最新の観てきた!クチコミ一覧

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ラヴ メールズ LOVE MAILS

ラヴ メールズ LOVE MAILS

喜劇団R・プロジェクト

遊空間がざびぃ(東京都)

2021/03/11 (木) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

ぬるーく終始にやにやしながら観てました。おもしろかったです。ありがとうございました。

羽化する朱い糸

羽化する朱い糸

劇団Pin to Hint

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2021/03/12 (金) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

因習と禁忌。
正に民話や伝承話のような怖さを感じさせる作品でした。

ネタバレBOX

公演終了後に書きます。
昭和虞美人草

昭和虞美人草

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2021/03/09 (火) ~ 2021/03/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

マキノノゾミの新作公演、と記憶をまさぐってみたら、思い出した。昔、MOP(だったと思う、違ったかな)とかいう京都でのマキノ氏の拠点劇団の最終公演(に近い公演)を観た。懐かしい。
名は知られているがそれだけに大衆好みとの予想通り、ウェルメイドチックな、社会派でも笑いの涙にまぶした「メッセージ性あってうまいけど甘い」舞台であった。
(殊に戦争を扱ったにしては「思いがあれば正義は勝つ」的なメッセージに集約させた、ちょっと文句の言いたくなる舞台を私はここで目にしていた。)
他のマキノ作品ではSPAC「高き彼物」(古館寛治演出)が絶品、先日の「東京原子核クラブ」も楽しめた。「高き彼物」は性的マイノリティを扱い、役者を選びそうな戯曲だが、「先生」の変人性が写実的風景の中に収まって「主張」らしい要素がなく、じんわりと、やがて高まる感動に導かれた。見ると著名なマキノ戯曲の殆どが外部への書き下しであるので、執筆方法に違いがあるのだろうか、等想像してしまった。

現代能楽集など話題作を逃し、(先のMOPのを除いて)「新作」を逃していたので、現在まだ無敗の文学座アトリエ公演となれば一も二もなくである。
ただし予約は「支援会」会員で最初埋まったとか。「今、席を作っている所、来週あたり出す予定」と週末に聞き、日曜夜にwebフォームを覗くと残一席、速攻で予約した。(この客席が奇妙不可解、後に記述。)

この芝居、音楽評論雑誌の事務所というピンポイントな風変わりな場所を舞台に選び、1970年代の楽曲(主にロック)が頻回に流れ、プログレやアメリカンニューシネマの話題に夢中になるシーン等、個人的には懐かしさに小踊りする代物であったせいで、随分肩入れした見方になったに違いないが、翻案された「虞美人草」(読んでないが)は漱石の時代にもあっただろう「恋愛と人生」のモチーフが見えてくるにつけ、ドラマの深みへと誘われる。作者がパンフにも吐露していた原作中無性に良かったシーンの台詞が、本舞台でも光っている。明治から遠くなりぬ現代に、こうした感動に出逢う幸福を噛みしめた。

舞台全体の印象としては全開コメディではないがそこはかと喜劇要素の漂うマキノ戯曲をシリアスとの絶妙な塩梅で仕上げるのは高いハードル、文学座の俳優層でも中々大変そう(特にラストへ向かうあたり)。ネタバレになるが「突撃」は「玉砕」とせず「そう言いながらも・・」と含みを持たせるのが絶対正解に思うのだが。。

俳優は文学座でも若い世代が中心だったろうか。殆どがお初の方々で、目に(耳に・・声を)した事のあるのは二三名ほど。中で平体まひろ氏は、昨年7月中津留氏の配信「パンデミック・パニック」で初お目見えしてより、秋に座高円寺「フランドル農学校の豚」、冬「東京原子核クラブ」(配信で)、今回で四度目で最若手にしてはよく目にした(今割と売れっ子のようだ)。ただ今回のは同じマキノノゾミ作の「東京・・」の役を引き摺ったかと思われる顔演技があるのが少し気になった。が特徴的な風貌は見る側が何かをそこに投影したくなるようで、強みだ。

