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イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2回目。
観方を全く変えて観ると作家の意図が判り、かなり違って見えた。演出演技、細かい部分もかなりアレンジされていてラストの音も違う。話を知っているので人物の細かい目配せや表情の変化の意味が理解出来たことも大きい。
これは原爆ではなく、夫婦の物語なのだろう。

海軍の准将まで出世した内田健介氏の役が効いている。彼の叫びがあってこそ、こういう話は成立する。
山口馬木也氏は老いの演技が素晴らしい。家族への涙が美しい。
全員メイクをせずにそのままで老け演技をするのが効果的。

ネタバレBOX

主人公ブライアン(山口馬木也氏)は一目惚れのように初対面からジェシカ(川田希さん)に夢中だ。彼女以外目に入らない。どうせ死ぬなら独り寂しく消えるより、君といたいと願う。孤独で不条理な死と毎日向き合って作業している男にとって、一筋の光のような女。トリニティ実験は成功し、窒素原子核同士の核融合反応の熱核暴走は起きなかった。地球は無事だった。そして広島に投下が成功。これで戦争は終わる。皆の苦労は報われた。戦争が終わったら結婚しよう。

この夫婦の物語として観ると、時間軸のシャッフルにも納得いった。男にとっては妻が全てだった。彼女こそ生きる意味。妻の死後、彼女が出た番組のビデオを一人観る。このシーンが堪らなく良い。照明が秀逸。

ラスト、被爆者に謝罪を求められても何も言えない。何も言う言葉がない。だが娘の遺した孫娘が身籠っていることを知るとよろよろと立ち上がる。自分と妻の物語がまだ続いていることを知る。

仮面を外した小日向春平氏により、原民喜の詩が朗読される。

コレガ人間ナノデス
原子爆弾ニ依ル変化ヲゴラン下サイ
肉体ガ恐ロシク膨脹シ
男モ女モスベテ一ツノ型ニカヘル
オオ ソノ真黒焦ゲノ滅茶苦茶ノ
爛レタ顔ノムクンダ唇カラ洩レテ来ル声ハ
「助ケテ下サイ」
ト カ細イ 静カナ言葉
コレガ コレガ人間ナノデス
人間ノ顔ナノデス
バザール

バザール

現ア集

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2024/03/23 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前に拝見した時も思いましたが、良くありそうな会話なのに噛み合っていないのに、無理矢理噛み合わせてる見たいな。今までにあまり見ないお芝居だと思います。なぜかモヤモヤするけど癖になる感じです。演技は自然でよかったと思います。

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

フォロイーさんの感想をみてやはりどうしても観劇せねば!と当日券チャレンジしました。見て良かった。
重たいテーマを目を逸らさずに突きつけてくるテンポの良い構成、迫真の演技…言外に意味を渡してくる小道具…巧でございました…
主なキャスト陣の年齢変化の表現がすごかったです!

ネタバレBOX

『立ち位置が変われば正義が牙を剥く』、さらに時代が変われば、同志からも牙を剥かれる…PTSDなど【戦争】が人間性を破壊することの表現、
相手国の透明化の表現、見事でした

日本人キャスト・制作で安易に謝らせなかったところも唸ったな…

思考をやめてはいけないなあ…という学びがありました
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

拝見しました。本当に楽しい舞台で、終盤に涙しました!!いろいろと考えさせれました。すごくよかったです。是非たくさんの方に観てほしいです。

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

コトリ会議の明かりと暗さが自分はとてもすきです。観た後で台本を読むのもすきです。歌もいつか特典にしてほしいなと思います。今回近い距離でコトリ会議を観れて好きが増しました。とてもおもしろい時間を過ごせてよかったです。

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

行ってきた。3月31日まであそこは私の実家になった。
私たちは兄なのかもしれない、半透明の存在になってパンフの秘密を共有する。
好きな組み合わせで見れるところが悩ましくもあり楽しい。形話で終わった私の体験は糸話で終わったあなとは違う。
4話見ると立体的だけれど、1話にもぎゅうぎゅうに詰まってることがかえって分かる。少しでもお時間ある人は超絶オススメです。
無かったことにしない寂しくて大切な時間

