最新の観てきた!クチコミ一覧

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ネバーエンディング・コミックス

ネバーエンディング・コミックス

東京にこにこちゃん

駅前劇場(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/03 (日) 13:00

アニメ一辺倒だった同級生たちに(紙の)マンガを布教した転校生、彼女が一番好きなマンガは長年続いていたがしばらく執筆休止状態の作品で……から始まりその後の同級生たちも描いた物語。
舞台前面の上手と下手にある幕/スクリーンによる素早い場面転換を活かしてのテンポ良い展開と笑いでぐいぐい引き込むのが巧みで、実は同級生の一人の父であるマンガ家なども含めてそれぞれの「マンガ愛」を語って愉快。
なお、途中のオープニングとしては遅くエンディングとしては早い妙なタイミングのタイトルクレジット、アフタートークで萩田主宰から「小学生時代をアヴァンとしてタイトルクレジットがあり本編、という構想だったが「間違って」小学生編が50分にもなった」との言い訳(笑)があって納得。
しかし上演時間105分強で50分経ってクレジットって、オープニングでもエンディングでもなくほぼ真ん中じゃん!画期的!!(爆)

月の岬

月の岬

アイオーン

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/02/23 (金) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前戯曲を読みかけた事を思い出した。当日は25分の電車遅延(確か強風の日)で冒頭15分程程遅れて入場するも、風景に既視感。親類の葬儀に出ようと喪服を着たりぐずぐずしている。。(と思ったら結婚式だったらしい。)
若手の俳優たちの名は殆ど知らなかったがよく演じていた。
松田正隆の戯曲は長崎を舞台に、微妙なバランスで保たれた関係の揺れを描く。今作は離島のとある平屋、適齢期を過ぎた「出来た」姉が、弟の結婚式に出かける準備の朝に始まり、夫婦と姉の同居生活が進む中、中学教師である弟の生徒らが訪ねてきたり姉の異性関係が持ち上がったりを経て次第に姉弟の間に築かれていた紐帯がじわじわと可視化されて来る。そしてそれを直感する嫁の行動、姉を思い続けていた男の行動がドラマの熱度を徐々に高め、融解し、液化して心に沁み広がる。

ネバーエンディング・コミックス

ネバーエンディング・コミックス

東京にこにこちゃん

駅前劇場(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ユニット名を見て「あのほぼ旗揚げ公演を観た劇団」とは思い至らず、公演日が迫って「あ、もしかしてあれ」と思い出して、予約した。(と書いたがこれも勘違いでまあまあの経歴があった。)
笑いと、意外にウェルメイド、という記憶が残っており、ウェルメイドが勝っていない事を期待しつつ。
蓋を開けると、こんなギッシリだったか、と思う程に床に笑いネタが敷き詰められた上を意も介さず歩いて行き、ドラマはドラマで進む。そうだこんな感じだった。
熱血ドラマのなぞり、という意味では人情に回収される笑いの部類ではあるが、どうにかギリギリ、笑いが勝ち、よし。と判子を押した。

ネタバレBOX

実は観劇を決めた大きな要素はナカゴー役者・高畑女史を見たさ。(先日別のナカゴー役者出演の舞台は観られなかった..。)体育教師風キャラの小学校教員をべらんめえ風な口調で。ついつい覗き込んでいた。ナカゴー芝居での佇まいが活かされているも、別物の芝居ではやはり変質はする。ある極限を行こうとしていたナカゴー「的」なものは新たに生み出される作品の堆積にうずもれて行くのか・・といった妙な感慨が過ぎった。
人民の敵

人民の敵

劇団東演

東演パラータ(東京都)

2024/02/21 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

完成度高し。
「人民の敵」(又は民衆の敵)は縁あって良く観ていて今回が五本目だろうか。コットーネ、小山ゆうな演出ユニット(雷ストレンジャーズだっけ)、ハツビロコウにどこかは忘れたが狭小空間での上演も良かった。
東演の今作の演出西川信廣氏は分かりやすい作りにワンポイント攻めた趣向を盛り込むのが特徴(という印象)だが、今回は乘峯氏の美術のホリゾント一面に張られた背景画が見事で、空の部分の照明の当て方でガラッと変わる(時刻or季節を知らせる)。劇場としては本来舞台裏の通路に使ってるのでは、という急激な傾斜の階段が奥の上手下手にあり、ここから出ハケもやる。ただし開幕では主要脇人物が各所に立ち、暗がりで開始を待つ静止のポーズでバシッと構図をキメ?。そして左右の壁沿いに置かれた椅子に出番が終われば戻る式の演出で暫く進む。これらを流麗にこなすのを見て東演俳優も中々、と思う。
話は把握しているので多少の話の筋の分かりにくさにを無意識に補っている可能性もあるが、流れは良く、あとは細かなキャラ設定で、醸し出すリアリティが変わる、そういう部分になって来る。神は細部に宿る、とも言う。今回の東演版「人民の敵」はどういう特徴を持ったか、時間があれば書いてみる。