ネタバレBOX

客席が「奇妙不可解」のわけ。
今回も文学座アトリエの定番、横長に階段状の席(パイプ椅子)を組む形。自分は追加席を予約したが(ネットで座席指定。といっても残席1つであったが)、前から4、5列目で両脇が袖のこすれ合う密な席であった。それはそれだが、前の客席を見ると、パイプ椅子一つ分より少し狭い程度の間隔が開いていて、互いに斜めの位置関係で椅子が置かれ、私の座った上段下手寄りの5,6席だけが密集している。と、上手の方を見るとそこにも袖すり合う席の列がある。このアンバランスな配置は何?とまず思う。間隔のあいた席と席の間には「ここから降りないで下さい」という貼り紙があって、これを無にしないための配置なのかな、と思う。そして私の座った段の通路挟んだ左手にも
6,7脚の椅子が密に並んだ列があり、開演時点で誰も座っていなかった。後にそこは当日客と思しい客で埋まって行ったが、一つおきに座ったりして、予約客より余裕有り。
コロナ対応では何を優先し何を犠牲にするか、取捨判断に悩むこれもその一例なのだろうが、諸々「謎」な客席ではあった。
ミュージカル GHOST

ミュージカル GHOST

東宝

シアタークリエ(東京都)

2021/03/05 (金) ~ 2021/03/23 (火)公演終了

満足度★★★★★

ミュージカル嫌いの人に観てほしいです。再演の良さをギュッと詰め込んだパフォーマンスでした。愛、夢、希望、欲望、怨念…が、初演より更にメリハリがついて、キュンキュンして、ハラハラして、ノリノリで笑って。曲がステキで、場面にフィットしてる。みんな、役としてはまってました。
何役もこなすアンサンブルの皆さんも、とても素晴らしいです。

羽化する朱い糸

羽化する朱い糸

劇団Pin to Hint

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2021/03/12 (金) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

正直、そんなに期待していなかったのですが....
単なるカップルの普通の話ではない、因習に支配された、インパクトのある話!!!
すごーくよかった。ストーリーがおもしろくて、引き込まれてしまった。
75分間、無駄とか、つまらない部分が全くない。よくできている作品だ、と思った。
ネタバレになるので、書けないのがもどかしいが、とにかく、素晴らしい。
朱い糸、見終わった後も、色彩が目に焼き付いています。
良い作品を観て、非常に満足です。
ひとつだけ、気になったのは、座席が少し、隣との間隔がほしいですね。コロナが心配です。
役者さん、たくさん出番があり、大変ですね。最終日まで、頑張ってください。

ウィーンの森の物語

ウィーンの森の物語

東京演劇アンサンブル

東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都)

2021/03/06 (土) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/10 (水) 14:00

とにかくポップな舞台と衣装、終始ダレずに軽快に飛ばしまくる舞台進行は、その話の重さとは裏腹に、とにかく理不尽なくらいに楽しい。風船の爆発にも、ステッキの受け渡しの失敗にも、飄々と対応する役者諸氏の所作は、誠に余裕を感じさせて心憎いばかりだ。
 「ブレヒトの作品は民衆には判らないが、私の作品は誰にでもわかる。」さもありなん、そう言い切ったらしい、ブレヒトと同時代人であるホルバートの言葉は、お世辞ではなく的を着いている感じがする。そのことは、女性差別・男尊社会を描き、幼児虐待までも取りあげながら、この舞台には一編の暗さをも感じさせないのは、そうした翻しが可能なほどに、
人間の業や性に根付いた作品だからであろう。ブレヒト劇にそれはできまい、いやできてはならない構造があるような気がする。
 とにかく、ここに出てくる男たちは、陽気で反省や後悔という者を知らない。肉屋の主人オスカーのマリアンヌへの代わらぬ執着は、愛ととれれば気分も和むが、どうやら所有欲の所産らしい。彼には、マリアンヌを盗すんだ(と思っている)アルフレッドへの嫌悪感は強いが、それはマリアンヌをぼろきれの様に捨てたことへの怨嗟ではなく、盗られたことへの恨み節に過ぎない。
 マリアンヌの父魔術王は、哀れな境遇に落ちた娘への哀惜どころか、未だに自分の思い通りにならなかった娘への悔恨の沼で喘いでいる。
そして、アルフレードは、マリアンヌを捨てただけではなく、祖母と(実質)共謀して息子を殺め、その上祖母から借金を重ねて放蕩生活。その他、ハヴリチェク、ヒアリンガー、エーリッヒ、ミスター、ここはクズ男の品評会か!!!
公家義徳が、武体の締めとして、マリアンヌに叫ばせた(本にはない)一言。暗転後に舞台奥から駆け出してくるマリアンヌ、よく言った(言わせた)!!!

