを鑑賞。
2作品とも面白く観ることが出来た。ただ,短編2本という構成からやむを得ないのかもしれないが,観劇後に残るものが薄くなってしまったのでは。もちろん,表題作はただ観ていてもそのドタバタは面白いし,深読みすれば更に面白みもあったのだが,印象さんの芝居は,前々回のチャペックが初めてで,その影響もあるのかもしれないが,もう一つ何かと思ってしまったことも否めない。もしかしたら,Bチームも観ておけばその対比から面白さが増したのかもしれないが…
Dear・異邦人
劇団「楽」
スタジオR(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
ファジー「theirs」
TeXi’s
アトリエ春風舎(東京都)
2024/06/09 (日) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
よくわからないですね。かといって、面白くないという訳でもない。80分、時間以上に長く感じましたが、完見できました。引きこもりは支援者があってはじめて成り立つ行為で、何をしても全て加害者になってしまうのはつらいな。
短編作品集『3℃の飯より君が好き』
劇団印象-indian elephant-
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
Aチーム観劇。2本立ての短編集。一本目の朗読劇は今風の中学生日記か。何か懐かしい感じですね。二本目は温度差のある夫婦の再生物語。シュールだけど、リアルに響きますね。ああ、身につまされます。
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
コエコガレ
戌吸い企画
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
描いている内容(テーマ)は、切り口が多少異なるが、この1年で同じような公演を3~4本観ており、既視感があり新鮮味が感じられなかったのが残念。問題意識も高く、訴えていることの重要性は理解しつつも、舞台となると もっと刺激的というか関心・興味を惹かせるものがほしい。あまりにオーソドックスな描き方なのだ。
またカーテンコール(アフタートークのような)で、キャスト1人ひとりが<舞台(公演)についての感想>を述べていたが、異口同音に脚本・演出家への辛口コメント?
実は、自分も劇中における このシーンが気になって…。
(上演時間1時間)
短編作品集『3℃の飯より君が好き』
劇団印象-indian elephant-
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「メイクアップ」は、ある公共劇場の企画で「子供に伝えたいこと/子供と考えたいこと」というテーマで30分の戯曲として応募したものらしい。この作品はベタな青春ドラマ、ショートムービーといった印象で、朗読劇としては 脳内にしっかり映像化が出来た。その意味で分かり易い作品だ。
「3℃の飯より君が好き」は、夫婦の会話劇であるが、人と社会の夫々の距離感というか関係性、その表し難い内容を舞台を通して描いており面白い。
どちらの作品も照明技術が巧く、眼前で演技している役者の姿、その人影を壁に映し出し、人物の多面的な捉え方を観せているよう。
(上演時間1時間30分 休憩なし)【Aチーム】
破壊された女
お布団
サブテレニアン(東京都)
2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
お布団は昨年7月漸く初観劇してまだ二度目ながら、期待値は勝手に上昇。一人芝居という事で難解さもある程度覚悟して観劇に臨んだが、その覚悟を上回り、汲み取れずに見終えてしまった。
台本を買い、半分を割とすぐ、残りを一週間後に読む。やはり厳しいものがあった。台本から若干端折った部分があったのかどうなのか・・中盤に差し掛かったあたりで台本では台詞を断ち切るように「暴力が発動」、「身体が倒れる。立ち上がる。」と指定するト書きが頻出する。これ、やっていたか、別の動作で代替していたか、も忘れた。途中瞑想の時間が生じてたのやも。ほぼ全編、客席に向かって俳優は語る。例外は、三部構成の二部で「女」が働く現場の描写が(これも語りの台詞を断ち切るように)頻繁に差し挟まれる。「先にお席の確認からお願いします」(カフェでの接客)、その職場を出て、次はコンビニ「いらっしゃいませ」「申し訳ありません。トイレの貸出しは行なっておりません。」・・ここではカスハラ客のネチネチと怒って来るその客の台詞も言う。(このやり取りは「語り」の内容のヘビーさと相まってかなり消耗する。)
第一部は「彼女」の物語。「絶望」や「悪」という、「彼女」が帯びる属性について語られる。他者の物や、人との関係、希望や生き甲斐を「奪う」技に長け、そこにしか「生きる実感」を感じる事がないことを自覚し、それを実践する。
この内面描写的な始まりから、少し進むと叙事詩的展開となる。「彼女」はやがてカリスマ的存在としてカルトの教祖のようになり、「現実を生きづらい人たち」の帰依の対象となる。使徒を引き連れた彼女は「悪」の実践の果てに地上を破壊するが、正義の勇者によって殺される。さらに話は神話的となる。彼女は復活し、再び悪を為す。そして二度殺された後は、彼女という存在がアイテムとして流通し、象徴となり、果てはゲームキャラとなり、消費され尽くす。絞り取られた「彼女」のエキスは枯れた挙げ句ついに完全に消えてしまう。これが第一部。
「彼女」について語った「女」は、さてこれからどう生きるかと現実に立たされている。第二部には現代の風景がある。コンビニやカフェで働く接客場面の台詞、そしてチック症状のような動作が、「語り」の台詞を絶えず中断させる。動作は単純作業(例えばコンビニでの仕事)を手が習慣的に覚えていて勝手にしようとし、それを止める、といったもの。語りはいつしか「女」にとっての「彼女」、を語る「私」の語りになっている。女の内面にある「彼女」の残滓についての言葉は、人は何によって立つか、生の根拠、力の源、といった要素について語っているようで。
そして第三部はどうやら、既存のそれも含めた「神」と、人間の関係を語っているようだ。結語のあたりで、「神は死んだ」という言い尽くされた事実が、もちろん別表現でではあるが据えられ、語りは終わる。この部分が私には、結局着地できなかった思考の経過を見せられたような余韻を残した。舞台を観ての「わからなさ」の理由は、思考が辿る旅が終着点に来たと感じられない自分にあった、のかも。
現代人の存在のあやふやさを、神的な要素をメスとして切り開き語ろうとした試み、それ自体は大変応援をしたくなる内容ではあった。
テキストは現代の生にまとわりつく精神的な「生きること」を巡る困難を想起させる。物語としては成立した(書き切れた)とは言えず、スッキリもしないが、問題の球をガンガンと投げている。
聖ダジュメリ曲芸団
おぼんろ
Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)
2024/05/30 (木) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/04 (火) 13:00
MIXAでの公演も回を重ねるにしたがって会場の使い方がうまくなり、以前のもっと小さな劇場やテント、廃工場での公演のようなアットホームな雰囲気も徐々に増してきました。
詳細不明劇
B子
イズモギャラリー(東京都)
2024/06/09 (日) ~ 2024/06/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
え、4つタイトルが出てるけどどれを観たのか、それとも全部ふくまれてるのかまるで分らないけど、なんか気になりますね。
象の絵文字はたんなる色違いじゃなくてインド象とアフリカ象じゃないでしょうか(私見)。