最新の観てきた!クチコミ一覧

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映画のパロディ

映画のパロディ

コンプソンズ

下北沢 スターダスト(東京都)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前回を見逃し、大宮企画は初見だったのですが、大宮二郎さんの作・演出の作品は他で観たことがあり、勝手に信頼を寄せていました。それは3年前に王子小劇場で上演された「イン・ザ・ナイトプール」というコンプソンズの短編企画。メンバーが一本ずつ作・演出を担い、それぞれの作家性と劇団の底力を実感したこの公演が私は大好きなんですけど、そのトリを飾ったのが大宮さんの「東京」という作品でした。作・演出を手がける金子さん不在の中で金子さんの強烈な存在感を忍ばせた劇団の自伝的物語なんですけど、東京と言っておきながら物語の舞台はアラスカに終始するんです。めちゃくちゃなんです。でも、そのめちゃくちゃな中でしか描き出せないものが確かにあって、私は不覚にも泣いてしまった。なので、今回もきっととんでもない映画とパロディの世界を、またはタイトル返上でより想定外な展開を今回も見せてくれるのだろうな、と期待を寄せていましたが見事的中!
反則レベルで個の魅力がピカピカに光る、されども団体競技!って感じの、それぞれの個性を貫き切ったままの一体感がとても良かった。コンプソンズ本公演とは一味違う、大宮二郎ワールド&ワードセンス堪能の75分でした。キャストもまあ、混ぜるな危険レベルに魅力的。江原パジャマさん、榊原美鳳さん、東野良平さんは初回より続投の頼もしさに期待しつつ、そこにオルタナな存在感で魅了する土本橙子さん、モリィさんが加わり、どこをみても面白いこと間違いなしの布陣でした。「ハマり役をハメにいくこと」に対してどこまでも貪欲な演出も痛快でした。モリィさん×土本さんの軽妙なギャル会話劇、誕生日なのにひたすらに可哀想な榊原さん、プロ意識は高いのにブランディングで大失敗してる東野さんの寿司屋、振り向いただけで爆笑をさらう江原さんの電機屋、全員反則!大名行列ネタは、展開も結末もわかっていながらもはやいつでも笑える装置、大発明ではないでしょうか。次回も期待です!

ピーチボーイズ

ピーチボーイズ

Peachboys

シアター711(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

前説(開演時間から始まる)では初見さんも安心のPeachboysの楽しみ方レクチャーが
これがあるから昔からのファンも初見者も垣根のないスタートを切れるのだと思う
自分にとっては何度目かの前説、それでもめっちゃ笑える!もはや名人芸の域
この前説も観収めなのかと思うと早くも目頭が熱くなってくる、ヤバい
充分に会場が温まった頃合いで本編がスタート
演劇界の下ネタ部門&著名人いじくり部門は間違いなくトップクラス
童貞3人組がやたら壮大なスケール観で下ネタな事件に巻き込まれていく”幹”の部分は鉄板としても豊富な”実”の部分は新しく練られているので、もう目まぐるしく可笑しい
矢継ぎ早な笑いだけでなく絶妙に間を取った笑いや、じわっと湧いてくる笑い、アドリブを活かした笑いなど、笑いのバリエーションも随分と増えた様
ここでの客演、自劇団でシリアス系やしっとりした演技で活躍されている役者さんがどんなにはっちゃけていても全く問題無し
もはや本人と結びつかないくらいイメージがかけ離れているから(笑)
観ている方も笑いだけでなく「うわ~っ」とか「ギャ~っ」とか声まで出てしまうけれど全く問題無し
会場中が一体となってそんなだから(笑)
ツッコミや掛け声まで飛び出してえらく楽しい!
そして珍しく舞台裏話も・・・「あぁこの公演がラストかぁ~」という複雑な感情と笑いがない交ぜになってこみ上げてくる
遂に迎えたLAST GIGSのエンディング、もう最高のスペシャルエンディングでした
この壮大なる一連を生の感動と笑いで是非


自分にとっての初Peachboysは弟が田舎から遊びに来た際、どうしても下北沢の小劇場体験をさせてやりたくて当時の公演中から選んだもの
たまたま知っている劇団さんが無かったので、まさにフライヤー買い
弟にとっては衝撃的な観劇デビューとなり「小劇場はすごい!何より生き様がすごい!やっぱ東京すごい!」と興奮しきりでしたが、自分にしても桁外れのパワフルさ、会場の熱気に驚いたものでした
その後も小劇場では異例のロングラン公演時には下北の街頭で劇団の方々が一生懸命に宣伝活動されており、ぜひとも浜田艦長から“プロミスいいね”を送ってもらいたい光景だったなぁと
幾つもの記憶に残る活動を本当にありがとうございました

鳥皮ささみのインスタントセッション!