ネタバレBOX

アフタートーク、この作品が大戦間に書かれ、その背景として戦争に話を振ったまでは興味が出たけれど、
その後に日本の軍需産業の話を延々とされてもなあ。
私(達?)は芝居の話を聞きたいのだよ。
いとしの儚

いとしの儚

劇団扉座

ザ・スズナリ(東京都)

2021/03/06 (土) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★

前半は大袈裟な物言いや伝奇的設定についていけなかったが、後半、賭博に狂って儚さえも賭けてしまうあたりからよかった。博徒の業の深さ、愚かさと、儚の無垢なひたむきさが、不純物を捨て去った末に、浄化の悲しきも美しいラストを迎える。

鈴に儚が更生を説く場面は、ラスコーリニコフとソーニャのようであり、サイコロ勝負で自滅するのは、「賭博者」のよう。恋が水になる美女とは、人魚姫のようであった。

一両とか百両とか、何かと思ったら、この劇は明治以前の時代の設定。ただ衣装も小道具も現代なので、最初分からなかった。前近代の鬼や生まれ変わりが信じられた時代を背景とするということがわかれば、ストーリーもっとスムーズに馴染めるだろう。

儚役の藤間爽子さんが粗暴な幼児期からマリアのような少女期までを、演じ分けて、最後に真の強さまで見せてよかった。博打・鈴次郎の荒井淳史は出ずっぱりを熱演。ライバルのゾロ政…七味まゆ味さん、鬼の荒川シンペーが脇で光った。

開幕とともに穴だらけの白いビニールカーテンで舞台を前後に仕切って、ばめんにばめん重層的にし、ラストでカーテンを取っ払って、主演の二人を美しく照らした美術も工夫されていた。

ネタバレBOX

「水にはならない」と言って、花びらになるラストは、幻のような美しさであった。
ラヴ メールズ LOVE MAILS

ラヴ メールズ LOVE MAILS

喜劇団R・プロジェクト

遊空間がざびぃ(東京都)

2021/03/11 (木) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

4組のカップルのやりとりが、おもしろおかしくて、とてもよかった。
朗読劇、とあったので、台本読むだけかと思っていたが、チャンとしたお芝居で、うれしい。
目玉は、ギター演奏、歌曲だ。嬉しいサプライズ!!!
私は、このふたつ、大好きだ。マンネリ化しないよう、うまく配慮されてる。
倉橋さんの出演の仕方も意外性があって、ええー、いきなりかよー、って感じで、よかった。
前回と雰囲気が違うが、微笑ましくなる、なんともいえない、ほのぼのとした感じで、観てよかったと、思いながら、帰途についた。
コロナ禍なので、こういうあたたかく、純粋な、おもしろい作品に救われる。

若手演出家コンクール2020最終審査会

若手演出家コンクール2020最終審査会

一般社団法人 日本演出者協会

「劇」小劇場(東京都)

2021/03/02 (火) ~ 2021/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

本コンクールの初観劇は昨年、念願叶ったのは「配信」のお陰。つまりコロナに見舞われて丸一年が過ぎた。
思えば昨年二月の末頃には、大手の公演中止が出始め、三月一杯は上演を決めた公演と中止した公演と二分したが、すでにこの時点で、劇場でのコロナ対策は(バラつきはあるものの)今見ても遜色なく講じられていた事は覚えておきたい。
(それに引き換え政府がこの一年でやった事は・・感染対策の核である検査・医療体制の整備のための制度改変はやらず、感染者数に一喜一憂、分母の検査数は問わず「日本方式?が優れていた」だの結果論で寝言を吐いていた。民間の自主対応任せで全体状況が何も変わらない無策な国の足下を見てか、東京都の対応も以前に増してひどくなってるらしい。何のために国のブレーンを高給で雇ってるのか再考した方が良い。)

閑話休題。本コンクール、昨年のはぶっちゃけ最悪と言えた(忍耐を要する画質・音声)。急きょ無観客対応で設えたのだろう、当時の他の配信と比べても中々な質であったが、それに比べりゃ今回は普通に芝居を楽しめた。

