きく
エンニュイ
アトリエ春風舎(東京都)
2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2024/06/19 (水) 19:30
観るの2度目のユニットで、1回目も分からなかったが、本作も分からん。(前説と客入れで7分押し)91分。
昨年上演された作品の再演だが初演は観てない。友人達がとろとめもなく語る物語の通奏低音として、母親が癌になったと語る男の物語が繰り返される展開。やはり意図が分からないが、アドリブ風に語ってはいるがセリフだろ思うので、役者陣の負荷は大きいだろうと思う。私のテイストにはフィットしないユニットだなぁ、とは思う。何故か大きく笑う客が少なくなくて、私の感性がズレてきているのかとも思う。
キネカメモリア
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
どこか田舎の古びた映画館。そこに集う人たちの物語。映画への愛に溢れていました。
売店カウンターのポスター?が面白そうなのですが、ちょっと遠いし暗いのでよく見えなくて残念でした。懐かしいポスターもたくさん飾られていて良かったです。私が見ていないのはあれとあれと・・・開演前にずっと見てしまいました。
雨とベンツと国道と私
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/06/08 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
モダンスイマーズ25周年作品。コロナでしばらく劇団作品は見ていなかったが(ここ五年の間に二作だという)「現代新劇」とでも名付けたくなる作風は健在である。
「デンキ島」はあまり素材になってこなかった沿岸離島の青春期から成人期の若者を描いて新鮮だったし、バブル崩壊後の若者を中心に地方の家族を舞台にした庶民劇「まほろば」は、現代新劇の路線でよかった。最近は、劇団外の大手興行会社からの注文で得意とは見えないファンタジー系もある。どれもそつなくこなしているうちに、いまや女優との噂がスポーツ新聞の記事になる中堅の地位を固めている。周囲に同じような作風の劇作家がいそうで、いない。そこが重宝される由縁だ。無理をしないで、期待に応えている。
今回の舞台は、地方(群馬)で撮影される地元の自主映画の撮影現場である。パワハラで仕事がなくなって、やっと地方の自主映画を名前を変えて監督することになった監督(小椋毅)が慣れないニコヤカ・ムードで仕事を進めている。
自主映画は、地元出身のそろそろ30歳代も終わりかけの元女優(小林さやか)が良人を亡くし、その思い出を映画にしたい、と見つけてきた監督以下の映画の制作陣で撮影が進んでいる。撮影現場でのお手伝いにと、かつて東京で女優志願時代の同年代の友人(山中志歩)を呼ぶ。舞台はグレイの単色のノーセットで、物語はナレーションも芝居と並行しながらこの部外者の視点で語られていく。テンポよく次々に過去・現在のシーンが展開する。
表向きのテーマは映画製作の場でのパワハラになっている。
撮影現場のトラブルはよくある話のレベルだが、東京でだらだらと生きてきた女優志願時代の友人が現場に入ってきて、ドラマは面白く動き出す。友人は監督がかつて一緒の撮影現場で出会ったパワハラ監督だと見破る。監督が乗っている古いベンツに見覚えがあったのだ。この友人の沈滞の20年そのもののような(名前も五味栞、愛称ゴミチャンである。つまらないようだがこういうところ上手いのである)視点も面白いが、それにもまして、外れていることに本人が気づかずに集団に平然とついていく現代人の多くの滑稽さを演技でも体現しているゴミを演じた山中志歩はこの公演随一の殊勲者だろう。パワハラの話はそれなりに出来てはいるが、話よりも、作者はそれを担う人物たち、パワハラを捨てきれない監督やカメラマン、地方の市民ミュージカル出演を誇りに俳優気取りの地方人(古川憲太郎)成り行き任せの若い助監督、などなどの人々を巧みに描いている。沈滞の20年はナニも経済や政治の沈滞だけでなく誰もが安易に手にした無気力無責任で生きられる生活が生んだのではないか、と言っている。ラストは映画の撮影で、相手役の若い男優が雨の中の空漠とした国道を走り出すところで終わっている。ここでダメ押しの台詞をつけていないところにもこの作者の年輪を感じる。