新・復活2024

新・復活2024

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

恐らく初のキンダースペースで、トルストイの「復活」も(あらすじ含め)初めて。その意味で色々と興味深い観劇だった。
目玉は「復活」なのだが、この舞台はそこに松井須磨子と島村抱月の逸話を絡めている。須磨子が「復活」のヒロインを演じるのだが、舞台へのこだわり、厳しさ、わがままさと演じるキャラとのギャップが面白い。私には「復活」の最適な「紹介」の仕方であったが、日本でこれを上演した、という事実(でなくても良いのだが)が何を含意するかという点がもう一つ飲み込めなかった。台詞の行間を観客が埋めるに委ねた感もあるが、劇的を欲する自分としては日常的な台詞からもう一つ強い言葉を役者に吐かせて最後を飾って欲しかったのが正直なところ。
役者たちは達者であった。

崩壊

崩壊

糸あやつり人形「一糸座」

座・高円寺1(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前回公演「少女仮面」には厳しいものを感じたが、今回は魅せてくれた。俳優&人形融合の一糸座芝居の成果。座・高円寺の広い舞台も難点にならず、馴染んでいた。
桟敷童子の世界そのものの人形劇との相性を感じさせる一面もあった。程よいフィクション性ゆえか人形の存在が「不足」でも「異質」でもなく「丁度良い」「相応しい」のである。
桟敷俳優三名も人形を手に実演。一時間20分は「圧縮」版かの脚本の筆致で、粗っぽさも感じたがそのスピード感から劇的高揚に到達し、突き動かされるように大拍手していた。(ただ座高円寺は拍手の反響が小さくて盛り上がらないんだよな。。)

花と龍

花と龍

劇団文化座

俳優座劇場(東京都)

2024/02/23 (金) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

諜報員

諜報員

パラドックス定数

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

篠田正浩の遺作となった『スパイ・ゾルゲ』。太平洋戦争開戦直前に捕まり、後に死刑となったソ連のスパイをまるで反戦平和活動家のように描こうとした無理のある作品。ラストに流れるのは「イマジン」(使用料が高いのでインストに字幕の歌詞だけ)。いや、無理があるだろ。まさに篠田作品。(ただ彼の『沈黙』だけは傑作だと思う)。

グループで来ている熱狂的野木ファンの女性達が大挙押し寄せたイメージの不思議な客層。「ゾルゲ事件」だぞ、これ。

作品は黒沢清調のサスペンスで流石に面白い。シチュエーションが練られている。突然拉致監禁され雑居房に放り込まれた4人の男、互いの名前も素性も判らない。ここが何処だか奴等の目的が何かも判らない。一人ずつ彼等を呼び出し尋問する2人の男。誰が嘘をついているのか誰が騙そうとしているのか一つ一つ疑い始めれば確かなものなど何もない。観客の想像力を刺激し続ける無言の関係性。役者がゆらゆら揺れるように立つシーンが幾つかあるのだが、その揺らめきこそが今作の象徴。

知っておいた方がいい人物と名称。

リヒャルト・ゾルゲ ドイツ人の父とロシア人の母の間に生まれる。共産主義に心酔し、ソ連のスパイとして中国、日本で諜報活動。ナチス党員のドイツ人ジャーナリストとして信頼を得、ドイツ大使の相談相手となり最高機密にアクセスする権限を入手。独ソ不可侵条約と日ソ中立条約を破って、いつドイツがソ連に戦争を仕掛けるか?日本はそれに参戦するのか?が最大の案件。

尾崎秀実(ほつみ) 朝日新聞の特派員として渡った上海でゾルゲを紹介され、協力を約束する。後に総理大臣となる近衛文麿の政策研究団体に参加、内閣嘱託としてブレーンの一員となる。御前会議(戦争の開始と終了に関して開かれた、天皇・元老・閣僚・軍部首脳の合同会議)の内容まで入手出来た。