鳥皮ささみのインスタントセッション!

なかないで、毒きのこちゃん

高円寺素人の乱12号店(杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F)(東京都)

2024/04/12 (金) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

・途中入退場&飲食OK
・3時間半の稽古+ラスト20分で本編上演の二人芝居企画
・出演者と演目は日替わりで全10組&10作品
・物語と演出は口立てで進行

この形式のアイデア、面白みだけでもすでにグッと引き込まれ、子ども二人を連れて観劇。
私は丙次さん×志賀耕太郎さんの回を、前半の稽古を1時間ほど観た後に食事で一度退室し、本編上演の時間に戻ってくるというスケジュールで目撃&観劇。一言で言うと、ワークインプログレスと本公演を1日で観られる良企画でした。
演劇がこつこつと積み上がっていく創作過程、俳優とは何か、という核心に触れるような時間。その公開は観客にとっても非常に豊かで貴重な時間だと痛感しました。俳優の技やそれらが鍛錬されていく様をギュッと凝縮して見られること。そういった機会は日本の演劇シーンにおいてはまずとても少ないので、演劇界における貴重な取り組みであるとも感じました。
入退場自由で「いつ、どこから、どこまで観てもいい」という状態は、あらゆる状況をそれぞれ持つ観客にとってとてもひらかれた環境であり、観劇アクセシビリティの向上にしっかりとコミットしている企画だとも思います。
鳥皮ささみさんのアイデアや企画力、実現力が素晴らしいことは言うまでもないのですが、こういった素敵な企画に制作会社や劇場が協力・協賛してくれたらいいなとも感じました。私たち観客は見応えに対して安価でとても気軽に楽しく観劇させてもらいましたが、その分、素晴らしい着眼点を持った劇作家さんや面白い演劇を発表する劇団、そして出演する20名の俳優がしっかりとバックアップされてほしいとも感じました。そのくらい拡げ甲斐と続け甲斐がある企画だと思います。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本団体さんはどの作品も素晴らしく良くできたお芝居を見せてくれていますが、10周年記念作品の本作も良かったです。主な主人公となる鈴木さん(役名)の悲哀を感じながら拝見してましたが、彼は何を失って何を得たのか。ほんとに得たのか?と思いながら見ていました。そこに繋がる他のエピソードたちも一つ一つきちんと出来ていて、良く考えられてるなあと関心です。いつもどおり、伊藤さん(トラ丸)さんの演技はいいですね。久しぶりに見た東別府さんを始め、役者の皆さんすべてのお芝居も心に届きました。よい時間を過ごせました。大変満足の二時間でした。

ろりえの復讐

ろりえの復讐

ろりえ

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

1回目は後方より俯瞰で、今日は前方より細部を
特に後方では十分に確認できなかったキャストの表情を堪能。
1回目では読み取れなかった心情も表情を見ることでグッと解像度が上がり、1回目以上に大粒の涙。

「お前だよっ」っていいね。
あと、あの曲、フル音源が欲しい。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなか良くできた台本で面白かった。出だしこそ映画「幸せなひとりぼっち」のパターンかと思わせたが、その後は孤独と虚無感に苛まれた初老の男の物語を軸に新興宗教とヘッジファンドと風俗業と推し活という一見無関係なストーリーが巧みに絡みながら群像劇風に展開し、すべて丸く収まってめでたしめでたしの結末を避けながらもカタルシスと心地良い余韻を心に残してくれる作劇は見事。俳優たちもしっかりした演技で活き活きと演じていて好感が持てる。

