満足度★★★★★
鑑賞日2021/02/26 (金) 13:00
「全員を助けられないことは、一人を助けない理由にはならない」回想中の山崎が言う言葉。
確かに総力研の力では、日米開戦は避けられなかったかもしれない、でもその被害を1割でも2割でも減らすことはできなかったのか。すべては全か0かなのか。
彼らは、自らの無力さに耽溺し、全てをあきらめてしまったのではないだろうか。もう少し頑張って抵抗していれば、今1つの命だけでも救えていたかもしれない。そんな悔恨の情が、ラスト舞台を漂う。久米首相、久米首相、ご判断を!
ただただ泣いた。過不足のない役者の配置とセリフ配分、そして淀みなく綴られる劇中回想劇。ほぼ居酒屋と言うほぼ一幕劇で、あの大陸の血なまぐさい空気と官邸内での策謀と傲慢、そして登場人物個々が抱える現在の自分への不安や贖罪意識、よくも描き切ったと思う。