さてまず審査のほう、審査員8名による投票がバラけにバラけたのが面白い。4演目どれ一つ系統の似通った舞台はなく、脚本でなく演出をみるコンペだからあり得るケースかも知れないが、これに優劣をつけるのは厳密な意味で難しい。演劇の多様性、どういう要素を演劇として高く評価するのか、第一線の演劇人も全く異なるという事実が痛快。ある種の感動である。

ちなみに私の観たのは初日からの上演順での4演目(2ステージ目は見ず)。これに1~4の点数を付けると、
三上陽永(ぽこぽこクラブ)「見てないで降りてこいよ」=4
今井尋也(シルクロード能楽会)「「道成寺」疫病譚」=3
國吉咲貴(くによし組)「おもんぱかるアルパカ」=2
伏木啓「The Other Side-Mar.2021」=1

答え合わせ・・どの審査員とも重なってない!(ちょっと嬉しい..が数学的には、、採点パターンは24もあった。審査員8名、成る程..)。

以下作品評。
三上氏は自劇団で劇作者として本格活動の由。話もよく出来ているが、本作の特徴は生ギター・生歌が劇に深く絡んでいる事。冒頭とラストに挟まれた本編(回想)では、ティーネイジャーの3人(男2女1)の出会いと成長、音楽への夢と紆余曲折の顛末がテンポよく語られるが、一人の際立った個性(障害?)とそれを補い合う自然発生的な関係が、登場人物3人のみで描写され完結できているのはひとえに「生音」が無理なく物語にハマっている効果だろう。戯曲ありきの人選か、役者あっての戯曲か、興味あり。

今井氏のシルクロード能楽会の同演目は、TPAMでも上演されたらしく、パフォーマンス・アートの範疇だがコンクールの最終候補に残るものとしては異色だろう。内容は端的に、大真面目な「能」の世界である。一しきりやった後、幕間で演者(主宰者か)が素の感じで客席に喋るのには驚くが、本編は能。ただし自分的には元の「道成寺」をしっかり踏まえてないので(独特な発声の台詞=謡いを聞いてもストーリーを追えないので)翻案のポイントなど分かりやしないが、囃子方の豊富さにはさすがに気づく。女性の演じ手も登場して表現としての広がりがあった。

くによし組は見そびれていた一つで今回ほぼ初になるが、若手女子のユニット、無理矢理分類すれば、<なかないで、毒きのこちゃん><ひとりぼっちのみんな><だるめしあん>といった毒あり文学少女の脳内世界(かなり無責任な分類)の範疇だろうか(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の妹のイメージ・・若手女子は皆同じに見えると白状しよう。もっとも、<なかないで>主宰は女子でないとの噂も・・)。
駄洒落のようなタイトルから書き始めたとも疑える内容で、冒頭の奇妙な場面を出した後、そこに至る経過を紹介するという話の展開。戯曲の着想の中に演出的な要素があり、人物3名のキャラ(内面も)設定も現代的。ただ荒唐無稽のシュールさと、徐々に露呈する人物の(又は関係の)「痛さ」=リアルがうまくマッチングせず、無理筋感が残ってしまったように思う。

唯一非東京出身者(愛知)の伏木氏の舞台は、舞踊を軸に、対話劇の場面など多彩に織り込んで一つにしたものだったが、パフォーマンスと併走するキーボード(ピアノ音)演奏が、解釈幅を広げたい所、狭める単色の響きが(瞬間的にはドラマ性を持ち込むが)「もっと見てみよう」という呼び水にならず、多彩な場面が我々をどこに連れて行くのか(何を発見する事になるのか)という期待感が早々に萎えてしまう。出演の女性二人の衣裳が自分としてはまず残念感。元々踊り手だからか?台詞が素人っぽくても許せるが妙に「演技」をしていてそれが薄っぺらく感じる。しかし出演者の力量というよりは、配置された各シーンの関連や全体が果たして出演者の理解できるものだったか・・観る側も最終的に一つの構築物を見たという感慨には至らなかった(配信で見た限りであるが)。

サンサーラ式葬送入門-自在篇-

サンサーラ式葬送入門-自在篇-

feather stage

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/03/11 (木) ~ 2021/03/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