サーカスではない何か、だがサーカスに似たそれ

サーカスではない何か、だがサーカスに似たそれ

神威少女パンク。

シアター711(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同じ言葉を二つの解釈で紡ぐところが面白いし良い。
どこが虚でどこが実なのか、輪廻に惑わされ最後まで掴めなかったが独特な世界観が妙に心に残る。
多分神藤さん以外初めましての役者さんだったが、皆個性が光る。

開演前のアナウンス
一瞬焦った笑
ああいう遊び心?も良いね

ろりえの復讐

ろりえの復讐

ろりえ

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/18 (木) ~ 2024/04/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

オープニングダンスから「これ絶対好きなやつ!」とワクワクが止まらず、それを裏切られることなく終演。
復讐というほどおどろおどろしくはないPOPな展開も良いし、その裏にある父と娘の物語には涙。
あのお母さんがいてこその絆なんだろうなと。
終盤の展開はほんと面白い。

池〇〇作品のパロ…オマージュ最高。
夢は叶わないかもしれないが、夢をあきらめちゃいけないね。
ベタだけど、そんなメッセージを受け取った。

もう一度見る予定なので、次はもっと近い座席であかりんセンターの表情を確かめよう。

Ulster American

Ulster American

本多劇場グループ

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

よくわからなかった。いや、ラストの混沌と狂気を演じた芝居の凄さはひしひしと感じた。
ブラックコメディとの事で、割と笑いがあったが自分はほとんど笑えず。
ただ、環境により形成されたマインドはそう簡単に変わらないよなぁ、平和な世界なんて夢かなぁ、なんて考えた80分だった。

第37回公演『ライダー』

第37回公演『ライダー』

激団リジョロ

シアターシャイン(東京都)

2024/04/12 (金) ~ 2024/04/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場や退場の仕方がスモークなどでとても工夫されていてワクワクしました。リズミカルな話の展開や、迫力あるセリフでとても面白かったです

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

超面白かったです…!
脚本の笑いと文学性のバランスが絶妙ですね!
と、考えているとコトリ会議さんの舞台は、笑いとメッセージ性を切り離していないことに気づきました。(多分)

役者の皆様の演技も抜群でした。若旦那さんはもちろんですが、個人的には原竹志さんの演技に来るものがありました。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。オムニバス形式の舞台でテンポよく話が進みよかったです。意外とR指定な内容でワクワク(というかニヤニヤ)しながら観させていただきました^^

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

3/1~3/31まで毎日休まず10時〜22時まで劇場に劇団員が誰かしらいて、仕込みからバラシまで、そして上演以外にも入場無料な様々な企画盛りだくさんな公演を実施するという。
作り手側にも観客側にも「劇場に足を運ぶ」ということを考えさせられる企画だと思った。

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有料公演の短編のうち『第夜話』『第空話』『第形話』『第蓋話』は、いずれも”二一二四年一〇月五日二十一時”という100年後の設定だが、100年後ぽかったりそうでなかったり。
4話ともが同じ時間の設定ということは、並行世界なのだろうか。
パンフレットの話にあった「朝の自分とプール帰りの自分とが、まるで分身したかのように錯覚した。」ということや、『第形話』には兄の分身が出てくるので、単なる並行世界ではないのかもしれない。


『第夜話』『第形話』の妹との話は、死んだはずの兄がそこにいたり、分身がいたりすること以外は、割と現実味がある。一方で『第空話』『第蓋話』の弟の話は”火星””宇宙人”に象徴されるSF的なコトリ会議らしさがある。
妹に対する兄と弟に対する兄とは同じようで違うのである。
兄はどの話にも姿を現す。
『第夜話』では離婚する妹夫婦のところへ、兄がいて、離婚届に”くまさんはんこ”を押して邪魔する。
『第空話』では火星に向かう宇宙船の最低客室内に弟の友達をずっと見続ける(そしてうちわで天井と壁を表現してくる)兄がいる。
『第形話』では死んだ兄は車のトランクに入っていて、兄の分身が車の助手席に乗ってくる。唯一言葉を発する兄(でも分身だし、言葉が発せられるまではリアルに長い)
『第蓋話』ではコトリ会議おなじみ例のアレ(宇宙人のアンテナ)を兄がつけている。


