劣る人 公演情報 elePHANTMoon「劣る人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    愛憎劇
    好み!ただただ好みだった。舞台セットも素晴らしい。そして佐藤みゆきの体当たりの演技が光る。これまでに何度も佐藤の演技は観ているが、イマイチ殻から脱していない気がしていた。彼女は小劇団のなかではそれなりに人気があったし、人気があるゆえの守りの体制が佐藤みゆきという女優を縛っているような気がしていたからだ。しかし、今回の演技で佐藤は女優・佐藤みゆきを乗り越えたような輝きだ。心底、素晴らしい!と感じた舞台。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    この舞台の説明に「人間はどこまで堕ちることができるのか?邪悪になることができるのか?世界は肉と脂と汗と悪臭に満ち満ちている。」という行があるが、この説明なら主役は横山(保田泰志)と千春(佐藤みゆき)だ。

    スナックに勤める千春はシングルマザーだ。千春目当てに通う客・横山をその気にさせ身体を売る。ここでの横山は見るからにモテナイ男そのものだ。劣る人の代名詞だ。(失礼)
    いつものように千春とよろしくやろうとスナックに訪れた横山は千春とホテルに行ったが千春に8万円を盗まれてしまう。

    普段おとなしい横山を多少、見下していた千春の行為だったが、それに逆上した横山は先にスナックに戻っていた千春に襲い掛かり殺そうとする。ここでの男女の愛憎の言葉、罵りあいの応酬が壮絶だ。それでも自分は盗んでいないとシラをきる千春の嘘は誰でも見抜いているのだが、一度吐き出した嘘を訂正することは出来ない。それは他人からの目という拘りのプライドだ。

    しかし、その嘘を瞬時に見抜いた滑川が千春をシバキ倒して真実を吐かせる。しかし、男女の関係というのは他人が踏み込み関知するものではない。滑川は横山に刺されて血みどろになりながら殺されてしまう。横山の精一杯のプライドからだ。

    元夫婦が歌う「ロンリーチャップリン」がしっとりと心に響いた舞台だった。それぞれの人間の業を表現したような舞台。

    0

    2011/03/20 12:53

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大