最新の観てきた!クチコミ一覧

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アユタヤ

アユタヤ

MONO

あうるすぽっと(東京都)

2021/03/02 (火) ~ 2021/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

久しぶりのMONO新作。舞台は十七世紀のタイ。アユタヤの日本人町である。当時山田長政などのリーダーのもと、南方へ進出していた日本人が、次第に追われる立場になっていたころ、アユタヤの商人兄弟を中心に、流れてきた武士、商人、労働者、現地妻などの人間模様である。この京都の劇団はかつて、ゲイの若者たちが共同生活するアパートの日常を描いた作品で、鮮烈な印象を残した。それからもう30年もたつという。確か男性だけの劇団であったがそのメンバーが今も残っていて、今回の舞台にも出ている。みな、結構おっさんになっていて、時日は残酷だなとも思う。しかし、このちょっと小味な劇団が、関西と東京で劇団のカラーのある上演を続けてきたのは、同じ京都のヨーロッパ企画と並んで、演劇界に快いアクセントをつけてくれたと思う。
今回の作品は、作者も書いているが、落ち着かない世相に足をとられてしまった。この作者で、この素材なら、もっと面白い設定や展開があるだろうが、極めておとなしい。細かさと言うならほんの一月前に秋元松代の「マニラ瑞穂記」を見ているので、どうしても比べてしまう。もちろん秋元とは別の線を狙っているのだが、うまく成功していない。もう東京での活動が多くなってしまった作者、俳優を擁する要するMONOだが、自分たちの年齢(初老の曲がり角)に見合った小劇場作品を考えてみたらどうだろうか

ネタバレBOX

。最後は、日本人同士の葛藤も持ちながら、新天地を求めて、ルソンにわたって出発するところで終わっているが、これでは、どこまで行っても日本人、という以上の終わりにはならない。なにか突き抜けた未来を持たせるつもりで書き始めたのだろうが。
このヨツボシは劇団35年お祝いと、今の演劇環境を考慮した長年のファンの花束もの。芝居としてはスト――リーや人物の展開に行き届いたところがなく、この作者とは思えない不手際である。この特殊な場所設定がまるで生きていない。
先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

実演鑑賞

ちょっと大林テイストを感じました。
大林といっても元バレーボール選手の2メートル女優ではない。

ネタバレBOX

宣彦監督です。
幽霊と生身の人間の関わりあいとか対話とか。
誤解 Le Malentendu

誤解 Le Malentendu

コズミックシアター

未来ワークスタジオ(大阪府)

2021/03/03 (水) ~ 2021/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

仕事でヘロヘロだったけど、疲れが吹き飛ぶくらい迫力ある演技と、私の置かれた環境も相まって、観いってしまった❗もう一度見たいくらいです‼️

ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪

ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2021/02/24 (水) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/02/28 (日) 14:00

「大鴉」という詩がどのようなものか知らないので、この舞台の土器にその影響を見るのかわからない。「Never More」という言葉に表された、ポーの絶望感を意味しているのか。
「べレニス」「アッシャー家の崩壊」「ウィリアム・ウィルソン」「黒猫」
愛する者が死にゆく過程で、それへの禍根と後悔、生きているはずだと思い込む偏執的な愛情とその感情の吐露。または、文学への限りない探求と、人への猜疑心。または自分ではどうしようもない自分の性癖・悪意・自己顕示欲への嫌悪と愛情、そんなないまぜのポー自身を死に至る走馬灯のような回想で振り返る舞台。2人のポー。それは呵責と自尊心。
 アトリエで観るキンダースペースから、シアターXに来ると、何ともセットも大掛かりに感じるし、今回はゴシック調に冷たい石のイメージが、ポーらしさを盛り上げる。快作。
でも、2人のポーが健康体過ぎるかな。

暗君

暗君

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/02/26 (金) ~ 2021/03/07 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2021/03/01 (月) 14:00