この劇団はいつも男性の俳優しかいなかったが、25年の間にほとんど顔ぶれも変わっていない。そういう人付き合いの濃いところが作風にも出てきたように思う。今回は小品だが、いつも面白く見せてしまう劇作家というのは数少ない。1時間50分。自由席3千円で満席。
水彩画
劇団普通
すみだパークギャラリーささや(東京都)
2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/19 (水) 14:00
座席1階
マチネの回だったので、隣のカフェは営業中。その店内音楽がちょうどいい具合に聞こえてきて、いいバックミュージックになっていた。舞台は茨城県内のちょっとしゃれたカフェ。ここで、両親と娘夫婦の4人組み、そして若いカップルの双方の会話劇に注目するという趣向。劇団普通定番の全編茨城弁の舞台だ。
双方のテーブルの会話がクロスするわけでなく、実際にカフェで行われている会話のようにそれぞれ独立している。ただ、双方の会話が重なるところは少なく、話が重なって聞きにくいということはない。
会話の中身は、そのような立場になった人なら一度は経験したことがあるような話で、客席は共感できる。若いカップルは地元で同棲中で近く所帯を持とうとしているが、この二人が、東京に出て行ってしまって愛想がない同級生を非難するような場面もある。首都圏とは言いながら東京の吸引力に翻弄される若い世代の思いが少し、興味深い。首都圏以外から東京に出てきた人には「そんな思いもあるんだ」という気付きになるかもしれない。
劇団の名前の通り、普通の会話劇が進んでいき、盛り上がるところは少ない。だが、普通の会話を会話劇にするのは恐らく、相当高度なテクニックが必要なのだろう。劇団普通も経験を重ね、しっかり若いファンをつかんでいる。普通の会話劇にクスッとしたり、共感したり。こうした演劇体験をさせてくれる劇団やユニットはそれほど多くない。
ただ、工夫が必要と思うところもある。普通の会話劇の締めくくりの仕方は、「普通」では落胆する人もいるのではないか。舞台も後半になると、「この会話劇はどんな終局を迎えるんだろう」とソワソワしてしまうが、そういう意味では肩透かし。劇団普通の作品では、ヒット作「病室」の方が楽しめる(近々再演もあるそうだ)
地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
実際の地面師事件がモチーフ。
なぜ騙されたのか、なぜ気がつかなかったのかと、事件が明るみになった時、多くの人が思ったあの事件。
なるほどと思う説得力の流れと、縦社会のサラリーマンの常識や悲哀がコミカルに描かれていて、とても面白かった。
役者陣がみな非常にいい。
そしてラストがとてもいい。
今回は話がわかりやすくて、JACROWは難しそうだなと敬遠して来た人にもオススメ。
きく
エンニュイ
アトリエ春風舎(東京都)
2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「よりアクティブになった充実の再演」
昨年の「CoRich舞台芸術まつり!」グランプリ受賞作の再演である。
ラフカットFINAL
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/12 (水) 19:00
【Aプロ】
1995年に始まった短編集、今年が最後ということでここで生まれた堤作品セレクション的な企画。
4本とも初演を(一部は再演も)観ていたので「あー、そうだったそうだった♪」「あの役は以前あの人だったっけ……」などと思い出しながら楽しむ。
そしてタイプもシリアス、コミカル、スリリング(?)などそれぞれ異なり、最後に「演劇讃歌」で〆る構成も巧み。イイ2時間半を過ごせて満足♪
きく
エンニュイ
アトリエ春風舎(東京都)
2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
かえりみちの木
空の驛舎
ウイングフィールド(大阪府)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
夫を亡くした配偶者が生きる指針を見失い、バイクのツーリング途中にある御神木に纏わる話 近くには精神的に支障をきたした人が生活する施設 自然酵母のパン屋そして保護猫🐱保護犬🐶の施設が
