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ハロウィンの夜に咲いた桜の樹の下で

ハロウィンの夜に咲いた桜の樹の下で

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/11 (火) 14:00

座席1階

「桜の樹の下で」というのがキーワードだ。「ああ、今日はいい夜だ」というせりふがあるが、小春日和(夜だけど)の中で、季節外れで咲いてしまった桜が舞い散る。ごちゃごちゃに絡んでしまった複雑な人間関係の糸が、ぱあっとほどけていくような爽快感。そんな思いに共感できるいい舞台だった。

冒頭は結構衝撃的だ。大酒飲んで家に帰ってきて居間で眠り込んでしまった中年男性。目が覚めるとなぜか、全身パンダの着ぐるみでパンダメークまでしていて「なんだこれは」と絶叫する。それもそのはず、前夜の深酒がたたり、たまたま立ち寄ったスナックでハロウィンのコスプレをしたことを全く覚えていなかったからだ。さらに、居間の片隅で見知らぬおじさんが寝ていた。何とこの人、深酒した自分をマンションの部屋まで連れてきてくれたのだという。
そればかりではない。舞台が進行するにつれ、次々に見知らぬ人が訪ねてくる。その人は誰なのか、何で訪ねてくるのか。どうも前夜のことと関係があるようなのだが、はっきり思い出せない。それは恐怖であるに違いない。
しかし、舞台の進行と共に、実はそんなに悪くない出会いであると解き明かされていく。最終的には前向きな気持ちで次のステップを踏んでいけるというところが扉座らしい。もっとも、こうした物語の展開は横内謙介の妄想の産物なのだが、誰もが経験があるような妄想を劇作にしてしまう才能、やっぱり劇作家の思考回路だ。

テーマソングは「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。かまやつひろしのこの曲を座高円寺で聴けるとは思わなかった。この曲が流れていたとき、自分もまだ、この曲のいい味を分かる年齢ではなかったのだが、若き扉座ファンにとってはムッシュと言われてもピンとこないであろう。

白き山

白き山

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「あかあかと一本の道とほりたり たまきはる我が命なりけり」
アララギ派(正岡子規の信奉者)の師である伊藤佐千夫が脳溢血で早逝。「師匠の照らした遠く続くこの一本道を魂の極わるまで歩き続けなくてはならない。」との覚悟の歌。
正岡子規の掲げた写実(写生)主義とは、絵画の方法論と同じく現実をありのままに写すこと。
更に斎藤茂吉はそれを深め、『実相観入』という造語を生み出した。自然と自分とを同一化し、対象に観察者である自己の存在をぶつけて生命そのものを写すこと。

1945年9月、敗戦してまだ一ヶ月、混乱の世相。郷里の山形県金瓶(かなかめ)村で妹の嫁ぎ先の離れに疎開していた斎藤茂吉(緒方晋氏)、63歳。精神科医で歌人。戦時中に「戦争詠み(時局詠)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることに。近所の農婦(柿丸美智恵さん)が賄い婦として食事の世話をしてくれている。様子を見に東京から立ち寄った次男(西尾友樹氏)は手紙で兄である長男(浅井伸治氏)と斎藤茂吉の弟子である山口茂吉(岡本篤氏)を呼び寄せることに。

MVPは柿丸美智恵さん。実質、彼女が主人公なんだろう。凄腕。
西尾友樹氏は非常にコミカルな役を怪演。異常にどったんばったん地面に転がり、全身を使って笑いを取る。肘上に痣が見えた。かなり身体を酷使した役作り。煙草やマッチが散らばり、土塊が散乱。
緒方晋氏は大御所役者の風格。体調不良で降板した村井國夫氏の代役なのだがそれを全く感じさせない。彼以外考えられない。

戦後の松竹映画の雰囲気。淡々とした描写を重ねて内面を風景で補完させる。
観れるのであれば必ず観ておくべき作品。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

岡本篤氏がやたら咳き込むので、体調が悪い中の出演か?と思って観ていたらそういう役だった。
西尾友樹氏の演じた次男は後に作家として大成功する。精神科医の傍ら北杜夫のペンネームで作家となり、旅行記的エッセイ『どくとるマンボウ』シリーズはベストセラーに。芥川賞も獲り順風満帆だったが、躁鬱病を発症し狂乱の株取引で自己破産。周囲から借金を繰り返し準禁治産者宣告を受けることに。
浅井伸治氏の演じた長男・斎藤茂太も精神科医、随筆家として名を残す。日本旅行作家協会を設立する程の旅行好き。

