実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。これぞ舞台は総合芸術と思わせる秀作。
「京極ワールドを一冊読み切った達成感」…この謳い文句に誇張はなく、十分に堪能させてもらった。
本「嗤う伊右衛門」は再演ということだが、自分は未見。京極夏彦の小説も未読であるが、その世界観がしっかり伝わる。いや小説という自分の想像によって世界を膨らませることと違い、舞台は視覚聴覚など直接的に感じる。その意味で狭いといった印象を持っていたが、登場する人物1人ひとりを深堀し、語り部をもって物語を紡ぐ。そこには頁と頁、行間を読むといった小説の味わいとは別の面白さがあった。語り部は1人ではなく、1冊の台本を手にした者が話を前に…。このように人物と物語が併走していく感覚が好い。
小説の登場人物は、役者の体を通して立ち上がる。勿論 役者の体現がそうさせるのだが、たぶん小説とは違って生身の人間=役者の感情が直接訴えてくる迫力に圧倒される。繊細かと思えば荒々しく大胆に、しかも所作に様式美まで感じてしまう。
この役者陣の熱演を支えているのが、舞台技術ー照明・音響音楽であることは間違いない。単に技術的な効果だけではなく、情景や心情といった内外に秘める機微のようなものが演出される。見事の一言。
(上演時間 前半1時間35分 後半1時間10分 途中休憩10分 計2時間55分)10.5追記
2024/10/05 01:28
これからも精進してまいりますので、また機会がありましたらぜひよろしくお願いいたします!