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『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ / 『シルクロード~盗賊と宝石~』

『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ / 『シルクロード~盗賊と宝石~』

宝塚歌劇団

宝塚大劇場(兵庫県)

2021/01/01 (金) ~ 2021/02/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

雪組トップ退団公演、行ってまいりました。トップのお二人の歌はずば抜けてがすばらしいです。前半のお芝居もよかったのですが、後半のレビューが魅力的でした。レビューはおまけのように思っていたのが、最近、宝塚好き、レビュー好きが理解できるようになってきました。

ロボット・イン・ザ・ガーデン

ロボット・イン・ザ・ガーデン

劇団四季

自由劇場(東京都)

2020/10/03 (土) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

賑やかでエネルギッシュなダンスシーンと、しんみり聴かせるバラードと、メリハリの効いた楽しくてジンと来る舞台だった。ダメ男のベンがロボットのタングと次第に心通わせていく「バディもの」であり、かつベンとエイミーの若い夫婦が、離婚の危機から愛を取り戻すまでの恋の物語でもある。さらに、ロボット科学は人間を幸福にするのか、人間を貶めるのかという科学倫理の問題も背景にあり、意外と重層的な深みのある舞台だった。

ロボットのタングがかわいい。ふたりの俳優が後ろに付いて操り、セリフを言い、歌うわけだが、俳優と一体になりつつ、タングとしての仕草(眉毛、まぶたもうごく)がよく、存在感が素晴らしかった。犬のロボットも、チョイ役ながら、やはり人間がつきっきりで動かしているのに、動きが犬らしくて、これも良かった。「ライオンキング」「キャッツ」など人間以外の登場生物で舞台作りを成功させてきた劇団四季ならではだろうか。

美術、衣装、照明、ダンスも非常に洗練されていて、視覚的にも楽しめる。カリフォルニアの場末のホテルのセクシーなパーティーシーンなど、ウエストサイドストーリーのようにスタイリッシュ。マッドサイエンティストの島での最新式アンドロイドの女性たちが銀色の近未来的スーツとヘルメットで整列したシーンはSF的で「クーッ! かっこいい!」とうなった。

ネタバレBOX

ベンは家に帰って妻に「旅の間、ずっと君のことを考えていた」という。たしかに、ベンとタングの長大な旅と並行して、イギリスのエイミーの様子やエイミーとの思い出が並行して描かれていた。よくできた構成である。
エイミーとベンの子供がうまれて、お兄さん(?)になったタングが赤ちゃんを抱いて「ようこそ、この世界へ」と、生命の喜びを一言で言うところで、目頭が熱くなった。

ベンとエイミーの歌声の発声は独特のもので、オペラとも、ポップスとも違う。最初どこか技巧的な声の感じがしたが、すぐなれた。今まで四季で「キャッツ」など見ても発声法が違うと気にならなかったが、今回少し変えたのだろうか?
足掻き(あしかき)

足掻き(あしかき)

演劇創造ユニット[フキョウワ]

ウイングフィールド(大阪府)

2021/01/30 (土) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かったです☆男と女どっちが本物の小説家?どちらが現実でどっちが小説の世界?母親はどっちの親?答えは明確に提示されるけど僕は「どっちの世界も現実に見える」お芝居でそこが魅力の作品と感じました☆それだけ全ての場面がリアルに語りかけてくる物凄い世界でした!

ザ・空気 ver. 3

ザ・空気 ver. 3

ニ兎社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/01/08 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ザ・空気」第一弾の風景が戻った。放送局内のある会議室、ロビー等に使い回される空間はアルミと白いボードの清潔感ある建築部材で簡素に設えられ、絵のキャンバスのように舞台上の芝居をクリアに縁どって見せる。その中で実力ある役者がドラマ世界を立ち上げる。
喜劇の語りで進む芝居。報道現場の通念を一応尊重しつつ軽くいなしつつの日常を象っていくタッチが喜劇調なだけに飲み込みやすく、言うまでもない永井氏の喜劇の作劇の巧さで事態の推移がはっきり見える。そして事態は討論番組出演者の発熱によるコロナ疑惑をもとに「降板かリモート参加か」の条件争い、そこからさらに進んで放送コードへの接近と目が離せない。面白いことこの上ないが、それ以上に「よう言うてくれたわい」と心で手を合わせる台詞。
思えば彼らは皆自分を代弁する者。英雄気取りをしたがり、保身に走りたがり、能天気にふるまって失敗し後始末も愚か、無能の自分に嫌気がさし、出世のチャンスには心踊るが心暗くもなり、魂を売った記憶は埋もれて「蓋をする」技だけは上達するが「本当」らしく生きてるつもりの日常は根から蝕まれている・・。