物語はただの農婦キャラだった柿丸美智恵さんが実は短歌好きで正岡子規や斎藤茂吉の『赤光』を発売当時から買い求めていたことを告げてから動き出す。言葉に出来なかった自分の気持ちを作家が代弁して形にしてくれたように思えた嬉しさ。名もなき自分の誰にも伝えることの出来ない想いが作品として刻印されること、その瞬間を封じ込めた一冊の本。
山形県と宮城県の境として屹立する蔵王連峰。その峻厳なるフォルムは古来より人を本能的に畏怖させる。戦争に息子達を取られてからというもの、蔵王を眺めれば恐怖と苦しみ、痛々しい悲痛な想いしか感じられなかった。息子を全て失って、今蔵王を見遣ると、何故だか「頑張れ!頑張れ!」との励ましの声が聴こえてくる。何故だろうか?

その話をじっと聞いていた斎藤茂吉(緒方晋氏)ははっと気付く。自分が歌を詠めなくなったのは自分自身の心の問題であった。自分が『実相観入』によこしまな意識を入れたせいだ。間違っていた。自然は常に「生きろ」と告げる。「死にに行け」なんて言う筈がない。その声が聴こえなくなったのは自分の心の問題だ。彼はまた自分の中に歌を見付け出すラスト。

ただ自分が物足りなさを感じたのは脚本の密度なのかも知れない。歌人の再生物語としては弱い。

太平洋戦争開戦は日本国民の大多数が支持していた。米英の経済封鎖に我慢に我慢を重ねて来た日本が到頭怒りの鉄拳を振るう時。国民は往来で口々に万歳を叫び、士気を鼓舞した。自国が戦地でなければ戦争はオリンピックのようなもの。国民的歌人の斎藤茂吉が戦争詠みをするのは至極当然の事。誰も日本が戦争に大敗し無条件降伏を呑んで占領されるなんて想像していなかった。
1945年9月18日、朝日新聞に載った鳩山一郎の談話が問題になり、GHQは発行停止処分にした。原爆投下や市街地への無差別空襲は国際法違反であるとの内容。この日から米軍批判は絶対的タブーとなり、言論統制が始まる。GHQは「ウォー・ギルト・プログラム」という計画を立て、「戦争の有罪性」を日本国民に知らしめていく。全国紙に連載された「太平洋戦争史」とラジオ・ドキュメンタリー番組「真相はこうだ」の放送。続く戦犯認定と東京裁判、左翼活動家達の釈放。日本人の価値観はたちまち引っくり返り、自分達は軍部の恐怖政治に支配されていた無辜の民、被害者であったことにした。

実際の斎藤茂吉は「戦争詠み」に全く恥じてなどいなかった。国民の思いを代表して詠むことの何が悪いのか?逆に敗戦で価値観が簡単に引っくり返ることの方が恥ずべきこと。戦争を起こしたのは無辜の民で、自分達自身であることに向き合うべき。自分を断罪せず、他人のせいにしていてはこれからも何も変わらない。

※ここから余談、黒澤明の『醜聞〈スキャンダル〉』の冒頭、画家の三船敏郎が山を描いている。地元民がその様子を眺めているが、現実と絵の山とは全くの別物。そのことを訊ねると「目だけではなく自分の心全体を使ってこの山を受け止めているんだ。」的な言葉を返す。(うろ覚えなので全然違ったかも知れない)。元々画家志望だった黒澤明、こんなふうに考えているんだなあと参考になった。
そして晩年の『夢』の第5話『鴉』。美術館でゴッホの絵を眺めている黒澤明。そのうち絵の中に入り込んでその景色の中を歩き回っている。随分と彷徨うと作者であるゴッホを見付ける。黒澤明にとって絵を観るという行為は、魂のレヴェルでそれを描いた作家と会って対話することであったのだ。当時驚いた記憶がある。
まるは食堂2024

