ネズミ狩り 公演情報 劇団チャリT企画「ネズミ狩り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    被害者と加害者の意識
    前半はコメディ調でしっかり笑わせてくれる。後半はシリアス。
    非行少年が更生して社会復帰を目指すための協力雇用主をめぐってのそれぞれの意識の差に考えさせられた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    南海亭の女将・ナツキは父が少年に殺されてから、この店を継いだ。かつて父が生きていたころにも協力雇用主として非行少年を受け入れていた経緯もそのまま、父の意思を尊重し継いでいたが、妹のフユコはそれを快く思っていない。

    そんな感情が働いてか、フユコは被害者の側に付いて被害者の会ならぬ運動に加担する。それに付加するように南海亭の従業員の犯罪歴を嗅ぎまわる記者と噂好きの近所の主婦。

    静かに順調に暮らしていた南海亭が記者の登場から思わぬ方向に流されていってしまう。ナツキとフユコのバトルは緊張感溢れる山場ではあるが、どちらが正しいという結論はない。

    非行少年の社会復帰がいかに難しいかを、あの榊原事件に触れながら被害者と加害者の相違の道程を描写したような内容だった。

    人類の第一の本道は愛に満ちた道程を生きるのに越したことはないが、けれどもなお第二の路はあるはずだ。そしてまた同時に第三の路も許されていいはずだ。過去の重荷を背負ったまま愛を得ずして寂しいながらも何か、力いっぱいの仕事をして生きていく人たちのために、その路はやはり開かれてあるべきだ。

    第一の路をゆく人も第二の路をゆく人も第三の路をゆく人も、各々、その路を一心に辿ってそれによって己を生かし切り、善く美しく成長させて宇宙へ何か献げものをしたい気持ちで歩めばいいのだ。と思う。


    0

    2011/03/07 20:39

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大