だが人は敗北するが終わりではないと、第一作でも(別の言葉で)語られたメッセージが残った。人間的に考え抜かなければ書けない戯曲である。

ネタバレBOX

神野三鈴の寸分狂いのない芝居は永井演出の指示の緻密さだろうか。
初鑑賞であった佐藤B作の力演はアドリブにも聞こえる喋りの臨場感、役もはまり役。
ドラマ中で喜劇ならではの大きな変節を刻む二役は、この二人だから演じられたと思う。

ただも少しばかり安ければな~・・思い切り人に勧められるんだが。。
眠れない夜なんてない

眠れない夜なんてない

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2021/01/15 (金) ~ 2021/02/01 (月)公演終了

満足度★★★★

たまたま時を昭和天皇崩御後に設定し直して改稿中、コロナとなり「自粛」というキーワードが重なったとの事。だが当初の設定のまま「これはあの頃書かれた戯曲」として上演するのも有りだった気がする。時代設定変更が徹底できてないのか、どことは指定できないがどこか部分的にそぐわなさがあった。(そのため時代設定そのものの意味があまり感じられない。)
1989年が日本での(まあ海外でもだが)エポックメイキングな年だったとしても、風景がピタッと来ないのは作家の「この時代を描きたい」という欲求・執念が足らないのでは、と思ったり。
本国を離れたマレーシアの日本人向け別荘では、天皇云々の話題がどの程度「身につまされる」ものだろうか。「本土事情などどこ吹く風」が標準である方が、戦後日本人的であるし、「どこ吹く風」であるならもっとそちらに振り切って帰属国への無責任ぶりを暴走させた方が日本人(論)的ではなかろうか・・と思う所も。。

先進国と発展途上国という当時の国同士の関係が「ソウル市民」に重なるようにも思うが、平田氏がありきたりを嫌うのか、成金根性を具現したような人物はいなかった。
だが代わりにナイーブでむしろ今の日本人の(慎ましさというより卑下した)物腰に傾いている感があったのは「今の日本人」が演じているからか、それとも私が今の気分を投影したものか。

そんな具合で、平田氏の宣言通り「伝えたいもの」は何も感じなかったが、「表現したいもの」は理解でき(人物の人物らしさ、滑稽さ、引いては人間の滑稽さ)、楽しめた。
アフタートークでは平田氏が質問に答えて「歌を入れるのは(それが無いと)終われないから」「そろそろかな、という感じで入れる」という身もふたもない回答。
へえ・・・「終われない」と感じる感覚はあるんだ、と言質を取った気分。
「劇的」なんぞ要らぬとうそぶく平田氏もまんざら冷酷な心の持ち主でもなく、実は最後くらいは幾許かでも「劇的」にしたいと願う好々爺であったのだなあ(はっきり皮肉を言ってるがまあご愛敬)。
いや、「歌で劇的を演出したい訳ではなく、台詞を止める機能を活用しているだけ」と天界にあると言う演劇法廷できっと平田氏は弁解してみせるだろうがもう逃さんぞ(まあご愛敬)。

舞台「パタリロ!」~霧のロンドンエアポート~

舞台「パタリロ!」~霧のロンドンエアポート~

舞台「パタリロ!」製作委員会

天王洲 銀河劇場(東京都)

2021/01/21 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/01/28 (木) 13:00

今回も傑作。中盤でイケメン軍団に換気を手伝わせるなど、サービス精神が旺盛。年1作のペースで上演を続けてもらいたい。

ワンマン・ショー

ワンマン・ショー

八角家

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

劇場で観劇しました。
重層的な筋立てで難解な芝居。
役者さんの演技はよいと思います。

ただ、どっちかと言えば映像であっちこっち見返しながら、見たいかも。

少女都市からの呼び声

少女都市からの呼び声

劇団唐組

駅前劇場(東京都)