いつものパラノイア短編集に比べると、かなりライトな仕上がり。
2つの政治課題を、神の力を持って解決してしまうという作品なのだけれど、「少子高齢化」対策に至っては驚くほど、政策としてツボを得ていて、今の政府もこうしたいんじゃないか、とまじに思ったりする。いつまで経っても少子高齢化担当大臣の仕事が、保育所の増設でしかないとなれば。とにかく種付けを強制するしかない。子供が養えないなら、いっそのこと国が面倒見ましょう。高齢者は貴重な票田として大事に大事に、生かさず殺さず。高齢者が蓄えた資産は、子育てに積極的に流用してもらう。ならば、高麗者にはサービス、サービス。
まあ、できあがったのは、立派なデストピア。結局、1つの理念の極端な完成形は、共産主義社会を見るまでもなく、人間性の喪失を前提とする者だということ。(それほど、個人的には共産主義がマイナスな理想とは思っていないけれど)
 性の搾取対策においては、これデストピアというよりも、個人の痴呆化、家族・国家等々社会そのものの崩壊と、経済の停止(バイト生活者が労働者の大半を占めるだろう)、まあ、人間は生存権そのものを放棄するのでしょう。
とてもじゃないけれど、国が統制を取り切れない(溢れる犯罪者とその管理が追い付かない、というか、世の中で普通に闊歩できる男性なんていなくなるだろうし。きっとイケメン証明書の所有はリンチの対象になるんだろうな)
 左右の痴漢冤罪のところ、井口ジョージのキレのよい演技が全体通して、唯一の清涼剤かな。かっこいいし。冤罪をかけた女子に謝れと言うのは、冤罪をかけられた男子の人格を重んじれば当然。だけれど、なぜにあの女官僚は女性保護のみ訴えかけるのだろうか、不思議にならない、まあ、この女性が、上下でも右左でも、極端な要望を神に出して、その実現を持って世を滅ぼすのだけれどね。
 「カリギュラエフェクト」というサブタイトルに、もっと殺伐とした従来の作風を期待したけれど、毒も衝撃もかなり不足がち。まあ再見はないな。

ネタバレBOX

「観てきた」感想が少ないのは、やはり期待外れだったからではないかな。
暗君

暗君

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/02/26 (金) ~ 2021/03/07 (日)公演終了

満足度★★★

上下を観劇。
少子高齢化を解決するために行われた非人道的改革後の日本を描いたブラックなお話。

倒錯した世界観といい、振り切った一部登場人物といい、観客を選びそうな芝居です。

ネタバレBOX

個人的には上下だけでお腹いっぱいといった感じですが…。

コメディ性とか政治的メッセージ性の強い作品という印象ではなく、あくまで不条理かつブラックな世界観に浸りたい人向けかと。
帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/02/26 (金) 13:00

「全員を助けられないことは、一人を助けない理由にはならない」回想中の山崎が言う言葉。
確かに総力研の力では、日米開戦は避けられなかったかもしれない、でもその被害を1割でも2割でも減らすことはできなかったのか。すべては全か0かなのか。
 彼らは、自らの無力さに耽溺し、全てをあきらめてしまったのではないだろうか。もう少し頑張って抵抗していれば、今1つの命だけでも救えていたかもしれない。そんな悔恨の情が、ラスト舞台を漂う。久米首相、久米首相、ご判断を!
ただただ泣いた。過不足のない役者の配置とセリフ配分、そして淀みなく綴られる劇中回想劇。ほぼ居酒屋と言うほぼ一幕劇で、あの大陸の血なまぐさい空気と官邸内での策謀と傲慢、そして登場人物個々が抱える現在の自分への不安や贖罪意識、よくも描き切ったと思う。

ネタバレBOX

アフターアクトは西尾さん、何か精神科で診療を受けているようだけれどと思い、、、、
で、笑った笑った。あの立派な投げやりさは痛快だったな。
断片/ペール・ギュント

断片/ペール・ギュント

劇場創造アカデミー

座・高円寺1(東京都)