短編5作品、いずれも2回ずつ観劇した。
CUBE05という小さい空間であっても、上手から見るか下手から観るかで印象が変わるし、作品の組み合わせによっても印象は変わるのかもしれないし、同じ組み合わせだからこそ理解がより深まる印象もある。
(とはいえ『第夜話』と『第空話』は2回とも同じ組み合わせで観劇したが、『第形話』と『第蓋話』は『第糸話』と組み合わせて観たのでいうほどそうでもないかもしれないが。)

1回目見た時は割と見たままを受け止めた
夜「ああ、離婚を止めに来てくれたのかな」
空「火星に行くのはコトリ会議だよな」
形「なかなか会話が始まらないコトリ会議好き」
という平々凡々な感想だった。
2回目の『第夜話』『第空話』の組み合わせを見てから、「もしかすると死んだ兄が、弟、妹たちを死から助けようとしているのかもしれない」となった。
それは”火星”は死ににいく場所(死後の世界)かもしれないと感じたからだ。だから、地上にいる妹夫婦は死から守ることはできるけれど、火星に行くことにした弟を死から助ける術はないが、少しでもかなしいことのないようにしたいとここにいるのかもしれないと感じた。
この後に『第蓋話』の1回目(正確にはこの前に、通し稽古を無料で拝見した。)で火星人のアンテナをつけた兄を見てそれが自分の中ではやっぱりそうなのかもしれないと思った。兄はやはり死んでいるのだと思った。
弟にアンテナがつけられる前にそれに手を伸ばす(が成功しない)兄を見て、弟を死なないように守るためにきたのだと感じた。
「おつけものが美味しくなりたい」と願う弟が、その願いを叶えるか問われ「わからない」と答えるのは大好きな兄のようにおつけものを食べたいが、その願いを叶えると死んでしまう=兄の思いに応えられないからなのかもしれない。と感じて、涙が止まらなかった。
『第形話』でも、兄の分身が120km出ているときに助けてくれる。そして死んだ身体の兄を捨てようとしていたことを分身が引き受ける。

兄は、弟たちも妹たちも本当は大好きで。でもそれを表立って見せる人ではなかったのかもしれない。
そして、弟たちも妹たちもそんな兄のことが怖かったり嫌いだったりがあっても、それでもやっぱり大好きだったんじゃないか。
そして『第形話』の死んだ兄のスマホから「俺は生きてるぞ!」と音声で流れるのは、生きている分身がいるのかもしれないし、並行世界で生きている兄がいるからなのかもしれない。

2話観るだけでも十分に楽しめる構成にはなっているが、4話通して1作品という気持ちもある。
この1か月たっぷり公演だからこその4編は、コトリ会議にとってもチャレンジだったと思うが良質だったと思う。

そして短編の残り1編『第糸話』は他の4編とはまったく違う、コトリ会議の劇団力が総動員されたすさまじい、しかしそれでいてバカバカしい(褒めてる)作品だが、すべてをGet Wildとスペースコ●ラがもっていってしまうのである。
そこもなんか潔い。それもまたコトリ会議なのである。
このパターンのコトリ会議はコトリ会議のカラーを示す上でも大変貴重だと思う。
定期的にやるべきである(いや、そうでもないか??)。

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短編の公演以外の時間は、いつでも無料で劇場内に入れて何かしらの催しが観られたり、参加できたりの企画が目白押しだった。
仕込みから上演までのスタッフワークをはじめ、公演前の打ち合わせだったりも無料で見られる。
過去の台本や没台本を読んで、そこから必要な道具を作ったりして台本を持ちつつ上演したり、短編の上演があったり、という演劇的な企画から、劇団員がそれぞれの特技や趣味を活かして、舞台美術(「異人」と呼ばれる)をデッサンしたり、毎日絵を描いたり、麻雀をしたり。
ゲストを呼んでのトークショーがあったり。
平日の企画は社会人にはなかなか参加が難しく、泣く泣くあきらめたものも多い。

吉田さんの麻雀は、ほとんど麻雀を知らない私はただただ見ているだけだったが、わけわからない言葉が飛び交ったりするのを見ながら、「麻雀は演劇。とても高度な演劇。」と感じた。

無料企画の上演の中で拝見できた、花屋敷鴨さんの「お写真」という15分程度の作品は、とても味わい深いよい作品であるので、もっといろんな人に見てもらえる機会があればと思う。
他の過去作も観たかった…。