2021/01/20 (水) ~ 2021/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

公演を知ったのは公演中日の事であったが、唐組初?の劇場公演(駅前)にして僅か5日間という「らしくない」公演はやはり見ておきたく、千秋楽当日キャンセル待ちで滑り込んだ。
「少女都市」は20年以上前の新宿梁山泊公演と、数年前唐ゼミ又は梁山泊で観ていたが、今回はコロナ対応で圧縮したのか「あれ?こんな短かったっけ?」休憩無し1時間半弱で終わった。
「普通に見れた」芝居であったが、恐らく多くの観客の期待する解放感(屋台崩しがその頂点)「町に接している」緊張感が無い中での上演という「チャレンジ」は、コロナ禍下のイレギュラーなのか今後への一歩なのか・・(当然私は前者であって欲しいが)。
評としては、劇場向け芝居の「細やかさ」が、野外の醍醐味(雑駁さ)を埋め合わせたかは微妙である(観劇料をやや安に設定した所に劇団の自意識がしのばれる)。が、劇団の健在を確認できたのは嬉しい。

他には、出演数も少なめ。コロス的俳優4,5名は見たところ新顔であった。
今回は特徴ある風貌の大鶴美仁音が主役を務めた。天然ぽさが武器だが細やかな陰影を持つ表現者への脱皮のこれが一歩となるだろうか。

正義の人びと

正義の人びと

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/29 (金) 14:00

座席B列18番

 オフィス再生の上演を観てから3年後、俳優座上演を観る。
オフィス再生での上演では、主人公ヤネクが、最初の大公暗殺の失敗から、自らの正義と倫理との狭間で苦しむ中、「正義」の議論は、彼を取り巻くレジスタンス達の応酬として展開する。渦中のヤネクは苦悩こそすれ、ただただ無力で、懊悩するばかりだ。そして、自我を打ち消す棟に無機化して、大公暗殺に出向く。そこに誕生したのは、新たな英雄であり、もはや無垢に帰した屍のような人物だ。彼は思考を停止したかが故に無謬であり、何者にも咎められることはない。レジスタンスの同志たちは、彼の英雄性をいかに賞揚するかに専心し始める。「正義の人」とは何か?倫理の立脚点としての存在を問い詰めるような演出だった。
それに比して、俳優座の演出は、「正義」とは何か、むしろ意味論、価値論的に徹底して突き詰めようとする。ただ、いうまでもなく「正義」は相対的な思考軸の在り様でしかない。
レジスタンス達には、大公暗殺は「正義」だが、同行した甥姪を巻き添えにすることは「正義」ではないとする者。否、甥姪をも犠牲にして大公暗殺を優先するのが「正義」だという者。そして各自の「正義」たる主張は、みるみるうちに多種多様化し混とんとしてくる。
 そう、レジスタンス各々の御旗になる「正義」の主張は、愛、憎悪、期待、同情、信頼、
失望、欲求などなど、あらゆる感情に還元され溶解されていく。
大公妃においては、夫大公にこそ正義はあるが、甥姪の道徳観・人民観に「正義」はないという。「正義」とは
どちらも妥協なきがゆえに、ただただ感嘆すべきドラマ性と演出。

ネタバレBOX

ただ、この作品に限ったことではないけれど、革命組織やレジスタンスにいる女ってろくでもない奴多いよな。ドーラのヤネクへの恋心が隠せないのは、やや許すとしよう。ただ、「正義」の源泉となった憎悪の証として、ステパン自身が背中のケロイド状になった夥しい傷を見せた時、そこに抱きついて同情を寄せるドーラの姿には、ちょっと気の遠くなるような眩暈がした。それするかあ?女武器にして自己正当化していない?
モンテンルパ

モンテンルパ

トム・プロジェクト

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/01/23 (土) ~ 2021/01/30 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/29 (金)

温泉ドラゴンのシライケイタがトム・プロジェクトに書き下ろした新作で、実話ベースの作品だが、私は知らなかった物語で面白い。観るべし!
 戦前から終戦後に活躍した渡辺はま子(島田歌穂)が1999年の大晦日に横浜の公園で少女と話しているシーンから始まり、人生を回想して最も印象に残ったこととして語るモンテンルパへの関わり、という話を始める。モンテンルパとは、フィリピンのマニラ近郊の都市で、戦後、日本人の戦犯が100名以上入れられた刑務所があるという。教悔師としてモンテンルパにいた多賀尾(大和田獏)が戦犯に寄り添う。そこでの戦犯の生活や冤罪疑惑を聞いた渡辺が、減刑や帰還に向けて努力する。この2人を軸にして、さまざまな人々の努力と苦難を一定程度史実に基いて展開されるのだが、シライは物語に普遍性を持たせることも忘れていないあたりが見事だ。淡々と事実を積み上げる形の芝居だが、終盤の展開は見事でエンディングは美しい。後でいろいろと調べて分かったことがいろいろあり、興味深い作品だと思った。