梅田からも歩けるのでふらっとまた寄りたい

新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
トレモロ公演は未見であったが、太宰治の「新ハムレット」を分かり易く 楽しめる作品に仕上げていた。原作を先に読むか、読んでから観るか、そんなことは問題ではない。この公演を観るだけでも原作の面白さは解る。自分は読まずに観劇し、翌日 急いで読んだ実感として言える。当日パンフによれば「原稿用紙に二百枚、五時間の大作」とあるから、勿論 テキレジはしている。

公演の面白さは、独特の舞台美術と役者陣の熱演であろう。勿論、原作の面白さを十二分に引き出した早坂 彩 女史の演出力、その巧さは言うまでもない。この作品を観たいと思ったのは、トレモロが未見であったこと そして「こまばアゴラ劇場」が最後だということ。この劇場の構造を上手く使い、妖しい雰囲気が漂う中で「長編戯曲風小説(レーゼドラマ)を、軽快にかつ濃密に描いた一幕劇」、まさに謳い文句通りの珠玉作。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)㊟ネタバレ

ネタバレBOX

舞台美術は、上演前は紗幕に覆われていたが、始まってみれば長い縁台のような板に形の異なる椅子や梯子状のようなものが脇に取り付けられ、和箪笥や本棚も見える。実はこれ回転し、城内や帆船に見立て情景を作り出す。板の下には蔦が巻き付いており、板や蔦といった自然 温もりを感じさせる。下手には、天井からペットボトルを切り開いて繋ぎ合わせたようなオブジェが吊るされている(アフタートーク:青☆組 吉田小夏女史との対談の中で、<柳>と説明していた)。この真下の床面を開け、階下と行き来する。また下からの照明がオブジェに反射し 青白く妖しげな雰囲気を醸し出す。

登場人物はシェイクスピアのハムレットと同じだが、衣裳が奇抜というか統一性がない。洋服の上に着物を羽織ったり、足元は足袋や草履であったり革靴、スニーカーといったもの。なんとなく情緒不安定な人物が立ち上がっているような感じだ。そして この外見が人物の性格というか気質・気性を表しているよう。また 男役を女優が演じる、例えばボローニアス(たむらみずほ サン)やレアチーズ(清水いつ鹿 サン)、自分を父親と言ってみたり、オフィリア(瀬戸ゆりか サン)から兄さんと呼ばれたりしている。そこに長編戯曲風小説とは違う、人が演じる 演劇という創作の奇知が活かされているようだ。

梗概は、シェイクスピアの「ハムレット」を準えているが、全体として原作者 太宰治の姿が朧げに立ち上がってくるようだ。長板の端を客席側に向け、その先端にハムレット(松井壮大サン)が座る。そして長台詞の独白は、太宰の別作品 例えば「人間失格」のように自己の弱さ軽薄さを嘆くようにも聞こえる。この心情を吐露させるような描き方(演出)が実に巧い。

気になるのが、説明にある「太平洋戦争開戦の直前・1941年初夏、太宰治はシェイクスピア『ハムレット』の翻案(パロディ)を書きあげた。登場人物たちの懸命で滑稽な生き方は、2024年に生きる私たちにどのように響くのか」という一文である。冒頭、男(黒澤多生サン)が原作の<はしがき>を<ト書き>のように読み上げるところから始まる。その中で昭和16年と言い、劇が始まると 王妃ガーツルード(川田小百合サン)だったと思うが、改めて西暦1941年と言う。しかし原作には、その台詞はない。そして原作も劇も終盤に王クローディアス(太田宏サン)が「戦争がはじまりました」 そして帆船が燃え、レアチーズが死んだと。海外では 今だに戦争紛争の火種は尽きることがない。パロディの中に、そんな社会性(警鐘)を潜ませているよう。

照明は、全体的に薄暗く 人物が登場するとスポット的に照らし出す。音楽は劇中 朗読劇の場面でホレーショー(大間知賢哉サン)などが、小太鼓や銅鑼など和楽器を用いて演奏する。それが 何となくリズミカルで妙に台詞と合っており心地が良い。そして物語が進むにつれ、役者陣の演技 特に声圧が増し物語へ集中させる。表層的には滑稽洒脱であるが、その内容は色々な意味で現代性を帯びており奥が深い。
次回公演も楽しみにしております。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

