満足度★★★★★
見事だった再演で、初演も観ているが、実に優れた作品である。還暦を迎える風太郎の誕生日の記憶。誕生日はなぜかいつも雨、という風太郎と、常に飼っていた猫の物語と、記憶の中で微妙に美化される過去が、時間軸を何度も前後し、事実か幻想か判別し難い感触の、優しい抽象劇として終局に向かっていく。切ない面が強いが、人間の優しさを信じる吉田小夏の脚本が見事で、俳優陣も極めてタイトな演技で丁寧に表現する。安心できる緊張感、といようなものを楽しめる舞台だった。
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2011/02/16 09:12
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