それから劇団員の生誕祭もあった。
花屋敷さんの生誕祭には準備時間から拝見させていただいたが、当日にお題をもらって、そのお題を実現させる劇団力だったり、劇団外へのアプローチは凄まじかった。
地方各地で様々な企画に参戦しているコトリ会議の強みを感じた。

無料企画の中でも『ヌ野エ~ヌ家エ』という、22時閉館後~翌日10時開館まで劇場外から劇場を夜通し見守るという正気じゃない最高にバカバカしい(褒めている)企画を3月の後半に持ってくるという無謀さ。
こんなアホな企画(褒めている)に参戦しない手はないと最後まで参戦したが、終電まではいてくれた人、朝までいた人、丑三つ時に差し入れだけ持ってきて去っていた人、丑三つ時過ぎから参戦した人、始発でやってきた劇団員等々、コトリ会議がいかに愛されているかを感じることができたし、劇団員の山本さん、若旦那さんとがっつりとお話することもでき、「演劇」の上演ではないがその延長のようなものも感じることができ、またこの体験が今後のコトリ会議に反映するのかどうかな、というところを、今後、見守っていかなくてはならないと思っている。

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3/31最終日、バラシも終わってがらんどうな劇場にテーブルやお茶セットを用意し行われた「茶」という企画も、「もてなさないです」と書かれていながらも、過去の上演の動画を見させていただいたり、いろいろお話したり。
でも自由に過ごしている劇団員をただ眺めていたり、最後の最後までコトリ会議という感じだった。

「劇場に足を運ぶ」ということによって、「演劇」だけではない「観劇」だけではない何かを体感し、「演劇」の、「観劇」の秘めたる可能性というものを改めて認識できたように思う。

コトリ会議の皆様、1か月間、本当にお疲れさまでした。

朝日に願え 春公演

朝日に願え 春公演

朝劇三軒茶屋1年ロングラン公演

三軒茶屋orbit(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めての朝劇 体験は新鮮だった。珠玉作。
説明にもあるが、この店のママで 私 馬淵愛理(守谷菜々江サン)の母が倒れ脳死状態。この脳死状態を巡り私と店の従業員 島崎貴明(佐瀬弘幸サン)、常連客2人--佐山香織(新野七瀬サン)・佐山浩司(世良佑樹サン)による濃密な会話劇。そもそも私以外の他人は、医学的または法的な建前という理屈、一方 私は唯一の肉親(娘)で色々な思い その感情が溢れる。相容れない理屈と感情の不毛な激論、その狭間で揺れ動く心、答えが出せない もどかしさ そんな整理出来ない心持を巧みに表す。

簡単に結論付けられない<生と死>の問題、その尊厳に係る会話は、あちこちに漂流し どこに落ち(辿り)着くのか関心を惹く。脚本 テーマは難しいが、演出はシンプルなもの。この会場(三軒茶屋orbit)をママの店に準え、激情した気持を落ち着かせるためにカラオケで歌う。観客は、ほぼ中央にある演技スペース(舞台+カウンター内)の周りに座っているが、その至近距離ゆえ臨場感は凄い。

上演前から 愛理は舞台上のクッションで寛いでいる。そして 唐突に店入り口から従業員、常連客2人の計3人が入ってきて 愛理と脳死に係る激論を交わす。当初、この人たちとの関係が不明であったが、だんだんと分かってくる。同時に親戚でもない 他人がここまで親身になって議論するのか、といった疑問が生じた。脳死を受け入れること、それは親族と他人とでは感情の度合いが違うのではないか。勿論、感情(精神面)だけではなく、病院(見舞い)へ行くといった肉体的な面、病院費用といった経済面等、諸々の負担があることは承知しているはず。ママが倒れてからの状況・経過が判然としないため、脳死の選択という<肝>の部分だけをクローズアップさせたドラマ。
(上演時間55分)【オールシーズン】追記予定

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

第10回記念公演。面白い、お薦め。
人の生きる価値とは…。答え(解)があるような無いような漠然とした問い掛け、それを舞台という虚構性を通して浮き彫りにしていく。その独特の世界観が観客の関心と興味を刺激する。人間はモノではない、そこには喜怒哀楽といった感情がある。しかし物語ではモノ扱いのようで、世間の無関心であり哀れみといった光景が見えてくるようだ。