CoRich舞台芸術まつり!とCoRich舞台芸術アワードの覇者の中から、いずれもドラマ演劇を得意とする作家、演出家を選び出し、出会わせたCoRich舞台芸術プロデュースによる意欲作。
 
科学者ブライアン・ウッドとその家族を軸に、ロスアラモスで原子爆弾の開発に関わった5人の青年たちのその後が、老年期まで、およそ65年にわたって描かれる。大プロジェクトにかかわることへの興奮や喜び、畏れを抱いた青春期から、ベトナム戦争、湾岸戦争を挟みながら変化していく時代、結婚や子供の独立などの出来事を経て、彼らの内心はどう揺さぶられたのか。やがて日本との関わりを持つようになったブライアンは——。
 
5人の中には過去を明確に悔い、苦しむ者もいれば、愛国心、敵外心をさらに募らせる者も。若さが放つ奢りと輝き、年齢を重ねた上での迷いや弱さ、頑固さを体現する5人の俳優たちと、時代と家族の変遷をストレートに描くストーリー展開で集中力を途切れさせない充実した上演だったと思う。
 
日本人が日本語で、原爆を投下した側であるアメリカ人たちの群像を描く「フェイク翻訳劇」としての狙いは、おそらく、その「イノセント」なあり方から、日本人の現在、来し方行く末をも振り返らせるところにあるだろう。廃墟のような装置、黒く煤けた小道具を用いて進行する劇の中で、当たり前のように口にされる日本人や敵国に対する差別、想像力の欠如した発言の数々は、なるほど刺激的だが、当時のアメリカ人、それもロス・アラモスにいた人間ならば当たり前の感覚であり、そのこと自体がさまざまな対立、紛争、戦争を時には見過ごしやり過ごしている多くの人間たちの存在を思い起こさせる。「謝れない」ブライアンの内心の葛藤もまた、時代の変化を知りながら過去をうまく消化できない人の姿だと思えば思い当たることも多い。





ネタバレBOX

途中、英語が通じない日本人(たち)に仮面を着け、無視される存在として見せたり、焼け野原にたびたび未来の子孫を思わせる少女を登場させたりと、わかりやすくビジュアライズされた演出も印象的な本作だが、率直にいえば、その強さ、わかりやすさが危ういと感じた面もある(ただし、戯曲は未読なので、どこまでが演出の範疇か明確にはわからない)。

時代や与えられた環境の中で、その人なりに生きる中で身につけてしまった偏見、差別、無関心こそがイノセンスの表れならば、こうした仕掛けは、むしろ分断や敵愾心を刺激するようにも思えるし、被爆者の血を受け継いでいる胎児に手を伸ばす幕切れの処理の仕方も解釈を任せるというにはシニカルに寄ったもののように見えた。

この「イノセント」は(もちろん反語だとして)誰にかかる言葉か。
観客にインパクトを残す工夫の一方で、この問いにしつこく止まり、紐解く地道な取り組みも観てみたかった。


詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

遊戯空間

上野ストアハウス(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 観客の多くが楽は混みあうと判断したのか、23日夜の情報では空きがあるとのこと。而も、和合さんも残っているとのことなので、詩集を買ってからサインをして貰うのも可能である。詩集は本屋さんで調達していったほぅが良いかも知れない。

ネタバレBOX

                        ストアハウス
 和合氏の詩「詩の礫」で用いられている詩語は到底抗しきれない状況に置かれた人間の切迫した状況に対する精一杯の叫びである。そもそも私自身は故郷というものをメンタルなレベルで持たない人間だから何としても踏みとどまろうとしないだろうしそれは自身の生い立ちに密接に絡む問題だから致し方ない。何れにせよ、故郷に強く惹かれ何とか大地震・大津波そして原発人災という3つの複合災害を経験しその状況を現地・福島で体験した衝撃と理不尽に対する遣る瀬無さがこれらの詩語に見て取れる。和合氏の体験をその重さ、気も狂わんばかりの懊悩、理不尽と思える宿命に対する憤りの地平に、生演奏のお二人を除く13名が和合氏の体験時に向き合うべく総力を挙げてチャレンジし生々しさは生々しいままに、猛威に抗するエネルギーは無論のこと。瞬間、瞬間の緊張感を持続しつつ描いた。押し作品である。
バザール

バザール

現ア集

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2024/03/23 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

バザール

バザール

現ア集

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2024/03/23 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今作jを深堀すれば、大変深刻な問題が析出されようが、その有様を軽いタッチで描いている点がグー。面白い!