お伽草子

お伽草子

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2021/01/16 (土) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

小屋内はとても寒く、アクターの息も白くなっていて可哀想でした。寒さのせいか、途中退出者もいました。今後観劇する人は寒さ対策必須。内容は満足🍴🈵😆。環境も大切だと思いました❗

シェアの法則

シェアの法則

劇団青年座

ザ・ポケット(東京都)

2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/01/28 (木) 18:00

シェアハウスを舞台にした「いい話」だった。観るべし!
 劇団「日穏」の主宰である岩瀬晶子が青年座に書き下ろした新作。日穏は私のお気に入り劇団の一つだが、岩瀬の書く脚本は緻密で無駄がない良さがあると思っている。本作もその特徴が発揮されている。
 とある町にあるシェアハウス「トゥルペンハウス」は、大家のキヨコ(登場しない)の意向で周辺の同業よりかなり安い家賃で、ワケアリ系の入居者が多い感じ。今日も朝から住人たちが細かい「あるある」事件を起こすが、実はそのキヨコが骨折し入院し、夫の秀夫が乗り込んで来たため、会計士の秀夫(山本龍二)は儲けにならないシェアハウスを儲かる状況にするために家賃の値上げを言い出す…、というような展開。序盤で細かいエピソードを提示し、家賃の値上げという事件を通して、さまざまな展開を経て、伏線を回収してエンディング、という岩瀬の脚本がまず良い。加えて、青年座のような伝統のある劇団の特徴として幅広い年齢の役者が出演できるという利点も活きて山本・岩井富子らのベテランから高校生役まで、役に見合った役者が生き生きと演じる様子は観ていて安心できる。
 おそらく観ている観客のほとんどが、こうなってほしい、と思うエンディングにほぼなるというあたり、ベタと言えばベタである。だが、ベタであることで安心できる舞台というものもあるということを改めて確認できる芝居もあるのだと思う。ベタにはベタなりの良さがあるのである。また、カーテンコールでの岩井の喜びようを観ていて、演じる側も嬉しい舞台がある、という当たり前のことにも気づかされたのも収穫だった。

シェアの法則

シェアの法則

劇団青年座

ザ・ポケット(東京都)

2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

予約フォームから当日精算で予約した時に、希望の席があればということで記入したのでしたが、わざわざ電話での確認をいただきまして助かりました。

一見、相場よりだいぶ安いシェアハウスで楽しく暮らしている人々でしたが・・・。
チラシの写真に並ぶ様々なカップがいろんな人がいることを象徴しているようでした。

パンフレットにあった岩瀬晶子さんの「地球は大きなシェアハウス」という言葉にうなづきました。

トスカ

トスカ

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2021/01/23 (土) ~ 2021/02/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

METライブビューイングも含めて4回目のトスカ。4年前の新国立は、これが生のオペラ初体験だったせいか、何かなじめなかったが、今やほれ込んだ。非常によくできているオペラ。主役のトスカが1幕では嫉妬深い、面倒くさくて、うまく警察に泳がされるコマッタ女なのに、2幕で強い女に変貌し、3幕で悲劇的な死を迎える。悪役スカルピアがトスカを追い詰めた結果、彼女を変化させるわけだが、スカルピアが光る。色男カヴァラドッシは、正義感なんだけれど、この二人の間では少々影が薄い。

今回はテノールがよかった。ソプラノ、バスはもちろん。
ただ、急に仕事が入って、2幕までしか見られず。でも、その分、3幕の映像を家で見たり、モチーフを後で復習したり、全部見られなかった不全感にはメリットもあった。

アチャラカ

アチャラカ

オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド

劇場MOMO(東京都)