配偶者は施設に見習いとして パン屋の配偶者は夫の友達と逃避行 大学教授の息子(施設に入居)は施設を逃亡する等々 各々が悩み苦しみながらも、生きる指針というか再生を目指し、各々が生きる生き甲斐を見つけていく 切ないながらも、生きていくことに各々が一生懸命になるのであった
有頂天
中央大学第二演劇研究会
シアターブラッツ(東京都)
2024/06/13 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
水彩画
劇団普通
すみだパークギャラリーささや(東京都)
2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
茨城のオシャレなカフェ。用松亮氏と坂倉なつこさんの老夫婦、隣でその娘の安川まりさんと浅井浩介氏の夫婦がコーヒーを飲んでいる。
用松亮氏の会社時代の同僚、定年退職仲間のハナワ氏の油絵展覧会を見に行った帰り。
外にはオープンテラスが見え、店内の鉢には蓮とメダカのビオトープが置かれている。
もう一つのテーブルには結婚前の同棲中のカップル、伊島空(くう)氏と青柳美希さん。高校時代からの親友のカズ君が就職先の教師を辞めて黙って東京に出て行ってしまった。今では杉並区でNPO法人関係の仕事をしているそうだ。カズ君から来たメールの中にこの店のことがあり、コストコ帰りに寄ってみることにした。
浅井浩介氏は若い頃の前田吟っぽい。
伊島空氏は若い頃の原田大二郎っぽい。
高度に練り込まれたコメディ。聞く気もないのに流れてくる他人の会話、それがぼんやりと耳に入るカフェにいる。集まった観客は未知なるジャンルに興奮しているようだ。
『ドキュメンタル』のような空気感。笑ってはいけない状況で延々と繰り広げられる日常会話。カズ君の話をまた蒸し返すカップル。いやカズ君、そもそも俺知らねえから。もうその話はいいよ。
個人的にもの凄く憂鬱な出来事があったのだが今作の雰囲気がいい気分転換になった。
是非観に行って頂きたい。
地の面
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
コロナの間この劇団を見る機会がなかったが、その間に作者は随分上手くなった。
経済社会や政治社会を直接舞台にとってそこでドラマを作るのは、現代人を描くには良い着想だと思っていたが、経済構造や政治構造がドラマとしてリアルに描区のは難しい。つい、なじみのある人情話に落としてしまいがちだった。
今回は、不動産業界を舞台にした土地売買詐欺事件を素材に、不動産会社の人間模様である。
そういえば、アメリカの芝居で「グレン・ガレイ・グレン・ロス」という不動産業界舞台の犯罪がらみの芝居があった、と思いだした。舞台の米日の国情の差も面白い。あちらはセールスマン同士の個人の業績競争、こちらは不動産会社の中の出世競争のグループの話になっている。「グレン・ガレイ」はリアルな舞台展開だが、「地の面」は、かなり様式的で、ダンスも取り入れ、ステージングも抽象的で、詐欺事件の話をテンポよく織り込んでいる。会長社長以下の会社組織は従業員何千人という会社としては戯画的になっているし、詐欺師たちを、その場にいながら姿を見せない存在としているのも、事件の子供だましみたいなところと似合って成功している。荒技のところもあるが、面白く展開できたのは、作者が腕を上げたから、である。
出演者は中年の男ばかり9人。小劇場で知られた顔が多いが、今回は名古屋小劇場の重鎮が二人参加している。休憩なしの二時間。ほぼ満席、珍しく若い三十代以下の男性客が多く
こういう実社会エンタメの作品の路線はこの小屋の売り物になるかも知れない。男性客が多いと言うことをまず、買わなくては。
学園探偵 薔薇戦士
株式会社フリーハンド
ザ・ポケット(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
倉田瑠夏さん出演。
倉科遼さん関連は「舞姫 〜ディーヴァ〜」に続いてなのですね。ありがたいことですね。
定番の中野ザ・ポケットですが、自分は1年半ぶりでした。この劇場はG列からが固定席ということを覚えておくと良いかと。床にプレートが貼ってあるので変化することは無いです。自分のメモを兼ねて書いておきます。
倉田さんのブロマイドがA〜Gまで7セットもあって。とびぬけて多いです。2番手がWキャストAチーム「男B」役の上原徹也さん4セットでした・・・ちょっと不思議ですが、それはさておき。