宮城与徳 沖縄生まれ、画家を志すも結核に罹患。父に呼び寄せられて渡米、絵の勉強をしつつ共産党に入党。洋画家として個展を開くまでになるが、指令を受けて帰国、ゾルゲ諜報団に参加。ゾルゲと尾崎の連絡役となった。結核が悪化して喀血。

安田徳太郎 京大卒の医師。医療を通して社会運動に参加。東京青山に内科病院を開業。無産政党(合法的社会主義政党)を支援。共産党シンパとして睨まれ検挙されたことも。宮城の治療を受け持つ。

特高(特別高等警察) 日本の秘密警察。思想犯を取り締まる為に作られた組織。

このクラスの作家の新作初日でも満員にはならないとは厳しい世界だ。前説後説、主宰の野木萌葱(もえぎ)さんの言葉に力があった。来年は青年座に書き下ろした作品、『ズベズダー荒野より宙へ‐』のセルフカバーを演ると発表。2021年9月、シアタートラムで公演されたものを3部作に改変すると。「今回、御覧になってイマイチだった、合わなかったと思った方も絶対に観に来て下さい!」自分の作品を信じている。絶対に価値があるものだと信じる力。いや、そりゃ皆観に行かざるを得ないでしょう。行きますよ!

今作も是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

内閣情報局 小野ゆたか氏 国を大事に思う。
安田病院の医師 植村宏司氏 人の生命を大事に思う。
朝日新聞の記者 西原誠吾氏 自由を大事に思う。
教会の神父 井内勇希氏 正しい秩序を大事に思う。

刑事 神農(かみの)直隆氏
警部(警視?) 横道毅氏

唯一、初めに小野ゆたか氏が横道毅氏に取調べを受ける際の会話の意味がよく判らなかった。符丁?冗談?

今作で自分が気に食わない流れは、急にぶち切れてカミングアウトを始める諜報員の井内勇希氏。いやそんなんじゃ6年も潜入出来ないだろ、早過ぎるよ。その辺の雑さが課題。何か話の流れの都合で急にキャラ変。キャラクターを物語(チェス)の駒としてしか見ていないから、観客の意識とズレる。後半戦はそれぞれの記憶の再現。闇に葬り去られる事件を歴史に残したいという願い。
殺意(ストリップショウ)

殺意(ストリップショウ)

セツコの豪遊

APOCシアター(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/08 (金) 19:30

105分。休憩なし。

デブ二匹、何か隠している

デブ二匹、何か隠している

サトウノモリ企画

サブテレニアン(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/08 (金) 14:00

85分。休憩なし。

カルマ・パラドックス

カルマ・パラドックス

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

扇町ミュージアムキューブ・CUBE02(大阪府)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

元NMBが立ち上げた劇団
甘くみすぎた… 演技も内容も実に良かった‼️輪廻転生 僕の前世はドナイヤ❔と思いたくなった
三百万円は払えないが、前世を代表と一緒にみたくなる
次回も期待しています‼️

WITHOUT YOU

WITHOUT YOU

S-SIZE ネルケプランニング キョードー東京

IMM THEATER(東京都)

2024/03/03 (日) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「RENT」がもう大好きで来日公演だけで収まらず日本人キャスト版まで観に行っていた自分にとって、これはめっちゃ感慨深い企画公演でした
マーク役で活躍された初演時の舞台裏や家族の話など、ベースは一人語りでありながら、エンターテイメントとしての魅せ方もバッチリ
全く知らなかった告白は驚きでした
ワンマンミュージカルとして「RENT」からの抜粋ナンバーはそりゃもう嬉しい限りでしたが、今回の為につくられたオリジナルナンバーも等身大の姿を歌い上げていて素晴らしかった

観劇前に手持ちのDVD(劇場版と同じメンバーでの映画版)を改めて見て向かったのですが
観終わった後には不思議と「RENT」を見終わった後と似た余韻が
とりあえず興奮冷めやらぬまま、見ていなかったDISC2の方、ドキュメンタリー集「RENT」誕生の軌跡 を見てみたいと思います

スネーク・オイル

スネーク・オイル

不条理コントユニットMELT

王子小劇場(東京都)

2024/03/06 (水) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良くできた内容でした。映像も綺麗で素晴らしかった。短編それぞれの内容も回収していて感心しました。役者の皆さんの熱いお芝居もよかったあ。また、お気に入りの団体さんが増えました。

エアスイミング

エアスイミング

カリンカ

小劇場 楽園(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2人に圧倒されました。
最高!!