2021/02/21 (日) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

満足度★★

鑑賞日2021/02/23 (火) 14:00

劇場創造アカデミーの修了上演となると、「戦争戯曲」定番のところ、最近は別作品を演る様になった。今回は、ある意味王道イプセンの「ペール・ギュント」とはいえこの作品、主人公の荒唐無稽さ、物語展開の奇想天外さで魅せる、初見者には予測・予断を許さない破天荒作品で、演出意図がとても絞りづらい(と思う)。その上「戦争戯曲」も3部すべて上演となるとかなりの長丁場なのだけれど、「ペール・ギュント」もとにかく長い。だから、著名な割にあまり上演されない(気がする)。
今回、「断片」とあるように、(上演時間1時間半と聞いて驚いた)やはりと言えばやはり、場面場面を切り取り再構成した作品であった。これ、何が何だかわからない。いや、そもそも何が何だか分からないところが、この作品の魅力であるにもかかわらず、その魅力を味わえない。おおまかな話を把握しているつもりな私でも、開演からしばらく暗中模索。冒頭ペール親子の会話から場面は判るし、会話の内容も推測できるけれど、全く楽しめない。
舞台装置には凝りに凝ったり、なのだけれど役者が活きていないなあ。次々と役者が変わるペール・ギュント、これでは唯一といえる物語のアイデンテティ―さえも骨抜きで、これ楽しめた観客の方いるのだろうか。完全なプロデユース側の目論見違い、独りよがり、自意識過剰?
 

先の綻び

先の綻び

劇団水中ランナー

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/17 (水) ~ 2021/02/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

犯罪被害者または加害者の観点から描いた物語は観たことがあるし、稀に両方の観点(立場)から描いたものもあった。この公演は単純に被害者・加害者という観せ方ではなく、犯罪の行為そのものに対する憤り、しかし直接的に感情をぶつける相手がいないことへの苛立ちが悲哀となって迫ってくる。
空洞のような家族の空気感と心象を見事に切り取り繊細に描いた秀作。観応え十分!
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

舞台セットは、郊外にある小山家のリビング。そこは家族団欒の場所であり、家庭の雰囲気を表すのに最適な空間。物語は小山家の人々の日常生活を淡々と描くが、何かが変である。当日パンフに「とある郊外の一軒家、ある男性がもたらした、今そこにある少し不思議な共同生活」とある。ある男とは小山家の長男・信太である。先に書いてしまうが、この男は既に亡くなっている。が、たびたび登場して物語を傍観しながらも牽引する不思議な存在である。家族_兄弟姉妹と言っても性格が違うように、家族内での役割のようなものをそれぞれ担っている。信太亡き後、家族内の揉め事はなかなか収まらないことから、長男として調整役というか緩衝的役割を果たしていたようだ。それを回想的に描くことによって、幸福だった家族に突然襲いかかった不幸への落差として観せる。

なぜこの男が亡くなったのか、その原因、亡くなって気付く人柄を通して、犯罪の理不尽さを浮き彫りにしていく。暴漢に襲われていた女性を助けるため、自分が犠牲になってしまった。物語に犯人は登場せず、助けた女性のほうが現れる。犯罪(ここでは被害者視点)は被害者本人だけではなく、家族や周りの人々に影響を与える。切々と語られる思い出、その滋味溢れる描き方がこの物語を強く印象付ける。

事件から数年経過しているが、いまだに取材を続けている記者(後にその理由が分かる)、その人物を通しても被害者家族が語られる。信太にしても助けられた女性にしても被害者という立場であるが、小山家の人々にとっては微妙な感情を抱く。一方 助けられた女性も心苦しい思いを抱き続けるという不幸。割り切れない気持ち、その思いの捌け口が見い出せない光景として描く。しかし時が少しづつ心をほぐし、ラストには救いの光がさすような心温まる、そして後味の良い公演としている。