ネタバレBOX

 今回は「探偵事務所」のオハナシ。追っている対象はちょっと不可解な、だが何処にでも在るような而も登場する探偵事務所員達の認識法では極めて解くことが難しいという代物だ。それは例えば事務所に在るデスクでも良いし、カップラーメンやボールでも良い。問題は、これらが客観的に在るとしても探偵達、玄人には不十分と見做されていることだ。何故か? 物それ自体によって己の存在証明が出来ないからである。彼らは何とかこの解を見つけ出そうと奮闘している訳だ。
 一方で探偵達は就業時間を終えたら残業等は一切せずにプライベートタイムに移行する。プロフェッショナルである以上、総ては就業時間内に片付けて当たり前、それで片付かない問題はそもそも問題足り得ない! との主張である。探偵達はこのようにして自らが生き、暮らしている社会と世界に対峙している。探偵達は都合2人、事務所ではITに強い人物も1人登場する。彼は探偵達の主張を聴きながら古いパソコンを分解してCPUを取り出し部屋にあったIT掃除機を足代わりにロボットが動けるようにしたり、未だ目玉の入って居ない達磨を頭部にとあり合わせのガラクタも用いて簡単にロボットを作り上げてしまう。無論、作られたロボットはキチンと機能する。これらの条件から導き出されるもの・ことは何か? 探偵達とITに強い人物はかなり近しい関係である。つまり知的レベルは高い友人同士と考えて良かろう。然も探偵達は先に挙げた認識上の問題点を克服できていない。この事態の原因は唐突に思われるかも知れないが、所謂エリートとされる為政者、キャリア官僚等々の実際の行動が完全に破綻しているケースが年中報じられ、まともな知性を持つ人間からは茶番としか名付けようのない施策を多くの反対を誤魔化しや隠蔽、詭弁とアリバイ作りで、或いは木で鼻を括ったような答弁などですり抜けしゃあしゃあと主権者達の望まぬ、だが某国が望む方針に諂う姿を日々嫌というほど見せつけられ『人間不信』に陥っているからだろう。ITには有能な処を見せても自らの心理分析や健全な人間社会を創出する為の前提となる人としての倫理観が現在の祖国には欠落しているということを骨の髄から知悉しているからに他なるまい。壊れた人間より論理的で裏切らない可能性がより高いITに走るのも無理はない。
 ところで探偵達の、自分の側からしか世界を観ない態度も同根であると思われる。然も不信が根っこにあるから、物がそれ自体で自己の存在を証明できないという論理を越えることが困難である。然し解は容易く得られる。読者もチャレンジしてみて欲しい。
the sun

the sun

カンパニーデラシネラ

シアタートラム(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

音曲師・桂小すみ(こすみ)さんが上手に座り、三味線を叩き長唄を唸る。各種の効果音を作り、鉦や太鼓を打ち笛やケーナを吹き、時にはグリーンスリーヴスを奏でる。
今作はアルベール・カミュの母親の物語。
「私は正義を信ずる。しかし正義より前に私の母を守るであろう。」とはカミュがノーベル文学賞を受賞した後の討論会で述べた有名な言葉。
母、カトリーヌ・サンテスは文盲で難聴の為、耳が殆ど聴こえなかった。この役を演ずる數見陽子(かずみあきこ)さんはろう者(聴覚障害者)の為、観客にもろう者が大勢いた。ほぼ台詞のないマイムの無言劇。(手話で会話するシーンが一つだけあり、そこだけ音声が流れる)。
自分が観ていてハッと思ったのが、これは音楽の視覚化をやろうとしているのではないか。動きや表情、リズムや各種多彩な遊び。これはメロディーを見せているのではないか。
北アフリカのアルジェリアのノートルダムダフリックをイメージしたような背景。
「一人の母親の素晴らしい沈黙と、この沈黙に釣合う愛や正義を見出すための一人の男の努力」。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

