ニーナ 公演情報 東京演劇集団風「ニーナ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「かもめ」の続編のような
    亡命作家マテイ・ヴィスニユックが、ワタクシの観た回でいらっしゃってました。今回の作品は「かもめ」を観たことがない観客にも解るように「かもめ」の筋を織り交ぜながら説明し、咀嚼していたから誰にでも解る内容だった。
    上から吊り下げられた大きな振り子を見ていると、巨大な催眠術師が振ってるように感じてなんとも眠くなってしまうのはワタクシだけだろうか・・。苦笑!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    コースチャーの恋人だったニーナは人気作家トリゴーリンとともに女優を目指してモスクワへ発ち、トリゴーリンとの間に子供をもうけたが死産だった。その間、二度の自殺を図ったコースチャー。

    しかし、15年前に離れたコースチャーの家をニーナは訪れる。ニーナを追ってトリゴーリンも現れる。ニーナに翻弄される二人の男と、彼らを手玉にとるニーナの会話劇だ。

    元々が自閉症のコースチャーはニーナの言葉通りに自らを動かしてしまい、同じくニーナを愛しているトリゴーリンもニーナによって振り回されてしまうのだが、ニーナ自身は自分以外は誰も愛していない、という感情が見え隠れし深層心理のやりとりが面白くもあり危険でもあった。

    ニーナの情熱は常に自分に向けられ、自分自身の成功のためには二人の男を利用し犠牲にしてでも這い上がるという気質に満ち溢れていたが、元来、他力本願なところがあり、そういった哲学しか持ち合わせていないニーナは行き着くところは、ただの落ちぶれた女優なのだった。

    コースチャーはニーナだけを想い続けて15年もの時をプラトニックラブだけで過ごし、そんな彼が書く作品は自分自身の為に書いたような作品で自己愛やエゴが散乱し、読者の心を掴むことが出来ない。

    コースチャーの家の中で過ごす三人は彼らにとってここがユートピアなのだと思う。

    マテイ・ヴィスニユックはフランスの作家らしいが、まさにチェーホフが書き下ろしたような作品で、その描き方は独特の不条理を放っていた。舞台で吐かれるセリフの一つ一つに哲学的な要素が含まれており、いちいち感心して観ていた。
    公演時間2時間だったが、途中休憩15分があり、3時間もの公演時間のように長く感じたのは何故なのか、未だに不思議だ。キャストらの演技力は流石。

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    2011/02/03 16:33

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