パンフには「思い出と共に訪問してくる人々。繰り返しながらも変化していく」とも書かれている。ゆれる心、流される情、微妙に変化していく気持を実に繊細に演じる役者陣。照明は、水面に波紋を広げるような紋様で、表現し難い内面を効果的に表しており見事。
次回公演も楽しみにしております。
真冬のバーレスク~ボードビル3部作~

真冬のバーレスク~ボードビル3部作~

まつもと市民芸術館

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2021/02/26 (金) ~ 2021/03/02 (火)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ

ネタバレBOX

『真冬のバーレスク〜ボードビル3部作』を観劇。

短編集ながら、昔に書かれた戯曲を串田和美流にアレンジしている。
描かれる作中の登場人物たちは、戦時中、暗黒街のシカゴと時代が危険を要している傍ら己の人生を謳歌しているが、世間は決して許そうとはしない。
重い粗筋ながら、串田和美が描くとそこには歌や踊りが交わり、一瞬ながらも人生の華やかさが感じられる。だがそんな眩しい人生も瞬間で終わってしまうが、その先には一体何があるのだろうか?
その答えをクライマックスに持ってくるのがアングラ演劇人・串田和美の真骨頂なのである。
派手で眩しい様に見えるが、何とも言えない気分をラストシーンに感じてしまう観客は私だけではないと思うのだが…。

バーレスクとはボードビル、バリエテ、キャバレーそして寄席芸などとほとんど同義語の19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパに広まった大衆芸能でありながら、当時の既成の権威的芸術をぶち壊そうとした大勢の芸術家たちが参加した運動(ホームページにて)
「その鱗 夜にこぼれて」

「その鱗 夜にこぼれて」

空宙空地

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2021/02/18 (木) ~ 2021/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

3st観劇

流されてきた母、養育費払えぬ父、訳ありのパート、そして店長と夫と娘。
皆(店長除く)、後悔しつつ生きている。
でも不幸じゃないさ、幸せさ!
家族分かれ分かれとなったとしても…
「何か誰かと繋がってる」って思える、濃~い公演。
暖かい気持ちになった!
涙こぼれた。

役者さんの皆さん熱演でした。嫌味な野村教官も良かった。

End of the day~あすくる~

End of the day~あすくる~

激富/GEKITONG

ABCホール (大阪府)

2021/02/11 (木) ~ 2021/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

大千秋楽 B team観劇

久々の激富さん
笑わせて、締める所は締めて、魅せてくれて、やっぱり超エンタメ。
しっかりしてます。

てんでバラバラのエピソードが、地球最後の日に向けて1つに収れん、最高に盛り上がる。
流石、激富さん!
楽しかった。

追伸、アフタートーク。
「つかまえた」や「○○アナが好きだ」発言など最後まで楽しませて頂きました。
女子はそんな事言われたら…
反則ですね。

0号

0号

劇団皆奏者

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2021/02/11 (木) ~ 2021/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

千秋楽観劇

7年前ゲキバカさんの0号で大泣きしましたが、今回も涙が溢れて止まらない。ボロ泣きです。
印象深い演目(初めてABCホールで観劇した演目)で、結末や展開を結構覚えていて、始めの頃からウルウルしてました。

希望を胸に、信じ続けた人達、胸が熱くなる公演、ありがとう!
「ここに居る事が大事」
感動した。

モノクロ上の空

モノクロ上の空

劇団片羽蝶

仮想劇場ウイングフィールド(大阪府)

2021/02/13 (土) ~ 2021/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

初回観劇

優等生を演じるのに疲れ、自殺未遂で入院した亜希は、1人の少年と出会う。
同じく優等生の友人をなくした看護婦と院長…。
過去と現在、ファインダ越しに、とても色鮮やかな景色の見える、再生の物語。
幸せ探しの二人の旅が続く事を切に望みます。
幸せ感半端なし、良かった。

オーサカ・ヘヴン

オーサカ・ヘヴン

dysmic Entertainment

ABCホール (大阪府)

2021/02/05 (金) ~ 2021/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

あっという間に予約完売したため拝見できなかったので、アーカイブ配信にて奥様と一緒に観劇

昭和,夏の陣,2121年を行き来し、世界の本質に迫るテツオとチエ?!

