無伴奏 公演情報 劇団東京イボンヌ「無伴奏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    終始、違和感が
    岩野さんがヒロインを演じるというので期待して観にいきました。
    この劇団、観るのは2度目だが、売り物の“クラシックと舞台の融合”というのが、クラシック音楽が流れ、ストーリーの意図は伝わるものの、どうもしっくりいってないように私には感じられ、今回も終始、不協和音のようなものを感じて観ていたので、その世界に浸りきれなかった。あくまでも個人的感想ですが人物像に違和感が残りました。以下、ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    世界的チェロ奏者というより、出世してからの貴子は、黙っていると情婦みたいで、口を開くと蓮っ葉だし、品を感じなかった。12年前の学生のころからプライドが高く、一芸に秀でても視野が狭く、ナーバスな性格の役なのだろうし、発症してからもそれをひた隠して驕慢に振舞う役なのだろうが、ひたすらわがままな姐御のようにみえた。
    岩野未知は演技力もあるので、もっと品よくそれらしくも演じられたと思うのだが、脚本・演出がそうなっているためだろうか。
    貴子を慕うペンションのオーナーの圭の政修二郎は心やさしく不器用な青年を好演していたものの、転寝をするところと、感情を爆発させるところの演技がわざとらしく、観ていて感情が途切れてしまったのが残念。
    辰夫(磯貝幸毅)と花(土屋咲登子)のカップルが微笑ましい。土屋の演技は観ていてとても自然にこの娘に感情移入できる。辰夫が切腹のまねをしようとするところや、誠(井並テン)がワイドショーのみのもんたの話題を入れるところが、いかにも作為的で笑えない。
    貴子の夫がベルギー人という設定だが、TV出演の際の音声のカタコト演技が下手でわざとらしいうえ、実際、ベルギー人がアメリカ人みたいに妻に「ファック・ユー」を連発するものなのかとても疑問だった。
    主浜はるみの突然の降板で香苗役がさいじょうゆきに代わったようだが、それでこの役の扱いが多少変わったのだろうか、気になるところだ。
    回想場面で、香苗が長時間の作業から戻ってくる場面、さいじょうの衣裳がおよそ重労働にふさわしくないフォークロア調のロングスカートなのが気になった。誠と香苗が「暑い」を連発してるのに、圭と貴子は長袖の厚着で秋めいた服装(冷房はきいている設定なのかもしれないが茅野は暑い)。同じく服装では、圭が「寒かったー」とダウンジャケット姿で外から戻ってくるのに、これから「デート」だという辰美(黒木あす香)が入れ違いに半袖にショールだけ羽織った薄着で出て行くのもチグハグな印象。黒木は表情をつくりすぎに思う。家は畜産農家なのだろうが、ヤンキーのようでガラが悪すぎる。
    カメラマンの及川(宮崎敏行)は冒頭、狂言回し的に登場し、活躍するが、コミカルな味もあり、個性的な演技でこの役が一番印象に残った。
    圭の父親(銀座吟八)は、座組の関係からか中途半端な描き方に感じた。
    曲を聴かせるためか圭と貴子が見詰め合う場面の「間」が非常に長すぎたり、暗転も長く、1時間50分の体感時間が2時間以上にも感じられゆったりというより観ていてダレてしまった。
    ラストも、舞台手前で貴子と圭を並ばせるより、中央奥のスペースに立たせて照明を当てたほうが幻想的でよかったのでは?と、個人的には感じた。

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    2011/01/15 10:29

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