スネーク・オイル

スネーク・オイル

不条理コントユニットMELT

王子小劇場(東京都)

2024/03/06 (水) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

ハチャメチャでとても楽しめました

みんな出ておいで~

みんな出ておいで~

株式会社AGE POP

DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)

2024/03/05 (火) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

長島一向一揆を題材にした舞台でしたが、肩肘張らず楽しめました。
中央ステージで全方位から観る形なので、正面から見たい場面が後ろ姿や横からだったりしました。
アクションや殺陣等があれば別ですが、敢えて中央ステージではない方が観やすいかもと思いました。
笑いあり切なさありの、ちょっと不思議な時代劇で面白かったです。

空蝉

空蝉

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/09 (土)公演終了

満足度★★★★★

長い 二時間半超え 10分の遅れは…前半は出演者も多く、関係性が分かりにくい 休憩後の後半は流石関西圏トップクラスの劇団の底力 とても良かった‼️
既製戯曲で、見たことある題目ですが一番良かったです❕
学生劇団は学園座かカオスが今は旬デスネ

エアスイミング

エアスイミング

カリンカ

小劇場 楽園(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/02 (土) 14:30

カリンカ常連です!知的障害者をモデルとしたお芝居があまりにもリアルすぎてのめり込むように見てました。そして社会問題されるレベルの深刻な話の中、水泳のシーンやセリフの中にボソッと笑えるワードを入れていて見ていておもしろかったです!これからも橘花梨はじめカリンカを応援しています!

RUN FOR YOUR WIFE

RUN FOR YOUR WIFE

劇団The Timeless Letter

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2024/03/02 (土) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

こんなに笑えた観劇は初めてでした!!とても楽しかったです!!ありがとうございました!!

御菓子司 亀屋権太楼

御菓子司 亀屋権太楼

MONO

ザ・スズナリ(東京都)

2024/03/01 (金) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

遅ればせながら、作者には岸田戯曲賞を、という中身のある市井の小劇場作品である。
関西小劇場の老舗MONO、かつて「-初恋」でそのフレッシュなゲイたちの青春を見てからもう三十年。作者土田英生の下に集まった五六人のメンバーで独自の演劇世界を作り上げてきた。「ヨーロッパ企画」とともに東京でも固定客を持つ劇団MONOの年一度の東京公演だ。時代の変遷も感じる。
ドラマの世界は御菓子司 亀屋権太楼という京都あたりにある和菓子の老舗。そこで展開する一族の物語は、ちょっと手を入れれば松竹新喜劇でも上演できそうな「あるある」の内容なのだが、そこに巧みに現代を忍び込ませて、現代劇としては大きな冒険もしている。そこに作者と劇団の円熟も感じる。話は和菓子屋の当主が死んで残された家族と従業員のその後、五六年の物語なのだが、観客の予想通り、店はたたまなければならなくなる。
そのメインストーリーの組み方はさすがベテランだけあってうまいものだが、その中に現代的なドラマが見事に組み込まれている。
一つは、現代でよくあるSNSの評判と、歴史に対する加重な信頼への批判である。関西らしい地域社会のなかで「世間の評判」が、生活を押しつぶしていく様を喜劇的に描きながら、リアルを失っていない。特に、加害者・被害者と一方的になりがちな人々の現実社会で揺れる変化が多様に描かれている。
二つ目は関西を舞台とすると、タブーになりがちな同和問題を実態に目をそらさず、偏見を持たずに取り入れていることである。ここでも一方的な立場はとられていない。そのバランス感覚の良い良識の戦う姿勢は評価できる。昭和の時代にはさまざまな問題をはらみながら社会問題として常に採り上げられてきた同和問題も、紆余曲折を経て、現在はこういうことなのであろう。表向きにはすっかり消し去られている問題をあえて取り込んで、巧みにドラマ化している。
さらに言えば、この問題も含めて、劇団が関西を離れず、地方劇団としてのルーツ(現実には東京が劇団員の生活の場であろうが)を生かして演劇活動を続けていることも評価したい。東京にはこういう劇団はもう、喇叭屋だけになってしまった。
客席は9分の入り、週末は完売しているという。土田の作品は空振りも多いのだが、いつもどこか新しいところを見つけようとする。今回は作者の良さが詰まっている。この際忘れていた賞をあげたいものだ。


ネタバレBOX

ラスト近く、兄が弟の頭をなぜるとベタなベタなギャク照れずに消化しているところなぞ、実に関西劇団の基盤を見た思いだ。

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