まるは食堂2024

Nana Produce

座・高円寺1(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

何度目かこのタイトルをチラシで見て(「続」が付いたのも同じデザインらしく)、「では一度観てみるか」と足を運んだ(正に宣伝効果)。

実話に基づく芝居であり、知多半島で夫婦で漁師をしていたおかみが夫の若死にから紆余曲折を経て食堂そして旅館を経営するようになった一代記なのだが、脚本・演出は佃典彦、恐らく中京文化圏における「郷土史の宝発掘」の趣きである。従って「いい話」という大前提がある。何しろ女将は近年まで実在したのである。
これは演劇が一つの「歴史」を描く際にどういうスタンスがあり得るかを考えさせる。

私はこの舞台に物足りなさを感じたのだが、その大部分は竹下景子の演技であった。女将という既に大きく認知された存在、その評価の量的大きさに、竹下景子というタレントのタレント性の量的大きさを当てている、その企図だけが私の目に入って来る。特に鼻に付く演技をしているわけでも目立ち過ぎといった事でもない。一見普通にお芝居をしているのだが、その演技の根底に、「俎上に乗る」覚悟がない。女将という存在は大きく、その大きさを体現できるわけではない自分を、彼女はどう処しようとしたのだろうか。シリアスな場面も無くはないが、基本コメディタッチである。これは演出の意図に違いないが、そこに乗っかる主役として、何らかの人物像(決して本人にはなり得ないが俳優なりに作り出した)を果して提示しようとしたのか・・そこに大きな疑問が残る。その作業を「敢えてしなかった」のかも知れず、演出のリードではその余地を見出す契機を捕えられなかったのかもしれないが、私には「さぼった」としか思えない。つまりそこがボッカリ穴になって見えた。
感情を露わにする真剣な演技が出る場面もある。だが、他の場面になると「戻って」しまう(そのように見える)。
一つの人生を描いてはいる。だがこの女将でなくても良かった。全く架空の人を描いた事にしても良かった。何だかそう思えてしまった。酷評であるが、私がこだわる部分に「抵触」してしまったようである。

(株)デスゲーム工務店

(株)デスゲーム工務店

電動夏子安置システム

赤坂RED/THEATER(東京都)

2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/02 (日) 14:00

とある会社が企画・進行・開場設営を請け負ったデスゲームで発生した「不測の事態」の顛末。
基本的にはコメディで前半は笑いの渦だが次第にサスペンス要素が強まりその事態が偶発的なものではなく実は仕組まれたものだったと明かしてさらに二転三転させるわ復讐の是非やその原因となる問題に言及するわと社会派的な部分も持ち合わせているのが巧み。4年ぶりに観たがさすがだなぁ……。

きなこつみ物語(再演)

きなこつみ物語(再演)

劇団きらら

M★うぃんぐ(JR三股駅内多目的ホール)(宮崎県)

2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

和菓子が食べたくなってきた。
短い時間でテンポよく見せている。

ネタバレBOX

今起こっているカスタマーハラスメント等の「窮屈な状態」の萌芽を
ストレスなく見せる手腕はさすが。
レモネードのつくりかた

レモネードのつくりかた

劇団108

山王FOREST 大森theater スタジオ&小劇場(東京都)

2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

パステルと星空キャンバス

パステルと星空キャンバス

しめじ

ABCホール (大阪府)

2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

優しい人から先に辛い目に遭うのは、現実を見回すと痛い程わかる。
この作品中の数々の残酷な物語の先にあった救いの星空が、現実世界の人々にも見ることができることを祈ります。

心は孤独なアトム

心は孤独なアトム

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めてみましたが、素晴らしかったです✨
笑いあり涙ありで、歌もダンスも楽しませて頂きました✨
キャスト陣の演技力に驚かされました🥺
みなさんお疲れ様でした!