サンサーラとはサンスクリット語で輪廻のことであり、この舞台では死後どのように転生するかがテーマである。ただし哲学的な考察があるわけではなくチラシ(注)から受けるようなインド的な匂いもない。輪廻にこんな法則があったら面白いでしょうと言っているだけである。どんな法則を採用するかは作者の自由なわけで面白いと感じるかどうかは観客次第である。

色々と複雑な構成になっていてカーテンコールでこんなに沢山の俳優さんが登場していたのかと驚いた。謎めいた演出も多いがそれらが解決されるという作りにはなっていないし、結果的に無駄な場面もあって楽しめるかどうかは観客次第である。

劇団6番シードの魅力的な役者さん達が出演されていてそこは楽しめたが上記の2点については私好みではなかった。もしかして綿密な伏線回収があったのを私が理解できなかったということがあるかもしれないがそれを含めての満足度なのでご容赦願いたい。

注)CoRichで表示されている画像は公演パンフレットのものであり、チラシは2月のものを左右反転して赤青の色を入れ替えたようなものである。

画狂人 北斎

画狂人 北斎

エヌオーフォー No.4

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/03/04 (木) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

知的分析や評論は意味があると思う。それによって創造のパッションから遠い普通の人にもスゴさを伝えることが出来るから。理性とパッション、両極の統合の時代でもあると思うし。凝った舞台演出も好みでありました。ただ、なんか最終的にパッションの方がちょっと足りない感じがしました。もちろん私個人の受け取り方ですが。命と宇宙の奥儀に触れればこんこんと泉のように力が湧く、けれどその実感があと一つだったかなという感じ。十字架や革命思想の話を掘り下げた方が北斎のパッションらしかったか? という感想は持ちますが、北斎のことを知れて良かったです。数年前にちょっとブームになった時もアニメや漫画を見ましたが尽きない興味の人です。

水に棲むぼくたち・わたしたちのウタ

水に棲むぼくたち・わたしたちのウタ

salty rock

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2021/03/09 (火) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/03/11 (木)

価格2,800円

11日19時開演回「泡沫のウタ、或いは龍魚の見る静謐な世界の夢の終わり」を拝見(95分)。

オジサン軍団の陽気さとは裏腹に、フジタタイセイさんと杏奈さんの役柄の関係に気づいてからは…残酷な運命の下にあれど、最後は至福感に包まれた、ボーイ・ミーツ・ガールな95分。
それにしても、よくまぁ、こんな擬人化ストーリーを思いつくなぁと凡人は只々感心しきり。

ネタバレBOX

【配役】
男1(龍魚。餌として金魚を食してきた)
…フジタタイセイさん(幾つもの客演舞台をこなしているとはいえ、フジタさんが、ここまで役者に徹しているのを観たのは、個人的には『イける☆この頃』以来かなぁ)
男2(龍魚 or 他の観賞魚)…石原嵩志さん
男3(龍魚 or 他の観賞魚)…仲田正道さん
男4(龍魚 or 他の観賞魚)…神野剛志さん
男5(龍魚 or 他の観賞魚)…長瀬巧さん
客1(熱帯魚ショップの客:夫)…原田達也さん
客2(熱帯魚ショップの客:妻)…植松りかさん
※この夫妻はどちらも声が良過ぎ!
少女(金魚)…杏奈さん(コートに弾むテニスボールのように感情の出し方が次から次へと変化していく様は、観ていて愉しい。それから、前にもどこかで言ったような気がするが、うなじの綺麗な女優さんだなぁ)
熱帯魚ショップの店員…伊織夏生さん(とくに目元が!なんだが、段々と、若い頃の吉行和子さんに似て来たような気がする。フジタさんと同様、もっと「役者」としての伊織さんも観てみたいものだ)

【蛇足】
「龍魚」って、てっきり(作者も読んでいるらしい)ボクシング漫画『はじめの一歩』の登場人物・木村達也が必殺技のヒントにした「ドラゴンフィッシュ」のことだとばかり思い込んでいたら、実は「アロワナ」という別の観賞魚だった。
『missing』 〜強がり彼氏と食べちゃう彼女〜

『missing』 〜強がり彼氏と食べちゃう彼女〜

ENG

六行会ホール(東京都)

2021/03/10 (水) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ENGの公演は4回目ですが、安心して、観ることができるエンタメ演劇と言えばよいでしょうか…。

