国民傘 公演情報 森崎事務所M&Oplays「国民傘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    「戦争」は至るところに転がっている
    試みは凄く面白いと思いました。 台詞も恐ろしく良いものが
    ぽんぽんと飛び出してきたし、それだけなら凄かった。

    それだけに、ここまで構成を捻ってしまうのはどうだろう、という気も
    しなくはないです。 これだったら、それぞれがゆるく繋がっている
    感じの連作オムニバス集でも良かったと思う。

    ネタバレBOX

    「戦争は少女が寡黙になる時期」
    「どこにも帰れない者たちが、戦争という場所へ帰っていくんだ」

    上の台詞には痺れた。 なんて、詩的で格好良い台詞…。

    本の中に出てくる母娘が、別の場面では物語の中の人物に、
    さらにそこの場面の登場人物達は、最初の母娘が国民傘を
    動かした罪で収容されている牢の看守が読んでいる物語の中の
    人物達へと変わっている。 

    それが繰り返されていくうち、誰が「実際の人物なのか」「誰が
    物語の中の人物」なのか、どんどん曖昧に、分からなくなっていく。

    存在すらあやふやになっていく中で、唯一実感出来るのは何だ?
    ていうのがこの「国民傘」の主題な気がする。

    思えば、「戦争」という極限状態だと、自分が誰で、何をやっているのか
    だんだん分からなくなってくるのは当たり前に思えるし。

    それを、この形式で表現しようとしたのかな?

    ただ、二幕目は言葉に、完全に舞台が負けていたような…。
    話の筋は何とか追っていけるけど半ば言葉に頼り過ぎて、
    少し退屈だったかな。 幕切れもアレじゃちょっと投げっぱなしな気が。

    舞台装置や言葉のリズムは最高に切れていたのに、思弁的に
    過ぎたような印象を受けました。

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    2011/02/02 23:32

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