1960年にアルベール・カミュは自動車事故で亡くなる。現場近くに落ちていた鞄の中に『最初の人間』の草稿が入っていた。ちょうどフランスからの独立戦争でアルジェリアは緊迫した状況だった為、遺族はそれを出版させなかった。フランス移民の父とスペイン移民の母から当時フランス領だったアルジェリアで生まれたカミュ。独立ではなく共存することを願っていた。1994年、娘が出版を許可。カミュの自伝的小説で、現在のカミュがアルジェリアに帰郷し少年時代を回想する物語。

疾走する馬車、父(鈴鹿通儀氏)と母(大西彩瑛〈さえ〉さん)が出逢う。そして子供を授かる。父が戦死した為、母方の実家に移る。厳しい祖母(藤田桃子さん)と母(數見陽子さん)、叔父(小野寺修二氏)、若きカミュ(丹野武蔵氏)。

説明もなくカミュの小説のシーンが挿まれる為、非常に判りにくい。役柄が一定しない。とにかく何となくイメージを繋ぎ合わせていかないと。基本的に何かそこにあるもので遊びを思いつき、皆でやってみる感じ。丹野武蔵氏の激しい動き、大西彩瑛さんの柔らかな動きが映えた。寝た振りをして遊びに出かけようとするカミュと、それを許さない祖母。鏡を見るシーンが多用される。

もう少し各シーンのヒントがあればもっと面白く観れたと思う。ろう者の方がこれをどう観たのか非常に気になる。音楽は見えたのか?
光だと気づいた順に触れる指たち

光だと気づいた順に触れる指たち

排気口

王子小劇場(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/03/23 (土) 18:00

初見のユニット。会話劇のようだがファンタジー。悪くはないが、気になる点もある。(3分押し)89分。
 死期が近い患者が入院する病院での、5人の患者と取り巻く人々の物語。悪い話ではないが、リアリティはないのでファンタジーだと思う。ギャグなど肌に合わないものが多いし、滑舌の良くない役者がいるのも結構気になる。

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

壮大で微細で、温かく冷たい、遠い国のような身近なような…そういう作品群でした。
会場の雰囲気や上演以外の時間も豊かでした。
面白かった〜〜

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

NHK 映像の世紀 バタフライエフェクト「マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪」のTV放送、映画「オッペンハイマー」が日本公開される今年に、熱演の重厚な作品を、観劇できて良かったです。

ネタバレBOX

原子爆弾開発に従事した人たちの、65年の物語。世代を超えて重大な影響を及ぼす、様々な出来事。日本人とアメリカ人の双方の立場を考えながら、最後まで緊張感を持って、観劇できました。
21世紀になっても戦争は無くならず、未だに続いているのだと、辛い現実とともに色々考えさせられました。
純白観想文

純白観想文

劇団演奏舞台

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/23 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

短い時間に凝縮した内容でした。途中,不満に思っていた「用件」も,なるほど,そういう仕掛けなのねと,最後にはスッキリしました。よく考えられています。人の想い,後悔が詰まった作品でした。

時間なら、あるわ

時間なら、あるわ

えんそく

遊空間がざびぃ(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『東京三人姉妹』の方を観劇。親の看病を担う長女、結婚を控える次女、日常と自由の狭間で揺れる三女。それぞれの思いが隠されたり、詳らかにされていく会話劇。かくいう私も四人姉妹なので、なるべく姉妹モノは見逃したくないという思いから観劇しました。劇場の木の温かみと長年姉妹が暮らした家屋がシンクロするような空間づくりがとてもよかった。床や壁と物語が共振するように感じて、やはりがざびぃは失くしちゃいけない場所だと改めて思ったり。