今回も安定感ある面白さでしたが、込み入った設定でオリジナルの脚本なので序盤は分かりにくいというか説明的な面が些かあるかとは思います。

世界観を呑み込んだら、あとは役者陣の好演のほか、見応えのあるアクションや劇中歌を堪能できました。

ウィーンの森の物語

ウィーンの森の物語

東京演劇アンサンブル

東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都)

2021/03/06 (土) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

以前から観たかった劇団、ようやく観劇出来ました!作品の背景や、内容をあまり理解せずの観劇でしたが、衣装や舞台装置がポップで、見てて楽しかった。観劇後、改めて内容について思い返すと、空間との落差に色々と考えさせられました。

たぬきと狸とタヌキ

たぬきと狸とタヌキ

トム・プロジェクト

シアターX(東京都)

2021/03/08 (月) ~ 2021/03/12 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

途中からいろんな要素が出てきて、笑ってばかりもいられなくなるが、達者な演者さんたちによる楽しい舞台。

ネタバレBOX

前半でいくつか気になるセリフが出てくるので、後半の大ネタは途中で想像がつくものの、一家の問題を更にひと捻りして、最後まで面白く見せてくれる。
日本人のへそ

日本人のへそ

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/03/06 (土) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

60年代末の若さと闘争と性欲と…不定形のエネルギーを体現したような戯曲を見事に今日に生かした舞台だった。ただ舞台が猥雑であればあるほど、下り坂の現代の観客とはずれが起きる。これは今回含め、2010年以降の「日本人のへそ」しか見ていない私の実感。70年代はもっと客席も活気があって、第一部の下ネタギャグの連発に笑ったのだろうか。演じるのは非常に難しい作品だと、特に2010年のテアトル・エコーの見事に空回りした舞台を見て思った。

しかし後半第二幕のレズカップル、ホモたちの誘いのところは笑わせる。この同性愛ギャグは非常にうまい。でも井上ひさしには珍しい。一幕にストリッパー、異性愛のエロスと対照的。作り自体、歌たっぷりのミュージカル仕立ての一幕と、セリフ劇に徹した推理劇のような二幕と、2つ芝居を見たような充実度だ。

たっぷりの趣向は井上ひさしの原点であり、それまでの蓄積をぶちまけたような感じ。評伝劇、香具師の口上、風刺、弱者のルサンチマンなど、後年の傑作群につながるものも多々ある。

俳優も二幕がいい。小池栄子の代議士の妾の和服姿、朝海の秘書役のメリハリをつけた演技、井上芳雄の男にモテる焦りぶり。一幕のストリッパーを演じた女優陣の度胸も良かった。小池栄子のソロ舞台は、父に犯された過去の哀切ふくめ、上品なエロスで惚れ惚れした。

日本人のへそ

日本人のへそ

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/03/06 (土) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2021/03/11 (木) 12:00

座席1階

劇作家・井上ひさしの実質的デビュー作という。初演は1969年にテアトル・エコーが行った。こまつ座としては震災のあった2011年以来10年ぶり。演出の栗山民也は1985年の公演がこまつ座での初めての演出だったそうで、今回が4回目。いろいろ歴史のある井上喜劇だ。
見終わって、いや見ながら思ったのは、役者たちの大変さというか、これは死ぬ気で向き合わないと演じられないな、と。実際に、栗山は出演者たちに「これまでの自分を壊すような気持ちで」という趣旨の指示をしたというが、実力派俳優たちも自分がこれまでやってきた実績とか経験とかをすべて忘れて飛び込んでいかないと、それこそ舞台から弾き飛ばされるような勢いなのだ。
あのバイデン大統領もそうだったという吃音症を、さまざまな役を演じることによって治す試みだということを、学者役の山西惇が冒頭、説明する。「患者たち」が舞台を歩き回りながら唱える「あいうえ王」は、井上ひさしの言葉遊び。繰り広げられる劇中劇が、本作の舞台である。
劇中劇の一つが、昭和の香りが色濃く残る浅草のストリップ劇場だ。朝海ひかるや小池栄子らスタイル抜群の女優たちが長い手足をピンと上げての演技は圧巻である。SKDも顔負けの、脚が描く真っすぐな直線、ぴたりと合ったすばやい動きは拍手喝采ものだ。すばやいと言えば、各劇中劇で早変わりが連発するところはものすごい。一人何役も与えられているのだから、観ている方が目が回りそうである。「日本のボス」の劇中劇は、料亭政治を皮肉っているようなところがあって風刺も効いている。
「ハチャメチャ」と言ってしまえばそうなんだけど、劇中劇の一つ一つが非常におもしろくて、それが連続して繰り出され、客席もついていくのに必死という感じなのだ。
ラストのどんでん返しもいい。
出演した俳優たちを一回りも二回りも大きく鍛え上げるような、まるで道場だ。これをこなした出演者たちは、相当な自信を得たのではないか。