2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

「私の青空」の歌が要所要所で歌われ、カーテンコールは大合唱。井上ひさし芝居を思い出し、それだけでも見た甲斐があった。劇音を、キーボード、ドラムス、サックス、バイオリンの四人の生バンドでやるのも贅沢。BGMとしてサックスが時折、やはり井上芝居で聴いた曲をやる。調べると、三文オペラノ「マック・ザ・ナイフ」。「夢の裂け目」のラストで使っていた。これも耳に馴染む曲で、良かった。実はアームストロングなど何人もがカバーして、ジャズのスタンダードなのだそうだ。

戦争末期、若いエノケンの人気に怯え嫉妬する、人気に翳りのロッパの話である。でも、舞台の見所は、「喜劇など不謹慎」という憲兵と婦人会役員を、部隊に巻き込んでしまう劇中劇と、戦後の焼け跡で、ほとんど人のいない野外で演じる「はりきり忠臣蔵」のコミカルな討ち入り、立ち回り。

憲兵の弾圧や焼け跡が、コロナ禍の自粛・緊急事態宣言や観客のいなかったりすくなかったりする劇場に重なって見えた。2013年の初演?の再演なので意図したのではないようだが、意外な普遍性に驚いた。

1945年3月に娯楽の緩和令が出て、喜劇などの上演も許されたという。本当だったらすごい。知らなかった。戦局が悪化し、苦難ばかりだから、政府・軍部も笑いの必要を察したからということらしい。

アチャラカ 昭和の喜劇人・古川ロッパ、ハリキる

アチャラカ 昭和の喜劇人・古川ロッパ、ハリキる

オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド

紀伊國屋ホール(東京都)

2013/09/05 (木) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

2021年の中野MOMOでの公演を観た。「私の青空」の歌が要所要所で歌われ、カーテンコールは大合唱。井上ひさし芝居を思い出し、それだけでも見た甲斐があった。劇音を、キーボード、ドラムス、サックス、バイオリンの四人の生バンドでやるのも贅沢。BGMとしてサックスが時折、やはり井上芝居で聴いた曲をやる。調べると、三文オペラノ「マック・ザ・ナイフ」。「夢の裂け目」のラストで使っていた。これも耳に馴染む曲で、良かった。実はアームストロングなど何人もがカバーして、ジャズのスタンダードなのだそうだ。

戦争末期、若いエノケンの人気に怯え嫉妬する、人気に翳りのロッパの話である。でも、舞台の見所は、「喜劇など不謹慎」という憲兵と婦人会役員を、部隊に巻き込んでしまう劇中劇と、戦後の焼け跡で、ほとんど人のいない野外で演じる「はりきり忠臣蔵」のコミカルな討ち入り、立ち回り。

憲兵の弾圧や焼け跡が、コロナ禍の自粛・緊急事態宣言や観客のいなかったりすくなかったりする劇場に重なって見えた。2013年の初演?の再演なので意図したのではないようだが、意外な普遍性に驚いた。

1945年3月に娯楽の緩和令が出て、喜劇などの上演も許されたという。本当だったらすごい。知らなかった。戦局が悪化し、苦難ばかりだから、政府・軍部も笑いの必要を察したからということらしい。

東京原子核クラブ

東京原子核クラブ

アイオーン / ぴあ / オフィス・マキノ

本多劇場(東京都)

2021/01/10 (日) ~ 2021/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

マキノノゾミの代表作を初めて舞台で見られてよかった。朝永振一郎(舞台は友田)をモデルにした群像劇。前半は、今一つ舞台の人々の悩みと騒動にのれなかったが、後半の戦争激化から敗戦後までは引き込まれ、時間を忘れた。

二幕の冒頭、研究仲間が「友田さんは神様です。人間が神様をやっかんでも仕方ない。ボクは自分のできることをやります」と、サバサバというのにまず共感した。
葬儀が父親かと思ったら、実は犬のガロアだったというシークエンスも見事。巧みな勘違いのコントで思い切り笑えた。

戦局が進むにつれ、出征の見送り、原爆研究の葛藤も迫るものがあり、原爆投下の閃光と真っ暗で大轟音が長く続くのには、肉体的に実感としてゾッとした。そしてカラッと明るくなった戦後。「土足!」のギャグは文庫版の戯曲にはないが、最後に繰り返されることで、気持ちいいエンディングだった。