ちなみに男A、B、Cはそれぞれ「安田」「木本」「斉藤」らしいです。チラシにもパンフレットにも公式サイトにも書いてありませんが、SNSで知ることができました。
歴史ある舞台だと思いますが、自分はもともとの話の筋を知らなかったです。チラシ表紙でいちばん大きい佐藤弘樹さんが主演だと思って観劇に臨みましたが、倉田さんが明確な主演でしたね。
田上先生役の鈴木つかささん。会話にアドリブをたくさん入れて、面白かったです。アドリブを受ける側、折田さんも面白かったです。
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/11 (火) 14:00
終戦直後、郷里の山形県に疎開していた斎藤茂吉と賄いの女性、訪れた息子らを描いたフィクション。
実在した人物を主人公にユーモラスな部分も多々ありつつ反戦も訴えるツクリに井上ひさしの評伝系戯曲を想起しながら堪能。
そして戦中の災難を描くよりも終戦後の平穏な日々の中に浮かんでくる人々の心に遺された傷を描いた方が沁みる気がする。それは「戦争詠みをしたことから歌が詠めなくなった」などの特別なものに限らず「戦争だからしかたがない」と自分を納得させるしかなかった一般人など辛いし哀しいし本当に嫌だ。
また、この前々日に観た悲喜交交「余炎」も戦争を美化したことを悔いる俳人を描いており、その偶然性に驚く。
純文学のススメ
シニア演劇ネットワーク
劇場MOMO(東京都)
2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
B
太宰治の『黄金風景』が大好きで、朗読劇ではなく上演するとのことで観に行った。だがちょっとこの作品を軽んじているようなブリッジ的扱い。いや『黄金風景』こそが太宰治文学の入口、全く小説なんか読まない層に扉を開く作品。もっと大事に扱って練り込めばいろんな可能性を刺激した筈。
基本は台本片手の朗読劇。バリアフリー字幕として台本がバックに全部投影される仕様。何人かのキャラだけが何も持たずに演じていた。特質すべきは選曲。クラシックの名曲が挿入されるのだが、驚く程センスが良い。大衆的でありつつ的を得ている。かなり詳しい人がやったのではないか。
①芥川龍之介『少年』1924年
関東大震災後の復興中の東京、満員バスに揺られる男、堀川保吉(やすきち)。所謂「保吉もの」と呼ばれる芥川龍之介の自叙伝的色合いの濃い私小説シリーズの一篇。
クリスマスの日、フランス人の宣教師(高田幸子さん)と少女(石田さよこさん)のあどけない遣り取りをバスで見た主人公(栗山寿恵子さん)。銀座のカフェ(現在のバー)で二十年以上前の子供時代(tommyさん)の追想に耽る。六篇のオムニバス。
女中のつうや(石田さよこさん)から受けた教訓。
風呂を出る父親(柴田恵子さん)の後ろ姿から感じた死のイメージ。
初めて見た海の色。
幻灯機に映し出されたヴェネチアの街並、窓から顔を出した少女の幻影。
両国の「本所回向院」での戦争ごっこ。「やあい、“お母さん”って泣いてやがる!」
大森海岸で初めて見た海の色が代赭色(たいしゃいろ)=やや明るい茶色=煉瓦のような色。
②太宰治『黄金風景』1939年
太宰治(深沢誠氏)が幼少期(秋津今日子さん)に女中のお慶(柴田恵子さん)を虐めていた回想。落ちぶれて窮迫した今、彼女達一家が訪ねて来るのだが。
③太宰治『貨幣』1946年
百円紙幣(片岡つぼみさん)が戦前戦中幾多の人々の財布を行き来し流転した回顧録を自叙伝風に綴る。傲慢な陸軍大尉(深沢誠氏)の相手をする身を持ち崩した酌婦(栗山寿恵子さん)のエピソードがメイン。酌婦は乳飲み子を育てている。この世にほとほとうんざりしていた百円紙幣が幸福を実感する夜明け。
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
昨年の「ブラウン管」でおや?と思った劇チョコがフェアウェイに戻ってきた
やはり彼らの永遠のテーマは観る者に戦争(に向かわせる「体制」)という不条理を再認識(あるいは若者にとっては認識か)させることだと思う
今回は歌人斎藤茂吉もその軛から逃れられなかった状況を描きながら、戦後間もない混乱の中で国民がいかに多大な苦労を背負わされていたか、どんなに大きな傷跡(心の)が残っていたかを浮き彫りにしていた