ゴーストノート/西には悪い魔女がいる

ゴーストノート/西には悪い魔女がいる

第27班

「劇」小劇場(東京都)

2021/03/10 (水) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

舞台前のギター弾き語りは終演すれば「なるほど」、ドラムを小道具として使っては、「お金のない苦しさ」を最大限に引き出した・・・お見事、100点満点の舞台です!・・・詳細はブログ記事をご覧下さいませ。→ http://idolarayama.seesaa.net/article/480428031.html?1615381445

カレーと村民【東京公演延期】

カレーと村民【東京公演延期】

ニットキャップシアター

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2021/03/09 (火) ~ 2021/03/11 (木)公演終了

満足度★★★★

会場に着いたのギリギリ💣💨。少しモヤモヤ感(ねはどこへ)は残ったが、国や政治家に対する思いは今も昔も変わらないなーと共感。平和ボケしている私がここにいた。日本に生まれて良かったと思う日は死ぬまでにくるのか…。演劇観れて嬉しい😆けどね。ダブルコールもあり、次回も期待してます‼️

ほんとうのハウンド警部

ほんとうのハウンド警部

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2021/03/05 (金) ~ 2021/03/31 (水)公演終了

満足度★★

上演時間はわずか75分。しかも、中身が理解不能。いくらジャニーズファン向けとはいえ、コクーンの一月公演で、これはいかがか。まだ空いたばかりだから、前売り客でコロナ客席は埋まっている。
この戯曲は演劇を問うメタシアターのドラマとして、演劇好きには知られている五十年ほど前に書かれた戯曲で、翻訳も本になって出ている。しかし、それは米英の演劇都市の演劇事情をもとに書かれた一種のバレ本で、ミステリ劇がお国の看板観光資源になっている国や、初演の翌日に大新聞に演劇批評がでかでかと出る(日本の新聞のように終演間際になって決まった枠で申し訳のような批評が出るのとはわけが違う)国情があって成立する。9割八分がジャニーズ客だった「オスロ」と違って、コクーンとなるとジャニーズ客は8割くらいにとどまり、幅広い年齢の男女の顔もちらほら見えるが、この芝居、大方の客にはどこが面白いか解らなかったに違いない。幸い本を読んでいたから、俗悪ミステリ劇や、批評家へのほとんど嫌がらせのような悪態や、舞台で繰り広げられる演劇の構造への批評も意図は読みとれたが、多分、英米では爆笑・大受けのところがクスとも笑えない、笑わない。それは演劇のバックグラウンドが違うからである。幕内は散々読み合わせをして万端尽くしたとパンフレットで言っているが、それは幕内だけのことで、演劇には観客がいる。仲間内でいいことにしましょう、と言うのはまるで今の政治だ。
コロナ騒ぎの中で、さっそく、身近でやりやすそうなこの本を見つけてきたのはさすがシスカンパニーだが、今回は読み違えた。この本は時々小劇場で上演していて、日本初演は、パルコの確かパート3で見た記憶がある。そこらあたりで好き者が集まって喜ぶ才人の若書きの本だろう。海外で、「日本人のへそ」をやろうという興業者がいないのと同じである。

ネタバレBOX

脚本解釈としては、あらかじめ戯曲を読む機会のあった少数の客は、穏当な解釈と思うだろうが、ここはロンドンでも、ニューヨークでもない。いくら横文字本の解釈がよくても意味がない。二枚目の生田斗真を煮え切らない批評家をかなりうまく演じているし、相方の吉原光夫も、女優陣もうまいものだが、劇の中身は空転して客に伝わらない。それは欧米とは社会と演劇のありようが違うからで、そこをつなぐのも演出の仕事なのだが、そこはすっかり置いておいて本の訓詁学に終始したのはこの演出家のいつもの悪い癖である。

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