浅野雅博(仁科芳雄にあたる、西田)、平体まひろ(下宿屋の娘)が、要所要所で芝居の緩急をよくつけていた。平体の「前の友田さんの方が好きでした」のセリフは、意外と厳しい口調でドキとした。霧矢大夢も、シスターになってからのギャグと外見のずれが絶妙だった。餞別の十字架のお金をちゃっかり要求するところは笑えた。主演の水田航生が知的な科学者に見えないのがちょっと残念。

ネタバレBOX

当初予約していた木曜夜の会が緊急事態宣言で、夜8時までに終了の「働きかけ」で中止になって困った。さいわい、土曜の夕方に振り替えられ、席も前列の中央ブロックで、良かった。
ワンマン・ショー

ワンマン・ショー

八角家

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2021/01/28 (木)

価格3,500円

28日18時開演回を拝見(110分)。

(こういう表現が相応しいかは自信がないが)いかにも「不条理劇でござい!」な性格設定の登場人物達が、複雑に交錯する時間軸のはざまで彷徨する、一筋縄ではいかない、なかなかに歯応えのある作品。
上演中、ずっとモヤモヤしながら観ていたが、クライマックスまで来て漸く「あっ、そういうことかぁ!」と膝を打てた。
終演時、客席の拍手がワンテンポ遅れたところからすると、他の観客にも難解な作品だったか。

ネタバレBOX

【配役】
青井あゆむ(懸賞マニアが高じて、架空の人物設定を創り出す)
…生島誠人(いくしま・まこと)さん
青井紫(妻。不器用)…褚(ちょ)さん
白根赤太(紫の兄。無職)…齊藤圭祐さん
イエロー(何でもやる公務員?)…赤星雨さん
緑川緑(ネガティブな楽天家)…山内里紗さん
佐藤ただし(ひろみの弟)…竹田航(たけだ・わたる)さん
佐藤ひろみ(夫が姿を見せない…)…大島美波さん
緑川黒雄(青井家の隣りに最近引っ越して来た)…鈴木貴大(すずき・たかひろ)さん
正義の人びと

正義の人びと

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/01/28 (木) 14:00

座席1階

カミュの古典を実力派の劇団が上演。カミュといえば降ってわいた新型コロナで「ペスト」がバカ売れする社会現象が起きたが、この戯曲は、人民の平和と安寧のために圧制者を殺害するテロは正義か、という現代でも通用する命題をめぐって暗殺者集団が大論争を繰り広げる。
舞台は暗殺前と暗殺後の2幕。翻訳に苦労したという難解なカミュの思想なのだが、役者たちの緊迫感に力を得て、客席の視線は緩むことがない。
今風に言えば、北朝鮮国民を貧困と飢餓、不自由から解放するために首領様を暗殺するのは正義かという話である。今回の舞台では二幕で、殺害された大公の妻が暗殺者に面会し、愛する夫を殺害された自分の思いをぶつける場面がある。首領様にも家族がいて(もっとも、この人は家族であっても粛正する人なのだが)果たしてその家族の安寧を破壊するのは人民のためとはいっても正義なのだろうか、と考える。
もう一つ、絞首刑になる暗殺者と恋仲の同志の女性が、恋人の処刑(死)に対して、それが自分の愛を貫くうえでも価値あるものだと半狂乱のように自分を納得させるような場面がある。主義のために死ねるか、社会をただすために愛を犠牲にできるのか。そういうことを考えなくても済む現代日本に住んでいるのは、よかったと思う。ただ、いつそういう世の中になるかもしれない、という不安は感じているわけだが。

このような戯曲を見た後は、酒場で少し議論したくなる感じだが、今はそれが一番してはいけないこと。そういう意味では不自由な世の中なのである。

ネタバレBOX

俳優座劇場というゆったりとした客席で一つおきに座るコロナ対策。高齢者が多い客席なのだから、これも仕方がないと言えよう。
Shazai !

Shazai !

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2021/01/19 (火) ~ 2021/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

コメディと聞いて行ったのでしたが、やはり謝罪は笑って済まされないようで。笑えるところもありましたが、何ともシニカル。でもオーナーさんが宗旨替えできて良かったです。この際ですから地下室からもっと眺めの良い部屋で行うことにしたら、さらに良いのではないでしょうか?

ネタバレBOX

「おさわりおじさん」には天罰が下ってほしいもんです。

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