満足度★★★
「えっ?」
家具が数点あるだけのシンプルな空間の中、それぞれ一癖ある自分の価値観に従って突き進む人たちが組み合わせを変えながら噛み合ない対話を続けるだけのシンプルな物語でしたが、台詞や役者に魅力があってじわじわと引き込まれる作品でした。
「えっ?」や「何?」といったコミュニケーションが取れていない言葉が多用されていて、印象に残りました。その場にいると笑えないような会話やシチュエーションなのですが、外側から見ているとそのどうしようもなさがシニカルでユーモラスでした。
前半はちょっと変だけど日常的な光景だったのが、後半に少し幻想的な感じになるのも違和感がなく、そういうのもありかもと思わせる、不思議な雰囲気が面白かったです。
奥にちょっと怖いものを感じさせながら娘を溺愛する母を演じた兵藤公美さんの台詞の間の取り方が絶妙でとても良かったです。
上演中に天井の配管を流れる排水の音が聞こえたり、建物がミシミシと鳴ったりしたのも効果音のように聞こえて来て作品の雰囲気作りに一役買っていたように思います。