コメディ,戦国活劇,SFからロマンスまで、ギュギュっと詰め込んだエンタメ大作、満足です。

帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2021/02/19 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

個人的に注目な俳優ぞろい、しかも紅一点に黒沢あすか(初お目見え)という思わせぶりな布陣に惹かれて観劇。無論今作のテーマも注目なのであるが、戦争を巡る議論の本丸とも言える「開戦に至る経緯」、古川氏なら骨太に書いてくれるだろうと、期待しつつも幻滅を覚悟で、よっしゃと足を運んだ。

すこぶる評判が良いので、逆に怪訝に思う。というのも、史実とその問題点に触れながら人間ドラマとしての着地ができた優れた舞台であったから。自分と世間の感覚はずれている、と思っているので「なぜ受け入れられたのか」と考え始めてしまう。

劇チョコは「あの記憶の記録」の2013年以来、だいぶ見落としたと思っていたら、ほぼ全て観ていた。振り返れば「エレジー」を例外としてどれも大きな歴史的事象を題材にした舞台。戦後囚われの身となったナチス親衛隊が罪と向き合う「親愛なるわが総統」、南京大虐殺の実行責任者として処刑された松井石根の罪の認識に迫る「無畏」、いずれも第三者的人物との対話から「罪」の焦点となる部分に迫るという、優れた「内省」の軌跡を描く劇であったが、今回は「総力戦研究所」(劇では開戦前1941年に若手エリートが集められ戦争遂行の実現性が検討されたという)の所員が戦後、亡くなった仲間を悼むために久々に集ったという設定で、それぞれの思いが交わる群像劇となっていた。

酒宴の中で「研究所」時代を回顧し、雑談の中で「問題」に触れて行く手法は、直接の利害関係人のいない日常感覚を観客も共有しながら話題に入って行く効果を持つ。
そうする中で、わずか10年前に開戦か否かを決するプロセスに(結果は同じであったにせよ)「関わった」事実の軽重が、各人各様にあるというあたりが見えてくる。
彼らは亡き仲間の追悼のために集まったのであったが、前半は「研究所」でみた風景の再現に興じ、日中戦争期間の軍と政府の「決定」の是非が話題になる。そして誰一人、開戦が勝利を導くとは考えなかったと言う。だが後半、会場となった料理店を営みホストをする亡き仲間の夫人を通して、生前の故人の事、そして集った者同士の近況、つまり戦後の時間枠へと意識が向かう。
劇の相をガラリと変えるのは、夫人とその「伴侶」となった故人との出会いとその後のエピソードの回想からだ。またどことなく伏線となっていた、故人と辛うじて連絡が取れていたという一人の広島体験の証言も・・。具体的な「死」の場面が、日本の指導者が導いた戦争による犠牲を想起させ、戦後の生の全てを償いのために捧げたらしい故人の姿から、焦点は戦後責任、即ち現在の自分たちの態度にシフトする。彼ら総力戦研究所(そのものが描かれているかは判らないが)の元所員が、政府の政策遂行者に対し何を為し得たのに何を為し得なかったか、歴史のifへの想像力が動員されていく。