少しネタバレするが、物語は3つの場面で構成され 必ずしも夫々が直接的に交わることはないが、それでも交錯した展開といった感じがする。タイトルから想像はつくが、人生に「絶望」した1人の男を巡る狂気にして驚喜(語弊があるかも)、そして喪失と再生のドラマ。

現実にありそうなシチュエーション、そこに男の孤独・悲哀といった心情を描く。全体的に澱のような不快さ、そして滑稽でありながら どこか不気味な雰囲気を漂わす。公演の面白さは、脚本・演出は勿論、表現し難い情況をしっかり伝える役者の演技力であろう。見応え十分。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は 上手に幾つかの箱馬、中央には上部から照らし出した鳥籠。

第1に、主人公 鈴木カズオが籠から鳥を放つところから始まる。文字通り自己を解放するといった比喩のよう。物語では、解放=自殺といった描きで その行為寸前で止める。突然の闖入者による中止、そしていつの間にか カルト宗教(団体)へ入信していく。
第2に、アイドルグループを応援するため チケットや販促品の買取り等、金が要る。そのため出張風俗として稼ぐ。間違えて鈴木宅を訪れてしまうが…これが何度か続き少し親しくなる。風俗 闇バイトに潜む依存症のような不気味さ。
第3に、鈴木と或る研究施設で一緒だった女性が資産投資家になり、世間の注目を集めている。ある数式を用い運用に掛かる損益分岐又は高利回りが解明出来るような画期的なもの。しかし数式に不具合が見つかり、高配当が困難な状況へ。

物語は 3つの話を交錯させて展開していくが、必ずしも全てと繋げていない。現実にありそうな内容だが、それを都合よく纏め上げないところが巧い。逆に世間で注目を浴びるカルト的な宗教団体、若者が陥る闇バイト、ハイリスク・ハイリターンというマネーゲームという社会問題を切り口にして物語を紡いだ、という印象だ。そして中心に居るのが、鈴木という中年の男。数学に興味を持ち、それを生き甲斐と生活の糧(研究所勤務)にしてきた。その後を追い数学に没頭する女ー後の投資家 山崎ヒロ(東別府 夢サン)の憧れと嫉妬渦巻く心情が怖い。

未解決の数学問題、その解を発見することが生き甲斐であったが、先を越されてしまった。その喪失感・虚無感が生きる気力を失わせる。それが冒頭のシーンのよう。鈴木は未知のものに惹かれるよう、そこに宗教という得体の知れない、不思議な感性に惹かれたのか。数学という純粋学問を経済という悪還流と結びつける奇知。

ラスト、鈴木カズオは、飼っていたカナリヤに<ペレルマン>と名付け籠から放つが、それは嘗て挑んでいた数学問題を先に解いてしまった数学者の名。自縛していた気持を解放するといった比喩に思えるが。果たして このまま生き続けることが出来るのだろうか(鈴木は勿論、飼鳥が野生という現実も含め)。

本来 迷える者を救う宗教とその一方で殉教で財源を賄うための生命保険、そして更なる投資で富を築く。そこに人の生き様を絡め 怪しく虚しい人生観を垣間見せた力作。
次回公演も楽しみにしております。
花影

花影

臼井智希プロデュース

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/24 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

新撰組内の確執・抗争を描いた群像劇。特に近藤勇や土方歳三率いる佐幕派と伊東甲子太郎率いる御陵衛士との対立・抗争、山南敬助の隊規(局中法度)違反に伴う切腹など、史実を盛り込みながら<池田屋事件以降の新撰組史>を綴る。

新撰組を歴史---幕末という一時期に狂い咲きした徒花のように捉える。決して肯定しているわけではないが、それでも隊旗の「誠」に込められた意は、それを貫き通すこと。組織という枠は、時として 人の友情 繋がりを壊す無情なもの。物語は、藤堂平助と仲の良かった 晩年の永倉新八が記者に語るという回想形式で紡いでいく。