ネタバレBOX

当然ながら人生色々、姉妹も色々だなあと。親の病状を正しく妹たちに共有していない長女には正直なところ最初は違和感しかなかったのだが、彼女が妹たちへの計らいではなく、自分の家や人生における役割や存在意義を守るための行動であったということが端的に示されるセリフがあって、その一言の痛々しさに、先ほど自分が抱いた違和感がいかに暢気であったか、を思い知らされたりもしました。ある時は過不足を分け合い、またある時はなすりつけ合い、羨ましがったり、羨ましがられたりしていく姉妹の姿がリアル。姉妹の周辺の登場人物も訳ありそうな人たちなので、そのあたりのバックボーンや葛藤、それぞれの関係性がもっと濃いめに絡んだ長尺バージョンも見てみたいなと思いました。
『ヤッホー、跳べば着く星』

『ヤッホー、跳べば着く星』

涌田悠

水性(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チラシを見た時から「ヤッホーのホーが銀河に突き刺さる路地より遠い跳べば着く星」という短歌にまず心惹かれ、そこからタイトルが『ヤッホー、跳べば着く星』なことにもさらに惹かれて観劇を心に決めていました。がしかし!前売りが完売していたので不安を抱えつつ、かといって諦めきれず、えいや!っと当日券で駆け込み。無事観ることができました。かわいらしいチラシ、短歌とダンスという掛け合わせ。観る前から涌田悠さんの試みにある種すでにときめいており、始まってすぐ、目に映る景色を即興セリフとして発する演者さんの声、それに伴い発芽するようにうねり、隅々まで伸びゆく身体にグッと心を掴まれました。そこからはもうずっと涌田さん、石原朋香さん、田上碧さん3人がそれぞれ持つ身体性、眼差し、声色から目が離せなかった。
物語というのか、短歌というのか、言葉の舞台は荒川区西尾久の街から始まり、歩いたり、転がったり、おやつ休憩なんかも挟みながら、声とからだが時間と空間を遊泳していく。休憩の後のラップも楽しげだけど、どこどこと突き上げてくるものがあって、エンパワメントされている気持ちにもなったり。やさしくてつよい心、やわらかくて切実な力を端々に感じる時間と空間でした。
中野・新井の商店街の中にある会場「水性」との親和性も魅力の一つ。ガラスのドア越しに通行人の姿が見えるのです。そのことがこの公演や景色と本当に良く合っていて、境界が溶けて混ざり合っていくような不思議な感覚を覚えました。私が観た回では、思わず立ち止まってガラス越しのパフォーマンスをしばらく見つめているおばあさまがいらっしゃり、涌田さんが身体を翻し、扉に顔を向けてすうっと手脚を伸ばしていくまさにその途中に二人の目がパチリと合う瞬間があって、それを目撃した時なんだか奇跡みたいで、そこはもう一瞬宇宙みたいで、その時の二人の表情を見て私はなんでかわからないのですが、涙が出てきてしまったのです。あの瞬間に立ち会えたこと、考えるのではなくて感じる体と心でそこにずっといられたことにとても救われた公演でした。ごきげんに「キラキラのかわいい靴」を履いて行って本当によかった。帰り道、来た時よりもっとキラキラしてる気がしました。最後は短歌で締めてみます。
「透明の隔たり越しに生まれたてのほほえみ溶かすここは水性」

田園に死す

田園に死す

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ハイテンションで繰り広げられる同じ台詞パターンの繰り返しをよく噛まずに言えるものだし、ユニゾンでの同時発声もよくピタリと合うし、一瞬で行われる頻繁な場面転換でよく出番を間違わずに出てこられるものだし、とにかく俳優陣の頑張りが凄い。
寺山監督映画の「田園に死す」を舞台化したというには雰囲気が違いすぎていて、これは別の作品世界。

詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

詩×劇 つぶやきと叫び~ふるさとはいまもなお~

遊戯空間

上野ストアハウス(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想が遅くなりましたが、とても心に響きました。仕事で震災後、被災地にも行きましたがその光景もよみがえり、まだ終わっていないことも実感させられる内容でした。今も世界でいろんなことが起きていますが、忘れてはいけないと改めて実感しました。貴重な時間となりました。ありがとうございました。

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