現在、日本の過去の侵略的要素を含む事実が「不利」と認識され、現在の日本にとって不利であるゆえにそれを認める事を避けるべきだ、との合意がある。日本が侵略をしていない、とする認識は事実ではなく、虚偽事実が独り歩きしているが、これを選択する人は「日本に不利なことを言いつのって日本の不利を確定し、自らに利を誘導しようとするコスイ策謀だ」とする陰謀論で「敵」を見出して喜ぶ類。敵というものにしがみつきたい層が相当程度存在すること自体この社会の不健全さを表すが、あの戦争で他国民を殺戮した数には及ばないまでも百万単位の自国民の死者を出した事の方を問題にするなら、「学ぶ」べき事はもっとある。
「しっかり考える」という態度を持ちたいものだがこの作品は情熱をもって「あるべきこと」へ向かおうとした戦後間もない日本人の姿を映してもいた。
(歴史的には1980年代までの日本での戦争責任論は為政者の国民に対する責任を言い、他国への侵略行為の責任が議論されるのは後の事になる。)

ネタバレBOX

責任論は運命論と対立し、「ああなるしかなかった」運命に対する責任など取りようがない、とするのが運命論の立場。そうなると歴史から学ぶ事は何もないのか?との問いには、一応回答はある。過去は変えられず、変えようもなかったが、学習によって回避する事ができる、という言い方が可能。
日本にはこの議論が多い。「責任をああだこうだ言っても仕方ない、大事なのは同じ過ちを繰り返さない事だ」と。
だが、回避できなかった事から学ぶ事はあるのだろうか。「他の選択があり得たかどうか」が、責任の有無を決めるとすれば、「回避できなかった」とは多くは言い訳であり、「学習」の拒否だ。誰もこれに学ぶことはできない、なぜなら他に振舞いようがなかったからだ(そしてそのように日本を追いこんだのは欧米列強であり植民地主義である)、という事なのである。
だが実際には、上記二つの決定は議論の末出された結論であり、米英との戦争を開く政策は「敗北必定」を謙虚に踏まえれば回避されるべきと判断する余地はあった、という事は理性によって理解できる。歴史のifへの想像力は「可能」と言える。
TOTYO2020【無観客生配信公演】

TOTYO2020【無観客生配信公演】

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2021/02/25 (木) ~ 2021/02/25 (木)公演終了

野球コントはよくわからない専門用語が多かったので
飛ばしましたが、他の2つのコントはおもしろかったです。

夏の劇場公演が今から楽しみです。
配信の演劇を初めて観ましたが、やはり自分には
合いませんでした。もちろん配信でも内容は面白かったのですが、
舞台で見たほうが何倍も面白いと思いました、すいません。

オパンポン★ナイト〜ほほえむうれひ〜

オパンポン★ナイト〜ほほえむうれひ〜

オパンポン創造社

神戸アートビレッジセンター(兵庫県)

2021/02/26 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/02/28 (日) 17:00

神戸公演千秋楽に行ってきました!
2年ぶりの本公演!
観たことある2本+新作1本
観たことあるはずの2本も進化していて新鮮。
面白かった!楽しかった!
行って良かった!!

『木下蔭狭間合戦「竹中砦の段」』『端模様夢路門松』

『木下蔭狭間合戦「竹中砦の段」』『端模様夢路門松』

ロームシアター京都

ロームシアター京都メインホール(京都府)

2021/02/27 (土) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

87年ぶりに上演した作品。たぶん観るのは最初で最後でしょう。尊いです。
三業とも技芸員さん皆さんがすばらしかったです。特に、碩太夫さん、すばらしかった。これからの活躍を楽しみにしています。
トークもあって、4時間、充実の時間でした。ますます文楽が好きになりました。

田っ!

田っ!

早稲田大学演劇倶楽部

お客様のご自宅(東京都)

2021/02/27 (土) ~ 2021/02/28 (日)公演終了

映像鑑賞

Zoomを利用した生配信公演。約45分。演劇の公演としてみれば何じゃこれ?的部分は多いし、☆をつけるという見方だと何とも迷ってしまうが、生配信ならではの妙なLIVE感があり、整合性云々とかどうでもよくなる勢いが。好き嫌いは分かれるだろうが、無料配信公演はつまらんと思えばそこで離脱すればいいだけの話だし。

ネタバレBOX

タイトルはもうちょっと考えてほしかったけど。

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