村井國夫が体調不良により降板し、緒方晋に交代したが、そんなことはみじんも感じさせない演技だった
彼が演じる斎藤茂吉は当時今の自分と同世代
戦時中に「戦争詠み)」と呼ばれる戦意高揚の短歌を詠んだことで、敗戦後「戦犯歌人」と罵られることになり、歌が詠めなくなっている
そのジレンマや、息子たちへぶつける怒りを味のある演技で描いていた
いつも客演女優が素晴らしい演技を見せてくれるが、今回の柿丸美智恵は流暢な山形弁(途中突然標準語に切り替え爆笑)を操り痛、秘めた悲しみを明るさでかき消したくましく生きる農婦を飄々とした演技で見事に表現していた
劇団員3人は安定の演技
特に心に残る場面2つ
〇 西尾が父である緒方(茂吉も医師)に、軍医として行った仙台の病院で、赤ん坊を背負った傷だらけのお母さんに背中の子が死んでいると告げてしまい、気が付いたら母も絶命していたことを告白するシーン
〇 柿丸が自分の息子たちを「万歳、万歳」と叫びながら戦地に送り出してしまったのだと悔恨の表情で語るシーン
駅前劇場という狭い空間の中で、蔵王連峰を描いたパネルの美術が秀逸だった
それをうまく生かすライティングのおかげで、朝昼夕夜を見事に表現できていた(劇団公式Ⅹ舞台写真参照)
アフター・アクトは今回は浅井伸治だけがシリアス
ある意味双方から見捨てられた「ウェーク島の戦い」での戦友の死は会場がシーンとなっていた
西尾友樹はなんとお料理教室(笑)
劇中話とシンクロしているのだが、味噌汁を作りながらの軽妙な語りは笑いの渦だった
LOVE TOURNAMENT
壱劇屋
AI・HALL(兵庫県)
2024/06/14 (金) ~ 2024/06/19 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
テーマパークかなと思うぐらい、いや、それ以上楽しかった。お芝居の枠をどんどんと壊して欲しい!感じたよ。
ありがとう🎵
かもめ
SPAC・静岡県舞台芸術センター
静岡芸術劇場(静岡県)
2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
無意識によく知った「かもめ」の台詞をなぞりながら見始めて、そのノリの違いに戸惑った。ニーナは初めからちっともコースチャのことなんて眼中にないし、無軌道で良くも悪くもわがまま。コースチャもよくいう中2感という以前に、その文学的教養や素養を疑いたくなるほど、落ち着きがない。
だがやがてそれが、チェーホフの書いた登場人物の特質を現代社会に落とし込んだものだとわかってくると俄然面白くなってくる。それにしても、俳優が上手いせいなのか、ここに出てくる人物はみな、ショボすぎやしないか。いや、人間それぞれにしょぼく、エゴイスティックなものなんだろう。それが、この上演の核となり、ドラマを動かしている。
やや物足りないのは、この劇の背景にある文化や社会がさほど立ち上がってはこないこと。現代版であるなら、「あるある」以上の今日性に触れたいし、そうではないのだとしてもこのドラマが生み出された背景としての時代、社会とのつながりを見たい。
六月の短編集 青水無月vol.2
表現集団蘭舞
at THEATRE(東京都)
2024/06/15 (土) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
Aチームを観劇しました。
オムニバス3編の朗読劇、どれも心に鬱積したモヤモヤが、少し解放されるようなお話でした。
3編で1時間の作品で、ちょっと物足りなさを感じました。
イベントがメインな印象でした。
白き山
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
随分ご無沙汰してしまった当劇団であるが、観に来て正解。斎藤茂吉という題材を、うっすらと(終盤では濃く)戦争に絡めて描いていた。急遽主役の変更との事だったが、緒方晋の出演も楽しみで観劇した。この人にしか出せない味がある(そういえば一応は関西弁は封印していたな)。村井國夫氏では全く違っただろうと、とりわけ主人公の特徴「雷を落とす」場面で、想像もしながら観た。茂吉の息子二人を浅井と西尾、弟子を岡本、三人のコンビネーションを茂吉に対置させ、第三者の存在として近所の農婦を柿丸氏に振って五人芝居、シンプルな構図も憎かった。