アルカサバ・シアター『アライブ・フロム・パレスチナ-占領下の物語』 公演情報 川崎市アートセンター「アルカサバ・シアター『アライブ・フロム・パレスチナ-占領下の物語』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    知られない「日常」
    普段私達が「ニュース」「情報」として見聞きしているパレスチナの状況が
    まさに同時進行の「日常」であることを否応なしに理解させられます。
    「ニュース」は決して過去のものではなく、伝えられる対象がいる以上、
    海の向こうの国で、確実に起こったことであり、

    そして、今後も似た事が起こることを暗に示しています。

    ネタバレBOX

    この劇で見知ったパレスチナの状況。

    それは、子供たちが「Mで始まるもの何だ?」的な遊びに、次々と
    「シャロン」だの、「爆弾」だの物騒な名刺を嬉々として挙げる状況。

    銃弾が、逃げまどう人々のどてっ腹に「海を越えた国が見え」そうな
    位の空気穴を開けるような、極限状況。

    恋人達は、各々のプレゼントに銃弾だの、爆弾だのを屈託なく
    渡す、ブラック過ぎる状況。

    そんなにわかには信じられない「状況」が時にシリアスに、時に
    皮肉たっぷりに繰り広げられる。

    パレスチナの民はアラブ民族でありながら、周辺諸国からは
    完全に見捨てられ、イスラエルからは完全な「虫けら」「二級市民」として
    扱われ続けている。 それも、もう数十年に及ぶ。

    海外では、パレスチナの民は「難民」であり、「可哀そうな存在」であり、
    その姿は「ニュース」でもって全世界に発信される。しかし、それで
    何が変わったろう。 そう、ニュースはただの「情報」だ。
    見ず知らずの人の意識まで変えるのは容易ではない。

    本作は、普段顧みられることの無いパレスチナの人々の
    閉塞状況、自分達を圧迫し、苦しめ続ける存在への怒り、
    存在を認めてくれ!という、希有な叫びのように私には思えた。

    人間の苦しみは「死ぬこと」もあるが、何より「忘れられ、関心を
    持たれない」のが一番だと思う。 彼等は劇でもって、その無関心に
    石のつぶてを叩き込んだわけであり、その点非常に有意義な作品と
    いえます。

    0

    2011/02/13 22:54

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大