満足度★★★
着眼点は面白かったが
フライヤーを見たのがかなり前だったので、俳優座とのコラボ企画公演だということを忘れて観ていた。俳優座の蔵本康文、松崎賢吾両氏の演技が花組芝居の面々になじんでおられ、驚いた。途中まで松崎さんは花組芝居の人だと思い込んでいたのだ。各務立基さんが元俳優座だということもアフタートークで初めて知った次第。
近代日本文学史の黎明期を芝居で辿るといった趣向で、自分が高校生のときにこの芝居を観ることができたら、現代国語の副読本であった日本文学史のテキストにより親しみが持てただろうなと思った。
文学の流れということは観ていてとてもよくわかるのだが、芝居としては総花的にいろんな文学者が出てくるだけで物足りない。
肩が凝らない代わり、文学の薫り高さは乏しい。また、劇の性格上、文学論について説明口調のセリフが多くなるのも難点。
いちおう森鷗外(各務立基)が主役で、対立軸に夏目漱石(大井靖彦)がいる構図だが、観終わってから人物の内面があまり迫ってこなかった。