公演の見どころは、スピードと迫力ある殺陣・アクションシーン。型に嵌った殺陣ではないが、連続した力業とスピードで魅せる。特に土方歳三と山南敬助の対決は圧巻。当日「上演に関するお知らせとお詫び」が配付されたが、それには沖田総司役の志嶺雛さんが稽古中に怪我をしたため殺陣シーンをカットしたと。それでも違和感なく楽しむことができた。出来れば 新撰組一番隊 隊長の殺陣はどんなものだったのか観たかったな。一方 気になったのは、女優陣の声が小さく音楽が被さると聞き取り難くいこと。もう少し声量というか 力を込めた台詞(言葉)回しがほしい。

当日パンフに作 演出の臼井智希氏が、「新選組の史実には不明も多く、舞台はあくまで虚構ですが」と記しているが、だからこそ 逆に不明なところを想像し 描くといった面白さを観せてほしかった。例えば、山南敬助の隊規違反する迄の背景と心情の掘り下げ、伊東甲子太郎との考え方・方向性の違いを鮮明にする。史実の不明・曖昧なことを独創的に描くことによって、物語に幅と深みが出ると思うのだが…。
⭐4と思ったが、伸び代を考え 敢えて辛口評価
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 追記予定

ヴィンランド・サガ

ヴィンランド・サガ

舞台『ヴィンランド・サガ』2024製作委員会

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/04/19 (金) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

DisGOONieの2.5次元が初めてとは知りませんでした。もうとっくにやっているものと思っていました。
私が見たのは「海の果ての果て」プレビュー公演ですが、明日が初日とは思えないくらいの熱が入っていて良かったです。橋本くんがカンフェティで語っていた「子どもの頃の表現」も、ああこれかと分かって納得です。みなさん、千秋楽までお怪我などなさいませんよう。

朝日に願え 春公演

朝日に願え 春公演

朝劇三軒茶屋1年ロングラン公演

三軒茶屋orbit(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/24 (水) 11:30

続いて、オールシーズンチームを観た。驚いた。役者が変わることで、こんなにも芝居が変わる!57分。
 物語のスタートや展開は同じだが、冒頭から雰囲気が違う。決断から逃げた愛理(春 やまうちせりな/オ 守谷菜々江)を追って他の3人が来るのだが、春では冒頭でも攻撃的だった香織(増田有華)がオールでは浩司(世良佑樹)に変わったことで攻撃的には入らなくなった。恐らく男女の違いによるものだと思うが、それに合わせて春では唯一の男性だった島崎(佐瀬弘幸)のテイストが大きく変わった。これを演じ分ける佐瀬が見事。夏では島崎を堤千穂が演じ、4人全て女性となるので、これも観に行かなくては…、と、役者の違い、男女の違いで大きくテイストが変わる芝居を楽しんだ。

絶望という名のカナリア

絶望という名のカナリア

甲斐ファクトリー

小劇場 楽園(東京都)

2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「八月のモンスター」「愛犬家」と素晴らしい作品を送り出してきた劇団が、第10回公演として新作を上演した。久しぶりの新作なので、期待半分だったのだが、いい意味で裏切られた。記念公演として期待以上の出来だった。この劇団さんはいつも役者陣が素晴らしいのだが、今回も熱演!特にトラ丸さんは、人生に疲れた男がピッタリすぎるくらいで、今までの作品の中で最高の演技でした。
演出は、劇場の特殊性を利用して場面場面をきれいにつないで2時間がストレス無く、アッという間にラストまで。これ以上はネタバレになるので割愛しますが、とにかく、もう一度観に行きます!
まだ、4月ですが今年一番の作品でした。

朝日に願え 春公演

朝日に願え 春公演

朝劇三軒茶屋1年ロングラン公演

三軒茶屋orbit(東京都)

2024/04/17 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/24 (水)

9時開演の春チームを観た。巧妙な会話劇だが、朝から観る話じゃないってとこも…笑。いい芝居です。(5分押し)55分。
 突然、始まる。4人の登場人物がほどなく揃い、「せっぱ詰まった」感にあふれた会話を始めるのだが、4人の関係が(説明がないのに)徐々に分かる展開は見事。扱われているのはシリアスな話題で、時に深刻にもなるが、4人の立ち位置の違いや、年齢や経験の差から来る思いの違いが現われ、最後は余韻を残して終わる。よくできた芝居だし、ちっちゃいカフェでの公演なので臨場感がある。場所を活かした演出も巧い。

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