心は孤独なアトム

心は孤独なアトム

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

キャストの皆様、お疲れ様でした。

めちゃくちゃ泣いた。

心、震えた。

後半の回収エグい。

短編作品集『3℃の飯より君が好き』

短編作品集『3℃の飯より君が好き』

劇団印象-indian elephant-

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Aチームを鑑賞。
2作品とも面白く観ることが出来た。ただ,短編2本という構成からやむを得ないのかもしれないが,観劇後に残るものが薄くなってしまったのでは。もちろん,表題作はただ観ていてもそのドタバタは面白いし,深読みすれば更に面白みもあったのだが,印象さんの芝居は,前々回のチャペックが初めてで,その影響もあるのかもしれないが,もう一つ何かと思ってしまったことも否めない。もしかしたら,Bチームも観ておけばその対比から面白さが増したのかもしれないが…

Dear・異邦人

Dear・異邦人

劇団「楽」

スタジオR(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2人芝居。切なくて良い話でした。良い時間をありがとうございました

ファジー「theirs」

ファジー「theirs」

TeXi’s

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/09 (日) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

よくわからないですね。かといって、面白くないという訳でもない。80分、時間以上に長く感じましたが、完見できました。引きこもりは支援者があってはじめて成り立つ行為で、何をしても全て加害者になってしまうのはつらいな。

短編作品集『3℃の飯より君が好き』

短編作品集『3℃の飯より君が好き』

劇団印象-indian elephant-

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Aチーム観劇。2本立ての短編集。一本目の朗読劇は今風の中学生日記か。何か懐かしい感じですね。二本目は温度差のある夫婦の再生物語。シュールだけど、リアルに響きますね。ああ、身につまされます。

心は孤独なアトム

心は孤独なアトム

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

歌声とダンスで迫力満点でした!
客席通路を走り抜けることで臨場感もすごかったです!

心は孤独なアトム

心は孤独なアトム

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観てきました。複数回観るとより面白さが解ると思いました。

ネタバレBOX

アトム兄弟と後半の警察は笑わせてもらってます。

ストーリーも少年期から大人になっている過程が混ざってて、初めてよりか二回観てよりわかる感じでした。
コエコガレ

コエコガレ

戌吸い企画

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2024/06/08 (土) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

描いている内容(テーマ)は、切り口が多少異なるが、この1年で同じような公演を3~4本観ており、既視感があり新鮮味が感じられなかったのが残念。問題意識も高く、訴えていることの重要性は理解しつつも、舞台となると もっと刺激的というか関心・興味を惹かせるものがほしい。あまりにオーソドックスな描き方なのだ。

またカーテンコール(アフタートークのような)で、キャスト1人ひとりが<舞台(公演)についての感想>を述べていたが、異口同音に脚本・演出家への辛口コメント?
実は、自分も劇中における このシーンが気になって…。
(上演時間1時間) 

ネタバレBOX

ほぼ素舞台で、一部凸状になった所あり。動物が戯れる玩具、そんな小道具が散在。
説明では<モノ>であると書いてあるが、チラシの絵柄等から容易に想像がつく。動物虐待・殺処分を取り上げた内容。

主人公 一宮(岡 ちひろサン)は学生の頃、動物を拾い警察に届け出るが、遺失物扱いで不安に思い連れ帰る。しかし 家では飼えず途方に暮れる。なんとか飼い主を見つけるが不幸にも…。この辛い思いから、動物愛護・保護の仕事に就く。捨てられた犬・猫の飼い主探し、そんな橋渡しの仕事に生き甲斐を感じていた。しかし自分の体調変化に気づかず、緊急入院・手術する羽目に…。残された犬・猫はどうなるのか?

物語は何の波乱もなくハッピ-エンド。出来れば幾つかの困難な出来事を入れることによって、内容に幅と深みが増し、観客に考えさせることが出来たのではないか。勿論 演劇的にもハラハラドキドキといった緊張感も得られ、集中力が増す。
劇中で緩い遊びのようなシーンがあるが、これは不要ではないか。キャストから、本編より この緩いシーンの演出の拘りが強った旨、説明があった。

公演は、舞台技術に工夫が観られた。特に照明は、大きさの異なる水玉模様が散らばり、一宮の動きに連動している。その光景は犬・猫の足跡が一宮を追う、そして集まるといった様子を表しているよう。音楽はピアノの優しい音色。
一宮以外は、六匹の犬猫でカジュアルな衣装、耳と尻尾を付けただけのシンプルな姿形。それでも性格なり特徴を表した演技が印象的だ。
次回公演も楽しみにしております。
短編作品集『3℃の飯より君が好き』

短編作品集『3℃の飯より君が好き』

劇団印象-indian elephant-

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/06/05 (水) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「メイクアップ」は、ある公共劇場の企画で「子供に伝えたいこと/子供と考えたいこと」というテーマで30分の戯曲として応募したものらしい。この作品はベタな青春ドラマ、ショートムービーといった印象で、朗読劇としては 脳内にしっかり映像化が出来た。その意味で分かり易い作品だ。

「3℃の飯より君が好き」は、夫婦の会話劇であるが、人と社会の夫々の距離感というか関係性、その表し難い内容を舞台を通して描いており面白い。
どちらの作品も照明技術が巧く、眼前で演技している役者の姿、その人影を壁に映し出し、人物の多面的な捉え方を観せているよう。
(上演時間1時間30分 休憩なし)【Aチーム】

ネタバレBOX

舞台美術は、後景に水玉模様のある紗幕、下手にソファ、横並びに椅子が3脚。
〇「メイクアップ」
基本 椅子に座っての朗読。登場人物は中学3年生の女子生徒2名、男子生徒1名。女子生徒は小学生時代にスイミングスクールで知り合い、中学生になり安藤理沙は演劇部へ、山﨑陽子はどこにも入部せず、スイミングを続けている。男子の岡田保は演劇部。最近クラスの女子の間で化粧をする子が…陽子曰く、化粧は男への媚る といった男尊的な感情だという。それに批判的な意味合いも込めて、2人は化粧をしない約束をする。

演劇部の卒業公演で「オセロー」を上演するため、理沙(デズデモーナ役)は舞台化粧をしたいが、陽子は化粧を認めない。約束を破るのか、裏切るのかといった激高。また、保はオセローを演じるにあたって、リアリティを高めるため ブラックフェイスを考えている。このことを陽子が匿名Xで呟き、人種差別とバッシングされ 公演が危うく…。
それにしても12月のプールはベタだなぁ

「メイクアップ」を通して誰のための 何のための化粧か?男女の性差に潜む男女差別、一方演劇「オセロー」を通して、表層的には人種差別。両方に、差別意識・裏切りという共通の言葉が浮かぶ。「オセロー」で黒人 将軍オセローの部下 イアーゴーが、正直者に見せかけているが実は悪党だと言い、「私は私ではない」といった台詞があったと思う。このような論理矛盾が成立する世界観では、真実や正義は1つではない。物事の見方・捉え方は一律ではなく、視点を変えれば違って見えるのではないか、そんな示唆に富むもの。
まさしく子供と考えるに相応しい内容だろう。

〇「3℃の飯より君が好き」
休憩なしで素早く場面転換。舞台美術は、メイクアップで使用した椅子を搬出し、代わりに下手にテーブルと椅子を置く。
或る一夜の夫婦の奇妙な出来事を通して、改めて愛情(個人)そして生活(社会)との関わり、そんなありふれた幸せを描いた作品。

妻が仕事から帰り、夫が夜勤の仕事に出掛ける迄の 小一時間の物語。
洗濯ものを片付け、食事(1年近く前に作り、冷凍していたカレー)といった ありふれた光景。暗転後、突然 妻のお腹が妊婦のように大きくなり、夫の股間は凍り脹らむ。冷たい身体、これは2人の関係性の比喩であろうか。何とか温めて溶かしたい。

結婚して2年経ち、この地へ来て もうすぐ3年が経とうとしていた。妻が言う、新婚っていつまでなの。新婚旅行にも行っていない。夫はいつかと言うが、具体的ではない。カレーは今の冷めた?夫婦関係ー仕事をし家事もテキパキする 今を大事にする妻、一方 売れない詩作、物事を先送りする夫ー。そこへお腹と股間の膨らみは、何らかの啓示か?夫は子を望み、妻はまだ早いという意識の違い。同時に、地域との繋がり(祭りへの参加)を考えている夫、距離を置きたい妻、しかし移住して家賃補助を得ている現実。

ありふれた日常の中に、夫婦の関係や地域との関係、それを冷凍から解凍していくような温かく優しい気持にさせる不思議な物語。
次回公演も楽しみにしております。
破壊された女

破壊された女

お布団

サブテレニアン(東京都)

2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

お布団は昨年7月漸く初観劇してまだ二度目ながら、期待値は勝手に上昇。一人芝居という事で難解さもある程度覚悟して観劇に臨んだが、その覚悟を上回り、汲み取れずに見終えてしまった。
台本を買い、半分を割とすぐ、残りを一週間後に読む。やはり厳しいものがあった。台本から若干端折った部分があったのかどうなのか・・中盤に差し掛かったあたりで台本では台詞を断ち切るように「暴力が発動」、「身体が倒れる。立ち上がる。」と指定するト書きが頻出する。これ、やっていたか、別の動作で代替していたか、も忘れた。途中瞑想の時間が生じてたのやも。ほぼ全編、客席に向かって俳優は語る。例外は、三部構成の二部で「女」が働く現場の描写が(これも語りの台詞を断ち切るように)頻繁に差し挟まれる。「先にお席の確認からお願いします」(カフェでの接客)、その職場を出て、次はコンビニ「いらっしゃいませ」「申し訳ありません。トイレの貸出しは行なっておりません。」・・ここではカスハラ客のネチネチと怒って来るその客の台詞も言う。(このやり取りは「語り」の内容のヘビーさと相まってかなり消耗する。)

第一部は「彼女」の物語。「絶望」や「悪」という、「彼女」が帯びる属性について語られる。他者の物や、人との関係、希望や生き甲斐を「奪う」技に長け、そこにしか「生きる実感」を感じる事がないことを自覚し、それを実践する。
この内面描写的な始まりから、少し進むと叙事詩的展開となる。「彼女」はやがてカリスマ的存在としてカルトの教祖のようになり、「現実を生きづらい人たち」の帰依の対象となる。使徒を引き連れた彼女は「悪」の実践の果てに地上を破壊するが、正義の勇者によって殺される。さらに話は神話的となる。彼女は復活し、再び悪を為す。そして二度殺された後は、彼女という存在がアイテムとして流通し、象徴となり、果てはゲームキャラとなり、消費され尽くす。絞り取られた「彼女」のエキスは枯れた挙げ句ついに完全に消えてしまう。これが第一部。
「彼女」について語った「女」は、さてこれからどう生きるかと現実に立たされている。第二部には現代の風景がある。コンビニやカフェで働く接客場面の台詞、そしてチック症状のような動作が、「語り」の台詞を絶えず中断させる。動作は単純作業(例えばコンビニでの仕事)を手が習慣的に覚えていて勝手にしようとし、それを止める、といったもの。語りはいつしか「女」にとっての「彼女」、を語る「私」の語りになっている。女の内面にある「彼女」の残滓についての言葉は、人は何によって立つか、生の根拠、力の源、といった要素について語っているようで。
そして第三部はどうやら、既存のそれも含めた「神」と、人間の関係を語っているようだ。結語のあたりで、「神は死んだ」という言い尽くされた事実が、もちろん別表現でではあるが据えられ、語りは終わる。この部分が私には、結局着地できなかった思考の経過を見せられたような余韻を残した。舞台を観ての「わからなさ」の理由は、思考が辿る旅が終着点に来たと感じられない自分にあった、のかも。

現代人の存在のあやふやさを、神的な要素をメスとして切り開き語ろうとした試み、それ自体は大変応援をしたくなる内容ではあった。
テキストは現代の生にまとわりつく精神的な「生きること」を巡る困難を想起させる。物語としては成立した(書き切れた)とは言えず、スッキリもしないが、問題の球をガンガンと投げている。

聖ダジュメリ曲芸団

聖ダジュメリ曲芸団

おぼんろ

Mixalive TOKYO・Theater Mixa(東京都)

2024/05/30 (木) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/04 (火) 13:00

MIXAでの公演も回を重ねるにしたがって会場の使い方がうまくなり、以前のもっと小さな劇場やテント、廃工場での公演のようなアットホームな雰囲気も徐々に増してきました。

ネタバレBOX

最後には登場人物の殆どが死んじゃいましたが、悲壮感はなかったな。
詳細不明劇

詳細不明劇

B子

イズモギャラリー(東京都)

2024/06/09 (日) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

え、4つタイトルが出てるけどどれを観たのか、それとも全部ふくまれてるのかまるで分らないけど、なんか気になりますね。
象の絵文字はたんなる色違いじゃなくてインド象とアフリカ象じゃないでしょうか(私見)。

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